平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇28番(佐々木順一君) 民主・県民会議の佐々木順一でございます。
 諸般の事情から前文省略し、直ちに一般質問を行います。
 初めに、三位一体改革の協議過程における知事の認識についてお伺いいたします。
 そもそも地方分権一括法は、国会における地方分権推進決議及び地方分権推進法を踏まえ、国会の責任で法制化されたものであります。その実効性を確保するための三位一体改革は、補助金改革を含む税財源問題を切り口としながら、最終的には地方に権限と責任を移す分権の一環であり、この達成を内閣が掲げた以上は、内閣の責任において基本的枠組みを示すべき性質のものであります。にもかかわらず政府は、具体案づくりを知事会など地方6団体に委任されましたが、この手法をメディアは当初から丸投げと指摘しております。酷評すれば、政府の責任の放棄であると思いますが、どうお考えでしょうか。
 また、さきに地方が提出した改革案では、真摯に受けとめられたいこと、全体像の速やかな提示及び誠意を持って協議に応じられたい旨強く求めておりましたが、協議開始前後から所掌大臣を中心に異論、反論などが続出しました。大臣の任命権は総理の専権事項であることから、各大臣は政権公約を首相と共有する内閣の一員としての行動をとるべきであって、各大臣が各省の代弁に徹することは内閣不一致の印象を与えるとともに、政と官の区別をあいまいなものにし、逆に各省の個別的抵抗を統制するのが首相の責任であると思います。ついては、政府などに誠意とか、あるいは誠実さなどというものはいかばかりのものがあったとお考えでしょうか、御自身の印象と、前段の指摘も含めまして知事の率直かつ明快な御認識をお伺いいたします。
 次に、全体像を踏まえた今後の取り組みなどについてお伺いいたしますが、税源移譲は約2兆4、000億円、補助金改革における焦点の義務教育関係では中教審の結論を得るまで先延ばしされるとともに、明年度分については暫定的措置という表現にはなっておりますが、いわば仮置き、中教審の答申いかんによってはもとに戻る可能性も残しております。また、公共事業分野については、大半が事務的には面倒な裁量のない交付金化、社会保障分野では、地方が全く求めていなかった国民健康保険の都道府県負担の導入や生活保護費、児童扶養手当などが盛り込まれるとともに、結論を1年先送りするなど、総じて仕組みをそのまま温存し、かつ主要な論点を先送りした妥協の産物であるとともに、国のみの財政再建と地方への負担転嫁を色濃くにじませたものとなっており、真の分権、自治の推進に資するものとは到底思えない内容となっております。
 一方、全体像に接した知事は、失望を禁じ得ないなど厳しく批判されながらも、意外にも50点の甘い採点、同時に半歩前進の認識を示すとともに、現体制では分権は無理だとまで言うときつ過ぎるかもしれないけれどもと言葉を濁しつつも、第2期分権改革を実行するためには、政治を巻き込み、国会で議論する必要があると述べておりますが、政治を巻き込むためには、国民、県民の支持を取りつけ、これを背景に政府に迫る必要があると思います。ついては、知事は、半歩しか進まなかった主な原因はどこにあるとお考えなのか、また、今後具体的にどういう言動を駆使されて政治を巻き込もうとされているのか。例えば、事と次第によっては退陣勧告の発動まで視野に入れて取り組むお考えなのか、いずれ御見解をお伺いいたします。
 なお、参考までに、当初から総理のリーダーシップの発揮が強く求められておりましたけれども、結果として総理は十分に指導力を発揮されたものと理解されているのでしょうか、率直な御見解を賜りたいと思います。
 同時に、地方分権の趣旨を踏まえるのであれば、形式的な自治事務、国の事務の区分にとらわれず、実態的な国と地方の役割に基づく事務を明確に整理し、この仕分けに立って約20兆円に上る補助金を見直す方法が本来必要ではなかったのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、各論について何点かお伺いいたします。
 初めに、市町村への対応についてでありますが、一連の補助金改革問題については総じて個別補助金積み上げ方式の財源論先行型であり、県民の視点に立った掘り下げた政策論は後回しとの印象がありますけれども、いずれにしろ補助金改革は、好むと好まざるとにかかわらず動き出し、今後は、国と都道府県の関係から、舞台は県と市町村の関係に移ってまいります。政府は、知事会などに白紙委任したわけでありますが、県としては、市町村に対しどのような姿勢で臨まれるのか。例えば国の方針に倣い丸投げされるお考えなのか、あるいは市町村との協議の場を設置されるお考えなのか、いずれにしろ県の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 次に、交付税問題についてお伺いいたします。
 全体像では、2カ年については一般財源の総額を確保することを明記されておりますが、将来展望は見えず、具体的数字も入っていないため心もとないところがあります。しかも大増税時代の到来を控え、既に財務大臣は、公の席で17、18両年度において7ないし8兆円の総額削減方針を提案されており、財政制度等審議会も同様の意見書をこのほど財務大臣に提出、足並みをそろえたところでありますが、過去の国の経済財政運営上のツケを一方的に地方に回すようなやり方は極めて遺憾であり、絶対に容認できないところであります。
 ついては、この方針が決定された場合、2カ年にわたる本県財政と市町村財政はどのような影響を受けるのか、県及び市町村分に分けた試算について事務的見解をお伺いいたします。
 もう一点お伺いいたしますが、財政論的見地から補助金改革に入るのであれば、地方交付税の改革について、まず初めに国と徹底協議し、例えば不交付団体のあり方、交付税算出方式の簡素化、小さな自治体でも経営可能な財政調整制度のあり方など、新たな制度設計のスキームを確定させてから補助金改革に入るべきであったと思います。このままでは体力のない自治体は早晩干し上がってしまいますし、交付税の見直しを後回しにしていることが三位一体改革の議論を一層不透明かつ複雑にしている原因でもあります。交付税が地方固有の財源であること、また、国が地方にかわって徴収している地方税であるとの性格にかんがみるなら、なおさら交付税改革から着手すべきであったと思いますが、なぜ補助金改革から行われたのでしょうか。政府から委任されたときに、交付税から始めるべきとの議論はなかったのでしょうか。また、交付税改革に対し切実な地方の声をどのように国に反映させていくのかも含めて御見解を賜りたいと思います。
