平成17年9月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(佐々木順一君) 工藤大輔議員の一般質問中、高校再編について、諸般の事情から、関連質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど照井教育長は、学級減について関心が集まらなかったような推測をしている、こういう御答弁がありました。余り推測で答弁されましても困るわけでありますので、確かな答弁を御期待申し上げたいと思っております。
 今、請願が3本提出されております。うち2本は、首長さん方が一応――肩書は違うんですが――提出者になっております。よって、見方によるわけでありますが、ある意味では、その町村の住民の総意である、こういう理解が成り立つと思います。従来から、首長さん方は、県になかなか請願なんていう最後の手段はとらないのが一般的でありましたが、今これをとらざるを得ないというのは、逆に言いますと、かなり深刻な問題であるというような認識を私は持っております。
 そこで、先ほど工藤大輔議員の質問の中で、いろいろ説明不足の点もあったような答弁がありましたので、そこは具体的にちょっとお聞きいたします。
 当初の、去年の第1次案が8月に発表されましたが、その中には、原則、後期期間中は本校として維持することを掲げつつも、大迫高校などについては、具体的高校名を挙げて、後期計画の中間年である平成19年度に、17年ないし19年度の定員充足率などを勘案し、この期間中の整備を検討する。なお、状況の変化に対応するため、それ以前の着手も検討すると明記されておりました。
 以後、調整案、再調整案、いろいろ経てまいりましたが、今回の最終案では、募集定員に対し1学級相当程度の欠員が生じている場合には、原則として翌年度に学級減を行うものとする。ただし、中学校卒業予定者数に回復の見通しがあれば学級減を行わないことも検討すると書かれております。しかしながら、ここでは具体的高校名は挙げないで、いわば、表現方法とすれば一般論的扱いになっております。
 ついては、前の当初案では具体名、高校名まで挙げまして具体的な取り扱いを定めたわけでありますが、今回は一般論に終わっていると。したがって、これは、私が思うには、注目を回避するような一般論的表現にとどめたような感がありますけれども、なぜこういう一般論にとどめたのか、そこをまずお聞かせいただきたいと思います。
 それで、もう1点ですが、今回の最終調整案では、この原則という言葉を使っております。でも、例えば大迫の町では、この原則というところに期待を寄せておりました。この期待に一縷の望みをつないでおったわけでありますが、結果として、その期待も否定されたわけでありますので、その落胆は、地域にとってはそれ相当の、想像を超えるものがあります。
 当然ながら、学級学科の改編は県教育委員会の専管事項でありますから、執行権そのものであることは十分承知しておりますけれども、問題は、地域あるいは関係機関に対して一連の説明が、丁寧かつわかりやすい説明を十二分に行った結果、導き出された結論であったのか、こういうことであります。
 すなわち、説明の手順としては、小規模校の取り扱いについては、昨年の当初案を一回やっぱり白紙に戻して、それを明確にして、そこから説明を組み立てていくということが必要であったのではないかと思います。なぜかといいますと、前回の当初案のこの県の扱いが、皆さんの頭の中には残っているわけでありますから、これを一回やっぱり白紙に戻すとか、そこから説明を行う必要があったと思います。
 そして、遅くとも最終調整案の説明の段階までには、明年度以降の学級減の対象校についても、当該自治体などに対してしっかりと提示をして、その上で理解を取りつけることが極めて常識であったと思いますが、関係機関から聞き取りをしましたところ、当初案を白紙に戻すことも含めまして、具体的校名を挙げての学級減に関する説明は一切なかった、こういうことを聞いております。
 加えて、7月19日の後期計画の公表から半月後に学級減の公表が行われたことも、不満を加速させる要因にもなっております。今や地域の受けとめ方は、学級減の対象校を挙げることを、教育委員会はあえてこれを一貫して意図的に避けたのではないか、こういう不信感もあります。
 ついては、教育長は、今までの一連の説明について全く落ち度はなかったものと思っているのか、そして、先ほど説明不足だったような答弁もありましたので、再度説明会を行う用意があるのかどうか、まず、御所見をお聞きしたいと思います。

