平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(田村勝則君) 一般質問の機会をいただきました創成いわての田村勝則であります。
まずもって、このたび国会において、今上陛下の譲位を可能にする特例法案が可決されました。御皇室を敬愛する国民の一人として、今後の円滑な御譲位を願うものであります。
また、秋篠宮家の眞子内親王殿下の御婚約内定についても報道されております。昨年の国体には、天皇、皇后両陛下、眞子内親王殿下を初め多くの皇族の方々が御来県されました。選手を初め、関係者県民ひとしく激励いただき、大成功の国体に花を添えていただきました。その感激は記憶に新しいところであり、ここに重ねてお喜び申し上げる次第であります。
それでは、質問に入ります。
まず初めに、岩手の幸福に関する指標についてお尋ねいたします。
日本人は地球上で最も幸福な民族の一つと著書に書き残したのは、明治期に5回日本を訪れておりますアメリカの天文学者パーシヴァル・ローウェルという方であります。そして、それを肯定したのがラフカディオ・ハーン、小泉八雲と言われております。私も、この国、この時代、この岩手に生まれてよかったと、心からそのように思っております。
近年、行政においても幸福感について論じられるようになりました。ブータンの元国王が掲げた国民総幸福量が大きな注目を集めたということもあるでしょう。
達増知事も、次期の総合計画に活用できる施策として、幸福に焦点を当てた考え方を打ち出しました。知事の考える幸福の3要素とは、一つ目が快楽、二つ目が満足、生活の質、三つ目が達成であるとし、この中で二つ目の満足、生活の質を公共政策の主軸として捉え、岩手なりの指標、例えばつながりといった観点なども重視し、県民満足度の水準を高めていきたいというものであります。
しかるに、研究会の調査結果を見ますと、複雑多岐にわたる作業を積み重ねたものとなっており、研究ですから当然と言われれば返す言葉もないところでありますが、わかりにくさをわかりやすさにという知事の思いとは逆行していないでしょうか。誰にでも理解しやすい工夫、多様な年齢層にも配慮した簡潔な指標でもいいのではというのが、私の率直な印象であります。
これまでの取り組みを進めてみて、知事はどのような実感をお持ちでしょうか。また、学生や一般の方を対象にしたワークショップを実施したようでありますが、その中で発表された私の幸福宣言の結果と、感想などもお聞かせいただければと存じます。
私は、幸福度あるいは満足度の下敷きとして、我が岩手を愛する心の醸成というものが大切ではなかろうかと考えております。知事の幸福宣言について、知事であればどのようなお言葉をお書きになるのかも含めてお尋ねいたします。
次に、外国資本による土地や森林買収の実態について伺います。
8年前、長崎県対馬市の不動産が韓国資本に買収されていることをきっかけに、外国資本による土地や森林の買収などの問題が報じられるようになりました。
そもそも我が国では、外国人の不動産買収についての法規制が整備されておらず、違法ではないわけでありますが、昨年から国会においても、看過できない重要課題として外国資本による不動産買収に対する規制強化の議論がなされております。
こうした中、北海道では住宅以外の太陽光発電所の数は、昨年7月現在、約4、500件、そのうち中国資本が関係していると見られるものが約50件に及んでいると言います。さらに驚くのは、北海道庁によると、平成28年の外国資本などによる北海道の森林買収は30件、509ヘクタール、前年比では取得件数で3倍、面積では約5倍に上ったことが新聞でも報じられておりました。記事には、釧路町のお寺の土地を時価の10倍の価格で買収に来る中国人の例なども取り上げておりましたが、紫波町でも、太陽光発電のための林地等が外国資本により買収されております。岩手も今や例外ではないということであります。
そこで、豊富な自然環境に恵まれたこの岩手を守り、乱開発を防ぐといった観点からも、こうした事態を深刻に受けとめ、可及的速やかに対処すべきと私は考えます。
本県における外国資本による土地や森林買収の状況を当局はどの程度把握しておられるのか、今後の対策も含め、現状と当局のお考えについてお伺いいたします。
次に、県北・沿岸振興について伺います。
県はこれまで、いわて県民計画に掲げた各広域振興圏の目指す将来像の実現に向けて努力しておられ、県北・沿岸振興策についても、第3期アクションプランやふるさと振興総合戦略に基づき鋭意取り組みを進めておられます。そこで、3点に絞ってお伺いいたします。
