平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(吉田洋治君) 政和会の吉田洋治でございます。政和会を代表して増田知事に御質問をいたしますので、率直な御答弁をお願い申し上げます。
 徳川家康が江戸幕府を開いたのが1603年、ちょうど400年の時が経過した今、21世紀初めての第15回統一地方選挙が施行されました。厳しい選挙戦に思いをいたし、健闘をたたえ合い、ともに県勢発展のため全力で頑張ることを誓い合いたいと思います。
 増田知事におかれましては、県民の圧倒的な御支持のもと、3選を心よりお祝い申し上げます。
 平成7年の初陣は弱冠43歳、全国一若い知事として注目を浴び、今日では新しい日本をつくる国民会議、いわゆる21世紀臨調に参加するなど、改革派知事としての評価が高まるなど、内外の期待は大きいものがあります。そうした環境だからこそ、これまでの8年間をきちっと検証し、成果と反省を加え、岩手の大地にしっかり足をつけ、これからの4年間、強力なリーダーシップを発揮していただきたいと念願いたしております。
 その第1は、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 第1点として、知事の8年間の検証についてであります。
 知事演述では、2期8年の取り組みの中で、地方の自立を困難にしている根深い問題があらわれてきたとしまして、ぬぐい切れない中央志向の問題、地方の実情とかけ離れた霞が関スタンダードの安易な受け入れ、公共事業等で社会資本の整備は進んだが、結果として地方財政の疲弊を招き、中央に依存しがちな土壌がつくり上げられた。増田知事は、だからこの際、みずからもその姿勢を率直に反省し、経済的にも精神的にも自立した岩手を目指すとしております。この根深い問題は、実は我々県議会も増田執行部と一体となって強力な予算要望を展開し、極めておくれている地方の社会資本整備のため汗を流してきており、これは我が県の積年の歴史でもあったのであります。ましてや、小泉構造改革が、日ごろ増田知事が強調しておられるように、大きな特徴として、都市回帰というか、都市再生を施策の重点にシフトしてきていることに注視しながら対応しなければならないと思うのであります。したがって、おくれている社会資本整備と公共事業など、根深い問題とすることについて県民にわかりやすい説明責任を知事に求め、御所見をお伺いします。
 第2は、公共事業のあり方についてであります。
 知事は、内外情勢調査会の講演において、公共事業の問題について触れております。その中で一番の問題点は、国の縦割り行政であると断じ、個々の公共事業の優先度をしっかり判断するようなシステムづくりに切り込むべきだとしております。そして、地域住民が優先度を判断するしかないと。私も同感であります。
 実は、県政の中でもその縦割り行政の延長、弊害でしょうか、相当件数の問題点に直面するケースがあり、部局横断的な対応が求められますが、本県版縦割り行政の是正についてお伺いしておきます。
 また、知事は、公共事業の投資規模を段階的に30%縮小し、平成3年度の決算ベース、すなわち、国の経済対策が行われた平成4年以前に戻し、平準化するといたしております。本県は、中小零細企業がほとんどで、建設業については直近統計で、登録社数5、025社、建設従事者数約7万2、000人となっております。深刻な県内経済情勢と相まって、公共事業費の削減は雇用問題に大きな影響を与えますが、どのように対応しようとしておられますか。地元業者の育成、地元業者への発注等の考え方についてもお示しください。
 第3点は、知事の選挙公約――マニフェストについてであります。
 増田知事は3選を期すに当たって、岩手をこう変えます、私の政策と題して、選挙公約いわゆるマニフェストを提示、私のビジョンの中で、非連続の改革を打ち出しております。それは、自己決定、自己責任の原則に基づき、自立した地域から発信していく改革が必要だとし、国からの押しつけや国にお任せの改革でなく、あるいは過去の成功体験にとらわれない新しい発想、失敗を恐れない勇気を持った改革の実践だとしております。
 そこで知事にお伺いします。
 県職員は、警察官や教職員を含め2万7、300人、民間に例えれば県内超最大の企業であり、知事は社長でもあります。破綻寸前、再建団体に現実味と指摘されている岩手県株式会社は、社長を先頭に全社一丸となって企業倒産の危機を乗り切らなければなりません。民間企業は今、壮絶な生き残りのための戦いを展開しており、その危機管理に対する知事の御所見をお伺いしておきます。
 また、21世紀夢県土創造枠の一般財源を4年間で200億円生み出すとしておりますが、200億円の財源の根拠をお示しください。あわせて、使途についてもお伺いしておきます。
 第4点は、知事以下三役の給与削減と職員給与についてお伺いいたします。
 財政健全化への意欲を示すため、ことし8月から17年3月まで、知事以下三役の給与を10%ないし7%と、それぞれ削減する条例改正案が本定例会に提出されております。本県財政は、公債費比率が既に赤信号とされる20%を超えていることから、抜本的改革を断行するという知事の固い決意と受けとめておりますが、いかがでしょうか。また、知事は、職員給与の水準を見直すとしており、公約している職員数の削減も含め、考え方をお示しください。
