平成21年6月定例会 第12回岩手県議会定例会 会議録

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〇40番(及川幸子君) 民主党の及川幸子でございます。
 県議会議員としてはや10年、11回目の登壇の機会をいただきました。会派皆様の御配慮に感謝しながら、県政が抱える課題を順次質問させていただきます。
 本年4月1日から施行されております岩手県議会基本条例の規定に基づき、6月定例会、この場で分割方式により質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、県政運営について達増知事にお伺いいたします。
 1期目の折り返しに入っている今、山積する県政課題に果敢に取り組んでいただいており、敬意を表したいと思います。しかし、一方では、そのまじめに取り組む姿にもかかわらず、政策決定が見えてこないとか、情報発信が伝わってこないとかの声も聞かれてまいります。
 そこでお伺いいたしますが、2年間県政運営に携わり、何をどのように改めて、どんな点を評価されているのか伺います。
 また、2001年度に9、004億円余だった県の一般会計当初予算が、2009年度、6、588億円余に減少。一方、県の借金である県債残高は1995年度の7、029億円から、2008年度には倍とも言える1兆4、169億円に達する見込みであり、一体、岩手丸は大丈夫かと懸念するものであります。厳しい財政運営を強いられる中、新しい長期計画の検討も進められておりますが、今後、どのような戦略的方策を展開しようとしておられるのか、力強い答弁、お考えをお示し願います。
 県政を運営する上では、地域に出向き、県民と課題を共有することが今求められております。知事就任以来、県政懇談会を六十数回開催されてきておりますが、地元住民との対話の中で、何を得て県政に反映されてきたのでしょうか、お伺いいたします。
 4月からの県立5地域診療センターの入院ベッド無床化計画の折にも、地元への説明不十分がさまざまの反対論議に及んだと思いますが、地域の医療の確保に当たっても、地域の方々を交えた論議が求められており、地域医療に関する懇談会を今後どう進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、県財政が逼迫する中で、県所有の未利用地の活用策を打ち出すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 黙って眠る土地、建物に目を配り活用方策をとることが、県財政の危機を少しでも救うものであると思います。処分予定地県内68カ所を見るにつけ、もったいないの一言に尽きます。さらに、このほかにも、県民からの購入や借り受けの希望がありながら金額面で折り合いがつかず、処分に至らない財産があると承知しておりますが─具体的にはみどりの郷に隣接する県有地でありますが─県において活用する見込みのない財産は、財産処分を所有する部局において、売却価格等について柔軟に対応できる制度への見直しを行うことが、未利用財産の処分の推進と財産の有効活用につながるものと考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 4広域振興圏の振興についてお伺いいたします。
 このことについては、新しい長期計画素案の中にも盛り込まれておりますが、平成22年4月からの振興局再編は、特にも、発足から3年の県南広域振興局における成果、課題をかんがみて打ち出されたようであります。申請や事務手続のため本局に出向くことは、移動距離が長く不便との指摘には、改善策として、現地に出向いての受付や郵送、IT活用などによる対応を挙げられているようですが、果たして時間的に無理はないのか。かえって二重に負担が加わり、大変ではないかと危惧するものであります。広域振興局への移行により、事務処理が煩雑になるのではないかとの多くの声が聞かれますが、御所見を伺います。
 県から管内市町村への権限移譲の延べ件数は、全県の43%に当たる4、795件と、一定の成果を上げていることは、今後においても積極的に取り組むべき点であると考えますが、県南振興局において、総合支局の各部門を花巻、北上を原則として統合し、より効率的な行政推進を図るため各部門の行政センターを設置することとし、北上には農林部門の農村整備、土木部門の設置を考えているようですが、工業集積の進む北上の体制をどのように考えておられるのでしょうか、お伺いいたします。
 本局と行政センターの役割分担は、今まで行ったパブリックコメント、地域説明会、市町村からの要望、意見等、1、477件の意見を踏まえ作成されたようですが、振興局職員の意見についても反映された結果だったのでしょうか、お伺いいたします。