過日、当会派で茨城県の大子町に視察に行ってまいりました。我が国の漆文化を次代に継承するための活動を展開しているNPO法人麗潤館の矢崎孝子理事長を初め、役場の担当者にじかに話を聞き、互いの実情や課題についても忌憚なく披瀝し合い、極めて有意義な研修でありました。
茨城県は漆の産出量が岩手に継ぐ県であり、中でも大子町は、漆文化を未来にということで、さまざまな活動を展開している町であります。しかし、ここでも漆かき職人の高齢化、後継者不足など本県と同様の課題を抱えていることも改めて感じてまいりました。今、取り組みを進めなければ、日本の魂とも言われる漆文化は衰退、そして消滅する危機的状況にあることを痛感してまいったのであります。
過日の新聞には、盛岡の浄法寺漆産業、県産漆車内装部品にという見出しで、漆製品の企画制作などを手がける民間会社が、トヨタ自動車との連携による新たな商品開発に乗り出したことが報じられておりました。このような朗報は、大いに関係者や地域を元気づけるものであります。
しかし、我が国の漆生産量は、昭和24年の35トンをピークに減少し、国内での流通量の97%を中国産などの輸入に頼っているのが現状であります。本県の浄法寺漆も、関係者や地元自治体の努力で1トン前後を維持しているとはいえ、大きな産業に育つところまでには至っておりません。
このような状況を踏まえ、2月の定例会における我が会派の五日市王代表の質問に対し、県は、いわての漆産業新時代開拓事業による支援策として、生漆生産量の拡大、漆林の適正管理及び若手漆かき職人などによる保育作業の取り組み支援を掲げているのであります。
この取り組みを確実な成果につなげ、漆産業を岩手の希望産業に育て上げ、ジャパン、これは漆の国という意味もあると言われておりますが、ジャパンと言われる漆文化を岩手の誇りとして後世に継承していくべきものと考えます。ここは、ぜひ県北・沿岸振興本部長である千葉副知事のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
厚生労働省が実践型地域雇用創出事業に二戸地域雇用創造協議会が主体となって実施する雇用創出事業を採択したとの記事が、過般、掲載されておりました。そこで、雇用についてもお伺いいたします。
この事業によって、今後3年間で204人の雇用を創出するということでありますが、二戸管内の有効求人倍率は、4月現在1.01倍と県の1.42倍を大きく下回っていることから、このような雇用創出事業を進めることにより地域活性化も図られ、少子化対策にもなるものと期待されます。
県においても、この雇用創出事業と連携して、二戸地域の産業振興と雇用創出を進めていくべきと考えますが、御所見についてお伺いいたします。
また、県北・沿岸振興には観光振興も重要であります。この地域には多くの観光資源があります。世界遺産登録を目指している一戸町の御所野遺跡を初め、天台寺や、あまちゃんブームで盛り上がりを見せた久慈を初めとする三陸海岸。特に三陸海岸は、東日本大震災津波からの復興も踏まえた沿岸振興策の肝として、観光の掘り起こしを行う必要があります。
過日、自然保護議員連盟の一員として、サッパ船による海からの視察を行ってまいりました。改めて自然景観の魅力に触れ、この観光資源をより一層魅力あるものに育て上げたい、育て上げていくべきであると強く感じてきたところであります。
県は、三陸創造プロジェクトの目指す姿として、定住・交流人口の拡大による活力みなぎる地域づくりを掲げ、課題として、三陸DMOセンターと連携し、地域資源を生かしたコンテンツの磨き上げや魅力の発信など広域の観光地域づくりが必要との認識に立ち、三陸観光地域づくり推進事業費などを本年度の予算に計上しております。
ついては、実効性ある観光振興策を練り、積極的な取り組みが必要と考えますが、これまでの県北・沿岸地域への観光客の入り込み状況や、IGRいわて銀河鉄道及び三陸鉄道の観光分野における取り組み内容とあわせ、今後の県の対応をお伺いいたします。
北上川の洪水対策と県、沿川自治体との連携についてもお伺いいたします。
過般の報道によれば、国土交通省は近年の水害を教訓にして、今後の5年間で取り組む水害対策をまとめたとのことであります。地方自治体の行動計画、いわゆるタイムラインの作成、要配慮者利用施設での避難計画のモデルづくりなどに主眼を置いたものとなっているようでありますが、根本的な整備についても遅滞なく進めることも重要であります。
そこで、国土交通省が平成18年に立てた北上川水系河川整備基本方針についてでありますが、一関遊水地事業を除いた事業計画の進捗状況、今年度の事業内容と必要な予算の確保について、県は国からどのように示され、どう受けとめているのかお伺いいたします。
