平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇47番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝です。
久方ぶりの一般質問となりましたが、県当局においては、県民にわかりやすい答弁を願うものであります。
さて、達増県政になり10年余りとなりましたが、この間、国内外の社会経済情勢に大きな変化が見られているところであります。国内においては、安倍政権のアベノミクスによる3本の矢、すなわち、機動的な財政出動、大胆な金融政策、成長戦略を推し進めることによりデフレや円高から脱し、経済の好循環を実現することが目標とされ、さまざまな指摘もありますが、一定の成果を上げているものと評価するものであります。
こうした中、今、岩手の置かれている状況を思うとき、国内外の変動する世の中にあって、発災から6年以上が経過した東日本大震災津波、昨年8月の台風第10号被害の復旧、復興への取り組みは喫緊の課題であり、広い県土を抱える本県全体のバランスを考慮しながら、経済、産業、雇用対策や保健、医療、福祉対策など県民福祉の向上に向けたあらゆる施策を展開し、県民が安全で安心して暮らせる地域、岩手県をつくり上げていくには、県民の求める施策を重点的かつ効率的に展開する必要があります。
そのためには、私ども県議会議員は、各選挙区から選ばれた地域の代表であると同時に、県政全般のあり方を監視するなど、県の進める施策を評価し、また、新たな施策の提言を行うことが使命であり、一方、県民から選ばれた知事は、岩手県のトップリーダーとして、岩手県のあるべき姿を追求し実現する立場にあり、その一挙手一投足が注目され、その意味で最も重責を担う政治家でもあり、知事の使命は極めて重要であることは言うまでもありません。
そこで、知事の県政を進める上での政治姿勢等について数点伺います。
まず第1に、私が過去何度か伺ったことでもありますが、改めてお尋ねいたします。知事は、前回の知事選あるいは昨年7月に行われた参議院議員選挙において、民進党、共産党、社民党、生活の党と共闘の立場でマイクを握って特定の候補者を応援したところでありますが、このことは、知事の言うどの政党にも所属せず、県民本位の県民党的立場で県政を推進すると述べていることと矛盾するのではないでしょうか。また、平成29年2月定例会予算特別委員会における我が会派の岩崎友一議員の質疑において、知事の政務秘書に小沢一郎衆議院議員の公設秘書を起用することは、特定政党との結びつきが強く、結果として特定政党に偏り、知事の言う県民党的立場とは整合性がとれないのではないかとの指摘があったなど、議員から知事の政治姿勢、知事の言動への疑問が少なからず述べられたところであります。
私は、知事は、県民のトップとして、特定政党に偏らず、県民のほうをしっかりと向いて真の県民党的立場で県政のかじ取りをすべきと考えますが、知事の考えを改めてお伺いいたします。
次に、次期知事選について伺います。
2年余り先に知事や県議会議員の改選期を迎えますが、知事は、10年前の知事選において2期8年という公約を掲げて当選したにもかかわらず、その公約を破って現在3期目を続けています。次期知事選に向け、4期目を目指していると仄聞しますが、知事自身の現在の心境を伺います。
次に、国政との関係について伺います。
今の知事は、何を考え、県民をどの方向に導いていこうとしているのかわかりにくい、あるいは、リーダーシップが足りないのではないかといった県民の声を聞くところであります。また、いたずらに外交を含めた国政マターについての自説を申し述べる、そうした知事の言動によっては国政との隔たりが大きくなり、例えばILC誘致など国家的事業や国の支援を必要とする事業を推進する上で大きな影響があるのではといった懸念の声を多く耳にするところですが、このことを知事はどう考えているのかお伺いします。
次に、政治姿勢とは異なる内容でありますが、行政の長としての知事の対応についてお尋ねいたします。
県の出資法人であるIGR─いわて銀河鉄道株式会社についてですが、当該法人は、県が50%以上を出資している唯一の事業会社であります。先般、このIGRの観光事業部門において複数年にわたる売上金着服事案が明らかになりました。さらには、平成28年度決算において、3月に発表した黒字決算見通しから一転して大幅な赤字決算に突然変更となりました。しかもその理由は減価償却の計上間違いといった初歩的なミスであり、資本金5億円を超え、ましてや岩手県を含めた周辺市町村がその大半を出資している極めて公共性の高い第三セクターの企業としてはあるまじき事態が発生したわけであります。特に減価償却については、昨年度決算まではきっちり会計規則にのっとって行っていたにもかかわらず、平成28年度だけが間違ったとの説明であります。そのことを見逃したのであれば代表取締役を含めた役員の責任は重大であり、もし意図的な判断があったとすれば、粉飾決算ともとられかねない極めて不適切な対応と言わねばなりません。いずれ議会で再三指摘されているように、関連事業の部門別の収支報告も明らかにしないなど、着服事案といい決算の訂正事案といい、その根本的な原因を追究し、再発を防止しようとする強い意欲は、IGR、県当局のこれまでの姿勢に感じられないところであります。
そこでお尋ねいたします。54%以上出資している筆頭株主である行政の長として、こうした不適切な経営をしている社長を選任した取締役としての立場も踏まえ、知事はこの問題をどのように捉え、どう対応しようとしているのかお伺いいたします。
次に、県政の今後の方向性について伺います。