 また、振興局再編においては、知事部局の組織ではない教育事務所の再編はどのように位置づけられるのでしょうか。体制整備の中で同時並行的に議論すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 教育の人づくりこそがすべての部局の原点になっていくことから、明確な位置づけを望むものであります。
   〔40番及川幸子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、2年間の県政運営の自己評価についてでありますが、私は、地域で暮らす方々の豊かな生活を実現していくことが、私に課せられた責務であるとの考えのもと、知事の仕事は知ることに尽きるという姿勢で県内を回り、県民の声に耳を傾けながら、県民のために何ができるか、どうすれば課題が解決できるのかを考えて県政運営を行ってきたところであります。特に、県政懇談会を通じて、さまざまな草の根の活動を展開している地域コミュニティなどに足を運びまして、県民各層と意見交換を行うとともに、ITを活用したインターネット知事室や、また、新しい長期計画に関する知事ブログの開設などにより、県民に直接情報を発信しているところであります。
 また、政策決定過程の透明性や県民への説明責任の確保を図るため、パブリックコメントの実施や県政情報の積極的な公開に努めています。
 今後においても、より一層、情報発信の強化と政策決定過程の透明性の確保に努めるとともに、県民に対する説明責任を果たしながら、県民本位の県政を進めてまいりたいと思います。
 次に、新しい長期計画の戦略的方策についてでありますが、グローバル化や人口減少、少子・高齢化の進行など、本県を取り巻く社会経済環境が大きく変化し、また、行財政資源の制約が強まっている中にありまして、今後においても、県民一人一人がみずからの希望に向かい、生き生きと働いて、そして安心して暮らしていくことができる社会を構築していくことが重要と考えております。
 このため、今般公表した新しい長期計画の素案においては、基本目標を、「いっしょに育む希望郷いわて」というふうにしておりまして、岩手の未来を開くために重視する視点として、「ゆたかさ」、「つながり」、「ひと」をそれぞれはぐくむということにしているところであります。これは、岩手の歴史や風土に培われた岩手ならではの価値を、真の豊かさにつながるものとしてはぐくみ、人と人、人と地域、地域と世界など、さまざまなつながりをはぐくむことによって、さらにその価値が高まる。同時に、それを担う人をはぐくんでいく、そうしたことによって、一人一人の希望が実現して、ひいては、岩手全体が希望にあふれる姿にしていきたいというふうに考えております。
 また、実現していきたい岩手の未来というものをより確かなものにしていくために、9月に公表を予定している計画案においては、先駆性、独自性があり、政策分野を超えた取り組みの方向を、いわての未来を切り拓く構想として掲げることとしております。今後、12月に予定している計画の策定に向けて、さらに県民の皆様からさまざまな御意見をいただきながら、10年後の希望あふれる岩手の姿や、その実現に向けた具体的な施策を示していきたいと思います。
 次に、県政懇談会についてでありますが、知事就任以来、県内各地を訪問し、多くの県民の皆様と直接語り合い、課題を共有することで、県民の声の県政への反映、そして県民との協働による地域づくりを推進しております。県政懇談会を通じて、県民の皆様が暮らしや仕事の現場でどういったことに直面し、どういった思いを抱き、また、希望、不安、具体的にどういったものがあるのかを伺うことによって、現場の状況を肌で感じ取ることができたと思っておりますし、また、私のほうから私の考えを直接伝えることで、お互いの理解を深めることができていると考えております。
 また、県政への反映状況については、平成19年度、20年度の2カ年で150件の御意見、御提言をいただきました。そのうちの8割近くについては、趣旨に沿って措置を済ませておりまして、実現に向けて努力しているところであります。
 今後とも、県民の皆様のさまざまな活動の現場にお邪魔をしながら、草の根の懇談の機会を数多く設けて、真摯に県民の皆様の生の声に耳に傾け、県政の反映に努めてまいります。
 次に、地域医療に関する懇談会の進め方についてでありますが、1回目の懇談会は、各圏域ごとに現状と課題の共有を目的として開催をいたしました。住民の自主的な取り組みや、また、市町村の主体的な取り組みの必要性など、それぞれの立場からさまざまな御意見をいただいたものと承知しております。
