平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇40番(伊藤勢至君) 自由党の伊藤勢至でございます。
 去る4月の統一地方選において、堂々と、しかも圧倒的なる県民の支持の上にめでたく3選を果たされました増田知事に、心からお祝いを申し上げます。
 私たち自由党県連でも、各地区の激戦を乗り越え、公認19名、推薦3名が当選することができました。及川幸郎会派代表から最も若い中平均議員まで22名が、本日、ここに勢ぞろいをいたしております。御支持、御支援をいただきました県民各位に、この機会に改めてお礼を申し上げる次第であります。
 また、それぞれが各地で訴えてまいりました課題の解決に向けて、その根本的な議論、すなわち、枝葉末節の議論ではなく、皮を切り、肉を切り、骨を切る、切磋琢磨の議論をしていきたいと考えております。増田知事を初め、執行部及び各部局長によろしくお願い申し上げ、自由・県民会議会派を代表して質問をいたします。
 去る25日の招集日に、増田知事のこれからの4年間の県政運営の所信、知事演述を拝聴いたしました。これからの4年間の岩手丸の船長としての決意を、大いなる使命感と責任感の上に表明されていることに敬意を表すると同時に、すべての県民が安心して暮らせるような社会、とりわけ、これからの岩手を担う若者が、希望を持って生活できるような社会に築き上げていきたいとのお考えには、全面的に賛同するものであります。
 明治維新以来、薩長土肥主導の政治がまかり通ってきた我が国の政治風土は、常に西高東低、西日本に厚く、東日本、特に東北に薄いものであり、今日も、なお、その傾向にあると言わざるを得ません。白河以北一山百文の蔑称に反発して、原敬は、号を一山と称しましたし、河北新報の社名の由来もここにあるのであります。
 昨年12月、待望の盛岡八戸新幹線が開業いたしましたが、この総事業費に対する地元負担金を、本県と同じ広さを有する四国にかけた、いわゆる本四3架橋の地元負担金と比較してみれば明らかであります。
 盛岡八戸新幹線の総事業費は4、740億円で、本県の負担は947億8、200万円、二戸市が9億3、500万円、岩手町が7億1、800万円の合計964億3、500万円、約2割強の負担となっております。一方、本四3架橋は合計3兆3、800億円で、地元である府、県、市の負担金は3、020億円で、1割以下であります。なぜ、このような不公平がまかり通っているのか。
 私は、戦後政治の中で、復興の名のもとに長年もたれ合ってきた与党・自民党と官僚、そして地域エゴ丸出しの、予算をばらまいてはその見返りとしての票集めを第一義にやってきた国会議員にあったと思っております。そうした中で、このままではいけない、アジアや世界から先進国としての信頼を得るために、政治を変えなければいけないとの声がほうはいとして上がり出し、それがピークとなったのが、昭和天皇が崩御され年号が平成と改まって後、平成5年8月、細川内閣成立のときでありました。長年の自民党支配の政権が変わったことに対し、国民の皆様から熱狂的な期待を集めたのでありますが、政権運営の経験のないことによる我慢と忍耐を欠いて、短期で終わってしまいました。その後、バブルがはじけ、現在の小泉内閣の弱者切り捨て、地方切り捨てとも言える道路特定財源のカット、地方交付税のカットが既に始まっております。さらに、三位一体の改革のための税源移譲と言えば聞こえがいいものの、7掛けということで補助金の3割カットが進められようとしております。
 自民党をぶっ壊して国民のための改革を進めるとの小泉総理の耳新しい痛快な言葉に小躍りした国民も、いつまでたっても痛みだけしか与えられない現実に、まゆにつばをつけ出している状況であります。政権に復帰した自民党も、またぞろ昔に返ったようで、バブル以降の10年を失われた10年と言うそうですが、これは違っていて、失われた10人の国会議員と言うべきだと、ある報道関係の方から伺い、なるほどと思ったところであります。
 平成に入ってからだけでも、平成元年、藤波孝生衆議院議員がリクルート事件――受託収賄で逮捕されたのを初め、記憶に新しいところでは平成13年、KSD事件――受託収賄で小山孝雄、村上正邦の両参議院議員の逮捕、平成14年、鈴木宗男衆議院議員、北海道開発局汚職――やまりん事件ほか斡旋収賄で逮捕、そして平成15年、坂井隆憲衆議院議員、政治資金規正法違反――虚偽記載で逮捕などであります。この中の鈴木宗男、坂井隆憲の両被告は、現在、拘置所の中で暮らしていながら議員歳費をもらっているのでありまして、厚顔無恥、鉄仮面とも言えるこの方々には、国と地方の違いを超えて、政治にロマンを求めてきた一人としてじくじたるものがあります。ただ、これらの一連の流れの中で、今までなかったことが起こってきたと思います。それは、各都道府県の知事たちが、中央に対して堂々と正論を発するようになってきたことであります。さらに、市町村長たちも同様であります。政治家と官僚がもたれ合い、政治家が選挙区に予算をばらまき、これを手伝ってきた官僚は、この間に自分たちの天下り先をつくり出し、あるいは互助会組織を肥大化させてきたのであります。今までの知事や市町村長は、この悪弊に気づきながらも、地元のためには補助金をもらった方がよいとの考えから、知らないふりをしていたにすぎないのです。