昨年、台風第10号が本県を直撃し、岩泉町を初め沿岸に甚大な被害をもたらしました。昨今の異常気象では、いつ北上川が氾濫しても不思議ではありません。そして、その規模も想定外の被害となることが懸念されております。盛岡市を初め、上流域の整備が着々と進展している状況下にあって、北上川の洪水対策のおくれを懸念するものであります。
岩手河川国道事務所の努力には敬意を表しつつも、関係自治体との連携を図りつつ、国に対し、事業の促進を強く働きかけるべきと考えますが、取り組みの現状についてお伺いをいたします。
次に、県産品の販売戦略の取り組みについて伺います。
岩手県産、11年ぶり赤字決算という見出しで報道がなされました。県産品を販売する岩手県産株式会社の株主総会が開かれ、前年度比11.8%減の51億1、400万円の売上高による営業損失は1、186万円、経常損失966万円、当期純損失1、002万円などの決算が承認されたとのことでありました。
赤字の要因として、物流費の増加、小売、物産展など事業の大幅な落ち込みということでありますが、本県の産業振興の面からも、県産品の販売戦略について適切なアドバイスも含めた対応をするべきと私は考えます。
そこで、いわて銀河プラザの売上状況、今後の県産品の販売戦略についてお伺いいたします。
トップセールスによる海外への販路拡大の取り組みについても伺います。
過日、議員連盟の一員として韓国を視察してまいりました。北東北3県と北海道が合同で運営しているソウル事務所と、本県の日本酒だけを取り扱っている韓国人経営の酒店の視察でありましたが、ソウル事務所では、本県の職員が意欲的に従事する姿、酒店では、高い関税にもくじけず、岩手の酒にこだわり、販売量をふやしている頑張りを目の当たりにしてまいりました。
そこで、知事にもぜひ韓国にも足を運び、県産品のPRに努めていただきたいと思うのでありますが、知事の取り組みについてもお伺いしたいと思います。
次に、教員の人材育成についてであります。
最近、古書店で手に入れた渡辺和子女史の本に、私が先生になったときという詩が載っています。一部を御紹介したいと思います。
私が先生になったとき 自分が真実から目をそむけて 子どもたちに 本当のことが語れるのか
私が先生になったとき 自分が未来から目をそむけて 子どもたちに 明日のことが語れるのか
私が先生になったとき 自分が理想を持たないで 子どもたちに いったいどんな夢が語れるのか
私が先生になったとき 自分に誇りを持たないで 子どもたちに 胸を張れと言えるのか
これは宮沢賢治の作とも、違うとも言われておりますが、この内容に私は深い感銘を覚えました。
高橋教育長は、頻発する教員の不祥事に対し、何度も頭を下げ、教職員の奮起を促しておられるのでありますが、残念なことに、軽微な事案も含め、たびたび報道されていることは寂しい限りであります。
その要因として、部活動などによる多忙化が問題視されております。私もそのことを否定するものではありません。働き方改革も必要でありましょう。しかし、一方で、多忙の中にあっても多くの教員は、教え、率いる、いわゆる教師としての誇りと使命感に燃えて頑張っていることも承知しております。
教員の人材育成についてでありますが、過日、紫波町のオガールエキスポにて、東京都足立区立渕江中学校、日笠智之先生の講演を聞く機会がありました。この先生は、生徒と全力で向き合い、バレーボール全日本中学選抜の監督としても活躍しておられ、その人間力、行動力で生徒たちを導き感化する姿に、現代にもこんな熱い先生がいるのかと心を揺さぶられてまいりました。まさしく教育は人なりであります。
これからの日本、岩手のために、教育の重要性は誰しもが認めるところであります。働き方改革と相まって、子供の心に明かりをともすこの先生のような人材育成をいかにして進めればいいのか、本県の教育を牽引する高橋教育長の手腕に期待するものであります。
これまでの数次にわたる対応を是としつつ、あえて教育長の目指す教員像、人材育成に対するお考えについてお伺いいたします。
スポーツによる地域活性化策についても伺います。
スポーツには世界と未来を変える力がある。これは3年後に開催される東京オリンピック・パラリンピックの大会ビジョンでありますが、昨年の国体は、選手、関係者のみならず、多くの県民に感動を与え、復興の原動力となりました。
今やスポーツは、各種大会や合宿の誘致など、交流人口の拡大によるまちづくりの上でも欠かせない要素であり、文化スポーツ部に対する期待は高まっていると思うのでありますが、地域振興の観点でどのように推進しようというお考えであるのか、知事のお考えをお伺いいたします。
今年度予算には、スポーツ振興戦略推進費として6、200万円が計上されています。この予算は、スポーツを通じた地域振興に取り組むとともに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた機運の醸成を図るため計上されたものと承知しておりますが、その具体的な施策についても伺います。