 2回目以降の懇談会では、1回目でいただいた意見や、地域の住民や、また、医師会が病院を支援している各地の事例などをもとにして、地域医療を支えるために、県、住民、関係団体、そして市町村などが取り組むべきことについて、さらに意見交換を行って議論を深めるよう進めていくこととしております。
 それぞれの圏域において各主体がみずから行うこと、それから連携して行うことなどについて、秋ごろまでにさまざまな提言をいただいて、さらにそれらを具体化するための方策について集約が図られていくことを期待しておりまして、県も各実施主体と連携・協働して、その実現に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 県有地の未利用地の活用策についてでございますが、県の機関や所在市町村に活用計画のない土地等につきましては売却や貸し付けを進めてきたところでございますが、今後とも、その処分を積極的に進めまして、歳入の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、御提言のありました売却価格等について柔軟に対応できる制度への見直しについてでございますが、これは、財産処分を積極的に推進するための有効な手法と考えております。
 他方、固有財産の処分につきましては、地方自治法の規定により、適正な対価によらなければならないという法的な制約もございます。このような中でどのような対応が可能なのか、しっかり研究してまいりたいと存じております。
   〔地域振興部長加藤主税君登壇〕
〇地域振興部長(加藤主税君) まず、広域振興局への移行に伴う事務処理についてでございますが、今後の広域振興局の体制につきましては、先行した県南広域振興局の課題を踏まえ、効率的に事務が処理されるよう検討しているところでございます。
 体制面においては、本局、支局、センターの構造により事務が煩雑になった、役割がわかりにくいとの指摘がありますことから、本局とセンターのみの体制にすることとしております。また、広域振興圏全体における企画調整業務や高い専門性、技術力が必要な業務などについては本局で処理するものの、県民の利用頻度が高い行政サービスは、できる限り行政センターで完結できるようにしております。特に、本局で処理する事務につきましては、現地に出向いて申請を受け付けるなど、可能な限りサービス水準を確保するとともに、業務手順の徹底を図ることにより、円滑な処理に努めてまいります。
 次に、北上の体制についてでありますが、県南広域振興圏は、北上地区を初め自動車、半導体関連産業等ものづくり技術を有する企業等が集積し、本県経済を牽引する地域であると認識しております。
 広域振興局体制の整備に当たっては、本局のものづくり人材育成など産業支援機能を強化し、北上地区を含む圏域全体にわたる施策の一層の推進に取り組むこととしております。特に、北上地区については、今後とも、全県を視野に入れた産業支援施設である工業技術集積支援センターの機能強化を図ってまいります。
 新しい体制のもとにおいても、いわてデジタルエンジニア育成センターにおける人材育成事業を実施するなど連携を図りながら、北上地区が本県のものづくり産業の中核的役割を引き続き担うことができるよう、取り組んでまいります。
 次に、振興局職員の意見の反映についてでありますが、広域振興局体制の検討に当たっては、これまで数次にわたる説明会や職員との意見交換を行うなど、庁内外の意見をいただきながら進めてきたところでございます。特に、本局と行政センターの役割分担につきましては、現場で県民の皆さんへのサービス提供に実際に携わる職員の意見も踏まえつつ、調整、取りまとめたものでございます。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 教育事務所の再編についてでありますが、教育事務所は、市町村教育委員会や小・中学校に対する指導、助言、援助を行うための機関として設置したところでありますが、その改廃や所管区域の見直しについては、これまでも地方振興局の設置あるいは再編などを契機としながら行ってきた経緯があります。したがいまして、今般の広域振興局などが再編されるに当たっても、教育事務所の所管区域を見直す機会と考え、振興局の再編案の検討経過や教育事務所の機能のあり方にも十分留意しながら、教育事務所の再編について検討を進めていくこととしているところであります。
〇40番(及川幸子君) それぞれ御答弁をいただき、ありがとうございます。特にも達増知事におかれましては、原稿から目を離して、私の方に視線を向けての答弁に対し、大変気持ちが伝わりまして、ありがとうございます。
 県所有の未利用地の活用策について再度お聞きいたします。