 増田知事は、演述の中で、ただひたすら中央に追いつくことを目指してきたぬぐい切れない中央志向の問題、地方の実情とかけ離れた霞が関の基準、いわゆる霞が関スタンダードの安易な受け入れ、経済対策や地域振興といった観点から進められてきた公共事業などは、社会資本の整備は進んだものの、結果として地方財政の疲弊を招くとともに、地方の自助努力を損ね、地方の自主性、自立性の芽を摘み、中央に依存しがちな土壌がつくられ、依然としてその依存体質から脱却できずにいると喝破された上で、私は、この際、こうした地方の自主性、自立性を困難にしている構造的な問題に真正面から向き合い、国に対してその改革を求めるとともに、みずからもその姿勢を率直に反省し、経済的にも精神的にも自立した社会の実現を目指していくと述べておられます。私は、町おこしも地域おこしも、まず、気持ち起こしから始まると思っておりますし、気持ちを起こすことには金はかかりませんので大いに賛成をいたします。
 さらに知事は、新渡戸稲造博士の精神を受け継いで、たとえいばらの険しい道であっても、その先には、すべての県民が心の底から幸せを感じることができるような明るい社会があることを固く信じて、4年間全力で取り組むと結ばれておりました。冒頭申しましたように、責任感と使命感あふれ、胸にしみる決意の表明であったと受けとめたところでございます。
 そこでまず、確認を含めて伺います。
 今回の演述で述べられていることは、いかに困難な事案であっても、先送りすることなく取り組むとの決意と理解してよろしいのでしょうか。先送りとは、実は後送りということであり、我々に続いてくる次の世代にツケを残すことであり、為政者が最も恥ずべきことと考えるからであります。重ねての御決意のほどをお伺いいたします。
 次に、待ったなしの行財政改革推進について伺います。
 報道によりますと、県の行財政改革プログラムの骨子が発表された16日、知事は、このままでいくと、数字的には2005年度には財政再建団体に転落すると語ったとありました。歳入不足を補ってきた県の基金は04年度で底をつき、05年度は472億円の赤字に転落、06年度まで、計4年間で1、700億円の財源不足が生じると予測するというものであります。本県の基盤を根本から危うくする、まさに開闢以来の未曾有の大難関が立ちはだかってきたのであります。膨大な借金は、国の経済対策に呼応して、1992年度から実施してきた社会資本整備、すなわち、盛岡-八戸間の東北新幹線開業や花巻空港拡張や、試験研究機関や県立大学の整備などであります。しかし、これらの一大事業はいずれも県民の期待の高いものであり、その効果、恩恵に今もってあずかっていることを思うとき、事業展開を決定されたのが前の世代の方々であり、その決定に関する場にいなかった我々であっても、その施策、政策の借金まで含めて継承していることであり、責任を逃れるものとは思いません。ただ、親父がいい格好した分のツケを、何で息子のおれたちが払わなければならんのだとの声もわかる気もいたします。
 昨年、知事、副知事、出納長は、県の経済状況厳しき中にあって、県民の痛みを共有するとのお考えでしょうか、報酬カットを申し出られ実行されました。議会も呼応した形で、おおむね1人当たり5%、48万円掛ける51名で2、448万円のカットを実施いたしました。
 先般、知事の退職金計算の修正の報道で、初めて三役の退職金について承知したところでありますが、この報道を見た多くの方々から、県議会議員には退職金がないのを初めて知った、かわいそうだがしようがないね、報酬は全部上げてもいいからこの景気を何とかしてくれ、私はリストラされたが、せめて息子や娘の働く場をつくってくれとの、悲痛とも言える声、私たちの報酬を払ってくださる県民の声を聞いてきたところであります。
 増田知事、私たちは県民の皆様に現実と夢を語り、それに向かって努力することをお約束してこのポジションをいただいてきたのでありますから、まず、そのことにもっともっと心脳を絞り、人知を尽くすべきと考えます。断じて行えば鬼神も之を避くと言うではありませんか。責任の小出しはやめるべきと考えるものでありますがいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、自立した地域社会形成に向けた行財政構造改革プログラムについて伺います。
 今般手にいたしましたこの計画を一読して、先に入手しておりました宮城県の宮城県緊急経済対策3カ年計画と比較し、いかにも小粒、宮城県の半分のスケールで、これで本当に大丈夫なのかなと思ったところであります。現状認識が甘いのではないか。東北で最も人口や経済力の集中した仙台市を抱える宮城県、本県よりはまだ余力のある宮城県が、浅野知事の不退転の決意とともに打ち出した宮城県緊急経済再生戦略に学び、さらに肉づけをしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 これまでの自治体の新しい施策への取り組みは、臆病で、へっぴり腰で、小出しにしては様子を見るやり方でありました。しかし、今回の本県の行財政改革は、のるか反るか、乾坤一てき、まさに後がない土俵際の状況での取り組みであります。座して死を待つのか、国が有効な経済対策を講じていないからこそやらなければならないときに、何を臆しているのかと思います。
 百獣の王ライオンであっても、ウサギをとるときには全力で当たるのであります。県政100年の歴史上、最大の危機を乗り切るために、まずこの現実を県民に広く明らかにし――アカウンタビリティー、その処方を正しく示していく――インフォームド・コンセントが必要ではないでしょうか。このままでは、岩手丸が沈没することが理解できれば、岩手県民はその防止策に力を惜しまないでありましょう。岩手丸が沈むということは、知事初め三役も、議会も、3万2、000人の県職員も、134万人県民も沈むことだからであります。そしてその説明責任は、知事と議会と執行部に等しくあると思います。この非常事態に当たり、増田知事が先頭に立たれるならば、我々はともにイバラの道を踏み、難関を踏み越え、次の世代にいいものを残せるように努力することをお約束いたします。そして、その財源確保のための報酬カットであるならば、応じる用意があることもあわせて申し上げるものであります。知事の所見をお伺いいたします。