 次に、国と地方の協議機関の今後のあり方についてお伺いいたします。
 18年度までの補助金改革などの行方もさることながら、今後、交付税改革、地方財政計画のあり方、さらには19年度以降の道筋など多くの抜き差しならない政治的問題が控えているにもかかわらず、現在のような任意のままでの協議機関では不十分であり、政治情勢によっては機関そのものが有名無実化するおそれもあります。
 ついては、国は難色を示すものと思いますが、現在の協議機関を地方税財源全般を広範かつ発展的に協議する場として常設化すべきであり、しかもこれを何らかの形で制度化すべきと考えるものであります。この問題はまさに政治マターであることから、もし要請が拒否された場合、請願権の行使などあらゆる手段を用いて獲得すべきものと思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、最大の焦点になりました義務教育費国庫負担金問題についてお伺いいたします。
 この問題につきましては、今もって国論を二分しております。すなわち、義務教育の国の責任論と教育の地方自由度・裁量拡大説でありますが、補助金改革という財政論的切り口からこの問題に入ったことから、義務教育政策についての本質的議論が全く置き去りにされていることは極めて問題であります。教育政策の恩恵を受ける当事者は、第一義的には子供たちであり、次に保護者であり、最終的には国力の基盤をなすものであることから全国民でもあります。にもかかわらず、教育の国と地方との精密な役割分担を含め、文教政策の根本を確認しないままでの義務教育費国庫負担金の論議は、県民の目には単なる財源の争奪戦程度に映っているのではないでしょうか。知事会等でもこの点に配慮を見せ、さきの改革案の中に、国が実施・検討すべき事項として、義務教育における地方公共団体との適切な役割分担を踏まえ、その責務を法律上明記すること、都道府県において教育費の水準に著しい格差が生じることのないよう法令に明記すること、さらには、市町村の義務教育に関する権限と役割の拡大などの措置についても考慮されたい旨書かれておりますが、これでは国に検討をゆだねることになり、迫力に欠けます。また、全国知事会長は、中教審へ地方の代表を加えることを求めたいと表明しておりますが、かかる問題は政治決着のレベルに到達しており、文部科学大臣の諮問機関でどの程度効果が上がるのか疑問に思います。
 ついては、地方から責任を持ってリストに挙げたわけでありますので、知事会が中心となって、国が実施・検討すべき事項という一歩引いた表現ではなく、必ず実施すべき事項という強い表現で、しかもそれを法案の要綱に近い形に取りまとめ、これを別枠で政府に提出、協議会の場で審議されてはいかがでしょうか。こうすることによって多くの方々の理解が一層深まるものと思いますが、知事の御見解をいただきたいと思います。
 関連しお伺いいたしますが、現在、地方公共団体が管理、運営する義務教育の教員の身分は地方公務員でありますが、国政の一翼を担う有力な政治勢力の中には、義務教育を最終的には国の責任において行うべきものと明確に定め、特に教員については、全国的見地から人材が確保されるよう、国家公務員の身分を有するものと位置づけるべきという政策を掲げ、この実現に真剣に取り組んでいる方々があります。
 ついては、義務教育の教員の身分を国家公務員の身分に位置づける、このことに対する知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、農林水産業の再生なくして岩手の将来はあり得ないとの認識に立って何点かお伺いいたします。
 平成11年に制定された新農業基本法に基づく政府の基本計画は、現在、規定により見直しが進められておりますが、特にも、この基本法には食料自給率の目標が掲げられており、この実効性を確保するため、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として、農業者、その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めることを義務づけております。しかしながら、間もなく規定の5年間を経過しようとしておりますけれども、政府は、食料自給率については当初のカロリーベースで平成22年度には45%という具体的到達目標値を断念、達成時期をさらに5年間延期する方向にあると伝えられております。食料の安定供給の確保を含む四つの理念を掲げ、鳴り物入りで制定された基本法であるにもかかわらず、唯一数値化されている自給率の達成時期の先送りは、結果としてかけ声倒れのそしりは免れないところであります。
 ついては、基本法では、政府に対し、食料、農業及び農村をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに食料、農業及び農村に関する諸施策の効果に関する評価を踏まえ見直しをすることを義務づけておりますが、農業県を標榜する本県としては、政府の取り組みをどのように評価されているのか、また、基本法が要請している義務を国は最低限度果たされてきたものと認識されているのかお尋ねいたします。徹底検証なくして前進なしでありますので、率直な御見解を御披瀝願います。
 引き続き、基本計画の見直しについてお伺いいたします。