最後に、高齢者、障がい者に配慮した快適環境の整備について伺います。
広い県土を有する本県の場合、御高齢の方々や障がいのある方々が快適に暮らす環境づくりは、これからもますます重要となると存じます。そうした中、高齢者による交通事故なども頻発しており、喫緊の対策が望まれております。既に予算化されております交通安全対策には今後もしっかりと取り組んでいただきたい、そのように思うわけでありますが、さらに、中央幹線におけるJR主要駅などのバリアフリー対策も、必要かつ重要な施策として取り組むべきと考えます。
そのような対策について、当局はJRとの協議も含め、どのようなお考えをお持ちか、当局の取り組みについてお伺いをし、私の一般質問を終わります。
なお、答弁によりましては再質問をさせていただきますことを申し上げ、終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村勝則議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、岩手の幸福に関する指標についてでありますが、県民の幸せのための県政を一層推進することが重要との考えから、幸福に関する指標の次期総合計画への導入を検討しておりまして、専門的な知見を有する有識者から幅広く意見を聞くため、昨年4月、岩手の幸福に関する指標研究会を設置して議論を重ねているところでございます。
研究会では、これまで、幸福に関連する仕事、収入、居住環境、安全、余暇、健康、子育て、教育、家族、コミュニティー、歴史・文化、自然環境と、12の領域を体系的に整理していただいておりまして、大変参考になるものと考えていますが、今後、総合計画審議会での御議論も踏まえながら、次期総合計画にできるだけわかりやすく導入してまいりたいと思います。
研究会が学生等を対象に試行的に開催したワークショップでは、誰の幸福を高めるために何をするのかを幸福宣言として参加者から発表していただきましたが、参加者自身の幸福のほか、家族や地域の幸福に向けた宣言もあったと聞いており、自分や社会の幸福について考えるきっかけになっているものと感じました。
私の個人的な幸福宣言を述べさせていただきますと、岩手県民と岩手にかかわる全ての人の幸福を高めるために、県民とともに、次期総合計画を策定するとさせていただきたいと思います。
次に、知事のトップセールスについてでありますが、韓国への農林水産物、食品の輸出は、東日本大震災津波以降、韓国側の輸入規制によって水産物の輸入が全面禁止された影響で大きく落ち込み、震災前の水準まで回復していない状況であります。
一方、韓国への岩手の酒の輸出は、震災後も堅調に推移していますことから高い評価を受けているものと認識しておりまして、輸入業者等のバイヤー招聘やソウル事務所による積極的なPRに加え、日本酒を牽引役として、幅広く県産品の販路拡大につながるよう取り組んでいるところであります。
トップセールスにつきましては、今後の状況に応じて考えていきたいと思いますが、今年度におきましては、これらの取り組みに加えて、新たにソウル事務所が4道県合同で開催する商談会におきまして、岩手の酒を中心に、県産品を総合的にPRすることとしているところでございます。
次に、スポーツによる地域活性化策についてでありますが、地域が有するスポーツ資源を生かし、これらを通じて地域活性化を推進する取り組みは大変重要であり、県内においても、キャンプやスポーツ大会、オガールのバレーボール専用体育館を活用した合宿などの誘致、また、その担い手となるスポーツコミッションの設立など、さまざまな活動等が行われています。
現在、県内5市町がラグビーワールドカップの公認チームキャンプ地の誘致を目指しており、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けては、盛岡市がカナダのホストタウンに登録され、花巻市がボート競技日本代表チームの事前キャンプ地に決定されました。
また、平成23年に、はなまきスポーツコンベンションビューローが、本年3月には、盛岡広域スポーツコミッションとスポーツリンク北上が設立され、本年8月に開催される全国ママさんバレーボール大会を初め、さまざまな大会、合宿等の誘致を実現しています。
一方、多くの市町村からは、地域が有するスポーツ資源に関する効果的なプロモーションや、誘致を目指す大会やチームに関する詳細な情報の収集などの取り組みを全県一丸となって進めるよう、強く期待する声が寄せられています。
