平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
議案第82号平成26年度岩手県一般会計補正予算(第7号)について質問いたします。
一般会計補正予算は、国の経済対策への対応として84億3、900万円が予算措置され、一方、県税など歳入の最終見込みや事業費の確定に伴い398億円の減額補正となっております。
そこで知事に質問いたします。
第1に、平成26年度の繰り越しが1、651億円となりましたが、うち東日本大震災津波関係分として1、335億円が繰越明許費になっています。その主な事業と繰り越しする理由は何でしょうか。
第2に、国の緊急経済対策への対応分として、地域消費喚起、生活支援に17億4、200万円余が予算措置されています。その主なものは、県産品の消費を喚起するいわての県産品販売促進事業に6億5、000万円、誘客を促進するいわてに泊まろう誘客促進事業費に10億8、900万円であります。今、年金の削減や社会保障の負担増、米価の大暴落など県民の暮らしは一層厳しくなっており、一番困っている県民への生活支援こそ行うべきであります。余りにも偏った消費喚起、生活支援対策ではないでしょうか。低所得者対策はどう具体化されたのでしょうか。
第3に、岩手県まち・ひと・しごと創生総合戦略策定費に2、000万円が措置されました。これは、まち・ひと・しごと創生法に基づき岩手における5カ年の総合戦略を策定するものであります。国は、遅くとも2015年度中に早期の策定を求めていますが、どんなプロセスで策定するのでしょうか。人口減少と地域経済縮小の克服を目的に、国の総合戦略が定める政策分野を勘案して策定することを地方自治体に求めています。
しかし、そもそも人口減少と地方の経済の縮小はどこにあったのか、この原因分析がなければ、処方箋もありません。人口減少及び地方の経済の衰退の原因はどこにあるのでしょうか、知事の見解を伺います。
第4に、いわて地域力活性化推進事業費1億408万円余は、人口減少問題に対応するため、移住推進体制や地域資源を活用した地域づくり、集落の再生のための支援事業費であります。どのような事業を行うのでしょうか。これまでの取り組み状況、U・Iターンの実績はどうなっているのか示してください。
第5に、地域公共交通活性化推進事業費補助1、500万円は、市町村の公共交通ネットワークの再編や既存路線の利用促進などにかかわる事業に補助するものであります。被災地特例による補助要件の緩和を受けたのは17路線となっており、交通弱者の足を確保してきました。特に被災地では、平成27年度末では面整備が4割、災害公営住宅も6割という中で、これまで以上に分散居住となるだけに、ますます大事な事業となってきます。国に対して被災地特例の継続を求めていくべきですが、国の対応はどうなっているでしょうか。
第6に、生活福祉資金貸付事業費補助金3億4、458万円が措置されていますが、生活支援相談員にかかわる経費は減額補正されました。今後、認知症や貧困、心の障害などといった課題が深刻化することも予測され、一層の充実が重要となっております。目標どおりに配置されているのでしょうか、課題はなかったのか伺います。
第7に、救助費4億2、281万円が減額補正されております。応急仮設住宅に対する保守管理センターへの相談件数あるいは点検結果、改善はどうなっているでしょうか。また、改修に向けた取り組みはどうされているのでしょうか。
応急仮設住宅移転に伴う備品等の無償譲渡にどう取り組まれているのか、その実績も示してください。
第8に、河川等災害復旧事業費81億5、019万円余が減額されています。災害復旧の減額補正の理由は何でしょうか。緊急経済対策には、災害、危機対応分として7億円が予算措置されました。県内の橋梁、トンネルの老朽化対策、河川の改修などの減災、防災対策などが課題となっていますが、こうした分野にしっかり対応されているのか伺います。
第9に、職員の超過勤務手当について質問いたします。
これまで、県職員は、通常の業務、仕事に加えて東日本大震災での復旧、復興で超過勤務を強いられる中で、残業代も満足に支払われてきませんでした。職員の勤労意欲を減退させるものであって、その改善を求めてきましたが、今年度はどの程度改善されたのでしょうか。
最後に、議案第111号から議案第113号及び議案第130号から議案第132号は、災害公営住宅新築工事の変更請負契約並びに財産の取得に関する議決の変更に関し議決を求めることについてであります。
第1に、敷地提案型災害公営住宅買取事業では、設計変更に伴う増額は3億4、000万円にもなっています。このうち8分の1が県負担となりますが、その主な理由は何でしょうか。また、県負担分に伴う家賃への負担増となるのでしょうか。