達増知事就任後の国内外の情勢変化については冒頭に述べたところでありますが、本県においては、若年層を中心に転出者が転入者を上回る状況が続き、人口減少対策が大きな課題となっているほか、医師不足や地域偏在への対応、岩手競馬の経営再建など、本県においてさまざまな危機が顕在化し、大きな逆風に見舞われている状況にありました。そうした状況の中、平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波は、かけがえのない数多くの人命を奪い、太平洋沿岸を中心に甚大な被害を与え、復興に向けた懸命な取り組みが今なお続けられています。さらに、昨年8月に本県及び北海道地方を襲った台風第10号によってもとうとい人命が奪われ、宮古市、久慈市、岩泉町を中心に生活インフラや農林水産業、商工業等、地域の社会経済に甚大な被害が生ずるなど、知事就任以来の10年は、大規模な自然災害やさまざまな社会経済的な危機に直面し、その対応に取り組んでこられたものと承知しております。
一方、昨年、本県において被災地で初めて開催された希望郷いわて国体、希望郷いわて大会では、本県は輝かしい成果を上げ、また、両大会を通じて、東日本大震災津波及び台風第10号からの復旧、復興に全国から寄せられた復興への御支援に対する感謝や、復興に励む本県の姿を伝えることができました。
私の住む岩手町においても、とりわけホッケー競技は町技と捉え、小、中、高校、家庭婦人、社会人など多くのチームが町内外で活躍し、数多くの優秀な成績を上げておりますが、今回の岩手国体においては、北緯40度の町、北上川源泉の町、ホッケーの町、安全・安心な農畜産物を生産する町として、全国から多くの選手や関係者を迎え、ホッケーとゴルフ競技の開催を通じて地域への誇りや自信をさらに深めることができ、今後の地域の振興につながっていくものと期待しております。
このような中、県においては、平成30年度には、計画期間を平成21年度からの10年間とするいわて県民計画と平成23年度からの8年間とする復興計画がそれぞれ計画の最終年度を迎えることとなります。今年度と来年度は両計画に基づく取り組みの総仕上げを行うとともに、これまでの10年間の県政の実績と課題を踏まえ、その先の10年を見据えた県政の方向性について幅広い議論を行っていくことが重要と考えるものであります。
そこでお伺いします。今後10年の本県のあるべき姿と、そのために取り組むべき施策の方向性について知事のお考えをお聞かせ願います。また、次の10年の岩手を描く中で、盛岡以北の地域振興、特に盛岡広域振興局管内北部の地域振興についてどのようなビジョンをお持ちかあわせてお伺いします。
次に、災害からの復興について伺います。
まず、東日本大震災津波からの復興についてでありますが、知事は、第2期復興実施計画を総括して、進捗率が80%以上である指標が8割となっていることから、被災地の復興はおおむね順調であるとしています。しかしながら、いまだに1万1、000人を超える方々が応急仮設住宅等での不自由な暮らしを余儀なくされていること、また、大船渡市や陸前高田市に大型商業施設が完成しましたが、小規模小売業者の再建も道半ばとなっており、昨年度を復興完遂年とした知事の言葉自体に疑問を感ずるところであります。
〔議長退席、副議長着席〕
今後において、知事は、第3期復興実施計画をさらなる展開への連結期間と位置づけ、復興の先も見据えた地域振興にも取り組むとしていますが、このような被災地の現状を踏まえ、次の2年間をどのような見通しを持って取り組むのか知事のお考えをお伺いします。
次に、昨年の台風第10号からの復旧、復興について伺います。
我が自由民主クラブ会派においては、これまで何度か視察調査しておりますが、直近では先月9日に被災後の現状把握のため現地調査を行ったところであります。昨年の台風第10号による豪雨は、沿岸地域を中心に道路や河川などの公共土木施設について県内の豪雨災害では過去最大となる1、891カ所、443億円の被害をもたらしたところであり、被災地の生活再建や産業の再生のため一刻も早い復旧が必要であると思いますが、県や市町村における公共土木施設の災害復旧工事の進捗状況についてお伺いします。
また、災害復旧工事は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法により被災年を含め原則3年間で実施することとなっていますが、被災から既に約1年が経過し、ようやく国による災害査定が終了したという状況にあります。そのような中、被害が大きかった自治体からは、これから残り2年間での復旧はかなり難しいとの声も聞こえてきており、被災した自治体の災害復旧工事について県はどのような支援を検討しているのかお伺いいたします。
さらに、現場においては被害の規模も多様で工事箇所も広範囲に及んでいるほか、東日本大震災津波からの復興に取り組む沿岸地域においては発注者のマンパワー不足や受注者の技術者不足などが課題となっており、台風第10号の災害復旧工事についても、発注のおくれや入札不調の発生などが懸念される状況にあると聞いております。これらの状況を改善するため、多くの工事をある程度まとめて発注するなど、被災地の現状に即した柔軟な発注方式の工夫ができないのかお伺いいたします。
次に、畜産振興について伺います。
本県の平成27年の農業産出額を見ると、総額2、494億円のうち畜産が約6割、米と園芸がそれぞれ約2割で、畜産の占める割合が大きく、本県農業の基幹部門となっており、また、牛乳、食肉等の関連産業での雇用創出など、地域経済全体にとっても大きな役割を果たしております。さらに、畜産部門の内訳を見ると鶏が約5割を占め、残りが豚、乳用牛、肉用牛となっており、畜産岩手の主役は鶏となっておりますが、こうした中、肉用牛、乳用牛の大家畜は飼養戸数、頭数が減少しており、伝統とも言えるかつての畜産県岩手が脆弱化の状況にあると言わざるを得ません。大家畜の振興に向けてしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。
