平成28年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(柳村一君) さきの県議会議員選挙におきまして、滝沢選挙区より議席を賜りました柳村一です。改革岩手に所属しております。地域の皆様の御期待に応えるべく、県政課題の解決や県勢発展のために全力を尽くす所存でございます。
会派の先輩議員、同僚議員に登壇の機会をいただき心より感謝を申し上げ、通告に従い順次質問をいたします。
我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生法が平成26年11月28日に、公布、施行されました。また、今後の目指すべき将来の方向性を提示するまち・ひと・しごと創生長期ビジョンと今後5カ年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめたまち・ひと・しごと創生総合戦略を平成26年12月27日に閣議決定し、都道府県及び市町村は、国の長期ビジョンと総合戦略を勘案し、人口ビジョン及びまち・ひと・しごと創生総合戦略を平成27年度までに策定することを努力義務とされ、県も岩手県人口ビジョン及び岩手県ふるさと振興総合戦略を平成27年10月に策定いたしました。
地方人口ビジョンは人口の現状を分析し、今後、目指すべき将来の方向と人口の将来展望を提示するものであり、地方版総合戦略の実現に向け、効果的な施策を企画立案する上で重要な基礎として位置づけられています。また、地方版総合戦略は、地方人口ビジョンを踏まえ、地域の実情に応じた今後5カ年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめたものと位置づけられています。
そこで、このような考え方により策定された岩手県人口ビジョン及び岩手県ふるさと振興総合戦略について伺います。
平成27年の東京圏への人口流入は約12万人で、そのうち15歳から19歳が2万6、000人余り、20歳から24歳が6万6、000人余りと、15歳から24歳までの若い年齢層が大半を占めています。これは、東京圏に大学や大手企業が集中的に立地している社会構造が背景にあると考えられます。岩手県人口ビジョンにおいても、県の社会減は、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期に顕著であり、1990年代から一貫した傾向であるとしています。
そこで、岩手県人口ビジョンでは、人口の展望について、人口減少に歯どめをかけ、超長期的な人口増の可能性も視野に入れ、2040年に100万人程度の人口を確保しますとしていますが、100万人確保に向けた課題と東京圏一極集中の是正への考えを伺います。
地方版総合戦略では、政策分野ごとの5年間の基本目標を設定し、その目標は、実現すべき成果に係る数値目標とすること、実施状況を検証する客観的な指標を設定し、後年度、実施状況を検証できるようにすることとされています。
そこで、国の総合戦略を踏まえ、岩手県ふるさと振興総合戦略の県独自の考え方や特徴的な施策について伺うとともに、施策の効果を客観的に検証するための指数はどのような考え方で設定したのか、また、客観的な効果検証の実施をどのように行うのか伺います。
国は、地方版総合戦略の策定においては、都道府県と市町村は十分に意見交換や協議を行うとともに、連携して推進することとしております。
そこで、県内市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定状況と策定に対する県のかかわりについて伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
また、復興業務や行革による定員削減などでマンパワーを十分割けない市町村では、戦略策定に相当御苦労されたと思いますが、策定業務の外部委託が行われたのか伺います。
国は、都道府県が地方版総合戦略を策定するに当たっては、その地域の実情に応じた基本目標、基本的方向及び具体的な施策等を定めることも差し支えないとしております。県は、岩手県東日本大震災津波復興計画により復興を着実に進めており、本格復興期間3年間の最終年度となることしを本格復興完遂年と位置づけており、総合戦略は復興の完遂に重要な計画となります。
また、県は、いわて県民計画第3期アクションプランの策定趣旨の中で、総合戦略はいわて県民計画における関係する分野を展開するための計画として位置づけ、第3期アクションプランに包含されるものであり、復興計画同様にアクションプランと連動して一体的に推進していくとしております。
そこで、岩手県東日本大震災津波復興計画や沿岸市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略、いわて県民計画第3期アクションプランと岩手県ふるさと振興総合戦略との関係性を伺うとともに、それぞれをどう有機的、効果的に結びつけ、一日も早い被災地の復興や希望郷いわての実現につなげようとしているのか伺います。
この後の質問は質問席から行いたいと思います。よろしく御答弁をお願いいたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村一議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、人口ビジョンについてでありますが、地方の人口減少が、地方消滅から日本消滅に至るのではないかという懸念が示される中、国は、平成26年にまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、東京圏の人口の転入超過10万人の解消や、若い世代の結婚、出産、子育ての希望の実現などを基本目標に掲げました。
岩手においても、国の目標に呼応して、人口ビジョンにおいて、人口の社会減ゼロ、出生率の向上を掲げて、2040年に100万人程度の人口を確保することを展望いたしました。
県としては、このビジョンを踏まえて、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定したところであり、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に基づき、ものづくり産業や観光業、農林水産業の振興、若者の就業、創業の支援、ワーク・ライフ・バランスの推進、ライフステージに応じた子育て支援など、目標達成に向けて、あらゆる施策を総動員してまいります。
一方、全国的な人口動向を見ますと、東京圏では、昨年1年間で1万人近く転入超過が拡大しており、東京一極集中の流れは加速しています。
岩手を含む地方の人口の社会増減は、国の経済状況や経済財政政策の影響を強く受けることが明らかであり、国においては、地方を重視した経済財政政策を実施するなど、地方創生なくして日本の創生なしとの覚悟で東京一極集中の是正に取り組むよう、北海道東北地方知事会とも連携し、引き続き強く訴えてまいります。
次に、岩手県ふるさと振興総合戦略についてでありますが、岩手県人口ビジョンにおける県独自の基本姿勢としては、東日本大震災津波からの復興で得られたさまざまなつながりを生かし、新たな発想で前進すること、地域に根差す価値を生かした産業で地域経済を振興すること、若者と女性の力で岩手の将来を切り開くことなどを掲げたところであります。
