平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、第4号、第14号に反対の討論を行います。
 認定第4号平成18年度岩手県一般会計歳入歳出決算は、増田前県政の3期12年の総決算と言うべきものであります。
 反対する第1の理由は、無駄と浪費、身の丈を超えた大型開発の推進と、地方分権とは名ばかりの三位一体改革を先導して県財政の破綻を招いたことであります。
 増田知事の12年間で、県債残高は5、940億円から1兆3、922億円に8、000億円も増大し、一方、主要3基金の残高は1、479億円から282億円に1、200億円も減少したのであります。9、200億円も県民の財産を食いつぶした県政となりました。地方分権を先導したものの、進められた三位一体改革の中身は、地方交付税が397億円も減少し、国庫補助負担金も238億円、合わせて635億円も減らされる結果となりました。こうした県財政の深刻な破綻の結果、増田前知事は、県政に未練を残しながらもやめざるを得なかったのであります。
 第2の問題は、競馬組合の破綻と、県民の税金330億円の投入を行ったことであります。
 競馬組合は、平成11年から赤字となり、昨年度までの8年間で166億円の赤字をつくりました。ついに3年前に岩手銀行からの融資を断られ、破綻に追い込まれたのであります。増田知事は、乾坤一てき、競馬組合の再建を目指すと途方もない売り上げ増計画を示し、構成団体からの年間37億円の融資を行いましたが、結果は、新たに2年間で43億円の赤字をふやすことになったのであります。2度にわたって競馬組合は破綻状態に陥ったにもかかわらず、今度は330億円を融資して、競馬組合のすべての借金を帳消しするということを提案してきました。県議会で1度はこの融資を否決したものの、わずか4日後には1票差で融資が決められたことは、県議会に汚点を残すものとなりました。また、こうした競馬組合の破綻と330億円の税金投入に対して、増田前知事を含めてだれも具体的な責任をとらなかったことも異常なことでありました。
 しかし、新しい競馬組合改革計画の実態は、10月15日現在で自場発売額は前年対比87.1%、当初計画対比84.2%、見直し後の計画対比でも92.5%と、破綻は明らかであります。2度にわたる4億9、500万円のコスト削減を行ったにもかかわらず、さらに2億円台後半のコスト削減が必要となっております。コスト削減による収支均衡を図るやり方は限界に来ていると言わなければなりません。
 負の遺産を受け継いだ達増県政は、12月までに競馬組合の存廃を決めるとしていますが、県議会と県民に対して具体的な存廃の根拠を示すべきであります。
 第3の問題は、国の政策に追随して、福祉を切り捨てる県政となったことであります。
 増田前知事は、4年前の選挙公約で福祉予算の拡大を約束したにもかかわらず、4年間で116件、19億円の福祉事業を削減しました。特養待機者、重度者の半減を掲げたものの、ことし3月末の特養待機者は在宅で2、172人、そのうち重度者は1、302人、1年間で209人も増加しました。老健施設や病院などで待機している高齢者を含めると待機者は6、492人、重度者はその71.4%の4、638人となっております。さらに、介護保険法の改悪によって、介護ベッドを利用していた84%のお年寄りから介護ベッドを取り上げました。障害者自立支援法では、障害者に平均1万2、560円の負担増を押しつけ、施設事業者には日割り方式の報酬削減で経営を困難に追い込みました。
 後期高齢者医療制度の広域連合が創設されましたが、これは、75歳以上のすべての高齢者から保険料を取り立て、滞納すれば保険証を取り上げる、医療は定額制の差別医療という世界に例のないうば捨て山医療であります。ごまかしの凍結ではなく、この中止を強く求めるものであります。
 第4の問題は、深刻化する雇用対策の後退であります。
 05年の国勢調査では、県内の完全失業者は4万5、662人で失業率6.2%、15歳から34歳の青年の完全失業者は1万8、282人で失業率9%という深刻な実態が明らかになりました。さらに、非正規雇用労働者は、全体で3人に1人、青年は2人に1人と、ワーキングプアの状態となっているのであります。ところが、増田前知事は、雇用情勢は全体として改善されていると誤った判断の上で県の雇用対策本部を解散し、雇用対策局を廃止してしまいました。達増知事が雇用の危機を県政の重要な課題とするのであれば、新たな雇用の拡大と非正規雇用の改善、偽装請負や日雇い派遣の根絶に県の全部局を挙げて取り組むべきであります。
 第5の問題は、6割以上の農家を切り捨てる農業政策の推進であります。
 国の品目横断的経営安定対策は、個別農家で4ヘクタール以上、集落営農では20ヘクタール以上で、法人化などを目指す強制的な集団化であります。加入農家は個別経営体で1、852戸、集落営農で326組織となっていますが、これは全農家の26%、米、麦、大豆の販売農家の36%であります。加入面積は、全作付面積の39%であります。こうした農家選別と切り捨て政策はやめるべきであります。家族経営を守り、日本学術会議も指摘しているように、強靭で重要な役割を果たしている兼業農家を担い手として位置づけるべきであります。