農林水産省が昨年7月に公表した2016年の畜産統計によれば、乳用、肉用牛の飼養戸数の減少率は依然4%台であり、飼養頭数は特に乳用牛で前年比1.9%減少しているが、これは肉用子牛の価格高騰により交雑種、いわゆるF1の生産が上昇していることも一つの要因となっており、乳用後継牛の確保が大きな課題となっております。また、肉用牛の飼養戸数は前年比4.6%の減、過去5年間で20.4%が減少し、飼養頭数は0.4%減となり、飼養戸数、頭数とも減少に歯どめがかからず、生産基盤の弱体化が進んでいる現状が改めて浮き彫りとなったところでありますが、畜産は農業の基幹分野であり、地域経済、社会の維持発展に欠かすことができない産業であります。ただ、営農継続には、設備投資や飼養者の高齢化、後継者不足などの課題がある中、持続可能な畜産の確立に向け、国全体で担い手の育成、確保と畜産経営に対するサポート体制の強化を急ぐ必要があると考えます。
一方、本県においても、酪農では飼養戸数、飼養頭数が年々減少していることから、本県の強みである豊富な草地資源を活用した経営規模の拡大や1頭当たりの乳量を向上させるなど生乳生産量を増加させ、酪農経営の収益力向上を図る必要があると考えます。また、肉用牛繁殖経営では、小規模な経営体を中心に高齢化や後継者不足から離農が拡大している中、肉用子牛の価格高騰は、繁殖農家を潤す一方、肥育経営を圧迫する状況が生じているほか、高値で売れる今がやめどきとの農家の声も聞かれるところであります。
こうした状況を踏まえ、国においては、畜産、酪農の収益力、生産基盤の強化を集中的に進めるなど、地域ぐるみで収益性を向上させる取り組みを推進していますが、本県における酪農、肉用牛の生産基盤の強化に向けどのように取り組んでいくのかお伺いします。
また、肉用牛生産者の経営安定と生産意欲を高めるためには、消費者等から品質の高さなどが評価され、安定的に取引されるブランド牛を育成することが重要であり、本県のいわて牛についても、さらなるブランド化が必要であると考えます。
全国には、松阪牛、神戸ビーフなど有名なブランド牛があり、国内外においても高く評価されていますが、それらブランド牛と比較すると、いわて牛の認知度はなかなか向上しない状況にあります。
畜産県岩手を復活させ、県内の畜産農家を元気づけるためには、関係機関、団体が一体となって、県内外の消費地において、さらなる販売促進活動やPR活動を展開し、いわて牛のブランド化を図る必要があると考えますが、今後の取り組み方針についてお伺いします。
次に、馬事振興について伺います。
本県は、古くから日本有数の馬産地であり、県内各地には多様な馬事文化が培われてきました。初夏の風物詩と言われるチャグチャグ馬コは、日ごろ重労働を課せられる馬たちをねぎらうとともに、人馬の無病息災を願い、お参りをしたことが始まりとされており、馬産地岩手の文化と愛馬精神を伝える伝統行事であります。
私は、岩手県馬事振興会会長の立場で、ほぼ毎年、馬に乗って参加しておりますが、ことしのチャグチャグ馬コは、あいにくの雨天であったにもかかわらず、沿道の地域住民や観光客から多くの声援を送られながら、無事に終了したところであります。
しかしながら、近年、本県の農用馬の飼養頭数は大幅に減少し、参加頭数も減少していることから、農用馬の飼育頭数確保に向け、県、市町、民間の関係者が連携した取り組みを今やらなければ、伝統行事のチャグチャグ馬コを初め、今後における馬事文化の継承が案じられるところであります。
そこで、農用馬の飼養頭数の確保に向け、県としてどのように取り組んでいくのか、また、馬事文化を観光資源として、誘客を図るために今年度から実施する馬事文化プロモーション推進事業にどのように取り組んでいるのかお伺いします。
次に、獣医師の確保対策について伺います。
先ごろの国会では、学校法人加計学園の獣医学部新設手続をめぐって、さまざま議論が交わされたところであり、私も獣医師の一人として、大きな関心を持って注視しているところであります。
問題の本質は、加戸前愛媛県知事によれば、愛媛県では、感染症対策などに当たる公務員獣医師不足が大きな悩みとなっており、全国各地で発生した鳥インフルエンザなど感染症への防疫対策で現場が悲鳴を上げていたとし、誘致する大学はどこでもよく、事の本質は、愛媛県が感染症対策を進める中で、四国において獣医師が不足していることだと述べております。
私の所属する日本獣医師会では、毎年約1、000人が獣医大学を卒業していますが、現在の就職状況を考慮すると、これ以上定員をふやす必要はないという考え方を踏襲していることも事実であります。また、需要がない学部の新設は不要だとの主張もありますが、その主張は、一方的過ぎるのではないかという意見もあります。
農林水産省によると、2016年の獣医学校卒業生1、021人中、公務員には169人、率にして17%であり、ペット診療の425人、42%の半分以下となっており、また、マスコミの調査報告によれば、2016年度における公務員獣医師の採用について、7割以上の都道府県で募集定員を確保できなかったということであります。
安倍総理大臣は、国会の質疑の中で、鳥インフルエンザや口蹄疫などの感染症が発生し、公務員獣医師も必要だ、地域も偏在していると述べております。
私は獣医師の立場から、獣医師のペット診療への就職が多く、公務員獣医師や産業動物診療に従事する獣医師が少ないという、いわば人の医者と同様に、就職先や不足している地域が偏在している状況を十分考慮した上で、獣医学部新設の必要性を冷静に議論し、行政手続の透明性や公正性をしっかり確保しながら進めることが重要と考えているところであります。
こうしたことを踏まえた上で、本県の獣医師の現状がどのようになっているのか、また、県の獣医師の確保状況とこれまでの取り組み、課題、今後の対策についてお伺いします。
次に、国際リニアコライダー、略称ILCについて伺います。
ILCは、宇宙の謎、時空の謎に挑む知のフロンティア拠点であると同時に、世界の頭脳が結集し、最新の研究成果が情報発信されるとともに、国際科学イノベーションの拠点となり得るものであります。
ILCの誘致を実現することにより、東北、岩手や宮城に、世界中から科学者やその家族、関係者約1万人が移住し、国際研究都市が形成され、また、災害科学、医療、エネルギー資源等の関連する研究施設が連携することにより、科学技術の一大拠点として東北全域の産業が活性化され、新たな雇用の場の創出、震災からの真の復興へつながるものと考えます。