 次に、県立病院の運営について伺います。
 岩手県立病院は、厚生農業協同組合連合会が経営していた17病院と21診療所に、県有の8病院及び19診療所を加えて県営とし、昭和25年11月1日に、25病院、40診療所、病床数1、865床をもって、県下にあまねく医療の均てんをの創業の精神のもとに発足し、現在では27病院、5附属診療所、病床数6、161床を有し、職員数5、865人で病院運営を行っているところであります。かつて、本県が日本のチベットと言われたころから、先人たちが、今に見ていろと歯を食いしばり、努力されてこられた姿が彷彿とし、歴代の医師、看護師、そして職員スタッフ、関係者に敬意を表し感謝申し上げるものであります。
 病院経営をより効率的に行うため、県立病院などを統括運営する医療局を設置し、昭和35年4月から地方公営企業法の全部を適用し、現在に至っております。この間、医療の高度化等に対応した施設設備の整備やCT、MRIなどの高度医療機器を整備するとともに、医事オンラインシステムやボーダリングシステムを導入し、業務の効率化を図っております。
 さらに、急速な少子・高齢化や低迷する経済状況、医療技術の進歩、医療ニーズの多様化など、医療を取り巻く環境の変化に対応するため、県立病院等長期運営計画――現計画は12年策定――を策定して運営に当たっているということであります。県民の命と健康を守るために、懸命の努力をいただいていることに感謝申し上げながら、その運営について伺います。
 14年度の決算が確定し、18億円の赤字が発生したと聞いております。毎年150億円程度の一般会計からの繰り入れを受けてのことであり、これが常態化しているのは、県全体の経営から見れば問題があると思います。もちろん、県立病院は僻地医療、救急医療、リハビリ医療などの経費を担っていることもあり、命と健康の重さを一概に赤字、黒字で左右することはできないものと思いますが、一方で、民間の医療機関は毎年納税者の上位に名を連ねていることもあり、器、体制の多寡だけではなく、大いに研究の余地ありと思うところであります。
 今後の県立病院運営の改革は、県立病院全体のマニュアルではなく、27病院がそれぞれの地域ニーズ、例えばリハビリ、高齢者のための療養、ホスピスなどに対応しての計画にするべきと思います。医療局では、経営基盤安定の方策を得るため、県立病院経営懇話会を設置したと聞いておりますが、今後どのような視点で改善、改革をしようとしているのかお示しをいただきたいと思います。
 次に、企業局の運営と新しい企業展開について伺います。
 岩手県企業局は、昭和30年、10月1日の電力局の発足、昭和32年10月の胆沢第二発電所の運転開始による電気事業に始まりました。その後、昭和40年代に至り、本県の恵まれた美しい自然と豊かな資源を活用した観光振興の機運が高まる中で、電力局を昭和43年4月に企業局に改組し、観光施設事業及び有料道路事業とともに、有料事業をも経営することとなりました。昭和51年には、工業振興の一環として北上中部工業用水道事業に着手し、今日の電気事業、工業用水道事業――観光施設事業は昭和53年度、有料道路事業は平成3年度に廃止――の基礎が築かれるところとなり、今日に至っております。
 私は、平成10年の2月定例会で、以下のような質問をいたしました。
 今回の大改革を進めるに当たって、民間会社であれば、まず全員にコスト意識の徹底を図ります。むだ、無理、むらを省こうということです。そして、この冗費の節約の次は、当然、売上増を図ります。行財政システム改革指針の財源の確保対策の中の地場産業の振興や、優良企業の誘致などにより税源の涵養を図るとありますが、行政の運営は税金でやっているのですから当然のことであります。さらに、民間会社の場合、それでも売り上げの減を補えない場合、新しい分野を開拓しようと試みます。この際、岩手県ではエネルギーや環境問題、資源リサイクルの分野に経営感覚を持って、思い切って真っ向から立ち向かうべきではないでしょうか。
 例えば、企業局には優秀な人材がそろっており、こうした部門などを窓口として、県民のニーズにこたえる新規事業を起こすべき時期と考えますが、いかがでしょうか。県民の税金を集め、これを県民の生活向上に使い、働いてもらい、楽しんでもらい、もうけてもらい、その中からまた税金を回収する。まさにリサイクルでありますが、この回転する原資をふやすために、職員全体がコスト意識を持ちつつ、ふだんの業務に当たるべきと考えますが、このコスト意識の醸成をどのように図っていこうとされるのかという論点でありました。
 かつて持っていた観光施設事業と有料道路事業から撤退しても、その人員、予算規模が減っていないということは、十分に余力ありと今でも思っておりますし、業をたくらむのが企業局でありますから、積極的な新規事業展開を期待するものであります。5年前と同じ答弁では進歩がなかったということでありますので、前に進んだ御答弁をいただきたいと思います。
 次に、環境と安全を守るための県民参加型税制についてお伺いいたします。
 森林県と言われる本県の森林の1年分の公益的機能を評価すると、2兆6、398億円となるそうであります。土砂災害の防止機能、水源涵養機能はもちろん、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の固定、吸収機能、保健休養機能など、他の施設や手段で置きかえれば、ざっと県予算の3倍が必要な計算になります。