 一方、報道によれば、お隣の宮城県で来年度から県職員の給料を5%削減、2年間カットして132億円捻出し、民間や市町村の出資を期待しながら500億円確保し、新規事業創出へ浅野知事は強硬姿勢と報じております。県の中期財政見通し、戦略プランの策定など本県と大変似通っておりますが、浅野知事のようにトップダウンと批判されないように、特に職員団体との事前協議は不可欠と思うのでありますが、御所見をお伺いいたします。
 さて、我が政和会では、今次の選挙に臨むに当たり、岩手の限りなき未来への創造に向けてと、タイトルに基本政策を発表、県民の御審判を仰いだところであります。それは、輝かしい期待が持たれた21世紀の扉は開かれたものの、今日の経済社会情勢はデフレ不況から脱却できず、相次ぐ倒産や製造業の海外移転などによる工場閉鎖が続出し完全失業率が高まり、有効求人倍率も低迷し雇用不安が増大するなど、総じて閉塞感に満ちていると現状を分析いたしました。
 このような低成長及び人口減少におきまして、この閉塞感を打破し活力ある地域経済社会を形成し、持続可能な社会とするため、私たち政和会は、県民こそ地方自治の主権者であり、地域づくりや問題解決の主体であるという自治の基本のもと、岩手に根づくものづくり基盤を強固なものにし、また、農林水産業を初め地域資源を活用した産業の活性化や雇用の創出に、最優先で取り組むとしたところであります。
 また、高齢・少子化社会において、介護保険サービスの充実を図り、安心して老後を迎えられ、一方、生まれ来る子供が健やかにはぐくまれる環境整備に努めるとともに、岩手の未来を担うひとづくりについても、積極的に取り組んでまいることをお約束をいたしました。
 以下、政和会公約の中から幾つかの緊急課題につきまして質問いたします。
 第1は雇用対策であります。
 これは、戦後最悪の失業率が続く中、知事公約の二つの緊急優先課題の一つとして、前期2年間で取り組むとしたものであります。
 そこでお伺いいたしますが、第1点として、岩手労働局との連携はどうなっているのでしょうか。私は、知事と岩手労働局長がその時々にトップ会談を行って、雇用問題の核心について率直な意見交換を実施すべきと考えます。職業安定行政のほとんどが地方労働局に移管された今日、財政面から県単独では無理が生じます。私は、そもそも、職業安定行政は地域と密着していることから、本来、県や市町村に権限移譲すべきものと考えておりますが、それぞれ御所見をお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 第2点は、地域労使支援事業についてであります。
 この事業は、小泉総理など、政府、労働、経営の三者の合意に基づき、ことし5月より国から委託を受け事業がスタート、岩手県地域労使就職支援機構が設立をされました。これは民間の労使が相協力して、地域の雇用の改善に大いに貢献できるものと期待をしておりますが、県におきましても、調査事業の委託などを通じまして支援すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
 第3点は、若年者の就職問題についてであります。
 ことしもいよいよ新規学卒者の就職戦線が始まり、厳しい雇用情勢下、子供たちの希望と不安が混在した戦いが展開をされます。従来の反省のもと、万全の体制が求められますが、ことしの新規学卒予定者への対応策はどのようにお考えでしょうか。また、昨年度の高卒未就職者の現状と今後の支援対策についてもお示し願います。
 第4点は、地元企業の育成と雇用の拡大策についてであります。
 従来、県内各地に多くの縫製工場が存在し、勤勉に働く県民性や恵まれた労働環境から繊維関係の企業誘致も活発に行われ、女性雇用型産業として企業活動が行われてまいりました。しかし、今日の状況は、中国など外国からの低価格製品の輸入や企業の撤退、倒産等が相次ぎ、昔日の感があります。私は、そうした環境を取り戻すため、例えば県警察官の制服、県職員の作業服、県立病院従事者の白衣、学生たちのスポーツウエアなど、地元での縫製及び製品化が可能とされることから、地元発注を含め、育成、指導を行うべきであり、雇用の拡大と安定が図られること必須であります。県が率先して市町村もそれに連動するならば、大きな成果が期待されると私は思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
 第5点は、中小企業再生支援保証についてであります。
 現下の厳しい経済情勢や金融機関の不良債権処理の加速化の中で、経営環境の悪化しつつある中小企業の再生支援の取り組みが大変重要となっております。増田知事も公約の中で、中小企業再生支援協議会の設置等により、セーフティネットの充実を図るとしておりますが、私は、信用保険を付さない県独自の信用保証制度を創設し、企業再生への支援体制を整備すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 第3は、廃棄物の不法投棄対策についてでございます。
 この問題については、前お2人の質問と重複しますがお許しください。
 環境首都いわてを標榜する本県にとって、喫緊の課題は、青森県境を初めとする廃棄物の不法投棄事件であり、知事公約の緊急優先課題でもあります。国においては、過去の不法投棄問題の一掃を図るとともに、今後の不法投棄の未然防止を図るため、今国会において特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法を制定するとともに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正を行ったと承知しております。私は、これらの法律により、不法投棄対策が前進するものと評価しているものですが、県境不法投棄事件を経験した本県として、二度とこのような不法投棄事件を起こさないためにも、このような国の動きにスピーディーに呼応しながら、全力を挙げて不法投棄対策に取り組むべきものと考えておりますが、今後の取り組みについてもお示しを願いたいと思います。