しかしながら、ILCは、現在、政府が正式に日本への誘致を決定したプロジェクトとなっていないところであります。
こうした中、平成25年8月には、日本の研究者によるILC立地評価会議で国内候補地を北上サイトに一本化されたほか、文部科学省内にILCに関する有識者会議が設置され、作業部会では、素粒子原子核物理、技術設計報告書の検証、人材の確保・育成方策、体制及びマネジメントの在り方が検討されております。
一方、本県における取り組み状況については、北海道東北地方知事会、東北ILC推進協議会による要望、東北ILC準備室による受け入れ準備、イベントによる機運醸成等に積極的に取り組んでいるところであり、本県議会においても、議長を会長とする県議会ILC建設実現議員連盟を結成し、東北各県議会等と連携し、政府、文部科学省に対し、実現に向けた要望を展開しております。
今後、できるだけ早い段階で日本が誘致に手を上げることが重要であると考えますが、誘致の現状と今後の見通しについてお伺いします。
次に、スポーツの振興策について伺います。
昨年、本県で開催した希望郷いわて国体・希望郷いわて大会は、県民の力強い応援によって後押しされた本県選手団のすばらしい活躍、多くのボランティアの参加や県民挙げてのおもてなしなど、県民総参加により成功裏に終了しました。
特に、岩手国体は、平成7年に福島県で開催された第50回大会以来、21年ぶりの冬季大会を含めた完全国体でありましたが、復興を進めながら、完全国体、そして大会を成功に導いたことは、県民にとって、自信や誇り、さらには希望を持つことにつながったものと思っております。
また、国体本大会を終えた今、岩手では、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、開催準備のほか、ホストタウン登録や事前キャンプの誘致、トップアスリートの育成などに向けた動きが活発になってきております。
これからのスポーツ振興を図っていくときには、人と人とのきずななどを基盤に育まれてきた文化、スポーツを発展させていくため、ことし3月、平成33年度までのおおむね5年間に県として取り組む文化、スポーツ振興のための主な方策を示した岩手県文化・スポーツ振興戦略を策定し、さらに、本年4月に文化スポーツ部を新設し、文化、スポーツに関する事務を知事部局に一元化したところであります。
文化、スポーツに関する専担組織の整備により、文化、スポーツ施策の一層の推進が期待されますが、今後、本県のスポーツ振興にどのように取り組んでいくのか、その方向性と振興策についてお伺いします。
また、特に、開催まで800日余りとなりましたラグビーワールドカップ2019や3年後の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、その開催準備や県民の機運醸成などの取り組みを加速させる必要があると考えますが、両大会に向けた県や市町村の取り組みについて、現状と今後の方策についてお伺いします。
以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問させていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、県民党的立場での県政運営についてでありますが、私は、これまで3度の知事選を通じ、県内のさまざまな団体、個人など県民的な力の結集により、多くの方々の御支持を賜り、希望郷いわての実現を目指して知事職を務めてきたところであります。
今後とも、オール岩手で復興とふるさと振興を進め、いっしょに育む希望郷いわての実現を目指す姿とするいわて県民計画を推進するよう、県政に取り組んでまいります。
次に、次期知事選についてでありますが、現在、復興やふるさと振興など県政課題に全力で取り組んでいるところであり、任期満了後のことは考えてございません。
次に、国政との関係についてでありますが、民主主義の原則や行政の公正さからしますと、地方自治体の首長の言動と時の政権とのいわゆる距離感のようなものによって、国が何らかの有利、不利のような差別的対応をすることは、あってはならないと考えます。
東日本大震災津波の発生以降、特に県と国が力を合わせて取り組まなければならない案件が非常に多くなり、時に意見の不一致を見る事例もございますものの、通常時以上に県と国との間で協議等を重ね、県も、国も、県民、国民に対する責務を果たすよう努めている状況であり、御指摘のような大きな影響があるとは考えてございません。
次に、IGRの問題についてでありますが、今回の不適切な事案については、県出資法人としてまことに遺憾な事態であり、IGRには、再発防止と県民の信頼の回復に向けた取り組みをしっかりと進めてもらいたいと考えています。
着服事案に関しては、再発防止策等の実施状況について、当面の間、県に定期的に報告するとともに、報告に基づき県が行うヒアリングや、また実地調査に対応するよう、IGRに対し文書で要請をいたしました。
また、財務会計処理に関しては、IGRでは、複数の部署、担当者による多重チェック体制を強化するとともに、期中の営業計画や収支見通しの管理を一層徹底するとしており、県としても、その取り組み状況について随時報告を求め、取締役会の場などでも意見を述べてまいります。
IGRでは、今回の事案を踏まえて、新たに選任された専務取締役をトップとする業務改善チームを設置し、再発防止策の徹底と継続的な社内業務の改善等を図るとともに、監査役会がその実施状況を監視、検証していくこととしておりますが、県といたしましては、出資法人の適正な事業運営を確保する観点から、今後、定期的な状況把握を行いながら、指導監督の一層の強化を図ってまいります。
次に、今後10年の本県のあるべき姿と施策の方向性についてでありますが、今後10年の本県のあるべき姿については、本県を取り巻く社会経済情勢や復興の状況、県内各界各層からの御意見などを踏まえて、平成31年度を初年度とする次期総合計画において展望することとしております。