 眠る土地を民間の方が大いなる発想のもと、岩手県の観光名所としても今後活用していこうというときに、古い県の制度を引きずったままでは、いつまでたっても眠る財産であります。民間でできることは民間に任せる仕組みづくりを必要としますが、再度総務部長のお考えをお示しください。
〇総務部長(菅野洋樹君) 貴重な県民の共有財産でございます県有財産の有効活用を図りますことは、県財政を活性化する意味でも一つの重要な課題であろうと存じてございます。
 先ほど申し上げましたとおり、法的な制約もございますが、こういった中で何ができるか、制度的な問題や他県で何かやっているのはないか、その辺をよく調査、研究を進めさせていただきたいと存じております。
〇40番(及川幸子君) ありがとうございます。
 次に、医療・福祉施策についてお伺いいたします。
 平成21年県の施策に関する県民意識調査の結果が4月27日に示されました。あなたの暮らしにとり重要度が高かった項目についての結果は、適切な医療体制、高齢者や障がい者に安心な地域づくり、安心な子育て環境整備等が前年同様、上位に上がっております。そこで、重要性の高い課題について順次質問させていただきます。
 まず、父子家庭への支援策についてお伺いいたします。
 今の制度では、母子、父子福祉対策の概要を調べてみますと、母子家庭に対する何らかの支援、援助が22項目あるのに対し、父子家庭に対しては6項目と、全く子育てに対する援助が十分とは言えない状況であります。父子家庭に何らかの支援があるのも知らず、2歳、3歳の幼子を抱えながら、1人で働き続ける父親の苦悩を知り、母親のほうだけの優遇ではないかと思えたのであります。母子家庭と同等までいかなくても、父子家庭に対しても何らかの方策を講じるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、父子家庭への支援については、国や県とは別に市町村も努力すべきであると考えますが、医療費助成について見ますと、35市町村中13市町村、何と3分の1のみの実施でありました。今後においても、市町村に対し助成の施策がなされるよう働きかけるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 高齢化対策についてお伺いいたします。
 このたびの補正予算においては、老人福祉施設整備費として4施設の整備が示されましたが、県内の施設への入所希望待機者をどのようにとらえているのでしょうか。在宅介護の必要性はわかるのですが、夫婦共働きで、日中残るのは高齢者のみの現実を突きつけられている今日であります。全国においては、無届け高齢者施設等での事故も起きております。今後において、安心して老後を送れるためにも施設整備の充実を望むものですが、御所見をお伺いいたします。
 地域医療のあり方についてお伺いいたします。
 県立5地域診療センターの無床化計画等を盛り込んだ県医療局の新経営計画がスタートし、対象地域からはさまざまな声が聞かれるところであります。診療報酬削減や医師数抑制等、国の政策が今日の地方の医療崩壊を招いてしまったことは否めないことであります。今後において、どのようにして地域医療を守っていくのか、早急な医療改革が求められております。
 医師、行政、住民の連携を第一と考え、今、地域から医療現場を守る活動がスタートしております。危機を希望に変える前向きな展開こそが岩手の医療に求められているとき、3者の連携の中で、行政として何ができるのか模索しなければなりません。
 釜石病院の市民有志による応援体制、大迫、花泉等の診療センターの民間移管の検討等、地域が再生の道を歩み始めた今、県としても強い協力体制で臨むときです。県としてどのように地域医療の再生、確保に取り組んでいこうとしておられるのか、御所見を伺います。
 県立病院において、本年に入ってから既に退職医師が6人に上り、早急な対応が望まれるところですが、特にも産婦人科については、助産師の一層の活用を図るべきと考えますが、対応策をお示しください。
 また、医師不足が深刻化し、医師の専門分化も進む中、患者の全身の状態を踏まえた診療を行う観点から、総合的に患者を診る能力を有する、いわゆる総合医の確保が求められておりますが、このことに対する御所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) まず私から、地域医療の再生、確保に向けた県の取り組みについて答弁いたしますが、地域において必要な医療を確保していくためには、限られた医療資源という共有財産をいかに有効に活用するかという共通認識のもとで、住民、医療関係者、そして行政の3者が一体となって取り組む必要があります。県としては、各圏域ごとで昨年度末に策定した圏域医療連携推進プランを着実に推進するとともに、2年目を迎えました県民総参加型の地域医療体制づくりに向けた県民運動や、現在開催している地域医療に関する懇談会での意見、提言が、それぞれの主体の具体的な行動や協働した取り組みにつながるよう、県が中心となって推進をしてまいりたいと考えております。