このような人口ビジョンの考え方を踏まえて、総合戦略においては、東日本大震災津波をきっかけとして、本県で活動している復興支援員と連携した移住、定住の促進や、地域の多彩な農林水産物を活用した生産性、市場性の高い6次産業化等の推進、県、経済団体や教育関係者等で構成する推進組織による若者や女性等の県内就職の促進など、本県の特性を生かした取り組みを積極的に盛り込んだところであります。
これらの取り組みの実効性を高めていくために、重要業績評価指標―KPIについては、具体的な成果をあらわすアウトカム指標を中心に設定したところであり、総合戦略を包含したいわて県民計画アクションプランにおける政策評価システムと一体となって、各施策の進捗状況の確認や効果検証を行って、総合戦略の着実な推進を図ってまいります。
次に、総合戦略と復興計画やアクションプランとの関係についてでありますが、県のふるさと振興総合戦略は、人口減少に歯どめをかけ、岩手に新しい人の流れを生み出すことを目的としたものでありますが、この総合戦略を包含し、被災地におけるふるさとを守るための復興計画と軌を一にするものとして、今般、いわて県民計画第3期アクションプランを策定いたしました。
また、総合戦略の策定に当たっては、沿岸を初め県内市町村と意見交換を重ね、県の人口ビジョンや戦略について共通認識を図ってきたほか、広域振興局職員が市町村の戦略策定の有識者会議委員となり、県の考え方を述べるなど、県、市町村が連携しながら相互の戦略策定を進めてまいりました。
施策の推進においても市町村は重要なパートナーであり、広域的な視点で地域振興を目指す県の総合戦略と地域密着型の市町村の総合戦略を車の両輪に、ふるさとを消滅させないという強い意思のもと、県、市町村が一体となって復興とふるさと振興を進めることで、希望郷いわての実現に近づけてまいります。
その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 県内市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略への県のかかわりについてでありますが、県内では、2月1日時点で17市町村が総合戦略の策定を終えており、その後も順次策定が進められ、今月中に全ての市町村が策定する予定となっております。
市町村が総合戦略を策定するに当たっては、法律上、国及び県の総合戦略を勘案することとされていることから、県の総合戦略を骨子案の段階から公表したほか、県・市町村人口問題連絡会議や広域振興局ごとに説明会を開催するなどして、市町村と内容の共有を図ってきたところであります。このほか、市町村の有識者会議の委員としての広域振興局の職員の参画、広域振興局に窓口となるふるさと振興監の設置、県の人口減少対策に係る各種資料の問い合わせ先のリストの作成、提供など、全庁的な相談体制を整え支援を行ってきたところであります。
市町村の総合戦略の策定に当たっては、30市町村が業務を外部委託しており、委託業務の主な内容は、住民意識調査などの各種調査の実施や統計データの収集、分析、人口ビジョンや総合戦略に盛り込むための各種資料作成、ビジョン、戦略の原案作成などであります。
市町村においては、定型的な業務を中心にアウトソーシングを行うことにより、業務の効率化や負担軽減を図りながら、総合戦略の策定を進めているものと考えております。
〇6番(柳村一君) 御答弁ありがとうございました。
市町村の30ぐらいが業務委託をしているということでした。被災市町村は一生懸命復興に向けて取り組んでいます。県も既に人口減少や地域振興、活性化に取り組んできたものでありまして、国の言うまち・ひと・しごと創生総合戦略というものは、いわば東京圏の経済格差の解消を、国が一生懸命やらなければいけないものを地方に丸投げした感じに捉えているのは私だけかもしれませんけれども、そのような政策です。もう、現に地方では行っているということで、本格復興完遂年とことし掲げておりますし、希望郷いわての実現に向けて一生懸命取り組んでいるということでございます。特に財政面が今後大変になってくると思いますので、先ほど知事も答弁なさっておりましたが、財政面については国に一生懸命訴えていくような取り組みを行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、雇用・労働環境の整備について伺います。
雇用機会の拡大については、新しい産業などの創造の取り組みを強化し、それを具体的な雇用機会に結びつけ、既存の産業をさらに強化し、そこから雇用機会を生み出していくことが必要となります。有効求人倍率の低い地域に対する雇用機会の拡大を図ることや、医療、福祉などの分野における人材不足の深刻化が大きな課題となっております。
就業支援については、地域の産業、企業のニーズに沿った訓練を行って人材を育成するとともに、地域の就業環境の実情を調査し、地元企業の求めに応じることにより、企業が地域貢献できる環境をつくっていくことが重要と考えております。
また、就労については、若者の雇用のミスマッチが問題となっています。平成24年3月に卒業した全国の新規卒業者のうち、卒業後3年以内で離職した割合は、大学で32.3%、短大等で41.5%、高校で40%、中学で65.3%となっています。
県は、第3期アクションプランで、国や市町村、関係機関と緊密に連携し、企業誘致を初め、産業振興施策等による雇用の機会の拡大や長期労働の抑制など、働き方等の見直しを推進するとともに、若年者等へきめ細かな就業支援を行いますとしています。
そこで、県民意識調査において、満足度が一番低く、ニーズ度が第1位となっている安定した就職環境の改善のため、雇用機会の拡大と就業支援や雇用のミスマッチに対する取り組みをどのように行っていくのか、お伺いいたします。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、雇用機会の拡大につきましては、県では、企業誘致や新事業の創出、農林水産業への新規参入の促進などなど、各分野での取り組みを一層推進するとともに、岩手労働局と連携した経済団体等への要請活動などを展開しているところであります。
それから、就業支援についてですが、高校生に対しては、各広域振興局に就業支援員を配置し、高校等と連携して県内就職を支援しているところです。また、大学生等に対しては、お盆など帰省時期に合わせ、各地域で就職面接会を開催しているほか、ふるさといわて定住財団と連携して就職ガイダンスや面接会を県内外で開催し、県内企業とのマッチングを図っているところです。
それから、雇用のミスマッチに対する取り組みですが、求職者に対しましては、キャリアカウンセリングや企業説明会の開催、就職情報サイトによるさまざまな就職関連情報の発信などによりまして、幅広い業種や職種に目を向けてもらえるよう支援しているところです。
また、企業に対しましては、採用力、人材育成力を強化する研修等の開催や、キャリアカウンセラーの派遣などによりまして、人材定着を支援しているところであります。
こうした取り組みに加えまして、今般設立いたしましたいわてで働こう推進協議会におきまして、若者や女性等の県内就業の促進や働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を行うこととしているところです。