計画では、復興の着実な実現に向けて、平成31年度以降に実施すべき復興の取り組みを明確に位置づけて、市町村や国と一体となった、被災地の未来のあるべき姿を実現する取り組みを進めてまいります。
また、県政は県民の幸せのためにあるという原点に立ち返り、県民みんなの計画として、幸福をキーワードに、仕事や子育て、コミュニティーなど、人が幸福と感じる重要な要素を踏まえて、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどにも着目し、岩手の将来像を描いていきたいと考えております。
その上で、人口減少や少子高齢化などに伴う各分野のリスクや、本県が持つ自然環境、歴史遺産、豊かな地域資源の活用によるさまざまなチャンスなどをしっかりと分析し、県民や市町村、企業、団体等と幅広い議論を行って、今後10年間に取り組むべき施策の方向性を明らかにしてまいりたいと思います。
次に、盛岡以北の地域振興についてでありますが、市町村では、平成27年度に地方版総合戦略を策定し、人口減少社会を見据えた総合的な対策に取り組んでいますが、中でも盛岡以北の地域は、八幡平・安比エリアを初めとする豊かな観光資源を有し、さらには、本県を代表する農畜産物の産地でもありますことから、こうした地域特性を十分に発揮した振興を図っていくことが重要と考えております。
このような中、盛岡広域振興局管内北部の八幡平市では、訪日外国人観光客の拡大に向けて、二次交通対策等の受け入れ態勢の強化に取り組んでおり、葛巻町では、乳製品やヤマブドウなどの地域資源を生かしたくずまき型DMOの設立を目指しています。
岩手町では、移住定住の促進に向けて、空き家活用と結婚支援の一体的なサポートに取り組んでいるほか、地域の若者たちが、ご当地グルメ、いわてまち焼きうどんを活用し、町の農畜産物や観光のPRに活躍しています。
このように、各地域で活発な動きがある中、県としては、広域的な連携により相乗効果を発揮させることが重要と考えており、今後も、市町と十分な意思疎通を図りながら、盛岡以北の地域振興に取り組んでまいります。
次に、東日本大震災津波からの復興についてでありますが、災害公営住宅は、平成29年5月末で計画戸数の8割が完成し、また、山田町や陸前高田市、大船渡市では、共同店舗や商業施設が開業し、商店街や商業機能の再生が本格化するなど、復興事業の着実な進捗が見られるところであります。
一方で、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、復興の長期化によって、心と体のケアなどの必要性が増してきています。
第3期復興実施計画においては、被災者の暮らしの再建のため、応急仮設住宅等で生活されている方々が、一日も早く恒久的な住宅で、お互いに支え合いながら、安心して心豊かに暮らすことができるよう支援を進めてまいります。
また、漁業と流通業、加工業の一体的な再生や新たなまちづくりと連動した商業機能の回復、地域防災力や広域的な防災体制の強化による多重防災型まちづくりを進めます。
今後とも、地域によって異なる復興事業の進捗状況に応じて、被災者イコール復興者一人一人の復興を見守り、また、寄り添った支援を行いながら、三陸のよりよい復興の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔企画理事大平尚君登壇〕
〇企画理事(大平尚君) ILC誘致の現状と今後の見通しについてでありますが、ILCの建設の初期コストを大幅に削減するため、現在の計画のILC全長31キロメートルではなく、全長を20キロメートルからスタートさせ、その後、段階的に拡張するステージングの議論が進展していると聞いております。
また、本年5月には超党派の国会議員連盟の幹部等が訪米し、アメリカの議会要人との情報交換が行われるとともに、文部科学省と米国エネルギー省は、共同研究に着手したところであります。
さらに、文部科学省の有識者会議の四つ目となるILCの体制及びマネジメントの在り方検証作業部会の先日27日の会合では、ILCに必要な環境整備についての報告書案が取りまとめられるなど、有識者会議の検討も終盤となっていると認識しております。
このような動向を踏まえ、ILCの実現に向けては、ここ一、二年が極めて重要な時期と考えております。
県といたしましては、現在、東北ILC準備室が進めている東北のマスタープランの策定作業に積極的に関与するとともに、受け入れ環境の具体的検討などを進め、政府のILC誘致の決断を促していきたいと考えております。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 昨年の台風第10号等に係る災害復旧工事の進捗状況についてでございますが、公共土木施設に係る災害復旧工事の5月末時点での発注状況については、県所有の施設で134カ所、53億円余、箇所ベースで22.6%が発注済み、また、市町村所管の施設では267カ所、27億円余、箇所ベースで20.6%を発注済みであり、県と市町村を合わせて21.2%が発注済みとなっております。
なお、工事が完成した箇所は、5月末時点で県と市町村を合わせて27カ所となっております。
次に、被災した自治体への支援についてでございますが、今回の台風第10号等に係る公共土木施設災害においては、市町村の被災箇所数が膨大であり、また、市町村では対応する技術職員が不足していることから、県としても可能な限りの支援策を講じてきたところです。
具体的には、従来は、県、市町村とも公益財団法人岩手県土木技術振興協会に委託していた積算や監督補助などの災害復旧業務について、県は、極力職員で対応することにより、土木技術振興協会が市町村の業務への対応に十分注力できるように配慮しているところです。
また、災害復旧業務のアウトソーシングに係る費用についても、市町村にとっては大きな負担となることから、財政措置の早期拡充について、県としても国に要望したところです。