 一方で、林業は今や採算がトレーない産業の代表格となっております。安い輸入材に押されて木材価格が低迷し、山の手入れをすればするほど赤字がふえ、間伐もされず放置された森林が急増しているのであります。国民の財産である森を守りながら、その恩恵を持続的にいただいていくことは、森林県の本県にとって緊急の重要課題であります。同時に、これは、県民こぞって知恵を出し合うことによって、森林県であるがゆえの優位性を享受できる可能性を秘めていると思うところであります。
 ため息をついて何もしなければ、まさに座して死を待つのみであります。知事のマニフェストの七つの重点施策の中に、豊かな森林資源を県民みんなで守り育てるために新たな税制度の創設に取り組むとともに、COの排出権取引市場の活用などにより、本県の持つ森林資源に見合う排出権を販売するなどして、森林を持続的に整備していくための財源確保の仕組みを検討しますと記してあり、さらに、森と川と海の保全及び創造に関する条例を策定し、岩手の水環境の保全を図り、汚染の事後処理から未然防止型の施策への転換を図りますと記してあります。
 本県の特性を生かしながら、時代を先取りしようとのお考えに敬意を表します。この考えの中に、高知県が本年4月から導入している森林環境税――人工林と自然林の混交林化を図ることを目的とする――や、一般的な水源涵養――水質保全を目的として、水道料金に上乗せする水源税方式を含んでいることと思いますが、これにさらに愛知県方式を加味していただきたいと思います。
 本年5月11日、愛知県中部水道企業団を構成する愛知県豊明市の住民400人が、長野県の木曾川上流部を訪ね、名古屋市などのベッドタウンを支える水源の森に、ヒノキの苗木を植樹したということであります。本年2月、同企業団と水源地域の木曾広域連合11町村の間で、県境を越えた森林整備協定が調印されたことによって、一挙に交流のきずなが太くなったことによるとのことであります。森林面積は約16万ヘクタールに及び全国最大規模、協定を受けて森林整備計画を策定すると国の造林補助が受けやすくなり、森林所有者の負担が減るという特典もあります。注目されるのは、企業団が森林整備を支援するために積み立てる水道水源環境保全基金で、各戸が使用水量1トン当たり1円を負担し、水道料金に上乗せすることで、既に2年前からスタートし、10年で3億円を目標としているということであります。木曾広域連合では、流域単位で全国に波及してほしいと語っており、この件は、水の恵みを受ける下流の住民が、上流の森林整備を支援する典型例であります。
 本県の特性は森林が多いことで、当然のごとく川も多いのであります。1級河川は北上川水系181、米代川水系6、馬淵川水系19の206河川、県の管理する2級河川が104、市町村管理の準用河川542、合計852の河川大県であります。豊かな森林から流れ出る清浄で豊富な水を飲料水としてもらい、多量の植物プランクトンを運んでもらった海では、それをえさにする動物プランクトンが発生し魚介類を育てる、まさに山、川、海の連鎖によって私たちが生かされているのであります。特に、山と川のつながりを無視すると、手痛い災害を招くことになります。いつ来るかわからない台風や集中豪雨で、過去に大きな被害を受けてきたのであります。古くは、昭和21年、そして23年のアイオン・カスリン台風で、平成11年10月には、軽米町雪谷川のはんらんによる大被害、昨年7月、東山町の砂鉄川のはんらんなどであり、今後も台風の来ない年はないであろうと考えます。したがいまして、現在検討されている高知方式に愛知方式も加味され、さらに、河川大県である本県の河川防災の観点もあわせて取り入れてもらえるならば、県民は水と安全を享受できることとなり、環境と安全を守るための県民参加型税制に理解を示してくれるものと思います。そして、このことによって、除間伐、植樹あるいは河川整備などに新しい雇用も生まれると期待もできます。よき政策は積極果敢に実行に移していただきたいと思うところであります。 
 御所見をお伺いし、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答えいたします。
 まず、最初の御質問は、6月25日、この議場で行いました私の知事演述の中で、行財政構造改革に取り組むということを申し上げたわけでございますが、この改革に当たりましての私の決意を再度問われた点でございます。これについては、私も当然のことながら、この改革を断固として行っていくと、そしてお話しがありましたような、先送りをすることなくこの問題に取り組んでいくという決意を申し上げておきたいと思います。
 世の中の基調が大幅に変わってまいりまして、デフレ時代の中でこれから県政運営をしていかなければならない。そして、これまではすべてが右肩上がりで成長してまいりましたので、官僚がすべてを取り仕切る画一的な中央主権型のシステムというのが大変効果が出てきたわけでございますが、今申し上げましたように社会の基調が変わった中では、こうしたものを大きく転換をして、そして政治が優位に立って住民本位の新しい仕組みにつくり変えていく必要があるだろう、こういう時代認識を持っております。国と地方と大きく二分されますけれども、その中で我々地方がみずからの判断と責任で、地域の経営を行っていくという気概を持って事に臨んでいかなければならないと思います。
 私が知事に就任いたしましてからの間、特に財政が大変苦しい状況になってまいりました。これは幾つか原因がございますけれども、企業の経済活動というのは大変低迷をしております。法人事業税が大幅に落ち込んでいるということもございます。それから、国から参ります我々の一般財源である交付税も大幅にカットされている。このあたりの数字は次の質問のときにまた数字を入れてお答え申し上げたいと思いますが、それにあわせて公共事業、これは景気対策という名目で10年近くずっとやられてきたわけでございますが、残念ながら景気が思うように回復してこなかった。今申し上げましたようなことで財政が非常に疲弊をしてきているといったようなこともございます。