 さらに、国に対しては、本年度新たに地域医療再生のための総合的な政策の確立を要望したところでありますし、また、先般創設された国の交付金制度を活用して、本県の地域医療の再生、確保に向けたさまざまな事業を展開するため、地域医療再生計画を年内を目途に策定したいと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、父子家庭への支援策についてでありますが、父子家庭は母子家庭に比べて一般的に平均年収が高い状況にあり、就業相談や一時的な生活援助が行われているものの、経済的支援については国において制度化されていないことから、議員御指摘のとおり、相対的に父子家庭への支援策は少ない現状にあります。しかしながら、昨今の経済情勢を反映し、父子家庭も就労収入が減少している実態にあることから、県といたしましては、国の来年度予算編成に向け、今年度、新たに、父子家庭に対する手当の創設や、既存貸付制度の対象としての拡充などによる経済的支援を講ずることについて要望しているところであります。
 また、父子家庭への医療費助成については、現在39都道府県で実施され、また、県内半数近くでも市町村で実施されている状況にありますことから、県においても速やかに検討すべき課題と考えており、市町村の意見を十分お聞きしながら、今後、次年度の予算編成作業の中で検討してまいりたいと考えております。
 次に、高齢化対策としての老人福祉施設整備についてでありますが、直近の特別養護老人ホームの入所待機者は現在調査中でございますが、平成20年3月末では入所待機者が5、422人おり、そのうち、市町村が早期の入所が必要と判断した在宅の方は913人となっております。毎年度施設退所等により、1、300人程度の入所者が入れかわっていることから、必要性が高いと判断される方から、順次入所しておられるものと考えておりますが、早期の入所が必要な在宅の待機者が多数いる状況については、しっかりと着実な対応を行っていく必要があるものと考えております。
 このため、特別養護老人ホームにつきましては、平成20年度に303床を整備したほか、平成23年度までの第4期計画期間中、約660床が整備される予定であり、合わせて960床の増加が見込まれていることから、相当程度の改善が図られるものと考えております。
 今後、本議会に条例提案しております介護サービス施設等整備臨時特例基金を活用し、平成23年度まで施設整備に対する助成の拡充を行うこととしております。これによりまして、県介護保険事業支援計画第4期計画に定める施設整備の着実な遂行が図られるよう、市町村や事業者を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、いわゆる総合医の確保についてでありますが、地域医療を確保するためには、専門医との連携のもとで、患者の全身の状態を踏まえ、総合的に診療する能力を有するいわゆる総合診療医が求められているものと考えております。現在、県内においては、県立中央病院や国保藤沢町民病院において総合診療に関する包括的な研修を実施しており、こうした医師養成の一端を担っているところであります。また、県においては、総合診療医の制度化や養成について、これまで国に対して提言、要望を行ってきたところでありますが、国においては、本年3月に専門家による研究班報告として今後の方向性についての提言を取りまとめるなど、調査、検討を進めているところであります。
 県としては、こうした県内の医療機関における取り組みや国の動向も踏まえながら、新たな地域医療の担い手としての総合診療医の養成、確保に向け、関係機関とともに検討してまいりたいと考えております。
〇医療局長(田村均次君) 助産師の活用についてでありますが、県立病院においては、助産師外来と院内助産に取り組んでいるところでございますけれども、まず、院内助産は平成19年度から釜石病院で、20年度から宮古病院と久慈病院で実施し、20年度の院内助産の取扱件数は383件、3病院の全分娩件数900件の42.6%となっております。
 また、助産師外来につきましては、釜石病院初め6病院で実施しており、平成20年度の取り扱い件数は延べ1、127人となっております。