〇教育長(照井崇君) 後期計画に学級減の対象校を挙げなかった理由ということでございますけれども、このたび策定した後期計画においては、学級数と学科改編についての考え方を示しまして、それは、先ほど来御説明している中学校の卒業予定者の状況などなど、こういったものを勘案しながら、毎年度調整するということをはっきりとうたっています。それで、これを説明しています。
 そしてまた、通学困難な地域を抱えるいわゆる小規模校、これについての取り扱いについても、方針というものをしっかりと定めたということですので、前のように個々の具体的な校名までは、そういうことで特に記載しなかったところでございます。
 それで、地元に対する説明でございますけれども、私は、やはりこれまでの後期計画案がなかなか地元の皆様方から御理解いただけなかったということで、新年度に入りまして、なぜそうなのか検証しました。それで、その検証の結果とそれに基づく今後の方向性について、そういうことで、その後、各地に直接出向いて、地域の皆様方に説明し、そして、意見交換をしながら再調整案というものをまとめたところです。
 それで、そのときに出た御意見、それから、もちろん再調整案を公表した後、これについて、地元の、特に教育委員会の方々などとの意見交換の場で、ただいまの、とりわけ学級数の取り扱いなどについては十分説明してきたつもりです。
 したがって、先ほど御紹介したように、その後の各地からのパブリックコメントとか、直接電話等による照会、問い合わせ、あるいは各地域からの要望等がございましたが、そのときもしっかり説明しました。しかし、それに対して、その考え方はおかしいとか、それは聞いていないとか、そういうことは特にはありませんでした。したがいまして、私どもとすれば、この後期計画の再調整案の考え方は、おおむね県民の皆様から一定の御理解をいただいたものと受けとめて、7月19日に正式に策定したということでございます。
 ただ、先ほど来出ているように、地元の皆様方の、特に小規模校の学級数の取り扱いについて、なかなか私どものここでお示しした考え方が正確に伝わっていなかったとすれば、やっぱりそれは、私どもももっと丁寧に説明した方がよかったのかなと受けとめているところでございます。