このため、県では、本年秋を目途に、市町村、競技関係団体、トップスポーツチームなどと連携していわてスポーツコミッションを設立することとしておりまして、このコミッションが中心となって、多様なスポーツ資源や、夏でも冷涼な気候を生かし、市町村のホストタウン登録や事前キャンプ誘致を支援しますほか、大規模な大会やスポーツ関連イベント、合宿の誘致などに積極的に取り組んで、交流人口の拡大による地域活性化を力強く推進してまいります。
その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 漆産業と漆文化の継承についてでございますけれども、近年、国宝や重要文化財の修繕などで国産漆の需要が高まってきていることなどを背景といたしまして、国内随一の産地であります二戸市などにおきまして、漆の生産拡大や漆かき職人の育成などの取り組みが進められてきているところでございます。
このような状況を踏まえまして、ことし5月に、県や漆ゆかりの市及び町、漆生産組合、漆器協同組合などを構成員といたしますいわて漆振興実務者連携会議を立ち上げ、国内の漆関連産業の一大産地形成を目指し、オール岩手で漆生産の一層の拡大や産業化、漆器を初めとする漆製品の新たな展開や高付加価値化などに取り組むこととしたところでございます。
この連携体制の中で、県といたしましては、初年度であります本年度、特に漆文化の再認識、再評価と国内外への情報発信に重点的に取り組むこととしておりまして、具体的には、ことし10月に、県内の漆産地訪問ツアーによります漆職人の方々との交流会を実施し、また、11月には、日本を代表する漆芸作家が出席するシンポジウムを開催いたしますほか、漆文化を後世に継承していくため、歴史的背景や漆かき、文化財の修復などを紹介する映像コンテンツを制作することとしております。
このような取り組みを通じまして、本県ならではの漆文化を背景として、生漆の生産から漆製品の製造販売まで一貫して対応する国内漆関連産業の産地形成を目指し、市町村、関係団体と一体となって取り組んでまいります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 外国資本による土地や森林買収の実態についてでありますが、県では、国土利用計画法に基づき、一定面積以上の土地取引について届け出を受け、その状況を把握しております。
また、森林の土地取引に関しては、国土利用計画法による届け出対象面積未満のものにつきましても、地域森林計画の対象となっている民有林を新たに取得した場合は、森林法により、市町村に届け出ることとなっております。このうち、外国資本による土地の買収ではないかと思われる事例につきましては、平成25年度以降で8件確認されておりまして、いずれも太陽光発電事業を目的としているものでございます。
土地の買収に関しましては、特に水源地域の保全が県民生活上重要であると考えられますことから、県内の6市町で水道水源の保護を目的とする条例を制定し、工作物の工事実施前の届け出、排水や地下水採取の規制、協定の締結等を実施しているところであります。
なお、現在のところ、県内では、水源地域買収の具体的な動きは見られませんが、引き続き、関係部署と連携して情報収集に努めていくほか、その他の土地取引につきましても、関係法令に基づき適切に監視してまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、雇用創出事業についてでありますが、このたびの実践型地域雇用創造事業は、雇用機会が不足している地域の自発的な雇用創造の取り組みを支援するものであり、地域が提案した雇用対策に係る事業構想の中から、雇用創造効果が高いと認められるものや、波及的に地域の雇用機会を増大させる効果が高く、地域の産業及び経済の活性化等に資すると認められるものを国が採択する事業でありまして、県といたしましては、各市町村と連携し、二戸地域に平成23年度から同事業を継続的に導入を図ってきているところでございまして、地域一体となった雇用創出の取り組みを展開してきているものであります。
今回採択されました事業は、事業主向けの労働力不足の課題解決に向けた取り組みや求職者向けの人材育成の取り組み、観光資源を生かしたモデル旅行商品開発などで構成されておりまして、3年間事業を展開するものであります。
この事業の展開に当たっては、二戸市長が会長を務め、各町村及び関係団体で構成する二戸地域雇用創造協議会が主体となりまして、特に二戸地域の強みである農畜産物などの食、漆などの伝統産業、アパレルなどの繊維製造業、御所野遺跡などの観光業のさらなる振興によりまして、本事業の効果的な実施及び雇用拡大の目標達成に向け取り組んでいくこととしておりまして、県としましても、しっかりと支援していくこととしております。
