平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇8番(高橋雪文君) この4月の選挙で県議会に初めての議席をいただきました、自由民主クラブの高橋雪文でございます。
 会派の皆様方の御配慮により、この6月定例会で一般質問の機会をいただきましたことに、心から感謝申し上げます。
 それでは、通告に従いまして順次質問させていただきます。
 まず、世代間格差についてお聞きいたします。
 我が国は、今後、急激な少子・高齢化社会を迎え、国のあり方、地方自治のあり方に大きな転換が求められていることは周知のとおりでございます。先日の人口問題研究所の統計によりますと、昨年修正された1.33の合計特殊出生率がさらに修正され、1.32の出生率となり、高齢者がふえる一方、次世代を担う労働者人口がますます低下せざるを得ない現状にあります。本県の出生率は全国平均よりもやや大きいものの、人口を維持させる2.08以上という数字にはほど遠く、全国同様、少子・高齢化は避けられない状況下にあります。
 その一方で、本年1月24日の岩手日報の記事によりますと、県調査統計課によると、昨年の10月1日現在、前年度同期で5、020人、県内人口が減少していると発表され、そのうちの4、700人余りが18歳からの学生や社会人であり、雇用の低下による現役世代の流出が非常に多くなってまいりました。このような状況が進めば、ますます県を支える労働者人口は低下し、高齢化の波は加速度的に本県に押し寄せると思いますが、まずは、増田知事の県の将来人口予測についてどのようなお考えであるか、お知らせいただきたいと思います。
 また、このような少子・高齢化の一方で、県内経済需要のうち経済成長の数値は伸ばしているものの、雇用の確保はますます厳しくなり、税収も落ち込みが顕著になってまいりました。1兆3、600億円余りの累積債務、主要基金の残高も今年度末で406億円のみとなっています。今後は、三位一体などによる国からの実質的な補助金などの減収も明らかになり、今後ますます硬直した財政状況が予測され、このままでは次の世代、大きな負の遺産になるのではと危機感を感じております。
 私は、今後あと30年間、現役世代としてこの岩手、日本を支える一人として活動できる世代でありますけれども、今の状況で将来を予測していくならば、社会保障とともに財政負担が増し、世代間で受益と負担の格差が広がることは明らかであります。この閉塞感が、同世代の多くの若者にとって日本社会に夢や希望を感じられず、活力を発揮できない最大の原因になっていると感じるのであります。この原因が単なる人口統計上のものだけではなく、今行われている行政運営上の原因による財政の硬直化からもたらされるのであれば、行政本来の崇高な役割から大きくかけ離れたものにならざるを得ないと感じております。
 そこで質問をいたしますが、現在、行政を担っている者は将来についても責任を負う側面もあると思いますが、増田知事はどのようにお考えでしょうか。また、私は世代間の均衡ある受益と負担が国の末永い繁栄をもたらすと考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
 さらに、今日のように、返済が限りなく不可能になっている国の累積債務そして県の累積債務などは、将来世代に負担をかけざるを得ない現状にあると感じていますが、このことに対しどのように考えておられますでしょうか。そして、知事のこれまでの任期中に大きく世代間格差が広がったと感じますが、将来世代に対する責任をどのように考えておられるのでしょうか。
 次に、知事のマニフェストにかかわる基本姿勢について質問いたします。
 知事選において増田知事は、知事独自のマニフェストを提案し、支持を得て3期目の陣頭指揮をとることになりました。
 先日の知事演述を拝聴いたしますと、このマニフェストが今後の県政の政策に反映されていることを改めて実感いたしました。マニフェストは、政策を実現するために、時間、財源、数値目標を設定し、その実現を果たすものであり、その姿勢には高く評価するところでありますが、議会制民主主義を基本とする我が日本の政治制度において、政党が出すマニフェストと個人が出すマニフェストでは、その意味合いが大きく異なると感じておりますが、そのことに対してどのように考えておられますでしょうか。
 知事のマニフェストは、県政とは離れた政策ブレーンのもとで作成されたとのお話をお聞きしましたが、どこのシンクタンクが政策立案を担ったのでしょうか。また、将来予測や結果、効果などはどのような資料を踏まえて作成、立案されたものなのでしょうか。
 私は、知事提案の雇用確保という視点から大いに疑問を持つものであります。例えば、今後、公共事業を2年間で3割カット、そのほか人件費の抑制などによって一般財源を4年間で200億円確保する、そして新たに1万5、000人の新規雇用を創出するとの内容があります。私は、公共事業を3割カットすることにより、4、000人の雇用が失われるが、その代案として、1万5、000人を新規雇用するとの意味合いに受け取りました。しかしながら、基幹産業の貧弱な岩手県において、公共事業の占める役割は非常に大きいことは明らかであり、単に統計上の雇用を失うだけではなく、会社倒産の引き金になる可能性があるのではないかと私は危惧するわけであります。その損失は、4、000人の雇用喪失以上の結果をもたらす可能性があります。また、新たに1万5、000人の雇用創出を実現するために、各行政機関の雇用状況と創出を一元管理する総合雇用対策局を新たに設け、責任と意欲を示したことは評価すべきではありますが、各部局から出される雇用確保は、基準が60日雇用できることを1人と算出しており、県民の視点からすると、ある程度の長期雇用が確保されると思い違いをしてしまうのではないでしょうか。
 雇用の創出の見積もりですが、雇用の実態条件をそろえて数値を提案するべきと思いますが、実際はどのようなものなのでしょうか。基幹産業が未成熟な岩手県で、早急に公共事業の縮減をすることは、逆に県民の不安をかき立て、パフォーマンス的な雇用獲得にしかならないばかりか、長期的には雇用減退につながるのではないかと感じますが、いかがでしょうか。
 また、知事のマニフェストを絶対視し、県民の代表である議会の声や各会派の意見を無視しながら政策を推し進めるようであれば、議会の機能は低下し、首長の独走を招くことになると感じます。
 そこで、マニフェストの県政の位置づけについてお聞きしたいと思います。
 知事の政策推進上、個人のマニフェストをどのような位置づけとして県政に反映させる意思であるのか、また、議会で提案されたものよりも、個人のマニフェストが政策執行上、上回るものなのか、また、議会提案により、個人のマニフェストは見直される事項があるものなのか質問いたします。