〇28番(佐々木順一君) 先ほど、関心が集まらなかったと、工藤大輔議員の質問にはそうおっしゃいましたけれども、これを裏返すと、関心がなかったから、結論が出ましたのでこのままやりますということになるわけですよね。まず、理屈上は。
 それから、今の答弁を聞いて、説明が十分ではなかったような、そういう反省の御答弁もにじませたような気がしております。よって、やっぱりこのままやってしまうと、すごく県と各自治体及び県民を巻き込んで、いろいろな不信感がさらに増幅しかねないと思いますので、もう一度仕切り直しをやった方がよろしいのではないかと思います。説明して、理解までやっぱりちょうだいしないといかんわけでありますから、そこはひとつ、今後どういうお考えがあるのか、再度答弁を求めたいと思います。
 それから、知事にお伺いいたします。
 この状態で毎年毎年やることになりますと、結局、犠牲者は生徒になると思います。よって、ある意味では、小規模校の取り扱いについては、今までは県教委の方にお任せしたようなきらいもありますが、この段階、これを収拾するために、やっぱり知事として何らかの方針を示すべきではないかと思いますが、まず、御見解をいただきたいと思います。
 それから、本県の優位性は、ある意味では広い県土と多様な環境、こういうところが日本全国の中でも誇れる部分だろう、こう思っております。そういう中で、いろいろな人間が、そういう地域から、多様な価値観を持った、また人材が輩出されて、そういう方々が今、県内外で活躍しているわけでありますが、これを仮に市部の方に生徒を集中させるとなると、県みずから、広大な県土を持つ多様な環境を持っている岩手県の優位性といったものを否定することになるのではないかと思いますが、その辺はどうお考えなんでしょうか。
 それから、知事は、地域づくりの基本は人づくりという認識に立って、地域を支える人づくりを政策目標に掲げておりますが、今までの小規模校の取り扱いについて、取り組んできた県教育委員会の取り組みが、知事の掲げる政策目標と合致するのかどうか、これもお聞きしたいと思います。
 それから、財政難というお話もあるかもしれませんが、もしそういう理由であれば、知事が4年間で200億円の枠を確保しているわけでありますから、米百俵の精神ではありませんが、その一部をこの小規模校の維持とか、そういうものに活用するということも考えられると思いますが、この点につきましてもお考えをお聞かせいただきたいと思っております。
 それから、もう一つは、制度的に検討してみていただきたいことは、高校でありますから、教師は専門の教員でありますので、やり方次第では、複数の高校の担当をかけ持ちしてもよろしいのではないかと。そうなれば、ある意味では財源の縮小にもなるわけでありますけれども、そういった取り組みを検討するお考えがあるのかどうか。
 以上お聞きいたしまして、関連を終わりたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 今の関連質問についてお答え申し上げますが、まず、高校の後期計画をつくったわけでありますけれども、背景に少子化ということがあるわけで、生徒減少が続く、そういう中で、教育環境を整えなければいかんということで、計画ができ上がっているわけです。
 教育だけを考えるとそういうことなんですが、一方で、地域振興に果たしている、そういう役割、あるいは機能ということも高校の場合にはあるだろうということで、それも視点に入れてああいう計画ができ上がったと考えておりますので、これは、適切に学校・学科を配置するということで、各方面にいろいろ御説明して、その考え方について御了解いただいていると私は理解をしています。それは、小規模校の維持方策についてもその中に書いてあるわけですけれども、それも含めてですね。
 小規模校については、御承知のとおり、経緯を言いますと、1月に公表した調整案というものがありましたけれども、これは、2学級維持できない場合には、統合を前提として、新しい分校はもう置かない、こういう考え方に1月の調整案はなっていました。
 いろいろ地域で、教育委員会の方でその後要望を聞いたようですけれども、そうではなくて、やはり地域の実情にきめ細かく対応しなければいかんということで、6月に再調整案が出ましたが、あの中では、分校として存続できるという道もさらに選択ができる、こういう選択肢が広がりましたので、私は、そのことも含めて、今回の後期計画については、適切に学校・学科を配置するということでまとめ上がったんだろうと認識をしているわけであります。
 それで、手続のことについていろいろお話が先ほど来ありましたので、教育長の方から、どういうふうに具体的に教育委員会で手続を進めていたのか、これはまた答弁があると思いますけれども、私は、そういう中身ででき上がったこの後期計画ですから、これは当然、知事としても、そもそもこういった内容については教育委員会の専管事項でありますので、教育委員会の考え方を尊重したいと思っておりますし、その教育委員会がそうやってまとめたことを尊重する考えは、今後も変わらないところであるわけです。
 今、議員の方から、地域づくりの基本は人づくり、こういうことでお話がございました。これは、まさに私が申し上げていることで、人づくりは大変大事なことでありますから、これは、余り財政的なことで制約をつけるということは私もやりたくないので、教育予算については、これまでもできるだけ配慮してきたつもりでございます。まだまだ不十分だというおしかり、いろいろあるかと思いますけれども、今の県の置かれている財政状況の中で、教育予算についてはできるだけ配慮してきているところでございまして、今後もさらに、それはやっていかなければならないと思っております。
 やはり地域でのさまざまな難しい状況というものはあるので、地域の皆さん方にも生徒数増に向けての御提案をいろいろ出していただきながら、双方で知恵を出し合いながら、教育環境のさらなる充実に努めていく必要があるのではないかと。私も、それはできるだけ応援をしていきたいと思っております。今、この小規模校の存続についていろいろお話が出ておりますが、私は、後期計画の中で、分校としての存続選択の道も開いたわけでございますので、ああした計画、そして教育委員会の考え方を尊重したい、このように考えております。

〇教育長(照井崇君) この後期計画の考え方につきまして、地元の皆様方に十分御理解いただけるよう、さらに努めてまいります。
 それから、また、御提言のありました件については、今後検討させていただきます。

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時31分 散 会


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