 第4は、安全・安心ないわての食の確立についてであります。
 牛海綿状脳症の発生、食肉産地偽装事件、食品不正表示、輸入野菜からの残留農薬の検出、あるいは無登録農薬の販売、使用が連続しており、消費者の食の安全に対する信頼が揺らいでいる状況にあることから、この食の安全に関する施策を積極的に展開し、いわての食の安全の確保に万全を期すべきでありますが、そこでお伺いをいたします。
 第1点は、積極的な地産地消運動の展開についてであります。
 昨年10月に、全国規模では初めての地産地消全国の集いが本県で開催され、県民運動としてみんなで食べよう、いわてのめぐみのキャッチフレーズが全国に発信されました。運動では、いわて食財の日の普及や学校給食においても地元食材の利用が急速に高まり、県産食材利用率も約50%を超えると承知しておりますが、さらに80%、90%と高まることを求めるものであります。今後の積極的な地産地消運動の展開策についてお伺いします。あわせて、いわての食の安全の確保について体制の強化を図るべきでありますが、その対策をお示しください。
 第5は、安心して暮らせるいわての創造についてであります。
 すべての人々が、健やかで、どこに住んでも安心して暮らせる社会を形成することが最も大切であります。私も50人収容の児童授産施設にかかわっておりますが、深刻な現状認識を持つ者として、第1点は、児童虐待に対する諸問題についてお伺いいたします。
 岩手の児童虐待相談件数の現状は、平成11年度58件、平成12年度が107件、13年度165件、14年度172件と、毎年増加の一途をたどっております。児童虐待の現状を検証しますと、虐待者の約6割が実の母親であること、被虐待児童が低年齢化していることが挙げられます。課題は、虐待の未然防止のため、早期発見、早期対応、地域の御理解と通告義務の周知が挙げられると思うのですが、児童虐待に対するケアの確立等を含め、今後の対策をお伺いいたします。
 第2点は、引きこもり対策についてお伺いします。
 厚生労働省のガイドラインによる引きこもりの概念は、さまざまな要因によって社会的参加の場面が狭まり、自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態。社会的引きこもりは、明確な疾患や障害の存在が考えられないにもかかわらず、長期間にわたって自宅外での対人関係や社会活動から引きこもっている状態を指すと解説しております。
 本県の現状として、引きこもりの相談や不登校の児童生徒が増加しつつあることから、長期間にわたり学校や職場に行かず、自宅に閉じこもる青少年の引きこもりも増加傾向にあると思料しています。
 そこでお伺いしますが、引きこもりの現状認識と青少年の健全育成、社会参加が促進されるよう、同問題への今後の取り組みについてお伺いしておきます。
 第3点として、母子世帯への自立支援についてお伺いします。
 本県の離婚件数の現状は、平成11年度で2、086件、14年度2、619件と、これもまた毎年大きく増加傾向にあります。
 一方、児童扶養手当の受給者数を見ますと、平成11年度7、382件、平成14年度8、635件と毎年約7%ずつ増加しており、年々離婚の増大に伴う母子世帯の増加が見込まれることから、母子家庭の自立支援を総合的、計画的に整備していくことが重要と考えるものであります。知的障害児(者)の中にも母子家庭が多く、例えば親の会の参加の多くも、母親が主体となってきているのが現状であります。県は、平成15年度新規事業として、母子家庭等セルフサポート事業を6月の補正で起こすことにしております。時宜を得た対策として高く評価するものであります。
 そこでお伺いしますが、母子家庭の母等の就労、生活の安定と自立などが促進されるため、今後の対応策をお示し願いたい。
 第6は、未来を担うひとづくりの推進についてであります。
 心の教育の充実、意欲・関心の育成、少子化等への対応、学校裁量の拡大等の課題を踏まえながら、ゆとりある教育活動の中で、子供たち一人一人の多様な個性を伸ばしながら、ともに生きる心をはぐくみ、個性と共生、基礎・基本の習得やみずから考える生きる力の育成を目指す教育が大切であります。また、他人への思いやりや困難に立ち向かう心身両面のたくましさをはぐくむ教育を推進しなければならないと思います。
 そこで第1点として、少人数指導に対する取り組みについてであります。
 これは、少人数指導を充実し、低学年児童の基礎学力の向上を図るとともに、安定した学校生活が送れることが大切であります。これまで岩手県少人数支援事業として、すこやかサポート、第七次定数改善計画、学校いきいきプランを実施してきましたが、その成果と今後の見通しをお伺いします。
 第2点は、盲・聾・養護学校の特別支援教育についてお伺いします。
 本県における盲・聾・養護学校の現況は、県立17校、他に国立、私立それぞれ1校を含む19校で、児童生徒数は約1、400人であります。障害への重度重複化が進行し、医療的なケアの必要な児童生徒が増加しております。長期的不況のもと、生徒の現場実習先や就職先の開拓が困難化し、子供たちの進路についても深刻な状況下にあります。そうした中で、医療的ケアを必要とする子供たちに、看護師が二つの学校に配置されることが6月補正で計上されました。学校の日常生活の中で、経管栄養、たんの吸引といったケアは従来、保護者が学校に常駐して当たっていたことから長年の願望が実ることができ、関係者の喜びもひとしおのものがあると思うのであります。