 現在、政府では、平成19年度の導入を目指し、他産業並みの所得が確保できる経営の育成、いわゆる日本型直接支払制度を検討しているところでありますが、次第に農水省とJAグループとの対立点が鮮明になってきております。例えば、国は、担い手対策の対象を認定農業者と特定農業団体に限定する方向にありますが、直近の調査では、本県の認定農業者の比率は、目標年次、平成22年1万1、000人の達成目標に対し64%にとどまっている現状であることから、JAグループでは、意欲ある者、育成すべき者、集落営農など多様で幅広い担い手を加えるよう求めております。また、国では、新たに導入する品目横断的政策の対象者については一律の規模要件を設定する方向にあります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 これは、他産業並みの所得を確保できる経営規模を念頭に置いたものであると思いますが、これでは米政策改革の担い手経営安定対策より厳しい内容になり、多くの農家が対象外になることから問題であります。さらに、現行の品目別対策では、農家手取りの相当部分が財政支出によって支えられており、特に大豆、麦などの担い手は共同利用組織や受託組織が大きな部分を占めていることから、こうした組織が対象外になることは自給率の低下を招き、農業の多面的機能の発揮を弱体化させることになります。事ほどさように相違点は多岐にわたっておりますが、総じて絞り込みを優先するのか、地域合意を優先するのかが最大の焦点になるものと思いますが、本県でも担い手の経営に着目した品目横断的な政策への移行についてを国に要望しているところでありますけれども、見直し作業は、国の経営支援を担い手に集中、重点化することで作業を加速させる方向にあります。
 ついては、農林水産部長は、今の見直し作業が新農業基本法に掲げられている四つの理念に沿ったものととらえているのか、現段階における御認識をお伺いいたします。
 引き続きお伺いいたしますが、目標設定のない政策目標は、いわばただのばらまきであり、特にも直接支払制度の導入に必要不可欠なものは、主要作物ごとの生産数量などの目標設定であります。しかしながら、二酸化炭素の排出規制に関しては、県も国を上回る数値目標と体系的環境施策をきめ細かく定め、取り組まれておりますが、人間の生命維持に必要な食料に関しては、国への要望項目の中に自給率を高めるための表現や体系的政策の策定を求める記述が見当たらないことは極めて残念であります。また、通常用いられているカロリーベースのみの自給率では、熱量の少ない野菜、果物などは反映しにくくなっており、最近の魚介類などの落ち込みも著しいものがあります。さらに、たとえ食料は輸入できても農業の多面的機能は輸入できないわけであり、その維持増進のためにも自給率の向上が必要不可欠であると思います。
 ついては、政府に、供給カロリー自給率はもとより、品目別、地域別の割り当てを含め、総合食料自給率のしっかりとした年次別及び中長期的目標値を明確に掲げることを積極的に強く要請すべきと考えますが、御見解を賜りたいと思います。
 次に、食の安心・安全に関しお伺いいたします。
 知事の提唱によって地産地消政策はいまや市民権を獲得し、着実に定着してきております。一方、県においては、政府に対する予算提言、要望の中に、大消費地と産地などの関係者が連携した食育の推進についてを本年度から初めて加えられており、同時に国会においては食育基本法が審議中であるなど評価するものでありますが、食生活の見直しに加え、消費者の知る権利、さらには輸入食品を含めた表示の徹底や海外の食料安全監視など、食の根本的安全を踏まえた食育にしなければ、消費拡大、効率重視の色彩が強い地産地消をベースに置いた食育の推進では早晩消費者に足元を見られ、この政策は行き詰まりを余儀なくされるのではないかと危惧するものであります。したがいまして、私は、地産地消以外に、食に対する国民の深い理解を得るための掘り下げた政策概念、すなわち本県のセールスポイントである純情農林水産物を前面に押し出した政策スローガン及び政策展開を検討すべきと考えるものであります。例えば旬産旬消、これは、食感、季節感を含め、感性や知識を正しく養うねらいがあります。さらに医食同源、これはあえて説明の必要はないものと思います。食の本質を前面に掲げた政策展開は、まさに消費者の強い要請であり、こうした価値観に立脚した本県の政策展開を行うことによって初めて消費者の不動の支持を得ることになり、このことが本県農業の振興はもとより、ひいては日本社会の安定に寄与することになると考えるものでありますが、いかがでしょうか。貿易立国の宿命上、このままでは我が国の食料は悪貨が良貨を駆逐することになりかねないと懸念するものでありますので、知事の御批評を賜りたいと思います。
 次に、花巻地方の雑穀の振興についてお伺いいたします。
 花巻地方では、従来より米の生産調整への対応策として雑穀の里日本一運動を掲げ、栽培面積の拡大と乾燥調製施設の利用による販売面の強化に努めてきたところでありますが、米改革大綱の導入に伴い、県内に先駆けて策定された花巻地方水田農業ビジョンの中に従来の麦、大豆以外に土地利用型重点作目として雑穀栽培を取り上げ、いわゆる雑穀の総合産地を目指すことを位置づけ、本年度から大区画圃場整備地区を中心に68.5ヘクタールの栽培を新たに開始、16年度における当地域の雑穀4品種の栽培面積は225ヘクタールに上っております。しかしながら、農家にとっては瑞穂の風景から雑穀の風景にさま変わりすることになり、情緒的にも経営的にも一抹の不安と寂しさは否定できないところでありますが、米と同等以上の収入の確保を念頭に、近い将来の多様な製品開発、商品化まで視野に入れながら、生産者、関係団体が一丸となって栽培体系の確立、販路の拡大、さらには試作品の開発などに取り組んでいるところでもあります。
 ついては、先般、農林水産部長は現地を視察された際、関係者に対し雑穀のスタンダード化を目指してほしい旨期待を表明されたとお聞きしておりますが、このスタンダード化はどういう姿を念頭に置かれているのか、また、今後どのような支援を行うお考えなのか御所見をお伺いいたします。
 関連しお伺いいたしますが、先般、県北地方に全国初の雑穀遺伝資源センターを開設、オンリーワン産地の強化を図ったところでありますが、日本一の雑穀生産県を掲げる県としては、両地域の役割をどう位置づけるお考えなのか、今後の両地域に対する指導方針も含めお伺いいたします。
 次に、農業改良普及センターの見直しについてお伺いいたします。