〇6番(柳村一君) 雇用のミスマッチについては、さまざまな仕事を紹介してもらうというような話がありましたが、働きたい仕事がないとそこにつけないというのが実情であり、それを探していくとやはり東京圏とかそういうところにあるということになりますので、多様な働く機会というものを県がつくり上げていく、そういう取り組みをすることも重要だと思いますし、離職が高い理由として、ミスマッチだけではなく労働環境の問題もあると思いますので、そこについて伺います。
我が国では、高度経済成長期に労働者の長時間労働の問題が指摘されるようになってから、昭和62年に取りまとめられた構造調整の指針において、年間総労働時間について1、800時間程度を目指すことなど、具体的な施策の目標が掲げられました。これを受けて、改正された労働基準法では、週40時間労働制を法定労働時間短縮の目標とし、変形労働時間制なども導入されました。その後、労働時間の短縮だけではなく、労働者の健康と生活に配慮するとともに、多様な働き方をした労働時間、休日、休暇等の設定の改善に向けた労使の自主的な取り組みを促進する施策が推進されてきました。しかし、厚生労働省によると、短時間労働者を含まない一般労働者の年間労働時間は、1994年の2、036時間から横ばいで推移し、2013年は2、018時間となっています。さらに、年次休暇の取得率は、1992年の56.1%から徐々に減少し、2000年からは5割を下回る水準で推移しております。長時間労働に対する施策が推進されているのにもかかわらず、労働時間の現状を見ると、長時間労働の問題は一向に改善されておりません。また、労働者の生活時間を守り、ワーク・ライフ・バランスの推進を図っていくためには、この5割を下回っている年次休暇の取得を推進していくなど、制度を利用しやすい職場の雰囲気づくりをして、働き方の見直しや意識改革など職場環境を整備していく必要があります。
そこで、県内の事業所における長時間労働の現状と、労働時間の短縮やワーク・ライフ・バランスの推進のための労働環境の整備の取り組みについてお伺いします。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) 長時間労働等についてでございます。
本県の1人当たりの年間総実労働時間は、全国平均を大きく上回る状況にございまして、長時間労働を抑制してワーク・ライフ・バランスを実現していくことが重要であると考えております。そのため、県では、企業の優良な取り組み事例の紹介を含めましたセミナーの開催などの普及啓発、あるいは労働時間の短縮等に取り組む事業主に対する国の助成制度の活用の促進などに取り組んでおります。また、岩手労働局と連携しまして、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進、多様な働き方などの働き方改革に向けた取り組みについて、関係団体への要請活動も行っております。
これらに加えまして、今般設立しましたいわてで働こう推進協議会におきまして、若者や女性等の県内就業の促進、働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を行っていくこととしておりまして、こうした取り組みを通じまして長時間労働を是正するとともに、ワーク・ライフ・バランスを推進していきたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 先ほどの質問の中でもありましたけれども、実際に労働環境を整備するのは事業所でありまして、県がそれをいかにうまく進めていけるかということにかかっているので、先ほどの千葉絢子議員の質問とも重複しますけれども、その辺をしっかりと踏み込まないと、労働環境の改善にはつながらないと思います。
労働環境の中で、今大きな問題になっているのが雇用の形態についてでございますので、次にその質問をいたします。
2014年の非正規雇用労働者は約1、962万人で、雇用形態別では、パートタイム労働者が943万人、アルバイトが404万人、派遣労働者が119万人、契約労働者が292万人、嘱託労働者が119万人、その他が86万人となっております。パートタイム労働者とアルバイト労働者が1、347万人で、全体の7割弱を占めている現状です。また、正社員として働く機会がなく、非正規雇用で働いている不本意非正規労働者は331万人で、非正規雇用労働者全体の18.1%となっており、特に25歳から34歳の割合が28.4%と高い傾向になっております。この25歳から34歳は子育て世代と重なり、少子化や子供の貧困の大きな要因と考えられます。また、非正規雇用は、雇用が不安定で賃金が安く、職場での教育訓練や研修の機会もなく、雇用保険など各種制度の適用も不十分などの多くの課題を抱えております。また、正規と非正規の両方を雇用している事業所のうち、6.5%がパートの役職者がいると答えております。そのうち、4分の1に当たる25.4%は、所属組織の責任者の店長や工場長などの役職と回答しております。
そこで、数の面や役職の面でも産業を支えている大事な役割を担っている非正規雇用労働者の処遇の改善の取り組みについてお伺いします。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) 非正規雇用の処遇につきましては、厚生労働省の分析にもございますとおり、正社員に比べまして雇用が不安定、賃金が低い、能力開発の機会が乏しい、セーフティネットが不十分などの課題があると認識してございます。
県では、事業主に対しまして、パートタイム労働法など非正規雇用の処遇改善に関する法令や国の助成制度の周知を図りますとともに、岩手労働局と連携して、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善などについて、関係団体へ要請しているところであります。
また、平成28年度におきましては、いわてで働こう推進協議会におきまして、働き方の改善等についての取り組みを進めますとともに、事業主向けのセミナーを実施するなどによりまして、非正規雇用の処遇改善に向けて取り組んでまいります。
〇6番(柳村一君) 雇用について最後に知事に御所見をお伺いしたいのですが、いろいろな制度をやっていってもなかなかよくならないというのが実情でございまして、昨日の渡辺幸貫議員の政治姿勢の質問で、持てる者と持たざる者との格差の問題を指摘しておりました。知事は、国民が全体として力を発揮できるような所得の分配を実現することが政治の使命だと答弁されております。私もすごく共感するところがありました。やはり、制度を変える政治の力が必要になってくると思いますので、雇用と労働環境の格差の是正について何か御所見があったらお伺いします。
〇知事(達増拓也君) これは国だけではなく地方自治体もでありますけれども、税制と、それから財政政策によりまして、所得の再分配は、いざとなれば、それはきちっと、強制的にといいますか、必ず結果が出るような形で所得の再分配を行うことができます。一方、労働分配率は、それぞれの会社の自由な雇用契約、また、分野ごとの組織的、団体的な労使の交渉の中で決まっていく、民間の自由な経済活動の中で決まっていくというところもあります。
世の中全体として、特に岩手において適切な分配というものが実現していくためには、まずは自由な経済活動の中での分配のあり方ということについてそれぞれの関係の皆さんに意識を高めていただき、そのための情報の提供や、さまざまな情報共有の場などは県も積極的に行ってまいります。これは一つの例ですけれども、経済同友会の全国の役員もしている冨山和彦さんに、岩手県の金融問題懇談会―県の金融機関のトップの皆さんに集まっていただく会に来て講演をしていただいて、冨山さんの持論である、ローカル経済の中で雇用条件、労働環境をよくしていくような企業が育っていくには、銀行―金融機関もまた責任があるというような話をしていただいたりもしております。