次に、観光振興についてでありますが、県北・沿岸地域の観光入り込み客数は、東日本大震災津波前の平成22年と平成28年の比較では、県北地域は98.5%、沿岸地域は66.6%となっておりまして、震災の影響による落ち込みからの回復途上にあると認識しているところであります。
このため、県内外における観光PRイベントへの出展、ネクスコや東北各県と連携した広域的な観光PRに加え、北海道新幹線の開業や宮古-室蘭間のフェリーの就航等を見据えての北海道からの誘客を目指した情報発信などにも取り組んできたところでございます。
また、これまでの内陸と沿岸をつなぐバスツアーの運行支援に加えまして、今年度からは、県内に宿泊し沿岸地域や二つの世界遺産、御所野遺跡などを周遊するバスツアーも新たに支援対象とするなど、県内周遊の促進による県北・沿岸地域への誘客拡大を図ってきております。
さらに、いわて銀河鉄道や三陸鉄道におきましても、沿岸の観光資源と鉄道を組み合わせた旅行商品の造成や観光、イベント列車の運行を行うなど、県の施策と連携した誘客拡大の取り組みを進めているところでございます。
今後におきましても、三陸DMOセンターを初め、市町村や地域の関係者とも連携を図りながら、県北・沿岸地域のすぐれた観光資源と特徴ある食文化や伝統芸能、さらには、観光資源としての鉄道なども組み合わせました滞在、周遊型の旅行商品の造成を促進するなど、誘客の拡大を図っていく考えであります。
次に、県産品の販売戦略の取り組みについてでありますが、まず、いわて銀河プラザの平成28年度の売り上げは5億3、800万円余となっておりまして、前年度に比較して41.9%の減少となったところでございます。
これは、御案内のとおりでございますが、前年度の平成27年度は、国の交付金を活用したいわゆるふるさと割の効果により、過去最高となる9億2、500万円余の売り上げがあったものでございまして、それによる消費の前倒しにつながったと考えられること、また、昨年は、台風第10号での被害による売れ筋商品の供給停止などが影響したものと考えております。
最近の動向としましては、高額の伝統工芸品の需要が一段落して伸び悩んでいるほか、全国の地域産品との販売競争の激化や、ネット通販により卸売、小売が介在しない直接流通が拡大するなど厳しい環境にありますが、岩手県産株式会社では、サヴァ缶シリーズなどのプライベートブランド商品の展開によりまして取引先の新規開拓に努め、収益改善を図っているところでございます。
今後におきましては、ラグビーワールドカップ2019や東京オリンピック・パラリンピックを好機と捉えまして、商品の高付加価値化やブランド化を一層進めるとともに、国内消費が落ち込む中で、海外の販路開拓についても取り組みを進めていく必要があると考えております。このため、岩手県産株式会社の海外部門体制を充実させ、県産品の輸出力強化を図るなど、同社と一層連携の上、アンテナショップはもとより、国内外での商談会や物産展等を展開しながら、さらなる販路拡大を図っていくこととしております。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、北上川の洪水対策についてでありますが、国からは、一関遊水地を除いた北上川の洪水対策にかかわる今年度の当初予算は約10億円でありまして、この中で、紫波町日詰地区での埋蔵文化財調査や用地取得、堤防の整備、また、一関市曲田地区での堤防整備などを進めていくと伺っております。
北上川などの県内の国管理河川の整備率、これは平成28年度末でおおむね5割でございまして、無堤地区等、整備の必要な箇所がまだ多く存在することから、県としては一層の整備促進が必要であると考えております。
次に、県と沿川自治体との連携についてでありますが、今後の水防災対策のあり方としては、引き続き治水設備の整備を進めるとともに、気象変動の影響による災害等の激甚化を踏まえ、施設の能力を超える洪水は発生するという認識のもと、ハード、ソフトを総動員して被害を防ぎ、軽減するための取り組みが必要であると考えております。
去る6月27日に開催しました北上川上流洪水減災対策協議会では、堤防などのハード整備と水位周知河川の指定やタイムラインの運用などのソフト対策を組み合わせた総合的な減災対策について、国、県及び沿川全ての市町が連携、協力して進めていくことを確認しました。
なお、堤防などのハード整備については、洪水から県民の生命、財産を守り、県土を保全するために着実に進めていく必要があると考えておりまして、平成30年度の政府予算編成に当たっての提言、要望においても、その予算の確保や一層の拡充を国に要望したところであります。