 そこで、お伺いいたしますが、今後の医療的バックアップ体制の確立について、また、児童生徒の就職支援等に関する今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 以上で代表質問を終わりますが、知事は知事演述の最後に、新渡戸稲造博士の著書「一日一言」を引用し、「意思あれば道あり。堅き決心の前には山も崩れ、いばらの中にも作れば路は出来る。」と述べ、改革のかたい決意を示しました。ことしは新渡戸稲造博士が太平洋の橋たらんと述べて120年に当たり、新渡戸没後70年祭の年でもあります。増田知事と新渡戸博士の心の出会いを感じた次第でございました。
 御清聴ありがとうございます。終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 吉田洋治議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず初めに、私の8年間の検証について御質問がございました。特に私、先日の知事演述で、地方の自立を困難にしている根深い問題、ぬぐい切れない中央志向を初め、いろいろな問題についてお話を申し上げたわけですが、このことについてさらに申し上げたいと思います。
 県の方で経済対策を随分やってまいりましたけれども、やはりその内容が公共事業、社会資本整備が中心のものでございまして、こうしたことは本来の社会資本整備、必要なものを、優先度を考えながら整備していくということから離れて、どうも量をこなすと、景気対策ですから量をこなす、そして景気対策の道具としてそうしたものを使い過ぎてきたのではないか、こういうことを考えているわけでございます。
 このときに実施の財布を我々が持っていたとすれば、またさらにやり方がいろいろあったかと思いますけれども、中央省庁が財源を握っているために、どうしても地元の意向よりも中央省庁の意向が優先されるということがあって、例えば必要度についていろいろ疑問があっても、地元負担が少ないということであれば受け入れる傾向があったことは否めないと思います。それから、基準が全国一律という画一化された国の基準でございます。いわゆるあそこで言いました霞が関スタンダードでございますので、例えば道路について言えば、山間部の交通量の少ない道路、これもすべて2車線というのが基準になっている。今回1.5車線というような、1車線プラス待避所のような形で1.5車線と称していますが、こういったこともこれから国の方の事業として取り入れられることになっておりますけれども、これは一つの進歩だと思いますが、そういったことが今までまかり通っていた。それから、先般大分問題になりました滋賀県の豊郷小学校、あれも改築であれば地元の負担が大変多いわけですが、新築ですとほとんど地元の負担なく小学校を建てかえることができる。こんなことからああいう問題も出てきたと思いますが、いろいろこうしたことで補助事業の抱えている問題というのもあったと思います。
 それから、交付税につきましても、後年度地方交付税で補てんされると、元利償還、起債で財源を手当てして、そしてその後年度の元利償還金が後年度地方交付税で補てんされる。こういう地方交付税本来の財源保障という機能から、かなり補助金で政策誘導するようなことが最近つけ加わってきたわけでして、そうしたことを多く使い過ぎるとやはりどうしても、主に借金による身の丈を越えた事業が行われやすいと、こんな問題もございまして、こうしたいわゆるさまざまな仕組み、これが国、地方を通ずる巨額の財政赤字の一因ともなったのではないか。せっかくできた社会資本ですから、これを一層利活用していくという視点は大変大事だと思いますし、そうしたものだけでなくて県立大学や各種の試験研究機関、美術館といった本当に県民の教育、学術、文化などにも深く影響するようないいものもいろいろ出てきていますから、こうしたものを十分にこれから活用していくという視点が大事だと思います。
 また、そうした中で、今申し上げましたような事業を進めていく上での国依存の考え方、あるいは仕組みというものを大きく切りかえて、やはり地方が自己決定、自己責任で自分たちの判断で決めていくようなものに切りかえていかなくてはいけない。これは県としても真摯に反省をして、そして国にそういうことを突きつけていく。そういうことで、あそこでああいうふうに申し上げたものでございます。
 今、公共事業のことについても触れたのですが、議員の方からも縦割り行政の弊害についてのお話がございました。特に公共事業については補助金が各省ごと、あるいは各省の中でも局、課、係まで細分化をされていますから大変縦割りの弊害がきついと、そしてまた、逆にそれだけ細分化をされていると優先度を判断するのが非常に困難になって、それで、ある事業を断るとそれはもうほかの事業に充当することができなくて、どこかよその県に取られてしまうということから、さらにそうした優先度を判断することが困難な事態になっているということがございます。そうはいっても公共下水道と農業集落排水事業など類似するような事業の間では、本県でも所管する部局間での連携を図って、計画段階で調整をしたり、あるいはでき上がったものについても東和町では処理場の共有化を図ったり、それから大迫町でも管をお互いにつなぎ合わせてそれで処理場を共有化するなど、維持管理について随分コストがかからないような工夫を公共団体のレベルでは行っておりますけれども、しかし、これは類似する事業だからこそできるわけであって、そもそも事業の種別が、工種が全く異なるようなものについては、やはり縦割りの弊害というのは大いにあると言わざるを得ないと思います。