なお、災害復旧工事に係る国庫負担制度においては、発災年を含む3カ年度内に事業が完了できるように必要な財政措置がなされることとされておりますが、国からは、災害復旧事業が期間内に完了しない可能性が生じた場合には、繰越制度もあることから柔軟に対応できると伺っております。
次に、発注方式の工夫についてでありますが、各管内の建設会社や技術者の数には限りがありますことから、多くの災害復旧工事を円滑に進めるためには、近接する複数箇所を極力集約したロットで発注することとしているところです。
また、施工確保対策については、震災復旧、復興工事に適用した制度を台風第10号災害においても全面的に適用しております。具体的には、複数の箇所をまとめる工事の場合、その工期は、工事を1件追加するごとに25日を加算する。また、技術者不足対策として、現場代理人や主任技術者が複数の現場を兼務することなどの工夫をしております。
今後も、復旧の進捗に応じて建設業協会等の関係団体との意見交換を続けながら、工事の発注や施工におくれを生じさせないように柔軟に対応してまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、酪農、肉用牛の生産基盤の強化についてでありますが、本県の酪農、肉用牛生産は、飼養頭数や算出額において全国トップクラスでありますが、経営規模が小さく、生産コストも高いことから、経営体質の強化に向け、規模拡大や生産性の向上が必要であります。
このため、酪農については、牛舎等の整備や産乳能力の高い牛の導入とともに、飼料収穫等を行う作業受託組織の育成などを進めており、肉用牛については、低コスト牛舎等の整備や優良繁殖牛の導入とともに、繁殖牛を預託するキャトルセンターの整備などを進めております。
また、県や農協等による酪農、肉用牛サポートチームを県内10地域に組織し、酪農の乳量、乳質の改善や肉用牛の分娩間隔の短縮、子牛の発育改善などの取り組みを支援しております。
県内では、畜産クラスター事業等による約3、000頭分の牛舎整備などにより、規模拡大が進み、1戸当たりの飼養頭数も徐々に増加しており、また、若い生産者の増頭計画も多いことから、今後、さらに経営規模の拡大や生産性向上の取り組みを推進し、本県の酪農、肉用牛の生産基盤を強化してまいります。
次に、肉用牛の販売促進、ブランド化についてでありますが、いわて牛は、東京食肉市場において平均を上回る価格で取引され、品質の高さが評価されているものの、消費者の認知度は十分ではない状況と認識しております。
県では、これまで、市町村や関係団体等で構成するいわて牛普及推進協議会を中心に、いわて牛フェアなどを行うとともに、毎年、市場関係者等を招いて開催するいわて牛の集いにおいて、トップセールスを行うなど、関係機関、団体が一丸となってPR活動に取り組んできたところであります。
昨年度は、新たに首都圏のシェフやバイヤーを対象に産地招聘やセミナーを開催したことにより、いわて牛を取り扱うレストランなどが13店舗増加し、合計269店舗まで拡大するとともに、消費者向けのフェアを56店舗で開催したところであります。
本年度は、第11回全国和牛能力共進会での上位入賞に向け、若齢肥育技術の徹底や超音波診断装置による定期的な肉質確認などの取り組みを強力に進めているところであります。
これらの取り組みにより、選抜、肥育された高い能力、品質の出品牛が、共進会で上位入賞することで、いわて牛が全国に誇れる優良な和牛ブランドであることを強くアピールしていきたいと考えております。
次に、馬事振興についてでありますが、本県では、チャグチャグ馬コや南部流鏑馬など県内各地に多様な馬事文化が培われておりますが、農用馬は、生産者の高齢化等により飼養戸数、頭数ともに減少しております。
このため、県では、県馬事振興会等と連携し、後継者や指導者の育成、優良馬の保留や子馬の生産率向上などの取り組みを支援しており、今後も、こうした取り組みを通じて農用馬の確保に努めてまいります。
また、農用馬の頭数が減少する中、イベントの開催などに必要な馬資源を確保し、効果的に活用するための仕組みの構築と馬事文化の魅力を活用した地域の活性化を図るため、本年度から馬事文化プロモーション推進事業を実施しているところであります。
これまでに、事業のコーディネーターを設置し、馬事関係者のネットワーク構築に取り組むとともに、香港での国際旅行展示会において、本県馬事文化のPRをしたところであります。
今後、関係市町村や馬事関係者との連携を図りながら、馬資源を活用したイベントなどの円滑な開催、運営が可能になるとともに、本県の馬事文化の評価が高まり、旅行客の増加など地域の活性化につながるよう本事業を推進してまいります。
次に、獣医師の確保対策についてでありますが、本県の獣医師数は平成28年12月末現在622名で、このうち、牛などの産業動物診療獣医師や県職員獣医師を合わせた産業動物獣医師は312名で約50%、小動物診療獣医師は89名で約15%、大学や民間企業の獣医師は221名で約35%となっております。また、県職員獣医師は125名で、県獣医療計画の目標132名に対し7名が不足しており、全国的に小動物診療の希望が多く、公務員獣医師を目指す学生が少ないことから、本県への応募者や獣医師免許所有者を確保することが課題と考えております。
このため、県では、獣医師確保に向け、修学資金の貸し付けや獣医系大学の訪問による就業促進に加え、インターンシップの受け入れや免許所有者の随時募集、初任給の引き上げや手当の増額などを実施してきたところであります。今年度は、修学資金について貸付額を引き上げるとともに貸付対象者数を拡大したほか、獣医系私立大学への県内高校生の入学枠を設置するなど、その充実、拡充に努めたところであります。さらに、県外からのインターンシップをふやすため、宿泊費を支援することとしておりまして、今後とも大学等と連携しながら獣医師確保に積極的に取り組んでまいります。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) 本県の今後のスポーツ振興の方向性とその振興策についてでありますが、県民が元気になるスポーツの振興のため、まず、一人一人が楽しむことができるスポーツ社会の推進に向け、運動、スポーツへの参加機運の醸成や、スポーツ医・科学の視点を取り入れた運動習慣の定着などに取り組みます。