 院内助産を進めるに当たっては、助産師の確保と専門能力の向上が必要であるとともに、出産時の裂傷あるいは出血などの緊急時の医師のバックアップ体制の確保が不可欠でございます。今後、常勤の産婦人科医師と助産師の確保に努めるとともに、助産師のスキルアップを図るなど、院内助産導入のための環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
〇40番(及川幸子君) それぞれの御答弁いただきましてありがとうございます。大変時間が限られておりますので、細かい数字は割愛して結構ですので、御答弁いただきたいと思います。
 父子家庭への支援ということで、県当局においても真剣に取り組んでいるということを伺いまして大変安心いたしました。先日も、父親が、母親に家出され、3歳の双子、4歳の子供、3人の子供を抱え、4人のとうとい命をみずからの手で絶った報道がされておりました。父子家庭には父子家庭の深い悩みがあると思いますので、早急な対策を今後とも強く望むものであります。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 100年に一度という大不況は、世界はもとより、我が国においても苦しい影響を受けております。
 そこでお伺いいたしますが、早急な対応策としてとられている離職者対策の取り組み状況をお示しいただきたいと思います。中でも、非正規労働者であるパート、契約社員、派遣社員の方々の救済措置はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。
 このたび、多重債務問題の解決を目指す改正貸金業法の段階的施行で、消費者金融などから借り入れできなくなった人の家賃や光熱費の滞納額がふえているようですが、職を失った人への再就職の相談とあわせて、生活資金の貸付制度等の紹介も情報提供してほしいのですが、御所見をお伺いいたします。
 再就職の場の確保は大変難しいものがあると思いますが、県内への企業誘致の取り組みについてもお伺いいたします。
 親の失業で、学費や給食費、住むうちにもいられない状況下を思うとき、子供たちの健全な育成のためにも早急な手だてを望むものであります。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、非正規労働者の救済措置についてでありますが、5月末に奥州市に開設しましたいわて求職者総合支援センターにおきます相談状況は、生活、就労相談111件のうち、生活資金等の生活相談に係るものが4割を超えるなど、厳しい状況がうかがわれるところであります。
 このため、生活支援として、母子寡婦資金貸し付けなど公的貸付制度の紹介、県立高校等の授業料減免措置など、利用できる制度の紹介や担当窓口への案内を積極的に行っているところであります。
 また、雇用機会の提供としましては、基金事業におきまして、6月補正予算による積み増しを加え、約2、400名の雇用創出を目指し、県と市町村が一体となった取り組みを進めるとともに、いわて求職者総合支援センター等での生活、職業相談の対応、地域ジョブカフェへの企業巡回員の増員によります求人開拓の強化や職業訓練機会の増設などを行うこととしており、今後とも、離職者一人一人の事情に対応したきめの細かな支援に努めてまいります。
 次に、離職者への再就職の相談等についてでありますが、離職者の方々は、住居・生活費の確保、子弟の教育の問題など非常に多岐にわたる問題を抱え、総合的な支援体制が必要なことから、関係機関が連携した雇用対策協議会を立ち上げるなど、地域におきます支援体制を確立し、切れ目のない支援サービスの提供に努めているところであります。
 県南地域においては、いわて求職者総合支援センターを核として、できる限りワンストップでのサービスが提供できるような体制づくりの取り組みが既に進められつつあり、生活資金の貸し付けについても、国、市町村と連携しまして、離職者対策資金貸し付けなど、各種の融資制度の案内など、離職者の立場に立ちました親身な相談や情報提供に努め、早急な再就職に向けた支援に取り組んでまいります。
 また、多重債務など困難な問題を抱えている皆様には、消費生活相談や生活保護など他の窓口と連携しながら、生活再建に向けた支援に取り組んでまいります。
 次に、企業誘致の取り組みについてでありますが、厳しい経済情勢のもとにありましては、まずもって県内に立地しております企業の存続を図るとともに、一人でも多くの雇用を維持、確保してもらうことが喫緊の課題と認識しているところであります。
 このため、これまで以上に既立地企業に対しまして、きめ細かなフォローアップを行う必要があると考えており、市町村と緊密な連携のもと、企業訪問等の際に雇用維持を要請し、国の雇用調整助成金制度の活用を呼びかけるなど、企業の雇用継続の取り組みを支援しております。