 こうした部分については国のそれぞれの事業のあり方、根本が変わらないと問題解決にはなりませんので、この国庫補助金の削減、縮減というものを大いに国の方に要求していって、そしてこのためにはやはり地方への税源移譲を進めるということがセットにならないといけませんけれども、そうしたことを国に要求をしていって、そして県の主体性を高めていきたいと考えております。
 それから、こうした中で公共事業を削減するということについては、雇用問題に大きな懸念を生ずるのではないかということで、これは御指摘のとおりだと思います。ただ、その前段として本県の今の建設業のありようを見てみますと、建設投資額、それからあと建設業の許可業者数のバランスがやはりこの七、八年の間に崩れてきた。建設投資額が官民あわせまして一番多いのが平成8年でございまして、このときは県内1兆円を超えていたのですけれども、業者数については平成11年がピークで、このときに許可業者数が5、112社という数字になっております。平成8年に建設投資額がピークを迎えて、その後いろいろな関係で減少の一途をたどっているんですが、業者数についてはほとんど変わっておりませんで、横ばいの状況ということで非常にこのバランスが崩れております。
 今後、国の方でもさらに公共投資を削減するという計画でございますし、また、公共投資額そのものでありませんが、地方交付税なども大幅にカットされることになると、補助事業の裏負担なども非常に窮屈になるわけでございまして、そういうことを考えると、ここで県の公共事業費3割削減ということを打ち出しておりますが、今、早目に手を打っておかないと、これが後回しになると余計大変な状況に陥る。ですから、この段階で、大変課題は大きいと思っておりますけれども、建設業の構造改革にとにかく着手をするということを行っていかないと、これが何年か後回しになるとまたもっと大変な状況になるということから今回のことを考えておりまして、既にもう今年度は15%削減してございますが、来年度さらに公共事業費15%削減、これは国の方の公共事業費の削減が当然この間の骨太改革の中でもうたわれておりますので、もう少しそちらの様子を見る必要がありますけれども、その15%削減を行って、そしてその中で業界の改善を図っていかなければならないと考えております。
 県の雇用対策の中でこうしたことが大変懸念をされますので、先月6日に総合雇用対策局を設置した中での主要な検討事項ともなっておりまして、今、建設業従事者、いろいろと県内の状況を見ておりますと、農林水産業などに従事している人たちも大変多いので、そういうところもこれからの離職者の雇用の受け皿となっていくだろうとも思います。建設業協会が開設する自助努力で経営支援センターというものがございますけれども、これも業界の自助努力で大変いいことだと思っていますが、ここに県の方でもコーディネーターの設置のための補助を出したり、あるいはアドバイザーの派遣のための補助を出したりということで、この経営支援センターへの支援を行っていくことにしてございますが、この中で業界としても新分野、あるいは新市場開拓などに積極的に取り組んでいただきたい、そういう企業を支援していきたいと思っております。
 それから、地元優良建設業者の育成ということも大事ですし、地元発注を多くしていくということも大事でございますので、これから技術力を適切に評価したさらなる地元建設業者の入札参加機会の拡大策を講じたいと思います。また、大手企業が県内企業を下請に使う場合にも優先的にそうしたことをやっていただかなければなりませんので、県営建設工事の請負契約約款などにそのことをはっきりと明記をして、そして県内企業を優先的に使ってもらうように、そういうことも行っていきたい。
 さらに、いわゆるダンピングでございまして、これは大変ゆゆしき事態でございますので、低入札価格調査制度を的確に運用して、断固としてその排除に努めていきたい。こんなことで建設業へのまた影響も最小限のものにしていきたいと考えております。
 それから、次の点は、こうした中でこれを岩手県株式会社になぞらえて、ここが破綻寸前、いわゆる財政再建団体に転落する瀬戸際ということで、その危機管理意識をお尋ねでございますけれども、これは、繰り返しになりますが県立大学や試験研究機関等、それから社会資本整備ということで多くの施設などをつくってきた、前倒しでかなり急速に整備をしてきたということもございますし、税収減、それから交付税カットといったようなことが複合的に作用してきた結果のものでございます。こうしたことから脱却をして、自立を進める4年間の間に抜本的な行財政の改革を進めなければいけないわけですが、この改革の目指すところを改めて申し上げますと、単なる歳出の一律削減や収支の均衡を図ろうというそのことだけにとどまらず、すべての分野において一切の聖域を設けずに徹底した洗い直しを行って、県の体制をスリムで効率的なものに変えつつ、他方でこれまで以上に質の高い行政サービスを提供できるようなものに変えていくということをねらっているものでございまして、当然強いリーダーシップも要求されますし、それから何よりも進めていく上で職員との危機意識の共有化ということが大事でございますので、そうしたことも行って、断固として不退転の決意でこれを行っていきたいと考えております。