 明年4月の改正農業改良助長法の施行に伴い、県では、12の農業改良普及センター及び四つの地域普及所の見直しに着手されているとお聞きしておりますが、農業団体を初め、農家サイドからは本県農業が衰退するのではないかという不安の声が出ております。法律の求めは、農業関係団体などとの事業の機能分担と必置規制の廃止であり、都道府県の裁量にそのすべてがゆだねられていることから、仮に現在の体制を縮小する場合には今の能力を上回るものとしなければなりませんし、少なくとも農業関係者の不安を助長するものであってはならないと思います。一般的な見直しの考え方としては、現状維持を含め、地方振興局の見直しに連動する方法、あるいは農協の設置状況に連動する方法などが考えられると思いますが、いずれにしろ県内各地の特性に応じたそれ相当の納得のいく理由づけが求められると思います。
 ついては、どのような考え方に立って作業に当たっておられるのか、どういう配置を念頭に置かれているのかお伺いいたします。また、県民の理解を得るための手順と原案公表の時期についても御答弁をいただきたいと思います。
 次に、県立高等学校整備計画・後期計画についてお伺いいたします。
 計画の中には、大迫高校と花巻北高校の統合を含む8校が22年度から24年度に、花巻農業高校を初め14校が26年度までの期間に定員充足率等を勘案し、統合もしくは学科改編の結論を出すことを明記しておりますが、それではどういう条件を満たせば統合などが回避されるのか、また、なぜ二つの猶予期間を定めたのか、さらには、猶予期間外の高校はなぜ21年度までの統合なのか。さらに、計画は、都市部に生徒、学校が集中し、周辺からは高校がなくなるか小規模校しか存在しないことになりますが、検討段階で都市部における学級数の削減という選択肢は考慮の対象外であったのか明快な御答弁をお聞きいたします。
 次に、早池峰の保全と主要地方道紫波川井線の関係についてお伺いいたします。
 一部報道によると、県は、公園内の主要地方道紫波川井線の区間閉鎖も含めた抜本対策の検討に着手し、大迫町を含む関係3市町村に意見の集約を求めたとお聞きしておりますが、どういうことを目的に検討に着手されたのか、また、どの区間を念頭に置かれているのか、今後の具体的進行日程も含めお伺いいたします。
 また、本県議会では、既に早池峰国定公園計画の再検討及び県道の迂回ルートの整備促進の二つの請願を意見を付して採択しておりますが、この二つの請願は、早池峰国定公園の保護・保全を強く意識したものであり、密接不可分の関係にあります。
 ついては、今回の検討着手は、両請願の趣旨の実現をどの程度意識された上での取り組みなのでしょうか。また、県の行財政構造改革プログラムでは、補助金・負担金制度の見直しが掲げられており、現在運行されているシャトルバスもこの対象になっておりますが、主要地方道紫波川井線の取り扱いの結論が出るまではこの仕組みは維持されることになるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 最後に、管理職の中間評定の結果についてお伺いいたします。
 先ほどの一般質問でも答弁がありましたが、竹内副知事は厳しい総括をされたことは確認させていただきました。しかしながら、この評定は一種の人事評価に値するものであることから慎重に取り扱うべき性質のものと思いますが、今回何を期待されてあえて公表に踏み切ったのでしょうかお伺いいたします。
 また、管理職の意識の大半が副知事の評価のとおりであるとするならば、これまでの意識改革はかけ声倒れに終わっているということになりますし、適材適所という人事の妙味が発揮されていないということにもなると思いますが、管理職の意識改革が進展しない根本的原因はどこにあると分析されているのかお伺いいたします。
 さらに、この報道に接した多くの県民は、驚きを通り越し失望感を抱いているものと思いますし、このまま放置するとなると無用な行政不信を増幅しかねないおそれもあります。ついては、県民の失望感を解消するため、管理職はもとより、職員全体の意識の立て直しを時間を置かずに早急かつ目に見える形で行うべきものと考えますが、その有効策についてお伺いいたします。
 関連し、教育長にお伺いいたしますが、何かと問題が続出する教育委員会においてもこの際同様の評価結果を実施し、公表すべきものと考えますが、御見解をお伺いいたします。
 簡潔明瞭、明快かつ正面からの御答弁を御期待申し上げまして私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革の協議過程における私の認識を問われておりますが、この三位一体改革の手順というか進め方ですけれども、本来的には、地方が自由に使える財源をふやすこと、あるいは地方が自立できるようにするというこの改革の趣旨に沿って、政府の方でまず原案をつくって、そして、当事者である我々地方側の意見を十二分に聞きながら、最後も政府の責任において決めるべきものと、これが一番正しい手順だろうと思うわけです。
 今回は、恐らく政府の中でいろいろ意見が、補助金の問題でございます、各省の意見も対立するわけですから、その取りまとめが大変難しいということで、具体案の作成そのものから地方にゆだねると、こういう経過になったのではないかと、ここは推測でございますが、そんなふうにとらえておりますが、ただ、本来であれば、今申し上げましたように、政府が行うべき作業を閣議決定までした上で地方側に要請をしたということでありますので、政府の方が、それであれば地方案を最大限尊重すべきそういう義務があるものと考えているわけであります。したがって、そういう受けとめ方から今回の協議の過程を見ますと、残念ながら、中央省庁がそれぞれその省の部分だけの省益でばらばらに意見を主張して、一体的な政府としての対応ではなかった。それから、各大臣が国務大臣としての高い立場からのリーダーシップを発揮することもなかった。したがって、大変、政府としての誠意とか誠実さに欠けていたのではないかととらえております。
 それでもなお半歩前進ということを申し上げたわけでございますが、しかし、半歩しか進まなかったという一方から見た現実もございます。