 次に、道州制及び市町村合併について質問いたします。
 増田知事は、いち早く道州制について意見を述べられ、全国的にも注目を浴びているようであります。私個人としても、これだけ財政運営、政治状況、経済状況が硬直している今の日本において、まさしく、明治維新に匹敵する大いなる変革が求められている時期に来ておると感じております。小手先の行政手法、いわゆる行政や政治がみずから腹を切らないで住民負担を徐々に上げていく手法では、日本の夜明けは来ないと思っております。行政や政治の既得権益を放棄しても、新しいシステムを導入しながら改革を推し進めるべきであり、この思いと増田知事の思いは同じであると思います。であるならば、新しい自治のあり方を問いかける道州制の積極的な導入を考えるべきであり、増田知事の役割ではないかと感じるのであります。ソウルにおいては、2010年という具体的な年度も示されたと聞いておりますが、具体的なビジョンを増田知事から話されたことがないと感じております。
 そこで、増田知事が考える道州制のメリット、デメリットとは何なのか、お示しいただきたい。そして道州制のビジョンと導入を積極的に国や県民に伝える意思はないのか、お聞きいたします。
 また、道州制を考える上でも、市町村合併は有益であると感じます。議会でも、先輩議員が市町村合併について何度となく質問をしておりますが、西日本の動きに比べ東日本の動きは非常に小さく、東北でも本県が最も議論とともにおくれている状況にあります。今回の平成の大合併は、平成17年3月末日までの合併特例法の施行によって動き始めました。この制度を活用することによって、合併する自治体のおよそ半分の規模の財源が、特例債などの形で10年間保障されるというものです。この特例債を利用し、来るべき少子・高齢社会に対応することも自治体運営の一つの手段であると思いますが、思い切った決断が地域ではなされていないようです。しかし、このままでは、明治維新後、西高東低で日本の国家予算を配分され、地域格差が広がり、東北は貧しい時期が長く続いた歴史をもう一度たどり、それを回復するために多大な時間と労力を費やし、現在の環境を獲得してきたことにまさに逆行すると感じております。
 合併は財源確保をする上で非常に有益な点、市町村の行政改革を推し進める上での最大のチャンスである点、増田知事が提唱する自立した行財政運営が構築できる点、将来的な道州制につなげられる点などで、改革派の知事とすればもっと積極的に、もっと効果的に活用すべき機会だと思います。三位一体で地方への税源移譲と交付税や補助金などの削減が明らかになったように、地域に対する負担増が政府の方針として明らかになっている現状を踏まえ、県はもっと積極的に市町村合併を推し進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、県が示すべき重要なことは、将来統計によるビジョンです。県内市町村の中で、単独財政で10年後、20年後も自主独立でやっていけるかを示すべきです。県が把握する県内市町村の財政予測を示していただきたいと思います。
 昨年、住民発議による合併協議会を求める会が、盛岡青年会議所、岩手経済同友会、盛岡商工会議所を中心に、盛岡市、滝沢村、矢巾町の合併を大いに議論するべきだとの目的で署名活動を行い、各自治体に法定合併協議会設立の申請がなされました。結果は、協議会設立には至りませんでしたが、各地域でも、同様に住民自体による活動がこれまで以上に活発になっているにもかかわらず、研究会どまりで進展していないと感じます。この理由は何だとお考えでしょうか。
 また、特例法の期限も迫っておりますので、各地に設立されている研究会を積極支援することが求められているわけであり、県も合併支援プランをもとに支援を強化したところでありますが、合併に至らないとなると、支援の問題もあるのではないか、そのことについてお聞きいたします。
 また、私自身、青年会議所のメンバーとして多少かかわってきた一人として、合併問題にかかわる県や地方振興局のスタッフが非常に少ないことが気になりました。人員配置、専門性などは充足していると考えているのでしょうか。
 また、合併には法定合併協議会設立から22カ月を要するとの見解がありますが、合併を視野に、最終的にはいつごろまでに法定合併協議会を設立すれば特例法の期限内に進められるものと考えているのか、お聞かせいただきたい。
 さらに、これまで都南と盛岡の合併を見ますと、サービスは高い方に、負担は低い方にが通例となっているようです。特に人件費部分は盛岡に合わせ、人件費の割合が著しく伸びたことは周知のとおりであります。時代は異なりますので、行財政運営の健全化、効率化をメーンに合併は行われるべきだと思いますが、合併に際し、サービスと負担の関係、人員の配置や人件費の見直しを県はどのように考え、どのように指導する考えでありましょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、義務的経費部分の人件費について質問いたします。
 少子・高齢化社会が急速に到来する本県において、義務的経費部分の割合が高まっております。その中で、国の人事院に依存するものではありますが、どちらかといえば、聖域であった人件費部分も見直しを図るべきときに来ていると言えます。昨年6月に竹中経済財政担当相は、税負担の見直しに当たり、公務員給与の削減問題は避けては通れないとの記者会見を行いました。本県の場合、同地域の民間企業に比べて高過ぎるとの指摘もあります。また、特に退職金は格差が大きいと言われています。人事院の調査対象の民間企業は従業員100人規模であり、地方の一般企業の実態は把握できていないようでありますが、岩手県の民間企業の給与水準、また、退職金の支給実態はどうなっているのか、まずお聞きいたします。
 人件費については、全国一律の改定が基本であるとされていますが、給与支給根拠となる試算基準は各自治体で条例制定されているようであります。県知事を初めとする三役の給与削減が今議会でも提出されておりますが、県職員の給与体系を独自に見直す意思はあるのかないのかをお聞きいたします。
 また、今後、団塊の世代が退職年齢に達することもあり、各市町村では財源確保に頭を痛めているようです。岩手県庁も基金などに頼らず、退職金を単年度予算の中で確保し、支給することになっております。ところが、今後の税収減などが予測されることから、実質、退職金が歳出に占める割合は大きくなることになります。民間企業では、収益が上がらない会社では、退職金を支給できない企業もあります。退職金が県財政の硬直化を招くようなシステムは変えていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、各市町村の退職者と退職金の実態は今後どう推移し、財政部分を圧迫するものにならないかお知らせください。また、慣例で、退職時の特別昇給がありますが、まずはこれを見直すべきと考えますが、いかがでしょぅか。