 それから、私の選挙公約の中で21世紀夢県土創造枠ということで、一般財源を4年間で200億円と言っておりますが、その財源と主要な使途についてお尋ねでございます。これは使い道につきましては、県境の産業廃棄物を初めとした環境問題、それから雇用対策等といった県民意識調査などで非常に県民の皆さんから充実を求められている分野、そのほか福祉や教育といった分野でございますが、こういったところに重点的に充てていきたい。この財源の生み出し方でございますが、平成15年度――今年度につきましては、平成14年度当初予算をもとに主要経費の一般財源ベースから投資的経費や基礎的経費を除いた額を対象にして、その30%、約3割をスクラップすることにより、おおむね50億円を生み出したところでございまして、こうしたことを毎年講じて4年間で全体おおよそ200億円、1年当たり単純に割りますと50億円程度ということでございますが、これを捻出して先ほど言った分野に重点的に充てていきたいということでございます。これは事務事業の見直しなどによって達成可能な範囲内のものと考えているところでございます。
 それから、これも伊藤勢至議員のところでもお尋ねがございましたが、知事以下三役の給与削減、それからあとさらには今、吉田議員の方から職員給与との関係についてお尋ねがございました。三役の給与削減につきましては、やはり行財政再建プログラムの実施に当たって、各方面にさまざまな痛みをお願いする立場でございますし、三役が県政改革の先頭に立つ者ということで、その決意を明確にしなければいけないということで行うものでございます。職員の給与水準あるいは職員数の削減についても私の公約などでも触れてございますけれども、現状を申し上げますと、本県の給与水準はラスパイレスで言うと102.3でございまして、東北で3番目、全国で22番目、ちょうど中庸の位置でございます。それから、人件費の比率で言いますと24.9%、これは平成13年度の普通会計決算の中での数字で、東北で5番目、全国では43番目、これは全国で大分低い方に位置しております。それから、職員数の状況でございますが、これは総務省で示している定員モデルがございますが、あれに当てはめて標準的な職員数を割り出し、それと現在の職員数を比較いたしますと、全国で少ない方から11番目ということになってございます。
 可能な限りの削減なり、それから合理化ということは行ってきたつもりでございますが、一方で今後、危機的な県財政の現状を踏まえなければならない。それから、県としての今後持続的な自立した体制をつくらなければいかぬ。それから、これまで以上に質の高い行政サービスを提供していくようなことも行いたいということで、したがって、やはり聖域は設けずに行財政全般にわたり見直しが必要だろうということで、今申し上げましたような職員数なりといったところも含めて、やはり検討の俎上に乗せて、そしてこのプログラムの中に書き込んでいきたいと考えているところでございます。職員の給与につきましても、人事委員会制度の趣旨や職員の士気の維持といったような観点も踏まえなければいけませんので、そのプログラムの策定作業の中で慎重にこの内容についても検討していきたいと思いますけれども、やはりこうしたことには職員の理解と協力が不可欠であると思っておりますので、こうしたものの一般職の給与の見直しについては今後検討していくこととしてございますけれども、勤務条件全般についてこれまでと同様、職員団体とは誠意を持って十分な協議を行うことが必要だと認識をしております。
 それから、岩手労働局との連携で、特にまず第1点としては、岩手労働局長と折に触れて知事がトップ会談を行って、そして率直な意見交換を行うべきではないかということでございます。これは、今こういった雇用問題が大変重要な時期に大事なことかと思いまして、5月23日に岩手労働局長とお会いして労働行政全般について意見交換をしたわけでございますが、特に若年者の雇用対策が喫緊の課題であるということで、その場でも認識が一致をしたところでございます。これからも岩手労働局との連携・協力を強化していく必要がございますので、こういった相互の協力体制ということを、改めてよく構築をしていきたいと思います。
 それから、職業安定行政の公共団体の権限移譲で、ぜひともこれを実現しないと生きたこういう雇用対策はできないのではないか。経緯を言いますと、先ほどお話しあったように平成12年4月の地方分権一括法の中で、逆に労働行政組織が国の方に一元化をされたということになっているわけですが、私はやはり特にこうした職業安定行政というのは、地方公共団体が一定の役割を担わなければいけないだろうということを常々思っております。一昨年9月に全国知事会が総理官邸で開催された際も、特にこの1点に絞って総理大臣の方に直接、もっと地方にこの分野について権限をおろすべきだと、そして国と県がお互い適切な役割を分担し合う形で仕事を進めるべきだと、このようなことを申し上げておりまして、この考え方は私の考え方でございまして、今後も一貫して、こうした特に職業安定行政、今回、多少法律が変わりましたけれども、地方公共団体の役割というのは大変重要だと思っておりますので、そうした権限の移譲について働きかけをしていきたいと思います。
