平成28年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 2 号)
平成28年3月8日(火)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 渡 辺 謙 一
主任主査 中 村 佳 和
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 柳 原   悟
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
主査 菊 池   智
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 齋 藤 淳 夫

秘書広報室長 木 村 卓 也
理事兼
秘書広報室副室長
兼首席調査監 保   和 衛

政策地域部長 大 平   尚
副部長兼政策推進
室長兼首席
ふるさと振興監 大 槻 英 毅
政策地域部副部長
兼地域振興室長 宮 野 孝 志
政策監兼
ふるさと振興監 高 橋 勝 重
市町村課総括課長 佐 藤 隆 浩

環境生活企画室
企画課長 小野寺 宏 和

保健福祉企画室
企画課長 小 川   修

商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭
商工企画室
管理課長 岩 渕 伸 也
特命参事兼
雇用対策課長 高 橋 達 也

農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光

県土整備企画室
企画課長 小 原 由 香

復興局長 中 村 一 郎
復興局副局長 大 友 宏 司

国体・障がい者
スポーツ大会局
副局長兼
総務課総括課長 小 友 善 衛

教育企画室
特命参事兼
企画課長 菊 池 正 勝

議会事務局長 杉 村   孝
次長 熊 谷 正 和
総務課総括課長 及 川   忠
政策調査課長 稲 葉   亘

総務部長 風 早 正 毅
副部長兼総務室長 佐 藤   博
総合防災室長 小 向 正 悟
総務室管理課長 藤 澤 良 志
入札課長 山 崎   隆
放射線影響
対策課長 松 本   淳
人事課総括課長 菊 池   透
財政課総括課長 熊 谷 泰 樹
法務学事課
総括課長 佐 藤 一 男
私学・情報
公開課長 千 葉 政 典
税務課総括課長 小 畑   真
管財課総括課長 猪久保 健 一
防災危機管理監 會 川 雅 行
防災消防課長 佐々木   哲
総務事務
センター所長 及 川 健 一
〇高橋但馬委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
議案第7号から議案第25号まで、議案第27号、議案第40号から議案第50号まで、議案第54号、議案第60号、議案第61号、議案第63号、議案第64号及び議案第138号の以上37件を一括議題といたします。
本日は、きのうに引き続き総括質疑を行った後、議会、総務部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
これより、きのうに引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。五日市王委員。
〔五日市王委員質問者席に着く〕(拍手)
〇五日市王委員 創成いわての五日市でございます。
間もなく、震災から5年という一つの節目を迎えようとしております。
発災時、私は、実は予算特別委員長を仰せつかってございました。当時は、たしか予算特別委員会の最終日、県土整備部の審査のときでございまして、菊池議事調査課総括課長の席には、当時、今の佐藤総務部副部長が座っておられましたが、発災時は右往左往してしまいまして、運営にもいろいろと御迷惑をおかけしたことを思い出してございます。
そういうことから、5年たっても、私もこの場に来れば当時のことを思い出します。地震が来るとやっぱり怖いですし、内陸に住んでいる私でさえそう思うわけでございますから、被災された方々の恐怖とか悲しみというのは、いかばかりかということをお察し申し上げる次第でございます。
きょうは復興は取り上げませんが、一日も早い復興をお祈り申し上げる次第でございます。
それでは、10月に行いました代表質問、あるいは12月8日に創成いわてとして行った平成28年度予算編成に向けた知事要望、こういった中身も取り混ぜながら総括質疑を行いたいと思います。
初めに、平成28年度予算は、達増知事3期目の当選後初の新年度予算編成であり、いわて県民計画の総仕上げというべき第3期アクションプランの初年度でもあります。これまで2期8年間でやり残したこと、そして、今後3年半でやり遂げなければならないことをどのように捉えているのかお伺いをいたします。
あわせて、平成28年度の新規事業で、最も魂を込めている事業は何かをお伺いいたします。
〇達増知事 本県が直面する危機を希望に変えるため、いわて希望創造プラン、そして、いわて県民計画第1期、第2期アクションプランにおいて、人口、県民所得、雇用環境などの目標を掲げて、その解消に向けて取り組んできたところであり、その成果は着実にあらわれております。
その一方で、人口については、社会減が平成26年に再び拡大に転じましたほか、雇用については、求人不足から人手不足の状況に転換し、労働環境の改善を初めとした雇用の質の向上が重要となるなど、新たな課題が顕在化してきています。
こうしたことから、第3期アクションプランにこれらの課題に対応した施策を盛り込んだところでありまして、プランに基づいて、希望郷いわての実現に向けて、東日本大震災津波からの本格復興を復興計画のゴールにつなげていくとともに、社会減ゼロや出生率の向上を目指すふるさと振興を軌道に乗せていく取り組みを推進してまいります。
このため、平成28年度当初予算におきましては、復興の取り組みを着実に推進するということ、それとともに、林業を担う人材の育成、定着促進や、若者の結婚支援など人口の社会減の縮小と出生率の向上に向けた取り組み、労働環境の改善を初めとした雇用の質の向上や、ものづくり企業の生産性の向上に向けた取り組みなど、七つの政策推進目標の達成に向けた取り組みを盛り込み、さらに、復興後を見据えた三陸地域の総合的な振興を担う新たな推進体制を整備する事業や、平泉世界遺産登録5周年を記念して、遺産の価値や意義の共有を図る事業なども新たに盛り込み、今後、これらの取り組みに注力してまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 アベノミクスについてお伺いいたします。
アベノミクスの3本の矢及び新3本の矢は、果たして岩手に届いているのか、知事の所見をお伺いいたします。
〇達増知事 まず、3本の矢についてでありますが、県内の景気動向は、これまで、復興需要や内陸部の製造業の生産活動の活発化もあって回復傾向が続いてきましたが、大型小売販売額や新設住宅着工戸数、自動車新車登録数の低下など、このところ足踏み感が見られます。また、国の経済状況や経済財政政策の影響を強く受けます地方の人口の社会増減について、昨年1年間を見ても、東京圏の転入超過が1万人近く増加する一方で、岩手においては人口の社会減が1、000人規模で拡大するなど、東京一極集中の流れが一層強くなっていまして、東京圏と地方の格差は広がっているものと認識しております。
新3本の矢については、GDP600兆円の実現や希望出生率1.8の実現、介護離職ゼロの実現を目指す施策を内容とする国の補正予算については1月20日に国会で成立したところであり、また、これを踏まえる形で編成した県の2月補正予算についても先週議決をいただき、これから実行に移していく準備が整った段階であります。
1億総活躍社会の実現を目指す出生率の向上や介護人材の育成、確保、長時間労働の抑制など、働き方の改善やひとり親家庭等の自立支援など、国として全国一律で取り組むべき重要な課題については、国がしっかり取り組むことを期待しています。
県としても、今般の2月補正予算の執行に速やかに着手して、総合戦略やアクションプランと一体となって、産業振興を通じた仕事の創出や社会全体での子育て支援に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 まだまだ地方には届いていないというのが実感のような気がいたします。
1月でしたか、議会運営委員会の視察で、安倍総理のお膝元の山口県にもお邪魔をしてまいりまして、夜の1時ですが、市場調査をしてまいりましたけれども、残念ながら、山口県にも余り届いていないというお話でございましたが、今後に期待したいと思います。
それでは財政、特にも借金についてお伺いいたします。
国の借金は2015年末で約1、044兆円、国民1人当たり824万円、県の借金残高は2016年度末で1兆3、100億円の見込みで、県民1人当たり約100万円、県内33市町村の合計は、2014年末で約7、258億円、市町村民1人当たりざっと60万円であり、合計すると、住民1人当たり984万円プラス利息ということになります。我が家は4人家族ですので、およそ4、000万円プラス利息の借金を抱えていることになります。
我が国の借金残高につきましては、楽観論者と悲観論者が真逆の論戦を戦わせておりますが、選挙権年齢の18歳引き下げや若者の活躍の場促進などにより、今後、若者の政治参加が加速する現状において、この問題は大きな関心事でございます。
また、人口減少が確実に進行する中、次世代へのツケを少しでも減らしていくことが未来に対する責任でもございます。
国の借金はもとより、県の借金も多額となっている状況であり、次世代への負担を軽減していくため、今後、県の財政運営をどう考えていくのか、新主権者にもわかりやすくお答えをいただきたいと思います。
〇達増知事 本県におきましては、過去の公共事業のために発行した県債の償還が高水準で推移をしております。そのため、平成25年度に公債費負担適正化計画というものを策定して、県債の新規発行額を抑制するなどしながら、公債費の適正管理に努めております。
こうした取り組みなどによりまして、プライマリーバランスは黒字が続いております。県債残高は着実に減少しているところであります。
引き続き、公債費負担の適正化を初め、財政の健全化を図りつつ、国に対し適切な財政措置を強く働きかけるなど、安定的な財政運営の実現に向け取り組んでまいります。
〇五日市王委員 基金についてお伺いいたします。
財政調整基金、県債管理基金、地域振興基金のいわゆる財源対策3基金の平成28年度取り崩し額は192億円となっており、これによる残高見込みは377億円となっております。
基金の適正な規模、残高をどう見込んでいるのかお伺いいたします。また、将来への備えのためにも、目標を定めて積み立てを行う必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。
〇風早総務部長 財源対策3基金についてでありますが、平成28年度当初予算編成後の財源対策の3基金の残高は377億円となっております。
中期財政見通しでは、平成28年度末における財源対策の3基金残高は約25億円と見込んでおりましたが、県税収入の増加など歳入面が改善するとともに、歳出面では、各事業の効果や効率性など1件ごとに精査し、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めたことなどにより、見通しを上回る財源が確保されたものであります。しかしながら、基金残高の減少は続いており、社会保障関係費の増加などにより、県財政は今後も厳しい状況が続くと見込まれております。引き続き、財源の確保に向けた不断の取り組みが必要でございます。
引き続き、歳入歳出両面での取り組みを進めつつ、限られた財源の有効活用や効率的な予算執行に努めてまいります。
〇五日市王委員 新年度に県産農林水産物の輸出拡大に向けたいわて農林水産ブランド輸出促進事業費1、240万円が計上されております。特に、高品質を誇る本県リンゴの輸出に関してお伺いいたします。
本県リンゴの平成26年農業産出額は88億円で、農業分野では第7位、全国シェアでは約4万6、500トンで第4位の基幹作物であります。
輸出の状況は、平成24年300万円、平成25年310万円、平成26年430万円となっており、今後、輸出拡大の可能性を大きく秘めた作物であると思います。
全国シェアトップの青森県では、2014年産の販売額が1、000億円を突破し、うち輸出量は約3万トン、金額にすると約110億円を達成し、販売額の10%を輸出で稼ぎ出しており、15年産も3万トンを超える勢いとのことであります。
このことを考えれば、青森県と接する本県県北地域には、地理的にも気象的にもまだまだ大きな可能性が秘められており、目標を定めるなど戦略的な取り組みが必要と考えます。
まず、今後の生産力アップの方策についてお伺いいたします。また、輸出拡大に向けた取り組み方針についてもお伺いいたします。
〇達増知事 リンゴの生産力アップの方策についてでありますが、本県のリンゴ生産は、平成26年産では、栽培面積が2、540ヘクタールで全国第3位、収穫量は4万6、500トンで全国4位となっておりまして、栽培面積、収穫量とも、近年横ばいとなっています。
リンゴは、本県の中山間地域を中心に作付され、収益が確保できる重要な園芸品目であり、これまで生産力の向上に向けて、単収が低下した老齢樹の改植による園地の若返りや、担い手への園地の集積による規模拡大等を図ってまいりました。
今後、生産力向上の取り組みを一層進めるとともに、紅いわてや大夢等の県オリジナル優良品種や消費者ニーズの高まっているはるかなど、需要に対応した高品質なリンゴの生産を拡大して産地力の強化を図ってまいります。
そして、リンゴの輸出拡大に向けた取り組み方針についてでありますが、県では、香港やタイ等でのフェアにおいて、県産リンゴの販売プロモーションを行ってきておりまして、糖度が高く食味にすぐれる冬恋はるかやサンふじは、現地の消費者から好評をいただいています。
今後、さらなる輸出拡大に向けては、こうした品質の高さやすぐれた食味を有する本県産リンゴの魅力を一層発信し、現地の流通関係者や消費者から高い信頼と評価を勝ち取っていくことが重要であります。このため、第3期アクションプランに基づいて、経済成長が著しいアジア地域をターゲットに、海外での取扱店舗の拡大に向けたフェア等の開催や、輸出コーディネーター等の活用による新規取引先の開拓を図りながら、県産リンゴの輸出拡大に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 本県のリンゴの生産量は第4位ということでございますが、実は1位、2位は、青森県、長野県で80%近くなんですね。ですから、まだまだ可能性はあると思いますし、輸出に関しましては、日本の生産量が年間大体75万トンですか、世界の生産量が7、500万トンです。100倍ですね。ということも考えれば、イタリア、フランスなどの小さいところでも日本の2倍、3倍の生産量があるわけですから、まだまだ可能性があると思います。
これらの取り組みを推進し、次世代に引き継いでいくためにも生産基盤の整備は欠かせません。計画が進むも延びるも予算次第では、受益者のモチベーションも下がります。現在実施中の畑地帯総合整備事業がスケジュールどおりに進むよう、予算の確保には特段の御配慮をお願いするものですが、見解をお伺いいたします。
〇千葉副知事 畑地帯総合整備事業についてでありますが、平成28年度は、現在御審議いただいております当初予算案に1億8、000万円を、また、先日議決いただきました2月補正予算におけるTPP関連対策として1億6、000万円をそれぞれ計上したところでありまして、それらを合計した予算額は、平成27年度当初予算対比90%増の3億4、000万円となっております。
事業の内容は、男神、米沢、湯田地区を初め、二戸地域の4地区で畑地かんがい約30ヘクタール、農道約330メートル等の整備を予定しているものでございます。
県北地域の農業の基幹でございます園芸の振興を図るためには、担い手の確保、育成とともに、畑地かんがいなど生産基盤の整備が重要でございますので、当該事業の必要性を国に強く要望し、県予算計上額の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 木質バイオマス発電についてお伺いいたします。
木質バイオマス発電の稼働により、県内の必要木材燃料は、低質丸太や製材端材、PKS(パームヤシ殻)等を含め、年間38万トン以上と見込まれております。このことによる製材やチップ業者等、木材関連産業への影響をどのように認識しているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 木質バイオマス発電によります木材関連産業への影響についてでございますが、木質バイオマス発電は、未利用間伐材等の有効活用が図られるなど、地域の林業振興や森林資源の循環利用への貢献が期待されます一方、大量の木材が必要とされますことから、製材やチップ用などの原木供給への影響を懸念する声も頂戴しているところでございます。このため、県におきましては、発電事業者に対しまして、地域の森林資源量に見合った規模の施設整備や既存の木材産業への影響に配慮しながら木質燃料を調達するよう、木材供給者との安定取引協定の締結などを指導してきたところでございまして、現在、稼働中及び建設中の施設につきましては、既に協定の締結がなされているところでございます。
また、チップ用原木の価格は、近年、全国的に上昇傾向にございまして、本県におきましても同様の傾向が見られますが、現時点では供給への大きな影響はなく、安定的に取引がなされているものと認識しております。
県といたしましては、引き続き、国や関係団体等と情報共有を図りながら、木材の需給動向等を注視し、必要に応じ適切に対応してまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 木材の安定供給のためには、路網の整備が重要であります。今は使われていない林道や作業道なども含め、路網の整備を積極的に行うべきと思いますが、今後の方向性についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 路網整備の今後の方向性についてでございますけれども、林内路網は、木材の安定供給を図る基盤といたしまして、本県の林業振興を図る上で重要な基盤でございますことから、計画的に整備を進めてきたところでございます。
県では、林内路網の基幹となります林道につきましては、平成27年度に策定いたしました第3期林道整備事業中期実施計画におきまして、林道整備を重点的に推進する対象区域を、森林所有者等が作成する森林経営計画に基づき、計画的に森林整備や木材生産が行われる森林及び効率的な森林施業を推進する区域として市町村が定めました路網整備等推進区域の森林としておりまして、こうした区域を中心に幹線となる林道や作業道の整備を進め、既設路網とのネットワーク化を図り、木材の安定供給のため、効果的に活用されるような路網整備を進めてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 教育に関してお伺いいたします。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により教育委員会制度が変わり、本県でも4月から新教育長制度に移行します。
新制度では、首長が教育長を直接任命することになり、これまでよりも知事の教育や教育委員会への影響力がより一層強まることになりました。
知事は1児の父として、育児、教育に携わってきたことと思いますが、子育てを経験した知事の教育観をお伺いいたします。
あわせまして、知事の本県教育における課題や目指すべき方向をどのように捉えているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 自分の子供に対しましては、まず学校を大事にするように、そして先生を尊敬するようにということを言いまして、そのためにも、親もなるべく学校の行事や、それから三者面談等に参加するよう努めたところでございます。
そして、本県教育における課題や目指すべき方向性についてでありますが、人を育む教育は社会形成の礎であり、教育の推進に当たっては、県勢発展のかなめは人、人をつくる岩手という理念のもと、初等中等教育から高等教育、社会人教育まで、県民個々のライフステージに応じた多様な学びの機会を提供していくことが重要であると考えており、総合教育会議の場などを通じて、教育委員会との協議、調整を図ってきているところであります。
特に学校教育においては、岩手の子供たちに、グローバル化や情報化の急速な進展など、変化の激しい社会を生き抜いていくための確実な生きる力を身につけてもらうことが大事であり、岩手の子供たち一人一人に確かな学力、豊かな心、健やかな体という知、徳、体をバランスよく身につけてもらうことが大事であります。
このような考えのもと、教育行政の推進に当たっては、学びの場の復興とともに、いじめ問題への対応や学力向上、高校再編など、現下の教育諸課題の解決に積極的に取り組んでいくこととしております。
〇五日市王委員 現在素案が示されている新たな県立高等学校再編計画では、キャンパス制の導入や小規模校の存続など、地域から高校がなくなることへの不安に対し一定の配慮がなされ、地域間の温度差はあるものの、一定の評価をするものであります。しかしながら、いわゆる少人数学級については、義務教育では小学校4年生まで、中学校は、新年度から中学校2年生まで拡大することは評価いたしますが、高等学校では、1学級定数を40人とするとの前提はかたくなに崩しておりません。仮に2016年度に全国の小学校2年生を35人学級とし、毎年度1学年ずつ35人学級を実施した場合の国庫負担額は、初年度16億円、小2から中3まで全ての学年が35人学級となる2023年度は、56億円が必要と試算されてございます。
本県の全ての義務教育に35人学級を導入した場合の影響額はどのくらいと見込んでいるのか、お伺いいたします。
あわせて、県立高校へ35人学級を導入した場合の影響額もお示し願います。
今後の導入の見通しについてもお伺いいたします。
〇千葉副知事 少人数学級についてでございますけれども、小中学校におけます35人学級につきましては、現在、小学校4年生までと中学校1年生を対象としておりまして、来年度からは、中学2年生にも拡大することとしておりますけれども、これをさらに全ての学年に拡大するとした場合、新たにおおよそ140人程度の教員配置が必要と見込まれておりまして、その影響額は、年間約11億9、000万円程度と見込んでいるところでございます。
少人数学級の安定的実施を図るためには、国におけます教職員定数制度の見直し及びこれに伴う財源措置が不可欠でございまして、県といたしましては、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上に向けた基礎的な財源は、国の責任においてしっかりとした措置がなされるべきものという考えのもと、これまでも定数改善計画の早期実現を要望してきておりますので、その充実に向けまして、今後も引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
また、県立高校全ての学年に35人学級を導入するとした場合、新たにおおよそ210人程度の教員配置が必要と見込まれておりまして、その影響額は、年間約18億8、000万円程度と見込んでいるところでございます。
県立高校への35人学級の導入につきましては、県教委におきまして、今後の県立高校に関する地域検討会議や意見交換会の場等におきましても、同様の意見をお伺いしているという報告も頂戴しておりますが、子供たちの発達段階等を考慮いたしますと、まずは義務教育における少人数教育の拡大に優先的に取り組む必要があるのではないかと考えておりまして、県立高校におきましては、現段階では、習熟度別クラス編成や進路希望別コース編成等で対応することとしている状況にございます。
〇五日市王委員 土曜日でしたか、福岡高校浄法寺校、かつての浄法寺高校ですが閉校式を行いまして、また県立高校の歴史に一つの幕を閉じたということがあります。
私事ですが、私の2番目の愚息も新年度から小学校1年生です。長男が10年前でしたけれども、あれから10年たって次男が入る、地元の金田一なんですが、入学生が25人です。
特にも認識をお持ちのように、県北・沿岸地域は人口減少も著しい。そういった中で義務教育からの35人学級、これは全県でやらなくても、県北・沿岸振興の一環とか、そういう人口減少の著しいところからスタートしていくことも必要ではないでしょうか。11億円、約12億円です。足しても30億円です。ここはもう政治判断でもあるのではないかと思います。知事の所見をお伺いいたします。
〇達増知事 現場の先生方もそれぞれの地域に応じた、また、生徒数に応じた教育の仕方というのを長年にわたって岩手では工夫されてくる中で、今のような体制を教育委員会としてとっていこうということですので、基本的にその考え方を尊重したいと思っておりますけれども、同時に、教育委員会、知事との関係が新しい法律によって変わったというのは、いわば教育というものを住民に開いていくということが首長と教育委員会が新しい関係になった意義だと思っておりますので、そういう意味で、今委員が述べられたような住民の皆さんの考え方、アイデア等は、私と教育委員会がさまざまやりとりする機会を通じて共有していきたいと思います。
〇五日市王委員 次に、中小企業振興についてお伺いいたします。
昨年、中小企業、小規模事業者の振興を図るため中小企業振興条例が施行され、これを受けて、現在、岩手県中小企業振興基本計画の策定が進められております。本県企業の99.8%を占める中小企業、小規模事業者の振興は大いに力を入れていかなければならないと思いますが、基本的な取り組み方針についてお伺いをいたします。
〇千葉副知事 本定例会に御提案申し上げております岩手県中小企業振興基本計画案におきましては、中小企業が目指す姿といたしまして、付加価値の高い商品やサービスをつくり出すことにより、企業としての魅力を高めていくことや、働きやすい環境を整備し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を提供していくことなどを掲げているところでございます。これら目指す姿を実現していくために、研究開発や新規事業分野の開拓など、経営革新の取り組みに対する支援を行いますとともに、ワーク・ライフ・バランスに配慮した雇用労働環境の整備促進や、いわてで働こう推進協議会の活動を通じた若年者等の県内就職の促進などに取り組んでおりまして、基本計画案には、こうした取り組みを初め創業を目指す若者、女性などへ創業体験の場の提供等の支援や、小規模事業者に対する伴走型支援などの取り組みを盛り込んでいるところでございます。
県といたしましては、中小企業者の方々、行政、関係団体等が一体となりまして振興策を推進することにより、県内中小企業の事業活動が活発に展開され、持続可能で活力ある地域経済の振興が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 来年4月に予定されております消費税引き上げに伴う軽減税率の導入により、事業者の事務負担が増大することが懸念されます。また、新しいレジの導入やシステム変更など、新たな負担が生じてくるものと思います。これらに対する支援策を講ずるべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
〇千葉副知事 消費税率引き上げに伴う軽減税率導入によります事業者負担に対する支援策についてでございますけれども、軽減税率の導入によりまして、複数の税率に対応したレジの導入等が必要となるものとされているところでございます。国では、その対策といたしまして、中小の小売事業者等が行います複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修等に対する補助制度を設けたところでございまして、全国の中小企業団体等と連携して、補助制度の活用の周知や相談対応等を行うこととしております。
県といたしましては、こうした補助制度や相談対応の支援が十分活用されるよう、県としても取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 県北・沿岸振興についてお伺いをいたします。
知事は、平成28年度予算編成に当たり、県北・沿岸地域の産業振興や交流人口の拡大に積極的に取り組むよう指示をされましたが、どのように反映をされたのかお伺いをいたします。
〇達増知事 平成28年度当初予算案の編成に当たりましては、県北・沿岸地域の振興を図る取り組みの推進を重点事項に位置づけて、今般提案している予算案におきましては、県北地域の振興に関する施策として、食産業やアパレル産業の育成等地域資源を生かした産業振興の推進、特色ある農林水産物を活用した農商工連携、6次産業化の促進、北海道新幹線の開業を踏まえた八戸圏域等と連携した観光PRや受け入れ態勢の整備による誘客の拡大、若者の地元就職、定着促進や若者、女性による魅力ある地域づくりの支援を初め、新たに二戸地域のブランド果物の評価向上と販路拡大を図るための予算などを計上したところであります。
また、沿岸地域の振興に関しては、本格復興を完遂するための予算と合わせて、生産現場へのカイゼン導入、雇用環境の整備等を通じた企業の生産性向上、人材確保の支援、若者や女性を初めとした被災地での起業及び新事業進出の支援、地域の基幹産業である水産業への就業のきっかけづくり及び経営体強化の支援、二つの世界遺産や三陸ジオパークを核とした広域観光の推進、震災学習を中心とした教育旅行及び企業研修旅行の誘致等による誘客の促進、さらに復興道路などによる交通ネットワークの整備進展などを見据え、三陸地域における観光等の産業振興や三陸ブランドの強化などを総合的に展開するための予算を計上しております。
これらの事業を着実に推進し、地域資源を活用した産業振興や広域観光を通じた交流人口の拡大など、引き続き、県北・沿岸地域の重点的な振興に取り組んでまいります。
〇五日市王委員 平成18年1月に発足した県北・沿岸振興本部は、この1月で発足から10年の節目を迎えました。これまでの評価と今後の展開について、県北・沿岸振興本部長である副知事に、再任の決意も込めてお伺いいたします。
〇千葉副知事 県北・沿岸振興の評価と今後の展開についてでございますけれども、県におきましては、県民計画におきまして、すぐれた地域資源を生かした産業振興による地域経済の基盤の強化等を柱の一つに掲げ、部局横断的な組織といたしまして、県北・沿岸振興本部を設置し全庁的な取り組みを行ってきたところでございます。この結果、県北・沿岸地域につきましては、食品関連産業や造船業、電子部品製造業、産業用機械製造業などにおきまして、新規企業の立地や地域を牽引する企業への成長などによる雇用が創出されましたほか、食産業やアパレル産業など、地域の特性を生かした産業振興の取り組みが展開されてきているところでございます。
また、県北・沿岸地域の1人当たりの市町村民所得の水準も、県北・沿岸振興本部設置前と比較いたしまして県平均との乖離が縮小されるなど、所得格差の解消にも一定の成果があらわれているのではないかと考えております。しかしながら、一方におきまして、県北・沿岸地域におきましては、人口減少率が県平均を上回っている状況にございまして、若者の地元定着のための産業振興や雇用機会の確保、U・Iターン等の人口減少対策を重点的に実施していく必要がございます。そのため、さきに開催いたしました県北・沿岸振興本部におきましては、今後重点的に取り組む事項といたしまして、若者、女性の活躍支援、地域資源を活用した産業振興、広域観光や復興等のさまざまなつながりを生かした交流人口の拡大などについて推進していくこととしております。
引き続き、全庁的な連携のもと、県北・沿岸地域の振興に総力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
私も本部長として、全力を尽くしていきたいと考えております。
〇五日市王委員 県境産廃についてお伺いいたします。
平成28年度は、原状回復を目指した汚染土壌対策として5億7、400万円の事業費が計上されております。去る1月30日に、地元二戸市で県境不法投棄事案の教訓と跡地利活用を考えるフォーラムが開催されました。跡地の利活用に関して市民からさまざまな意見が出されたところでありますが、残念ながら、二戸市全体の機運醸成にはなっていないようであります。
県では、今後、地元の意見を聞きながら原状回復対策協議会の中で決めていくこととしておりますが、跡地の利活用についてどのように進めていくのか、お伺いいたします。
〇千葉副知事 県境産廃現場におきます跡地の利活用についてでございますが、跡地の利活用につきましては、二戸市民が、本事案の教訓を今後の環境保全はもとより、地域づくりに主体的に生かし、次の世代に伝えていくことが望まれることもございますので、平成27年1月、原状回復対策協議会の中に、地元の環境保全団体や商工団体などで組織されましたワーキンググループを設置し、跡地利活用や原状回復対策の記録、活用等について検討をされてきているところでございます。また、二戸市が本年1月30日に、県境不法投棄事案の教訓と跡地利活用を考えるフォーラムを開催し、多くの市民の方々の参加があったところでございます。
これまでのワーキンググループでの検討やフォーラムにおきましては、跡地利用策としてシバザクラなどの花畑にする、あるいは二戸市の特産品でございます漆の植樹をする、あるいは他地域からの交流促進の場として、ロックフェスティバル等の会場に活用するなどのさまざまな御提言があり、活発に意見交換が行われたと聞いておりますが、残念ながら、若い世代からの意見が少ないということも課題の一つと承知しているところでございます。
県といたしましては、二戸市と連携し、引き続き、ワーキンググループでの意見等やさらなるフォーラム等の開催を通じまして、幅広い世代の市民の方々が跡地利用をともに考える機運をさらに醸成いたしまして、本事案の教訓を生かした環境保全はもとより、地域づくりへの意見交換が活発に行われていくよう、取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 漆の振興についてお伺いいたします。
1998年に開催された長野オリンピックでは、日本らしさをアピールするため、素材に木曽漆を使った金、銀、銅メダルが採用されました。メダルの中心部にはまき絵が使われ、七宝焼きの大会エンブレムがあしらわれていたとのことであります。
2019年ラグビーワールドカップ日本大会や2020年東京オリンピック・パラリンピックのメダルには、国産漆生産量及び品質とも、まさに名実ともに日本一の浄法寺漆を使っていただくよう関係機関に働きかけを行うよう提案をするものですが、知事のお考えをお伺いいたします。
〇達増知事 2019年のラグビーワールドカップや、その翌年の東京オリンピック・パラリンピックは、復興支援に対する感謝のメッセージと復興の姿を世界に向けて発信する機会となりますし、また、スポーツを通じた国際交流の拡大や地域の活性化など、多くの効果が本県にも期待されるものであります。これらの大会のメダルに、漆など本県が誇る地域資源が使用されることは大きなPR効果が見込まれますし、国内外に販路が広がる好機にもなると捉えております。
二戸市においては、昨年9月に、浄法寺漆のふるさと名物応援宣言を行って、オリンピックメダルへの漆の採用に向けた活動を進めているところであり、県といたしましても、こうした関係市町村等の取り組みを支援してまいりたいと思います。
〇五日市王委員 まさに今御答弁いただいたとおり、特に黄金の国でもありますし金色堂もございます。漆に金、これ以上の岩手を世界にアピールするものはないと思いますので、ぜひとも積極的に働きかけを行っていただきたいと思います。
次に、カーリング施設についてお伺いをいたします。
冬季国体も無事終了し、本県選手団の活躍に改めて敬意を表する次第でございます。
冬季国体は、正式競技のみならず、デモンストレーションスポーツとして二戸市と盛岡でカーリング競技も行われ、多くの住民が参加をされました。
私も、2014年3月の予算特別委員会において、カーリングを国体の正式競技にと提案をさせていただきましたが、ハードルが高く、残念ながら正式競技はかなわなかったわけですが、県当局や協会関係者などの御尽力のおかげで、初めてデモンストレーションスポーツとして開催することができました。来年の長野の冬季国体、さらには愛媛の国体でも、カーリングがデモンストレーションスポーツとして行われることが決まったようですので、この流れが全国に広がり、近い将来、カーリングが正式競技となることを御期待申し上げる次第でございます。
さて、これまで何度も取り上げてまいりましたが、冬季国体の盛り上がりにより、県北にカーリングの専用施設をとの機運が再び高まってまいりました。財政規模の小さい自治体では、盛岡市のような投資は難しく、県営あるいは県と市町村の連携作業でなければ実現が難しいのが現状であります。
県北青少年の家へのカーリング専用施設の併設または通年利用の実現を求めるものですが、見解をお伺いいたします。
〇達増知事 カーリング競技は、苫米地選手の活躍や冬季国体のデモンストレーションスポーツとして開催されたことから、地域に愛され交流の輪を広げるスポーツとして、一層の普及、発展が期待されているところであります。
現在、県北青少年の家におきましては、毎週火曜日と金曜日にカーリング専用時間を設けるなど、カーリング競技者への利便性の向上を図っているところでありますが、専用施設の新設のためには、全県的な利用者の見込みや財政負担等含め、慎重な検討が必要と考えるところであります。
青少年の家は、集団宿泊訓練等を通じて健全な青少年の育成を図ることを目的に設置しており、県北青少年の家には、他のスポーツ活動などを含めて、集団宿泊訓練等の場としての利用と、カーリングやスケート等の競技者の利用の両立を図ることが求められていますことから、関係団体の意向等も踏まえながら、引き続き、既存施設の利便性が向上するよう努めてまいります。
〇五日市王委員 またいろいろお願いします。
アパレル振興についてお伺いをいたします。
2月28日、北岩手に集積している縫製業のイメージアップと取引拡大、次代の人材育成を図るため、二戸市で開催された第3回北いわて学生デザインファッションショーにおいて、いわてまるごと売込み隊が身につける衣装が発表されました。知事は、モデルとしてこの衣装を身にまといステージに登場し、いろいろな感想などを持たれたと思います。それらも踏まえて、今後の展開をどのようにしていくのか、お伺いをいたします。
〇達増知事 いわてまるごと売込み隊のユニフォームは、昨年7月に、本県と連携協定を締結した学校法人文化学園のデザイン監修のもとに、北いわてアパレル産業振興会のオーダーメードによって製作しました。対外的な売り込み活動における統一イメージ「黄金の國、いわて。」をモチーフに、黄金カラーの持つプレミアム感を醸し出すとともに、地元事業者の高い縫製技術の仕立てによって、高級感のある仕上がりとなっております。
地産地消といいますと、食がすぐ思いつくところがあると思いますけれども、衣、服飾、この衣の分野における地産地消というものも、着た実感として、このふるさとでつくられた服を着ているという、非常に気持ちのいい感じがするなということを経験いたしました。