第2に、1戸当たりの建設単価はどれぐらいになっているのか、また、震災前と比べてどのぐらい建設単価が高騰するのか伺います。
以上で質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、まち・ひと・しごと創生に関する地方版総合戦略の策定プロセス等についてでありますが、さきに公表した人口問題に関する報告(案)について、今議会での議論や今後実施する市町村との意見交換を踏まえて年度内に成案とし、それをもとにして外部有識者からも意見を聴取しながら、平成27年度中に岩手県としての総合戦略を策定する予定です。
次に、地方の人口減少と経済についてでありますが、これまで続いてきた経済の流れによる東京一極集中が全国的な地方の疲弊の原因であり、それが地方の人口減少の要因の一つと考えております。人口減少を食いとめるためにも、地方の活性化を図るよう地方を重視した経済、財政政策が重要と考えます。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇復興局長(中村一郎君) 応急仮設住宅の備品の無償譲渡についてでございますが、入居されていた方が退去した後、その方が住んでいた応急仮設住宅の使用が見込まれないと市町村が判断した場合には、エアコンなどの備品を、退去するときに譲渡できるように昨年7月から制度化いたしまして、譲渡が行われてございます。本年1月末現在で235件の譲渡が行われてございます。
〇総務部長(小田島智弥君) まず、平成26年度予算の繰り越し状況についてでございますが、東日本大震災津波関係分の繰越明許費1、335億円の主な事業は、防潮堤の整備を含む漁港災害復旧事業284億円、災害公営住宅整備事業166億円、加えて地域連携道路整備事業122億円などであります。
また、繰り越しする理由は、箇所ごとにさまざま要因はございますが、市町村の復興まちづくり計画等との調整や工法の検討、また、作業員や資機材の調達等に時間を要したことなどが主な要因となっております。
次に、新たな交付金を活用した事業についてでございますが、本交付金の活用に当たりましては、国からは、市町村は、地元商店街で活用されるような地域に密着した事業、県は、県外からの需要を喚起するような事業を主に実施することが奨励されております。また、プレミアムつき商品券など消費喚起効果の高い事業の実施を基本とし、低所得者向けの事業については、プレミアムつき商品券の発行による支援が困難な場合に行うこととされてございます。
こうしたことから、県といたしましては、国が推奨する域外の消費喚起を目的とした県産品の購入助成や旅行券の発行などの事業を実施することとしたところでございますが、県内市町村においては低所得者向けの事業を検討しているところもありますことから、県と市町村の事業が一体となって、県内の消費喚起、生活支援が図られることが期待されるところでございます。
次に、超過勤務手当についてでありますが、知事部局を含め、超過勤務手当については、事前命令を行い、その実績を丁寧に確認した上で、実績に応じた適正な支給に努めているところであります。
今年度は、復興事業の進展のほか、新たな制度や新規事業への対応により業務量が増加したため、さきの12月定例会におきまして増額補正を行って対応したところであり、今回の2月補正につきましては、各部局等の最終見込みの確定に伴うものとなっております。今後、復興事業がピークを迎え、業務量が増加することが見込まれますが、業務の見直しや平準化の取り組みによりまして、引き続き、超過勤務の縮減に努めていきたいと考えております。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) まず、いわて地域力活性化推進事業費でございます。
主な内容は三つございます。
一つ目は、ふるさとづくり推進事業費で、定住、交流人口の拡大を図るため、ふるさと回帰支援センターに移住相談員の配置等を行うものであり、これまでの移住相談体制の充実、強化を図るもの。
二つ目は、集落再生・活性化支援事業費で、これまでのフォーラム等での先進事例紹介等に加えまして、地域コミュニティの機能強化等の課題に対応するため、集落再生や活性化に取り組む住民団体等の支援を実施するもの。
三つ目は、県北振興重点支援事業費でございます。県北地域の産業振興に向けた取り組みを進めるため、食のPRイベントを継続して開催するほか、縫製事業者の交流や商品開発等に向けたセミナー等を開催するものがございます。
また、U・Iターンの実績としての就職者数は、平成24年度で777人、平成25年度は938人となっております。
次に、バス路線に対する国庫補助の被災地特例の継続についてであります。