 また、時間外の超過勤務手当について、毎年、部局ごとに鋭意努力されている姿が感じられます。一昨年、昨年と、順調に時間数を減らしておりまして、本年度も努力されているわけですが、当初予算、時間外の予算を計上することに対し違和感もあります。予算の執行のために、ある時期になると超過勤務を半ば奨励するようなことにもなっているのではないか、その辺の予算確保の通例がむだな人件費を生み出しているとも感じていますが、いかがでしょうか。
 次に、男女共同参画社会について質問いたします。
 政府は、平成11年6月に、特に女性の社会進出をねらって男女共同参画社会基本法を制定いたしました。これを受け、我が県でも、平成14年9月定例会に、岩手県男女共同参画推進条例が制定されたわけであります。
 そもそも、この法案は、平成7年から労働人口が減少している日本の現状を踏まえ、専業主婦など、就労していない層としての女性をこれからの重要な担い手と考え、社会進出を促す目的があったとされています。その女性の社会進出を促すためには社会的な障害も多く、男女雇用機会均等法施行など、改善が求められていた時期でもありました。その一方で、女性問題、特にセクシュアルハラスメントやドメスティックバイオレンスという問題をこの中で解決していこうと考え出され、基本法の中に記されたわけであります。ですから、男女共同参画とは言われますものの、どちらかといえば、女性政策に大きくかかわる分野としてこの法案は成立したわけであります。この趣旨からは、私は21世紀における女性のさらなる参画については、まさしく望まれるべきものであると感じておりますが、岩手県が推進する男女共同参画社会には違和感を持っている一人であります。
 先日、夢県土いわて創造マガジン・いわてグラフの5月号を拝見しまして――性別にとらわれず生きる社会へ。さよなら「男だから」「女だから」社会――との特集がありました。男女共同参画社会形成のための記事ですが、読んでみると、性差を否定する内容や、これまで先輩方が培ってきた生活の知恵である慣習や伝統を否定するような内容もあり、これが正しい男女共同参画なのかと疑問を持ちました。また、県内の市町村が配布する資料も、性差を否定する記述が余りにも多いと感じております。
 昨年4月には、衆議院特別委員会で山谷えり子議員が、11月には、参議院議員の亀井郁夫議員が内閣委員会で、男女共同参画社会に関連し政府に対して同様な質問が行われました。その中では、基本法推進に当たり、地方自治体の中には、男らしさ、女らしさを否定し、男女の性差を否定する動きも見られることを指摘しました。それに対して政府は、基本法は、男女の性差を否定するものではないということを明らかにしております。この質問は、男女共同参画社会推進に当たって、問題となっているジェンダーフリーという考え方に対する質問であります。ジェンダーとは、社会的、文化的に形成された性別という意味ですが、ジェンダーフリーという思想では、このジェンダーが女性差別を生んでいる根源と考えられ、性差を取り払うことで女性問題を解決していこうとするものであります。
 多くの国民がいまだ男女共同参画社会推進の中で違和感を持つのは、この男らしさ、女らしさは誤りであるとして、性差を取り除こうとする一方的な考えにあります。ところが、近年の学説では、男女では、身体的な差は当然のこととして、脳による差もあり、ジェンダーが男女の差別を招いているという考え方が誤っているとの指摘もなされております。私は、今後の男女共同参画社会の形成は、性差を取り除くよりも、男らしさ、女らしさを互いに認め、支え合い、尊敬しながら形成することが不可欠と思いますが、知事の御意見をお聞きしたいと思います。
 また、この答弁の中で、国務大臣は、ジェンダーフリーという言葉、思想を否定し、さらなる男女共同参画社会形成を述べておりますが、岩手県の推進にはこのジェンダーフリーの考え方が非常に強く反映されていると感じております。政府の見解に反することが現場で起こっているようでありますが、このことに対し、知事はどのように考えておられるのでしょうか。
 また、女性の社会進出より以上に、今の日本に必要なことは父性や母性など、もう一度家族を見直すことではないでしょうか。
 社会形成の核は家族です。女性の社会進出も健全な家庭の営みがあってこそ実現できるものであります。この推進条例の視点は、どちらかというと女性政策に重点があるため、本来持っていた日本的な家庭のバランスを崩壊させる矛盾が一部あると危惧しております。女性の社会進出や自立を支える一方で、晩婚化、離婚率が年々上昇するなど、結果として家庭の有益性を享受できずに、不幸な人生を得る人がふえている現状でもあります。このような問題は、日本だけの問題でなく、近年のヨーロッパでは、選挙ともなると、各政党の家族を見直す政策が声高に叫ばれている現状にもあります。ライフスタイルの変化といえば聞こえがいいようでありますが、日本の国益を損なうことがまかり通っていると感じております。
 父性の喪失によって子供の精神力の低下が引き起こされ、母性の喪失によって母と子のきずなの形成が不完全になるなど、ともに社会的に深刻な問題となることは既に明らかになっていると指摘する識者がいるように、次の時代を担う子供の育成にも大きな影響が与えられるのは明らかであります。男女共同参画社会の中には、この視点では全く触れられておりません。日本の伝統的な家族や各国当たり前の父性、母性についてどのように考えておられるのか、お聞きいたします。
 また、県が推進するいわて男女共同参画プランを拝見しますと、男女という性別にこだわらず、その人らしさを大切にしながら、個性を重視した家庭を求めているようでありますが、人権や個人主義を重視する一方で、祖先からの知恵である家族像をないがしろにし、ますます家族をばらばらにさせるような方向に向かわせていると感じますが、いかがでしょうか。
 また、同じ施策の基本方針の5の1に、性と生殖に関する健康と権利――リプロダクティブヘルス・ライツ――の理念の普及もうたっておりますが、これは安易な中絶を認める根拠にもなりかねないとの指摘もあります。もっと幅広い論議の上で推進すべきと思いますが、いかがでしょう。
 また、学校現場では、男女共同参画社会を推進するに当たり、どちらかといえば、ジェンダーフリーの発想のもとに男女混合名簿などを推奨している嫌いがあるようです。これに関連し、先日、盛岡教育事務所では、市内の学校に対し男女混合名簿の使用状況の調査を行ったそうですが、その調査目的はどんなところにあるのか、推奨するならば、その理由は何なのかお示しいただきたい。