 その原因でございますが、これは先ほどの2人の議員の答弁とも一部重複いたしますが、まず、政府の方針で始まりました三位一体改革が、地方分権改革推進のためのいわば切り札的な改革であるというとらえ方や、そういう意識というものが政府や与党と地方側で共有できなかったということ、逆にそこに出てきたものは地方側への不信感というものが出てきてしまって、真の意味での地方分権の理念の共有が行われなかったということが一番大きな原因だと思っております。そしてまた、地方6団体の側としても、これは知事会のみならず、6団体が一致結束してここまで運動を展開したのは私は初めてだと思うわけでございますが、世論への効果的な訴え方など、国民の支持を得るための取り組みが一方で弱い面もございまして、全力は尽くしたものの、結果としてはこの政府、中央の厚い壁を突き崩すことができなかったと考えております。
 今後でございますけれども、これは改革を中途半端に終わらせることは絶対できないわけですが、私はこの改革を中途半端に終わらせないために、今回の合意内容を受けた多くの、例えば法律改正案などは国会の場に提案されていきます。国保などについても法律改正が必要でございます。改革の内容の是非を問う場は今後は国会の方に移ると考えております。国会の場において、しっかりとした枠組みがつくられることが必要でございまして、そういう意味で政党の役割が大変重要になってくると。私どもは、少なくとも知事会としても、この政党がいずれも三位一体改革の推進ということで二大政党、自由民主党それから民主党、それから公明党もこれを政権公約に掲げております。それぞれ大なり小なり、言い方は違いますが、地方分権の推進について政権公約の中にも取り込んでいるわけでございますので、そうした政党のマニフェストに位置づけられたものについて、その取組状況についてしっかりとした評価をしていくということがこれから必要だと。そしてそのこと、そうした政党への働きかけと同時に、一方で、繰り返しになりますが、国民世論を見方につけて、国民の支持を得るための活動をさらに展開していくことが必要だろうと思います。
 最後に、総理大臣が十分に指導力を発揮されただろうかというお尋ねがございましたが、ここについては、私は、ここまで推進をしてきたのは一方で数字を目標に明示して入れ込んできたなどについて、総理がリーダーシップを場面場面で発揮してきたというところはそういうふうに認識をしておりますが、今回については、一番最後の段階で私の出番がない方がいいと、こういう発言もございましたし、今回のこの政府・与党の合意の一番最後のところでは、私どもが期待するまでの力強いリーダーシップは発揮されなかったと、率直にこのように受けとめているところでございます。
 それから、国と地方の役割に基づくこの事務を明確に整理して20兆円の補助金をもう一度見直したらどうかと。これについては、大まかな見直しは地方自治法の中で、改正の中で、地方分権一括法の制定に至る過程で、自治事務とか法定受託事務ということで大まかな割り振りはできておりまして、その基本線に沿って今回それぞれ地方6団体が改正案をつくったと理解してございますが、細部についてはそういう明確な割り振りまで検討していないのも事実でございます。それについて、これから我々の中でも十分な検討が必要だと思っておりまして、岩手県としても、幾つかの県と共同して既に県が行っておりますすべての事務事業について、本来国がやるべきか、あるいは今までどおり県がやるべきか、市町村の方に移譲すべきかということを、数年前に内部で幾つかの県と共同して検討した経過がございますけれども、そうしたことをこれからも検討を行って、必要に応じて国に対して提言をしていくといったようなことも必要だと考えております。
 それから、交付税の議論が一番まず真正面から行われなければならなかったのではないかということでございますが、この三位一体の中で、私はまず税源移譲が基本ではないかととらえておりました。地方の自主・自立を進め、地域住民に受益と負担の関係を明らかにするという観点からまず税源移譲、3兆円なら3兆円の税源移譲をまずしっかりと行うと、そこを決めた上で確実に税源移譲される額に見合った補助金の廃止を次に選択をしていくと。
 地方交付税については、その双方の関係で、自治体間の税源の偏在を調整するための最後の手段でございますので、そうした税源移譲を確実に勝ち取るといったことを行った上で、最後に公平な負担感の調整ということで改革の内容を決めていけばいいのではないかと、このようなとらえ方をしているところでございます。
 地方6団体の改革案の中でも、こうした交付税制度を基本とする地方財源の調整制度についてでございますが、これについては早急に検討が必要ということで、地方側としても具体的な提言を行うこととしておりますので、いずれにしても、交付税改革の内容について地方団体間の中で十二分な議論をして合意をとる必要があると、そして提言につなげていく必要があると思いますので、これについての早急な中身の検討を進めていきたい。知事会の中でも、そういう場を設けるように私の方からも提案をして、そしてその中で、まず、たたき台となるようなものの議論をしていきたいと考えております。
 それから、国と地方の協議機関の今後のあり方でございますが、これは都合7回今回開かれましたが、その一番最後の7回目の協議の場で、今後継続する方向性についてその議事録を見ますと、大筋の合意を見ていると理解できるものでございます。官房長官の方から、この協議の場は今後も継続するというようなその場での発言もございますけれども、まだどういう形で継続をするかということ、ルールなどは決まっておりませんので、今後、地方の意見を国の政策的な意思決定過程にきちんと反映させる目的を持った協議機関としての性格を持たせるといった方向に、これから地方団体としてどのように持っていくかということが大きな課題だと私も認識をしておりまして、まず、これについては地方6団体として十分な検討を行った上で、一致団結して国にその実現を求めていくと。恐らく設けるだろうと思いますが、そのことについては最大限、強力にそこから進めていくわけでございまして、できるだけ恒常的な制度として制度化されるように、今後の政府の対応を見ながら考えていきたいと思います。