 それから、地域労使支援事業ということで、今般でき上がりました、経営者側とそれから労働団体側両方で構成をされております地域労使就職支援機構というものがございますが、これの活用方策についてお尋ねがございましたが、私も、せっかくできた組織でありますので、これをうまく活用していい成果が出ればと思っております。これからも支援機構が取り組む具体的な事業は県の立場で支援していきたいと思いますし、それから県の事業推進の上で、労使が共通して取り組むことなどでその効果が高まるような事業については、積極的にこの支援機構にゆだねる、委託をするなどして、ここの支援機構としての成果も上がるようにぜひ進めていきたいと思います。
 それから、若年者の就職問題ですが、これは二つに分けて申し上げますと、新規学卒者への対応でございますけれども、議員お話しのように大変今、厳しい状況でございますので、具体的には大学生、短大生、それから専門学校生を対象として、昨年度まで実施してきた就職面接会に加えて、今年度はさらに職業講習や通年のインターシップ事業を追加して実施をしてございます。こうしたことで就職の方に結びつけていきたい。
 それから、高校生については、これは一昨年度から県立高校に配置した就職支援相談員がございますが、これに加えまして本年度新たに就職面接会、それから職業講習を実施するとともに、夏休み中を利用して県庁や地方振興局など県の機関でもインターンシップを実現していきたいと思っております。今申し上げましたような高校生も3年生が対象ですが、さらには高校一、二年生を対象にビジネスマナーの習得や職業観、勤労観の育成をねらいとしたキャリアアップ講座も新たにことし展開をしたいと考えております。
 それから、高卒未就職者、これは5月末現在で調べたところ、まだ県内では204人となっております。これも大変深刻な問題でございますので、今年度新たに市町村と連携をして、新規高卒未就職者、今で言うと204人ですが、こうした人たちを雇い入れた事業主に人件費の一部を助成する制度を始めましたし、それから未就職者の就職意識を醸成するために、こうした人たちを対象として1カ月程度の就業体験を事業として新たに起こしまして、これも実施することとしたところでございます。今後も、こうした今年度新たに起こした事業、幾つかございますけれども、その効果をよく検証しながら、さらに内容を充実させていきたいと考えております。若年者の雇用問題というのは今まで余り十分でなかったという反省がございまして、特にこの問題について力を入れていきたいと思います。
 それから、地元企業の育成という関係で、県警の制服ですとか職員の作業服、あるいは県病の白衣、それから学生のスポーツウエアなど、できるだけ地元の方でつくるようにしていったらどうか、発注していったらどうか、こういうお話がございました。県内の衣服製造業の動向ですが、これについては中国からの安価な製品の流入というのは最大の要因だと思いますけれども、ピーク時に比べて大分事業所数も減っておりますし、それから事業者数も減っているということでございます。競争力を回復していくためには、大きくとらえるとやっぱりコストの引き下げですとか技術力の向上、品質の向上、それから消費者ニーズに合った、少量でも多品種のものをつくらなければいかぬといったようなことがございます。
 そうしたことが本当に現実問題として可能かどうかということでございまして、そうすると品質面、数量面での安定的な供給体制、それから価格面での競争力といったことが必要だろうと思います。先ほどお話しになったようなこと、県のみならず市町村も含めて全体のパイを大きくするといいのではないかという御指摘でございますので、イベントなどのユニフォームの一括購入など、これからどこまで可能なのかどうか、私どもも県内でどういうところがまだ残っていて、どんなものがつくられているのか、あるいはつくることが可能なのかどうか、十分に把握していないところがございますので、よく調べさせていただきたい。そしてまた、そうしたところの関係者の御意見も聞きながら、こういったことを考えていきたいと思っているところでございます。もちろん県が購入する物品の発注などについては、これまでもできるだけ県内事業者を、公平性の枠内という限度はございますけれども、県内業者の育成ということからもそうしたことに意を用いてきたつもりでございますが、そういった製造のところまで少しこちらの方でも調べてみたいと思います。
 それから、中小企業再生支援協議会、5月に発足をして、そして相談も8件ほど今来ておりますし、動き出しているわけでございますが、これについてさらにセーフティネットの充実を図るべきではないかということでございます。今現在ある制度としては既存の金融支援ツールを活用するという段階にとどまっておりますので、これをさらに一歩進めて本当にこの再生支援協議会を通じた生きたものになるように、追加的な支援策についてもやはり考えていかなければならないという問題意識を持っております。そこで、再生支援協議会そのものと、それから金融機関を初めとする関係機関と協議しながら、今、内部的に検討しているところでございまして、よく使いやすいようなものとしてこうした制度が構築できないか、そういったことによって大きなリスクを負うことにならないか、いろんな観点がございますけれども、そういったことを十二分に検討した上で、その上で県独自の支援制度創設ということに向けて、さらに検討を深めていきたいと考えているところでございます。ほかの県では宮城などで独自の保証制度などをつくって、それで再生を支援しているというところもありますので、そうした実態もよく調査をしていきたいと思っております。