 このほか、新製品、新技術の開発に伴いまして、新たな雇用を行う中小企業への支援の拡充により、新規雇用の創出に努めることとしております。
 なお、一部の業界では、生産活動に底がたい動きが見られ、景気が底を打ったとも言われており、今後の景気回復も見据えて、引き続き新たな企業誘致にも取り組んでまいる考えであります。
〇40番(及川幸子君) 御答弁いただきありがとうございます。今後においても早急に対応策を講じていただきたいと思います。
 次に、観光施策についてお伺いいたします。
 岩手のすばらしい自然、恵まれた大地から、海から、実り多い安心・安全な食材が私たちを潤わせてくれます。このすばらしい岩手を全国に発信し、全国の人々の足を岩手に向かせる、いわて・平泉観光キャンペーンが7月から始まります。
 知事を先頭に、部局においても、岩手の観光資源を集中的に発信し、岩手の幸、奥深さに触れてほしいと意欲的な取り組みが展開されていることはうかがえますが、今まで取り組んできたことと今回の取り組みがどのように違ってきているのか、平年ベースの2006年同期の1、303万人回から5%増の1、370万人回と目標値を掲げられましたが、どのように達成しようとしているのか、具体的な方策と、それによる効果をどう見込んでおられるのかお示し願います。
 補正予算において、観光施設費として、みちのく岩手観光案内板整備事業が示されておりますが、案内板を設置したとして、実際の観光地における通訳についてはどのような状況でしょうか。例えば、世界遺産登録が期待される平泉についての通訳は万全なのか、海外からの誘客に努めていくには、その辺の体制づくりが必要であると思います。御所見を伺います。
 次に、盛岡市岩山漆芸美術館について伺います。
 美術館の館長、全氏を県政調査会の講師として昨年9月4日、お招きいたしました。しかし、その後、入館者減少により昨年11月末に閉館を余儀なくされましたが、このたび、あの女性に人気のある、特に主婦層に人気抜群のヨン様が、この美術館の名誉館長に就任することが決まり、なおかつ、全館長から漆芸を学んだヨン様の作品も展示されるということで、8月1日の再オープンが大いに期待されるところであります。
 そこでお伺いいたします。当局として、この件に関してどのようにとらえているのでしょうか。全国に岩手の観光をアピールするときに、当館と連携をとりながら取り組んでいくお考えはおありでしょうか。
 また、ヨン様効果は、韓国にとっても多額な経済効果があると報じられております。全国のヨン様ファンを岩手に呼べる大きなチャンス到来ととらえていくべきであると思いますが、これへの御所見をあわせて伺います。
 また、国の経済対策で講じられた土日、祝日の高速料金引き下げ効果を今後どのように活用し、岩手の観光へ結びつけていくのか伺います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、いわて・平泉観光キャンペーンについてでありますが、ことしのキャンペーンでは、昨年度の取り組みに加え、新たにキャンペーン期間前の県外向けの宣伝活動を一層充実させるため、今月初め、知事がみずから首都圏の旅行会社にトップセールスをしましたほか、5月から首都圏の三つのホテルにおいていわてフェアを展開し、本県産の安全・安心な食の提供と観光のPRを行うとともに、県内各地に赴き、市町村、観光協会等との意見交換を重ねるなど、全県を挙げたもてなし向上の機運の醸成を図っております。
 また、期間中の入り込み目標を達成するため、新たにJRや旅行会社との連携によります首都圏からの旅行商品の造成、観光客の県内回遊を促進するためのぐるっとパスなど二次交通の充実、伝統芸能と食を前面に出しました広報宣伝、食へのこだわりと高い旅行意欲を有する購読者層をターゲットとしました雑誌の広告など、創意工夫を凝らしているところであります。
 これらの取り組みによりまして当初の目標が達成されますと、期間中の県内経済への波及効果は、平成18年同期比で70億円増の1、470億円程度になるものと見込んでおります。
 次に、観光地におきます通訳の体制づくりについてでありますが、本県では、全国に先駆けて、平成19年度から地域限定通訳案内士制度を導入し、これまで23名の方が登録し、国家資格の通訳案内士を含めますと、現在48名の方が登録されております。
 県といたしましては、引き続き地域限定通訳案内士試験を実施し、有資格者の確保に努めるとともに、通訳ガイドのレベルアップを目的としました研修会を開催するほか、県内各地での実績を有します岩手平泉通訳・ガイドの会とも連携を図りながら、外国人観光客の受け入れ態勢の充実に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、盛岡市岩山漆芸美術館と連携した観光振興についてでありますが、日本、韓国の両国で知名度の高い同氏が漆芸美術館の名誉館長に就任したというニュースは、漆文化を初めとします日韓の文化交流を促進する上で大変喜ばしいことであるとともに、岩手の観光地を国内外にアピールする好機であると認識しているところであります。