そういったやり方の中でもまだ足りないところについては、税制や財政出動、財政政策によって所得の再分配を県はしていかなければならないと思っておりますので、総合的に適切な分配というものが実現していくように努めてまいりたいと思います。
〇6番(柳村一君) 希望郷いわてが働く者にとってもいい環境になるように御努力をお願いしたいと思います。
次に、東日本大震災津波からの復興に関してお伺いいたします。
東日本大震災津波の発災からあと10日で5年となります。改めまして、犠牲となられました方々に対して謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
県は、長年にわたり人口減少を県政の重要課題として捉え、人口問題対策本部を設置し、国に先駆けて人口減少問題に取り組んできました。県は2015年3月に人口問題に関する報告書を公表し、本格復興の推進により沿岸地域における人口減少対策を進めるとしております。
報告書では、特に高い人口減少率が予測される沿岸地域は、現在、東日本大震災津波からの本格復興の途上であり、ふるさとを守るため、まずもって復興を強力に推し進めていかなければならない。多重防災型まちづくりの推進や災害公営住宅の早期整備、漁業と流通、加工業の一体的な再生などに全力で取り組み、人口減少に歯どめをかけていくことが重要であり、環境変化を踏まえた沿岸地域の活性化、地域振興方策を検討していく必要があるとしております。
県の人口減少への取り組みの効果は定かではありませんが、大変好ましい報告が知事のブログに掲載されていましたので、御紹介いたします。
岩手県の沿岸市町村全体で、20歳から24歳までの年齢層の人口が過去3年で20%もふえている。陸前高田市は327人から532人へと63%ふえ、震災前の556人に戻りつつある。久慈市は1、237人、釜石市は1、065人となり、震災前よりも多くなった。20歳から24歳までを中心に、岩手復興の希望、岩手全体の希望が広がりますというものです。
このような明るい要素があるものの、被災市町村は依然として少子高齢化や人口減少の問題を抱えております。そこで、本格復興の推進のため、被災市町村に対する少子高齢化や人口減少への対策についてお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 沿岸12市町村の全体の人口の社会減については昨年1年間で1、400人を超えて、震災以降縮小してきた社会減が再び拡大に転じております。沿岸地域におきましては、復旧、復興を進めることそのものが人口減少対策であり、漁協を核とした漁業の再生や、グループ補助金等の活用による水産加工業、商店街や観光業の再生、そして、医療機関の機能回復等に努めてきたところでありますが、本格復興期間の最終年度を迎えて、災害公営住宅や復興支援道路の整備、県立病院の再建など、被災地の一日も早い復興にさらに強力に取り組んでまいります。
一方、沿岸地域では、震災後、高校生の地元就職率が向上しており、若者の地元志向は震災を機に高まっています。昨年、県が策定した人口ビジョンにおきましても、被災者一人一人に寄り添い復興を進めることをふるさと振興の基本姿勢の一つに掲げておりまして、人間本位の復興とふるさと振興を通じて、若者の地元に残りたい、地元で働きたいという希望や、結婚、子育てに関する願いに応えて被災地の人口減少に歯どめをかけてまいります。
〇6番(柳村一君) 御答弁のような少子高齢化や人口減少への対策を確実にやることがまずもって復興のためになると思いますが、きょうの新聞に仮設の孤独死が昨年末までで38人に上るという記事が掲載されていました。やはり、一回壊れたものが成り立っていくためには、地域のつながりを維持しながら高齢者の見守りなどの活動を行っていかなければいけないと思います。今でも支援員の方々は一生懸命やっておりますけれども、そういうソフトの面でも十分な取り組みを検討していただきたいと思います。
また、被災地の生活再建に向けて、住宅の確保とともに最重点で取り組まなければいけないことは、産業の再生や新たな雇用の創出に対する施策と支援であります。中でも、被災した中小企業者が連携して再建や復興を目指すグループ補助金を活用することは、地域経済の復興にとって大変有効です。
これまでグループ補助金は、県内131グループ1、322者、812億円と多額の決定を受けています。しかし、東北経済産業局の補助金交付先へのアンケート調査によりますと、回答した県内事業者に関し、雇用については約35%、売り上げについては約51%が震災前の水準までには回復していないという結果でした。これでは、せっかくの補助金も有効性が問われかねないと思います。
そこで、グループ補助金を受けた事業者の経営課題をどう捉えて、それに対してどのようなフォローを行っているのかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) 県といたしましても、東北経済産業局の調査と同様に、人材の確保、育成や販路の確保、開拓などが被災事業者の主な経営課題となっているものと認識しております。
人材の確保、育成につきましては、ハローワーク等の関係機関と連携したマッチングの促進、企業向けセミナーの開催による職場定着支援、企業情報の効果的な発信支援、水産加工業の従業員宿舎整備等への補助などの取り組みを行っているところであります。
販路の確保、開拓につきましては、商談会や大手量販店と連携したフェアを開催することにより、新規取引先の開拓などを支援しております。また、沿岸の商工会議所やいわて産業振興センターに販路拡大アドバイザーを配置するなどしまして新商品開発や販売促進に関する巡回指導などを行っており、引き続き、被災事業者の状況を把握しながら、課題に対応した支援を行ってまいります。
〇6番(柳村一君) 雇用や産業振興は、復興には絶対に欠かせないものだと思っております。さまざまな事業がありますけれども、きょうの新聞などでも事業復興型雇用創出助成金の利用が激減しているという報道がありました。ここでは、国の要件変更による使い勝手の悪さがあったというような指摘もされておりますが、復興現場を知っているのは県であり、被災市町村であります。その実情をしっかりと国に申し上げて、実情に合った事業展開ができるような補助メニューをしっかりと出していただくことが復興の近道になると思いますので、その辺の取り組みをしっかりと行っていただきたいと思います。
次に、昨日の被災地への応援職員の確保についての質問で、希望人数の確保ができずに、特に技術系の職員の確保に苦労されているという答弁がありましたけれども、復興を支えるために被災市町村の人材の確保は最低限の要件だと思いますので、その点についてお伺いしたいと思います。
被災市町村へは、県職員のほか、県内外の市町村や他県からの職員の派遣など、人的な支援が継続的に実施されております。今後も引き続き各種の復興計画を着実に推進していくためには、現地におけるマンパワーの確保が重要です。
そこで県は、マンパワーの確保のために、国や全国の市長会や町村会などに働きかけて協力を得ていますが、被災市町村における現在の職員の確保の充足状況と来年度に向けた確保の取り組みについて伺いますとともに、派遣職員に対するメンタルヘルス等でのフォローの取り組みについてお伺いいたします。