 それから、義務教育費国庫負担金でございます。これについては、これからの議論の進め方でございますが、私は、17年秋までの中教審での議論の内容を待つべきではないかと、こういう見解を先ほど申し上げました。それは、8、500億円の税源移譲ということが今回の政府・与党合意の中にも書いてございますので、まず8、500億円の税源移譲の内容について、これは幅広い立場からの議論を踏まえた上で、教育の問題でございますので、内容をできる限りよいものにしていくように丁寧な議論の場が必要ではないかと、こう考えているからでございます。その中で、最低限委員として、メンバーとして地方団体の意向を酌む人間が入ることが大事かと思いますけれども、そこの人間を通じて、地方団体として取りまとめた意見を積極的に言うと、こういう方向が私は今この段階では一番ふさわしいものと考えております。
 それから、義務教育の教員の身分について、これは国家公務員というような考え方もあるがどうかということでございます。これを国家公務員として位置づけるということにつきましては、当然、国家公務員であれば給与負担は地方自治体が行うというわけにはいきませんので、すべて国費でその給与負担を行うと。これも一つの考え方であろうと思いますが、そういたしますと、今の教員の費用負担、財政の考え方を全く白紙に戻して1から考え出していくという必要があるのと同時に、恐らくそれは財政的な問題あるいは公務員としての身分の問題のみならず、すべての今の教育システムについて一度完全にリセットして、それでもう一度組み立てることに等しいのではないかと考えております。私は今そうした義務教育についての費用負担を考えて、そして責任を持って実行していく立場も持っておりますので、そういう立場から申し上げますと、私は義務教育について国が大局的な見地から法律や基本指針を定め、現場の地方自治体がそうした国の方針を基本に据えながら、地方独自の工夫や地域住民の声を反映させるなど、地域に根差した教育を展開できるような、そういう仕組みにすることが今の段階では必要ではないかと。そして、そういう考え方から言いますと、その担い手である教員の身分につきましては、引き続き地方公務員として位置づけるのが適当であると考えているところでございます。
 それから、大きな2点目で農業問題についてでございますけれども、この農業問題、食の本質を前面に掲げた政策展開ということで、大変示唆に富む貴重な意見を今いただいたわけでございますが、あらゆる面で食に対する関心が高まっておるところでございますので、安全・安心を求める消費者の要請にこたえていくということが大変重要だと、これが認識でございます。そのために、県の方で食の安全・安心に関する基本方針を策定して、生産から消費までの各段階での徹底した安全対策の推進ですとか、それからトレーサビリティーシステムなどによってすべての情報を提供して、消費者が安心して県産農産物を選択できる環境づくりに、今取り組んでいるわけでございます。
 また、生産者と消費者との距離を縮める地産地消推進を県民運動として展開しておりますけれども、そのことによって消費者との心通い合う関係というのが築かれる、さらには生産を担う農業者がそうした場面に出会うことによって、自信と誇りを持って営農にいそしめる環境が整ってきていると思っております。これが、こうした消費者の要請にこたえる取り組みが、結果として農業振興にもつながっていくと考えておりますので、今後とも、地産地消など食の安全・安心に関する取り組みを一層推進していくと。それについてどのような運動を展開するかの方法論については、またさまざまな皆様方からの意見、英知をいただいて、そしてよく練っていきたいと考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 管理職員の中間評定についてお答えいたします。
 まず、公表に関する点についてでございますが、県におきましては、これまでも県民サービスのより一層の質的向上に向けて、行政品質向上運動に取り組んでまいりました。この行動の一環として、年度当初に各部局の長や地方振興局長、総括課長などの幹部級職員から当該年度の業務目標とその取組方針を提示してもらい、その目標や方針を職員全体が共有しながら、各種の事務事業の実施に取り組むことといたしております。今年度からは、掲げられた業務目標や取り組み方針などについて、4カ月ごとにその推進状況の評価を行い、課題の解決について支援を行うなど、より確実な成果を得ることを目指しております。
 この評価の結果は、県といたしましては公表いたしておりませんが、幹部級を初めとする職員たちが、常に県民の厳しい目の中で仕事をしているという意識をより正しく自覚することは大変重要なことでございまして、そうした意味で、中間評定の結果の概要が報道されましたことは、現在取り組んでいる成果の評価方式にもう一つの付加価値を生み出した可能性もありまして、前向きにとらえてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、職員の意識改革についてでございますが、中間評定の結果につきましては、今回の評定が今年度初めて導入されたものであること、年度の最終評定に向けて、さらなる努力と成果を期待するという期待値が反映されていることなどから、厳しい評価結果にはなっております。しかしながら、職員の努力する姿はまことに真摯なものがありまして、意識改革は着実にステップアップしていると考えております。
 次に、職員全体の意識の立て直しについてでありますが、県といたしましては、現在、住民サービスの向上に向けた新たな価値創造への取り組みや業務プロセスの改善運動に取り組んでおりますが、スタートしてからまだ日が浅いこともありまして、これらの取り組みが全職員に徹底されている状況にはいまだ立ち至っていない部分もございます。幹部職員を初めとする職員は、自発的に社会貢献活動に参加するなど、現在もさらなる改革・改善に向けた努力を継続いたしておりますことから、今後は、不足している点を十分点検してまいりますとともに、目覚しい成果を上げた部署や職員を褒める仕組みを構築するなど、職員のモチベーションの向上に向けて、新たな方策を講じてまいりたいと考えております。
 また、成果に対する評価に当たりましては、取り組みへの姿勢を前向きに評価するなど、意識の高まりや改善の効果なども評価結果に反映させ、県行政への信頼が高まるよう、職員全体が一致して努力してまいる考えでございます。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 三位一体改革、市町村への対応についてでございます。