 ことしの米価暴落は、60キロ当たり県産ひとめぼれで1万3、412円、昨年比1、200円、9%の減となりました。大規模農家と集落営農に打撃を与えるものとなっております。この根本には、国が価格支持政策と生産調整を放棄したことがあります。自民党農政の根本的な転換が求められています。
 第6の問題は、教育に競争と市場原理を導入して、子供と学校を混乱させてきたことであります。
 増田前県政の特徴は、日本経団連などの主張と政策に追随して学習定着度調査や4県合同テストなどを導入し、子供と学校をテスト漬けにしてきたことであります。ことしの4月には全国学力テストも実施されました。こうした競争の教育が子供たちを苦しめ、不登校やいじめの増大の要因となっているのであります。
 県立一関一高に突然、併設型中高一貫校の導入を進めましたが、これは小学校まで受験競争を激化させるとともに、地元の既存の中学校の存立にも影響を与え、高校間格差をさらに拡大させるものであります。
 授業の準備も子供と寄り添うこともできない教員の多忙化の解消は急務の課題です。教員を5段階に選別し、教員の協力、協働をゆがめる新昇給制度は見直すべきであります。
 県は、少人数学級を求める県民の運動の広がりの中で、35人学級をついに昨年度から小学校1年生で実施し、今年度は2年生まで拡充していますが、成果が上がっている少人数学級は、県議会の請願採択を踏まえて、速やかに小学校全学年で実施すべきであります。
 最後に、市町村合併推進も、増田県政とともに達増県政の突出した特徴であります。この間、合併した自治体も、人員削減は進めたものの、周辺部の衰退と過疎化が進行しています。合併後の調整も道半ばであります。こうした中で、知事の勧告権を振りかざして市町村合併を推進するやり方は市町村長の不信を広げており、直ちにやめるべきであります。
 認定第1号は、平成18年度岩手県県立病院事業会計決算であります。
 県立病院は、県民の命と健康を守るかけがえのない役割を果たしており、医師、看護師等の皆さんが献身的に取り組まれていることを正当に評価するものであります。しかしながら、国の医療費抑制、医師抑制政策のもとで、地域医療の後退をもたらす診療所化の推進は見直すべきであります。
 訪問診療や訪問看護の継続を図る体制を確保すべきであります。
 医師確保とともに看護師の増員を図り、2人夜勤の解消とともに、中央病院では7対1の看護体制を実現すべきであります。
 認定第14号は、平成18年度岩手県港湾事業特別会計決算であります。
 貨物量が減少している中での大規模開発は見直すべきであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号、認定第4号及び認定第14号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第4号及び認定第14号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号、認定第3号及び認定第5号から認定第13号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、認定第2号、認定第3号及び認定第5号から認定第13号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   日程第17 議員派遣の件
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第17、議員派遣の件を議題といたします。
〔参照〕
議事日程第6号中 日程第17  議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の目的派遣場所期間派遣議員
第7回都道府県議会議員研究交流大会東京都平成19年11月16日から
平成19年11月17日まで
佐々木一榮 議員
工藤 大輔 議員
五日市 王 議員
郷右近 浩 議員
岩渕  誠 議員
小野寺研一 議員
嵯峨 壱朗 議員
高橋比奈子 議員
高橋 博之 議員
工藤 勝博 議員
及川あつし 議員

〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました1件についてでありますが、会議規則第114条の2第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   閉会
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第3回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後4時35分 閉会

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