〇政策地域部長(大平尚君) 被災市町村の人材確保についてでありますが、本年2月1日現在の被災市町村における職員確保数は716名であり、必要数は775名でありますので、59人の不足、充足率は92.4%となっており、引き続きマンパワーの確保が重要と認識してございます。
来年度の職員確保に向けましては、総務省を通じた全国自治体への派遣要請、被災3県による全国の自治体への合同訪問要請、県内内陸市町村への派遣要請を行ってきたほか、県職員や県が採用いたしました任期付職員の派遣調整など、被災市町村の人材確保に向けた取り組みを行っているところであります。来年度も740名程度必要と見込まれていることから、このようなさまざまな手段を通じて被災市町村の復興に必要なマンパワーの確保に取り組んでまいります。
また、メンタルヘルスについての御質問でございますが、十分な配慮が必要であることから、県といたしましても、今年度は、派遣職員等を対象としたメンタルヘルスケア研修を盛岡で3回に分けて開催いたしました。また、被災市町村を訪問して、派遣職員に対する面談を2回実施するなど、派遣職員の心身の健康の保持に努めてきたところであります。
今後もこれらの取り組みを継続して実施いたしますが、被災市町村もメンタルヘルスに取り組んでおりますことから、これらとも連携を強化いたしまして、派遣職員が心身の健康を維持し、業務に専念できる環境整備に努めてまいります。
〇6番(柳村一君) 全国の都道府県や市町村も行革などによって大変マンパワーが不足する中で、被災地に人員を割いていただけることはとてもありがたいことだと思います。その方々のメンタルヘルス等をしっかりしていかないと大変なことになりますので、その辺の取り組みを一生懸命お願いしたいと思います。
先日日曜日の新聞で、被災3県の支援のために、全国の警察から特別出向した後、被災地の県警に所属を切りかえて定年まで勤める永久出向を選んだ警官が67名に上り、そのうち本県には17名の方が永久出向しているという記事が載りました。定年まで被災地のために支援していただけることは大変ありがたいと思います。その方々にはお礼できませんので、本部長にお礼を申し上げます。どうもありがとうございます。
次に、公共施設等の管理について伺います。
高度経済成長期に整備された多くの公共施設等が一斉に老朽化の問題を迎えることの危機感の高まりにより、国はインフラ長寿命化基本計画を策定いたしました。県は、これに基づき、岩手県公共施設等総合管理計画を現在策定しております。岩手県公共施設等総合管理計画では、2015年度現在で建築後50年以上を経過しているものは約3%だが、30年後にはその割合が72%になると見込んでいます。また、老朽化の状況や利用状況、長寿命化対策によるコスト削減効果などを勘案して、計画的に長寿命化を実現するとしております。
そこで、公共施設等の長寿命化について、耐用年数に対する改修、更新等の考えを伺います。
〇総務部長(風早正毅君) 公共施設等の長寿命化についてでありますが、現在取りまとめ中の岩手県公共施設等総合管理計画においては、コスト縮減・財政負担の平準化を計画推進の柱の第1に掲げ、計画的な維持管理と長寿命化を推進し、公共施設等の維持管理や修繕、更新等に係る中長期的なコストの縮減、財政負担の平準化に取り組むこととしております。
長寿命化に向けた取り組み方針としては、法定耐用年数を超える長寿命化を図るため、定期的な点検、診断結果に基づいた適時適切な修繕の実施や、高耐久性の材料、工法選定といった、いわゆる予防保全型の維持管理を推進したいと考えております。
来年度以降、施設類型ごとに定める個別施設計画において、具体的な改修や更新等の実施方針、そして、対象となる施設や優先度などの考え方についても順次整理していくこととしております。
〇6番(柳村一君) 先ほどの人口ビジョンで2040年度までに100万人を維持する計画を立てておりますので、公共施設等についても、だんだんにはその辺を目安に維持修繕をしていかなければいけないと思います。公共施設等の管理の広域的な連携も維持管理や修繕、更新に要する費用の削減に有効です。全県が同じく人口が減っていくわけですので、この連携は効果的だと思います。また、現時点において公共施設等が何のために必要なのか、目的を再認識して公共施設等のあり方を再検討する必要があると思います。
そこで、市町村等との連携による公共施設等の統合や廃止についてのお考えを伺います。
〇総務部長(風早正毅君) 統合や廃止についてでありますが、本県の公共施設等は、これまで、人口の増加に伴う経済活動の拡大など社会経済的な要請に応えて整備してまいりましたが、近年の人口動態や人口構造の変化を初めとする社会経済情勢等の変化への対応が課題となっております。
計画推進の柱の一つとして、統合や廃止を含め、施設規模、配置、機能等の適正化を掲げ、地域を支える基盤の一つである公共施設等の役割にも留意しつつ、情勢の変化に対応した公共施設等のあり方について検討を進めることとしております。
市町村等との連携による統合や廃止につきましては、効率的な行政サービスの提供やコスト縮減の観点から、類似する機能を有する施設を整備する際には十分に考慮し、施設規模や機能分担についての調整にも努めていきたいと考えております。
〇6番(柳村一君) はっきり言えばもうつくらなくてもいいというものも出てくると思いますし、思い切って、受益者負担でお金を出して民間でやってもいいのではないかというような施設も今後考えられると思います。
そこで、公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の有する資金やノウハウを活用するPFIは、財政負担の平準化や民間業者の新たな事業機会の創出等の効果が期待できることから、公共施設等の社会資本整備を促進する有効な手段であります。また、多様化する行政需要に対応するため、民間企業、NPO、住民等の多様な主体の参画、連携を促し、行政と民間との協働により最も効率的に公共サービスの提供を行うPPPの活用も求められてきていると思います。
そこで、今後の公共施設等の整備、運営に対するPFIやPPPなどの民間活力の導入についての考え方をお伺いします。
〇総務部長(風早正毅君) 民間活力の導入についてでありますが、PPPやPFIにつきましては、手続の複雑さやノウハウの不足もあり、これまで県内での導入は必ずしも進んでいるとは言えませんが、昨年12月に、国の民間資金等活用事業推進会議において、多様なPPP/PFI手法を優先的に検討するための指針が決定されました。官民連携事業の推進を目的とした、国や地方公共団体、金融機関等を構成員とする東北ブロック・プラットフォームが設置されるなど、導入拡大に向けた環境が整いつつあります。
このような動きを受けまして、今回の計画におきましても、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針の一つとして、全庁的な取り組み体制の整備や施設管理者の技術力向上とともに、民間活力の導入についても取り組むこととしております。