 さらに、今後、学校現場ではどのような男女共同参画教育を図ろうとするのか、性差を否定するようなジェンダーフリー的な指導がなされていないか、質問いたします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君)  高橋雪文議員の御質問にお答えいたします。
 まず、県の将来の人口予測でございますけれども、これは、今、議員お話しございましたとおり、総合計画の予測それから国立社会保障・人口問題研究所の予測、おおよそ、その平仄は合ってございまして、将来的に本県の人口は減少していくと。各年別の数字は細かなことですのであえて申し上げませんけれども、そういう形で減少していくという中で、今お尋ねの世代間格差ということが広がっているのではないかということがございました。私も将来に負担を先送りしないと、世代間でそれぞれ負担を分かち合うというのは、社会資本整備などにおいては長期間利用される施設であるがゆえに、負担を分かち合うということは原則でございますけれども、 しかし、その中で将来に負担を先送りしないという観点もまた同様に大事な視点でございまして、やはり世代間における受益と負担の関係、そのバランスというのは十分考慮しながら施策というのは推進していかなければならない。そういう意味で我々行政は将来についても責任があると考えているところでございます。
 私の就任の時期に入りまして、その直前の平成6年度末の県債残高と比較をいたしますと、県債残高が約2.3倍まで膨れ上がっております。そのことによってさまざまな社会資本整備が整備されて利便性も上がってきたという現実もございますが、これは一方で、今申し上げましたような将来に負担を過大に残していくということにも当然つながっていくわけでございますので、今回いろいろ御説明申し上げております行財政改革のプランなどは、まさしくその精神に立っているわけでございますが、平成18年度のプライマリーバランスの均衡を達成して、こうした積み上がった県債残高を圧縮していくと、そして将来の世代に過大な負担を残すことのないような財政構造を構築していくと、このデレフ時代にあっても持続可能な財政運営が可能となるような行財政構造を構築していくと、そのことがまさしく今、私どもに課せられている責務であると考えているところでございます。
 マニフェストについてお尋ねがございましたが、これは政党が出すものと、それから先般私が出しました公約のような形のものとあるわけでございますけれども、政党の場合には、今の国政の場合には議院内閣制という形をとっておりまして、いわゆる政党が政権任期中に推進しようとする政権運営のための具体的な政策をまとめたという性格を持っているものと理解をしております。
 私のような場合には、この日本の場合には、地方のいわゆる首長は直接民主制という形をとっておりますが、そこに違いはございますけれども、その自治体の規模、それから財政状況、それから地域特性などを具体的に判断して実行すべきもの、それを財源ですとか期限なども具体的に記してあらわすものということで、これは俗にローカル・マニフェストというふうに呼ばれておりますけれども、そういう意味で成果も検証、評価できるものとしてお示しをするもので、その意味では国レベルのマニフェストと地方レベルのローカル・マニフェストといずれも本質的に差はなくて、何をいつまでに行うかということを有権者と契約をしたものと、このように理解をしているものでございます。そのバックにある議院内閣制、いわゆる議会制民主主義の中でも議院内閣制とそれから直接民主制というその違いがありますけれども、本質的には差がないと思っております。
 それから、政策立案についてこの策定の経過ですけれども、シンクタンク等の第三者はこの策定には全く関与してございません。私がつくったものでございまして、そういう外部の第三者あるいはシンクタンクというのは一切関与してございません。
 それから、マニフェストの内容でございますけれども、これは具体的な方向性について多く書いてございますけれども、その中に財源ですとか、それから期限などを明示してございますけれども、これはいずれも公表されている統計資料ですとか計画などを使ってそれで作成をしたものでございまして、そういう県の今まで行政を推進してきたさまざまな公にしている資料を組み合わせて作成をしたものでございます。
 それから、雇用の創出の見積もりでございますが、これは総合雇用対策局長の方でこの議会でもいろいろ御説明しておりましたので、個々具体の数字については省略させていただきますけれども、特に基金による雇用創出、これについては9、600人ということでございますが、この臨時的雇用の創出でございます。これは雇用期間に長短がございますので、14年度の平均雇用実績63日を使って平均雇用日数60日として雇用創出人数を算出している。これは事実そのとおりでございます。
 その基金事業以外の2万1、000人について常用雇用として生み出すこととしておりまして、その中でサービス関連産業1万5、000人と申し上げているわけですが、これが例の建設業4、000人ほどが恐らく建設業というところから労働移動が必要だろうというふうに、私マニフェストを当初発表したときに申し上げたのですが、そういうもののストレートの受け皿になるということではなくて、これはこの議会でほかの議員の質問にもお答えしているとおりでございまして、その建設業からの4、000人という人たちについては、個別にまた一人一人地域などで具体的な雇用の状況を見ながら考えていかなければならない問題でございまして、そのほか今、雇用として緊急的なもの、これは広い意味でのサービス関連産業でございますので、第3次産業と申し上げてもいいと思いますが、そういう中で1万5、000人の雇用を創出するということで、このマニフェストを見積もりしているものでございます。
 今、議員の方から、急激なこうした公共事業の縮減ということが県民の不安をかき立てる、そして長期的に見て雇用減退につながるのではないかという危惧の念を今お話しになったわけでございますけれども、最初の方で議員の方からもお話しございましたように、やはり今の景気対策を中心としてずっと県が行ってまいりました公共事業の事業量というのが、やはり冷静に考えてみて過大でございまして、これは短期的な景気対策として公共事業を使うということはあり得るわけですけれども、それを10年近く、ほぼ10年続けてきたことによって常態化をすると、これが逆に先ほど議員御指摘になったような将来世代に多大な負担を残すということにつながることを大変危惧をしているわけでございます。