今後、国内外のプロモーション活動におきましても、私を初め、いわてまるごと売込み隊の隊員など、関係者が着用して本県の魅力を丸ごとPRしてまいりますし、ユニフォームを通じて、本県のアパレル産業が有する高い技術力をアピールしてまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 新年度の組織、職員体制で、アパレル産業振興体制の強化として、産業経済交流課の地域産業担当課長を総括課長級に格上げされることとしておりますが、具体的な方向性についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 アパレル産業振興体制の強化についてでございますけれども、これまで、アパレル産業の振興につきましては、本庁の政策地域部地域振興室及び県北広域振興局が中心となり、二戸、久慈地域を中心に、県北・沿岸振興の一環としてさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。来年度からは、アパレル産業のさらなる振興に取り組みますため、本庁産業経済交流課の地域産業担当課長を総括課長級に格上げし、県北・沿岸は起点としつつも、全県的な政策の展開に向けた体制の強化を図ることとしております。
アパレル産業は、全県的な産業への展開や、若者、女性の活躍の場などにつながります非常に可能性のある分野であることを見据え、これまでの企業集積や高い技術をもとにいたしましたトップブランド等との取引拡大や、持続的な成長に向けた人材育成などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 風力発電の質問は飛ばしまして企業誘致に行きます。
県北地域への企業誘致の実績は、平成25年度からゼロが続き、非常に苦戦を強いられております。その要因として、地元企業との業務提携や人材確保、原材料の調達などの相談が多く、生産コストの削減や、より投資リスクを重視する動きが強まっていること、また、交通アクセスや通信網などのインフラや高い技術力が求められていることなどが挙げられますが、今後、これらの課題解決のため、具体的にどのような取り組みを行うのか、お伺いをいたします。
加えて、これまでの誘導策以上に魅力的な補助制度や貸し工場など、大胆な政策転換が必要な時期に来ていると思いますが、見解をお伺いいたします。
〇千葉副知事 県北地域の企業誘致につきましては、ただいま委員御指摘のような要因などによりまして、近年、厳しい状況が続いておりますが、今年度、新たに福山通運が立地いたしましたほか、食産業では夢実耕望や十文字チキンカンパニー、電子部品産業では盛岡東京電波が増設を図るなど、誘致企業を初め、地場企業においても規模拡大が相次いでいるところでございます。
福山通運につきましては、いわゆる三陸沿岸道路に着目し、首都圏への物流を見込んで立地いたしましたほか、他の企業におかれましても、三陸沿岸道路を活用した物流を検討しており、こうした交通インフラ整備は、今後、県北地域のさらなる強みになるものと考えているところでございます。
また、焼き鳥加工の日本一フードは、県北地域の鶏肉に着目して立地していますことから、こうした地域資源を活用する企業や、既に立地している企業の取引先企業へも立地を働きかけているところでございます。
このように、今後整備が進んでまいります交通インフラ、あるいは魅力ある地域資源を生かした企業誘致を推進していくことにより、地域の中核となります企業のさらなる増設や、取引先企業へのアプローチによる新規立地に努めてまいりたいと考えております。
また、県北地域への補助制度等につきましては、これまでも必要に応じて強化してきたところでありまして、今後とも、企業ニーズを把握しながら、より効果的な制度となるよう、関係市町村と連携しながら、不断に研究し見直しをしていきたいと考えているところでございます。
〇五日市王委員 そこで、きのうも嵯峨委員からもありましたし関根委員からもお話があったのですが、ものづくり自動車産業振興室、これは私も嵯峨委員と同じ思いでございまして、特に県北地域はもう平成25年、平成26年、平成27年とゼロなわけですね。もちろん、地場企業の拡大という部分では確かに意味はあるんですが、特に県北は食産業の集積を目指して取り組んでいるわけです。どうもそれが自動車という冠になってしまうと、もう食産業はいいのかと、県北はもう3年連続ゼロだから、県北はもういいんだみたいな、何となく取り残され感みたいなのがまた漂ってくるような気もするのですけれども、いずれその辺は、そういうことはなく、しっかりと取り組むということでよろしいですか。
〇千葉副知事 昨日からそういう御懸念等をたくさん頂戴しているところでございます。間もなく新年度の人事異動の時期が参りますので、今回の新組織につきましては、当然、県内の状況に精通した職員を配置しますが、県北・沿岸の企業立地に関し、精通した職員の配置も十分配慮したいと考えているところでございます。
〇五日市王委員 これまで企業誘致に関しましては、DIOジャパンの問題とか大雪りばあねっとの問題もありましたけれども、萎縮することなく全力で取り組んでいただいて、結果をぜひ出していただくように御期待を申し上げる次第でございます。
ふるさと創生についてお伺いいたします。
東京一極集中是正の観点から、政府関係機関の地方移転に関し、文化庁の京都への全面移転が決まりましたが、本県提案の5機関の誘致提案にはゼロ回答でありました。その理由と今後の取り組み方針をお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 政府関係機関の地方移転についてでありますが、本県では、関係市町村と連携し、豊富な森林資源や日本最大の漆生産など、岩手の地域特性を踏まえた五つの政府関係機関の移転提案を、全国的にも2番目に行ったところであります。
提案を受けて行われました国との意見交換では、当該機関が移転した場合に生じるコストなどのデメリットを上回る客観的なメリットの実証や、当該機関との連携実績などの提示を求められたところであります。このうち、国立文化財機構、防災科学技術研究所、水産総合研究センターの3機関については、移転先において当該機関の機能維持が困難であることや、連携する機関の集積や研究成果の蓄積がないなどの理由により、昨年11月の国の有識者会議において、移転の検討を進めないこととされました。また、その時点では、引き続き検討することとされました残る森林総合研究所の漆に関する研究分野、森林技術総合研修所の2機関については、漆を専門とする部門や研究者がいないことや、受講生、講師の交通アクセスを初めとした利便性確保が困難などの理由により、昨年12月に、移転の検討を進めないこととされたものであります。
今般、本県への移転は実現しませんでしたが、県としては、引き続き、全国知事会や北海道東北地方知事会とも連携しながら、東京一極集中の是正の取り組み推進を国に対して訴えていく中で、必要に応じ、政府関係機関の移転についても働きかけてまいります。
〇五日市王委員 最後です。観光振興についてお伺いいたします。
インバウンドの数は2011年から右肩上がりでふえ続け、2015年の訪日外国人旅行者数は1、974万人と、過去最高となりました。これに伴う消費額は約3兆5、000億円となり、猛烈な勢いでインバウンドがふえております。本県の状況をお示し願います。
また、いわて県民計画においても、平成26年度7.3万人泊を、平成30年に8.1万人泊にふやす目標を掲げておりますが、驚くべきスピードでふえ続ける外国人客の増加を考えれば、もっと高い目標の実現も可能ではないかと思います。新年度における今後の戦略についてお伺いをいたします。
最後の質問まで行きます。ワーキングホリデーについても、中身は省略しますが、今後インバウンド誘客の一つの方法として、大いに県としても積極的にPRし活用すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
〇齋藤企画理事 まず、インバウンドの状況についてであります。
観光庁の宿泊旅行統計調査の速報値では、本県の平成27年の外国人延べ宿泊者数は、過去最高だった平成19年の9万7、400人泊を大きく上回る10万5、300人泊で、前年に比べて2万8、170人泊、36.5%の増となっています。このうち、台湾からの宿泊者数が5万人と、約半分を占めているところが本県の大きな特徴となっております。
今後の戦略についてでありますが、これまでは台湾をメーンターゲットに、桜やもみじの人気シーズンの団体ツアーを中心とした旅行商品の造成促進などにより誘客を進めてきたところであります。さらなる外国人観光客の誘致拡大を図るためには、いわゆる個人旅行化にも対応した受け入れ態勢の充実に加えまして、台湾以外では、中国、韓国、香港やオーストラリアなどが非常に最近伸びております。この割合が高いことから、これらをターゲットといたしまして、各国の特性を踏まえたプロモーションの展開が重要と認識しております。
来年度におきましては、いわてインバウンド新時代戦略事業費などとして、引き続き、公衆無線LANや多言語表示などの整備支援や、受け入れ促進セミナーの開催などにより受け入れ態勢の一層の充実を図るとともに、台湾におきましては、夏祭りや雪、食に重点を置いたフルシーズンでのツアー、中国やオーストラリアにおいてはスキー、韓国においてはゴルフなどというように、市場ごとの関心が高いものに着目した特定目的のツアーを中心に、海外PRや海外旅行会社の招請などによるプロモーションの強化を図ってまいります。
〇千葉副知事 ワーキングホリデーについてでありますけれども、若者が一定期間就労しながら、その国、土地ならではの人や暮らし、文化、食などを楽しむ旅行形態でございますワーキングホリデーは、国際交流を促進するとともに、観光面においては、外国人観光客の誘致拡大やリピーターの獲得につながるものと認識しております。
県におきましては、ワーキングホリデーにより、台湾より来県いたしました若者を講師にいたしまして、県内観光関係者を対象としたセミナーを開催し、ワーキングホリデー制度の内容や本県での体験とその感想、台湾と日本の生活や習慣の違いなどについて具体的に講演をしていただくなど、制度の普及も図っているところでございます。
今後も、ワーキングホリデーの活用を初め、さまざまな方策を展開し、国際交流の促進、国際観光の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員長 次に、千田美津子委員。
〔千田美津子委員質問者席に着く〕
〇千田美津子委員 日本共産党の千田美津子です。会派を代表して質問いたします。
まず最初に、子ども・子育て支援新制度の現状と課題についてお聞きします。
昨年4月から子ども・子育て支援新制度が始まり、開始前から、保育士や自治体関係者あるいは保護者などから不安や問題点が指摘されています。
一例でありますけれども、奥州市においては、園児を募集する時期になりまして休日保育をやめる保育所が出て、保護者の間に大変な混乱が起きています。奥州市では2014年度、平成26年度には6カ所の保育所が休日保育を実施していましたけれども、今年度は4カ所に減り、そして、平成28年度からは2カ所に減るとのことであります。このため、市が急遽、公立保育所での対応が必要として検討を始めたようでありますけれども、まだ正式には決まっていないということです。
なぜ休日保育をやめるのかというその理由でありますけれども、園はそれぞれ、休日保育に35人、別なところは20人もの子供たちが登録して、休日保育のニーズはふえています。しかし、職員をふやす余裕もなく、採算がとれないということが原因のようです。
新制度で内容が充実することはあっても、保護者に混乱が起きるような事態は起きてはならないと考えるものです。実施責任は市にありますけれども、県も、市町村任せではなく、一緒になって取り組む必要があると思いますが、知事にお聞きします。
〇達増知事 子ども・子育て支援新制度における休日保育は、市町村が、地域の実情やニーズを踏まえて策定した市町村子ども・子育て支援事業計画に基づいて実施されるものであり、休日保育を実施する施設については減少している市もありますが、全体としては、徐々に増加している状況にあるものと認識しております。
県といたしましては、市町村や保育所等の意見を踏まえつつ、子供、子育て家庭にとってよりよい制度となるように、必要な制度改正について引き続き国に要望してまいります。
また、市町村が、多様な就労形態などにより増大する保育ニーズに適切に対応できるよう、今後とも情報提供や助言を行うなど、国と連携を図りながら市町村への必要な支援を行ってまいります。
〇千田美津子委員 これからも国に要望する、あるいは市町村に支援するということですが、今、県内で問題が表面化しているのは奥州市だけです。幸いなんですけれども、しかし、今、知事からお話がありましたように、勤務形態が多様化している中で、保護者が仕事をやめるか否かの瀬戸際に実は立っているんですね。ですから、本当に対応が必要であります。
ぜひ、見守るというよりも、市と一緒になって対応すべきだと考えますので、その点についてもう一度お伺いいたします。
〇達増知事 県は、保育士・保育所支援センターを設置して、保育士の確保に向けて効果的なマッチングに取り組むこともやっておりまして、その事業内容や体制について、市町村や保育所、潜在保育士のニーズを踏まえながら、県子ども・子育て会議など関係者の意見も幅広く取り入れながら検討し、効果的な事業の展開に努めてまいりますし、委員御指摘のとおり、この子供、子育ては大変重要な分野でありますので、県としてもしっかり対応してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 次に、待機児童について伺います。
新制度は、子育て支援と待機児童の解消が目玉でありましたけれども、解消どころか待機児童がふえています。昨年10月1日現在、盛岡市の198人を筆頭に、北上市が151人など、県内では732人の児童が待機児となっています。まさに働きたくとも預けるところがなくて働けないのが実態です。
この原因でありますが、そもそも市町村の整備計画が不十分ということではないでしょうか。また、国が進めようとしているのが、保育士配置が通常の半分でもよいとする小規模保育や家庭的保育であり、子供の安全に問題があるとされるこれらの施設をふやすのではなくて、思い切って、安心して預けられる認可保育所をふやすべきと考えますが、知事にお聞きします。
〇達増知事 待機児童の解消は、それぞれの地域の実情や利用者の希望に応じて、幅広い選択肢の中で対応していくことが重要と認識しております。
市町村においては、待機児童の解消等のため、昨年度、平成27年度から平成31年度までの5年間の保育ニーズや地域の実情を踏まえて、子ども・子育て会議の意見を聞きながら、市町村子ども・子育て支援事業計画を策定して、認可保育所等の整備や小規模保育事業所の設置などの取り組みを進めているところであります。
県におきましては、市町村等が実施する施設整備に対して財政支援等を行いますとともに、保育士確保の支援に努めているほか、効果的な事業実施に向けて必要な助言等を行っているところでありまして、今後とも、こうした取り組みを通じて、待機児童の解消に向けて保育の実施主体である市町村を支援してまいります。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、保育士の処遇改善についてお聞きします。
待機児をなくす上でも保育士の確保が課題であり、その上でも保育士の待遇改善が重要だと考えます。
先日、奥州市内の保育所を訪問した際に、実習生が3名いたのですが、そのうち2名は男性でした。しかし、園長の話では、民間の保育士は15年間勤務しても手取りは15万円ぐらいにしかならない。そのため、せっかく資格を取っても、特に男性は早目にやめてしまうことが多いのだよというお話をされました。
いわて県民計画第3期アクションプランでは、保育士の処遇改善実施施設を毎年2%ずつ増加させるとしていますが、改善されているのでしょうか、お聞きします。
〇千葉副知事 保育士の処遇改善の現状等についてでございますけれども、第3期アクションプランにおきましては、処遇改善を実施する私立保育所の割合を目標値として掲げているところでございます。これは、平成24年度の保育士の給与水準に対し改善を図った場合に公定価格の加算が受けられる制度となっておりまして、平成26年度では、私立保育所221施設中210施設で実施されておりまして、その率は95.0%となっております。
県におきましては、子ども・子育て支援新制度の導入に当たり、市町村を通じて処遇改善の取り組みについて働きかけてきたところでございまして、平成27年度には、県内全ての私立保育所において、保育士等の処遇改善が実施される見込みとなっているところでございます。
〇千田美津子委員 実施施設がふえているのはすごくいいことであります。ただ、その中身が、私はまだまだ足りないのだと思います。
実は、さまざまな加算が、例えば経験年数が平均して15年以上の保育所には保育士1人分加算できる制度があるのですけれども、私立保育所で該当するのは10%、1割しかないと言われているんですね。ですから、これでは低賃金で働き続けられないということであり、これらの中身を本当に精査して指導していく必要があると思いますので、再度お聞きします。
〇千葉副知事 処遇改善等加算は、基準年度でございます平成24年度の賃金に対しまして、その水準を引き上げた場合に、公定価格の算定に用いる単価に対し、賃金改善要件分といたしまして2%から4%の加算がなされたものでございます。
したがいまして、処遇改善が実施されている施設にありましても、より上位の加算が受けられる取り組みを進めるよう、また、一時金支給で加算の適用を入れている施設では減額を行うことのないよう、さらなる取り組みの強化を促してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 次に、公定価格についてお伺いいたします。
新制度では公定価格が設けられました。幼稚園の価格と保育所の価格を3歳児で比べますとほぼ同じなんですけれども、実は、開所時間は保育所は幼稚園の倍に近いんです。これは、保育所の公定価格を上げないと保育士の処遇改善にはつながらないということをあらわしています。
保育所と幼稚園を同じ8時間で比べますと、保育所は幼稚園の7割程度の運営費となっています。実態についてお聞きします。
〇千葉副知事 新制度におきます公定価格についてでございますが、公定価格は、幼稚園や保育所等におけますこれまでの私学助成や保育所運営費等の額を基準にいたしまして、質の高い教育、保育を提供するために必要な水準として、教育、保育に通常要する人件費や処遇費などの費用を勘案して算定されているものと承知しております。
一方、一時預かり事業につきましては、通常の教育、保育とは別に行われるものであるという考え方のもと、別途、専任職員を配置して行う場合には補助対象となるところでございますが、通常勤務の中で兼務職員により行われる場合には公定価格で算定されることとなりますため、一時預かり事業の補助対象とはならないものでございまして、その場合、幼稚園と保育所における公定価格は6万円程度ということで、大きな制度的な差はないものと承知しているところでございます。
県といたしましては、地域の子育ての中核を担う専門職としての保育士の処遇改善を図ることは極めて重要であると認識しておりまして、そのためには十分な財源の確保が必要でございますことから、これまでも国に対し、さまざまな要望を行ってきたところでございまして、引き続き、国に対する働きかけを強め、保育士等の処遇改善に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今の御答弁で、ちょっと認識が違うのですが、ぜひ現状を調べて今後に生かしていただきたいと思います。
新制度について最後の質問をいたしますが、実は今、日本の就学前教育に対する財政支出がOECD加盟国で最下位となっています。保育予算を本当に大幅にふやさないと、子供たちの保育は守れないというのが実態だと思います。
県としても国にもっと働きかけるべきではないかと思いますが、知事にお聞きします。
〇達増知事 子ども・子育て支援新制度については、保護者や子供が利用しやすい制度とすることはもちろん、多様な保育サービスへの対応のほか、保育士等の配置基準の見直しや職員の処遇改善を初めとする保育士確保対策など、教育、保育の質の改善を図るために十分な財源を確保することが必要でありますので、これまでも国に対し要望を行ってきたところでありますが、引き続き国への働きかけを行っていく考えであります。
〇千田美津子委員 今、全国的に保育所での子供の死亡事故が多発しています。2004年から2014年度まで11年間に163人の子供たちが保育所等で亡くなっています。その7割が認可外で起きているのですね。ですから、こういうことがないように本当に充実した環境をつくることを求めて、次の質問に移りたいと思います。
2件目として、県立病院の現状と周産期医療など医師確保対策についてお聞きします。
県立病院の現状ですが、新しい県立病院の経営計画で職員の増員計画が立てられておりますけれども、特に医師については、ふえるどころか減っているのではないでしょうか。
現状と医師確保が進んでいないその理由は何か、お聞きします。
〇千葉副知事 県立病院の医師の現状についてでありますが、経営計画におきましては、平成26年度から平成30年度までの5カ年で109人の増員を計画し、そのうち平成26年度、平成27年度の2カ年で51名の増員を計画したところでございますが、平成27年度末におきましては、逆に11名の減員が見込まれておりまして、大変厳しい状況になっていると承知しております。
医師確保が進んでいない主な理由につきましては、大学院等で専門医資格の取得を目指す医師の増加によりまして後期研修医の採用が計画人数を下回ったこと、医学部卒業生の都市部や大規模病院志向等によりまして初期研修医を計画どおり確保することができなかったこと、あるいは、これまで招聘してきました医師につきまして、想定しておらなかった退職者が相当数発生したこと、あるいは医師の派遣元でございます関係大学医局自体においても医師の絶対数が不足していることなどの要因によるものと承知しております。
〇千田美津子委員 実態についてはわかりました。
この間の県のさまざまな医師確保に対する取り組みを評価はしておりますけれども、一方では、今お話があったように、せっかく来ていただいた医師をこれ以上減らさない、そういう取り組みの強化も私は重要ではないかと思いますので、その点お聞きします。
〇千葉副知事 いずれ非常に厳しい事態でございますので、今後に向けましては、招聘医師の定着支援のためのフォローアップ面談等を継続して実施する、加えて、初期研修医及び後期研修医の受け入れ体制の充実や研修プログラムのPRの強化、あるいは奨学金養成医師の計画的な配置などにより、必要な医師数の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、次に移ります。
私は2月22日に、医師確保などの問題で、日本共産党の国会議員、そして奥州市の共産党議員団と一緒に厚生労働省等に要請をしてまいりました。厚生労働省の担当者は、医師確保の問題で、医学生に周産期医療を強制することもできず、今のところ妙案はないとの本当に冷たい話でありましたけれども、年内にも報告予定の検討会議の中間報告が出されますし、それとあわせて、特に岩手県への配置をお願いしてきました。
私たちは毎年のようにこのように要請しておりますけれども、私は、被災地の知事が、こういう切実な現状を繰り返し伝えることが重要だと痛感しています。この間どのようにやられてきたのかお聞きするとともに、医学生への働きかけも、知事みずからメッセージをもっともっと出すことも必要ではないかと私は思いますので、その点をお聞きします。
〇達増知事 本県では、産科を初め全ての診療科で医師が不足しているところでありますが、特に深刻な状況にある産科、そして小児科の医師不足を解消する施策を充実させるよう、国に対して継続して予算提言、要望をしております。
また、地域医療の現状について、首都圏におけるシンポジウムの開催や全国紙への掲載などによりまして、被災地岩手から全国に向けて情報発信に取り組んでまいりました。
また、医学奨学生に、将来、本県の地域医療の核となる医師として活躍してもらうためには、地域医療の現状や県民の期待、県の取り組みを伝え、理解してもらうことが効果的であると考えておりまして、毎年度、医学奨学生サマーガイダンスで私がみずから講演しておりますほか、臨床研修医に対しては、毎年度開催している合同オリエンテーションにおいて激励や意見交換を行っておりまして、今後ともこうした働きかけを継続してまいります。
〇千田美津子委員 今お話にもありましたが、知事がみずから講演をされたり、さまざまな取り組みをされているというのはわかりました。ただ、やはり岩手県内における周産期医療については、私は、これまで以上に特別な対策、それが何だと言えないのが非常にあれですが、それが必要だと思います。
知事を先頭に政策的なリードをもっともっとしていただきたいと思いますが、お聞きします。
〇達増知事 周産期医療対策についてでありますが、いわて県民計画に掲げる共に生きるいわての実現に向けて、安心して子供を産み育てられる環境を整備していく上でも、周産期医療の確保は重要な課題であります。
県では、本県の周産期医療を取り巻く厳しい環境に対応するために、県内四つの周産期医療圏を設定して、医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてまいりました。
こうした中で、限られた医療資源のもとで効率的かつ質の高い医療提供体制を実現していくためには、県民の皆さんにも地域医療の現状を理解していただいて、県民みずからも医療の担い手であるのだという意識を持って地域医療を支えていただくことも必要でありますので、本県独自の取り組みとして、知事が代表を務める県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議が中心となりまして、県民総参加型の地域医療体制づくりに取り組んでいるところであります。
また、医師の不足や偏在の根本的な解決に向けては、全国的な取り組みが必要であるにもかかわらず、これまでの国における医師確保の施策の方向性は、都道府県ごとの取り組みにとどまっていますことから、本県では、国全体で医師の計画的養成と適正配置に取り組むことを主眼とする(仮称)地域医療基本法の草案を独自に作成し、その制定の必要性を国に提言してきているところです。
その実現に向けた機運を醸成していくために、引き続き、私も先頭に立ちまして情報発信等を積極的に行って、医師の確保や偏在の解消に向けて取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
それでは次に、雇用対策についてお聞きします。
1点目は、正規雇用の拡大についてお聞きするわけですが、昨年11月に厚生労働省が発表した就業形態の多様化に関する総合実態調査では、労働者に占める非正規雇用の割合が初めて4割に達しました。また、不本意非正規雇用者数が331万人となっているもとで、国も不本意非正規の正規化を言わざるを得なくなったということであります。
そのため、昨年9月から国と都道府県労働局に正社員転換・待遇改善実現本部を立ち上げ、ことしの1月28日には正社員転換・待遇改善実現プラン5カ年計画を策定し、若者や派遣、契約社員などの不本意非正規雇用の割合を半分に減らしていこうとしています。
今後は地域プランをつくるようでありますけれども、県としても、このプランの推進を好機と捉え積極的に取り組むべきと考えますが、お聞きします。
〇千葉副知事 正規雇用の拡大についてでありますけれども、岩手労働局におきましては、非正規から正社員への転換、処遇改善等の実現に向けた取り組みを推進していくため、局長を本部長として、岩手県正社員転換・待遇改善等実現本部を昨年10月に設置したところでございます。
当該実現本部では、本年1月に国が策定いたしました正社員転換・待遇改善実現プランを受け、本年3月中を目途に、今後5年間の非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善実現に向けました施策や数値目標を盛り込んだ岩手県正社員転換・待遇改善実現地域プランを策定することとしておりまして、現在、策定に向けた作業に取り組んでいるところと承知しております。
県といたしましても、この実現本部に商工労働観光部長が副本部長として参画しておりまして、設置直後から、一体となりまして、正社員転換等についての要請活動などに取り組んでいるところでもございます。
今後も、当該プラン策定におきましては、盛り込まれる具体的な内容について、関係機関と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 それでは、次に移りますが、先日、水沢のハローワークを訪ねて雇用の現状について説明を受けました。その際にいろいろやられている施策については説明を受けたわけですが、最後に強調されたのが、実は市町村や関係機関と企業を一緒に回って正規雇用の拡大をお願いしているけれども、中には逆に、行政が正規雇用の範を示すべきではないかと、いわば逆襲ですね、そういうことがあったとお聞きしました。
今、官製ワーキングプアが問題視されておりますけれども、私は、やはり行政が率先して非正規雇用から正規雇用への転換を図るべき、改善すべきと考えますが、知事にお聞きします。
〇達増知事 県では、地方公務員法の規定にのっとって、任期の定めのない常勤職員のほか、特定の経験を必要とする業務については非常勤専門職員を任用し、また、緊急の場合や比較的軽易な業務については期限付臨時職員を任用しております。
震災以降、増大する業務に対応するために新採用職員の数をふやしているところでありますが、引き続き、多様な行政ニーズに対応できる人員体制を構築するため、地方公務員法の規定にのっとって、職員の採用に取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 今、県の軽易な仕事とお話をされましたが、実際はそうではないと私は聞いています。県の臨時職員は出先を含めて630人いらっしゃると伺いました。それで、人数もさることながら、待遇面でも、例えば月20日以上働いても15万円以下、1年間働いても本当に200万円にならない、そういうワーキングプアが大半なんですね。
県庁がそういうワーキングプアを創出している、これは、私は本当に改善していかなければならないことではないかと考えますので、その点、もう一度お伺いいたします。
〇風早総務部長 非常勤職員、臨時職員の賃金についてのお尋ねをいただきました。
非常勤職員及び期限付臨時職員の報酬額等につきましては、一般職の職員の若年層の給与水準を考慮し決定しておりまして、職員の給与改定の状況に応じて報酬額等の見直しを行っているところであります。
平成27年度における報酬額等でありますが、いわゆる行政職に準ずる非常勤職員は、週5日の勤務、週の勤務時間が29時間である場合、22万3、500円を限度として報酬額を決定しております。
同じく事務、技術に従事する期限付臨時職員は、日額5、900円から6、870円の範囲内で決定しておるところでございます。
引き続き、将来の県が対応すべき行政ニーズの推移、職員の年齢構成のバランス等も勘案し、適正な規模の採用を行うとともに、これを補う形での任期付職員や臨時職員の任用を行ってまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひ適正な雇用とあわせて、時給1、000円に満たないこういう状況を改善していくべきだと私は思いますので、今後の取り組みに期待して、次に移ります。
障がい者の法定雇用率達成企業割合が半数程度となっています。これをどう支援し、改善していくお考えなのかお聞きします。
〇千葉副知事 障がい者雇用についてでございますけれども、岩手労働局が昨年11月に発表いたしました調査結果によりますと、県内企業での障がい者の実雇用率は1.99%、雇用者数は2、765.5人と、いずれも過去最高となっているところでございますが、法定雇用率達成企業は、今お話がございましたように54.1%となっている状況にございます。
このため、県といたしましては、岩手労働局と連携し、事業主における障がい者雇用に係る理解を一層促進し、雇用の場を確保するため、商工団体や経営者団体に対し要請活動を行っておりますほか、国の外郭団体でございます独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構岩手県支部と連携し、障がい者を積極的に雇用し、かつ、定着率の高い事業所や、それぞれの事業所にて優秀な勤務実績を上げている障がい者の方々の表彰等も行っているところでございます。
また、就職を希望する障がい者の方に対しましては、就職に必要な知識、技能の習得等を図るため、教育訓練機関や企業等に委託いたしまして職業訓練を実施しているところでもございます。
さらに、障がい者御本人、家族及び事業主に対しまして就労支援を行います障害者就業・生活支援センターや障がい者支援施設などに配置されております当該業務従事者について、専門的かつきめ細やかな職場適応支援ができるようスキルアップを図るための研修なども行っているところでございまして、このような総合的な取り組みを通じまして、障がい者雇用の一層の促進を図っていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 雇用対策についての質問の最後に、若者の離職対策についてお聞きします。
ハローワークでは、さまざまフォローアップに取り組んでいるけれども、限界があると。そのため一番有効なのは、生徒の顔も事情も知っている高校の先生方が、もっと声をかけてもらって、悩みを聞いたりアドバイスすることが大事ではないかとお話をしてくれました。
そこで、高校生の離職の実態と高校の相談体制を充実させることが重要だと考えますが、この点お聞きします。
〇千葉副知事 若者の離職対策についてでございますけれども、岩手労働局の調査によりますと、本県の高校卒業者の就職1年目の離職率は、ここ数年低下傾向にあるものの、3年目までの離職率は、依然として高どまりの状況にあると承知しております。
このため、高校におきましては、進路指導担当教員が卒業生の就職先事業所を訪問し、雇用主や本人との面談等を通じて就労状況の把握に努めておりますほか、多くの高校において、県内外で開催されます同窓会総会や支部総会に新卒者を招き激励する機会を設けているところでもございます。
また、各広域振興局に配置しました就業支援員が、高校と連携いたしまして、高校生に対し、就職相談や面接指導などの支援を行っておりますほか、企業を訪問し、就職後の定着支援も行っているところでございます。
また、今般設立いたしました、いわてで働こう推進協議会につきましては、教育機関やPTA関係機関も参画しておりまして、早期離職対策についても全県的に取り組んでいくこととしております。
〇千田美津子委員 ぜひ、さらに充実をお願いしたいと思います。
それでは、最後の質問になります。放射能対策の現状と課題について知事にお聞きします。
3.11東日本大震災津波、そして、福島第一原発事故から間もなく5年がたとうとしております。しかし、県内、特に原発問題では、汚染状況重点調査地域と指定された県南地域の放射能による汚染問題は、なお大きな問題となっています。
例えば、奥州市においては、放射能に汚染された側溝汚泥や稲わらの問題があり、共同仮置き場を設置して、そこに搬入された汚泥の保管期間を行政は住民の皆さんに3年と約束しており、その期限があと1年に迫っています。どこに移動するのかが課題となっておりますが、国に聞いても、国は何らの方針も示してはおりません。
また、仮置き場を設置できず側溝に放置されたままの汚泥は、悪臭を放つ状態にあります。国は、8、000ベクレル以下は通常の廃棄物として扱うと言いますけれども、この汚泥を最終処分場に搬入することは、地域の理解を得ることが極めて困難であります。また、汚染稲わらは、今なお多くの畜産農家あるいは中間保管施設に保管されています。
このような現状に対し、県も、市町村任せではなく、いつまでに、どう対応するのか見通しを示すべきだと思いますが、お聞きします。
〇達増知事 県では、処理を促進するために、県独自のガイドライン策定や財政支援など課題解決に向けて市町村を支援してきたところであります。
道路側溝汚泥については、空間線量率はほぼ問題のないレベルに低減しているところであり、一時仮置き場の確保については、一部地域では住民理解を得ながら徐々に進みつつありますが、最終的な処理については、国から処理基準が示され次第、適切に処理されるよう市町村を支援してまいります。
農林業系副産物につきましては、生活ごみと混焼して、焼却灰の放射性物質濃度が高くならないようにコントロールして安全に処理が進められているところであります。
稲わらにつきましては、市町村による焼却処理が終了するまでの間、これらを適切に保管するために、一時保管施設等の整備のほか、中長期保管対策として施設の維持管理等を支援しているところです。
今後とも、地域住民の理解が得られるように、住民説明会への県職員の派遣など技術的支援等も継続するとともに、早期処理に向けて、地域の実情に応じた支援や処理基準の早期提示を国に対して引き続き要望してまいります。
〇高橋但馬委員長 次に、小西和子委員。
〔小西和子委員質問者席に着く〕
〇小西和子委員 社民党の小西和子でございます。早速質問に入ります。
最初に、将来の県財政の見通し等についてですが、一つ目の質問につきましては、五日市委員と重複しておりますので割愛いたします。
二つ目の質問、国は地方交付税の基準財政需要額算定に係るトップランナー方式を2016年度から実施するとしていますが、トップランナー方式についての見解を伺います。また、トップランナー方式の本県への影響についても、あわせて伺います。
〇風早総務部長 地方交付税の算定についての御質問をいただきました。
トップランナー方式につきましては、昨年6月の国の骨太の方針において、地方団体の歳出の効率化を推進する観点から、歳出効率化に向けた業務改革で他団体のモデルとなるようなものを地方交付税の算定に反映することとされたものであります。
交付税算定に用いる各種業務経費のうち、学校用務員事務や道路維持補修、本庁舎清掃業務など23業務の経費について、今後3年から5年程度をかけ段階的に、民間委託などの業務改革を前提とした経費水準に見直すこととされております。
この制度の導入に当たりましては、条件不利地域等、地域の実情に配慮するとともに、住民生活の安心・安全が確保されることを前提とした合理的なものとし、交付税の財源保障機能が損なわれないようにすることが必要と考えており、国の検討状況を注視するとともに、必要に応じ、地方6団体とともに制度に関する提言等を行ってまいります。
なお、本県への影響についてのお尋ねでございますが、現時点では詳細が示されていないため、本県への影響額を算出することは困難であります。
〇小西和子委員 トップランナー方式というのは、地方創生と言いながら、国主導で地方の合理化を推し進めようとするものであり、交付税を人質として、抵抗できないまま地方自治が脅かされるおそれがあります。
国の一方的な交付税算定方針に対し歯どめをかけるため、地方が了解していない制度に対しては反対の方針を示すべきと考えますので、よろしくお願いいたします。
次に、二つ目に入ります。男女共同参画の推進と女性活躍支援について伺います。
昨年、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野で性別格差を評価した国別ランキングで、日本は145カ国中101位と発表しました。先進国では最低の順位でした。識字率や高校までの教育水準では世界一ですが、国会議員や企業の管理職に女性の割合が低いことなどが全体の評価を下げています。調査をした世界経済フォーラムは、日本は過去10年間で男女格差が4%しか縮まっていない。格差が完全に解消されるまで118年かかると言っています。