今後、国の指針や、これから策定予定のガイドラインも踏まえながら、民間の技術やノウハウ、資金等を活用することにより、公共施設等の維持管理、更新の効率化、サービスの質的向上、財政負担の軽減が図られる事業を対象に、PPP、PFIの導入についても検討してまいりたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 民間が参入しないということは逆に言えば費用対効果がないという意味にも捉えられるわけで、そういうことを考えると、あえて費用対効果がない施設をつくらなくてもいいという考えも出てくるわけであります。ただ、県民の福祉向上のためには必要という部分もありますので、その辺を見きわめながら民間の活力を使うことがこれからの県の財政の上でも役立っていくと思いますので、取り組みの御検討をお願いしたいと思います。
次に、陸上自衛隊岩手駐屯地についてお伺いいたします。
陸上自衛隊岩手駐屯地は、1957年8月に滝沢市に開設されました。駐屯地のホームページには、当駐屯地には約1、500名の隊員が勤務し、その約80%が岩手県出身の隊員で構成される郷土部隊です。各隊員は、信頼される郷土とともに歩む駐屯地として日夜訓練に励んでおりますと紹介されています。駐屯地には、第9特科連隊、第9戦車大隊、第387施設中隊などの部隊が駐屯しております。
国は、平成26年度以降に係る防衛計画の大綱において、陸上自衛隊の体制整備については、機動運用を基本とする部隊以外の作戦基本部隊について、戦車及び火砲を中心として部隊の編成、装備を見直し、効率化、合理化を徹底した上で、地域の特性に応じて適切に配置するとしています。また、中期防衛力整備計画の基幹部隊の見直し等において、大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態への備えのより一層の効率化、合理化を徹底しつつ、迅速かつ柔軟な運用を可能とする観点から、新たに導入する機動戦闘車を装備する部隊の順次新編と、北海道及び九州以外に存在する作戦基本部隊が装備する戦車の廃止に向けた事業を着実に進める。北海道以外に所存する作戦基本部隊が装備する火砲について、新編する各方面隊直轄の特科部隊への集約に向けた事業を着実に進めるとしております。
ただし、防衛大綱や中期防衛力整備計画において、地方によっては、自衛隊の部隊の存在が地域コミュニティーの維持、活性化に大きく貢献し、あるいは、自衛隊の救難機等による急患輸送が地域医療を支える場合等が存在することを踏まえ、部隊の改編や駐屯地、基地等の配置に当たっては、地方公共団体や地元住民の理解を得られるよう、地域の特性に配慮する。同時に、駐屯地、基地等の運営に当たっては、地元経済への寄与に配慮するとしています。このような中、陸上自衛隊の効率化、合理化策として、戦車の機動戦闘車への移行や特科部隊の集約により、岩手駐屯地の縮小が危惧されております。
本県は、東日本大震災津波を初めとする災害派遣、各種防災訓練等への参加、岩手国体開催に係る協力など、岩手駐屯地によるさまざまな支援や協力を受けているところであり、約1、500名の隊員が勤務し、その約80%が岩手県出身の隊員で構成される岩手駐屯地の縮小は、地域に大きな影響を与えるものと考えます。
そこで、県は、岩手駐屯地の地域に果たす役割をどう認識し、再編の動きに対してどのように対応しようとしているのか、お伺いいたします。
〇総務部長(風早正毅君) 岩手駐屯地の地域に果たす役割、再編の動きへの対応についてでありますが、陸上自衛隊岩手駐屯地は本県唯一の陸上自衛隊駐屯地であり、東日本大震災津波はもとより、地震、風水害、林野火災などの大規模災害時に迅速に対応していただくなど、長年にわたり本県防災の一翼を担っていただいているところであります。
また、岩手国体冬季大会、いわて雪まつりなどのイベント時においても多大な御協力をいただくなど、地域にとっても欠かせない存在であると認識をしております。このため、今般の防衛大綱や中期防衛力整備計画による部隊等の再編の動きに対し、県では、滝沢市、八幡平市、盛岡市で構成する岩手山中演習場周辺市連絡協議会と共同で、平成27年7月14日に、防衛省に対して岩手駐屯地の体制維持について要望を行うとともに、平成27年10月6日には、陸上自衛隊東北方面総監に対しても同様に要望を行ったところであります。
今後も関係市と連携し、情報収集に引き続き努めるとともに、さまざまな機会を捉え、駐屯地の体制維持について要望してまいります。
〇6番(柳村一君) 1、500名という中で、駐屯地の中に800名ぐらいお住まいになっていて、そのほかの700名の方々には御家族もいらっしゃるわけであります。この駐屯地が規模縮小または廃止になった場合に、岩手県の周囲の経済に与える影響というのはかなり大きいものでありましょうし、人口の社会減にも影響を与えると思いますので、一生懸命存続に向けての取り組みをお願いしたいと思います。
次に、岩手県国土強靭化地域計画についてお伺いします。
国土強靭化地域計画策定ガイドラインによると、国土強靭化地域計画は、どんな自然災害が起こっても機能不全に陥らず、いつまでも元気であり続ける強靭な地域をつくり上げるための計画で、強靭化に対する事項については、地域防災計画はもとより、地方公共団体における行政全般にかかわる既存の総合的な計画よりも、さらに上位に位置づけられるものとしております。県は、このガイドラインに沿って、岩手県国土強靭化地域計画を策定し、四つの基本方針を設定いたしました。その方針のうち、県の特性に応じた施策の推進では、東日本大震災津波の経験等を踏まえた施策の推進と、将来人口が減少した場合にあっても、各地域において基本目標が達成できる仕組みづくりを挙げております。
そこで、県の特性に応じた施策の推進について、岩手県国土強靭化地域計画と岩手県東日本大震災津波復興計画、岩手県地域防災計画との関係性を伺うとともに、どのような点に重きを置いてこの計画を推進しようとしているのか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手県国土強靭化地域計画についてでありますが、この計画は、平成25年12月に施行された、いわゆる国土強靭化基本法に基づいて策定したものであります。
大規模自然災害の発生に備え、人命の保護を最大限に図り、さまざまな重要機能が機能不全に陥らず、迅速な復旧、復興を可能にする地域づくりを推進する国土強靭化の観点から、県におけるさまざまな分野の計画等の指針となるものであります。
計画の策定に当たりましては、東日本大震災津波の経験も踏まえて検討を行ったものであり、復興計画に基づく復興施策と一体となって、震災の経験等を踏まえた強靭化施策を推進してまいります。
災害対策基本法に基づく地域防災計画との関係においては、国土強靭化地域計画が、主に発災前における平時の施策を対象としている点などに違いがありますものの、必要な防災体制を構築するという同じ目標に向かい、行政、関係機関、団体、企業等が相互に協力し、両計画を推進していきます。
また、国土強靭化地域計画の推進に当たっては、災害時の影響の大きさや対策の緊急度を踏まえて、住宅や病院等の耐震化、道路施設の防災対策や災害時に配慮が必要な方への支援体制の充実など、優先して取り組む34の重点施策を掲げたところでありまして、今後、これらの取り組みを着実に進めて、安全・安心な地域社会の構築に向けて岩手の強靭化を推進してまいります。
〇6番(柳村一君) 先ほどの総合戦略ではないですけれども、防災に関してもさまざまな計画があって、どれがどういうものかというのは、県民の皆さんにはわかりづらいと思いますので、その辺をうまく整理した上で、皆さんがその計画に沿って行動できるようなパターンをつくっていただきたいと思います。
その中で、地域防災への意識啓発についてお伺いします。