 地方分権一括法の施行によりまして、県と市町村の関係は対等なパートナーの関係にございまして、それで今般、三位一体改革におきましても、国に対して、地方6団体が共通の立場で連名によりまして申し入れたところでございます。
 県としましては、現在、国から基本的な枠組みが示されたところでございまして、詳細についてはまだ明らかにされていない段階でございます。そういうことから、その動向に注視しながら、具体的な内容が明らかになった時点で市町村と協力し、限られた財源の効果的な執行に留意しながら、住民生活が向上するよう努めてまいりたいと思っております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 交付税削減の影響額についてであります。これにつきましては、全国知事会の方で試算をしておりまして、それによりますと、財務省の提案どおりの削減が実施された場合の岩手県分の影響額につきましては、普通交付税及び臨時財政対策債の合計額で、17年度及び18年度それぞれ422億円程度、合計で840億円余の減となりまして、16年度の普通交付税及び臨時財政対策債の合計額に対しまして、約31.2%の減というように推計されているところでございます。同様に、市町村分への影響でございますが、17年度及び18年度それぞれで270億円程度、合計540億円余の減と見込まれまして、16年度の普通交付税及び臨時財政対策債の合計額に対しまして、約27.5%の減と推計されているところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業問題について幾つかお尋ねでございます。
 新農業基本法の要請する義務要件の達成状況についてでございますが、国は食料の安定供給を確保するため、国内の食料消費と農業生産の取り組みの指針として、自給率の目標を掲げているところであります。この実現に向けて、消費面では、平成12年に食生活指針を策定し、食育の推進等に取り組んできたところでありますが、その認知度が依然として低く、また、米の消費量の減少がさらに進む一方で、肉類や油脂類などの消費量が増加するなど、望ましい食生活の実現には至っていないと考えております。言いかえれば、米の消費減少に見られる食生活の変化が、食料自給率の向上の足を引っ張っているということができるかと思います。
 また、生産面では、品目別に生産努力目標を設定し、農地や担い手の確保、生産基盤の整備、転作作物の導入促進等に取り組んできたところであります。しかしながら、小麦、大豆等の一部品目を除いて総じて減少傾向にあり、生産努力目標をかなり下回る水準で推移しております。
 国の義務に対する認識についてでありますが、ここ5年間の自給率は、小麦、大豆の生産拡大等により40%台で横ばいで推移しておりますが、依然として目標値と大きな差があることから、食育の全国的な展開や需要の高度化、多様化に応じた品目の生産拡大、品質の確保など、基本計画に掲げる消費及び生産の両面にわたる対策を、一層、着実に推進していく必要があると考えております。
 次に、政府の基本計画の見直しについてでありますが、農業従事者が急速に減少、高齢化している中で、基本理念に掲げる農業の持続的な発展や食料の安定供給の確保を実現するためには、効率的かつ安定的な農業経営の早急な育成が喫緊の課題であり、今般の基本計画の見直しにおいては、認定農業者や特定農業団体などの担い手に施策を集中化、重点化する方向で検討が進められているところであります。しかしながら、担い手要件としての経営面積等についてハードルを高く設定した場合、地域の話し合いのもとに選ばれた担い手や生産組織、あるいは今後育成すべき者であっても、対象から外れるということが懸念されます。
 基本理念である多面的機能の発揮や農村の振興を実現していくためには、こうした対象から外れる人なども含め、農地・水利施設等の保全管理や景観形成など、地域ぐるみでの取り組みが不可欠であると考えております。したがいまして、今後、国におきましては、地域の農業経営の実態を十分踏まえた担い手の要件や、担い手に当たらないとされる農家の位置づけ、役割についてもさらに議論を深め、基本法の四つの基本理念の実現に向けて、基本作業の見直しを進めていただきたいと考えているところであります。
 次に、総合食料自給率の年次別及び中長期的目標値を定めたらどうかというお尋ねについてでありますが、食料自給率の向上のために、目標を品目別、地域別に割り当てることも確かに一つの方法でありますが、むしろ大事なことは、消費者ニーズに的確に対応し、地域地域において特色のある生産条件や資源を最大限に生かし、みずからが農業生産を高めていく努力が必要ではないかと考えており、さらに地域で生産されたものが地域内で利用される仕組みづくりを進めていくことが重要と考えているところであります。
 県としては、こうした考え方のもと、地産地消運動による地域内生産、地域内消費の取り組みを積極的に進めているところでありますが、このような生産者と消費者の距離を縮めていくことが結果として食料自給率の向上につながり、また、多面的機能の十分な発揮にもつながっていくと考えているところであります。
 次に、花巻地方の雑穀の振興についてであります。
 本県は、ヒエ、アワ、キビの栽培面積が全国の6割を占める日本一の雑穀生産県であり、食を通じた健康への関心がとみに高まっている昨今、そうした消費者のニーズにこたえるとともに、受け継がれてきた食文化を広く伝えながら、県産雑穀のブランド化を一層推進する必要があると認識しております。そのため、生産拡大に合わせ、来歴の明らかな優良系統の普及や生産履歴の記帳を推進するなど、消費者に信頼される雑穀生産に取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みを通じまして、岩手の雑穀が品質・量の両面において他の産地を凌駕し、いわば雑穀と言えば岩手産と言われるような地位を確保することを目指しており、このような意味を込めてスタンダード化を目指してほしいと申し上げたものであります。
 今後は、県産雑穀が岩手ブランドとして流通する仕組みづくりに力を入れるとともに、例えばホテルなどの外食産業との連携による供給場面の拡大に努めるなど、生産と流通の拡大を同時進行で一体的に進め、さらにその振興に努めてまいりたいと考えております。