政府の成長戦略の女性活躍推進法が昨年8月に成立しました。潜在労働人口と言われる315万人の女性をターゲットにし就業率を高めることを打ち出しました。しかし、賃金格差、非正規雇用、仕事と子育てとの両立が困難という高いハードルに対する対策は見当たりません。男女間の賃金格差を是正して女性の権利に関する公正な環境を整えることで、初めて女性が活躍できるのではないでしょうか。
非正規労働者の約7割が女性である中、労働者派遣法改悪により派遣期間制限がなくなれば、ただでさえ不安定な女性の雇用が、さらに揺らぐことになります。現在でも、派遣で働く女性の多くは、産休や育休をとることが困難な状況に置かれています。また、妊娠、出産を機に辞職せざるを得ない状況やマタニティーハラスメント、長時間労働の是正なくして真の女性の活躍は進みません。一握りの女性の活躍ではなく、シングルマザーや貧困に苦しむ女性を含む全ての女性の底上げによる活躍推進が求められています。
本県では、この法律の制定に先立ち、昨年5月に官民連携組織であるいわて女性の活躍促進連携会議を設置して、新たに産業団体や経済団体と連携しながら、女性の活躍に関する講演会、ロールモデル提供事業などを実施することによって、女性の活躍を支援する機運の醸成や関係団体との連携の強化が図られたということでしたが、岩手における女性の活躍推進の課題解決のための2016年度の取り組み内容について、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 今定例会に提案していますいわて男女共同参画プランの改訂版では、新たな施策の基本的方向として女性の活躍支援を掲げて、さまざまな状況に置かれた女性が、みずからの希望を実現して個性と能力を発揮できる施策を展開することとしています。
女性の活躍については、男女双方にとって子育てをしながら働きやすい環境整備が重要であり、産業団体や経済団体と連携して、女性の活躍のための経営者研修やワーク・ライフ・バランスを推進するセミナーを実施するなど、企業の経営者や男性従業者に対する意識啓発を引き続き進めてまいります。
また、育児のために仕事を中断した女性に対する能力開発や、ひとり親家庭等の就労支援などにも取り組んでまいります。
さらに、平成28年度からは、女性活躍推進法に基づいて、就労、子育て、福祉などの女性の活躍に関する関係機関の紹介や有用な情報を提供する相談窓口を男女共同参画センターに設置することとしておりまして、さまざまな状況に置かれた女性が活躍できるよう、男女共同参画の施策を推進していくこととしております。
〇小西和子委員 よろしくお願いします。
女性の活躍推進のためには、企業トップや管理職を含め、地域社会全体が女性の活躍支援に関心を高め、性別による役割分業意識の解消や長時間労働の抑制といった働き方の見直しなどを図ることが課題となっているということでしたが、取り組みに当たって、事業者等や市町村の役割について知事にお伺いいたします。あわせて、具体的な推進方法と実効性についてもお伺いいたします。
〇達増知事 女性が活躍するためには、企業や団体等が長時間労働の抑制など働き方の見直しを進め、男女双方にとって、仕事と家庭生活や社会活動を両立することができる環境を整備し、女性の採用や管理職への登用などに積極的に取り組むことを期待しています。
県としては、いわて女性の活躍促進連携会議の構成団体と連携しながら、各種経済団体との懇談会などさまざまな機会を活用して、企業に期待される役割が発揮されるよう働きかけてまいります。
また、市町村においては、地域の職業生活における女性活躍支援の取り組みに加えまして、地域づくりや各種審議会等、方針決定過程の場など、あらゆる場面における女性の参画や性別による役割分担意識の解消に向けた意識啓発などに取り組むことが必要と考えております。
県としましては、今定例会に提案しているいわて男女共同参画プランを市町村担当課長会議等でも示しながら、市町村の取り組みが推進されるよう情報提供や助言を行ってまいります。
〇小西和子委員 実効あるものになるようによろしくお願いいたします。
三つ目ですけれども、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律を機に女性の活躍を推進するのであれば、男女共同参画推進条例未制定の市町村に制定を促すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
〇達増知事 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律では、区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画の策定を市町村の努力義務と定めておりまして、市町村が女性の活躍を推進する上では、この法律に基づく計画を策定することが重要でありますことから、県では市町村に対して、必要な情報提供や助言を行っております。
条例の制定は市町村の自主的な判断によるものでありますが、男女共同参画推進条例については、男女共同参画社会の実現に向けた自治体の決意を表明するものであり、男女共同参画を進める上で意義あるものと認識しておりますので、市町村においても条例が制定されることを期待しております。
〇小西和子委員 内閣府の調査、男女共同参画に関する市区町村の条例の制定状況の割合は、全国平均が34.4%で、岩手県は4市町しか制定しておりませんので12.1%です。40番目です。下から数えて8番目です。実は、県庁所在地で条例を制定していない市は、高松市、徳島市、和歌山市、秋田市、青森市、そして盛岡市です。青森市では次年度制定するということでありますので、残り5市です。
福井県の越前市の条例が実効あるものと言われております。苦情や相談に応えるため、男女平等オンブッドが委嘱されています。活動の一例としては、事業所訪問を実施し、男女共同参画についての状況把握をし、女性の就業分野拡大、役職登用、男性の育児休業取得促進などについて周知、啓発を行っています。実際に事業所に出向くことで実効性が高くなっております。
本県も、研修の啓発のみではなく、行動に移していくべきと考えます。
続きまして、子供を産み育てられる環境の整備についてお伺いいたします。
少子高齢化が言われて数十年が経過しております。1990年、合計特殊出生率が1.57となったときに1.57ショックと言われ、政府はエンゼルプラン、その後、少子化社会対策基本法、次世代育成支援対策推進法を制定しました。しかし、合計特殊出生率はさらに低く1.42にとどまっています。
フランス、イギリス、スウェーデン等の国で出生率が高いのは、出生率の数値目標を定めて取り組みを進めてきたのではなく、保育の充実、出産、子育てや就労に関しての環境整備を重点的に進めてきた結果です。
本県の少子化の背景要因は、雇用の不安定化と将来への不安の広がり、労働環境の整備のおくれ、特にワーク・ライフ・バランス、家庭における性別役割分業、厳しい出産、子育て環境が挙げられます。
ふるさと振興総合戦略の基本目標に、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指しますとありますが、2016年度の少子化の背景要因の改善の取り組みについて知事にお伺いいたします。
〇達増知事 ふるさと振興総合戦略では、社会全体で子育てを支援して出生率の向上を目指す施策として、就労、出会い、結婚、妊娠・出産まるごと支援プロジェクトとともに、子育て支援プロジェクトを掲げております。
これらのプロジェクトを軌道に乗せるため、来年度は、いわて子育てにやさしい企業等の認証の推進やワーク・ライフ・バランスをテーマとしたセミナーの開催などの普及啓発、安定的な雇用の確保や働き方改革に向けた取り組みの推進についての関係団体に対する要請活動を行ってまいりますほか、いわてで働こう推進協議会におきまして、若者や女性等の県内就業の促進や働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を行うこととしております。
また、地域において男女共同参画を推進する男女共同参画サポーターなどの人材育成や男女共同参画センターが実施する講座開催や情報紙の発行などにより、固定的性別役割分担意識の解消にも取り組んでまいります。
こうした取り組みに加えて、不妊に悩む方への支援や周産期医療の確保、子供の医療費助成の実施と現物給付化への対応、多様な保育サービス等の充実などに取り組むこととしておりまして、今後とも、結婚から妊娠、出産、子育てまでのライフステージに応じた切れ目ない支援の充実を図ってまいります。
〇小西和子委員 よろしくお願いします。
女性活躍の推進も少子化対策も、男女平等を根幹に据えた社会づくり、男女共同参画社会の構築を抜きにして実現することはできません。どちらもワーク・ライフ・バランスの推進をうたっておりますけれども、次年度、各部局合計の予算額は90億円余と前年を下回っています。女性への差別、押しつけを放置して仕事と家庭のワーク・ライフ・バランスがとれていないままでは、多くの女性にとって二重、三重の負担となりかねません。ぜひ実効ある取り組みを要望します。
最後に、子供の貧困対策についてお伺いいたします。
子供の貧困は、子供の教育機会や文化的体験の格差に著しく影響し、子供の成長に大きなマイナスの影響を与えています。
日本の子供の貧困率は、2012年には過去最高の16.3%となりました。子供の6人に1人に当たります。OECDの子供の貧困率の平均は13.3%ですから、日本の子供の貧困は、国際的な比較でも深刻です。しかも、日本では、この貧困の連鎖が拡大する傾向にあることが問題となっています。
ひとり親家庭の窮状はさらに際立ちます。大人が1人の世帯の子供の貧困率は、2012年は54.6%となり先進国で最悪の高水準です。特に、ひとり親の約9割を占める母子世帯は増加傾向にあります。日本の母子世帯の特徴はワーキングプアが多いことです。他の先進諸国に比べても就労率が高く、約8割が就業していますが、岩手県の母子世帯の月の就労収入は5万円未満の世帯から15万円未満の世帯までを合わせて66%です。正規労働者の待遇改善、男女の雇用賃金格差、ワーク・ライフ・バランスの改善が問われています。
自治体の子供の貧困対策に当事者の意見が反映される子どもの権利条約の理念が盛り込まれ、実効性のある計画が策定される必要があると考えますが、現状と2016年度の取り組みについて知事にお伺いいたします。
〇達増知事 現在策定を進めているいわての子どもの貧困対策推進計画には、各分野における子供の貧困にかかわるデータ収集によって本県の現状を把握した上で、パブリックコメントによる県民の声や、市町村、NPO団体等からの意見を反映させているところであります。
また、この計画には、子どもの権利条約の趣旨も踏まえ昨年制定したいわての子どもを健やかに育む条例に規定する子供の権利尊重などの理念のもと、具体的な推進施策などを盛り込むこととしているものであります。
子供の貧困対策については、まずは、本年度内に計画を策定し、平成28年度から、この計画に基づいて、子供の将来が、生まれ育った環境に左右されることなく、子供たちが自分の将来に希望を持てる社会の実現を目指して、教育の支援、生活の支援、経済的支援などの各般の施策に総合的、計画的に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 選挙権の18歳への引き下げの関係からも、意見表明権に基づく政策が重要になってきます。重点化して進めていただければと考えます。
どこで、誰が困っているのかを見える化し、自立に向けた物心両面での子供たちへの直接支援を行うべきと考えますが、2016年度の取り組みについてお伺いいたします。あわせて、民間で子ども食堂の取り組みが行われておりますが、県としての支援策をお伺いいたします。
〇千葉副知事 子供への直接支援についてでありますが、県では、公的支援の対象となっている子供に関する統計資料等によりまして子供の貧困の実態の把握に努めておりまして、例えば、生活保護世帯の子供や就学援助を受けている子供の割合は、最近3カ年ではおおむね横ばいの状況にございます。
いずれ、こうした状況等も踏まえまして、生活困窮世帯の子供を対象とした学習支援事業において、学習への助言指導とともに、進路相談や悩み相談に応ずる取り組みなどを行っておりますほか、平成28年度には、新たにひとり親家庭の子供の学び直しのための費用助成や、児童養護施設退所児童等の自立支援に向けた貸付事業を行うこととしているところであります。
また、NPO法人等が行いますいわゆる子ども食堂の取り組みは、先般、県内でも初めて開設され、食事の提供のほか、地域の人々との触れ合いの場として参加者から好評を得ていると聞いているところでございまして、県といたしましては、平成28年度に、こうした取り組みを含めて子供の貧困対策に取り組む市町村に対し、国の新たな交付金を活用して支援を行うこととしております。
〇小西和子委員 子ども食堂は、食事をいただくだけじゃなく、そこで交流もし、それから、何に困っているかということも交流するわけです。例えば、どこどこ中学校の女子の制服が足りないので協力をお願いしますなどという話が先日ありました。よろしくお願いいたします。
次、ちょっとダブっているかと思いますが、生活保護世帯等に対する学習の場の提供について、2015年度は生活困窮者自立支援制度に基づく事業として8市町で取り組みましたが、2016年度は参加者、対象地域の拡大が図られるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 生活保護世帯等に対する学習の場の提供の拡大についてでございますが、平成28年度におきましては、新たに1市が事業の実施を検討していると聞いておりまして、対象地域の拡大が見込まれるところでございます。
また、今年度事業を実施している地域におきましても、盛岡広域振興局管内の5町が定員の拡大を予定しており、3市が夏季及び冬季休業時における開催日数の増加や、学校等と連携した事業の周知による参加生徒の増員などについて検討しているところと承知しております。
県といたしましては、今後も、実施自治体に対しまして、先行して実施している取り組み事例の紹介などを通じ事業の実施を働きかけていきますとともに、県が所管しています町村部につきましては、地元町村の協力が得られるよう協議を重ねながら、引き続き、参加者や対象地域の拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 貧困の連鎖を断ち切るためにも、ぜひよろしくお願いいたします。
次に、乳幼児のいる低所得世帯に対する支援について、いわての子どもの貧困対策推進計画にどのように盛り込み2016年度取り組みを進めるのか、お伺いいたします。
〇千葉副知事 乳幼児のいる低所得世帯に対する支援についてでございますけれども、県では、子ども医療費助成事業により、市町村が乳幼児の医療費を助成した場合に、その経費の一部を補助しておりまして、市町村民税が非課税である場合は、医療費の受給者負担は生じないようになっておりますほか、平成28年8月からの未就学児に係る医療費助成の現物給付の実施に向け、現在取り組んでいるところでございます。
また、乳幼児のいる生活保護世帯につきましては、生活保護の基準額として、乳幼児1人につき1万円または1万5、000円の加算を行っております。
なお、市町村では、保育所の利用者負担について、国が定める軽減措置に上乗せして、世帯の状況に応じた独自の軽減措置を講じているところもございます。
こうした乳幼児のいる低所得世帯に対する支援につきましては、今般策定いたしますいわての子どもの貧困対策推進計画の中に、生活の支援、経済的支援の具体的な施策として盛り込み、計画的に推進していきたいと考えております。
〇小西和子委員 乳幼児等のいる低所得世帯に対して支援をしていくことで、将来の生活保護世帯、それから、保護受給者の人数を減らすことができるといった研究がされておりますので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。
最後に、貧困の状態にある家庭ほど虐待の傾向が強くなっているというデータがありますけれども、本県の傾向をお伺いいたします。
また、虐待の相談件数の増加から、2016年度は体制を見直し、取り組みを強化するとのことでしたが、具体的にお示しください。
〇千葉副知事 経済的に困窮した家庭の虐待傾向と取り組みの強化についてでございますけれども、貧困と児童虐待の関係につきましては、例えば平成20年度版青少年白書におきましては、平成18年度の虐待により子供が亡くなった全国の事例を検証した報告では、その家族の経済状況を見ますと、生活保護世帯や市町村民税非課税等世帯の合計の割合が84%に上っていることなどが報告されております。
本県におきましては、今申し上げました虐待による死亡事案に係ります家庭の経済状況に関するデータはないところでございますけれども、虐待を理由に施設や里親に措置した児童に限定してみますと、平成26年度の場合、生活保護世帯や市町村民税非課税世帯の合計の割合は73.3%となっているところであります。
次に、虐待対策の取り組みの強化につきましては、複雑、多様化する児童虐待に対応するため、県ではこれまでも、順次、児童福祉司の増員や虐待対応専門チームの設置など体制の強化を図ってきたところでございますけれども、平成28年度におきましては、さらなる相談体制の強化を図るため、児童福祉司を2名増員することとしております。
〇小西和子委員 子供を家に残して仕事に出かけるということ、それがもうネグレクトという虐待に入るわけでありますので、高いというのはうなずけることだなと思います。
それから、児童福祉司2名増員ということでございますけれども、実際、今、休んでいる方もいらっしゃいますし、他県からの応援の職員もいらっしゃいますので、さらなる強化をお願いしたいと思います。
ひとり親、特に母子家庭の抱える課題は社会の縮図と言われています。被災した沿岸部では、ひとり親家庭の窮状が震災によってさらに深刻化していると言われておりますので、いわての子どもの貧困対策推進計画を実効あるものにすることを要望して、終わります。
〇高橋但馬委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時4分 休 憩
午後1時2分 再開
〇高橋但馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小野寺好委員。
〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党、小野寺好です。
東日本大震災津波からもう5年が経過しますが、この間、県は、復興事業を最優先課題とした結果、復興関係予算は5年間の累計で2兆5、000億円を超えました。さらに、平成28年度県一般会計予算の震災対応分は4、000億円余となっています。道路、港湾等のインフラは復興の様子が目に見えておりますが、被災者の生活や個人住宅の再建に関しては、決して十分に効果があらわれているとは言いがたい状況にあります。こうした被災者の生活及び住宅再建に関しては、どのような成果を目指し、対応がなされているか伺います。
家賃のかからないプレハブ仮設から出たくないとか、みなし仮設の借り上げ状態を続けてほしい等の要望があります。災害公営住宅に入居しても、家賃を払えなくなった場合に退去させられることを懸念しているからではないかと思われます。日々の生活苦に悩んでいる被災者に対し、どのような住宅政策が用意されているか伺います。
〇中村復興局長 被災をされた全ての方々が、一日も早く応急仮設住宅から恒久住宅に移られ、安定した生活を取り戻していただくことを目指して、現在取り組みを進めてございます。このため、恒久住宅への移行につきましては、災害公営住宅の整備を急ぎ進めているほか、持ち家による住宅の再建を促進するため、被災者生活再建支援金に加え、県と市町村が共同で最大100万円を補助するなどの支援を行ってございます。また、恒久住宅に円滑に移行していただくため、現在、住宅相談会やファイナンシャルプランナー等の専門家による相談を行っているところであり、来年度はこれに加え、内陸に避難をされている方の住宅再建の意向を把握し、適切な支援を行うことを目的とした支援センターを設置することとしてございます。
次に、被災者に対する住宅政策についてでございますが、持ち家の建設等により、住宅をみずから確保することが困難な方々につきましては、公営住宅にお住まいいただくことを基本的な方針として、災害公営住宅の整備に取り組んでおります。
災害公営住宅につきましては、一般の公営住宅と同じ算定方法による低廉な家賃で入居できることに加え、特に収入が低い方につきましては、一定期間特別に家賃が低くなる措置があり、また、敷金を免除するなどの配慮も行っております。
災害公営住宅への入居を希望される方々の中には、家賃に対する不安等をお持ちの方もいることから、今後も入居の御相談に対して丁寧に対応してまいります。
〇小野寺好委員 公共交通について伺います。
南北の三陸鉄道リアス線に関しては、関係者の必死の奮闘で復旧を果たしましたが、沿岸地域の人口減少等による影響で、利用者が増加することは難しくなっています。地域にとっては重要な公共交通手段の一つですので、県としての復旧後の支援方針を伺います。
JR大船渡線の一部はBRTでの本格復旧となりましたが、改めて、地元利用者にとってのメリット、デメリット、まちづくりにとっての影響はいかがでしょうか。
高校生の通学手段として利用されていることを含め、県は、JR大船渡線のBRTに、どうかかわっていくか伺います。
〇大平政策地域部長 公共交通についてでありますが、まず三陸鉄道についてでございます。
三陸鉄道におきましては、適切な設備の管理や更新等により、維持管理に要する経費の抑制を図るとともに、地元における定期客などの利用のほか、地域の特性を生かしながら観光、団体客の利用を促進することにより増収を図り、経営の安定化につなげていくことが必要と考えてございます。このため、県といたしましては、老朽化が進む三陸鉄道の設備の維持、整備に当たっては国の補助制度を活用し、沿線市町村とも協調しながら補助しているところであります。
今後とも、これについては継続してまいります。
また、県と沿線市町村が連携しながら、岩手県三陸鉄道強化促進協議会を通じまして、団体利用客への補助や企画列車の運行等による利用促進への支援を行っているところであり、地域の交流人口の拡大を図りながら、より一層の利用者の増加につなげてまいります。
次に、JR大船渡線BRTについてでありますが、BRTの利用者にとってのメリットといたしましては、利用者のニーズに応じたダイヤやルートの柔軟な設定、変更が可能であることが挙げられます。一方、デメリットといたしましては、鉄道に比べて大量輸送性、速達性に劣ることなどが挙げられるところであります。
まちづくりにおきましては、大船渡駅周辺のルートが復興まちづくりの進捗に応じて変更されたように、BRTは駅の新設やルート設定等が容易であることから、復興加速化に合わせた柔軟な運用が可能であると考えております。
高校生の通学利用に関しましては、JR東日本は、これまで、高田高校の再建に伴い高田高校前駅を新設するとともに、地元高校生の意見を踏まえダイヤ改正を行うなど、利便性の向上が図られてまいりました。
県といたしましては、今後、沿線自治体とJR東日本との間で、BRTの利便性向上等について協議を進めていくこととしていることから、高校生の通学の一層の利便性向上も含め、沿線自治体の意向が反映されるよう支援してまいります。
〇小野寺好委員 東日本大震災津波関係以外の公共交通の維持、確保と利用促進について伺います。
県は、IGRいわて銀河鉄道の経営に責任を持つことになりましたが、黒字経営は見込めず、毎年経営安定化対策費を計上しています。新年度のIGR関係経費と、人口が減少していく中での経営見通し、通学者への支援への県負担のあり方を伺います。
かつて、IGRに4カ所の新駅を設置し、新たな乗客を獲得することによって売り上げを伸ばしたいとの計画がありましたが、10年以上経過し、人口動態、道路事情も変化した中でいかがお考えでしょうか。
青山駅の利用状況、投下した費用と新たな利用者にとっての便益、運賃収入の現状と展望を伺います。
〇大平政策地域部長 IGRに対しましては、沿線市町と連携しながら、車両更新に係る基金造成を行っておりますほか、委員御案内の経営安定対策費としては、災害復旧に要する費用を支援しているものでございます。
経営見通しについてでありますが、貨物線路使用料により当面安定した収入が確保される一方で、沿線人口の減少や少子高齢化、設備の老朽化、寝台特急の廃止などによる厳しさも見込まれております。
IGRでは、今後、通学者向けの企画定期券の販売や駅の利便性向上などによる利用促進、また、旅行業、不動産業等関連事業の展開などにより増収を図り、経営の安定強化を図っていくこととしております。
県といたしましては、沿線市町と連携し、いわて銀河鉄道利用促進協議会等を通じこれらIGRの取り組みを支援するとともに、先ほど申し上げた基金造成などを通じて、利用者の利便性の確保とIGRの経営の安定化に向けて支援してまいります。
また、新駅についてでございますが、開業後3年以内に需要が見込まれる地点に2駅、おおむね10年以内にさらに2駅の設置を目標としていたものであり、平成17年度には青山、巣子の2駅が設置されたものであります。
新駅整備は、地元市町が主体になることを基本としておりまして、沿線住民の利便性の向上を図るとともに、IGRの経営にも大きく貢献するものであり、費用対効果も踏まえながら、IGR、関係市町と引き続き検討してまいります。
青山駅に関してでございますが、開業に係る事業費は約4億6、000万円であり、そのうち、県と市町村が1億9、000万円ずつ補助してございます。
また、青山駅の1日当たりの平均乗降人員は、開業が年度途中でありましたので翌年度の数値を申し上げますと、開業翌年度の平成18年度は1、327人でありまして、それから毎年増加し、平成26年度の実績は3、007人となってございます。
運賃収入につきましても、平成26年度には平成18年度の1.5倍となってございます。
青山駅周辺は居住人口が多く、県営運動公園や体育館などの公共施設も立地しており、非常に利便性が高い駅として機能しているものと考えております。昨年11月には南口が新たに設置され、さらに飲食、物販店舗、観光カウンターの設置など、さらなる利便性の向上を図っております。地域の交流の拠点としても、より一層の利用が拡大されることを期待しております。
〇小野寺好委員 地域の路線バスについても同じことが言えますが、新年度の地域バス交通支援関係費とバス交通の展望を伺います。
マイカーを持たないいわゆる交通弱者と言われる方、免許証を返納したほうがよいと思われる高齢ドライバー等は、電車、バス、タクシーに頼ることになりますが、高齢社会における公共交通、山間地、沿岸部における交通手段はどう確保していくか、基本方針を伺います。
〇大平政策地域部長 地域バス交通支援関係の経費とバス交通の展望についてでございます。
地域バス交通支援においては、赤字となっているバス路線に関し、平成28年度は国庫協調補助により53路線について2億3、232万円余を、また、県単補助により15路線について2、121万円余をバス事業者に支援するほか、運転手の適性診断や運行の安全確保やバス停などの施設整備に加え、新たに運転手の確保対策や事業環境の改善についても支援することとしてございます。
また、市町村が行う公共交通体系の再編や公共交通の利用促進につきましては1、500万円を支援することにより、持続的な公共交通ネットワークの構築を図ってまいります。
バス交通につきましては、人口減少や少子化、モータリゼーションの進行等により利用者が減少傾向にあり、路線の維持、確保が危惧されているところでありますが、高齢化の進展に伴い、自家用車による交通手段を持たない方など、医療、福祉、教育等の拠点を結ぶ交通手段としての役割もさらに期待されるところであります。
県といたしましては、一定の財政支援にあわせ、路線改善や利用促進について、市町村及び交通事業者と連携して取り組んでいくことにより、バス路線の維持、確保を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、高齢社会、山間地、沿岸部における交通の確保についてでありますが、鉄道、バスによる広域路線といった基幹交通につきましては、先ほど申しました国庫補助制度の活用や利用促進等への支援を通じて、まず、しっかり確保してまいりたいと思います。
さらに、基幹交通にコミュニティーバス、デマンドバスなどを用いた地域内交通を効率的につなぐなど、持続可能で使いやすい交通体系の構築が必要であると考えております。
県といたしましては、このため、地域公共交通会議などにおいて、バス事業者や地域住民、関係機関と議論、連携を深めながら、有識者の派遣による市町村の域内交通再編等への支援、また、先ほど申し上げた市町村が行う公共交通体系利用促進の補助を行っているところであり、これらを通じまして、コミュニティーバスの実証運行等への支援などを行い、持続的な地域公共交通ネットワークの確保を図ってまいります。
〇小野寺好委員 次に、事前防災行動計画─タイムラインについて伺います。
これは、かなり大型の台風などのように、数日後に自然災害の発生する可能性が高い場合、あらかじめとるべき対策、予定行動を時系列で示し、行政と住民、ライフライン事業者が共有することで、被害を小さくしようとするものです。
三重県紀宝町の取り組みを映像で見せていただいたことがありますが、人的な犠牲者を出さないよう、対策を講じることができます。過去に発生した災害や、想定し得ない複合的な災害に対し、従来の避難訓練よりも実効性の高い備えが必要になっています。
昨年の関東・東北豪雨の際、栃木や茨城ではタイムラインを策定、運用していたかどうかで、被災状況に差が出たとの報道がありました。
防災、減災に役立つタイムラインですが、県内自治体でのタイムラインに対する取り組みの状況をお伺いいたします。
〇千葉副知事 県内自治体でのタイムラインに対する県の取り組み状況についてでございますけれども、水害などの災害が発生することを前提といたしまして、関係者が事前にとるべき行動を時系列に整理したものが事前防災行動計画、いわゆるタイムラインとされておりまして、これを活用して早目に対応することで、被害の最小化が期待されるものでございます。
国土交通省におきましては、全国の国が管理している河川を対象といたしまして、沿線の市町村長の避難勧告等の発令に着目した洪水対応のタイムライン案の策定に取り組んでいると承知しております。また、本県におきましても、国が管理しております北上川等において、岩手河川国道事務所と沿川10市町が共同でタイムライン案を作成し、運用を行っていると承知しております。
県管理河川につきましては、現在、雨量や水位などの河川情報を迅速に提供するなど、市町村の水防活動等が円滑に図られるよう取り組んでいるところでございますが、今後、国土交通省の取り組み状況を参考にしながら、タイムライン案の活用についても検討してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、健康増進について伺います。
国の健康日本21を踏まえ、平成13年に健康いわて21プランが策定され、現在は平成34年度を目標年次とする第2次のプランが推進されています。若い年代には人ごととして余り意識されない脳卒中、生活習慣病、がん対策等の言葉が並びますが、一定年齢以上になると、皆、深刻に迫る内容であります。
脳卒中予防緊急対策として1、127万円余とありますが、この予算の目的を伺います。
健康いわて21プランの第1番目に、脳卒中死亡率全国ワーストワンからの脱却が掲げられています。本県が突然最悪になったとは思えませんが、いつごろから脳卒中死亡率の都道府県順位が悪くなったのでしょうか。これまでの対策は、どのような効果を上げてきたのでしょうか。
かつて、県議会の委員会調査で、秋田県の脳血管研究センターを訪問したことがあります。秋田県人の中には、お酒が大好きで、しょっぱいものもよく食べる方が多いと言われ、そのため、脳疾患対策を県政課題として取り組む必要があったと伺いました。この脳血管研究センターは40年以上の歴史があり、急患は365日24時間受け付けるとのことです。こうした原因と対策に必死で取り組んでいる姿勢はお手本とすべきであります。
本県においては、脳卒中死亡率がなぜ全国的に最悪なのか、後遺症とはどう向き合うのか、予防対策、啓発活動は十分であるか等、徹底の仕方を伺います。
〇千葉副知事 脳卒中予防対策についてでありますが、国で5年ごとに公表しております脳血管疾患年齢調整死亡率の都道府県別順位によりますと、昭和30年代から40年代はワースト3位以内で推移いたしまして、昭和50年代からは10位前後で推移してきたところでございますが、平成7年から徐々に順位が悪化いたしまして、平成22年には、男女ともワーストワンとなったところであります。
県では、これまでも、禁煙教育の強化、食生活の改善指導及びリーフレット等によります個人への普及啓発などの脳卒中予防に関する取り組みを継続して進めてきておりまして、その結果、脳卒中による死亡率は年々低下しているところでございますけれども、食塩摂取量、喫煙者及び肥満者の割合が依然として全国上位にありますことから、死亡率の全国における改善状況に追いつかず、全国平均との差となってあらわれているものと考えている次第であります。
脳卒中対策は、本県にとりまして重要な健康課題でございまして、啓発や予防への取り組みのみならず、罹患後の生活の質を維持するための総合的な取り組みが重要であると考えております。
県では、脳卒中によります麻痺などの後遺症の治療や回復のため、県リハビリテーション支援センター及び二次医療圏域ごとに指定いたしました地域リハビリテーション広域支援センターを中心に協力病院等との連携のもとで、各圏域における地域リハビリテーションを推進しております。
また、平成28年度の脳卒中予防緊急対策事業におきまして、保健所による事業所向け食生活改善教室や健康運動出前講座のほか、沿岸部におきます脳卒中発症要因等調査などの事業について、引き続き取り組むこととしております。
脳卒中予防や啓発の取り組みにつきましては、こうした県の取り組みに加えまして、社会全体として県民が主体的に行う健康づくりを総合的に支援する環境の整備が極めて重要であると考えておりますことから、企業や民間団体、教育、研究機関などの積極的な参加、協力を得まして、平成26年7月に、岩手県脳卒中予防県民会議を設立したところであります。
岩手県脳卒中予防県民大会の開催、県食生活改善推進員団体連絡協議会によります突撃!隣のお味噌汁事業やいわて減塩・適塩の日の設定によります食生活改善の普及啓発など、企業や県民の行動変容を促す取り組みを進めてきております。
今後も、県民会議会員が実施しますいわて健康経営宣言事業や推定塩分摂取量測定事業などと連携しながら、官民一体となって脳卒中予防に取り組んでまいります。
〇小野寺好委員 障がい者歯科医療対策費約1、370万円が計上されていますが、事業内容を伺います。
食べ物を自分の歯でそしゃくして飲み込むことが健康長寿の要件とされており、これができなくなるといろんな疾病が起きると言われます。歯科医院に通うことのできない、常時、寝たきりである高齢者や障がい者及び東日本大震災津波の被災者で交通手段がなくなった方は、訪問歯科診療を受けることができると聞いておりますが、本県の現状はいかがでしょうか。
歯科医師が治療機材を持参し訪問治療を行うことは、経営的にはかなり困難ではないかと思われますが、支援策についてはいかがお考えでしょうか。
〇千葉副知事 障がい者歯科医療対策費についてでありますが、本事業は、障がいに伴い歯科治療の受療が困難な障がい児・障がい者に対する適切な歯科医療を確保することを目的としまして、全身管理が必要な比較的重度の障がい児・障がい者に対する歯科診療を提供するため、岩手医科大学附属病院に障がい者歯科診療センターを設置しておりますほか、地域で障がい者歯科診療を実施する歯科医師に対する研修会を実施しているところでございます。さらに、来年度新たにでございますが、中程度の障がいを持つ方を対象に、地域の歯科医師が静脈麻酔による歯科治療を行うに当たり、歯科麻酔医等の派遣を支援する事業をモデル的に気仙地域において実施することとしております。
次に、本県の訪問歯科診療の現状についてでありますが、県内の在宅療養支援歯科診療所数は、平成27年12月現在、170施設となっておりまして、人口10万人当たりでは13.3施設で、全国の4.9施設を大きく上回っているところでありますが、広大な県土と高齢化が進む中にありまして、介護施設入所者や在宅の高齢者等の外来受診困難者のニーズに応えるため、訪問歯科診療を推進することが重要であると認識しております。
このため、県におきましては、在宅歯科医療における医科や介護等の他分野との連携を図りますため、岩手県歯科医師会館内に在宅歯科医療連携室を設置しておりますほか、訪問歯科診療への取り組みを促すため、在宅歯科診療に関する専門研修を修了した歯科医師に対しまして、必要な医療機器の購入経費を支援しているところでございます。
また、東日本大震災津波以降、岩手県歯科医師会と被災地の15の歯科診療所に巡回診療車を無償で貸与し、仮設住宅等で生活している通院困難な高齢者や障がいのある被災者への歯科保健医療の確保を図ってきたところであります。
県といたしましては、今後とも関係機関と連携しながら、外来受診が困難な高齢者等への適切な歯科医療の確保に努めてまいります。
〇小野寺好委員 最後に、観光振興について伺います。
空港利用促進協議会に対する予算は、震災前は1、500万円程度でしたが、現在は桁違いに措置されております。観光振興につなげる空港利用促進関係費のこれまでの実績と、今後、どのような目的で、何に、幾ら措置しようとしているか伺います。
地方での消費喚起と生活支援を目的としてプレミアム商品券が発行されました。その話題性の陰に隠れたような感がしますが、いわてに泊まろう誘客促進事業としてお得な旅行券とクーポンが27万枚発行されましたが、その成果と今後の誘客への取り組みはいかがでしょうか。
大手旅行会社は、首都圏を中心に、農業を観光に結びつけた商品開発を進めています。農産品の販売だけではなく、収穫やその手前の農作業を体験していただこうとするものです。これまでの農家レストランは既に定着してきているように思いますが、農作業体験などの新たな企画についての展望をお伺いいたします。
〇齋藤企画理事 まず、空港利用促進関係費についてであります。
これまで、台湾からの誘客拡大につながる定期チャーター便、さらに定期便の誘致を目的に、台湾における現地旅行博への出展や台湾メディアの招請、台湾旅行会社の旅行商品造成支援などのプロモーションを積極的に展開してまいりました。このような取り組みにより、平成26年には定期チャーター便が就航するとともに、観光庁宿泊旅行統計調査の速報値によりますと、先ほども御答弁いたしましたが、平成27年の本県からの台湾の宿泊者数は、過去最高となる5万240人泊となったところであります。
平成28年度当初予算においては、県や民間団体、企業などで構成する岩手県空港利用促進協議会への負担金として約7、300万円を計上し、従前から人気の高い桜やもみじシーズンだけではなく、夏祭りやスキーなどの魅力を生かして、夏、冬シーズンの誘客も図るため、台湾現地イベントへの出展やメディア招請、台湾旅行会社へのツアー商品造成への働きかけなどプロモーションを展開することとしており、台湾からのフルシーズンでの誘客拡大とともに、定期便の就航に向けて取り組んでいるところでございます。
次に、いわてに泊まろう誘客促進事業についてでございます。
旅行券の利用を開始した昨年6月から12月までの間の本県全体の延べ宿泊者数は、前年に比べ約14万人泊の増となり、このうち、旅行券利用による宿泊者約11万人泊を上回っていると見られておりますことから、総体的に宿泊客の拡大に一定の効果があったものと捉えているところであり、この事業の効果を一過性に終わらせることなく、受け入れ態勢の充実や情報発信の強化により、リピーターの拡大を図ることが重要と認識しております。