私たちは、東日本大震災津波での経験で、自然災害に対する防災の限界と自然災害の規模を想定することの難しさを改めて認識させられ、自然に立ち向かい、自然災害を完全に防ぐことは不可能であるということを学びました。しかしながら、国土強靭化基本計画で示すとおり、完全に防ぐことができないとはいえ、いかなる大規模な自然災害が発生しても、致命的な被害をこうむらない強さと速やかに回復するしなやかさを持った、安全・安心な地域社会の構築を進める必要があります。そのためには、防災の限界を認識し、それを超えた場合の対策を考え、インフラの整備を行っていかなければなりません。しかし、その一方で、整備をする時点で、自然との共生、環境との調和や景観の維持に配慮することも非常に重要だと考えております。
県内の各地域により、自然災害の発生の要因はさまざまで、その地域に起こり得る防災対策が必要であります。また、一番重要なことは、自然災害などが発生したときに、一人一人がどのように行動しなければならないかということです。日ごろから、その地域に合致した防災教育が必要だと考えます。
そこで、地域防災のあり方とその意識啓発、周知徹底の取り組みについてお伺いいたします。
〇総務部長(風早正毅君) 地域防災への意識啓発についてですが、地域防災力を強化していくためには、県民一人一人が災害から身を守る力を備え、地域の自主防災組織が県内にくまなく組織されるなど、自助と共助による体制を整えるとともに、公助による実効的な防災体制の整備を進めていくことが必要であります。中でも、住民みずからが、災害から身を守る自助は基本でありまして、そのためには、一人一人が高い防災意識を持っていただくとともに、災害危険箇所や避難所の確認など、地域の状況を把握していただくことが重要であります。このため、県では、ホームページでの啓発やみんなの防災手帳、いわてグラフの全戸配布により、家庭での備蓄、身の回りの環境や状況の確認、災害時の行動について周知を図ったほか、岩手県地域防災サポーターを地域の団体等に派遣し、講演や地域の防災マップ作成のためのワークショップなどを行い、防災意識の向上に努めております。
今後も、県民一人一人が災害時に適切な行動をとることができるよう、県広報誌による啓発や小中学校における防災教育などの取り組みにより、防災意識の向上に取り組んでまいります。
〇6番(柳村一君) ただいまの答弁ですと、自助を基本にやっていくということでしたが、昨日の新聞によりますと、大規模災害時に高齢者や障がい者など、弱者の避難を助ける人の名前や避難先を明記する個別計画を策定しているのは本県で4市町と、少ないという記事でございました。これに対して、県はこのことをどのように受けとめているのかお伺いするとともに、県は市町村にどのような指導を行っているのかお伺いします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 避難行動要支援者の個別計画についてでありますが、これは、平成25年の災害対策基本法の一部改正を受けて示された国の取り組み指針において、市町村に対し、要支援者一人一人について、避難支援等関係者や避難経路などの具体的な支援方法を定める個別計画の策定が求められているものであり、県が各市町村に照会した結果では、現時点で6市町が策定済みとなっております。
なお、御指摘のあった昨日の新聞報道のデータは、本年1月の調査によるものと聞いています。
県内の市町村におきましては、同法で作成が義務づけられている避難行動要支援者名簿の作成を優先して取り組んできたことや、計画策定に関する要支援者本人の同意が得られにくいこと、避難支援等関係者の確保が困難であることなどから、多くの市町村で個別計画策定が進んでいないものと承知しております。
県では、これまでも研修会等を通じて市町村の取り組みを支援してきたところでありますが、今年度中に個別計画策定の前提となる要支援者名簿の整備が全市町村で完了する予定であることから、引き続き、個別計画策定済み市町村の取り組み事例の提供を行うなどにより、個別計画の策定を一層支援していく考えです。
〇6番(柳村一君) 滝沢市はたしか個別計画をつくったと思うんですけれども、今の御答弁で、取り組まれた事例を参考にと言っていましたけれども、取り組みで一番御苦労をなさっているのが民生委員の方なのです。その計画をつくるときに、私は載せなくてもいいとか個人情報だからとか、そういうことが結構あり、大変な御苦労をされているというのをお伺いしました。
先ほどの答弁では、自助が基本ですという話でしたし、仮設の孤独死などを考えると、地域地域のつながりを大切にするような取り組みを行ったほうが、机上でこういう計画をつくりました、こういう計画に沿って進んでください、こういう人を探してくださいという、そういうものではない、地域地域に合った計画を考えていかなければ、どうしてもつくる市町村が少ないという形になってくると思いますので、県も個別計画にこだわらずに、もう少し柔軟な考え方を持って、その地域地域に合った個別計画をつくりましょうというような提案をしてもよろしいのではないかと思いますので、その辺の考え、取り組みについてはいかがでしょうか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 個別計画につきましては、国において一定のひな型の様式はございますけれども、ひな型ということでございますので、地域に合った取り組みということも必要かと思います。
研修会等を開いて既に策定済みの市町村の職員の方に講師をお願いすることもございますし、また、受講者の方々の御意見を伺いながら、その地域に合った形で個別計画の策定に取り組んでいく必要があるかと思っておりますので、今後ともそのような形で考えていきたいと思っております。
〇6番(柳村一君) 逆に言えば、作成したところはどういう点が悪いのか、そういうところをわかっていると思いますので、その辺をしっかり聞きながら、岩手県独自の個別計画づくりに取り組んでいただきたいと思います。
次に、地球温暖化対策について伺います。
昨年末、COP21においてパリ協定が採択されました。これは、京都議定書にかわる2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みで、ほぼ全ての国が参加し、合意されました。これを受けて、国も地球温暖化対策推進本部の決定で、2度目標が世界共通の目標となり、我が国としても世界規模での排出量削減に向け、長期的、戦略的に貢献するとしています。
地球温暖化対策の推進のため、県は岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しにおいて、温室効果ガス排出削減率を、基準年である平成2年度に比べ、平成32年度までに25%削減する目標を掲げています。この目標を達成するためには、地球温暖化についての情報をわかりやすく提供し、地球温暖化対策をすることでどのような効果があるのか、県民にしっかり理解してもらい実行していく必要があります。
そこで、温室効果ガス排出量の削減への情報発信と意識改革、行動喚起の取り組みについて伺います。また、県の特徴である豊かな森林資源を生かした森林吸収源対策の取り組みについてお伺いいたします。