 次に、生産地域の役割と指導方針についてであります。
 花巻地方のような水田地帯においては、水田を利用した栽培から収穫・調製までの大規模機械化体系による大型雑穀産地の育成が可能でありますが、その確立に向けては機械除草対策や排水対策など、幾つかのハードルを越える必要がございます。一方、県北地方のような中山間畑作地帯におきましては、小中規模で手作業を中心としたきめ細かな栽培管理のもとに、安定した収量・品質の雑穀生産が行われておりますが、生産効率の向上のために、中小規模機械化体系の導入を図るとともに、産地精白など、加工による付加価値を高めるための取り組みを推進する必要もございます。
 このように、それぞれの地域特有の課題を解決することにより、両地域が雑穀のモデル産地となるとともに、それが県内各地に広がって、本県が名実ともに日本の雑穀生産・流通を牽引する産地となるものと考えてございます。
 最後に、農業改良普及センターの見直しについてでありますが、農業改良普及センターにつきましては、地方分権改革の一環として、今般の農業改良助長法の改正により必置規制が廃止されたところでありますが、本県のような農業県におきましては、担い手の育成や地域における産業育成の上で極めて大事な役割を果たしており、その重要性はいささかも変わるものではないと考えております。しかし、農業を取り巻く環境は大きく変化してきており、農業の形態も地域ごとに多様化してきていることから、岩手ならではの普及事業への改革を目指し、地域の特性や営農のあり方などに応じた農業改良普及センターの配置、地域課題への迅速な対応が可能となる柔軟性と機動性を持った体制の構築、さらには、それぞれの地域の方々との協働の取り組みが可能となる仕組みづくりを見直しの中心に据えて、各地域に出向いて市町村や農業団体等と意見交換を重ねてきているところであります。
 今後の進め方といたしましては、これまでの関係者の意見、要望等も踏まえ、農業改良普及センターの配置につきましては、さらに17年度1年間をかけて引き続き検討していきたいと考えております。
 検討に当たりましては、これまでも関係者とオープンに意見交換を行ってきたところでありますが、これからも節目節目で案を示しながらさらに議論を深め、皆様の納得の得られるような形にまとめていきたいと考えておるところであります。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 県道紫波川井線の閉鎖を含めました今後のあり方につきましては、早池峰地域の総合的な保全対策を検討する一環として、早池峰地域保全対策事業推進協議会の場において関係市町村に問題提起を行ったものであります。したがいまして、具体的な区間や今後の日程について成案としてお示ししたものではございません。
 今回の問題提起は、県議会で採択されました二つの請願の趣旨であります早池峰地域の保全対策を図るための具体的な選択肢の一つと考えておりますが、道路のあり方につきましては、いずれ広範な議論が必要であると認識しているものでございます。
 また、利用最盛期におきます交通規制とシャトルバスの運行につきましては、現在の道路が存在する間は高山植物の保護と県道の交通混雑を解消するために必要なものと考えておりますけれども、県が支出してきた運営のための負担金の扱いは、今回の問題提起に対する地元市町村の意向をも勘案しながら、平成17年度当初予算編成の過程を通じて検討してまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県立高等学校新整備計画・後期計画期間後の対応についてでありますが、まず、この整備計画は、生徒の多様な教育ニーズにこたえるための教育環境の整備や生徒の相互啓発及び切磋琢磨を促進するなどの観点から、学校規模も含め望ましい学校のあり方を定め、平成17年度を初年度とする5カ年でこれを計画的に推進しようとするものであります。
 一方、この計画では、地理的条件や産業構造などの実態に配慮し、後期計画期間中は維持することとした高校群18校を掲げております。しかし、これらの高校についても、生徒にとって魅力と活力のある教育環境を確保・維持する観点から、後期計画期間中ではありますが、広域的な視点で後期計画以後の統合や学科改編などの整備について検討していくことをお示ししたものであります。
 具体的には、後期計画の中間年度である平成19年度及び完成年度である平成21年度を目途に検討に着手し、それまでの定員充足率や地元中学校からの進学率あるいはその時点における社会状況の変化などにも着目しながら、その状況に応じて、22年度から24年度、また、22年度から26年度の間に学校の統合あるいは学科の改編、学級の増減を検討することとしたものであります。
 なお、都市部における学級数の削減については、通学ブロック内の中学校卒業予定者数や高等学校への入学者の動向、生徒の流出入などを加味しながら、今後とも、これまでと同様に毎年度見直しをしながら適切な学級数を設定していくものであります。
 ちなみに、明平成17年度における都市部の高校の学級減でございますが、これは15学級実施することとしております。
 次に、教育委員会における評価公表についてであります。
 県民から信頼される学校づくりを進めるため、学校評議委員制度の導入や学校評価の実施と公表等を行っているわけでありますが、教育に関するさまざまな課題を解決するためには、その直接の担い手である教職員の資質、能力に負うところが大変大きく、学校長を初めとした管理職が中心となって教職員の資質、能力の向上に努めていかなければならないものと考えております。
 現在、本県では、文部科学省の委嘱を受けまして、教職員の資質向上を図るために教職員の人材育成に関する調査研究を行っております。教育委員会におきましては、管理職を含めた教職員の評価のあり方について今現在検討しているわけでございますが、この結果を踏まえて、平成18年度から段階的に実施をしていきたいと考えております。
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時50分 散 会


前へ 次へ