 あわせて、そのことによって財政が破綻をすることになれば、より多くの雇用喪失につながっていくということでございますので、こうしたことについて行財政構造改革を行って、財政をまたしっかりと立て直すと、ですから、その中ではぎりぎりの量として公共事業の量も削減をしなければならないと思っておりますし、それから建設業協会が設置をいたします経営支援センターの中で建設業の新分野、新市場開拓などに取り組む企業の支援ということがございますけれども、そうしたことなどを組み合わせをして、そして一方でそちらの方の構造改革に着手をする必要がある。このように判断をしているものでございます。
 それから、こうしたマニフェスト、当然私が選挙を戦う中で県民の皆様方とお約束をしたものであり、また、そのことを評価いただいて知事の任にまたつきましたので、当然県の政策としてこれを位置づけているわけでございますが、その過程の中でそのマニフェストであらわしたものを県の政策ではどのように位置づけるかは内部で十分議論をして、そして今の県行政として十分に取り入れられるような形にして政策として位置づけているわけでございますが、これについては毎年度その成果について評価、公表する必要があると考えております。この中であわせて議会の方からもいろいろ御提案がこれからあるかとも思いますけれども、議会の中で一会派だけでなくて当然多数を得て議決されたものは、そういう議会のルールに従って当然その趣旨に沿って実施すべきものと考えているところでございます。
 道州制、それから市町村合併についての認識をお尋ねございました。この道州制のメリット、デメリットということでございますが、これは要約いたしますと、道州制が全国幾つかのブロックに分けて、そのブロック単位に国の支分部局の機能を有することを前提に、そこのブロックで公選の首長と議会を擁する地方公共団体を設ける制度と、こんなふうに私は考えております。これは、なぜこんなことをわざわざ言っているかと言いますと、道州制についてもいろいろ歴史的な変遷があって、以前は中央集権をより強める道具として提案されたこともあって、最近話題になっているものはそれとは全く逆方向の、地方分権をより進めていくという意味合いでのものでございますので、そういう今申し上げましたような定義で私も理解しておりますが、そのメリットとしては、国の機能を住民により身近なそういうブロック単位での地域政府に移譲できるということ、それから経済活動が現実に広域化しているということに対応して、インフラの高度化や産業の活性化がより効果的に可能となる。こんなことが道州制のメリットとして挙げられるのではないか。一方で、デメリットとしては当然行政区域が拡大をして広大になりますから、その中で住民自治が後退をするおそれがないかどうか、あるいは道州内の中心都市への一極集中がより進むのではないかといったような懸念、こんなところがデメリットとして挙げられるのではないかと思いますし、これがこの問題についての共通認識かと思っております。
 この道州制のビジョンをもっと具体的に語ったらどうかということで、これは、私は都道府県制のあり方もこれに絡んでくると思いますけれども、こうしたものについては地に足のついた取り組みが必要でございますし、こういったことも含めてまたいろいろ検討組織をつくったり、また、住民の皆さん方にいろいろ議論をしていただきたい、問題提起をしていきたいと思いますが、いずれにしても制度論での議論というのは、今までこの道州制についてはずっと非常に古くの段階からいろいろございました。関経連にしても、それからPHPの研究所にしても何にしてもいろいろビジョンとかその役割などについていろいろ議論があったのですが、結局それ以上今まで全く進んでいないという歴史がある。これはやはり学者の議論ではなくて我々の生活実態の中で、今言ったような広域連携を積み重ねるということが、生活のどこに影響を及ぼしていくかということが見えていなかったということが大きな原因だっただろうと思います。私は実体論としてのこういう具体的な広域連携の実績を本当に積み重ねて、そして生活を豊かにしていくということに今一番力を注ぐべきではないかと思っております。
 それから、市町村合併についてですが、これは今までと同じような御答弁になるかと思いますけれども、やはり私は市町村が行財政基盤を強化した上で自立できる市町村をぜひ目指していただきたい。これからの行政の一番中心ですから自立できる市町村を目指していただきたいし、そのために合併というのは大変有効な手段だと思いますけれども、合併というその川を越えるかどうかというのは、やはり市町村において自主的に判断をされる、冷静に将来を見て判断をされるということであって、そのことを大原則に据えておきたい。その上で、県の方でも今議会で補正予算として合併市町村に対しての自立支援交付金のお願いをいたしておりますし、いろいろ県の合併支援プランもつくり、それを拡充もしたりしておりますので、そういうものを有効にお使いいただいて、そして地域の将来像をよく議論していただいた上で、またどういうふうにこの広域行政を進めていくかということの御決断をいただきたいと思っております。県としても当然そういう中でいろいろと支援活動はしていきたいと思っております。
 義務的経費のうちの特に人件費について幾つかお尋ねがございましたけれども、県職員の給与体系を独自に見直す考えがあるかどうかということでございますが、これについては今回骨子でお示しした行財政構造改革プログラムの中で、職員の給与のあり方についても検討していくと、聖域をなくこの問題についても検討の俎上に上げていくということを申し上げております。まだ検討が始まったばかりでございますけれども、その中で真摯に検討していきたいと思います。
 退職手当の見直しについてでございますが、これについては、国の制度の中で国家公務員退職手当法が御承知のとおり改正をされました。退職手当について官民の格差是正を図るということで法律がもう既に成立をしておりまして、ことしの10月1日からは支給水準の引き下げが実施をされるという段階まで来ております。こうしたこの法改正の趣旨、それからこれを受けている、岩手も含め他県の動向等も踏まえて、こうした問題について適切に対応していきたいと思っております。
 なお、こうした退職手当の増嵩が硬直化にとにかくいろいろな影響を及ぼすのではないかという御懸念、御指摘でございますので、当然こうした、人件費の比率は、本県は他県に比べますとまだ低いというふうには認識をしておりますけれども、今言ったような御懸念が生じることのないように十分注意をしていかなければなりませんので、年齢構成の平準化など、適切な人事管理に取り組んでいくことは当然のことであると考えております。
 それから、退職時の特別昇給のことについてお尋ねがございました。これは公務員制度改革全体の中で議論すべきものと思っておりまして、能力給制度の導入などを含め、いろいろ公務員制度改革が今議論されているわけですが、その中でこの特別昇給制度も含めて、こうした給与制度全体について検討していきたいと考えているところでございます。