東日本大震災の被災地である岩手、宮城、福島全域のバス路線につきましては、特例措置として補助要件が緩和されておりますが、平成27年度までの時限措置であり、当該特例措置が廃止された場合、補助要件を満たさない路線の存続が困難となることが懸念されております。
本県においては、いまだ復興の途上にあります。国に対して、平成28年度以降も同様の措置を継続するよう要望してきたところでありますが、現時点においては明確な方針が示されていないことから、今後においても引き続き要望してまいります。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 生活支援相談員についてでありますが、配置数については、当初計画数211人に対して、平成27年1月31日の配置実績で177人となっております。市町村が配置している復興支援員と連携しながら、必要な見守り体制づくりに努めているところでございます。
生活支援相談員の配置数が計画を下回った理由としては、被災地において福祉関係の人材が不足しているということ、それから、生活支援相談員の国の予算が単年度ごとの措置のため継続雇用への不安があったことなどが挙げられると考えております。
県としては、生活支援相談員の配置に必要な中長期にわたる安定した財源の確保を引き続き国に要望していきます。
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、応急仮設住宅の保守と点検、改修についてでありますが、応急仮設住宅の不具合等に係る保守管理センターへの相談は、昨年4月からことし2月24日までの間に4、558件の相談が寄せられております。その主なものとしては、外溝や給排水設備、建具の不具合などとなっており、それぞれ必要な対応を行っております。
応急仮設住宅の点検はこれまで年2回の頻度で定期的に実施しておりますが、昨年10月から11月にかけて実施した点検で木ぐいの点検も新たに行っております。その結果、早期の改修が必要と考えられる事例はありませんでしたが、一部の団地では木ぐいの劣化が始まっていることが確認されたところであります。
現在、市町村の応急仮設住宅の集約の意向を踏まえ、来年度からの改修に向けて計画を策定しているところであり、長期化する応急仮設住宅での生活に支障が生じないよう、今後も適切な住環境の維持に努めてまいります。
次に、河川等災害復旧事業費の減額の理由についてでありますが、震災分は年度の執行見通しの確定等による減額であり、通常分は、本年度の大雨など気象災害の発生に対応した復旧に要する経費が予算計上額を下回ったこと等に伴う減額であります。
また、減災、防災対策への取り組みについてでありますが、今回提案しております補正予算において、国の緊急経済対策に呼応し、自然災害リスクを踏まえた緊急防災対策に係る予算を計上しているところであります。これは、頻発する水害や地震などによるリスクを回避、軽減するため、緊急的な対応が求められる河川の改修や道路ののり面対策、橋梁の補修などを行い、必要な対応を図ろうとするものであります。
次に、災害公営住宅の建設費についてでありますが、敷地提案型買い取り事業による3団地の事業費の変更理由は、資材、労務費等の高騰による増、労働者の宿泊費及び交通費による増などにより合計で約3億1、900万円の増額となっております。
また、災害公営住宅の建設費がふえることにより、入居者の家賃がふえることは基本的にはございません。
今回、議案としてお諮りしている6団地の1戸当たりの工事費は約2、360万円となっております。一方、震災前の平成22年度に発注した備後第1アパート5号棟の1戸当たりの工事費は約1、720万円ですので、それと比較いたしますと1戸当たり約640万円の増となっております。
〇1番(高田一郎君) それでは、答弁いただきましたので、再質問いたします。
まず、地域消費喚起・生活支援対策として、今度の補正予算には50%程度の割引をつけた旅行券の発行とか、あるいは県産品の消費拡大のために、割引率3割ですか、こういった予算措置もされていますが、どれだけの経済効果が期待できるのかというところがよくわかりませんので、その辺どのように考えているのかまず伺います。
それから、今度の経済対策というのは、市町村、県の役割といいますかメニューが示されていますが、これまでの経済対策と違って、かなり自由度のある経済対策だと思います。今、一番困っているのは米価の大暴落で、本当に農家の皆さんが大変になっているんです。国の米価暴落対策を見ても、ほとんど対策のないような中身になっています。私は農林水産委員会でも求めてきたんですけれども、例えば種もみの助成とか、山形県はやりましたよ、今回。4分の1助成。あるいは、住宅リフォーム助成事業を秋田県が県を挙げてやっています。物すごく経済効果を発揮しています。こういうところをずっと求めてきたんですけれども、やはり生活支援、低所得者対策と言うんだったらこういったものを率先してやるべきだと思うんですが、こういったことが議論の俎上になかったのかどうか、この点について伺いたいと思います。