今後とも、市町と連携を図りながら、事業の促進について、引き続き国に強く働きかけてまいります。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) スポーツ振興戦略推進費の具体的な施策についてでありますが、先ほど知事が答弁いたしましたとおり、いわてスポーツコミッションを設立するほか、希望郷いわて国体・いわて大会のレガシーを未来へつなげることを目的に開催する国体・大会1周年記念事業の一環といたしまして、トップアスリートによるトークショーなどを行う、これは仮称でございますけれども、スポーツフェスティバル2017を開催いたします。
次に、本県を本拠地とするトップスポーツチームと連携し、スポーツを通じた地域の盛り上がりや、県民のスポーツに対する機運の醸成に向けて子供たちを試合に招待するほか、スポーツ教室や高齢者を対象とした運動教室などを開催いたします。
また、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けまして、県内でも大会会場と同様の盛り上がりが図られるよう、東京都などと連携をいたしまして、パブリックビューイングなどの機運醸成イベントを開催いたします。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) JR主要駅のバリアフリー対策についてでございますけれども、バリアフリー対策の推進は、高齢者や障がいを持つ方々の移動や施設利用の利便性と安全性の向上を図るために極めて重要でございまして、安全・安心な県民生活を確保するためにも必要な取り組みと認識しております。
特に、多くの方々が利用する交通結節点であるJR主要駅に関しましては、段差の解消や転落防止設備、誘導用ブロックの整備などの移動円滑化の取り組みを進めることは重要な課題でございまして、県といたしましては、その一環として、JRが行う在来線駅のエレベーターやエスカレーターの設置などに対しまして、市町村と連携して整備費を補助するなどのバリアフリー化を支援しているところでございます。
国では、1日当たりの平均利用者数が3、000人以上の鉄道駅につきまして、原則として、平成32年度までに全てバリアフリー化を促進する方針でございまして、県といたしましては、この方針も踏まえつつ、引き続き市町村と連携しながら、JRによるバリアフリー対策を支援してまいりたいと考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 目指すべき教員像と人材育成についてでありますが、教育には、子供たちのあしたをつくり、岩手の地域地域や日本の未来をつくる大きな役割があり、その中核を担う教員には、子供たちに変容する社会を生き抜いていくための確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランスよく身につけてもらうための教育的力量に加え、子供たち一人一人に真っすぐに向き合うことのできる情熱や愛情、そして、豊かな人間性が備わっていることが求められていると考えております。
このような考えに立って、教員の採用に当たりましては、より有為な人材を確保するため、選考試験において多面的な人物評価を行っているところであり、採用後においては、教員のライフステージに応じた教員研修体系のもとに指導力の育成に取り組むとともに、各学校におけるOJTなどを通じて、教育現場に即した実践的な資質の向上などにも取り組んでいるところであります。
本年度におきましては、教員養成課程を有する県内大学等と連携し、改正教育公務員特例法に基づく新たな教員の資質の向上に関する指標を年度内に定めることといたしております。
岩手の教育は、日々情熱と使命感を持って授業づくりや生徒指導、課外活動などに取り組んでいる多くの教職員によって支えられておりますので、教職員の勤務環境の改善や士気高揚策の推進にも努めながら、今後、なお一層の人材育成に取り組んでまいります。
〇11番(田村勝則君) 2点ほど質問をさせていただきます。
まず漆文化、岩手の漆産業を希望産業に育て上げたいということで私は申し上げたわけでありますが、漆というのは、勉強すればするほど、日本の国柄、そして岩手にとっても、重要な産業に育てる要素があるのではないかということを非常に私は感じております。
過去には、1人の漆職人が2、000本ぐらいかかわらないと、生活として成り立たないということもあったようでありますが、現在、そのような本数を確保するのは、当然、今の状況にあっては厳しい状況であると思いますが、現在、どの程度の漆の木があるかということをまずお伺いしたいと思いますし、浄法寺にかかわらず、将来的に漆の木をふやしていくということが大切であると思いますが、その点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