 それから、超勤手当の見直しということで、特にある一定の額を見越して当初予算の中でこうした超過勤務手当をその中に入れ込んでいるわけでございますが、季節的な業務の集中や災害の発生などによる超過勤務というのは、これは毎年必ず発生をしているというその現実がございます。これらに対応するために、超過勤務手当の年度当初における一定程度の予算措置は、これは必要だと判断をしております。もちろん当初予算に計上するに際しても、過去の超過勤務の実績に一定程度の縮減を見込んで、そして議会の方にお示しをしているわけでございまして、その年間の所要額というのを計上しているわけでございますが、実際にはそうして計上したものについて超過勤務の状況を踏まえて、さらに補正予算を組むなどしてそして対応しているというのが実情でございます。
 したがって、当初予算で計上していることがルーズになるというようなことよりも、むしろ超過勤務は超過勤務として適正にその管理がなされなければいけないという、これはもうそのとおりのことでございますので、全体としてはやはり職員の健康保持や公務員能率の向上の面から縮減が必要と考えておりますし、また、これも行財政構造改革プログラムにおける事務事業の見直しや効率化、それから組織・職員体制のスリム化を通じて、できるだけの縮減を進める必要があるものと考えているところでございます。
 最後に、男女共同参画社会について御質問がございました。これについての私の認識でございますけれども、男女共同参画社会の形成については、男女がともに、人権を尊重して、対等な立場で相互に協力しながら、性別にかかわりなく、その個性、能力を十分に発揮することができ、喜びや責任を分かち合う社会の実現を図る。これがもうすべてでございます。その中で、男らしさ、女らしさということが今御指摘あったわけでございますけれども、もちろん私も男らしさあるいは女らしさというものを否定するつもりも毛頭ございませんし、そういった男らしさ、女らしさということはいろいろそれぞれの皆さん方、県民のそれぞれの皆さん方によっていろいろ差異はあると思いますけれども、それぞれお感じになっていることだろうと思うわけでございます。
 その中で、男だからとか女だからということでその役割を固定的に考えてしまうということ、これは先ほど国務大臣の話と岩手の現場が離れているのではないかということでございますが、国務大臣――官房長官でございますけれども、官房長官もそうした男らしさとか女らしさをパターン化して考えてしまうということは、これを強調し過ぎることについて問題があると考えているというふうに発言しているわけですけれども、私もそう思っておりまして、この男らしさ、女らしさをパターン化してしまう、それが男だから、女だからということで役割を固定的に考えることにつながっていってしまっては、これは適当ではないと考えております。
 今お話しございましたいわて男女共同参画プランというもの、これは平成12年3月に策定されて、それから昨年10月には例の岩手男女共同参画推進条例というものが制定されましたが、この中では随分いろいろな多様な観点から議論がされてできたものでございまして、私はこういったプランやそれから条例の考え方をよく県民の皆様方にお話をして、そして施策を今推進していくということが大変重要な時期だと思っております。
 その中でジェンダーフリーということ、これは造語なので、こういう言葉を使うかどうかということが、適切かどうかということがまずございますけれども、いわゆるジェンダーフリーという用語が確かに最近見られるところでございますが、これは人によっていろいろな意味で使われているようでございますけれども、もしこれが画一的に男性と女性の違いを一切排除しようと、そういう性差を一切排除しようという意味で用いるのであれば、これはむしろ本県が目指している男女共同参画社会の理念とは異なっていると、このように認識をしているものでございます。
 その他の点につきましては、関係部局長の方から答弁をさせます。
   〔地域振興部長大沼勝君登壇〕

〇地域振興部長(大沼勝君)  市町村合併に関連いたしまして、県内市町村の財政予測についてでありますが、市町村の財政予測は、それぞれの市町村が将来像あるいは財政見込みに関する条件を設定した上で試算いたしまして、それらを公開しながら住民の皆さんと地域の将来について議論されるべきものと考えております。県といたしましては、市町村やあるいは住民の皆さんが財政予測をする際の一助となるように、昨年8月に市町村合併シミュレーションを策定し公表いたしました。このシミュレーションは県のホームページからダウンロードできるシステムにもなっております。市町村におきましてはこうしたソフトなどを活用しながら財政予測を試算していただきまして、住民の情報提供の充実を図るよう助言しているところであります。さらに、地方の財政運営に密接にかかわりのあります情報といたしまして、骨太の方針等国の動向にかかわる情報を積極的に提供しているところであります。
 次に、合併論議が進展していない理由についてでありますが、その理由として考えられますのは、まず一つには、当初の段階では、市町村におきまして、現状をもとに何とか乗り切れないかという気持ちが底流にあったのではないかと思われます。また、三位一体の改革あるいは第27次の地方制度調査会におきます今後の基礎的自治体のあり方など、国の論議の動向を見きわめたいという意向があったことも考えられます。さらに、地域での方向性がすっかり合致しないと協議会に進んでいけないといったような慎重な県民性も起因しているのかなといったことが推察されるところであります。
 今後におきましては、市町村長の意向調査結果からも、これらの市町村のあり方に関する議論は活発になってきているものと認識しておりますが、合併特例法の期限まで2年を切っておりますし、今後、地域の方向性が決定すれば、こうした取り組みは一段と加速するものと期待しているところであります。
 次に、県の支援についてでありますが、平成13年8月の国の支援プランを受けまして、本県は14年8月に市町村合併支援プランを策定いたしました。本県の支援プランは、国のプランと異なりまして、合併に取り組む市町村も対象にしております。つまり国の場合ですと重点支援地域とそれから合併した市町村が対象でありますが、本県の場合はこれから取り組む市町村もまた対象にしているものであります。また、市町村からの要請がありますと、研究会の段階から、県といたしましても地方振興局を中心として、直接参画して助言等の支援を実施しております。研究会が実施する調査研究、研修等の事業に要する経費に対しましては、地域活性化事業調整費の対象事業として優先的に採択する取り扱いにもしてございます。こうしたさまざまな支援措置を講じているところであります。