このことから、今後は、東北観光復興対策交付金など国の支援策も活用しながら、市町村や関係団体、観光事業者と一体となって、公衆無線LAN等の環境の整備や宿泊施設等へのカイゼン導入の支援などにより、受け入れ態勢を一層充実させてまいります。
また、ことしは北海道新幹線開業、平泉世界遺産登録5周年、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会など、誘客イベントがめじろ押しであることから、しっかりとこのチャンスを生かし、これらと連動した観光キャンペーンの実施による情報発信の強化を図り、本県への一層の誘客拡大につなげてまいります。
次に、農作業体験などについてであります。
これまで、県では、関係団体と連携し、農業体験型教育旅行の受け入れ拡大に向けた首都圏等での誘致説明会でのPRや、農家を対象とした受け入れ技術の向上研修会などを行ってきたところであります。平成26年度は、久慈市や遠野市、奥州市などにおいて、首都圏や関西圏の中学、高校など335校、3万6、000人を受け入れ、平成27年度も同程度を見込んでおります。
また、農村の日常生活や文化に触れ、癒やしを求める旅行者のニーズはここ数年特に高まってきていることから、本県においては、こうした動きを捉えて、教育旅行に加え、一般旅行者の農村地域への誘客拡大を図ることとしております。
このため、平成28年度からは、これまでの取り組みに加え、多彩な交流活動で全国でも高く評価されている遠野のNPOとの協働によるグリーンツーリズム実践塾を開催し、ニーズに応じた商品の企画、提案などを主導する人材を育成するとともに、旅行会社などと連携し、大人を対象とした農村景観や食文化、伝統行事など、地域ならではの資源を生かした魅力ある旅行商品などを支援してまいります。
〇高橋但馬委員長 次に、吉田敬子委員。
〔吉田敬子委員質問者席に着く〕
〇吉田敬子委員 無所属の吉田敬子です。よろしくお願いいたします。
本格復興完遂予算として編成された平成28年度当初予算は、同時に、岩手への新しい人の流れを生み出すための岩手県ふるさと振興総合戦略を展開するために編成された最初の予算でもあります。
私は、復興の先にある希望郷いわての実現のためには、岩手の基幹産業である農林水産業を初め、各産業分野における若者、女性の担い手の確保、育成が重要であることを、県内でのさまざまな取り組み事例を踏まえ、意見を申し上げてまいりました。
そこで、林業における若者、女性の担い手確保、育成の取り組みについてお伺いいたします。
本県における平成26年度の林業就業者数は2、037人と、対前年比61人減、また、60歳以上の就業者の占める割合は42%と高どまりしており、林業現場における高齢化、人材不足が深刻な問題となっております。
戦後造林された人工林が本格的な伐期を迎えつつあることからも、担い手としての若者確保が急務であると考えます。
いわて林業アカデミーの設置に要する経費等として、平成28年度当初予算にはいわての次世代林業・木材産業育成対策事業費が計上されておりますが、有識者、関連団体、事業体の代表者からなる林業人材育成のあり方検討会から昨年9月に提出された最終報告の内容等を踏まえ、林業に関する若者、女性の確保、育成についてどのように展開していくのか、知事の見解をお示し願います。
〇達増知事 県では、昨年5月に、林業技術者の育成のあり方等について検討する林業人材育成のあり方検討会を設置して、さまざまな観点から議論をいただき、9月に、就業希望者が林業の知識や技術を体系的に習得できる養成機関の設置や、既就業者のキャリアアップ機会の充実に加え、林業就業者の待遇改善と林業事業体の経営力強化が必要という提言をいただきました。この提言を踏まえて、県では、新たな養成機関として平成29年4月からいわて林業アカデミーを設置し、既就業者のキャリア形成機会の充実を図るために、林業技術センターの研修内容を随時見直すこととしております。
また、林業関係団体と連携して、退職金共済制度や社会保険制度の普及などの就業者の待遇改善をさらに進めますとともに、森林経営実践力アップ研修を引き続き開催して林業事業体の経営力強化を支援するなど、総合的な人材確保対策に取り組んで、林業を担う若者、女性の確保、育成に努めてまいります。
〇吉田敬子委員 秋田県では今年度から、そして来年度からは山形県、徳島県においても林業人材の養成機関が設置される予定でありまして、全国的に林業における若者確保のための取り組みが加速しています。若者の確保のためには、就労状況の改善は当然のことながら、林業そのもののイメージアップも大切であると考えます。
平成24年度に開校した京都府立林業大学校では、ドイツ本社によるチェーンソーメーカーとの連携や株式会社モンベル、また、地元企業である帆布メーカーとの共同製作によるオリジナルウェア、バッグの製作など、業界の枠を超えた幅広い連携による林業のイメージアップを図っています。
本県においても、地域の強みである特色と技術を備えたアパレル企業とのコラボレーション、その他地域企業との連携など、地域全体を含めた盛り上がりによるイメージアップを図っていくことが重要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 林業人材育成のあり方検討会からは、林業就業者を確保していくためには、林業就業者が安心して働くことができる環境の整備や林業の就職先としての認知度向上も含めて、林業のイメージアップが必要という提言をいただきました。
県内では、機能性、安全性にすぐれた作業服等の着用が定着するとともに、高性能林業機械の導入等による作業の機械化が進んで林業の労働環境の改善が広く進んでいることから、県では、林業のイメージアップを図るため、これらの情報とあわせて、自然の中でやりがいを持って働くことのできる林業の魅力を広く発信することが重要と認識しております。
このため、県では、関係機関と連携して、現場見学会や就業ガイダンスの開催、広報媒体を用いた積極的な情報発信を行うとともに、他県の事例も参考にしながら、地域企業との連携などの視点も含めて検討を進め、林業のイメージアップに取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 その中で、いわて林業アカデミーのあり方についてお伺いいたします。
林業に対する県民の理解を深め、若者、女性の担い手確保を幅広く進めていくためには、実際に林業の現場にいる人材育成のみならず、例えば山好き女子によるいわて林業女子会の活動など、若者、女性の機運醸成を図る活動の活性化や、自伐林家などの身近な人材育成を図るため、いわて林業アカデミーには一般公開授業を設けるなど、県民に広く開かれたアカデミーとするべきと考えますが、当局の御所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 いわて林業アカデミーのあり方についてでありますが、本県では、大規模な木材加工施設や木質バイオマス発電施設等の整備が進みまして木材需要が増大している中、林業の現場で活躍できる人材のさらなる確保、育成が求められておりますことから、林業の知識や技術を体系的に習得でき研修型の人材養成機関として、アカデミーを設置することとしたところであります。
アカデミーでは、林業への就業を希望する若者が将来的に県内事業体の中核を担う人材となっていくよう、平成29年4月の開講に向けて、まずは必要なカリキュラム等をしっかりと検討し、運営を軌道に乗せていくことが重要であると考えております。
また、アカデミーの開設は、現在盛り上がりを見せております森林、林業に対する県民の関心をより高めることが期待されますことから、委員の御提言も参考にさせていただきながら、県民に開かれたアカデミーのあり方について検討していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 他県の林業大学校ではさまざまな事例がありまして、実際の現場だけでなく、もう既に仕事をされている森林組合の方だったり、市町村職員へのボランティアの皆さんの講座もありますので、ぜひそういった人たちも含めてやっていかないと山が管理できないと私は思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。
進学する上で重要なのは、研修修了後、自分が望む就職先に安定的に就業できることだと考えます。先行して開学している他県の養成機関における就職率は100%に近いと伺っております。
本県において、林業に関心のある若者が卒業後スムーズに就業し、将来、本県林業の中核的人材として活躍していくためには、就学中からの地域の森林組合、林業事業体等との連携、インターンシップなど、必要とされる人材と研修内容のすり合わせなどの人材マッチングに向けた柔軟なカリキュラムの工夫が不可欠だと考えますが、当局の御所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 いわて林業アカデミーのカリキュラムについてでありますけれども、アカデミーでは、将来的には県内林業事業体経営の中核となり得る人材を養成するため、産学官の連携のもと、林業に関する知識や技術の習得や、就業に必要な資格取得のための講習や実習に加え、林業事業体でのインターンシップなどを実施し、実践力を養うこととしております。
具体的な研修内容につきましては、林業事業体等へのヒアリングや、有識者で構成されます運営協議会からの意見を伺うなど、就業のために必要なスキルや、望まれる職業人像などの現場ニーズを把握した上で効果的なカリキュラムの作成に努めることとしておりまして、また、開講後も研修生を受け入れた事業体から引き続きヒアリングを行い、随時見直しを進めて充実を図っていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 これもまた京都府の事例なんですけれども、京都に根づいているさまざまな文化、例えば茶道、華道、庭園など木に関する、林業だけではない文化も含めた講座をやっていまして、例えば岩手だと漆文化そして木炭の生産も多いということで、そういった林業の枠を超えた林産物も含めた講座も私はやっていくべきだと考えますので、ぜひ御検討をいただければと思います。
次に、本県における森林資源の維持、確保に不可欠である再造林の取り組みについてお伺いいたします。
戦後造林された人工林の本格的な伐期の到来により、近々に利用可能な森林が多いということは、一方で、若齢林の面積が少ないことを意味します。林業、木材産業の継続的な発展のためには、まさに今、伐採利用と同時に再造林を進める必要があり、これまで御意見申し上げてまいりました。
いわての森林づくり県民税による再造林施策の実施については、課税の趣旨から困難であることを答弁されてまいりましたが、県では、昨年1月から、林業、木材産業関連団体等と再造林推進対策について意見交換を行ってきたと伺っておりますが、現在の本県における再造林の状況についての認識及び今後の取り組みについて、知事の所見をお伺いいたします。
〇達増知事 県内では、大規模な木材加工施設や木質バイオマス発電施設等の整備が進み、木材の需要が増大している中、再造林面積は人工林伐採面積の3割にとどまっており、将来に向けて安定した森林資源を確保していくためには、着実に再造林を進めていくことが極めて重要であると認識しております。このため、県では、昨年10月、岩手県森林組合連合会などとともに検討会を立ち上げて、再造林に対する支援のあり方などについて、今年度末を目途に検討を進めてきているところであります。
来年度には検討会での検討結果を踏まえて、さらに幅広い林業、木材産業関係団体の参画による協議会を設置して、団体による再造林支援策の構築を目指して検討を進めることとしておりまして、県としては、こうした民間主導の取り組みを全力で支援してまいります。
〇吉田敬子委員 よろしくお願いいたします。
次に、アパレル関連産業の振興についてお伺いいたします。
岩手県ふるさと振興総合戦略の柱である岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、これらの政策推進のためには、人口減少社会の中で、特に若者や女性の雇用確保に戦略的に取り組むことが求められます。産業振興の現状をどう捉え、これまでは、県北地域のみで力を入れてきたアパレル関連産業を、全県的な産業振興施策の中でどのように位置づけ、どのような目標設定のもとで取り組むつもりなのか。
過日発足した北いわてアパレル産業振興会はオリジナルブランドも立ち上げましたが、振興会の今後の事業展望とあわせて、当局の考えをお伺いいたします。
〇千葉副知事 アパレル関連産業についてでありますが、まず、本県の産業振興の現状につきましては、いわて県民計画に基づき、ものづくり産業の振興などに取り組みました結果、本県の産業分野における県内総生産は、平成25年度で約3兆6、757億円となり、前年度比4.6%増と3年連続で増加し、1人当たりの県内総生産は、平成21年度から5年連続で増加しているところであります。
次に、アパレル関連産業の位置づけ等についてでありますが、これまで、県では、委員にも御臨席いただきました首都圏のメーカーとのマッチング商談会を初め、学校法人文化学園との連携協定を締結するなど、さまざまな取り組みを実施してきたところでございますが、委員御提言の具体的な目標設定までは、いまだ現時点では至っておりませんことから、今後において、こうした観点の強化を図っていきたいと考えております。
また、昨年6月に設立されました北いわてアパレル産業振興会におきましては、今後、さきに立ち上げましたオリジナルブランドのブラッシュアップも含めたさまざまな活動を予定しているところでありまして、県といたしましても、来年度の組織体制において、本庁に総括課長級ポストを配置し機能強化を図ることとしておりますことから、こういう振興会との活動とも連携し、全県的な政策の展開に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先日、二戸でのファッションショーに私も参加しました。この北いわてブランドについては、これからターゲットとか、価格の設定とか、まだまだ見直すところがあるのではないかなと思っておりますので、ぜひ引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に参ります。岩手のデザイナーが企画、発信するデザインイベントとして、IWATE DESIGN
DAYが昨年11月に3年目を迎えて開催されるなど、デザインの分野でも盛り上がりを見せております。そういった中、本県が強みを持つ、縫製を初めとする製造分野や伝統と技術を備え、高い市場シェアを有するホームスパンなどの地域産業と連携を図ると同時に、人材育成も進めていく必要があり、岩手県は昨年夏、文化学園と連携協定も締結しましたが、当局の御所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 業種間連携と人材育成についてでございますけれども、本県のアパレル産業におきましては、先日県北地域で開催されました学生デザインファッションショーを初めとする関係イベントの開催や、学校法人文化学園との連携協定などにより、デザイン分野を含めた新たな広がりが見られるところであります。
アパレル産業の振興には、今委員からも御提言いただきましたが、本県が有する地域資源と伝統的な技術に育まれ、すぐれたデザインと高い知名度を誇っておりますホームスパンなどに代表されます地域産業との連携も今後模索していくべきものと考えておりまして、関係者の御意見を聞きながら、積極的に検討を進めていきたいと考えております。
また、持続的な成長を図っていくためには、デザインを含めた企画提案力や経営力を備えた人材が必要でありますことから、学校法人文化学園の協力も得ながら、県内専門学校などと連携し、人材育成にも努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 今回、来年度から初めてアパレル関係の課長を県庁の中に置かれるということで、大変期待はしているのですけれども、まだまだ見えていないところもあるかなと感じている中で、私は異業種間の連携が大事であると考えています。先ほどは林業の分野での話をさせていただきましたが、岩手県では農業女子、林業女子、牛飼い女子だとかに取り組んでおりますけれども、それに限らず、例えば制服をつくるときに、岩手のアパレル工場と連携するだとか、あとは、スポーツ分野でも、スポーツウエアをつくる工場もありますので、例えばグルージャだとかビッグブルズとか他業種と連携することで、岩手県民にもっともっと、アパレル工場があるということを知っていただき、その工場がもっと大きくなることで、若い人たち、そして女性が特に多い職場であるのですけれども、もっと仕事したいなと思う場所になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に知事にお伺いいたしますが、今後アパレル関連産業に関してどういった戦略を持って─林業は先ほどちょっとお話をしましたけれども、知事の御所見を、今後の意欲をいただいて終わりたいと思います。
〇達増知事 今回の二戸市における北いわてアパレル産業振興会のファッションショーにも参加をしまして、衣食住の衣の分野での地産地消というのも非常に大事だなと思いました。
去年、ミラノの万博に岩手からも参加をしましたが、イタリアでは、食に関するスローフード、地産地消というものを大事にしながら、世界に誇れるイタリア料理というものが地域ごとにあって、そして衣に関しても、地域に根差した地産地消的な、伝統技術を生かしたものがファッションで世界をリードするようなものになっているという、食にせよ衣にせよ、そういったところを岩手も狙っていくべきだと思っております。私もネクタイについては地産地消を心がけているのですけれども、服全般について、県民の皆さんにもっと地産地消的に地元の生産されている衣を利用していただきながら、地域に根差した、世界に通用するようなファッション、アパレルというものを岩手で育てていくことができればと思います。
〇高橋但馬委員長 次に、臼澤勉委員。
〔臼澤勉委員質問者席に着く〕
〇臼澤勉委員 無所属の臼澤勉でございます。
平成28年度の予算審査に当たり、初めに県の組織体制についてお尋ねいたします。
県では、深刻な財源不足に対応するため、平成15年10月に、岩手県行財政構造改革プログラムを策定し、さまざまな財源対策を講じる中、職員数の削減も進め、平成15年当初では5、013人であった知事部局の職員が、平成23年4月には3、949人と、実に2割以上もの削減が行われてきました。
震災発生からこの5年を振り返り、県では、震災に対応する組織、職員体制について、どのように評価、総括しているのかお伺いします。
また、今後は、第3期復興実施計画に取り組んで震災復興を完成させるとともに、ふるさと振興にも取り組むなど、各種課題への対応も迫られますが、今後、どのような体制で臨もうとしているのかお伺いします。
〇達増知事 東日本大震災津波による甚大な被害からの復旧、復興を迅速かつ強力に進めるため、任期付職員や再任用職員を含めた職員の採用をふやすとともに、全国の都道府県等からの応援職員の受け入れなど、多様な方策によって人員確保に努め、発災以前の体制から360人程度増員して対応してきたところであります。
震災発災直後の平成23年4月には、復旧、復興業務の司令塔となる復興局を設置したほか、災害廃棄物対策の推進体制を強化するため廃棄物特別対策室や、被災者相談支援体制を強化するため沿岸、県北広域振興局経営企画部等に復興推進課を設置するなど、その時々に直面する課題や業務の進捗状況に応じて、組織体制を整備してきたところであります。
また、ふるさと振興については、今年度、人口減少に係る具体的な対応策を全庁的に実施していくため、政策地域部副部長が首席ふるさと振興監となり、そして政策監及び関係する室、課の課長等がふるさと振興監を兼務し、部局横断的に対応する体制を整備したところであります。
今後とも、多様な方策によって人員確保に取り組むとともに、より一層、事業の効率化や重点化に配慮しながら、さまざまな県政課題に柔軟かつ適切に対応できる体制を構築してまいります。
〇臼澤勉委員 特に私が課題意識を持っているのが、広域振興局体制についてであります。
平成18年に広域振興圏体制の整備にあわせて、県南広域振興局が発足して丸10年になります。この間、平成の大合併と地方分権の推進などにより、基礎的自治体である市町村の権限は大きく強化されてきており、広域振興局体制の発足時と取り巻く環境が変わってきていることから、発足当初の広域行政の圏域と組織体制の目的がどのように実現されてきたか、市町村や民間団体の意見やアンケート調査も実施しながら、総合的に広域振興局の成果と課題を検証する時期に来ているのではないかと考えております。
各市町村では、人口ビジョンやふるさと総合戦略が策定され、新たな広域の課題も明らかになってくることから、改めて広域振興局体制の検証を行い、今後の方向性を検討するべきと思いますが、御所見をお伺いします。
〇達増知事 これまで、各振興局が実施する首長懇談会や圏域懇談会の場を捉えて、市町村長や住民からの意見も聞きながら、振興局事業や運営についての意見を伺ってきたところであります。加えて、振興局職員からのヒアリングなども行って検証してまいりました。その際には、圏域を越えた広域振興局間の連携や本局と各行政センターとの情報共有、市町村の地域課題の一層の把握の必要性等の課題が挙げられました。これを踏まえて、地域のニーズに即した広域振興事業による事業展開を行ってまいりましたほか、局長のトップマネジメントの強化と市町村長との一層の連携を図るため副局長を配置するなど、組織体制についても必要な見直しを行ってきたところであります。
また、市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略策定に際しては、今年度、広域振興局にふるさと振興監を置いて、市町村の計画策定過程に参画するなど支援を行っております。
今後、各市町村において策定した計画に基づいて具体的施策を行う段階においても、県としても十分な支援を行うことができるよう、ふさわしい組織体制の構築を視野に入れてまいります。
今後とも、それぞれの圏域の目指す将来像の実現に向けて、市町村優先の行政システムのもと、市町村との連携の強化に配慮しながら、各地域の特性に応じた体制となるよう努めてまいります。
〇臼澤勉委員 しっかりとよろしくお願いしたいと思います。
次に、教育の質の向上についてお伺いします。
先月、ある教育関係の研究会で、元文部科学事務次官のお話をお伺いしてまいりました。
子供たちの未来を考えたときに、現在ある職業の多くは今後なくなる。そして、そのような時代環境において、少子化の克服、較差の改善、経済成長、雇用の確保を解決し、一人一人の豊かな人生と、成長し続け安心できる社会を実現するためには、教育の充実が最も基本的な政策だと言われておりました。
そこでお伺いします。総合教育会議を主宰される知事は、本県の学力の現状をどう評価しているのか。その上で、教育の質を高め、一人一人が持つ可能性を高める具体的な方策についてどうお考えなのか、学力向上対策への具体的な視点についてもお伺いします。
〇達増知事 岩手の子供たちの学力の現状を全国学力・学習状況調査の結果に基づいた全国的な比較で申し上げますと、小学校の国語は全国上位、算数は中位、中学校の国語は全国中位、数学は下位に位置しています。この結果を踏まえますと、基礎的、基本的な知識や技能、それを活用する力や意欲的に学ぶ態度といった学力の3要素の観点に照らした場合、主体的に学習に取り組む習慣の形成や、知識、技能を活用レベルまでさらに引き上げることが必要と捉えております。
教育委員会においては、現在、教員の指導力の向上や学校組織全体としての取り組みの強化、家庭や地域を巻き込んだ家庭学習の充実に取り組んでいるほか、新年度からは、35人学級を中学校2年生にも拡大することとしています。
今後におきましても、総合教育会議での協議なども重ねながら、児童生徒一人一人の持つ可能性の実現にきめ細かく対応し、小、中、高の発達段階に応じた能力の伸長や、教育の目的であります人格の完成に向けて取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 知事も勉強ができたと思いますので、県内の教育振興にしっかり取り組んでいただければと思います。
次に、海外戦略の策定についてお伺いいたします。
花巻空港ターミナルの工事は今年度完了し、また、釜石港では、海外との定期輸送航路の開設が予定され、三陸沿岸道路と東北横断自動車道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路など、県内の縦軸、横軸が復興事業により、これまで以上のスピードで進められております。北海道新幹線も開通間近であり、その結果、岩手と海外が一層のつながりを見せ、広域的な観光基盤と物流基盤の整備が着実に整ってきております。今まさに、これまで整備を進めてきた社会資本を最大限活用し、外貨を稼ぐ時期に来ていると思います。そのためにも、農林水産物を含む県産品の販路拡大や観光客の誘客を進める上で、岩手の優位性を見出せる国や地域を絞って施策を展開する本県独自の海外戦略を官民協働で策定する必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
〇齋藤企画理事 人口減少時代にありましては、国内市場が成熟化してございまして、今後は、成長が見込まれる海外市場に向けて、県産品の販路を拡大するとともに、海外からの誘客を拡大し、より多くの外貨を獲得していくことが重要であると認識しております。
海外への農林水産物の販路拡大につきましては、経済成長が著しく、日本食レストランも増加している東アジアや東南アジア、北米地域等をターゲットとしてきたところであり、物産関係につきましては、南部鉄器を通じて本県の認知度が高まっている東アジア等を中心に販路拡大に取り組んできたところであります。
また、海外からの誘客については、定期便化を目指す台湾を最重点市場とし、フルシーズンでの誘客拡大とともに、ほかの東アジアや豪州等は、市場の特性に応じて、ゴルフ、スキーなど特定目的のツアー客や個人客の誘客拡大に取り組んできたところであります。
これまでの海外事業で得た経験やノウハウなどを通じて、国や地域の状況により個別に対応しながら、本県の観光資源や県産品を組み合わせるなど、岩手の魅力を総合的に売り込んでいく必要は十分に感じております。
現在、海外事業につきましては、関係団体、企業で構成するいわて農林水産物輸出促進協議会、いわて海外展開支援コンソーシアムやみちのく岩手観光立県推進会議などを通じて、民間の意見を取り入れながら取り組んできたところであります。
県では、昨年4月にいわてまるごと売込み推進本部を設置いたしまして、本県の対外的売り込み活動を部局横断的に推進してきたところであります。これまでの事業の検証も実施しながら、この売込み本部の活動、そして、引き続き官民一体となりまして、国や地域に合わせたそれぞれの海外事業展開の方向につきまして総合的に検討してまいります。
〇臼澤勉委員 それぞれの地域によってそこの優位性は異なると思いますので、そこら辺は民間と一緒になりながら、公表する必要はないと思いますが、ぜひ戦略をしっかりと持った上で、いろいろな事業展開をお願いしたいと思います。
次に、農林水産物の海外への販路拡大について伺います。経済発展が目覚ましいアジア地域や欧米を主なターゲットとして、海外実需者との商談会や海外量販店等々での販売促進活動を進めていると承知しておりますが、海外展開において、輸出障壁の課題は何で、障壁があるのなら、どう崩そうとしているのかお伺いします。
また、農林水産物の海外展開は、他産地との競争が過熱している状況にあると伺っております。インバウンド観光においては、競争と協調を図りながら、東北観光推進機構あるいは北東北3県が連携して協議会を組織し、事業展開をしております。
農林水産物の市場調査、開拓においても、ある面では東北や北海道を含めた他産地との連携、あるいはジェトロ事務所に単独事務所を設置し、ジェトロと連携を図りながら輸出拡大を図っていくなど、方法はさまざま考えられますが、TPP大筋合意を踏まえた今後の海外戦略についてどう取り組んでいくのか、戦略と方策についてお伺いします。
〇齋藤企画理事 輸出障壁と他県との連携というお尋ねでございます。
輸出障壁は、例えば、国によりましては、香港とかシンガポール等関税がないところもございますが、一般的に海外展開における障壁としましては、輸出先国が求める検疫条件や衛生基準等の輸入規制のほか、高率な関税や複雑かつ煩雑な輸出通関手続などが挙げられます。
こうした障壁は、日本国及び相手国の事情によることから、基本的には国家間の交渉で解決していくべきものでありまして、また、輸入規制につきましては、その早期解除を相手国に対し強力に働きかけるよう国に要望してきております。その他の障壁の撤廃や緩和に向けても、国の動きを注視しながら、必要に応じて国に要望している状況でございます。
また、他県との連携につきましては、北海道東北地方知事会において輸入規制の撤廃を国に要望してきたほか、昨年7月には、宮城県や石巻市、東北経済連合会と連携し、ミラノ博へチーム東北として出展し、さらには、香港やアメリカでの東北フェアなど、他県と連携しながら参加してきたところであります。来年度以降におきましても、共同フェアの開催など広域的な連携に取り組んでまいります。
今後、輸出障壁の解決につきましては国の力によるところが大きいということがございますが、県といたしましても、本県の安全・安心で高品質な農林水産物などの魅力を継続的に情報発信いたしまして、さらなる輸出拡大に努めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、いろいろと積極的な展開をよろしくお願いしたいと思います。
次に、本格復興の推進についてお伺いいたします。
平成28年度は本格復興期間の最終年度であり、平成30年度までの復興計画期間で見ますと、さらなる展開への連結期間に向けての前年度に当たります。
いまだ応急仮設住宅に多くの方が入居されている状況にありますが、復興計画最終年度の平成30年度末までに、仮設住宅に入居の方々が恒久住宅へ移ることができるのか、知事の決意をお伺いします。
〇達増知事 災害公営住宅の整備と土地区画整理事業などの面的整備につきましては、復興計画期間である平成30年度末までに全て完成する見込みとなっているところであります。
大震災から5年が経過しようとする中にあって、被災者の皆さんの生活再建にとっては、住まいの再建が最も重要なことであると認識しておりまして、今後とも、市町村と連携しながら、被災者の皆さんが一日も早く恒久住宅に移ることができるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 一日も早い仮設住宅の解消をお願いしたいと思います。
完遂年のことし、私は、復興の推進、特に中間検証が必要ではないかと思っております。それは、制度上の壁とか、あるいは法の不備があったのかどうなのか、あるいは法の運用で解決できたこと、いろいろあるかと思うんですね。そういったそれぞれの課題を事業計画段階あるいは実施段階、住民の意向段階、それぞれのステージごとに課題を検証して全国に伝えていく責務が岩手にはあるのかなと私は思っております。それは、やはり国内外から多くの支援をいただいておりますこの岩手だからこそ、こういう課題なり検証を中間的に発信していく必要があろうと思います。そこら辺は要望としてお願いして、次に移ります。
なりわいの再生について。陸前高田市の調査によりますと、陸前高田市への帰還、帰郷を実現できていない方が5割弱、しかも10代から20代、50代に多く見られております。
こうした方たちの希望をかなえるため、雇用の場や生活環境の整備が重要であります。特に、進学を機に転出する人が多い中で、卒業した若年層が再び地元に戻ってこられる仕組みや雇用の場づくりが求められております。
震災から5年を迎え、復興のステージはまさになりわいの再生に移ってきております。中心市街地を初めとする新たなまちづくりには、新たな事業者も必要であり、市町村が策定した地方版総合戦略の実現に向け、県、広域振興局の果たす役割は非常に大きいと考えます。
そこでお伺いします。新たな起業家の育成と雇用を生み出す新規事業者への実効ある支援制度が今求められていると考えますが、なりわいの再生に向けた県の意気込みと方策についてお伺いします。
〇中村復興局長 被災地におきましては、復興まちづくりに伴い、商店街や商業施設の再建、整備が始まっており、仮設から本設への円滑な移行や新事業の創出、定着によるにぎわいの創出が必要でございます。
県におきましては、平成25年度から、沿岸被災地における起業支援をしてまいりましたけれども、平成28年度からは、被災地での起業のほか、第二創業でありますとか新事業進出などを強力に推進していくことにしておりまして、平成28年度予算案にさんりくチャレンジ推進事業を計上してございます。
具体的には、若者や女性を初めといたしました起業者や既存事業者の交流会等で、起業等の意識啓発や協力関係の構築を促進いたしまして、商工団体に専門の指導員を配置し、地域の支援団体と連携いたしました相談対応や助言、指導によりまして、事業計画策定などの支援を行うといったようなこと、さらに、初期費用の補助やクラウドファンディングによる資金調達を支援し、起業等を後押しし、起業等の後におきましても、協力企業と連携し経営指導や首都圏等への販路開拓を行うなど、新たなチャレンジをしようとする方々に対しまして寄り添った支援を行うことを予定してございます。
〇臼澤勉委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
最後に、知事にお伺いします。
全国から多くの応援、市町村の派遣職員の方々が来ております。この3月にも、大槌町に、例えば神戸市の方とか、陸前高田市には名古屋市とか福岡市とか、多くの自治体の方々が応援に来ております。ぜひ知事から、戻られる派遣職員の方々にメッセージをお願いして、終わります。
〇達増知事 今回の東日本大震災津波の大きな特徴は、全国の自治体から応援職員を派遣していただいて被災地における復興が進んでいるということであります。阪神・淡路大震災がボランティア元年などと呼ばれますけれども、この東日本大震災津波というものは、自治体間の水平連携が活気を見た、そういう大災害として位置づけられるようになると思います。
全国の自治体からの応援職員なしには岩手の復興は全く進まなかったわけでありまして、この5年間、本当にお世話になっています。
しかしながら、まだ復興は道半ばで、本格復興も新年度完遂を目指していくわけでありますし、その後もしばらく復興は続きますので、ぜひ引き続きの応援をお願いしながら、感謝と、そして、さらなる支援へのお願いを全国の自治体の皆さんにさせていただきたいと思います。
〇高橋但馬委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
これより、各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
午後2時15分 休 憩
午後2時42分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより各部局別の審査を行います。
質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として、短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないことについて、御協力をお願いいたします。
また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び執行部の答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いします。
また、冒頭でも申し上げましたが、本日は、議会、総務部関係を終わるように進行したいと思います。14名の質問者が予定されておりますので、よろしくお願いいたします。
最初に、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇杉村議会事務局長 平成28年度の議会関係の予算について御説明申し上げます。
予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、81ページをごらん願います。第1款議会費第1項議会費のうち、第1目議会費の9億5、266万円余は、議員48人分の報酬、旅費等の議会運営に要する経費でございます。次に、81ページから82ページにかけてでありますが、第2目事務局費の3億8、427万円は、議会事務局職員33人分の人件費及び事務費等で、事務局の管理運営に要する経費であります。次に、82ページでありますが、第3目議員会館費の2、128万円余は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
以上で議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願いいたします。
〇佐々木努副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは質問します。議会費が前年と比べて3、738万円余の増額となっていますが、この増額の中身は何でしょうか。
〇杉村議会事務局長 平成28年度当初予算における議会費の主な増減理由についてでありますが、平成27年度当初予算計上段階におきましては議員3名が欠員となっておりましたけれども、9月の議員改選によりまして、その欠員が解消されたことに伴うものでございます。
その内訳といたしましては、議員報酬が1、155万円、期末手当が1、276万円余、共済費が475万円余、政務活動費が558万円の増額となっております。
一方で、減額となっているものにつきましては、平成27年度予算に計上した議員改選に係る旅費、これは9月臨時会に要する旅費でございますけれども、これが189万円余ございまして、これらを差し引きいたしまして、議会費全体としては3、738万円の増額となっております。
〇斉藤信委員 都道府県議会の海外視察の全国の実施状況はどうなっているでしょうか。詳しく示してください。
〇杉村議会事務局長 平成27年度の全国における海外行政視察の実施状況についてでありますが、若干古くて恐縮でございますが、昨年10月時点での調査でございますが、実施している都道府県が26都道府県、実施せず、あるいは未定となっているのが21府県となっております。
実施状況の推移でございますけれども、平成21年度、平成22年度が19都道府県、平成23年度が11都県、平成24年度が14県、平成25年度が23道府県、平成26年度が27都道府県となっており、平成23年度は、震災の影響によりまして一旦減少したものの、その後は増加傾向となってございます。
〇斉藤信委員 来年度予算における海外視察費というのはどのぐらいの額、何人分計上されているのでしょうか。
〇杉村議会事務局長 平成28年当初予算における海外行政視察の経費でございますけれども、海外行政視察の運用基準というものがございまして、これによりますと、派遣回数につきましては、各議員1任期中1回、派遣費用は1人当たり90万円以内とされているところでございまして、平成28年度当初予算におきましては、12人分といたしまして1、080万円を計上しているところでございます。
〇斉藤信委員 全国でも、今年度は26都道府県が実施と、半分ちょっとですね。岩手の場合は、まさに今、東日本大震災津波からの復興の途上で、これから正念場を迎えると。私は、応急仮設住宅にピーク時の52%がまだ生活しているという段階で岩手県が海外視察を実施するというのはいかがなものかと議会運営委員会でも指摘いたしました。東北6県でも、ことし実施したのは青森県だけですね。