 こうした背景があってこそ今回の行財政構造改革に、我々も苦しい中で痛みを分かち合いながら取り組んでいかなければならないということでございまして、当然こうした過程の中では県民の皆様方にも、あれもこれもということを満足していただくようなことをお示しできないということもございます。むしろ我々の方で積極的に情報を開示して、本当に地域にとって何が必要なんでしょうかと、この地域に何を一番優先的にしていったらいいのでしょうかという、あれかこれかを県民の皆さん方にむしろ決定をしていただくという場面も多くなると思いますけれども、そうした県民の皆さん方への判断ということもまたお願いをしながら、この改革を進めていかなければならないと思っております。一切の聖域を設けず、ゼロベースで見直して改革を断行すると知事演述で申し上げておりますが、そうした中で、もう一度繰り返しになりますが、決して策略をせずにこの改革に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、この中で、今議会の初日に三役の報酬カットというものを御提案申し上げたわけでございます。これについて、むしろこうした三役の給与カットのような責任の小出しというものはやめるべきで、もっと大きな点からこうした問題はとらえるべきという御趣旨かと思うわけでございますが、こういった構造改革プログラムに取り組んでいく背景については今申し上げたようなことでございますが、こうしたことを通じて真に自立した地域社会の形成を可能とするような強固な自治体にこの岩手県を変えていきたい、県の組織を変えていきたい、こういう決意でいるわけでございます。三役とも同じ考え方でこれから先頭に立ってこれに臨んでいきたいと考えております。
 したがいまして、この三役の報酬カットは、むしろこれからの行財政構造改革プログラムの策定に先立って、こうした県政推進の先頭に立ってこの改革を確実に実行すべき立場にある者として、その決意を明確に世の中に示そうという考え方でございまして、今までの行為に対して私の方でも、不祥事があったときに責任をとって報酬をカットするといった性格のものもございましたけれども、そうしたものではなくて、むしろ組織を全体としてマネジメントするそういう長に立つ者として、三役、心、気持ちを合わせて、まずその決意を明確に示そうということで行いたいと考えているものでございます。
 隗より始めよという言葉がございますけれども、こうしたこれからの改革に当たっての我々の3人の気持ちを明確にお示しして、そして今お話しがございましたその大きな改革のさまざまな点については、骨子を先般お示しいたしましたが、その中でこれから県民の皆様方との議論を十分に積み重ねた上で、具体的に数字を入れて、そしてその内容を満足いくものにしていきたいと考えているところでございます。こうしたことを通じて当然県民の皆様にこのような決意を御理解いただきたいと思いますし、やはり組織の長として県職員にもその趣旨を改めて認識をしてもらって、職員が率先してこうしたことに取り組んでもらう必要がありますので、そういう組織の長としての決意も含めてのものでございます。
 次に、宮城県の緊急経済産業再生戦略、これとの比較で本県のこれからの取り組みにつきまして幾つか懸念のお話がございました。宮城県の緊急経済産業再生戦略というのは、なかなか意欲的な内容を含んでおりますし、当然これも十分に参考にしながら我々も取り組んでいかなければならない、岩手県としての取り組みを進めていかなければならないと考えておりまして、この戦略についても見ておりますし、浅野知事とも、ちょうどこの戦略を出した次の日だったかと思いますけれども、お会いをしていろいろ中身についても議論を重ねたところでございます。
 まず、この宮城県の再生戦略について少し申し上げますが、実はこれは雇用創出と産業再生を挙県一致体制で行いたいということでの構想であって、15年度から17年度までの3年間で、人件費の削減などで214億円の一般財源を捻出し、県の歳出予算ベースですとそれにほかのものを足して250億円、さらに民間からの拠出を同額250億円得て、総額500億円の規模で雇用の緊急確保など五つのテーマを具体化していこう、具体的な内容については8月までに肉づけしていこうと、このようなものだと聞いております。
 先般、本県の骨子をお示しいたしましたものは、あれはこうした産業分野あるいは雇用の分野に限ったものではなくて、あらゆる行財政分野にわたって県の行財政構造そのものを自立に向けて転換をしていこうというものでございますので、今後、平成18年度までに見込まれております約1、750億円の財源不足がありますが、それを解消するとともに、雇用のみならず教育や環境分野なども含めて、新たに政策推進枠として200億円を生み出して、それでそうした分野に重点投資をしていこうというものでございますので、パラレルで対照するものとしてはちょっと物事の性格が異なると理解をしております。
 むしろ雇用や産業の分野として宮城県のものとうちの県のもので具体的に比較をするものとすれば、岩手県の総合雇用対策事業ということで、本年度、我々の方では今申し上げました政策推進枠200億円も一部活用しながら、総額で700億円、これは6月補正で今計上しているものも含めてでございますが、これは貸付金等も含んでおりまして、貸付金以外ですと151億円ということになっておりますが、こちらの総合雇用対策事業がございますので、これと比較をするということが正確な意味では正しいのかというふうに理解をしております。これでいきますと、我々の中には、いわゆるいわてのインキュベーションファンドの設立など多様な分野のものが入っておりまして、こうしたものをしっかりと進めていけば、十分な効果が出るものという決意で取り組んでいきたいと思っております。