 次に、合併に係る県の体制についてでありますけれども、まず人員配置の現状でありますが、市町村課に平成10年度から市町村合併を中心とした広域行政の推進を担当する広域行政主査を設置しております。また、地方振興局におきましても、本年2月の一関の任意合併協議会の設置に対応いたしまして、一関、それから千厩両地方振興局において、それぞれ局内に市町村合併支援チームを設置したところであります。
 また、合併に係る県の体制でありますが、市町村合併は、県市町村合併推進本部を中心といたしまして、部局横断で支援する体制を整えております。また、地方振興局におきましては、今年度から局長に局内の人員再配置を行える権限が付与されておりますので、地域の事情に応じた独自の対応が可能となっております。以上、市町村合併に関しましては、全庁的な支援組織を設置しておりますほか、地域においても機動的に対応できる体制となっているところであります。
 次に、法定合併協議会の設置時期についてでありますが、4月に公表されました第27次地方制度調査会の中間報告によりますと、平成17年3月31日までに関係市町村が議会の議決を経て合併申請を行ったものにつきましては、合併特例法の財政支援措置等を引き続き適用する旨の経過措置を講じる方針が示されました。現行特例法の改正案が次期国会に提出される見通しでございます。
 この経過措置の活用を前提といたしまして、平成17年3月までに県に対する合併申請を行うとした場合でありますが、総務省の研究会による合併協議会の運営の手引の標準的なスケジュールで想定していきますと、最大で6カ月程度手続の期間が延長されるものと思われます。したがいまして、法定協議会の設置の時期は本年の年末ごろがリミットではないかと見込まれるところであります。法定協議会の設置時期につきましては、合併関係市町村の数あるいは合併の方式、法定協議会に至るまでの議論の経過などそれぞれ異なりますので、一律に期日を設定することは困難でありますが、早期に法定協議会を立ち上げて、住民の皆さんに広く情報公開をしながら、建設計画等の議論を十分尽くすことが必要と考えているところであります。
 次に、サービスと負担の関係、人員の配置や人件費の見直しについてでありますが、県としてどのように指導する考えかということでありますが、まずサービスと負担の関係につきましては、一般的に合併の際は、福祉サービスなどのサービス水準は高い水準に、また、負担は低い水準に調整されるものと思っております。手当て、事業など住民が受けるサービスにつきましては、一元化を図るとともに、向上させるよう努力することが必要であります。新市町村における健全な財政運営や行政改革の推進という視点も重要と思っております。
 次に、人員配置や人件費の見直しに関する考え方でありますが、合併した場合、総務あるいは企画等の管理部門の効率化が図られ、相対的にサービス提供や事業の実施を直接担当する部門等が手厚くなるとともに、職員数を全体的に縮小していくことが考えられます。また、三役や議員、各市町村に置くこととされている委員会や審議会の委員、事務局職員などの総数が減少して、その分も経費の削減が可能になるものと思われます。合併関係市町村間の職員の給与格差につきましては、職員の均衡、平等化を図る観点から調整する必要がありますが、その場合においても、住民による理解が前提になるものと思っております。
 以上、こうした項目につきましては、合併協定項目の主要な事項でございます。法定協議会において、関係市町村間で十分に議論し、調整されることが必要であります。県といたしましては、法定協議会の委員として参画するのが通例でございますし、この委員として参画するほか、市町村建設計画の協議に際して必要な助言に努めることとしております。
 次に、市町村の退職者と退職金についてでありますが、県内の市町村職員の退職手当につきましては、盛岡市以外は市町村で岩手県市町村総合事務組合を設置して共同処理を行っております。その財源は、構成市町村の負担金によって賄われているところであります。盛岡市及び岩手県市町村総合事務組合の推計によりますと、今後の市町村の一般職の退職者数は、平成15年度が約600人、昨年度と同程度であります。退職手当総額にいたしまして約136億円、それ以降増加傾向にございますが、平成20年がピークとなって約800人、手当総額にして約193億円、そしてその後は減少に転じると見込まれております。
 県内の市町村におきましても、県と同様に他県の市町村と比較して人件費の比率は低くなっております。退職手当の増嵩が財政の硬直化に直接影響を及ぼすことは少ないと考えますが、今後も年齢構成の平準化等適正な人員管理を行うよう、助言してまいりたいと考えております。
   

〇議長(藤原良信君)  本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
    〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君)  本県の民間企業の給与実態についてでございますが、厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、常用労働者5人以上規模の事業所における平成14年の1人当たり月間平均現金給与総額――これは賞与を含みます――30万820円で、全国を100とすれば本県は87.6となっています。
 なお、この調査には、民間企業のほかに、国営、公営の事業所も常用労働者数ベースで1割ほど含まれています。
 次に、退職金の支給実態についてですが、商工労働観光部労政能力開発課が実施している平成14年度労働時間・退職金制度調査によれば、常用労働者10人以上を雇用する民間事業所において、大学卒の男子が経理・営業などに従事し、定年まで勤めたとした場合の退職一時金の平均は895万7、000円、高校卒の場合は800万8、000円となっています。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君)  男女共同参画社会につきまして、父性、母性のあり方、家族のあり方等について御質問がございました。
 家族のあり方についてでございますけれども、伝統的な家族というのもあります。現在的なというような意味合いの家族もあろうかと思います。いろいろな家族の形態がある中で、どのような家族形態や生き方を選択するかということは、それぞれが決めることであるというふうに考えてございまして、その選択の結果によって、一方的に不利益が生ずることがないような環境を整えることが、性別にかかわりなく主体的に選択できる社会をつくっていくと、こういうことが重要であるというふうにまず考えているものでございます。
 それから、父性、母性、これは子供の養育といいますか、子供の健全な成長にとって必要なものだというふうに思うわけでございますけれども、これは、子供を養育する養育者によって与えられます養育行動の例えば温かさでありますとか、感受性でありますとか、あるいは子供に対する働きかけなどの、これらの養育の質というものが重要であると考えているところでございます。