漆の木というのは、線を入れると、その年に最高の花を咲かせるのだそうです、次の自分の子孫を残すために。そして、人里から離れたところでは育たない木とも言われて、人を恋する木というふうにも言われるそうであります。そういうものを学ばせていただく中で、本当にこれは岩手の産業として育てていくべきであるということを私は申し上げたいと思いますので、改めて、取り組みの覚悟といいますか、そのような思いをお聞かせいただければと思います。
北上川のことでございますが、かつて、後白河法皇でしたか、賀茂河の水、双六の賽、山法師、我が意にならぬものに三つ挙げておりました。我が岩手にとりましては、やはり北上川の氾濫を初めとする天災というものも、なかなか思うようにまいりません。そこで、事前にいろいろな対策を講じていかなければいけないと私は強く思っているわけであります。
北上川の沿川は、実は私たちに肥沃な水を与えてくださり、そしてまた、稲作を初めとする産業の振興にも大きな力を果たしてきたわけでありますが、一方では大きな氾濫を、時として一関遊水地事業のもとになった大きな被害も与えてきた、そういう歴史があります。
さらに、もっとさかのぼっていけば、やはり住民の方々がそこで生活を営む、そのような大きなあかしも残されております。その大きなあかしが、平泉の遺跡にもかかわっているわけでありますし、柳之御所遺跡、紫波町には、紫波南大橋の南側のあたりにかなりのそういう遺跡もあったのではなかろうかと。埋蔵文化財も想定されているところでございます。
そういうものを損失しないためにも、県として、ぜひ積極的にかかわりを持って調査を進め、北上川の整備を進めることと相まって、そのような事業にも取り組んでいただきたいと考えております。
この2点についてお伺いをして、私の再質問を終わります。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 漆産業の関係についての御質問でございます。大きく、人材育成といわゆる生産量の確保等についての取り組みということでございまして、まずもって、先ほど副知事から御答弁させていただきましたとおり、全県下の漆関係市町村及び団体等で組織する全県での取り組みの体制を整えたところでございます。その体制の中には、当然ながら生産部分、要するに農林水産部分と人材育成していく商工、産業等の林業も含めた人材育成の部分等もしっかりとその体制に組み込んで、まさに全県的な取り組みとして展開していくこととしております。
国では、国宝の修復等で約2トンの年間消費量が必要だという一つの物差しを出しておりますが、それに対応する人材及び資源量につきましても、人材でいいますと40人程度が必要となろう、あるいは生産材である漆の原木等でいいますと20万本を超える木が必要となってくるという途方もない物差しのスケールでこれからの取り組みを進めていくこととなっておりまして、まさに覚悟を持って、オール岩手で、全県の関係者一丸となって取り組んでいく事業であると認識しております。
〇教育長(高橋嘉行君) 埋蔵文化財包蔵地の関係でございますけれども、議員御案内のとおり、北上川流域にはさまざまな遺跡がございます。議員の地元であります紫波町内について申し上げますと、北条館遺跡、北日詰城内1遺跡、南日詰大銀2遺跡の3遺跡に関し埋蔵文化財があると承知いたしておりまして、国土交通省岩手河川国道事務所から、今後の対応についての協議が昨年9月にございました。
教育委員会といたしましては、これらの遺跡につきまして、本年4月に試掘調査を実施したところではありますけれども、その結果、遺構、遺物が確認されておりますので、岩手河川国道事務所に対し、発掘調査が必要であるというように回答いたしております。
いずれ、この公共事業を確実に、計画的に推進していくことは極めて大事でございますので、岩手河川国道事務所等と十分な連携のもとに、順次発掘調査を行うこと等を含め、適切に対応していきたいと考えております。
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時9分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時28分 再 開
〇議長(田村誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木努君。
〔15番佐々木努君登壇〕(拍手)

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