 行財政構造改革の方については、これから具体的な数字を肉づけしてまいりますので、また、今、議員お話しになったようなことなど、それからいろいろな参考となるものをすべて網羅して、よく我々の中でそしゃくをした上で具体案を練っていきたいと考えております。
 それから、これだけの大改革をしていく上では、やはり県民へのアカウンタビリティー、それからインフォームド・コンセントをしっかりと行うべきということでございまして、これはもうお話のとおりかと思います。
 少し具体的な数字を申し上げますと、本県の財政でございますが、平成4年度以降、国が音頭をとって行ってきました景気対策、これはほとんどがその中身は公共事業による社会資本の集中整備というものでございましたけれども、こうしたことをずっと行ってきた、ほぼ10年間行ってきたといったようなことにもよりまして、今年度末の県債残高が約1兆3、657億円と見込まれております。こうした一方で、長引く景気の低迷で、景気対策をこれだけ行ってきたのですが、思うように景気が回復しなかったということもあって、法人所得が減少しておりまして、県税収入の方はピーク時が平成12年度でございますが、それに比べて今年度の見込み額が約237億円減りまして、ピーク時に比べますと県税収入が18.4%落ち込むということになっております。
 それから、地方交付税でございますけれども、これも国の方が本当に余裕がなくなってきたということもあると思いますが、これもピーク時が平成12年度でございますけれども、この時期に比べまして約436億円、14.9%落ち込んでいる、減額になっているということでございまして、両方足し合わせますと収入の方の落ち込みが13年前の平成2年度決算額の水準まで大幅に落ち込んでいる。このあたりについては我々の見通しの甘さ、ここまで法人所得を初め県税収入が落ち込んだり、あるいは交付税をここまで国がカットするということを当初段階では予測をしておりませんでしたので、そういったことの見通しの甘さは当然追及される部分かと思いますが、いずれにしても13年前の平成2年度の決算額の水準まで収入の方が大幅に落ち込んでいるという、現実がございます。
 一方で、歳出の方を比較した場合には、平成2年度の決算で数字を比較しますと、平成15年度予算では30%増加しているという現実がございまして、大変なギャップがあると、これが先ほど申し上げましたようなことにつながってまいりまして、平成15年度からのこれからの4年間で約1、750億円の財源不足に陥る。このまま単純にこれを伸ばしていくと平成17年度には財政再建団体に転落をするという状況があるので、この間そのことを行財政改革プログラムの中でお示しをしたわけでございます。これについては、大変厳しい状況でございますが、当然のことながら県民の皆様にこうした点、今の財政構造を十分に御説明して御理解をいただいてまいりたいと思っておりますけれども、こうした国依存の体質ということがこの問題の背景に深く根づいておりますので、これからの4年間は自立を進める4年間ということで抜本的な改革を進めていきたい。デフレ経済の中でも揺るぎのない県政運営ができるようなものに変えていきたいということでございます。
 取り組みの視点は、一方で、したがっていろいろ体制もスリム化をしなければいけないと思いますけれども、しかし、サービスの質についてはもっと向上させようと、そういう両方をねらった体制の整備ということをしていかないと、ただ単に縮小、均衡に陥っては大変不幸なことになりますので、そういうことを取り組みの視点として考えておりますし、それから具体的な項目については聖域なし、先ほど申し上げましたが、先送りすることなくあらゆるものについて聖域なく検討の俎上に上げる。10月を目途に改革プログラムに数字を落として、その次に実現に向けて全力を尽くしていくということで、このプログラムをつくりました後で工程表を策定いたしまして、今後4年間の具体的なスケジュールもお示しをして、県民の皆様から御理解をいただいてまいりたいと考えております。当然この改革プログラムの策定に当たっては、地方振興局単位に県民の皆様から御意見を伺う会など、いろいろな手だてを尽くして県民の皆様方の御意見を拝聴する、それから我々の考え方もお示しするということで進めていきたいと考えております。
 次に、県立病院の運営につきましてお話しがございました。県立病院の役割は、一般医療の役割と、それからいわゆる高度・専門医療、一般的には政策医療と申し上げておりますが、こうした一般医療のみならず政策医療になっているというこういう役割がございまして、大変岩手県の医療の中では大事な部門でございます。県立病院の現状について申し上げますと、入院患者が今減少してきております。平成10年に比べますと平成14年度の1日平均の入院患者数が6.2%減るといったようなことがございます。それから、外来患者が減少している。これは背景に薬の長期投与が規制緩和で認められるようになってきたといったこともあると思いますけれども、外来患者が減少してきている。それから、3点目には、これは昨年の診療報酬のマイナス改定といったことが大きく影響しておりますが、経営収支が著しく悪化をしてきている。こうした3点の憂うべき現状がございます。