〇環境生活部長(根子忠美君) 温室効果ガス削減への取り組みについてでありますが、県では、県民、事業者、行政などが一丸となって、排出量削減に向けて取り組むことが重要であることから、県内の産業関係団体、消費者団体、行政等で構成する温暖化防止いわて県民会議を中心に、温暖化に関する総合的な情報発信を行ういわて温暖化防止フェアや省エネ、節電を促すキャンペーンの実施等を通じ、普及啓発を行っております。
あわせて、地域に根差した地球温暖化防止の活動を活性化するため、地球温暖化防止活動推進員の地域の勉強会への派遣や、地球温暖化対策地域協議会の支援などに取り組んでおります。
また、二酸化炭素排出抑制に積極的に取り組んでいる事業所を認定するいわて地球環境にやさしい事業所制度や環境マネジメントを推進するエコスタッフの養成などを通じまして、事業所における省エネルギー対策の一層の推進と再生可能エネルギー設備導入を促進しております。
今後とも、温室効果ガス排出量の削減に向け、省エネルギー対策の取り組みや再生可能エネルギーの導入などが具体的な実践行動につながるよう、県全域や地域レベルでの普及啓発活動を推進してまいります。
〇農林水産部長(小原敏文君) 森林吸収源対策についてでありますが、県では、森林による二酸化炭素の吸収量を確保するために、平成25年度から、特定間伐等の実施の促進に関する基本方針に基づきまして、計画的に間伐等の森林整備に取り組んできており、2年間の実績は約1万3、000ヘクタールとなっております。また、化石燃料の消費を抑制するために、木質バイオマスボイラー等の導入を支援してきており、平成26年度末現在での導入状況は、ペレットストーブは1、827台、木質バイオマスボイラーは100台と、いずれも計画を上回っております。
このほか、県や釜石地方森林組合など七つの機関、団体が、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国がクレジットとして認証する排出量取引、いわゆるJ-VERに取り組んでおりまして、今後とも、こうした取り組みを通じまして、森林吸収源対策を推進してまいります。
〇6番(柳村一君) 最近の異常気象は温暖化によるものでありますけれども、実際、県民の皆さんが何か取り組んでいるかというと、まだまだなのが現状だと思います。ですので、その辺の普及とか啓蒙活動をすることによって、少しでも温暖化対策を行っていかないと、地球は大変なことになると思いますので、取り組みをしっかりしていただきたいと思います。
また、地球温暖化ガス排出削減の取り組みの一つに、電力の再生可能エネルギーの導入があると思いますので、その点についてお伺いします。
平成23年の東日本大震災津波の発災以降、国の電力事情は大きく変化いたしました。原子力発電所を準国産と位置づけた日本のエネルギー自給率は、震災前の19.9%から平成24年には6.3%になり、経済協力開発機構に加盟する先進34カ国中33番目の自給率となっております。
岩手県地球温暖化対策実行計画では、平成26年度18%だった再生可能エネルギーによる電力自給率を平成32年度に35%にするとしています。また、平成26年度13.2%だった県内エネルギー消費量に対する再生可能エネルギーの導入割合を23.9%にするとしております。再生可能エネルギーの中でも、地熱発電と海洋エネルギーは安定していると評価されており、能力的にもコスト的にも将来大いに期待され、革新的な技術開発の可能性を持っているエネルギーです。岩手県は地熱資源に恵まれており、海洋エネルギーも洋野町と釜石市で事業展開が始まりました。
そこで、地球温暖化ガス排出の削減につながる再生可能エネルギーの自給率向上と導入割合の目標達成についてどのように取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
〇環境生活部長(根子忠美君) 再生可能エネルギーの導入の取り組みについてでありますが、県では、今議会で計画の変更について提案しております岩手県地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーの導入割合を高めることにより、再生可能エネルギーによる電力自給率を平成32年度に倍増する目標を掲げております。
再生可能エネルギーの導入促進を図るためには、ポテンシャルが全国的にも優位な風力と地熱を重点的に進めていく必要があることから、再生可能エネルギー導入支援マップの公開や、昨年3月に策定した風力発電導入構想の具体化に向けた市町村との連絡会の設置、洋上風力発電等の実現に向けた洋上風況調査等の取り組みを進めてまいりました。
また、地域産業との連携も期待される地熱や小水力などの活用についても、セミナーや勉強会を開催しながら、地域に根差した新たな事業の掘り起こしを行っております。
今後においても、温室効果ガスの削減や地域振興など、多面的な効果が期待される再生可能エネルギーの導入が一層促進されるよう、積極的に取り組んでまいります。
〇6番(柳村一君) 時間がないので次に移ります。
次に、企業局の電気事業についてお伺いいたします。
企業局では、電気事業と工業用水道事業を長期にわたって安定的に経営するため長期経営方針を策定し、現在、電力システム改革等の経営環境の変化に対応するため、第5次中期経営計画の策定を進めています。さきの質問で、再生可能エネルギーの取り組みについて伺いましたが、企業局の電気事業は、まさにこの再生エネルギーそのものであります。
そこで、再生可能エネルギーの導入に一層の取り組みを期待するものですが、この計画においてどのような収支見通しを立てて安定経営を確保していくのか、お伺いいたします。
〇企業局長(菅原伸夫君) 第5次中期経営計画についてでありますが、この計画は、平成28年度から4年間を対象とし、電力システム改革等の環境変化に適切に対応しながら、電力の安定供給を維持するとともに、再生可能エネルギーである風力、水力を活用した新規開発に取り組むこととしております。
具体的には、一戸町の高森高原地区に風力発電所を建設する計画としており、事業費約127億円につきましては起債と自己資金でおよそ半分ずつを賄い、資本的収支のバラスを図ることとしております。
また、収益的収支については、この発電所の運転開始等により、平成29年度以降、売電収入の増加を見込む一方で、経費の効率化を図ることにより一定の利益を確保するとともに、収益と費用の割合を示す経常収支比率をアップさせまして、安定経営、健全経営の実現に努めてまいります。
〇6番(柳村一君) 時間がないので終わります。(拍手)
〇副議長(工藤大輔君) 以上をもって、柳村一君の一般質問を終了します。
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時7分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(1名)
16  番 千 葉   進 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時28分 再開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(工藤大輔君) 本日の会議は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(工藤大輔君) 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。
〔37番斉藤信君登壇〕(拍手)

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