この点で、私は、海外を何としても調査したいというのだったら、政務活動費を最大限活用すべきではないかと。例えばこの政務活動費、昨年度の実績で、私は執行残が、返還分がたくさんあったと思うけれども、返還分はどのぐらいになっているのですか。
〇杉村議会事務局長 平成26年度の政務活動費の執行状況についてでございますけれども、まず、交付額でございますが、議員45人に対しまして1億6、740万円、執行額は1億4、164万円となっておりまして、残余、いわゆる返還された額でございますが、議員31人分で2、575万円余、執行率で84.6%となってございます。
〇斉藤信委員 来年度予算に残念ながら12人分、1、080万円計上されていると。一方で、政務活動費は2、575万円返還されたと。私は、まずそういうところをやらないと県民の理解が得られないのではないかと。これは議会自身で決めることですから局長に聞いてもしようがないのだけれども、そのことを私は指摘をして、質問を終わります。
〇伊藤勢至委員 議員の海外調査について確認を含めてお伺いします。
全議員が今48名、そして、平成28年度は12名を措置したいという方向のようでありますが、実は、私たちは復興スクラム議連をつくっておりまして、その中の計画といたしまして、新年度に英国視察を行いたいと思っているところでございますが、これは4年間で48人の議員それぞれ個々に海外旅行のチャンスを与えるという予算措置であると思っていいわけですか。(「視察、視察」と呼ぶ者あり)ああ、視察。はい。
〇杉村議会事務局長 議員の派遣基準は先ほど申し上げましたけれども、それによりますと、各議員が1任期中に1回ということになってございまして、議員が48人ということで、4年であれば1年当たり12人ということですので、平成28年度予算については12人分を計上させていただいております。
ただ、この予算計上につきましては、予算計上する直前の議会運営委員会、今年度の場合は昨年10月でございましたけれども、その議会運営委員会におきまして、平成28年度の海外行政視察につきましては、喫緊の県政課題を解決するために資するテーマということで12人分を措置したということでございまして、平成29年度以降につきましては、また再度、その都度、毎年毎年、議会運営委員会で御協議いただくこととなると思います。
〇伊藤勢至委員 新しい議会になりましてから、1回生の方々も大勢いらっしゃいますので、若干、この復興スクラム議連が英国視察を思い立った経緯についてお話をさせていただきたいと思います。
平成24年、新日鉄釜石V7戦士でありました石山次郎氏が東京におきまして、既に日本でのラグビーワールドカップ開催が決まっておりましたが、これを釜石でやるべきだという声を上げたようでありまして、我々議会としては、それに反応して、岩手県の大きなイベントとして捉えるべきという思いから呼びかけをして、前任期でありますが、43名の議員に参加いただきまして復興スクラム議連を立ち上げました。実は、最初の名前は、2巡目国体を成功させ、その後に来るラグビーワールドカップを成功招致に導くという長いタイトルだったのですが、現在は、簡略化して復興スクラム議連と申しております。
実は、そういうV7戦士の石山さんの呼びかけ等によりまして、まず釜石市が腹を固めたと。同時に私たちは、岩手県も共催の立場をとっていただきたいということから、県知事にお願いして、岩手県でも釜石市と共催するという方向を定めていただいて、その開催地の立候補に岩手県知事と釜石市長名の連名で申請したわけであります。
一方で、東北の中では当然仙台市が手を上げておりましたが、仙台市は仙台市長一人の要望でありました。対して岩手県は、岩手県知事と釜石市長。まず、これがよかったと思っております。
そして、昨年1月でありますが、ラグビーワールドカップリミテッドが日本の各開催地を視察した際に、当然仙台市も見た。その後、鵜住居も見た。ここで、仙台市は、もう東北では唯一の100万都市だから、やってあげるよ、いらっしゃいみたいな、そんなような対応だったと聞いておりますが、一方、釜石市の鵜住居は、何もない瓦れきの中に、このようなグラウンドをつくりますということを、シーウェイブスの応援団の方々が大漁旗、フライキを持ってグラウンドをあらわして視察団を歓迎した。ここがいたくラガーマンの心を打ったようであります。
スコットランドという国も炭鉱の国でありまして、炭鉱マンがラグビーをやっている。運動不足になるのを補うためにラグビーが盛んだ。一方、新日鉄釜石は鉄のまちでありまして、ボイラーマンが多かったということから、そういう結びつき、同じレッドジャージを着ているということもあって、最終的には、昨年3月、アイルランドのダブリンで日本の開催地が決定した際、東北では唯一、釜石市の鵜住居が決定したわけでございます。
そういう中で、総額32億円かかるという話でありましたが、今回、復興予算のほうから約18億円がついたようであります。さらには、日本スポーツ振興センター関係からの支援も8億円から9億円ぐらいある。あるいは地元の寄附も2億円ぐらいは集まっているということから、めどはついてきた。ただ、限りなく岩手県、釜石市の負担分を少なくするような動きをこれからしなければならないと思っております。
そこで、イギリスのグロスター市にスコットランドとオールジャパンの試合が行われたスタジアムがあるのですが、ここの試合を見に行くのではなくて、むしろ、試合がないときにどのようにグラウンドを活用しているのか。実は、鹿島アントラーズというサッカーのチームのゼネラルマネジャーが来て講演した際に、鹿島アントラーズでは、スタジアムの中に託老所あるいは託児所、そういった活用も今検討していますという話でした。三陸沿岸には芝生のあるグラウンドは余りありませんので、そういうことができるかどうか、可能かどうかをぜひ調査してきたい、そういう思いから今回の定例会に提案し、最終日に皆様の御判断をいただくこととしているところであります。
私たち先陣を切る12人といたしましては、県民のお金を使って行くことでありますので、決して後からいろいろなことを言われないような襟を正した行動をして、しっかり勉強をしてきたいと思っております。私たちだけが行って終わりではない、このように考えながら行ってまいりたいと思っています。
今後のことは、まだ予算等についてわからないと言っても、今々大事なことは、恐らくラグビーワールドカップの次はILC─国際リニアコライダー、そういったものがどんどん出てくるのだと思います。そのようなときに我々議員が、今、斉藤委員がおっしゃいました復興のさなかにというのは、確かにそういう面もありますけれども、我々は同時に、復興という中において、次なる世代が胸を張って、喜んでこの三陸沿岸に住み着いていただけるような、そういうこともしていくのが役割だと思っています。
したがいまして、ILC等については、まだ議会のほうから要求があればということなのでしょうから、あったならばの話で恐縮でありますが、いずれ県政の重要課題を県民のお金を使って勉強してきて、それを県民に返していく、これは非常に大事なことだと思っていますので、感想があればお伺いして、終わります。
〇杉村議会事務局長 ただいま平成28年度に計画を予定しておりますラグビーワールドカップの視察の関係の趣旨あるいはその必要性につきまして、伊藤委員からお話がございました。
この計画につきましては、先週末に私ども受け取っておりまして、今まさに妥当性、必要性等について審査しているわけでございますが、これにつきましては、審査が終わり次第、議長に報告いたしまして、その妥当性等について議長と協議するわけですが、ただいま伊藤委員からお話のございました必要性、趣旨、この辺をきちんと議長に伝えるとともに、翌年度以降、例えばILCといったいわゆる喫緊の県政課題の解決に資するものであるかどうか、今お話がございましたその辺をきちっと伝えた上で、今後、手続を進めてまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 委員の皆様、最終日はよろしくお願い申し上げまして、終わります。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇風早総務部長 それでは、総務部関係の議案につきまして御説明申し上げます。
資料の説明に入ります前に、平成28年度予算の編成に当たりまして、総務部の基本的な考え方を御説明申し上げたいと存じます。
総務部といたしましては、本格復興を完遂させるとともに、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功、いわて県民計画第3期アクションプランの取り組みやふるさと振興を総合的に推進するため、あらゆる手段を講じて財源確保や人的資源の確保を図るなど、施策を強力に推進する行財政運営に取り組むとともに、本格復興と、その先にある希望郷いわての実現に向け、地域防災力の強化、原発放射線影響対策の推進、岩手県立大学における教育、研究の充実及び特色ある私立学校の支援を重点施策として一層の取り組みを推進します。
地域防災力の強化に関しましては、東日本大震災津波や近年の各種災害の教訓を踏まえ、自助、共助、公助による災害対応力の向上のため、防災教育を推進するほか、消防団活動の強化、自主防災組織の育成強化のための取り組みなどを支援してまいります。
また、栗駒山における火山ハザードマップや岩手山における具体的な避難計画の作成に向け、県と関係市町村等で組織する火山防災協議会で検討を進めるなど、火山対策を強化してまいります。
原発放射線影響対策の推進に関しましては、県民の安心確保のため、引き続き、空間線量率や農林水産物の出荷規制等の情報を広く発信するとともに、市町村と連携し、東京電力による損害賠償の実施に向けた取り組みを推進してまいります。
岩手県立大学における教育、研究の充実に関しましては、公立大学法人岩手県立大学の自主的、自律的な運営を尊重し、経営の効率化を促しながら交付金を交付し、大学の運営を支援することにより、地域の中核人材を育成し、岩手の活力を創出してまいります。
特色ある私立学校の支援に関しましては、私立学校の教育水準の維持、向上を図り、特色ある教育を推進するため、私立学校の運営費補助や授業料等の負担軽減のための助成など、各種の施策を展開することにより私学教育を振興してまいります。
自主財源の大宗を占める県税につきましては、岩手県地方税特別滞納整理機構の取り組みや各広域振興局における市町村との連携を強化しながら、個人県民税の収入未済額の縮減に取り組んでまいります。また、課税捕捉調査に努めるほか、県有資産の有効活用など、さまざまな角度から歳入確保に向けた取り組みを進めてまいります。
あわせて、事業効果や効率性等の検証、事務事業の見直し、行政の簡素効率化を推進するとともに、政策の優先度に応じた事業の重点化を進め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めてまいります。
以上が平成28年度予算編成に当たりましての総務部の基本的な考え方でございます。
続きまして、議案第7号平成28年度岩手県一般会計予算の総務部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
なお、説明においては、金額の読み上げは省略させていただき、主な内容について申し上げます。
予算に関する説明書の83ページをお開き願います。平成28年度当初予算一般会計の総務部関係の予算総額は、共通経費、予備費を含み1、950億円余となっており、前年度と比較し31億4、700万円余の減額となっております。
2款総務費1項総務管理費1目一般管理費については、予算額28億1、550万円余のうち、総務部関係は、説明欄のとおり23億8、504万円余となっており、職員の人件費などの管理運営費のほか入札関係費、外部監査費などの一般管理事務に要する経費でございます。
なお、説明欄最後に記載の共通経費1億9、209万円余は、人事異動に伴う赴任旅費などであります。
84ページに参りまして、2目人事管理費は、職員研修費や退職手当などであり、3目文書費は、法規審査事務や文書の収受、発送及び保存に要する経費のほか、情報公開制度及び個人情報保護制度の推進などに要する経費であります。85ページに参りまして、4目財政管理費は、財政調整基金等の積み立てなどでございます。86ページに参りまして、6目財産管理費は、県庁舎や地区合同庁舎、職員公舎並びに通信施設の維持管理などに要する経費であります。87ページに参りまして、8目県外事務所費は、東京事務所の管理運営に要する経費であります。9目公会堂費は、県公会堂の管理に要する経費、10目恩給及び退職年金費は、恩給、退隠料及び扶助料等に関する経費であります。88ページに参りまして、11目諸費は、宗教法人設立認証事務や公益法人関係事務等に要する経費及び共通経費であります。
少し飛びまして、92ページをごらん願います。3項徴税費1目税務総務費は、税務関係職員の人件費などの管理運営費及び県税の還付に要する経費であり、2目賦課徴収費は、個人県民税徴収取扱費交付金など、賦課徴収に要する経費であります。
また、少し飛んでいただきまして、100ページをお開き願います。6項防災費1目防災総務費は、防災関係職員の人件費などの管理運営費のほか、防災ヘリコプターひめかみの運航に要する経費などであり、2目消防指導費は、危険物の規制や消防学校の運営に要する経費などであります。
次に、飛びまして、210ページをごらん願います。10款教育費1項教育総務費4目教育指導費11億3、281万円余のうち総務部関係は、いじめ防止対策の推進に要する経費64万円余となっております。
また、飛んでいただきまして、227ページになりますが、8項大学費1目大学費は、公立大学法人岩手県立大学の運営に係る交付金を交付するものであります。
228ページですけれども、9項私立学校費1目私立学校費は、私立高等学校等就学支援金交付金や私立学校運営費補助などの私学教育の振興及び被災した私立学校生徒の支援等を図るための経費であります。
また、少し飛んでいただきまして、239ページでございます。12款公債費1項公債費1目元金1、080億4、720万円余のうち総務部関係は、農林水産部、県土整備部及び復興局の計1億9、608万円余を除く1、078億5、112万円余となっており、2目の利子とあわせまして、公債管理特別会計へ繰り出した上で支出する内容となっております。3目公債諸費は、銀行等引受債発行手数料などであります。
また、少し飛びまして、243ページでございます。13款諸支出金4項地方消費税清算金1目地方消費税清算金は、都道府県間での地方消費税の清算を行う経費であります。
次の244ページ、5項利子割交付金1目利子割交付金から249ページの10項自動車取得税交付金1目自動車取得税交付金までにつきましては、いずれも市町村に交付する交付金でありまして、250ページ、11項利子割精算金1目利子割精算金は、都道府県間で精算を行う経費であります。
251ページ、14款予備費は、前年度と同額3億円を計上しております。
以上で総務部関係の一般会計歳出予算の御説明を終わります。
続きまして、議案第14号平成28年度岩手県公債管理特別会計予算について御説明申し上げます。
同じ予算に関する説明書の366ページをお開き願います。公債管理特別会計に関する予算の説明事項が366ページから掲載されておりますが、平成28年度の公債管理特別会計の歳入、歳出のそれぞれの予算総額は1、958億2、964万円余で、前年度と比較し217億4、629万円余の減額となっております。
368ページから371ページにかけましては、公債管理特別会計の歳入となっておりまして、その内容は、県債管理基金からの財産運用収入、一般会計及び県債管理基金からの繰入金及び県債が歳入となっているものでございます。
続きまして、372ページをお開き願います。こちらが公債管理特別会計の歳出となっております。公債管理特別会計の歳出は、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債発行手数料などとなっております。
続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。
重ねて恐縮でございますが、また冊子がかわりまして、議案その3の13ページをお開き願います。議案第27号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例でございます。これは、人身安全関連事案対策の強化、特殊詐欺対策の強化等に対応するため、平成28年4月1日施行で政令が改正される見込みであることから、条例で定めます警察官の定数及び階級別定数を改正しようとするものであります。
続きまして、165ページをお開き願います。議案第50号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でございます。総務部に関係する部分は、208ページまで飛んでいただきまして、別表第9の改正でございます。これは、行政不服審査法の施行に伴い、審査請求等書面等交付手数料を徴収しようとするものであります。
大変恐縮でございますが、また冊子がかわりまして、議案その6でございます。1ページでございますが、議案第138号岩手県県税条例の一部を改正する条例でございます。これは、東日本大震災に係ります復興整備事業における被災関連市町村との交換による土地の取得に係る不動産取得税を免除し、及び被収用不動産等の代替不動産の取得に係る不動産取得税を減免するとともに、あわせて所要の改正をしようとするものであります。
以上で総務部関係の議案につきまして御説明を終わらせていただきます。何とぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇佐々木努副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 それでは、大きく2点にわたって質問させていただきます。
1点目は、県立大学の運営支援についてでございます。
県立大学における人材育成、まさに知の拠点として地域においても貢献を含めて進められておりますけれども、今回1月に公立大学法人岩手県立大学に係る中期目標期間の業務実績評価結果が出されましたが、これに対する県総務部としての基本的な考え方や評価をどのようにしているのか、まずお聞きいたします。
〇藤澤総務室管理課長 県立大学の暫定評価についてのお尋ねでございます。
暫定評価によりますと、地域の中核人材を育成する教育、地域のニーズを踏まえた研究、それから、知の拠点としての地域貢献への取り組みが順調に進んでおり、さまざまな工夫、改革によりまして効率的、機動的に大学運営がなされ、中期目標、中期計画の達成に向けて一定の効果を上げていると評価されておりまして、県としても同様に受けとめております。
その一方で、評価委員会からは、基盤教育、大学院教育、国際交流、人事制度の適正化については課題があると指摘されておりまして、それらの課題を解決することが重要であると考えております。
〇軽石義則委員 大きく非常にすぐれた成果を上げているという判断や高く評価できるという部分、これは大事だと思いますし、課題を解決しなければならないという点もしっかり出されていると思いますけれども、これは、いわゆる評価委員会が大学独自でつくった評価分析をもとに評価したものだと思いますが、この結果を具体的にこれからどうしていくかということが、さらに大事だと思うわけです。
現状、県立大学の入学者の推移は、県内からの入学者についてはほぼ横ばいで推移しているようでございますけれども、やはり岩手の中で、岩手に人材を確保していくという観点からいけば、さらに県内の入学者の割合を高めていくことも大事だと思うわけです。
加えて、さらに県内の入学者の割合を高めるということは、県内に残って仕事も続けていける、いわゆる県内就職者の数もあわせて高めていかなければならないと思いますけれども、この現状をどう分析、評価しているのかお伺いいたします。
〇藤澤総務室管理課長 県立大学の県内からの入学者の状況等でございますけれども、ここ数年ですと、大体6割を超える程度となっております。県立大学は、岩手に根差した岩手の中核人材を育成するために設置したところでございますので、例えば、入試などでは推薦枠を設けまして県内の高校生が入りやすいようにといったこともやっておりますし、あとは、県内の高校と意見交換をしまして、岩手県立大学の魅力を知ってもらうというようなこともるる取り組んでおります。
それから、就職についてでございますが、県内就職率の向上は大きな課題となっております。地元企業への訪問であるとかインターンシップへの参加促進といったようなことで、県内の企業を知り、また、学生も岩手県に残って働きたいという思いを強くするような取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇軽石義則委員 数的なところ、また、やっていることについてはわかりましたけれども、これは、いわゆる県として進めていることは大事だと思うのですが、やはり入学してくる生徒の方々や卒業して就職をした卒業生の皆さんからの声というものをしっかりと聞いた上で、不足する部分をさらに補っていくことも大事だと思うのですが、その点はどのように把握されているのでしょうか。
〇藤澤総務室管理課長 卒業生の声ということでございますけれども、例えば、県立大学の同窓会のような組織もございます。そういった組織を通じまして、県立大学の卒業生あるいは在学生と卒業生との交流といったものを進めながら、県立大学の学生が県内に残っていけるような取り組みも進めてまいりたいと思います。
〇軽石義則委員 しっかり聞いていただいてはいると思いますけれども、さらにその部分を強化してもらいたい。具体的なところで言いますと、ソフトウェア情報関連の学部におきましては、県内の内定率が27.2%ということで、ほとんどの卒業生が県外に出ているわけですね。
この間、議連の勉強会がありまして、各企業の代表の方々とも意見交換をした際に、県内であっても、いわゆる関係する技術者、その専門家を求めているけれども、なかなか就職まで結びついていないという声が直接ありました。Uターンを含めて、東京でもさらに就職の活動をしている方々を流入、Uターンさせようという活動もしているそうですが、なかなか結びついていないということです。そういう関係する、いわゆる求人を出す企業の方々とさらに連携を深めていけば、県内就職の率も高まっていくと考えます。
やはり県外に行く大きな理由は、もしかして労働条件だったり、それ以外の理由もあるかもしれませんけれども、そういうところをしっかりと聞いて、課題を整理して、連携、対策をとっていくことによって、さらに優秀な人材がこの岩手に残っていって、岩手の発展のために努力したいという方々も多くいると思いますが、その点はどうでしょうか。
〇藤澤総務室管理課長 県内企業との連携ということでございますけれども、県立大学ではIPU就業サポーター制度という企業との連携がございまして、登録した企業に例えば講師を派遣してもらうとか、日ごろから、そういった地元企業とのつながりをつくるようなことも活動としてやっております。
それから、ソフトウェア情報学部に関しては、求人が首都圏、中京圏が多いという事情はございますけれども、県内の企業の魅力をもっと知ってもらって、できるだけ県内にとどまるような取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇軽石義則委員 やはり情報を共有化して、求めているものと、そこに対応する対策というものを確立していくことが大事だと思いますし、学校の思いと生徒の思い、そして、求める企業の思いもそこで一致をすることが大事だと思いますから、そういう連携がとれる場面をさらに強化していただければと思いますので、それらの対策もお願いしたいと思います。
その上で、新年度の予算編成を見ますと、県立大学に対する運営費の交付金が減額されているわけですけれども、やはり人を育てることによって将来の岩手をつくっていくのだということであれば、減額ではなくて、足りないところがあるとすれば、しっかり中身を整理して、限られた財源をしっかり有効に、いわゆる人づくりのための先行投資というものも大事だと思いますが、予算編成においての考え方をお願いいたします。
〇藤澤総務室管理課長 県立大学の運営交付金予算の考え方でございますけれども、第2期中期目標の期間、平成23年度から平成28年度までの6年間でございますが、この間におきましては、県の厳しい財政状況や、あるいは大学の自主的、自律的運営という観点から、対前年比0.7%の削減率で交付金を交付しておりますけれども、コスト意識を持った経費節減に努めながら、大学としては地域の中核人材の育成に取り組んでおります。
その一方で、県としましても、例えば東日本大震災津波の被災学生に対する授業料減免に要する経費など、必要な経費については、別途、予算措置をしているところでございます。
〇軽石義則委員 しっかりとコストも考えた上で対応しているということでありますけれども、やはり中期目標の評価においても解決をしなければならない課題が明確に示されているわけですから、それを解決する上には財政的支援も必要なことは事実だと思います。それらの課題解決に向けての大学側との意見交換というのはされているのでしょうか。
〇藤澤総務室管理課長 県立大学との意見交換でございますけれども、事務レベルでは頻繁に意見交換しておりますほかに、年に1回、知事と学長が意見交換する場面がございまして、さまざまな課題について意見交換をしております。
〇軽石義則委員 ぜひ、そういう意味では、学生の皆さんもそういう場面で、やっぱり現場の声といいますか実態、自分たちが岩手にどういう貢献をしたいんだという話が伝わるような場面も今後つくっていただきたいと思います。今後、そのようなことも含めて、具体的に目標をどう設定していくか、県としてその支援、取り組みをどうされていくかという考えがあればお示し願いたいと思います。
〇藤澤総務室管理課長 今後の目標ということでございますけれども、平成29年度からは第3期の中期目標期間となりまして、来年度、その目標を策定することとしております。
今般の評価委員会の暫定評価を踏まえまして、東日本大震災津波からの復興あるいは人口減少社会に対応した地方創生など、大学を取り巻く環境の変化に対応した大学運営を目指していく必要があると考えております。
専門人材の輩出等の地域貢献、それから、震災復興支援に力を入れるとともに、地域の国際化やグローバル化を担う人材の育成など、県民や地域の期待に応える大学を目指した中期目標をつくってまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 岩手から人口が流出する原因の一つには、進学の際、そして就職の際と、いろいろはっきりしている数字も出ておりますので、県立大学が、そういう意味では魅力ある大学であって、県内にとどまる、そして県外から来た学生がこの岩手に残る、そういう大学をしっかり目指していくことが大事だと思います。
そういう意味では、やっぱり指導する側も、入ってくる学生の皆さんの声も、そして地域の受け入れ体制も大事だと思いますので、それらしっかりさらに連携をとっていただきたいと思いますが、部長、何かあればお願いいたします。
〇風早総務部長 岩手県立大学を初め岩手の若者は、やはり震災後、地域に貢献したいという思いを持って、実際にもう既に行動されていたり、そういう場を探しておられる若者が非常に多いと感じております。
今、御指摘ありましたとおり、県立大学も既に、例えば県内の高校等に魅力を伝え、また、県内就職という観点では、県内の企業の魅力を大学生に伝えるインターンシップの取り組みですとか説明会とか、さまざまやっております。
引き続き、今お話がありましたとおり、いろいろな思いを持っている学生の皆さんに、そういう企業とか社会とか、そういう活躍できる場面に少しでも多く触れていただくことがまず一番だと思いますので、そういったところを県立大学の学生と企業の情報共有、そして、例えば、いわてで働こう推進協議会の取り組みですとか、先ほど課長が御説明申し上げたCOC+の取り組み、ふるさと振興の取り組みも始まっていきますので、総務部としても、県立大学と引き続きそういった観点で相談をしてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 積極的に今までも取り組んでいただいておりますが、引き続き、ぜひよろしくお願いいたします。
次に移ります。財産管理についてでございますけれども、財産管理におきましては、今、施設の効率的な運用も含めて進めなければならないわけですが、公共工事の品質確保の促進に関する法律ができて、さらにその中には、基本理念の第3条第6項に、完成後の適切な点検、診断、維持、修繕、その他の維持管理により、将来にわたりその品質は確保されなければならないという項目も入ってきております。
まさに施設をしっかりと守っていくことも大事だと思いますけれども、その上で、いわゆる県庁舎もかなり古くなってきている等ありますが、建物の管理をする上で、建築保全業務の進め方について、これまでも議会でいろいろな議論がありましたけれども、その委託業務そのものが、設計額の算出の方法等を含めて現場にマッチしているかという声もあるわけですが、その積算方法等を含めての現状をお示し願いたいと思います。
〇猪久保管財課総括課長 県庁舎の業務委託の設計額の積算についてでございますけれども、国土交通省監修の建築保全業務積算基準に基づきまして積算してございます。この基準は、国土交通省所管の官公庁施設の保全業務のみならず、広く一般の建築物の適正な保全業務に資するものとして公表されておりまして、多くの地方公共団体が積算に活用してございます。
同基準で定めます建築保全業務労務単価でございますが、国土交通省が毎年実施しております建築保全業務労務単価の実態調査結果に基づいて決定したもので、建築保全業務積算要領の技術者区分に沿った賃金の単価でございまして、信頼性が高いものであることから、本県においても採用しているところでございます。
〇軽石義則委員 現状を調査した上でそれを採用しているということですけれども、では、実際、県としては、毎年どのような推移で変化しているかというのは確認しているんでしょうか。
〇猪久保管財課総括課長 労務単価でございますが、毎年、国土交通省が監修しております建築保全業務労務単価を確認いたしまして、それを参考とした賃金の積算をしているということでございます。
〇軽石義則委員 積算の方法はわかりました。適正であるということでつくっているのもわかります。ただ、いざその仕事が、入札して、契約する段階で、現場にその単価でしっかりと行っているかどうかというところまでの確認ができているのかというのも一つ課題だと思っているんですね。
やはり入札方法についても、そういう意味では、適正な単価で、適正な現場での仕事が成り立っているかどうかというところも、県でも県が締結する契約に関する条例を策定して、今、運用しているわけですけれども、その部分の確認についてはどうなっているのですか。
〇猪久保管財課総括課長 確認はなかなか難しいという現状でございますが、今お話のありました、例えば最低賃金等との関係につきましては、先ほどの建築保全業務労務単価は最低賃金を上回る積算単価となってございますので、基本的には、最低賃金は最低でもクリアしておるというところと認識してございます。
それから、県が締結する契約に関する条例のお話もございましたので、こちらの条例の趣旨を踏まえながら、委託業務に従事してございます方々の適正な労働環境の確保が図られますよう努めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 適正を期していただかなければならないと思いますし、当然、働いた上で、そのことが全然実感できないようであれば大変なわけであります。
ただ、いわゆる標準的な積算がそこで守られたとしても、一般競争入札に入っていくと、どうしても地元なり、ほかからも入ってきて、競争して、金額が低くなって落札していけば、どこを削っていくかというと、直接の人件費に影響するのが大きいのではないかと考えるのですけれども、その部分はどうなのでしょうか。
〇猪久保管財課総括課長 人件費への影響は、おっしゃるとおり、そういう部分もあると思いますけれども、先ほど少しお話が出ました低入札の関係もございまして、来年度からの試行でございますが、県庁舎業務委託につきましては、低入札対策の導入を予定してございます。そういった面でガードをしていくという試みも始めようとしてございます。
それから、先ほどの公契約条例の関係で実態調査というお話も所管部局のほうで進んでございますので、関係する県庁舎の業務委託という立場の当課といたしましても、それと連動するような形での確認をしてまいりたいと思ってございます。
〇軽石義則委員 低入札の部分も考えてということですので、新年度の予算は、多分そういう意味で、それも加味した上での予算編成をされているのだろうと思いますけれども、実態もしっかり把握して、さらにそのことは、現場にそういうしわが寄っていかないようにしっかり対応していただきたいと思います。
そういう意味で、建物をしっかり管理することも大事ですけれども、県には、毎回決算のときもお話ししますが、未利用財産を処分も含めて有効に活用していくべきとこれまでも指摘してきておりますが、新年度に向けて、その状況はどのようになっているのでしょうか。
〇猪久保管財課総括課長 県有未利用財産の状況でございますが、売却が見込める未利用財産といたしまして、土地で69件、553ヘクタール、建物が31件、6万6、715平米となってございます。
これらの処分の方針といたしましては、これまでも基本的に考え方は一緒でございますが、県が公用または公共用として利用することが適当と認められる資産につきましては、庁内で全庁的に情報を共有いたしまして有効活用を図っていくというのが1点でございます。
一方、県が利用する予定のない資産につきましては、地元の市町村での活用を促させていただきますし、あるいは民間等への売却処分を推進していくというのが基本的な考えでございます。
〇軽石義則委員 これまで同様ということでありますけれども、やはり新年度分はどのような形のものかというのも見えるように、市町村にも、そして地域にも示してもらうことが大事だと思いますし、特に、建物の老朽化が進み、今までも言ってきましたが、防犯上非常に不安を抱えている地域もありますので、そこにはしっかりと対応していかなければ、さらに不安が高まっていくこともありますので、ぜひ、それらにさらに重点的に力を入れていただくことをお願いしたいと思いますが、部長に最後に聞いて、終わります。
〇風早総務部長 未利用資産の処分等につきましてでございますが、今、課長が答弁申し上げましたこととも若干重なりますが、やはり全庁的な情報共有、そして、その未利用資産等が所在する市町村との情報の共有といったものを引き続き進めて、それぞれの物件によりますけれども、建物の撤去など必要に応じて条件整備を進め、売却に引き続き積極的に取り組んでまいります。
〇神崎浩之委員 県有未利用資産について、今もちょっと最後に触れられておりましたが、1点お聞きしたいと思います。
県の未利用資産でありますけれども、これは、まず最初に部長からお聞きしたいと思うのですが、未利用であるので早く処分すべきだと。これは、草刈り等、管理費がかかります。それから、今も指摘がありましたけれども、防犯上の地域住民の課題もあるということなのですが、この未利用資産の積極的な市町村等への譲渡が必要なのではないかと思うのですが、その点についてお聞きしたいと思います。
〇風早総務部長 未利用資産につきましてですが、先ほど御質問の中で課長が答弁申し上げましたとおりですが、やはり条件が整ったものにつきましては、歳入確保の観点からも、県としては、地域の市町村等とも相談しながら売却の方針を進めているところでございます。
〇神崎浩之委員 県は、そういうことで処分したいということでありますし、それから、市町村も、ぜひ活用したいということがあります。県とすれば、知事部局もそうですが、教育委員会の学校施設、それから、医療局の病院の跡地等あるわけですけれども、県も処分したい、それから、市町村も活用したいという中にあって、それを拒んでいるのが管財課というか条例なわけであります。
そこで、今、地元自治体等からの未利用資産の活用の相談というのはどのくらいあるのか、お聞きしたいと思います。あわせて、この5年間に自治体への譲渡状況はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
〇猪久保管財課総括課長 県の未利用資産に対する活用の相談のお尋ねでございますけれども、売却が見込めます未利用資産のうち、地元の市町村等から、現在、9件の資産に対しまして12件の相談が各部局へなされている状況にございます。
また、平成22年度から平成26年度までの過去5年間の自治体への譲渡の状況でございますが、市町村に対する未利用資産の譲渡件数は40件となってございます。
〇神崎浩之委員 台帳価格上は、今現在、県では101件、64億円あると。その中で、来年度については、不動産の売り払い収入が6億6、500万円という状況であると。
私は、前の委員会でもこの問題は出しているのですけれども、もともと地元から無償で寄附された資産について、これは無償で譲渡すべきであると思うのです。市町村とそれから県行政に対して、いろんな不思議なことがあるのですけれども、何で、ただで県に寄附してやったのに、それを今度は自治体で使う場合に売るのかということ、そういうことが地元なり自治体から県に対して、こういう声というのはずっと恐らく皆さん方にも届いているということで、前の委員会でも指摘したところであります。
そこで、地元自治体等に払い下げる場合に、無償でもらったものについて無償で返せない、こういう文章化されたルール等というのはあるのでしょうか、お伺いをしたいと思います。
〇猪久保管財課総括課長 寄附受け財産の無償譲渡に関するお尋ねでございますが、寄附受けした財産を用途廃止に伴いまして寄附者等に譲渡する場合でございますが、財産の交換、譲渡、貸付け等に関する条例、この第3条第3号の規定に基づきまして、寄附に際し、無償返還するなどの特約をした場合や寄附受けした後20年を経過しないものにつきましては、これを譲与し、または時価よりも低い価格で譲渡することができると、これが基本的な考え方でございます。
〇神崎浩之委員 市町村の議員で、そして新しく県議会議員になった委員方もいらっしゃって、こういう問題については、市町村でもおかしいんじゃないのという背景を持って、今来ている方もいらっしゃると思います。
県は不動産業ではないので、長く持っていたってしようがないと思うのです。管理費がかかる、それから防犯上も困るということがあって、これはどんどん進めていただきたい。恐らく、高校の再編もあって、これからどんどん各部局、教育委員会を含めて、ここのところ花巻厚生病院であったり北上病院であったり、県有資産が自治体のほうに移っていくような例があるのですけれども、今後、高等学校の校舎、土地等もいっぱい出てくる中で、同じ県の部局でも、市町村に説明できないで困っているということもありますので、前回、私は指摘していたのですけれども、その後、庁内では、この条例について再検討の余地があったのかどうか、そういう議論があったのか、議論すらなかったのか、その点について確認をさせていただきたいと思います。
〇猪久保管財課総括課長 この条例に関しましては、委員の前回の御質問等がございました。その後、事務的には、他県の状況ですとか、検証といいますか調査をさせていただきました。東北各県ではございますけれども、他県も同様の規定を設けておりまして、寄附受けした後、10年と短くしている例もございますが、20年より期間を長くしたり、撤廃をしているという例はないということを確認してございます。