 そこで、先ほどお話しございましたように、これから県立病院の改革を進めていかなければならない。これについては実は県内を見ますと九つの保健医療圏ごとに民間医療機関の状況ですとか、地域の医療ニーズなどがさまざま異なっております。岩手県の中でもまだ盛岡を中心とした内陸部の方については民間医療機関などもございます。しかし、これが県北あるいは沿岸部の方に行くとそういった民間医療機関すらないような地域もございますし、著しく保健医療圏ごとにその状況が異なりますので、これからの県立病院のあり方を考えるときに、こうした保健医療圏ごとの検討が不可欠であろうと思っております。
 そうした圏域ごとのきめ細かい検討の中で必要な視点は、次の三つだと思っております。一つは機能分担と規模の適正化、これは保健医療圏ごとに今言いましたような民間医療機関や福祉施設など状況を十分に勘案して、病床数など適正化を図っていかなければならない。そういう意味での機能分担と規模の適正化でございます。それから、経営の効率化でございますが、これは、県立病院の業務をある一定程度集約化をしたり、それから医療器械、これは大変高額なものが最近多くなっておりますので、これの重点配置などによって一体的かつ効率的な運営を進めるということも必要だろう。それから、3点目が医療の質の向上でございまして、核となる病院の医師の体制や診療機能を強化する一方で、救急医療や高度・専門医療などの保健医療圏内での完結性を高める。こうしたことで医療の質全体をその圏域ごとに高めていきたい。
 こんな考え方で今、県立病院経営懇話会、外部委員も入ったそこの場において検討を進めております。これは秋までにそこの懇話会での一定の成果をいただいて、その上でまた県としての吟味をして、年内を目途に県立病院としての経営改革の具体的な方策をまとめていきたい。その上でその具体策を一つ一つ実行していきたいと考えております。
 次に、企業局の運営と新しい企業展開についてお尋ねがございました。これは今、議員からお話しがございましたとおり、企業局の業務というのがいろいろな歴史的変遷を経ながら今の電気、そして工業用水というところに来ているわけでございますが、この中で優秀な職員もおりますし、まだまだ新しい分野への展開ということも模索をしていかなければならないと考えております。電気事業につきましては大変多くのノウハウを持っておりますので、そうしたノウハウも十分に活用しながら、この間、新事業への展開ということで風力発電やRDF、いわゆるごみ固形燃料の発電でございますけれども、これについて種々検討してきましたけれども、その上で実現したのが浄法寺の風力発電事業ということでございます。こうしたことも含めて、今後もさらに別の分野での取り組みができるのではないか。
 今ねらっておりますのは、小規模の風力発電、実現いたしましたのは非常に大きな、風力発電としては大規模なものについてのものでございましたが、もっと小ぶりの小規模な風力発電の開発について、引き続き地域と一体となって取り組むことができるのではないか。これは従前ですとなかなか採算性が難しいということがございましたけれども、法律が変わりましてRPS法が適用になりますと、事業化の可能性が生まれるという可能性もございますので、こうした小規模な風力発電の開発について引き続き行っていきたいと思いますし、また、水力の発電、これも小型のものでございますが、農業用水などでそうしたことが使えるのではないか。これについても引き続き検討を行っていきたい。こういうことを考えております。
 それから、先ほど申し上げました、従来から検討を行ってきたRDFについては、どうも私どもの検討結果では、なかなか採算性の確保が難しいということで、ほかの県で具体的に行ってきたものも非常に苦戦をしているということでございますので、これについてはある程度今までの検討の蓄積ができましたので、これはこれとして置いておいて、そのほか新エネルギー分野の中で特に木質バイオマス発電、これについては今の段階ですと事業化がまだ困難な部分がございますが、一方では林業振興という観点や地球環境問題への取り組みといったようなこともございます。それから、当然これについてはこれから技術の飛躍的な進歩もあり得るだろうと思いますので、これは企業局とそれから農林水産部、知事部局の方の関係する部局などと十分な連携をとった上で、その可能性調査を進めていきたい。そして、何とかこれを実現にこぎつけていきたい。今こういうことを考えております。もちろんそれ以外の分野についてもいろいろな展開が期待をできるものについては、どん欲にその視点を広げていきたいと考えております。
 それから、森林の整備の関係についてお話しがございましたけれども、森林は、県土の約8割を占めておりまして、以前は木材や木炭といった、いわゆる林産物の供給ということが主眼でございましたけれども、最近では自然災害の防止、それから水源の涵養、さらには、地球温暖化防止といったようなことで、産業的な面より公益的な面に着目した新しい機能ということが注目をされてきておりまして、我々は8割の森林の中で暮らしている者として、これからこの森林の重要性を認識するということが大変大事になってきている。子供たちの環境教育から始めて、こうした森林の持つさまざまな機能というのは、十分に伝えていかなければならないと考えております。