3番目ですけれども、生活支援相談員の問題です。
人材が不足して当初予定を下回ったという話でありましたが、きのう、実は私、陸前高田市にお邪魔して、生活支援相談員のお話を伺う機会がありました。陸前高田市では、応急仮設住宅1、700世帯を含めて2、000世帯を月1回から2回訪問している。その支援員がたった20名という話を聞きました。見守りだけではなく、お茶っこ飲み会とか、他県から来るボランティアを側面から支援するとか、さまざまな活動をしているなというふうに本当に関心を持ったんですけれども、私は、人材不足の問題もありますけれども、この生活支援相談員の全体の数が本当に足りているかどうかというところも大きな課題の一つではないかと思うんですが、その点はどう課題として捉えているのかということについて伺います。
最後に、災害公営住宅について伺いますが、今回、特に敷地提案型買い取り事業、宮古3カ所で3億4、000万円も増額になりました。家賃に反映されないということで安心しましたけれども、そもそも、3カ所で3億4、000万円、宮古市の中心地区というところで3億5、000万円から5億円に上がってしまった。予定価格というのは一体何だったのかということが問われていると思うんですけれども、今後もこういった事業が展開されると思うんですが、敷地提案型買い取り事業の問題、課題というのはないのか、この点について伺います。
また、今回、地質調査の結果、軟弱であることが判明して大変な増額になりました。これは事前にある程度調査ができなかったのか。また、工事金額の妥当性、これはどこでどういう形でチェックされたのか、ここについてお伺いして終わります。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 新型交付金のうちの地域消費喚起型事業の経済効果のお尋ねについてでございます。
実はこれ、非常にいろいろな条件がありまして、これだという推計ははっきりございませんが、一定の仮定を置きまして機械的に推計いたします。そうしますと、事業費14億円ございますが、それが全て個人消費の支援に充てられるという前提で計算しています。そうしますと、いろいろな条件はつきますが、消費喚起効果としては、14億円から、呼び水効果、これは最大限―マックスでございますが、36億円でございます。ですので、14億円から36億円の間に経済効果があると試算しております。
〇農林水産部長(小原敏文君) 米価下落対策に伴います種もみ等の支援は考えなかったのかということでございますけれども、今回につきましては、県としましては、一時的な対策ではなく、あくまでコストの低減、生産費の低減、そして、いかにそれを有利に販売していくか、こちらのほうに予算を計上しているものでございます。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 生活支援相談員の関係でございますけれども、この配置計画数でございますけれども、市町村の社会福祉協議会からニーズを踏まえた要望をとって、県社会福祉協議会が取りまとめて、その要望において計画しているという状況でございます。それで、私どもとしては、そういうニーズの中でそういう必要数だと認識しておりますけれども、先ほど申し上げましたように計画と実績の乖離があるということでございますので、そういう部分についてはなかなか十分に対応できない部分もあるのかなというふうには感じております。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 敷地提案型買い取りの公営住宅の、まず、予定価格が妥当かということについてお答えいたします。
この3件につきましては、平成25年6月あるいは12月定例会で承認いただいたものでございます。その後、労務単価等が大幅に上がってきているということで、当初設定した価格に対して、この2年の間にかなり労務単価等が上がったというのが一番大きな要素となっております。もう一つが、被災地以外からの労務者の確保のための宿泊費及び交通費を新たに計上したと。これも必要なことを認めて計上しているものでございます。
そういうことで、この変更内容につきましては、敷地提案型ということでの特殊性ではなく一般の発注でも行われているものでございまして、特に敷地提案型による課題としてこういうことが起こったということではございません。
〇議長(千葉伝君) 次に、小野寺好君。

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