 廃棄物の不法投棄でございますけれども、これについては、全体的な青森県境の問題については、ほかの議員にもお答えしたところでございますが、それ以外に一般のものについては、特にこれから監視・指導の一層の充実を図るために指導マニュアルをつくったり、それからGPSを使った追跡の実証試験を実施したり、それから深夜、早朝における高速道路等での廃棄物搬入車両の監視、これは県警の方にお願いしています。こんなことを新たにまたやっていきたいと思いますし、それから優良産業廃棄物処理業者の認定制度の創設、こんなことでさらにこの対策について充実をさせていくこととしてございます。
 それから、安全・安心な岩手の食の関係でございますけれども、これについては地産地消運動が数字としてはかなり進んできている部分もある。学校給食も50%に近くなってきましたし、大分進んできているということございますが、さらにこれを進めていきたいと思っていますので、広くいい例を紹介したり、検証したり、それから何といっても量販店における地場野菜販売コーナーを常設させたいと思っておりますので、この点についてはこれからさらに充実を図っていきたいと思います。
 こうした中で、大変申しわけないことは、先般、県が作成した岩手県の農産物病害虫雑草防除基準の中に誤った記載がありまして、生産者の皆さんに大変な御迷惑をおかけしたわけでございますが、今後、本当に地元のものが安心だということを言われるためには、こうした部分も一層指導の徹底を図っていかなければならないので、十分に慎重を期していきたいと思っております。そして、その上で食の安全・安心について関係部局一体となった、縦割りを排除した取り組みをさらに進めていきたいと思っておりまして、今ちょうど食の安全・安心についての委員会の中で基本方針を審議していただいていますが、その中で、いろいろな御意見も出てくると思いますけれども、消費者の視点に立って県の体制の強化ということもさらに逐次行っていきたいと思います。環境生活部に本年度から食品表示専門員2名を配置して、さらに食品表示ウォッチャーも今年度は昨年度から33名を増員して91名と、大変大きな世帯の中でこれを実施してございますけれども、さらにこの部分についても体制を強化して、いろいろな施策を進めていきたいと考えております。
 それから、虐待の関係でございますけれども、これについては市町村の虐待防止協議会の設置拡大を今後図っていって、そして虐待を受けた児童の見守り体制をより一層強化していく。それから、新たに市町村の保健師を対象にして虐待対応の専門研修を実施することにしてございますので、こういうことで地域指導員の養成を図る。そして、早期発見、その後の対策につなげていきたいと考えております。
 それから、引きこもりの方でございますが、これは昨年も議会の方で請願が採択をされているわけですが、やはりなかなか虐待ほどは実態が明らかになっていないところがある。まだ外に出ていないところがありますので、今6月の補正予算でお願いしていますが、予算が通れば7-9月でまた実態調査をきちっと行って支援ニーズを把握したい。10月をめどに支援対策を取りまとめて、これも保健師等の専門研修を行ったり、相談窓口を強化したり、それからネットワークづくり、そんなことをしたり、それから本人の居場所づくりといったようなことも必要でございますので、こうしたことにこれから取り組んでいきたいと思います。
 母子家庭については、セルフサポート事業、今年度のこの6月補正でお願いしてございますので、この中で施策を充実させていきたいと思っておりますけれども、特に自立支援センターというものを母子寡婦福祉協会の中につくって、そこに就業相談員2名を配置して、そしてその中で適切な就業相談などの事業を行っていきたいと考えております。
 それから、人づくりの関係で、一つは少人数指導についてのお尋ねがございました。これは昨年度までは30人を超える学級を中心として少人数指導を実施してまいりましたが、今年度はさらに25人を超える学級にまで対象を拡大しております。そのほか少人数指導加配ですとか、学校いきいきプランで小学校1年のみならず、そのほかの学年も含めて今427校に対して600名の教職員を配置してございます。いろいろ成果も上がってきておりまして、基礎学力の定着が図られたとか、それから特別に配慮を要するLD児とかADHD児、こういった子供たちに対しての個別指導が充実したという評価がございますので、また、よく成果を検証して本県独自の改善を加えながら、少人数指導の一層の充実を図っていきたいと思います。
 最後に、盲・聾・養護学校の特別支援教育で、医療的ケアについては体制をつくりまして、特に校内におけるバックアップ体制の整備の充実を図ることとしております。今、養護学校、県内の2校に対象の児童さんがおられますので、学級担任や養護教諭、それから看護師等をメンバーとする委員会をつくって、そこで医療的ケアを必要とするこうした子供さんたちの状況について共通認識を図って、バックアップ体制を充実していくことにしております。
 それから、就職支援の関係でございますが、これは知的障害をお持ちの子供さんたちの養護学校6校の高等部に就職支援相談員を配置して、そこで就職先の開拓を進めるということにしてございます。これはまだ緒についたばかりでございまして、いろいろ困難があるわけでございますので、こうしたことについては労働、それから教育、福祉の関係機関の連携を強めて、さらに具体的な支援を行えるように一層充実を図っていきたいと考えているところでございます。
   

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時25分 散 会


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