 今までの政策展開は、やはりどうしても産業は産業分野、環境保全は環境保全の分野ということでの取り組みになってきていたということは、否めない事実だろうと思うのですが、そうしたその分野を乗り越えて、今申し上げましたように次世代ということを意識して、本県の豊かな緑、そしてあわせて水、こうしたものを次世代に引き継ぐという視点から一体的に、なおかつ総合的に森林や水循環に関する施策として、こうした問題を考えていく必要があるのではないかと思っておりまして、今、我々の内部で検討しているところでございまして、また時期が参りましたら議会の方に御説明を申し上げたいと思いますが、岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例、これは仮称でございますが、こうした条例を準備いたしまして、それで一体的な取り組みを進めていきたいと考えております。森は海の恋人運動のように、地域住民が主体となって、林業者とそれから漁業者が一体となったそういう取り組みなども、まさしくこの岩手と宮城県境を越えて行われているところでございますので、そうした具体例などを見るにつけても、こうした基本的な条例を整備して、さらに運動を進めていく必要があるだろうと考えているところでございます。
 こうしたことがございますので、先般、県の方で公表いたしました行財政構造改革プログラムの骨子の中でも、こうしたことを推進していく上で、やはりそのためにはどうしても財源を新たに確保していく必要もあるだろうということで、その中で必要な新たな税等の導入について検討するということで、項目として盛り込んだものでございます。現時点でどのような税制度にするのか、どういうような負担が許されるものなのかということについてまだ議論をしておりますので、決まっているわけではございませんけれども、今お話しございましたように、一つ参考になりますのは高知県の森林環境税でございますし、それからもう一つは、広く言われているいわゆる水源税と言われるような方式でございますし、それから3点目は、愛知県で行っております中部水道事業団が導入をした水道料金の中に上乗せをして徴収をする方式がございます。そして、この方式は先ほど議員の方からお話しがございましたように、上下流一体の森林整備ということで、それぞれの住民、都市住民を含めたそういう人間からの理解も得ながら、全体として進めていくということでございますので、これも内容として注目すべきものと思っております。
 したがいまして、こうしたいろいろな方式がございますので、内容についてよく調査をして、そして岩手県として今申し上げましたような大きな森林の機能を考えていく上で、どの方式が一番県民の皆さん方に御理解をいただけるものなのかどうか、十分に検討した上でこの問題を考えていきたいと思っているところでございます。

〇40番(伊藤勢至君) ただいまは知事から御答弁、るるちょうだいをいたしましてありがとうございました。いつものちょっと切れ味に欠ける知事の御答弁だったと思っておりますが、そのうち酒でも飲みながら、ゆっくりひざを交えてと思っていますが、お酒をやめられたそうでありますから、ウーロン茶でも飲みながらやろうかと思っているわけでありますが、1点、新しい産業創造という部分についてお伺いをいたしたいと思います。
 実は私は今まで、海という部分にもっと県の目を向けてもらいたい、いろいろ機会あるごとにお話をしてきたつもりでございます。県は海と言いますと、水産、漁業あるいは海運、観光、レジャー、そういうとらえ方だけだったと思っております。実は今使われております携帯電話の電源はリチウムということで、これは海水からとる、あるいは将来の自動車はマグネシウムになる。これも海水。いろいろ言われております。それから、燃料電池のメタンハイドレート、メタンガスの堆積層、これも海底にあると言われております。
 そういう中で、昨日でございますけれども、国が大陸棚についてのいろんな調査を新しく始めるという動きが出てまいりました。この大陸棚の中には数十兆円の資源が眠っているということでありまして、まさにこれが我が岩手県の三陸沿岸の大きな将来の発展の基礎になるもの、このように実は考えているところであります。そして、今後三、四年の間に国は1、000億円の予算をもって調査をしていくということでございますので、ずっとこの議会の中でしゃべってまいりましたが、一昨年、ようやく文部科学省にこの点の要望を出してもらったところでありまして、三陸沿岸の新しい産業、企業という観点からこれを先取りして動き出すべきだと思っておりますが、知事にお考えをお伺いいたしまして終わります。

〇知事(増田寛也君) 今の点についてお答えをいたします。
 昨日、新聞に、政府の方で大陸棚調査を抜本強化するという記事が出ておりましたので、これは、海岸を抱えております、そしてそこにいろいろな資源があるであろうと思われますので、岩手県としてもこうした動向については十分注意を払っていく必要があるだろうと、こういうふうにまず思っております。
 それで、その中でメタンハイドレートについて今お話がございましたが、ことしの5月にもうちの科学技術課の職員が、国の方で行われましたこのメタンハイドレートについての研究成果報告会というものに参加をいたしまして、主に国内の大学研究者、民間企業関係者などが対象で、公開で行われたもののようでございまして、東京で行われているものでございますが、自治体の参加は余りなかったようでございますが、私どもの方で職員が参加をして、こうしたメタンハイドレートについても我々としても情報収集をして、その動きを今、十分に注視をしているところでございます。
 これから、こうした埋蔵資源といいましょうか、資源のない我が国の中で、まだ未開拓のこうした資源を活用することについていろいろな動きがあると思いますので、県としても、こうしたことについて立ちおくれがないように的確に情報収集を進めていきたいと、こういうふうに考えております。

〇議長(藤原良信君) 次に、藤原泰次郎君。
   〔45番藤原泰次郎君登壇〕(拍手)


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