 男女共同参画社会は、男女が対等なパートナーとして互いに尊重し合い、協力し合うことによって、家族のきずなを強めることを目指しているものでありまして、家族をばらばらにするというようなものではないと認識をしているところでございます。
 次に、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、いわゆる性と生殖に関する健康と権利の理念の普及についてでございますけれども、これにつきましては、女性の生涯を通じた健康を支援するための取り組みの重要性についての認識を高めるとともに、生涯を通じた女性の健康の保持・増進対策ということでこれを推進しているものでございますが、議員からもっと幅広い議論の上で推進すべきという御提言がございました。これは、このリプロダクティブヘルス・アンド・ライツにとどまらず、男女共同参画社会の推進全般につきましていろいろな立場の方、御意見の方から、いろいろな御議論、御提言をいただきまして推進すべきものと考えているところでございます。
 男女共同参画プランにつきましても、先ほど知事から御答弁申し上げましたように、見直しの作業に着手すべき時期にまいってきております。そういう意味で、幅広い、いろいろな方々からいろいろな御議論をいただきながら、見直しを進めてまいりたいと考えているものでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君)  男女混合名簿の使用状況調査についてでありますが、この調査は、岩手県男女共同参画調整委員から各学校の導入状況についての資料提供を求められたため、公立の小中学校、県立高等学校、それから、県立の盲・聾・養護学校に対し調査を行ったものでございます。
 なお、名簿の作成につきましては、各学校が自主的に判断するものでございまして、混合名簿を導入するような指導はいたしていないところであります。
 次に、学校における男女共同参画教育についてでございますが、現在、社会科、家庭科、道徳などにおきまして、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて、男女の平等及び相互の理解・協力について適切に指導するとともに、生徒が自分自身の生き方、能力、適性を考え、主体的に進路を選択する能力・態度を身につけるよう、指導の充実に努めているところでございます。
 ジェンダーフリー的な指導についてでございますが、男女共同参画に関する教育は、学習指導要領に基づきまして、先ほど述べましたように、そのような指導を行うものでございまして、性差を否定するようなジェンダーフリーに偏る教育を行うものではないものでございます。

〇8番(高橋雪文君)  二つほど再質問をさせていただきます。
 まず、知事のマニフェストに関することでありますが、マニフェストを実践しなければ不履行であるということで、示しがつかないということを知事からお話がありましたが、それでは、この選挙期間中、一体どれくらいの方々がこのマニフェストの内容をある程度理解をして、そして増田知事に投票をしたのかというのを、ひとつお聞きかせいただきたいと思います。
 もう一つは、先ほど言いましたジェンダーフリー的な発想で各市町村の自治体でパンフレットが作成されていると、こういう実情があります。このことに対してどのように今後指導されていくのか、その点だけお聞かせいただきたいと思います。

〇知事(増田寛也君)  お答え申し上げますが、まず選挙戦のマニフェストの関係ですけれども、あの内容について、この議会でもそうでございますが、特に公共事業の大幅な削減ですとか、それから雇用の創出といったところがやはり大きなポイントだろうと思います。これについては、選挙戦の前から、数多くの報道機関がこの選挙戦での私の主張の最大のポイント、一番の課題だということで、かなり建設業界の皆さん方の御懸念も含めて広く報道をいたしましたので、今度、県政の運営の方向を、これまでの8年の方向から大きくハンドルを切るのであろうなと、この議会でそういったことでいろいろ御質問もあるのだろうと思いますけれども、そういうことは県民の多くの皆さん方にかなり深く伝わっていると、私はこういうふうに思っております。
 マニフェストでいろいろなことを多く述べておりますので、そうした部分について、すべてを県民の皆様方に十分御理解をいただいたかどうか、これは私も調査する、興味もございませんしわかりませんけれども、今一番問題になっているその部分、その点については、多くの県民の皆さんが十分に知った上で投票していただいたと、こういうふうに認識をしています。
 それから、もう一つの市町村でのジェンダーフリーの関係で、これは市町村の方で男女共同参画の関係がどういうふうに政策が進められているかというのをきちっと全部知っているわけではないんですが、むしろ私の理解は、現実の数字としても、今、男女共同参画の市町村計画をつくっているのはたしか県内では九つであったかと思います。むしろ、余りこの問題については取り組みが行われていない。むしろ、そちらの方は大分危惧をしておりまして、県の計画はあるんですが、市町村での取り組みが、首長さんの力の入れようにもよるんですが、大変取り組みが遅れていると。したがって、今御懸念があったような、そういう男女共同参画の中でジェンダーフリーというような、これは造語ですが、そういう考え方で、いわば行き過ぎたような形でいろいろな行政が行われているという懸念よりも、やはり従来からあるような、固定的な男女間の差というものを前提にしたまだまだ意識が、そういう男女共同参画というところまで達していない、そういう社会状況が数多く岩手県の中で存在しているということを大変心配しているところでありまして、今こういう時代ですので、むしろ市町村を指導するという時代ではございませんが、今度私も出席をして男女共同参画についてのトップセミナーというものを開催いたしまして、市町村の首長さん方あるいは企業のトップの方にも御参加をいただいて、この問題についていろいろと考えていかなければならないのではないかと、そういうトップセミナーを今計画をしておりますけれども、そういう中で本当に岩手県の考える、これから男女の皆さん方がそれぞれ最大の能力が発揮できるような環境づくり、それに御理解を得ていきたいと、こういうふうに考えております。
   

〇議長(藤原良信君)  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時9分 散 会


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