〇神崎浩之委員 最後に部長に聞いて終わりますけれども、ぜひ風早部長のいるうちに着手していただきたい。県が買ったのであればいいです。県が自分で買ったのであればいいのですけれども、もともと地元からただで寄附されておいて、それをそのときの金額で売るということについて、これはやっぱりおかしいと思っておりますので、ぜひ部長の前向きな見解を求めて終わりたいと思います。
〇風早総務部長 先ほど管財課総括課長が御説明申し上げました本県の財産の交換、譲渡、貸付け等に関する条例の規定の関係部分、若干御説明いたしますと、先ほど御説明申し上げましたのは、寄附をいただいたものを用途廃止したときに、先ほどの条文では、基本的には、寄附の際、特約をした場合もしくは20年を経過していないものについて無償でという規定がございます。この規定につきましては、先ほどちょっと他県の例を申し上げましたが、根っこをたどりますと、国有財産法にも全く同様の20年という規定がございまして、そこの解釈を読みますと、やはり寄附時から長期間経過している場合には、寄附者と当該財産との関係が希薄になっているので、なかなかそういうのは難しいという規定がまず一つございます。
もう一つ、仮に市町村等が公用または公共用または公益の事業の用に供するために譲渡するときには、これも、譲与したり時価よりも低い価格で譲渡することができるというのが同じ条例の同じ規定の別の号にございます。したがいまして、こういったところと相まって、他県の例を申し上げましたが、各県でも同じような規定で短くしている例はありますが、長くしたり廃止したりしている例がないというのが実態でございます。
個別の案件につきましては、この条例の規定に基づいて、それぞれ適切に判断をしていくということになろうかと考えております。
〇神崎浩之委員 部長にもう一回お聞きしますけれども、条例は条例なんですけれども、ただでもらったものを高く売りつけるというのはちょっとおかしいと思うのですが、その点について部長の所見をお聞きしたい。
〇風早総務部長 ただでいただいたものをどうのこうのということではなくて、あくまでも、仮に寄附をされた方との関係で申し上げますと、先ほど御説明した最初の規定に基づき判断をし、もう一つは、仮に市町村等が公益等の事業に使われる場合には、時価よりも低い価格もしくは譲与ができるという規定がございますので、個別の案件については、そういった規定に基づいて判断をしていくということになろうかと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、メンター制度についてお伺いしたいと思います。
県では、平成27年7月から、若手職員と女性職員に対する人材育成の取り組みとしてメンター制度に取り組まれて、去る2月9日に合同報告会が開催されたと聞いております。合同報告会で報告された今年度の取り組みの状況と、それを踏まえた来年度のこの制度の改良点、それから来年度の方向性についてお伺いしたいと思います。
〇菊池人事課総括課長 メンター制度のお尋ねでございます。
メンター─先輩職員と、メンティ─後輩職員の対話による支援を通じて、職員個々の成長を促すという制度でございまして、研修のシステムとして取り組んでおりますのは、全国都道府県で岩手県が初でございます。
制度を活用した12組の職員から聞き取りを行っておりまして、メンティからは、子育てや家庭を顧みるゆとりを持つことについて、具体的に、よりわかりやすい助言が得られ、安心感を得られたという声がございますし、メンターからは、後輩職員への助言を通じて、業務の進め方など、改めて自分も確認するよい機会となったという声がございます。
また、所属長アンケートによりますと、多くの所属長が、メンター制度に参加して職員の意識や行動に変化が見られた、成長したという回答を得ております。
一方で、運用ルールの柔軟化や面談頻度の改善についての指摘もございました。初めての制度でございますので、例えば面談後に、人事課に面談ワークシートを提出するですとか、そういった縛りというか制限をかけておりましたので、もう少しそこら辺を柔軟にという指摘もありました。
これを踏まえまして、今年度は内陸の公所を対象として試行的に行っておりましたが、来年度におきましては、対象を全県に広め、今年度の参加職員から指摘された事項も踏まえ、運用の改善を行いまして、職員がより活用しやすい制度となるように取り組んでまいります。
〇ハクセル美穂子委員 私もこの制度はとてもいい制度、取り組みだなと思って高く評価をしています。そして、人材育成の取り組みという部分のみならず、このメンターとメンティが話し合うことによって、組織の中でこれまで改善されてこなかった点、これから改善していく面というのが見えてくるのではないかと期待しております。
今年度の取り組みで、例えば短時時勤務がとりづらいとか─わからないのですけれども、12組のメンターとメンティの間で、これまで改善がなされなかったし、今もまだ改善がされていない組織として改善するべき点ということが出てきたのかどうか、その辺についてもう一回お伺いしたいと思います。
〇菊池人事課総括課長 組織として改善すべき点というのもいろいろあったのですけれども、後輩が、私はこういうので悩んでいるのですよという話をして、私も悩んでいたけれども、こうだったよということで、例えば組織、制度があるのだけれども、それを使えていなかったとか、それをうまく使えるようになったとか、そういった声はかなり多く寄せられておりまして、確かに物には書いてあるのですが、こういう制度がありますというのが、実際に職員が仕事をする上で生かせるようになったというのが、非常に今回の得られた結論としてはいいものだったと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 ということは、今の回答だと、組織として子育て支援とか若手の働き方、ワーク・ライフ・バランスの点で、改善するべき点がないというわけではないのですよね。ないという見解なのか、それとも、この制度を通して見つけていくという気持ちもあるのかどうか、その辺のところをもう一度お伺いしたいと思います。
〇菊池人事課総括課長 この制度を通していろいろな意見が寄せられますので、その中で制度改正に資するものについては、積極的に取り組んでいきたいと考えております。ただ、これは改善を促すというか、改善のネタを出させるというよりも、先輩、後輩が話をして悩みを解決するですとか、そういった実際のことがまずメーンでございますので、まずはそれを来年度もきちんと運用して、職員の成長を促すという、本来の目的を達成したいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 わかりました。今年度から運用ということで、目的を達成することが最初の取り組みだというのはわかりましたので、ぜひその目的が達成されて、できたというような段階になりましたら、次のステップに行っていただきたいと思います。
この風通しというか、メンターが実は悩んだことで、本当に今メンティも悩んでいるということは、実際、本当はあるのではないかと思うのです。そういった点を出していって、今後の私たちよりも若い世代、これから子供を産もうとする世代、家庭を持とうとする世代が、より働きやすい環境をつくるためにも活用していくべき制度だと思いますので、その点も十分に留意してやっていただきたいと思います。
では最後に、私も風早部長も、実際に今子育てをしながら、こういう管理する立場にいて、いろいろと心の中に思う部分もあると思います。こういった点を、この制度とか県庁の組織体制の中に、私たちが出していくことによってこれからより変わっていって、働きやすい環境というのがつくられるのではないかと私も考えておりますが、最後に部長の所見をお伺いして終わりたいと思います。
〇風早総務部長 メンター制度でございますけれども、ただいま課長からも御答弁申し上げましたが、職場は、縦、横、職場の上司、チーム、部下の関係、それから同期とか、そういう関係はもちろん強いものがあるのですが、今回、斜めというか、ちょっと職場とは直接関係ないけれどもという、こういうのを入れさせていただきました。試行させていただいたということですが、なかなか直接は相談しにくかったりとか、あと一番は、どんな仕事をするにしても、職場の分化だとか、これをどういうふうに持っていったらいいのかとか、どういうふうに仕事をつくっていけばいいのか、意外とそういうところはメンターのほうもメンティのほうもいろいろ試行錯誤されているところもあろうかと思います。今回、こういったところが、直接今までなかなか交わりがなかった職員同士が会うことによって、さまざまな改善点等も見つかって、それぞれのメンティとメンター─私も最終回に出ましたが、非常に皆さん、得るものが多かったのかと思っております。
委員から御指摘ありました子育て、既に終えた職員も含め、女性職員にも多く参加していただいておりますので、そういう方々にも、仕事の仕方だとか、どういうふうに自分が活躍できるのか、そういったところを先輩方の背中を見て実際にも話をしていただいて、また、先輩は後輩を見ていろんな話をする、そういう機会をつくっていければと思っております。
〇中平均委員 では、私から質問させていただきます。災害時の対応ということでお伺いします。
先般の代表質問で質問させていただきました。その答弁に対して疑問点があるのでお伺いいたします。
1月18日からの暴風雪、波浪について、2月17日に集計資料の公表がございました。これは1カ月かかっているということで遅いんじゃないかという質問をしたときに、答弁としては、しけ等があったことでその公表が遅くなった、集計が遅くなったということでございます。それにしても1カ月というのは長かったんじゃないかと私自身は思うのですが、その点についてお伺いいたします。
また、一般的に、各種災害が起きたときに、いろんな被害状況をまとめて集計をとって、1次段階、2次段階と公表をしていきながら、今後の災害が発生したときの被災の状況に対しての復旧とかをやっていくということでございます。その一般的なスケジュールというか、時間的な流れ、災害が発生して大体いつくらいまでにやってということがあるかと思うのですが、そういった点も含めて質問させていただきます。
〇小向総合防災室長 災害時の一般的な対応のスケジュールにつきましては、県では、気象庁から気象警報が発表された場合、あるいは震度4以上の地震が発生した場合などにおきまして、直ちに災害警戒本部等を設置いたしまして、被害状況や市町村における対応状況の把握等を行います。また、必要に応じて関係機関に対応の要請を行ったり、場合によっては、非常に甚大な被害という場合には、自衛隊に対する災害派遣要請を行うこともございます。
被害情報につきましては、災害警戒本部等が設置されている間は、本部、総合防災室が事務局になるわけですけれども、そこにおいて市町村等からの情報を取りまとめ、随時、ホームページ、ツイッター等でお知らせするとともに、マスコミ等に対しましても情報提供を行っているところでございます。
また、災害警戒本部等を廃止した後におきまして、被害額が相当程度大きくなる場合が考えられます。そうしたことが見込まれる場合には、総合防災室から庁内各部局に対しまして被害額の報告等を依頼いたしまして、その内容につきまして取りまとめて情報提供をするという形になってございます。
今回の災害による被害につきましては、先ほど委員がおっしゃったとおり、波浪によるものがその大部分を占めたということで、発災以降もしけが続いて海の調査に時間がかかったということで、2月17日の被害額の公表になったところでございます。
〇中平均委員 そう言われれば、もう海の中もあるのでしょうから。ただ、答弁のところでは、1月30日に農林水産大臣に対して支援を要請しているというのもあるのです。被害額が全くわからないで支援を要請できるはずもないんじゃないかと。その段階である程度わかったということであれば、中間的な公表、まだ取りまとめ中ですけれどもとやるべきだったんじゃないかと私は言いたいのです。それがなくて2月17日─それはいいです。今もまだ調査中のところもあるのだと思います。ただ、後になって、波浪の状況で見られませんでしたと。一方、実際は大臣のほうにお願いはしていると。その段階で、ある程度の被害があるのでお願いしたいということは、ちゃんとわかっていたんじゃないかなと思うんですが、この点はどうなのでしょうか。
〇小向総合防災室長 1月30日、知事が農林水産大臣へ要望をしたということでございましたけれども、被害額につきましては、調査中であるけれども、多額になることが予想されるということで、大臣に対して、早期復旧に向けた支援をお願いしたいという形で要請したものと聞いてございます。そうした中におきまして、私どものほうでは、2月1日時点の被害額について関係部局に調査をかけたところでございましたけれども、その際、上がってきた数字が3億円程度だったということで、まだこの部分につきましては公表に至るものではないと判断いたしまして、その後、積み上げができました2月17日の公表となったところでございます。
〇中平均委員 最初が3億円ということです。では、逆に、金額が幾らであれば公表して、幾らであれば公表しないのか。
私、何でこれにこだわってしゃべるかというと、被災地だったわけです。質問でも言いましたけれども、やっと復旧して養殖かごとか全部やり直してやっている。そこで養殖被害があったと。海が荒れていて行けないけれども、もうだめ、何基やられているとわかっている。そして船をつける場所も壊れているというのは、もう見ればわかるわけです。最初の段階で3億円だと言いながらも、実際はそうであったわけです。その中で、今震災から5年がたって、やっと各漁港施設であり養殖施設が復旧してきている中で自然相手の災害と。それでも前を向いて頑張っていかなければならないと、漁業者の方たちみんな言っていたのです。そういったところに、ちょっと県としての反応が遅かったんじゃないか。それは内規で、額からある程度見ていくんだということであれば、その中で今後、各地域での特殊事情があるので、それを見越しながらやっていただきたいし、そうでなくてということであれば、またそういうお話を伺いたいと思います。
〇小向総合防災室長 被害額の公表につきましては、おおよそ100億円という部分を目安にしてございますが、実際には、調査の広がり等を考慮して、50億円程度から公表しているということが実態でございます。ただ、そのほか、例えば一昨年の林野火災の多発の状況のときのように、社会的な影響に配慮して報告等をすることもございました。そういった意味で、今回委員からの御指摘も踏まえつつ、我々も関係部局─我々は取りまとめる立場でございますので、現場がないという部分でございますが、現場を持つ関係部局とできるだけ連携をし、我々もアンテナを高くしながら、正確な情報をできるだけ迅速に取りまとめて提供できるよう工夫、努力したいと思います。
〇中平均委員 了解いたしました。今後、いろんな災害がどうしても起きてくるというところに、被災した皆さんに、復興のほうもそうですけれども、寄り添った形でやっていくということで、今までも進めてきたと思いますし、これからもそういった形で進めていくように、今御答弁をいただいたように、アンテナ等を高くしながらやっていただきたい。
あともう一点、緊急災害時における情報の取得ということで、総合防災室のほうでどう考えているのかということをお伺いします。
携帯電話の不感地域もあります。それだけではなくて、ラジオとかそういう情報がなかなか入らない地域があるのですけれども、そういった地域になると、震災時、情報が入らなくて孤立してしまうという問題が5年前の大震災以降、結構出てきているのです。各自治体でやっている防災無線が停電時にも対応できるように改修したりとか、公民館等の改修を行っているということがありますけれども、そういう情報がとりづらい、どうしても孤立化してしまう地域に関して、どのようにこれから対策を打っていくのかということをお聞きします。
〇小向総合防災室長 いわゆる携帯電話等も通じない、ラジオが通じないところが孤立した場合でございますけれども、委員御指摘のとおり、いわゆる防災無線があるところについては、こちら側からというか、行政側からの連絡というものはつく場合がございますけれども、逆に、被災地側からの連絡がつきづらいという状況もございます。そういった場合の対策といたしましては、県の地域防災計画に記載してございますけれども、公民館等への衛星携帯電話の配備、あるいはヘリコプターが降下していろいろ情報をとれるような形にするために、離着陸ができる場所の確保といった部分を地域防災計画の中で市町村のほうにお願いしているところでございますので、今後も、そういった部分を十分お願いしてまいりたいと思っております。
〇中平均委員 了解いたしました。一番は電波が通る地域になっていくということが大切なんだと思います。防災なり災害時の観点からもそうですし、今回の定例会で、私どもの会派からも、携帯の不感地域の解消を図るための意見書を出させてもらっていますけれども、そういった面を含めて、総合防災室のほうでも、携帯電話の関係は政策地域部だと思うのですが、そちらとも連携を十分にとりながら、今後の災害時の対応に生かしていけるような形で進めてもらいたい、そういう連携をとっていってもらいたいと考えておるんですが、その点の所感を聞いて終わります。
〇風早総務部長 ただいまは孤立それから携帯電話等が通じない、ラジオも視聴できない地域のお話をいただきました。委員からもお話がありましたとおり、災害時の対応というのは一つの部局だけで対応するということにはいきませんので、今お話がありましたとおり、関係部局とも連携をして対応を進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、平成28年度のふるさと岩手応援寄付の進め方についてお伺いをしたいと思います。
まず、ふるさと納税未来大賞受賞についてお伺いをしたいと思います。
ふるさと納税制度の利用状況は全国で増加傾向にありまして、寄附金が5億円または10億円を超える自治体も出てきたと仄聞をしております。2015年の1月からふるさと納税控除限度額が2倍となり、同4月からは、一定の条件のもと、確定申告が不要となるふるさと納税ワンストップ特例制度が始まり、今年度の利用状況も、全国的に見ると、過去最高になるのではないかと言われております。その一方で、費用対効果や過度な返礼品について総務省から指摘をされるなど、その運用方法には議論のあるところであります。そのような中、本県においては、きのう高橋元委員からも指摘がございましたけれども、13県知事で構成する、自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワークが主催するふるさと納税未来大賞に5県市町が選ばれておりますけれども、県としては唯一、本県が選ばれたと聞いております。
この賞は、地方応援という本来の趣旨に添い、寄附金を有効活用しているかを基準に選定したといい、財源が乏しい地方が、政策として生かしているすぐれた事例を表彰するものとされておりますが、本県の取り組みのどのような部分が評価をされたのか、また、この賞を励みに、平成28年度はどのように制度を運用、発展させていくのか伺いたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 ふるさと納税未来大賞についてでございますけれども、この賞は、委員からお話がございましたとおり、生まれ故郷など、応援したい地方団体を支援するというふるさと納税制度の趣旨を尊重したすぐれた取り組みを行っている自治体を表彰するものでございまして、本県では、いわての学び希望基金として、被災地の遺児、孤児の修学支援を行っている取り組みが評価されたものでございます。
県といたしましては、このようなふるさと納税制度の趣旨を踏まえまして、今後とも、制度の周知や寄附金の活用状況を丁寧にお伝えするなどPRに努めるとともに、先ほどお話がございましたけれども、ワンストップサービスで寄附される方の利便性の向上といったことにも、今後、努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 これまでの取り組みに心から敬意を表したいと思います。
いわての学び希望基金にふるさと納税の8割が使われているということで、本当に震災復興また被災地の子供たちにとって大切な財源であると理解をしております。
そのような取り組みを進めていただいているのですけれども、私はこれからの部分で課題もあると思っておりまして、寄附の継続をどのように担保していくのかというのが大切になってくると思っております。
9月の定例会において私も質問させていただきましたが、本県のふるさと岩手応援寄付の寄附金額は減少傾向にあるけれども、依然として件数、額ともに全国上位であり、8割の方が複数回にわたって寄附をしているという答弁をいただいておりました。しかしながら、2011年で約4億5、000万円、次の年が2億3、000万円、次が1億1、400万円、2014年が7、500万円、本年度は4月から9月の半年間で1、900万円という数字になっておりまして、件数も減少していると聞いております。全国的には増加傾向にある中で、どうやって我が県において寄附金の継続維持をしていくのかというのが大きな課題だと思っております。県としては、募集に係る費用をできるだけ小さくするよう努めるとの答弁を前回いただきました。先ほどワンストップ化にも努めたいという話もいただきましたけれども、件数、額ともに高い水準を維持していくためには、それなりの費用もかけながら、費用対効果を考えながら、支援をいただくためのコストもかけていかなければならないと思っております。
支援者への現状報告、情報発信については、平成27年度の2月補正において、いわての学び希望基金から400万円を予算措置して、支援をいただいている生徒の気持ちでありますとか、将来の夢、復興の状況を伝える冊子を作成して配布を行うということで聞いておりますので、大変そこは評価をしているのですが、さらなる取り組みが必要であると思っております。
例えば、費用対効果を考えながらも返礼品システムの構築でありますとか、先ほど少し言っていただきましたが、我が県もクレジットでの決済はできるのですが、ワンストップではなく、1回申し込んでからクレジットを行うということで、やはりそこがネックになっていると思っておりますので、手続の簡素化に合わせて、ホームページでの入力フォームの作成などについても検討した経緯があるのか、あれば、どのぐらい費用がかかるものなのか、お示しをいただきたいと思います。
また、年度ごとにこのふるさと納税の目標値というのはあるのか、お示しをいただきたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 ふるさと岩手応援寄付につきましては、平成26年度でございますけれども、クレジットカードの収納手数料20万円余り、広報経費に45万円余り、あと若干の通信費等で運営をしてございます。返礼品システムの構築等につきましては、他県の情報収集はしてございましたけれども、県といたしましては、この寄附が、県が掲げる目標に使ってほしいという寄附者の意思を考えると、直ちに募集に係る経費を多額にふやすことは難しいのではないかと考えているところでございます。
また、年度ごとの目標でございますけれども、寄附金という性格上、目標額を設けることは難しいということでございますので、寄附の実績を勘案して予算に計上しているところでございまして、今回当初予算で4、500万円という額を計上させていただいておりますけれども、それを確保できるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 1点、手続の簡素化に合わせたホームページでの入力フォームの作成というのをさっき聞きましたけれども、これは検討していないのでしょうか。
〇小畑税務課総括課長 失礼しました。入力フォームのワンストップでございますけれども、実施するには若干経費がかかりますということ、それから本県の場合は、リピーターに多く寄附をいただいておりますので、その入力フォームを現在のものと変更することでかえって不都合をおかけするのではないかということ、それからインターネット上で申し込みを受けるということで、電話等でお申し出をいただいた方に、直接、お礼を申し上げることができないということも考えられますので、現在のところは導入をしておらないというところでございます。ただ、現状で4割がクレジットカードで寄附をいただいているという状況がございますので、利便性の向上のために、今後、検討してまいりたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。岩手県に継続的な支援者がいるということは大変ありがたいことですので、ぜひそれは生かしていただきたいですけれども、私は今のと並立でも構わないと思いますし、寄附を伸ばしている自治体はワンストップで、そこでクレジット番号を入力すればそのままでできるということで、例えばいろんなところに行って皆さんぜひお願いしますと言って、その場で、スマホで寄附もできるということも私は大事なのではないかと思いますから、ぜひとも検討していただきたいと思います。
その中で、今後のふるさと納税の進め方について、返礼金に頼りたくないと、頼らないという気持ちは私はすばらしいと思いますので、応援をしたいと思います。
しかしながら、ちょっとここで問題提起をさせていただきますけれども、今、いわての学び希望基金で支える岩手の被災地の親御さんを亡くされた子供たちを二十歳まで支援をしていくには約30億円かかる、そのようなお話も聞いたことがあります。一方で、今、基金は77億円を超える温かい支援によって大きな基金となっているわけですけれども、そういった中で、今後どのようにふるさと納税の使い方を考えていくか、私はいい時期に来ているのではないかと思っております。
学び希望基金については部署が違うということですが、その中身も私は検討していただきたいと、平成28年度の使い方を見ると思うわけでありますけれども、その8割がいわての学び希望基金に行くということで、ふるさと納税についても、その目的についてしっかりと確認をしなければいけないのではないかと思っているところであります。
その中で、ふるさと納税の目的というのを福井県の知事が提唱を初めにしたそうですけれども、先ほど答弁でもいただきましたとおり、生まれ育ったふるさとに恩返ししたいという都市に住む人の願いを、税システムを使ってかなえられないかとの思いから創設されたと聞いております。東北出身者の東京圏在住者の割合が他の地域と比べても極めて高いというデータがあるとお聞きをしたことがあります。そういった目的を考えれば、東京圏等の本県の出身者へふるさと納税の周知、アプローチを充実させるべきだと思いますけれども、これまでどのような取り組みを行ってきたのか伺いたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 東京圏等本県出身者への周知でございますけれども、県といたしましても、より多くの寄附をいただくために、東京圏等を初めとした東日本の各地に対してですけれども、新聞広告を行ってございます。また、首都圏の県人会等に出向くなどして、このふるさと納税のPRを行っているところでございます。また、今年度につきましては、ことしの2月、東京で行われましたけれども、ふるさと納税未来大賞の受賞時に開催されましたふるさといいことフェアで本県の取り組みを発表するなど、PRを行っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 ここで、ふるさと納税を提唱した福井県観光営業部ブランド営業課ふるさと営業室長服部和恵氏の、2015年3月3日の税務経理という新聞に載ったコラムを紹介させていただきたいと思うのですけれども、福井県では、創設当初、担当職員が東京の公舎に泊まり込み、首都圏在住の本県出身者にお願いをして回りました。そのかいあって、創設時から毎年、心のこもったメッセージを添えて寄附してくださる方々が多くいられます。
また、週末ごとに関東や関西、中京圏で開催される同郷会や同窓会に参加させていただき、寄附を呼びかけています。東京と大阪の県外事務所スタッフも、本県ゆかりの方々へお願いに回っており、こうした人海戦術が本県のふるさと納税を支えています。また、ことし1月からは、県内の県立、私立高校を指定して応援できる寄附も始めました。
ふるさと納税は政策の競い合いであり、県庁全体を挙げて取り組んでいると言ってもよいでしょうと、こんなコラムがあります。
新聞広告を通じて、いろんなPRをしていただいているということもなんですけれども、こういった地道な活動というのが大切なのではないかと思います。
また、こういった熱意の裏にはというんですか、目的感があって、こういった施策に生かしたいと、これを財源にこういったことをやりたいというところが私は明確なのではないかと思っているところであります。そういった意味で、本県では、いわての学び希望基金について多くの寄附をいただいている、そういった背景がある中で、きのう高橋元委員も指摘をされておりましたが、もう一度、ふるさと納税の使い方を、新たに創設をしていく意味があるのではないかと思っております。
そこで、活用方法についてお伺いをしたいと思いますけれども、ふるさと納税は施策を実現する大事な財源でありまして、行いたい施策、そのための目標額、それに向けての寄附の継続、増加策を一体となって考えていくことが必要であると思っております。
ふるさと納税の動機づけの一つとして、応援したい施策を寄附者が選ぶガバメントクラウドファンディングという手法があるとお聞きをしております。本県ではいわての学び希望基金など、七つの寄附目的を選べますが、この選べる先について再検討の予定はないのか、また、より具体化した先を選べるなど、さらなる工夫が必要ではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 ふるさと納税の活用の方法でございますけれども、昨年10月に総務省で調査を公表してございますが、全国の都道府県及び市町村における寄附の目的でございますけれども、本県と同様に、まちづくりですとかスポーツ、文化振興などの分野でもって選択できるということにしている団体が72%ということで、圧倒的に多くなってございます。ただ、一方で、具体的な事業を掲げて募集をしている団体も若干ございます。
ということでございますので、いずれ、他県あるいは地方団体の動向を見ながら、より多くの寄附をいただけるよう、その寄附の目的についても工夫をしていく必要があろうと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 他県の情報も含めてお知らせをいただいてありがとうございます。私は、7分野が、網羅的ではあるんですけれども、抽象度が高くて、何に使われているのだろうというのがよくわからないのではないかと思います。だからこそ、いわての学び希望基金に多くの支援が集まっているところもあると思うし、あと、災害復旧対策費についてが2番目ですけれども、それにしても額の桁が違いますので、これは考えていかなければならないのではないかと思います。
具体例についても、先ほど軽石義則委員から私学助成についてお話がありましたけれども、他県では私学または公立を含めて、母校応援寄附ということをやっているところもあります。また、図書館の子供向けの本をそれで買っているという自治体もあったり、また、文化財の保存に使ったりということで、ポイントを絞ってやっているというのも聞いておりますので、あと、NPOの支援なんかもやられているともお聞きをしておりますから、ぜひとも研究をして使っていただければと思います。
また、その中で、県が推し進めるふるさと振興施策、また、いわてまるごと売り込みの財源として私はこのふるさと納税を活用すべきではないかと思っております。施策の独自性を生む効果もあると思いますし、本県の取り組みを内外にアピールすることにもつながって、県内の寄附者を募る効果も期待できます。財源として親和性が高いと思いますが、制度設計に当たって他部局との連携などはどのように行っているのか、また、活用方法と寄附の増加策一体となった検討は行っているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 他部局との連携についてでございますけれども、七つの現在の寄附目的を設定する際に、政策地域部等と連携をして項目を選定しているということがございます。その後、各種のイベント等におきまして、連携して周知を行ったという経緯もございます。
現在は、復興局と連携をいたしまして、学び希望基金の活用状況等を寄附者にお知らせなどをしているところでございますけれども、いずれ、今後とも、より多くの寄附を確保できるように、関係部と連携して対応してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 最後に、部長に御所見を伺いたいと思いますけれども、今まで議論させていただきましたが、震災から5年ということで、いわての学び希望基金の中身の使い方についても議論をしていかなければいけないと思いますし、また、一方で、復興とともに地方創生、人口減少という、岩手県にも大きな課題もございます。そういった中で、私は、ふるさと納税を弾力性のある財源として、岩手独自の施策を打っていく大切な財源として、募集の仕方または使い方を含めて再検討するべきだと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇風早総務部長 ふるさと納税につきましては、生まれ故郷など応援したい地域を支援する、地方団体を支援するという趣旨がございます。そうした中で、本県もさまざま取り組みを進めておりますが、こういう趣旨にのっとりまして、本県出身の皆様ももちろん、それからそうでない方々からも、岩手県を応援したいという気持ちにはしっかりと寄り添っていくことが必要だと考えております。そうした中で、岩手県の各種行政そしてまた復興、さらにはふるさと振興の取り組みをさまざまやっておりますので、引き続き、さまざまなイベント等を活用してPRに努めますとともに、制度の運用につきましては、本日も答弁もさせていただきましたが、他県の情報を参考に、各部局とも引き続き相談の上、検討してまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 私のほうから地域防災力の強化についてお伺いいたします。
阪神大震災、また5年前の東日本大震災津波ということで、これまで常識では考えられない災害が連続的に発生しておりますけれども、震災後、県の地域防災力の強化策はどのようになっているか、お伺いいたします。
〇小向総合防災室長 地域防災力の充実強化策についてでございますけれども、地域防災力を強化していくためには、県民一人一人が、災害から身を守る力を備え、地域の自主防災組織が県内にくまなく組織されるなど、自助、共助による体制が整えられるとともに、公助による実効的な防災体制の整備を進めていくことが必要だと考えてございます。そうした取り組みについてこれまでも進めてきているところでございますが、今年度におきましては、地域防災力強化プロジェクト事業の新しい事業としては、若者、女性の消防団加入促進に向けた取り組み、栗駒山火山ハザードマップの作成などを加えてございます。そうしたことにより、地域防災力のさらなる充実強化を図ってまいりたいと考えてございます。
〇阿部盛重委員 いずれ、震災が起きますと、消防署員や消防団の消火また救急、それから救助関係が発生しますけれども、災害では人手が足りないという状況が見受けられて、そのために緊急消防援助隊という全国的な応援体制をつくっていらっしゃると思うのですが、ただ、被災地に到着するまで時間が非常にかかるということで、災害発生直後は地元の消防、地元の人々しかいないという現状なんですが、現状の消防団員数の状況はいかがでしょうか。
〇佐々木防災消防課長 消防団員数でございますけれども、ただいま2万202名という状況にありまして、これは市町村が条例で定数を定めておりますけれども、その定数が2万6、000人ほどでございますので、8割を切っている状況にございます。
〇阿部盛重委員 それは震災後から増員でしょうか、それとも、下降になっているということでしょうか。
〇佐々木防災消防課長 消防団員数につきましては、委員も大体御案内のとおりかと思いますけれども、徐々に減少しているという現状がございます。
〇阿部盛重委員 いろんな社会情勢の中で、消防団員数が減っているということだと思うのですが、内容的に被雇用者といいますか、サラリーマンの方々がふえているかとは思うのですが、企業でいいますと、税務措置だとかいろんな優遇措置をしなさいと法律で定まっているのですけれども、そのあたり、県として優遇的な制度はどのようになっているか教えてください。
〇佐々木防災消防課長 就業形態の変化に伴いまして、確かに被用者が増加しているという実態がございます。
県内の取り組みといたしましては、消防団協力事業所表示制度を市町村で設けていただきまして、社会貢献活動として、被用者の消防団加入を促す取り組みが行われているという状況がございますし、あとは入札資格審査における優遇というのが行われているという実態にございます。
〇阿部盛重委員 入札資格制度の加点ということだと思うのですが、それは非常によいことだと思いますけれども、ただ、表示だけの方々、例えば製造業だとか販売員だとか、そういうところに対しての対応策というのは何かお考えでしょうか。
〇佐々木防災消防課長 なかなか対策というのは難しいのですけれども、社会貢献のための活動を行っていただいているということを顕彰するというのが今最も行われているというか、そういった取り組みになっているという状況でございます。
市町村の取り組みのほかに、今手元に基準はないのですけれども、取り組みが進んでいきますと消防庁が認定をいたしまして、協力事業所として顕彰し表示する制度もございます。そういったレベルアップをしていただくような取り組みを促進していただきたいということで、各市町村を通じてお願いをしているところでございます。
〇阿部盛重委員 ただ、経営者とすれば、そこの表示はありがたいことだと思うのですけれども、そこの消防団になった社員から見れば、雇用者としては何らかの優遇が受けられるようなものもいろいろと考えていただくと非常にありがたいと思いますので、一つ御検討いただければと思います。
それから、学生の消防団ということが今全国的にふえつつあるとなっておりますけれども、岩手県の学生、大学が5校、それから短大が5校あって、専門学校を含めると20校近くあるんですけれども、そのあたりに対する加入アピールといいますか、どのようになっているか教えてください。
〇佐々木防災消防課長 大学生へのアプローチでございますけれども、実はこれまで、それほど多くの力を注いできたという実態がございませんで、平成27年度、消防庁のモデル事業というのがございまして、滝沢市で手を挙げていただきまして大学生へのアプローチに取り組んでいただいているという状況でございます。
まず、大学祭に行きまして、ブースをつくってPRをするですとか展示をするですとか、そういった取り組みをして御理解をいただくという取り組みを進めていただいてございます。多くの方に興味を持っていただいたと聞いてございまして、人数は確認しておりませんけれども、加入者もあったと聞いているところでございます。
〇阿部盛重委員 今後、若い方々も加入されるということを期待しております。
それから、地域防災組織として、自主防災組織として女性防火クラブと少年消防クラブが挙げられますけれども、その点の岩手県の今の活動状況はどうなっていますか、お聞きします。