次に、競技力向上とトップアスリートの育成に向けて、トップアスリートの育成、活動支援、競技力向上を担う指導者養成、アスリートの県内定着支援などに取り組みます。
また、スポーツ活動を支える環境の整備に向けて、指導者やボランティアが継続して活動できる取り組みの推進、障がい者スポーツの推進、理解促進などに取り組みます。
さらに、トップスポーツチームとの連携やスポーツツーリズムの振興による地域活性化の推進に向けて、トップスポーツチームによるスポーツ教室の開催、いわてスポーツコミッションの設置の検討などに取り組みます。
次に、ラグビーワールドカップ2019と東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みについてでありますが、ラグビーワールドカップ2019釜石開催につきましては、本年4月にスタジアム整備に着工するとともに、5月にはニュージーランド代表の元主将リッチーマコウ氏によるトークショーを開催し、県内外から高い評価をいただいたところであります。今後とも、スタジアムの整備を着実に進めるとともに、県内の機運醸成などに積極的に取り組んでまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては、盛岡市がカナダのホストタウンに登録され、また、花巻市がボート競技日本代表チームの事前キャンプ地に決定されており、また、いわて復興未来塾が東京2020大会参加プログラムの認証を受けたところであります。今後とも、市町村のホストタウン登録や事前キャンプ誘致の取り組みを支援していくほか、関係団体等と一丸となり、オール岩手で大会の機運醸成などに取り組んでまいります。
〇47番(千葉伝君) それぞれ御答弁ありがとうございました。
その中で、数点について再質問いたします。
最初に、知事の政治姿勢の部分でありますが、知事の政治姿勢として県民党的立場を今後も踏襲するということであれば、どの党にも属さないということを県民に明確にすべきではないか、こういう観点です。先ほどオール岩手、こういう言葉も使って御答弁いただきました。そういうことであれば、国政野党のマイクのみならず、自民党、公明党の推す候補のマイクを握るとか、あるいはどっちも握らないとか、いずれそういった姿勢を示すのであれば真の県民党的立場として私は評価したいと思いますが、知事は真の県民党的立場で臨む気持ちがあるのか、今後の各種選挙等でどういう姿勢で臨むつもりなのか改めてお伺いしたい。
次に、2点目ですが、畜産振興であります。
岩手の畜産振興の大きな流れの中で、先ほど農林水産部長から全国有数の畜産県ということでのお話がありました。いずれ岩手はそういったことで、私も含めて生産者一体となって取り組んでいる。こういう畜産岩手ということでありますが、過去において、千田正元岩手県知事がおられました。岩手の先人の一人であり、本県知事を4期務め、くしくも1970年─昭和45年の第25回岩手国体のときの知事でもありましたが、当時、ベコ知事と称され、本県畜産の先頭に立って推進した方でもありました。達増知事にベコ知事になってくれとは申しませんが、これからの畜産振興を図っていく上で、先ほど農林水産部長からも力強い答弁があったところです。畜産振興に対し、今後とも前向きで積極的な取り組みをお願いしたいところであります。
ちなみに、先ほど全国有数という話がありました。昨年─平成28年2月1日の県の家畜飼養戸数、頭羽数の調査によれば、乳用牛は頭羽数で4万3、600頭、全国順位が3位、肉用牛は8万9、600頭、全国順位第5位、豚が43万2、100頭、全国順位第7位、採卵鶏は除きますが、ブロイラーだけで鶏の場合は2、179万2、000羽ということで、これは全国第3位となっているところであります。こういった今の頭羽数、順位は上位にあるとはいえ、問題は生産基盤が脆弱ということで、私は、このままでいけば脆弱化の方向に向いていくだろう、こういう危機感を逆に感じています。
そういった意味で、これからの岩手の畜産を進めていく上で、先ほど答弁でもあったと思っていますが、ことし9月にお隣の宮城県で全国和牛能力共進会が開催されるところでありますが、こういったことを契機として、生産者の皆さんが、よし、みんなで頑張ろうと思うようなやり方を進めるべきだろう。そういう意味で、知事が先頭に立って畜産岩手を標榜させる取り組みが今こそ必要と考えますが、知事の意気込みを含めた御所見を改めてお伺いしたいと思います。
三つ目でありますが、ILC─国際リニアコライダーの誘致でありますが、ILCについては、とりわけ日本への誘致、ひいては北上山地に早く決めてもらいたいと誰しも願っているところであります。先ほどの答弁にもありましたが、質問でも述べたとおり、これまで、日本学術会議からの提言を受けて文部科学省にILCに関する有識者会議が設置されてさまざまなテーマで専門的見地から検討されており、現在、体制及びマネジメントの検証に関する作業部会において検討が進められている、このように承知しているところであります。
また、ILCは日本一国のみで実施することはできず、国際的な協力が不可欠であり、平成28年5月には、文部科学省と米国エネルギー省との間で日米ディスカッショングループを設置し、この中で大幅なコストダウンを目指すことが重要であるとの認識のもとに、先ほど大平企画理事から話がありましたとおり、当初の31キロメートルから20キロメートル、こういうこともあるわけでありますが、こういった大幅なコストダウンを目指すことが早く日本に決めていただく大きなことだと思っております。
日本の高エネルギー加速器研究機構あるいは米国のフェルミ国立加速器研究所において、平成29年─ことし4月からコスト削減に向けた研究を開始したと聞いているところで、先ほどの答弁でも若干触れておりますけれども、このコスト削減の議論の進捗状況について、改めて、どのように把握しているか、あるいは、今後、国の予算という部分についてのお考えがもしあるのであればお聞きしたいと思います。
加えて、今後、日本あるいは北上山地に決まることを想定した上で今進めている部分があるわけですけれども、特にその中で研究施設のメーンキャンパスの場所を候補地としてどこを想定して進めているのか、もしあればお伺いしたいと思います。
また、そのメーンキャンパスの地域だけに全てを集中するということではなく、関連施設を周辺の市町村にも誘致するなど、その経済波及効果を県内全域に及ぼすためのグランドデザインを今から描くことが必要と思いますが、このことについてどのように考えているのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) まず、私の 政党への所属の関係について御質問をいただきました。私は、現在どの政党にも所属していないわけでありますけれども、当面といいますか、現在どこかの政党に所属するという予定もございません。
なお、私が所属することが岩手県民のためになるというような政党が出てくれば、それは所属する可能性はあり、政党政治の発展、成熟という観点からすれば、そのくらいの力と可能性を持った政党が立ち上がってくるというか成長してくるというか、そのほうが県民にもいいことではないかと思いますので、それぞれの政党の発展、あるいは新しい政党の誕生に期待したいと思います。
選挙の応援につきましても、全ての選挙に何らかの具体的な対応をしなければならないとも思っていないわけでありますけれども、選挙の応援をする場合には、基本的には、いずれの政党にも所属しない私にとりましては政策本位、人物本位でございまして、希望郷いわて、いわて県民計画の理念、政策に賛同する方々と力を合わせてまいりたいと思うわけであります。もし自民党のほうでぜひというお話があればいつでも承りたいと思います。
畜産振興についてでありますが、岩手の畜産は、飼養頭数、産出額どちらも全国トップクラスの地位にございます。食品製造業や小売業、運送業などの関連産業における雇用創出や地域経済に大きな役割を果たしていることからも、今後とも、生産基盤の強化や販路の拡充を図り、生産者の所得向上につなげていくことが重要と考えております。
このため、安全・安心で高品質な畜産物等のPRに向けて、新年最初の和牛子牛市場や食肉市場関係者等を招いて開催するいわて牛の集い、また、牛肉輸出に向けたベトナム等でのトップセールスをことしも行ってきたところであります。
ことしは、9月に全国和牛能力共進会がお隣宮城県で開催されるわけでありまして、岩手県が全国に誇る和牛産地であることをアピールする絶好の機会と考えております。今、生産者の皆さんは、出品候補牛の仕上げに一生懸命取り組んでいらっしゃるところでありますので、晴れの舞台である共進会に私も赴いて生産者の皆さんを激励したいと考えております。
さらに、共進会で上位入賞が期待される県有種雄牛の子牛導入のための支援策も措置しているところであり、今後とも、経営規模の拡大や生産性向上、販路拡大の取り組みを推進するなど、畜産県岩手の名にふさわしい産地の形成に向けて、生産者、関係団体などと一丸となって全力で取り組んでまいります。
〇企画理事(大平尚君) ILCのコスト削減の議論につきましては、昨年12月に盛岡で開催されましたLCWS2016において、ILCを20キロメートルからスタートさせ、その後、段階的に30キロメートル、50キロメートルまで拡張する先ほど申しましたステージングと言われる方法が提案されたものであります。この方法は従来計画から30%以上の初期の建設コストの削減を図り、その後、将来性、拡張性を維持しながら、拡張されるごとに常に最先端の研究が行われるということで、長期間にわたって最先端の研究を行おうとするもので、現在、研究者間で議論が進展しており、今後、8月の国際会議─ICFAと言われる将来加速器国際委員会においてこの方法が承認される見込みと伺っております。
国におきましては、ILCに関する有識者会議の議論の深化と合致する形で平成26年度から調査研究費として予算が措置されており、本年度─平成29年度は要求額どおりの1億1、000万円が措置されたものであります。
また、議員御案内のように、文部科学省と米国エネルギー省との間でディスカッショングループを設置しましたが、ILCの加速性能の基幹部分である加速器空洞の性能向上のための日米の共同研究も開始され、コスト削減を目指すと聞いております。こうした状況から、来年度─平成30年度の国の予算につきましても、ILCの実現に近づき、世界にもアピールできるような積極予算となることを期待しているものであります。
次に、メーンキャンパスの候補地についてでありますが、平成25年度のILC立地評価会議の評価結果説明レポートを見ますと、トンネルの中央衝突地点までの距離、アクセス、研究者、家族の居住、生活環境、国内外の研究拠点等からのアクセスなどを総合的に評価したとしております。中央キャンパスの候補地につきましては、このような観点から、今後、総合的に検討されるものと認識しております。
次に、グランドデザインについてでありますが、ILCが実現した際には、研究本部棟が置かれるただいま申し上げましたメーンキャンパス─中央キャンパスを初め、ビーム衝突地点─中央部分でありますが─の近傍にサテライトキャンパスが置かれます。さらに、陸揚げ地点などの組み立て、あるいは検査拠点、最先端技術の産業振興エリアなどの形成も期待され、ILC実現に伴う経済波及効果は、岩手県のみならず、岩手県、東北はもとより、国内全体に及ぶものと考えております。
このため、現在、東北ILC準備室において、民間投資を呼び込みながら、経済波及効果が最大となるようなマスタープランの検討が行われているところであります。県といたしましてもその作成に積極的に参画し、本県への波及効果についても十分反映されるよう取り組んでいるところです。

前へ 次へ