〇佐々木防災消防課長 女性防火クラブと幼少年の消防クラブというのがありますが、女性防火クラブは県内に8万200人余、幼少年消防クラブのメンバーが2万6、300人余いらっしゃいます。実は東日本大震災津波以降、自主防災組織率が高まっているということが背景にあると考えてございますけれども、女性防火クラブへの加入数というのは若干ふえてございます。加えまして、幼少年消防クラブへの加入者もふえているような状況がございまして、これも学校単位での幼少年消防クラブへの加入が進んでいることがその要因と考えてございます。
いずれにしましても、地域の防災力の担い手として非常に多くの貢献をしていただいているという認識がございますし、幼少年消防クラブにつきましては、将来の地域の防災力を担う方々への意識啓発というか、教育を推進する場として非常に重要だと思っておりますので、引き続き実態を把握しながら、できるだけ活動が活発化するように取り組んでまいりたいと思います。
〇阿部盛重委員 それから、大震災が起きた後、消防団の装備の改善という話題がかなり出まして、現状ですと、消防団の安全確保のため、安全靴と救命衣などの基本的な装備と、そして、これからは情報を共有する無線、それから、救助活動用の機材、水、食料、燃料などが必要とされてきたというところを聞いておるのですが、今、岩手県の消防団員に対しての装着装備状況はどうなっているか教えてください。
〇佐々木防災消防課長 消防団の装備につきましては、各市町村において、地域の消防力の確保の観点からそれぞれ決められていると考えてございます。
残念ながら、県におきまして、委員にお示しできるような統計とか取りまとめは行っていない状況でございますけれども、基本的には、大きなポンプですとかといったもの以外は、ちょっと把握はしていない状況でございます。
ただ、東日本大震災津波におきまして国の基準が変わりまして、できるだけ双方向の通信ができるようなトランシーバーですとか、安全を守るための装備については充実しなさいというように基準が変わったという状況がございます。これにつきましては交付税措置もあるということでございまして、段階的に整備を進めていると聞いてございますので、引き続き、基準の改正の趣旨に沿った形で整備が進むように助言してまいりたいと考えてございます。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
最後になりますけれども、地域の防災サポーター制度の状況と、あと、町内会活動への連動性等を教えていただければ。お願いいたします。
〇小向総合防災室長 まず、地域防災サポーター制度についてでございますけれども、県では、防災の知識や技術を持っております防災士の方であるとか、自主防災組織のリーダーの方であるとか、消防職員のOB、そういった方々を地域防災サポーターに登録いたしまして、市町村や地域団体等の要請に応じて、研修会での講師などに無料で派遣する制度を平成25年4月に創設したところでございます。
創設当初は18人の登録者数でございましたけれども、年々増加し、現在では41人が登録されているところでございます。
活動につきましては、自主防災組織や地域における防災研修会での講演、防災マップづくりのための支援といった活動を行っておりまして、平成25年度は9回、平成26年度は15回、平成27年度におきましては、今後の見込みも含めまして24回ということで、その活動状況は年々高まっているところでございます。
町内会等の要請につきましても、この地域防災サポーターを無料で派遣しているところでございまして、地域における防災研修会であるとか町内会における防災教育を支援しているところでございます。
そういった活動が年々高まっているところでございますので、今後も地域防災力の強化に向けまして、積極的にこの地域防災サポーターを活用していただけるよう、制度の周知にさらに努めてまいりたいと存じております。
〇阿部盛重委員 さらなる密着をお願い申し上げて、質問を終わります。
〇柳村一委員 関連しますけれども、私は県立大学があるところが地元ですので、今まで私の知っている範囲では、県立大学生は過去3名が消防団に入っておりまして、最初の方は、卒業後、東京消防庁に入っています。2番目の方は県の消防に入っていて、今、矢巾かどこかに勤めています。あと、現役が今、団員に入っていますことで、昼間の学生がかなりの人数いますので、大学に協力してもらって、4年間ではあるけれども、訓練して地域の消火に当たっていただけるのは、地元としても非常にありがたいことですので、県は進めていただきたいと思います。
もう一方で、団員の中では職場が地元にない方が数多くいらっしゃいます。大災害が起きたときに、先ほど阿部委員がおっしゃった協力会社があるような地域であれば団員の確保はできるわけでございますが、都市型の住宅地にあるような分団の災害時の団員確保の対策みたいなものは、何かとられているかどうかお伺いします。
〇佐々木防災消防課長 住宅地、要は昼間、地域の防災力を担う方がなかなか少なくなるという地域も、確かに地域によってはあるのだろうと思います。基本的に、地域の防災力を把握して、その手当てをすることにつきましては、なかなかその手が打てていないというか、県で直接手を打っているということは、残念ながらない状況でございます。しかし、被雇用者の割合が大分ふえているということは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますので、地域防災力を強化するという視点に立ちまして、市町村とどういった方法がとれるかということは、きちんと耳を傾けつつ、先進事例がないかという調査等を行いながら、相談をして、対策を検討してまいりたいと考えております。
あとは、例えば在勤地の話をしますと、行ったり来たりがそれぞれあるわけでございます。そういった方々についても、職場のあるところの消防団に加入することについては、特段制限をしている市町村はほとんどないはずでございますので、その辺の弾力的な扱いですとかといったことについては、十分各市町村において検討されていいことであろうと考えております。これからの地域の防災力の確保の仕方ということで検討を促してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 災害時に自分の地域に戻って救助活動とか防災活動ができない場合には、やはり自分が働いている場所での防災活動が必要になると思いますけれども、一方で、団員というものは地元意識が強いわけでありまして、そこら辺、例えば地元の分団に入っていながら仕事場の消防団にも入れるとか、そういう制度みたいなものがあれば、じゃ、帰れないんだから、働いているところで一生懸命活動できるねという仕組みもつくっていけば、もう少し柔軟な対応ができると思いますけれども、そこら辺いかがでしょうか。
〇佐々木防災消防課長 在勤地消防団というものは、全国的には認めて、そういった取り組みを行っている市町村もございます。例えば、企業内分団みたいなものを組織して行っている消防団も中にはあると聞いてございます。そういった取り組みも情報提供しながら、各市町村と相談してまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 私からは、地域防災強化プロジェクトについてお伺いします。
ここに自助、共助、公助、これが記載されておりますが、まず、端的にこの県のお考えを最初にお伺いしたいと思います。
〇小向総合防災室長 防災力を強化していくために、県民一人一人が災害から身を守る力を備え、地域の自主防災組織が県内にくまなく組織されるなど、自助、共助による体制を整えるとともに、公助による実効的な防災体制の整備を進めていくことが必要と考えており、これにつきましては、いわて県民計画の第3期アクションプランの重点事業として示しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 その中に、共助という中で消防団活動、そして、自主防災組織の育成強化というものがございます。私が子供のころは、消防団の活動というと、有線からサイレンが鳴って、父親がはんてんを着て駆けつけた、その勇ましい姿が記憶にあるわけです。
今、消防団活動は、団員減少という背景から、やはり地元の若い方も含めて生活環境、仕事環境が、会社でしっかり働くようになった、そして、その背景の中にもあると思いますが、誰かがやってくれるのではないかといった他人任せの風潮も、もしかして広がっているのではないかと私は懸念しております。
そして、県から事前にいただきましたこのプロジェクトの概要について、ここに、自主防災組織の活性化を支援する必要があると課題が記載されているわけでございます。
共助という中に消防団活動がありますけれども、これが課題として書かれているということは、今、共助から公助のほうに消防団の組織的な活動が移っているのではないかと私は考えておりますが、この件をどのように捉えているか御意見をいただきたいと思います。
〇佐々木防災消防課長 消防団活動につきましては、地域の方に仕事を持ちながら協力していただいているという意味では、純粋な共助というところに位置づけるのが正しいのではないかと思っております。
しかしながら、非常勤の特別職公務員という立場がございますし、指揮命令系統に従って活動することが基本となります。それから、常備消防の後方支援といったようなこともございますので、自主防災組織と消防団が共助という範疇に入るのであれば、より公助に近い位置にあるのが消防団で、自助に近い位置にあるのが自主防災組織ということかと考えてございます。
〇菅野ひろのり委員 そうしますと、やはり消防団員の方々への敬意ですとか理解を我々も含めてもっと図っていかなければいけないと考えておりますし、そういう意味で言いますと、防災教育、普及活動をより強化して、充実していくことが必要だと私は考えておりますが、現在の普及啓発活動に対する県の取り組み状況、御所見などをお伺いしたいと思います。
〇小向総合防災室長 防災教育あるいは啓発のことでございますけれども、県では、防災教育の教材を作成いたしまして、教育委員会と連携いたしまして教材活用のための研修会等を行ってきております。そうした防災サイドでつくりました教材と教育委員会が作成しました副読本を学校現場で活用することによって、より一層防災教育の効果が上がってくると考えております。
また、緑のカバーのみんなの防災手帳あるいはいわてグラフといったものを全戸配布することにより、防災について啓発普及を行ったということもございますし、先ほど申し上げましたとおり、岩手県地域防災サポーターを地域の団体等に派遣いたしまして、講演やワークショップなどを行って防災意識の向上に努めているところでございます。
今後におきましても、教育委員会と連携しながら、学校現場における防災教育を推進するとともに、各種広報媒体の活用や防災サポーターの派遣などによりまして、県民の防災意識の高揚に努めてまいりたいと存じております。
〇菅野ひろのり委員 地域が自立して自分たちのまちを自分たちで守っていくんだという意識が、私はやはり根本にあると考えておりますので、ぜひとも、これからもそういった教育、啓発活動を推進していっていただきたいと思っております。
最後に、まとめて端的に3点ほどお聞きします。
まず1点目が、ハザードマップがどのように活用されているのか。
2点目でございます。火山指定されております岩手山、秋田駒ヶ岳、栗駒山、この噴石対策は現状どのようになっているか。
最後でございます。広域防災拠点設備等整備費が約1、200万円計上されておりますが、食料備蓄の本県の考え方と現状、そして、それが今、計画数に足りているのかというのを改めて確認いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
〇小向総合防災室長 火山ハザードマップにつきましてでございますけれども、岩手山と秋田駒ヶ岳につきましては、ハザードマップを作成し、いわゆる配布したり公表したりして周知をしているところでございます。
ただ、栗駒山につきましては、噴火史がなかなか明らかにならないというようなことで、いまだハザードマップができていない状態でございますが、来年度、岩手、宮城、秋田3県の連携、そして、地元市町村とも連携しながらハザードマップを作成したいということで、予算を計上しているところでございます。
また、岩手山の噴石対策というお話がございましたが、先ほど申し上げましたとおり、ハザードマップができておりますので、気象台から、噴火等がある場合には噴火口、そして影響範囲といったものが発表されるわけでございます。そうしたものをハザードマップに合わせまして対策を組んでいくというような形になりますので、噴石対策につきましても、そういった一連の中で対応していく形になろうかと思っております。
また、広域防災拠点の整備ということのお尋ねでございましたけれども、食料等の備蓄の必要性につきましては、東日本大震災津波で沿岸市町村の市街地が壊滅的な被害を受けた中で、また、被災地域では最大時に約5万5、000人の避難者がいたということ、そうした中、大量の物資が必要となったところでございますけれども、県、市町村や事業所、家庭における備蓄が当時はなかなか進んでいなかったこともあり、発災時に水、食料、毛布等の物資が不足したところでございます。
このような状況を踏まえまして、平成25年度に岩手県災害備蓄指針を策定いたしまして、最大避難者を5万5、000人と想定いたしまして、市町村や県民の備蓄状況を踏まえ、なお不足する分につきましては、県が備蓄を補完するという考え方に立ちまして、アルファ米であるとか栄養補助食品、飲料水、毛布、携帯トイレ等を平成26年度から5カ所の広域防災拠点施設に順次整備、備蓄を行っているところでございます。
食料の備蓄等につきましては、平成30年度までの5カ年で行うことにしておりまして、今後も引き続き、計画的な備蓄に努めてまいりたいと存じております。
〇佐々木努副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後5時0分 休 憩
午後5時17分 再開
〇高橋但馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後5人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行します。
〇斉藤信委員 それでは、来年度予算にかかわって、1兆661億円の予算の中で震災分が4、005億円となっております。この4、005億円の財源の内訳はどうなっているでしょうか。
もう一つ、来年度予算では復興事業費の一部負担が導入されると。震災分で25億円の負担と言われていますが、その主な事業の中身を示していただきたい。
〇熊谷財政課総括課長 震災分の予算4、005億円の主な財源内訳でございます。国庫支出金が1、554億円、それから震災復興特別交付税が888億円、県債が78億円、基金繰入金が500億円、うち復興交付金基金繰入金が317億円であります。それから、その他でございますが、主に諸収入でございます。貸付金元利収入が主なものでございますが、その他の部分が985億円となっているところでございます。
それから、震災分の一部負担事業の主な内容でございます。平成28年度当初予算におきます県負担の拡大分が約25億円となっておりまして、その主な内訳でございますが、直轄道路整備事業負担金で約6億円、地域連携道路整備事業で約4億円、港湾高潮対策事業で約3億円、三陸高潮対策事業で約3億円などとなっております。
この県負担拡大分のうち約24億円につきましては、県債の発行により対応することとしているところであります。
〇斉藤信委員 来年度予算も含めると震災分は2兆2、118億円になると。この累積で見ると財源はどうなるのか、これが第1点です。
第2点は、今25億円の一部負担、私はこれは極めて大きなものだと思うけれども、24億円は起債だ、借金だと。これは、借金については丸々一般財源なのか、それとも交付税の措置が後年度であるのか、そのことを示してください。
〇熊谷財政課総括課長 震災予算の総トータルにおきます財源内訳につきましては、ただいま資料がございませんので、御容赦いただきたいと思います。
それから、県債24億円の部分でございますけれども、こちらにつきましては資金手当債でございますので、交付税等、後年度の措置はございません。
失礼しました。震災分予算に係る総トータルの財源内訳でございますが、予算額2兆2、118億円の内訳でございますけれども、国庫支出金が7、471億円、震災復興特別交付税が4、050億円、県債が261億円、基金繰入金が3、890億円、その他が6、446億円となってございます。
〇斉藤信委員 24億円の起債は何の手当てもないと。これは、被害が大きくて復興がおくれているところに対するいじめのようなものですね。本当にこれは許されないと。
それと、2兆2、118億円は累積の復興分の予算ですけれども、復興交付金の繰り入れがそのうちわずか1、676億円なんですね。使い勝手が悪い、悪いと言いながら、わずかこれだけなんですね。一部負担というのは復興交付金事業の効果促進事業というのがあったんですけれども、復興交付金事業以外にも一部負担というのはあるということですか。
〇熊谷財政課総括課長 ございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
では次に、東日本大震災津波の教訓について改めてお聞きしたいと思います。
大震災から5年が経過いたしました。私は一般質問でも取り上げましたが、一番新しいもので震災関連死が1人ふえたようですから6、255名の犠牲者を出したと。そして復興が、5年たったにもかかわらず計画どおりには進まなかったという、私はこの二つの点で教訓を浮き彫りにしなくてはだめだと思います。
県は、地域防災計画に基づく各課題ごとの検証はしたんですよ。私、これはこれでよかったと思います。ただ、これだけの大災害ですから、なぜこれだけ大きな犠牲者を出したかということを、改めて詳細な検証、分析をすることが必要なのではないか。
私は陸前高田市の検証報告書を見ました。これは昨年7月にまとめられたもので、かなり緻密な犠牲者の調査などもやってまとめられたものです。
もう一つは、今、岩手日報に掲載されて、犠牲者、行方不明者が震災時にどこで亡くなったのかというかなり詳細な調査をしておりました。そこで浮かび上がった問題は、自宅にいて津波の被害に遭われたという方々が実は54.9%に上ると。これは岩手日報の犠牲者の調査で、大変重要な調査だと思いますが、なぜこれだけの大きな犠牲者を出したかということを県としてはどのように受けとめているか。これについての検証が各地域ではやられているけれども、県としてはどう進めようとしているかお聞きしたい。
〇小向総合防災室長 東日本大震災津波により多くの犠牲者を出した主な要因としては、防潮堤、防波堤などへの過信や今回の津波の大きさに対する過小評価、過去の津波警報の空振りによる油断などにより避難しなかったことや、避難した場所が、結果的に被災したことなどが挙げられると存じております。
また、消防団員などの避難支援従事者が、みずからの退避すべき基準が不明確であったことなどから犠牲になったことが、指摘されているところでございます。
県では、震災後、データや事例を収集するとともに、庁内はもとより、市町村、関係機関へのアンケート調査やヒアリング調査等を重ね、問題点抽出、原因分析、課題、改善の方向性を整理いたしまして、平成24年2月に検証報告書をまとめたところでございます。この中では、犠牲者を多く出した要因としての避難行動についても分析し、防災対策の方向性を示しているところでございます。
県では、この報告書をもとに、地域防災力の向上に向け、委員御紹介のとおり、さまざまな制度や対応のもととなる地域防災計画の修正を行い、それを踏まえた計画、制度の新設、改正等を順次行ってきているところでございます。
陸前高田市の報告書あるいは岩手日報社の調査といったものがございます。市町村は市町村として、やはり市町村長の権限として避難指示を出さなければならない、そして、避難所、避難場所を設定しなければならないという、まさに現場の対応をしなければならないという中の検証報告であろうかと思いますし、県は県で、やはり広域自治体としての広域的な立場としての検証といったものになるのではないかと思います。それぞれ検証しつつ、また、そういった新たなマスコミの報告等についても参考にしながら、さらにそれぞれの対策を深めていければと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 例えば、陸前高田市の検証報告書ではこう言っています。生死を分けたのは避難行動の有無であった可能性が見てとれると。まさに生死を分けたのが避難行動であったと。そして、岩手日報では、いわば亡くなった場所がわかる犠牲者が1、326人いて、その中で54.9%が自宅にとどまったことが浮き彫りになったと。私は、本当にこれは貴重な調査であり資料だと思うんですね。
この問題を深く解明して、いわゆる津波てんでんこ、津波対策は高いところに早く逃げるという教訓が、結果としては風化していた、十分に浸透できなかったということを改めて深める必要があるんだと思います。
それともう一つは、陸前高田市の場合は、避難場所に逃げて犠牲になったという方が実は303人から411人に及ぶと。67カ所の一時避難所のうち38カ所が被災したと。
この一時避難所はどういうふうに指定されていたかと言えば、これは、岩手県が作成したハザードマップをもとに一時避難所を指定しているんですよ。この岩手県が作成したシミュレーション、これは、陸前高田市庁舎の場合、50センチから1メートルの浸水だったんです。だから、大体そこの地域の市庁舎も、そして市民会館も一時避難場所になっていた。ここが15.8メートルの津波を受けたんですね。私は、これも大変重要な教訓ではなかったかと。ハザードマップがどれだけの効果があったのか、ハザードマップを活用する上で、私は活用の方向にも問題があったと思うのだけれども、この点についていかがですか。
〇小向総合防災室長 委員御指摘の、県が平成16年にシミュレーションをした津波のハザードマップということになると思いますけれども、このハザードマップの前提となりましたのが、明治の大津波、昭和の大津波、そして、当時想定されておりました宮城県沖地震ということで、いわゆるマグニチュードで言うと8クラスの地震を想定したハザードマップとなっていたということでございます。ただ、実際に来ましたのはマグニチュード9ということ。マグニチュードが1違えば30倍以上のエネルギーの差があるというようなことでございました。
ハザードマップというのはあくまでも明治の大津波、昭和の大津波を中心とした想定になっていたということでございます。そういった意味で、これは河川であっても火山であっても、ハザードというのはあくまでも想定だということで、相対的に利用しなければならないといったことを強く意識しなければならないと感じているところでございます。
そういったハザードマップの活用の方法といったもの、これはあくまでも相対的なものであって絶対的なものではないといった部分を、今後の防災対策の中では十分周知してまいらなければならないと感じておるところでございます。
〇斉藤信委員 私は、これは陸前高田市に本当に象徴的にあらわれたハザードマップと今度の津波被害のギャップといいますか、そのために、一時避難場所ですから、高いところからそこに逃げた人もいるんですよ。また、市役所職員や消防団がそこに避難を誘導したんですよ。その結果、陸前高田市は臨時職員を含めて111人が犠牲になったんですね。消防団は50人です。陸前高田市の職員の犠牲の比率は25%ですよ。私は、本当にこれは深刻な教訓だったと思います。
そして、それに輪をかけたのは気象庁の津波予報だったんですよ。福島、岩手は津波が3メートルということで、その後はもう停電になって全然聞こえない。10メートルと言ったのは津波が来た時点ですよ。私は、そういう意味では、気象庁の津波予報というものも避難に大きなブレーキをかけた要因になったと思います。
そういう形で、私は、これだけの大きな犠牲者を出したということを改めて浮き彫りにして、今後の対策に生かすことが必要だと思います。
もう一つの教訓は、逃げたくても逃げられない方々がいたと。これは要援護者ですね。寝たきりの方とか、それを介護している方とか、そういう方々に対する対策というものも、地域防災計画、地区の防災計画の中でしっかりやられなくてはならないと思いますが、その点はどうなんでしょうか。
〇小向総合防災室長 今、委員から御紹介いただきました地区の防災計画といったものは、先年、災害対策基本法の中にも法的な位置づけを得たということで、最近新聞の中でも紹介されておりますけれども、本県におきましては、大槌町の安渡地区、そして吉里吉里地区で地区防災計画を策定し、訓練等も非常に盛んに行っているというような大変いい事例であろうかと思っております。
先ほどちょっと御紹介申し上げましたが、地域防災サポーターの、あるいは自治会の研修といったものを県で行っておりますけれども、先般の研修におきましては、安渡地区の地区防災計画をつくった方に来ていただきまして、県内各地の自主防災組織のリーダーに、その地区防災計画のつくり方あるいはノウハウといったものを教授していただくというようなこともしたところでございます。
そういった意味で、地区防災計画の中で共助の部分を発揮していただきながら要支援者の援護をしていただくことは非常に大切だと思いますので、地区防災計画の策定の推進といったものについても力を入れてまいりたいと存じております。
〇斉藤信委員 大槌町の安渡地区、吉里吉里地区の地区防災計画、私も新聞で紹介されて本当に驚きました。感動したと言ってもいいですね。ここでは218人の犠牲者を出したと。これは1割を超えるような犠牲者だったと。
ここで、なぜここまで多くの犠牲者が出たのか、そこに向き合わないと地区の防災が前に進まないというので、どういう形で犠牲になったかを全部調べたというんですよ。その結果、地区の防災計画というのは、要支援者を含めて、15分以内に要支援者を避難場所に連れていくという15分ルールを決めて、いわば助ける人が犠牲になってはならないという形で訓練もされたと。私は、本当に素晴らしい取り組みだと思います。
実は陸前高田市の市職員の誘導も15分ルールなんですよ。市職員も犠牲にしてはならないと。私は、こういうことも今回の教訓からしっかり受けとめて、地区、そして地域の防災計画まで生かす必要があるのではないかと思います。
この間、こうした教訓を生かした対策、防災教育が進められていると思いますけれども、どういう形の教材、どういう防災教育、また役場職員の防災の専門家の養成はどうなっているでしょうか。
〇小向総合防災室長 防災教育につきましては、先ほど御答弁申し上げた部分がございますけれども、我々防災サイドとしては、教育委員会と連携しながら、また、岩手大学等の学識者と連携しながら、わかりやすい教材、そして、特に映像であるとか写真であるとかといった部分をたくさん駆使して、子供たちにわかりやすい形で備えの大切さといったものをわかっていただけるような教材をつくって、そして、これまた教育委員会と協力しながら、これを教える先生方への研修といったものも充実させているところでございます。
また、役場職員、市役所職員への研修につきましても、県の担当者会議といったことも行っておりますし、また、昨年からは防災訓練等あるいは個別の研修等、図上訓練等の要請があれば、県から防災危機管理監等が赴いて、一緒に地域の中で訓練をしていく、図上訓練を行っていくというようなことで市町村に呼びかけているところでございます。幾つかの市町村で実施していただいておりますが、さらにこういった部分を広めて、県、市町村連携しながら地域防災力を高めてまいりたいと存じております。
〇斉藤信委員 先ほど私は市町村職員の犠牲の問題にも触れましたが、公務災害、特殊公務災害に認定された状況はどうなっているでしょうか。
これで最後にしますが、この間、県職員の採用はふやしているけれども、正規職員は余りふえていない。退職者が多くてふえていない、4、000人にも達していないと。これは大変重要だと思うんだけれども、正規職員の採用数の推移、正規職員の推移、私は、思い切った増員になるようなことをしないと今の復興にも対応できないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
もう一つは、任期付職員で配置している職員の実態。この任期付職員については、優秀な方々は主任に登用する、そして、来年度からは正規職員への登用の道も開くという答弁もありましたが、どれだけの方が昇任し、そして、来年度正職員の対象になるのか、このことを示してください。
〇菊池人事課総括課長 新規採用職員の採用数についてでありますが、震災前は毎年60人程度の採用でありました。震災後は徐々に採用数をふやしておりまして、平成27年度は149人、平成28年度は171人の採用を予定しております。
任期付職員でございますが、平成24年度から採用しておりまして、現在、平成28年4月時点では、県配置職員は193人、190人程度となる見込みでございます。
任期付職員の処遇のお話がございました。去年、主任の発令について御答弁したところでございます。一定期間継続して勤務した任期付職員のうち、勤務成績が優秀で一定の要件を満たした職員については、勤務意欲の維持、高揚を図るため、任期更新時に主任への任用を行っておりました。
実際の発令数でございますが、平成24年度採用の職員は昨年4月の更新でございますが、更新対象者が90人程度ございました。その中で、任期満了で更新を望まない方がおりまして、任期更新された方は70人程度でございますが、そのうちで55人程度を主任に任用しております。
あとは、任期付職員を選考の上、任期の定めのない職員として採用することにつきましては、昨年11月に、任期の定めのない職員としての採用試験を行いますという方針を決定して、庁内に周知しております。ことしの夏ごろに試験を実施することとしておりまして、詳細につきましては、ことしの5月ごろに発表いたします募集要項によりお示ししたいと考えております。
〇及川総務事務センター所長 東日本大震災津波で犠牲となりました職員等の公務災害、特殊公務災害の認定状況につきましてお答えします。
まず、市町村の職員につきましては、先ほど来お話のございます陸前高田市ほか1市1町、二つの行政事務組合から合わせて108件の請求がございました。このほか、警察本部、医療局、県教委、いわゆる県分でございますが18件ございます。市町村分、県分合わせて126件の請求がなされておりまして、平成24年度までに126件全てを公務災害として認定したところでございます。
なお、そのうち特殊公務災害でございますけれども、市町村分108件のうち104件、それから、県分18件のうち16件、合わせて120件につきまして、平成28年2月、先月までに全て認定したところでございます。
〇斉藤信委員 正規職員の推移が答弁漏れなので、これが4、000人をまだ割っているので、正確に答えてください。
〇菊池人事課総括課長 失礼いたしました。
正規職員、任期の定めのない通常の職員でございますけれども、現在は4、000人弱、3、900人程度で推移しております。
〔斉藤信委員「もっと正確に言えよ。そんな中途半端な答えやるなよ。ちゃんと答えろよ。推移を聞いているんだから」と呼ぶ〕
〇菊池人事課総括課長(続) 失礼いたしました。
職員数を申し上げますと、平成28年4月の見込みで3、891人の予定でございます。平成27年4月が3、856人、平成26年が3、886人。ここ最近は、3、900人弱ぐらいのところで推移しております。
〇小西和子委員 最初に、職員給与等についてお願いいたします。
2016年度の職員給与費と前年度との比較について伺います。あわせて、2015年度給与改定が越年になったことについてでございますけれども、今回の措置は、国の都合によるもので異例の措置としておりますが、職員負担となるような措置はあってはならないと考えます。職員の生計費確保の観点からも勧告による給与改定が速やかに行われることが大事であり、越年となる給与改定は、今後行うべきではないと考えますけれども、越年になったことへの見解と今後の方針についても伺います。
〇菊池人事課総括課長 まず、平成28年度の職員給与費の前年度比較でございます。
一般会計に計上しております一般職に係る給与費の合計額を当初予算ベースで比較いたしますと、主に人事委員会勧告を踏まえた手当の支給率の増等がございましたので9億1、500万円余の増額でございます。
続きまして、平成27年度の給与改定が越年となったことに関する見解と今後の方針ということでございます。
地方公務員の給与につきましては、地方公務員法に定める均衡の原則に基づきまして、国家公務員給与との均衡を考慮することとされております。
国におきましては、人事院勧告に基づく改正給与法について、昨年、臨時国会の召集が見送られ、通常国会において審議されましたので、1月26日に改正給与法が公布されました。
改定方針の検討に当たりましては、昨年秋の段階で国における給与法改定の措置内容が定まっていなかったことから、12月定例会への給与関係条例の提案を見送らざるを得ないという判断をしたものでございまして、その旨、職員団体に対しましても事情を説明してございます。
今後におきましても、職員の給与改定に当たりましては、地方公務員法の均衡の原則の趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 12月定例会に給与条例を提出した県もありますので、前向きに捉えていただきたいと思います。
次に、復興や国体の業務を牽引しております高齢層職員の賃金抑制策についてでございますけれども、近年、立て続けに行われております。2014年からの影響額総額と1人当たりの額についてお伺いいたしますし、それから、給与制度の総合的見直しにより2016年度は3%減とさらに抑制されることから、勤務意欲の失墜が懸念されます。勤務意欲確保について、その対策をお示しください。
〇菊池人事課総括課長 平成26年度からの高齢層職員の給与抑制の関係の影響額等でございますが、まず、平成26年度からの影響額につきましては、職員1人当たりでは、これはモデルでございますが、高齢層職員ということで、行政職の50歳担当課長級をモデルとして試算しますと、平成26年度から平成27年度においては年額9万円の増となってございます。平成27年度から平成28年度では、総合的見直しがございますが、経過措置を国に準じて行います関係で影響は生じないところでございます。
次に、普通会計の総額でございますが、平成26年度から平成27年度では、給与水準の引き上げ、あとは特別給の増がございましたので22億1、000万円程度の増となります。平成27年度から平成28年度でございますが、先ほど申しました経過措置の適用がありまして、高齢層職員の給与引き下げが行われません一方で、若年層の給与水準の引き上げが行われますので、結果、2億6、000万円程度の増と見込まれます。
また、これまで申し上げてきた関係もございますが、職員の勤務意欲の維持、確保につきましては、これまでも諸手当や休暇制度の見直しを実施してきたところであり、今定例会におきましても、期末手当、期末勤勉手当ですとか単身赴任手当の引き上げを御提案しているところでございます。
今後におきましても、高齢層職員を初めとする職員の勤務意欲の維持、確保に向けて、能力や意欲の適正な評価のほか、処遇全般を通じまして、個々の職員の状況を勘案した対応に意を用いてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 現給保障が3年だけということで大幅な減になると捉えております。ぜひ、勤務意欲確保対策について強化するように要望いたします。
次に、人員体制でございますけれども、2013年度から2015年度までの定数と純欠員数、人員確保の対策についてお伺いします。あわせて2016年度の定数と欠員数もお伺いいたします。
〇菊池人事課総括課長 まず、定数と純欠員数の状況でございますが、2013年度から2015年度までのお尋ねでございまして、平成25年4月は定数4、199に対して純欠員が63、平成26年4月は定数4、286に対して純欠員が78、平成27年4月が定数4、370に対して純欠員が145となってございます。ことし4月の欠員につきましては140程度の見込みでございます。
〇小西和子委員 2016年度の定数ももう一度お願いしたいと思います。
それから、2015年度の年度途中の退職者、病休者、うち精神疾患についてもお伺いしますし、あわせて年度末退職者、定年前退職者の人数と理由についてもお伺いします。また、休職者もいらっしゃいますね。休職者についてもお願いいたします。
〇菊池人事課総括課長 まず、今年度の年度途中の退職者等についてでございますが、知事部局における平成27年度の年度途中の退職者数は36人でありまして、うち任期付職員が23人でございます。
また、今年度におきまして、病気により14日以上継続療養した者の数でございますが、平成28年2月末時点では116人でありまして、うち精神疾患を理由とする者は53人、約45%となっております。
年度末退職者につきましては、年度末退職者は149人でありまして、そのうち定年前に退職する者が28人。理由といたしましては、転職等の自己都合と聞いております。
あと、定数でございますが、平成28年当初の知事部局定数でございますが、平成27年度に比べて、おおむね10人増の4、450人程度(後刻「20人増の4、390人程度」と訂正)となる見込みでございます。
〇小西和子委員 転職のためにやめたというような話ですけれども、体調不良であったり家庭生活との両立が困難だということでやめるということも聞いております。
その次でございますけれども、人員不足というのが、何とまた150人程度。今年度145人で、新年度は解消するであろうと期待していたのに140人程度ということで、本当に大変だろうと思います。ぎりぎりのところで働いている県職員の皆様方にとっては、本当にショッキングな報告だと思います。
人員不足が与える影響と対策についてお伺いいたします。
〇菊池人事課総括課長 人員不足が与える影響と対策とのお尋ねでございます。
人員不足の影響といたしましては、職員一人一人が担う業務量がふえるということが、まず一番に挙げられると考えております。したがいまして、任期付職員ですとか再任用職員を含めた職員の採用、あとは全国の都道府県等からの応援をいただいておりますが、応援の受け入れなど多様な方策により人員確保に努めるとともに、より一層事業の効率化や重点化にも配慮して、さまざまな県政課題に適切に対応できる体制を構築してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 人員不足がどんなに大変なことかということだと思いますけれども、新採用を行っても、職場で人材育成を行う余裕がない。欠員職場に新採用での配置を打診したところ、新人教育をする余裕がないため次の人事異動で経験者の配置を待つとして新採用を断る職場もある状況であると。来年度、つまり次年度は多数の採用を行うのであれば、新採用職員の育成について組織として対策を行う必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
〇菊池人事課総括課長 新採用職員の育成についてでございますが、先ほど答弁申し上げました平成28年度は171名の採用を予定しておりまして、新採用職員に対しましては、業務の遂行に必要な知識、技能、態度などをできるだけ早期に身につけさせるため、各所属におきまして、指導責任者及び指導担当者を配置して、指導計画書を作成しながら計画的な育成に取り組んでいるところでございます。
また、新採用職員を対象とした研修を採用年度の4月、6月、10月に実施いたしまして、基礎的な執務能力や主体的に考える力などを身につけさせるカリキュラムとしているほか、指導担当者に対する研修も実施するなど、組織を挙げて育成する体制を整えているところでございます。
〇小西和子委員 決算特別委員会でワーク・ライフ・バランスについて部長にお聞きしたところ、とにかく欠員数が多くて、それぞれ一人一人が精いっぱい頑張っているのでというようなことの答弁だったんですけれども、また、しつこくワーク・ライフ・バランスの取り組みについて部長にお伺いします。
〇風早総務部長 ワーク・ライフ・バランスの取り組みについてですが、今年度から新たに、女性職員のロールモデルとなる女性リーダーを養成する研修、それから先ほどもお話が出ましたメンター制度の導入、こういった相談体制等の充実を図っておりますほか、男女問わず、職員の多様な個性を理解しながら組織をマネジメントする、管理職を養成するダイバーシティマネジメント研修の実施、また、毎月の19日を育児の日として、育児の日における年休の取得促進など、さまざまな取り組みを進めているところでありまして、平成28年度も継続して取り組む予定としております。
今後、子供が産まれる予定のある職員と所属長が、育児休業を含めた休暇等の取得計画を話し合い、取得を奨励する取り組みを検討するほか、在宅勤務やテレワーク、多様な働き方を可能とする制度の導入等についても、検討してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 先ほど、影響は、当たり前のように業務量がふえると言いました。その業務量がふえることによって、高ストレス状態とか抑鬱状態、それから時間外労働が80時間以上あるという職員が全県で9.2%もいるわけですけれども、しかし、チェック、結果の見方についての説明とか事後指導の実施のときには、参加者が非常に少ないといったことで、研修とか相談に行く時間すら惜しいという形で働いているということを聞きました。
精神科の嘱託医は、震災復興に伴う業務量の増大によって多くの職員が過重勤務となっており、特に先の見えない仕事に関してはストレスを抱えている職員が多いこと、過重勤務となっている職員は、本人が大丈夫と言っていても、疲労の蓄積が見られるので休養を与えるなどの対応が必要であると言っているわけです。ですから、これ以上、病休者や休職者をふやさないためにも、業務の縮減が必要であると考えます。国体もあります。国体で職員が抜けたところを通常どおりの業務をやりなさい言われても、本当に皆倒れてしまうのではないかと危惧しているわけですけれども、業務の縮減について部長に伺います。
〇風早総務部長 先ほど課長からも答弁申し上げましたが、より一層、事業の効率化、重点化の配慮が必要でございます。また、既に今年度は冬季国体も対応しておりますが、来年度の前半を中心に国体本大会が開催されます。こうしたことを踏まえまして、昨年の組織定数の各部局に対するお知らせ等の中で、なるべく業務の縮減等を図っていただきたいということを改めてお願いをしたところでございます。
引き続き、そういった観点から、業務遂行に支障がないように対応していきたいと考えております。
〇小西和子委員 欠員があっても業務を減らそうとせずに超過勤務をさせているというのが今の実態なわけですけれども、超過勤務も予算が不足して、結果、不払い残業をふやすという悪循環にもなっていると聞いております。ここで職員が元気に働けるようにするには、業務の縮減について前向きに見直しを行っていただきたいと思います。
〇高田一郎委員 私から、地方財政、県財政についてお聞きいたします。
一つは、地方交付税のトップランナー方式については、総括質疑で小西委員から質疑がありました。その質疑の中で、今回のトップランナー方式の導入に伴って、影響試算は非常に困難だという話をされました。全国的に政府は300億円の減となるという試算も示していますけれども、なぜ影響額が困難なのかというのが一つです。
そして、今回のトップランナー方式の見直しの内容について、具体的にどういう内容になるのかというのが二つ目です。
あわせて質問いたしますけれども、今回のトップランナー方式というのは、いわゆる地方交付税の基準財政需要額の算定のあり方を大きく見直す中身になっております。民間委託などを行って、歳出の効率化で進んだ自治体の経費をトップランナーとして算定の基準をすると。これをいろんな分野に広げていくということですから、いわば交付税制度の根幹を大きく覆す内容だと思います。
先ほど総括質疑の中で、風早部長は、財源保障を確保できるように国に提案していきたいという一般的なお話をされましたけれども、このトップランナー方式に対する県の考え方、私は反対を求めていくべきだと思うのですけれども、この点について答弁をいただきたいと思います。
〇熊谷財政課総括課長 まず、影響額が不明だという部分でございますが、いまだ国から制度の詳細が示されてございません。6月ごろになると交付税の算定が始まりますので、その時点で経費水準がどう見直されるのか具体的な数字がわかりますので、その時点にならないとちょっとわからないというところでございます。
それから、2点目の内容ということでございますけれども、交付税算定に用いる各種業務経費のうち、学校用務員事務それから道路維持補修、本庁舎清掃業務など23業務の経費につきまして、今後3年から5年程度をかけて、段階的に民間委託などの業務改革を前提とした経費水準に見直すということとなってございます。
それから、これに対する県のスタンスということでございますが、総括質疑で部長から答弁したとおりでございますが、この制度の導入に当たりまして、見直すにしても、条件不利地域等地域の実情に配慮してほしいということ、それから、住民生活の安心・安全が確保されることを前提とした合理的なものとして、交付税の財源保障機能が損なわれないようにすることが我々も必要だと思っておりますし、地方6団体でも同じ見解を持ってございますので、我々単独ではなくて、地方6団体とともに、制度に関する意見、提言を行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 地方交付税というのは、本来、標準的な行政水準をどの自治体にも可能にするための地方交付税の不足を算定して財源保障をする制度であり、新たなトップランナー方式というのはこの制度の根幹を揺るがすものでありますから、地方6団体と力を合わせて国に対してしっかりと求めていってほしいと思います。
次に、法人住民税については、前年度比13億900万円、22%の減となっております。また、法人事業税については7億600万円、3%増となっていますけれども、この増収、減収の要因はどうなっているのか。
また、新年度は、法人事業税の所得割の税率引き下げと外形標準課税の拡大ということになります。この影響は県としてどのように見ているのか、この点についてお伺いいたします。
〇小畑税務課総括課長 法人県民税、法人事業税の増減収の要因でございますけれども、法人県民税につきましては税率改正がございましたので、その分の影響ということで減収になるものでございます。
それから法人事業税につきましては、企業収益の改善等を背景にした業績の伸びというようなところで増収を見込んでいるところでございます。
次に、外形標準課税の影響についてでございますけれども、資本金の額が1億円を超えるいわゆる大企業に外形標準課税を導入してございますけれども、平成27年度の税制改正でございます、昨年度の税制改正で、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から所得割の割合を8分の6から8分の5に縮小いたしまして、外形標準課税、いわゆる資本割ですとか付加価値割のほうを8分の2から8分の3に拡大をしたところでございます。
この改正による影響でございますけれども、この制度設計上、税収中立とされているところでございます。
〇高田一郎委員 影響についてはわかりました。ただ、今回の税率改正の見直しによって、法人事業税ですけれども、所得割が下がって付加価値割が拡大するという方向です。そうしますと、付加価値割というのは、報酬、給与総額から算出するものであって、赤字企業にも増税を強いるものになっています。報酬に対する課税でありますから、これは雇用の拡大とか賃金アップをするということになると、税負担が多く伴うということになりますので、これは逆に、賃金の引き上げとかあるいは雇用の拡大にとって萎縮してしまうのではないかという懸念があります。その点についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
〇小畑税務課総括課長 外形標準課税の付加価値割でございますけれども、制度上、報酬、給与額が増加すれば、単年度損益が減少するという設計になってございまして、税額が増加しないという仕組みになってございます。また、その上でさらに雇用にも配慮いたしまして、報酬、給与の比率が高い法人につきましては、付加価値割額から一定額を控除するという雇用安定控除の措置もあるというところでございます。
〇高田一郎委員 それでもう一つ、地方消費税についてお伺いいたします。
今回の新年度予算では、前年度比23億円もの増額になっております。今回の地方消費税の税率改正に伴う増収額がどの程度になっているのか。そして、それの増収に伴う社会保障財源への影響。地方税法の引き上げ分については、社会保障費に充てるという制度設計になっておりますけれども、税率改正に伴う増額と社会保障関連費はどの程度措置されたのかという点についてお伺いしたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 地方消費税の増額の要因でございますけれども、平成28年度の税収の見込みは、税率改正の影響が平年度化するということでございます。平成27年の4月から6月の払い込み分につきましては、まだ5%と8%の部分が混在してございましたが、その分の影響が平成28年度は平年度化するということでございまして、平成27年度の予算額に対しまして23億3、000万円の増と見込んでいるところでございまして、全体といたしまして、213億1、100万円という税収を見込んでいるところでございます。
〇熊谷財政課総括課長 社会保障予算の関係でございます。
地方消費税引き上げによる増収分につきましては、全て社会保障の充実分と、それから安定化分に充当することされております。
平成28年度におきます増収額、これは税率改正分の増収額でございますが、99億円余でございまして、充実分といたしまして、子ども・子育て支援の充実に約58億円、それから医療、介護の充実に26億円、計84億円を充当してございます。それから社会保障の安定化分でございますが、医療、介護、子育て等の社会保障4経費の増分として約15億円を充当しまして、予算の拡充を図っているところでございます。
〇高田一郎委員 地方消費税引き上げに伴う増収が99億2、000万円に対してそれぞれ予算措置をしているということでありますけれども、この99億2、000万円の増収に伴う社会保障の財源については、これは中身はお聞きしませんけれども、内容としては、予算的には社会保障費が充実をしたということになるのでしょうか。それとも財源の振りかえなのか、あるいは自然増に対する対応であって充実のためではないとか、その辺のところを詳しく説明してください。
〇熊谷財政課総括課長 社会保障の充実分ということで84億円充当というお話を申し上げました。こちらは制度の拡充分とか、そういった部分に主に充てている分でございます。
それから安定化分というのは、高齢化が進んで自然増といいますか、そういった部分に充てるということになってございますので、99億円の充当、両方入っているような形になろうかと思います。
〇高田一郎委員 わかりました。次に、地域防災力強化プロジェクト事業についてお聞きいたします。
この問題については、ほかの委員からも質疑が交わされました。今回のこの事業というのは継続事業であります。前年度と比較をして2、000万円増の3、400万円となっておりますが、その内容と、どのように強化されるのかということが一つです。
それから、栗駒山の火山防災対策については、先ほど小向室長から、ハザードマップを新年度策定したいというお話がありました。これは新年度にハザードマップが作成されるのですか。私は2カ年かけて作成されるのかと思っていましたけれども、この点について、新年度はどのような作業が行われるのかということについても答弁いただきたいと思います。
〇小向総合防災室長 地域防災力強化プロジェクトの事業費の増加についてでございますけれども、栗駒山ハザードマップ作成のための費用約1、400万円、平成28年度から導入する新災害情報システムの保守管理費用約690万円がその主な要因となってございます。
栗駒山のハザードマップの作成につきましては、東北地方での常時観測火山の中で唯一ハザードマップが作成されていない栗駒山の火山防災対策が推進されることとなります。また、新災害情報システムにつきましては、災害情報の収集、分析能力を高めるとともに、市町村が入力した災害情報が即時にテレビ放送などに結びつくLアラートや緊急速報メールへの連動などにより、県民への危機情報の発信能力を高めるものでございまして、これらの事業により、地域防災力がさらに強化されるものと考えております。
また、栗駒山のハザードマップにつきましては、これまで噴火史が十分解明されていないということで、火山防災が非常に難しい山だということとなっておりましたけれども、委員御指摘のとおり、来年度から2年間で作成する方針でございます。
来年度につきましては、過去に噴火履歴のある、昭和19年にも噴火してございますが、昭和湖の水蒸気爆発を想定したハザードマップを策定いたします。
また、再来年度に予定しているマグマ噴火等を想定したハザードマップの作成に向けて、可能な範囲で噴火史を明らかにするため有識者と連携しながら、放射性同位体による年代測定に基づいた噴火痕跡調査を実施し、再来年のマグマ噴火等のマップに備えてまいりたいと考えているものでございます。
〇高田一郎委員 ハザードマップについては火山防災対策の基本中の基本であって、これを2017年度を目指して作成するということは大きな前進だと思います。ただ、先ほど小向室長がお話をしたように、栗駒山については火山史の調査研究が進んでいないということが、なかなかハザードマップの作成が前に進まなかった大きな要因の一つであったんです。解明についても恐らくこれからかなり力を入れて取り組んでいくと思うのですけれども、栗駒山の火山防災会議での議論を見ていますと、まだまだ調査研究が進まないので、もう少し時間をかけて議論したほうがいいのではないかという専門家の指摘もありました。そういう中で、2年後に作成をさせるという点についての課題はないのかというのが一つです。
もう一つは、ハザードマップを作成しても、日常的な栗駒山の火山防災の観測あるいは研究体制、これがなければまずいと思うのです。新年度、火山防災にかかわる観測、研究体制の強化。昨年からずっと私も予算でも決算でも求めてきましたけれども、新年度は具体的にどう強化されるのかという点について質問をいたします。
〇小向総合防災室長 栗駒山のハザードマップにつきまして、2年ではなかなか難しいのではないのかという御指摘でございましたけれども、御承知のとおり、今、御嶽山の噴火以降、全国各地の活火山の状況が非常に活発化する傾向にあるという中で、できるだけ早く、住民の皆さん、県民の皆さんを安心させるということが必要なのではないかと思っております。そうした中で、2年間という限られた時間ではありますけれども、本県におきましては、岩手山の噴火危機以来、有識者との連携といったものに力を入れてきたところでございますので、有識者から十分な意見を伺って、しっかりとしたハザードマップをつくってまいりたいと考えてございます。
また、火山の観測体制等の強化につきましては、これまで、県単独で、あるいは全国知事会等を通じまして国に働きかけを行っているところでございますが、気象庁では、県内の三つの常時観測火山、これは栗駒山も含みますけれども、ここの火山観測施設、これまでの観測施設に加えまして新たに火口付近に広帯域地震計、傾斜計等の観測機器を設置するため、現在、その設置場所等について関係機関との調整を継続していると聞いてございます。
また、県におきましても、これは観測機器というわけにまいりませんけれども、毎年ヘリコプターで、これは学識者を乗せてなかなか行けないところの観測をするという、これも重要な調査でございますが、毎年大体2回行っていたところでございますけれども、現在の状況を踏まえて来年度は4回に回数をふやすというような形で、県としても、そういった観測体制の強化に当たってまいりたいと考えてございます。
〇高田一郎委員 御嶽山というのは警戒レベル1で、栗駒山と同じレベルなんですけれども、その噴火災害が起きたときに、御嶽山の噴火災害を踏まえた活火山の観測体制の強化に関する報告書がつくられているのです。あの事故をきっかけにして、なぜああいう事故が起きてしまったのか、今、何をすべきかということをまとめた報告書になるわけですけれども、この中身を見てみますと、観測体制を強化すると。そしてもう一つは、そのデータをもとにして定常的に火山活動を評価していく。定常的に、日常的に評価をして、そして火山噴火予知連絡会委員だけではなくて、地元の学者などとも連携をしながらネットワークを構築して意見交換ができる、そういう体制を構築すべきだということが御嶽山の噴火の教訓から得られた報告書なんですね。そういうことをやっていってほしいと思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
〇小向総合防災室長 本県におきましては、火山防災協議会のほかに火山活動に関する検討会、これは学識者が中心となって、行政等も入って、これはまさに今委員がおっしゃられたような評価をするということを毎年2回行っております。これは岩手山のかつての火山危機のときから続いているものでございまして、もう50回以上になります。そういった全国にもない伝統を誇る検討機関ということになってございます。そういった中で、これは気象台であるとか専門家も入りますし、本県の岩手大学の先生方、あるいは栗駒山でございますので秋田大学、あるいは東北大学の先生も入って、これは年に2回きちっとした調査、検討を行っておりますので、今度は協議会のほうが法定化されますけれども、こういった検討会についてはまたこれは残して、十分に年2回の評価をきちっと行っていくという形で進めてまいりたいと存じております。
〇高田一郎委員 時間ですから最後にいたしますが、原発事故にかかわる問題です。東日本大震災原発事故から5年になろうとしておりますが、原発事故による賠償の請求状況と東京電力の支払い状況、未払いの要因、これについてお伺いいたします。
〇松本放射線影響対策課長 原発事故による賠償についてでございますが、県では、東京電力に対して、平成23年度から平成26年度までの損害といたしまして、107億7、000万円余を請求しているところでございます。これに対しまして、東京電力からは、平成28年2月1日現在で98億8、000万円余が支払われており、請求に対します支払い率は91.7%となっているところでございます。
未払い分の要因についてでございますが、東京電力が、政府指示等によらず、岩手県の判断で実施した放射線影響対策業務に要した経費などについて、必要性、合理性がないものと判断して、支払いに応じていないという状況でございます。
〇高田一郎委員 最後にしますけれども、賠償の状況はわかりました。今、答弁いただいたのは、岩手県分が請求した金額だと思うのですけれども、民間の関係の状況はどうなっているのか、もしわかれば答弁いただきたいと思います。
もう一つは、今未払いになっている原因ですけれども、東京電力が、原則として法律や政府指示等により負担を余儀なくされた費用のみ賠償対象としているということであります。これは、つまり、東京電力がそう解釈をして未払いになっているのか、それとも、国の政府の指示、法律に課題があるので支払われていないのか、その点の要因についてお伺いしたいと思います。
〇松本放射線影響対策課長 民間の損害に係る賠償請求の状況でございますけれども、農林水産部の調べによります農林水産業の損害賠償請求の状況でございます。県農協中央会等の調べでございますが、平成27年12月末現在で、請求額が436億1、500万円余に対しまして、支払い額が390億4、400万円余となっているところでございます。それから、風評被害に係る損害賠償の支払い状況等につきましては、商工労働観光部の調べでございますけれども、平成28年1月末現在において、これは東京電力からの聞き取りでございますけれども、県分で133件、14億4、400万円の支払いとなっているところでございます。
それから、2点目の未払いの要因についてでございますけれども、これは政府の原発ADRで示している基準がございますけれども、基準とまた別に、東京電力サイドで原発事故との相当因果関係について個別に判断して1件ずつ決定しているという状況でございまして、必ずしも政府の判断によるものでなく、東京電力の判断によるところが大きいと考えているところでございます。
〇高橋但馬委員長 この際、菊池人事課総括課長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菊池人事課総括課長 先ほど小西委員の質問に対する答弁で誤りがありましたので訂正いたします。
平成28年度の定数については、平成27年度から10人増の4、450人程度と答弁いたしましたが、正しくは、20人増の4、390人程度でございました。訂正いたします。
〇吉田敬子委員 岩手県立大学の運営についてお伺いいたします。
先ごろ、業務実績評価結果の中でも、特に基盤教育、大学院教育、国際交流人事制度の適正化については特に課題があるということで発表されていますが、その中の基盤教育、そして国際交流の中では、特に国際的なコミュニケーション能力の習得について課題が残されているということで、十分な成果が上がっていないように見受けられますが、県としては、それをどのように把握されておりますでしょうか。
そしてまた、県立大学は国際交流協定を結んでおりまして、県立大学とまた双方向の協定を結んで留学生を受け入れたりしておりますが、その推移の現状をどう捉えているか。
そして、平成29年度からの次期中期目標の検討がありますけれども、それらの現状を踏まえて、課題解決に今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇藤澤総務室管理課長 県立大学の暫定評価に係る国際的なコミュケーション能力の関係でございますけれども、県立大学は、平成26年10月に国際交流方針を策定しまして、国際化に対応できる人材の育成に取り組んでまいりましたが、今回の暫定評価を踏まえまして、さらに一層の語学力等の向上が必要だと受けとめております。
県立大学としましては、今年度、語学の関係では、授業回数の拡大であるとかTOEIC試験の活用など、英語関連科目の大幅な改革を進めているところと聞いております。
それから、国際交流協定機関等についてでございますけれども、平成28年2月末現在で、中国、台湾など九つの国と地域の15大学等と国際交流協定を締結しておりまして、各学部におきまして、研究者との共同研究、学生交流を行っているところでございます。
留学生の受け入れにつきましては、平成27年度は6カ国17名、それから第2期中期目標期間の平成23年度以降で見ますと、16名前後で推移しております。
一方、海外に派遣する学生のほうは今年度63名でして、これも中期目標期間の平成23年度以降、64名程度で推移しております。派遣するほうが多い状況になっております。
これら課題等が暫定評価で指摘されたわけですけれども、県立大学としましては、震災復興ボランティアで交流を行ってまいりましたアメリカのオハイオ大学への語学研修というものを新たに導入しようとしておりますし、国際交流協定機関との大学院の相互交流の拡充等によりまして、コミュニケーション能力の向上に努めていくと聞いております。
今後は、国際交流方針に基づきまして、双方向の国際交流が活発に行われるよう情報発信の強化であるとか、昨年11月にオープンしましたゲストハウスの有効活用など、県立大学と連携しながら進めてまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 県立大学から海外への留学生は順調にふえていると思うのですけれども、海外からの留学生が少ないということで、それは多分、情報の英語化というのが足りないということが一つはあるかと思います。
あと、県立大学から海外に学生が行っている数はふえているのですけれども、先ほど九つの国と地域の学校等、アジア、アメリカとありましたけれども、全学部の学生がそれを選べるわけではなくて、全学部共通で行けるのは中国、台湾、韓国のみで、アメリカとか欧米に行けるのはソフトウェア情報学部、看護学部に限られていたりだとか、学部によって違いが出ているので、ぜひ全学部で行けるような取り組みをすることと、あと、実際に協定は結んでいるけれども教員だけの研究活動になっているので、ぜひ学生も、その中で双方向での取り組みというのが必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。
〇藤澤総務室管理課長 ただいま委員から御指摘がございましたように、現在は協定を結んでおります15の機関におきましては、相手先の大学の学部等の関係もございまして、例えばソフトウェアであるとか限定された交流になっているところもあろうかと思いますけれども、来年度、第3期の中期目標を検討するに当たりまして、委員からの御指摘も踏まえ、県立大学とともに検討してまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 次に、キャリア形成と県内就職の支援について伺いますが、県立大学の中で、キャリア教育の取り組みとしてキャリア形成科目というものがありますけれども、その取り組みについてどのように県として評価されているか。そしてまた、平成25年度からは学部ごとに必修や選択などの科目がありますけれども、それについてもどのように評価しているかお伺いいたします。
あわせて、キャリア形成科目が県内就職に実際につながっているかというところを、県としてはどのように分析しているかお伺いいたします。
〇藤澤総務室管理課長 キャリア形成と県内就職支援の関係でございます。
県立大学では、第2期中期目標計画の中で、就業力の育成支援ということを掲げておりまして、これまでもキャリアプランニングのための講義であるとか、地元企業見学会、インターンシップの実施など、キャリア形成支援に取り組んでまいりました。
その成果としまして、県立大学に寄せられる求人というのは県外からのものが多数なわけですけれども、そういった中でも、まずは県内就職率が一定程度の割合、四十数%ではありますけれども維持していること、それから就職率全体としては90%の後半ということで、そういったところにつながっているものと認識しております。
それから、キャリア形成科目については平成25年度から正式に取り入れまして、学生が社会人として必要な知識や技能、課題解決能力を身につけるための必修科目、あるいは多様な職業観を養うための選択科目を設置しております。
学生の意見を聞きますと、満足度が高いという評価もあります。それから、地元企業などに参画していただく講義を通じまして、地元企業と学生、教員との接点が拡大しているとも聞いております。
〇吉田敬子委員 私も県立大学の学生のお話を聞いたりする機会を持つのですけれども、県内の企業の方と交流といいますか講義を受けることで、県内にこういった企業があるということを考えるきっかけになるということを話として伺っています。ただ、カリキュラムを細かく見ると、必修科目では外部講師を呼んでいなくて、選択科目になると外部講師を呼んでいるということで、個人で選ぶ範囲にはなってしまうかもしれないのですけれども、ぜひ必修のほうでも外部講師に来てもらえる講義の内容にしていただければ、もっと県内就職というのが進むかと私は思っておりますので、学生の満足度も高いということなので、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
その中でソフトウェア情報学部については、卒業する学位授与者が予定より2割少ないということで、退学だとか休学の生徒が多いということがこの結果にも出ているのですけれども、せっかくキャリア形成科目をやっているのであれば、きちんとつながるようになる中身の充実というのをもっと図るべきだと思いますし、先ほど軽石委員に対する答弁の中で、IT関係の企業がなかなか岩手にないというお話でしたけれども、県としても、盛岡広域にIT産業育成の事業を行っているわけで、企業誘致も最近あったはずですが、そういったところの連携というのをもっと強化することで、県内就職率の一番低いソフトウェア情報学部は、平成26年度は27.2%ということで20%台になっているところを、ぜひ県内に確保していただきたいと思いますが、その点についての御所見と、もう一つ続けて、学習支援、学生生活支援の充実についてですけれども、先ほども取り上げましたが、留年や休学、退学する学生が現在増加傾向にありまして、ワーキンググループを県立大学では設置されていますが、このワーキンググループを今後どのように強化していくのかお伺いいたします。
〇藤澤総務室管理課長 まず、ソフトウェア情報学部の県内就職の状況等でございますが、委員御指摘のように、大学全体の県内就職の割合に比べますと30%を下回っているという状況でございます。他方、県立大学におきましては、大学のそばにIPUイノベーションセンターというインキュベーション施設を設けまして、ソフトウエア関係の企業が入るような、これは滝沢市が運営している施設でありますけれども、そういった施設も整備されておりますので、あるいは盛岡広域のIT企業の誘致と連動して取り組みを進めていくということで、大学にも伝えてまいりたいと思います。
それから、休学者、退学者等の状況でございますけれども、委員から御指摘のように、一部の学部では一定程度のそういった方がいるということです。
数字で申し上げますと、平成26年度は、休学者が43名、退学者が57名となっておりますが、この数字は、実数でいうと割と大きな数字ではありますが、全国平均的には若干低いという状況であります。ただ、事実としてそういう方がいらっしゃる。
こういった方々への支援ということですけれども、平成25年度から、学生のために特別支援コーディネーターを配置してございます。そういった方が学内での就学とか学生生活の相談を受ける立場となっております。
それから、平成26年度にワーキンググループを設けまして、その報告を踏まえて支援スペースというものを設けまして、そこで学生の悩みとか相談とかを聞く活動もしております。
今後とも、学生一人一人の実情に応じた生活支援を行いまして、学生が安心して修学を継続できるように期待してまいります。
〇吉田敬子委員 最後にまとめてお伺いいたします。
ぜひ部長にもお伺いしたいのですけれども、魅力ある大学づくりとして、これからの人材育成、確保、そして国際交流を進めていかなければならないと思っているのですが、新たな県立大学の学長はILCの専門家でいらっしゃって、これからのILC誘致のためにも、県立大学という場所は国際交流をもっと推進していくべきだと私は思っております。そういった意味でも、留学生を含んだ人材確保、学生の取り組みというものを積極的にやっていかなければいけないと思っておりますが、例えば葛巻町では、これは高校なんですけれども、山村留学の取り組みをやっていたりだとか、他大学では国内留学というのをやっていて、学校の交流で留学ができるという取り組みをやっていたりだとかしております。また、大学院生が少ないということなので、これが必要かどうかということをこれから検討していかなければいけないというのもあるかもしれないのですが、例えば県外から大学院へ進学、岩手に来たいという場合に、県内就職を希望条件として住居を無償提供できるだとか、例えばそれを海外の留学生にもできるような審査だとか、そういったものを新しく私は取り組んでいく必要があるかと思いますが、最後に御所見を伺って終わりたいと思います。
〇風早総務部長 県立大学の入学希望者そして学生の確保等でございますが、県立大学においては、大学院について、平成27年度入学生から進学率の向上等を目的とする入学料免除制度を導入しているほか、学部については、推薦入試や一般入試に加え、社会人や私費外国人留学生など、多様な特別入試の制度を設け、志願者の確保に取り組んでおります。
また、海外からの留学生の確保については、国際交流協定締結校を対象とする現地での特別入試の実施や、二つの大学から同時に、それぞれの学位を取得することができるように取り組んでいると聞いております。しかしながら、大学院の定員充足等の課題もあることから、県立大学に、委員の御提案も参考にして、入学希望者の確保に引き続き取り組んでいくよう伝えてまいります。
〇臼澤勉委員 私のほうから、組織のフラット化と岩手山の避難行動計画、この2点について端的にお伺いいたします。
職員数の削減にあわせて、県では組織のフラット化を推し進めてまいりました。メリットがある反面、さまざまな課題があるのではないかと思ってございます。これまで進めてきた組織のフラット化の成果と課題、そして、今後の復興、ふるさと振興にどう臨もうとしているのか、お伺いいたします。
〇菊池人事課総括課長 組織のフラット化の成果と課題についてでありますが、委員御承知のとおり、決裁過程の簡素化により、迅速な意思決定を図るために、平成17年度から補佐的役割の職である次長、課長補佐職を廃止し、あわせて課長の権限を大幅に委譲し、一定の業務執行権限を有する担当課長を配置したところでございます。その後、部長に次ぐ第2位の順位の職を対外的に明確にする観点から、平成20年度に副部長を配置いたしました。
組織のフラット化により、意思決定の迅速化が期待どおり図られたと考えておりますが、その一方で、決裁過程の簡素化等によりまして、グループ、担当内での業務チェックですとか、チェックを通じた職員育成機能が低下しているなどの課題があるものと考えております。
次に、今後どのような体制でということで、復興やふるさと振興を進める体制でございますが、新卒者のほかに社会人経験者の採用ですとか、退職した職員の再任用、経験豊富な人材の任期付職員としての採用、現在行っております全国の都道府県や民間企業などへの職員派遣の要請などを進めまして、引き続き、多様な方策による人員確保に取り組むとともに、より一層、事業の効率化や重点化、またチェック体制の確保にも留意しながら、さまざまな県政課題に柔軟かつ適切に対応できる体制を構築してまいります。
〇臼澤勉委員 私、平成2年に県に採用されたとき5、188名の職員がいたのですが、今は大体2割弱ぐらい減少しております。ただ、予算的には、震災復興の予算とは別に一般財源で見れば、まさに今の県の財政規模は、私が入庁した平成2年、平成3年のころの水準の予算規模になっている。つまり、財源規模的には同じぐらいのベースの予算なんですけれども、職員数は大体2割弱減っているといったところで、部長から所見を伺いたいのですけれども、要は、野球に例えて言えば、9人のプレーヤーに監督が1人いて例えば10人で、私が平成2年に入ったとき野球をしていたと。ただ、今のチーム体制で言えば、監督もいなくなって、監督が仮にいたとしても選手兼、そして2人減って8名ぐらいで野球をやっているような状況になっている。仕事の量は同じだということで、まさにフラット化を図りながら、バックアップ体制とかもうまくやりながら、選手がはつらつと仕事ができる体制を検討していただきたい。
これは難しい課題があります。行財政改革プログラムも進めて財源の関係もあります。非常に難しい課題ではあると思いますが、風早部長、ちょっと御所見をお願いいたします。
〇風早総務部長 ただいま職員数、それから職員の育成についての御質問をいただきました。職員数、さまざま行財政改革プログラム等によりまして、最大、一番いたときに比べると、委員御指摘のようぐっと減ってきております。そういったことも相まって、少ない人数でも最大限のパワー、最終的には県民の皆様にサービスというか、福祉が行き届くような体制をいかに効率的に、県庁組織として、職員一丸となってやっていくかというのが大事なわけでありまして、そういう観点からさまざまな組織上の対応等もしてきたわけでございます。
また、先ほどはワーク・ライフ・バランス等の観点からも御説明いたしましたが、職員の皆様に最大限の能力を発揮していただけるように、例えば研修だとか、これも縦、横、通常の取り組みから斜めのメンター制度の導入、さまざまな観点から意を用いて、引き続き、県民に対する福祉サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ICTも普及して、野球でいうスピードが速まってきている。ただ、住民からのニーズの多様化も広がっているという中で、非常に職員の方々、野球の質が高まっていると思います。ぜひ、そこら辺のしっかりとした対応を要望して、次に移ります。
岩手山の避難行動計画について、現在、岩手山における具体的な避難計画の作成に向け、県と関係市町村で組織する火山防災協議会で検討を進めるなど、防災対策を強化していると伺ってございます。
岩手山における具体的な避難計画の作成に当たって、現状の課題認識と、そのためのハード、ソフト対策をどのように行うお考えなのか、お伺いいたします。
〇小向総合防災室長 岩手山の避難行動計画についてでございますけれども、岩手山におきましては、当時の噴火危機を踏まえて、平成10年に火山防災マップが、平成12年には、国、県、市町村、関係機関の時系列の対応を取りまとめたガイドラインが策定されております。しかしながら、避難経路や避難場所について、具体的に規定した避難計画が未策定となっているところでございます。このことから、岩手県火山防災協議会を、年度内に、活動火山対策特別措置法に基づく法定協議会に改組を行った上で、同協議会に避難計画作業部会を具体的に設置し、来年度から策定に係る具体的な作業を行うこととしてございます。
避難計画については、関係市町村が中心になって策定するものでございますけれども、岩手山につきましては、滝沢市、八幡平市、雫石町と三つの市町、そしてハザードマップ上は盛岡市もかかわってくるということで、四つの市町、これがばらばらに避難計画をつくってもなかなか効果があらわれないということで、県としては、避難計画の策定フレームを示すことなどにより、ソフト部分の対応をしてまいりたいと考えておりますし、また、議論の中で、避難路の確保等につきましてのハード対策のあり方についても行ってまいりたいと考えてございます。
〇臼澤勉委員 私は今回の震災を受けての教訓、災害についてはさまざまな顔があると言われておりますから、それは一概に、津波の防災対策と火山対策は違うというのはそのとおりだと思うのですが、共通して言えることは、避難路の確保をしっかりと行っていくということ。あと、もう一つ言えるのは、車による避難路を複数確保しておくということが実は私は大事ではないかと思ってございます。
最後、部長から御所見を伺いたいのですけれども、そういった意味で、大所高所の視点から複数の避難路の確保対策も、ハード、ソフトを含めた岩手県から二度と命を失わない防災対策について、これからしっかりと取り組んでいくという意気込みも含めてお伺いして終わります。
〇風早総務部長 先ほど室長から御答弁申し上げましたが、これから各関係市町におかれては避難計画が策定されてまいります。その内容を踏まえて、避難路の確保、これは今委員御指摘の複数路も含めてですけれども、避難訓練の実施を初めとするハード、ソフト、ハードだけでも足りない、ソフトも含めたレジリエンス、多重防災のまちづくりが必要だという考え方に立ちまして、引き続き、火山防災協議会等の場で県としても積極的に議論を行ってまいります。
〇高橋但馬委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
総務部の皆さんは御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時53分 散 会

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