 県としましては、既に首都圏の旅行会社に対しまして、名誉館長の就任と同美術館の再開について情報提供を行ったところであり、今後におきましても、盛岡市や同美術館と緊密な連携を図りながら、本県への誘客につなげてまいりたいと考えております。
 次に、高速道路料金の引き下げ効果の活用策についてでありますが、県といたしましては、高速料金の引き下げを観光振興に結びつけるため、現在、青森、秋田両県とともに北東北ドライブマップを作成し、本年8月にも東北及び北関東の主要サービスエリアに配架する準備を進めているところであります。
 また、ことしの3月に作成しました観光マップにつきましても、県内の観光地間を自動車で移動する際の所要時間や移動距離を記載したモデルルートを盛り込んだところであります。
 今後におきましても、多くの県外客が高速道路を利用するものと考えられますことから、NEXCO東日本高速道路株式会社や県内市町村などと連携を図りながら、自家用車利用の観光客のより一層の誘客を進めてまいりたいと考えております。
〇40番(及川幸子君) 御答弁ありがとうございました。部長には、特にも、どんと来い岩手を積極的に歌っていただきましてありがとうございます。今後も、本当に一生懸命取り組んでいただきたいと思います。
 次に移ります。次に、均衡ある県土の発展についてお伺いいたします。
 安全・安心な生活や産業活動ができる県土づくりを進めることが、均衡ある県土の発展に不可欠であると考えることから、まず、災害に強い県土づくりについてお伺いいたします。
 昨年6月14日の岩手・宮城内陸地震の発生からはや1年が過ぎ、被災地においては着実に復旧工事が進んでおります。災害に強い県土づくりとして、道路、河川、橋梁、砂防施設等の整備状況をお示しください。
 また、これらの公共事業については、国の経済対策により73億円の補正予算が措置されており、予算成立後の速やかな発注を望むものですが、御所見をお伺いいたします。
 これら公共工事の担い手である建設業を取り巻く状況についてお伺いいたします。
 このたび、平成21年度、22年度における県営建設工事競争入札参加資格者の名簿が公表されました。県南広域振興局管内では、平成19年度、平成20年度名簿と比較して、土木工事、建築一式など主要5種12等級中、電気設備工事でA級が増減なし、舗装工事でA級がふえているのみで、ほかはすべてA、B、C級とも減っている状況です。工事の実績がないために格付が下がった事例もあり、各業者さんの口々から、このままの状況では生きていけないとか、建設業をこの際やめてしまったほうがいいかもなどと苦悩の言葉が聞かれます。
 公共事業が減っている中、工事受注実績の減少が影響し、結果として等級格付が下がってしまう仕組みをどのように考えているのでしょうか、お伺いいたします。
 また、格付が下がる要因は、採算を度外視したような入札が行われ、入札に参加できても、落札までたどり着くのが容易でなく、技術と経営にすぐれた業者さんまでもが低価格入札に翻弄されております。低価格入札について、早急に対策を講ずるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) まず、災害に強い県土づくりとしての道路等の整備状況についてでありますが、道路や橋梁につきましては、災害時に優先的に交通の確保を図る緊急輸送道路上の落石、斜面崩壊対策や橋梁耐震補強を進めておりまして、その整備率は、それぞれ約41%と80%となっているところでございます。
 河川については、胆沢ダムの建設や一関遊水地を初めとする直轄河川事業の促進、木賊川や岩崎川等々の中小河川の改修を進めておりまして、直轄と県管理河川の整備率は、それぞれ約42%と47%となっているところでございます。
 また、砂防につきましては、土砂災害危険箇所に対しまして、砂防堰堤や急傾斜地崩壊対策施設の整備を進めておりまして、その整備率は11%となっております。
 今後とも、このようなハード対策を着実に推進していくとともに、洪水ハザードマップの作成や土砂災害警戒区域等の指定など、ソフト対策もあわせて取り組んでいくこととしております。
 次に、公共事業の迅速な発注についてでありますが、昨年度の補正予算に引き続きまして、本年度の当初予算においても、公共事業の切れ目のない発注に取り組んでいるところでございます。
 公共事業は、地域の経済の活性化や雇用対策にも大きな役割を担っていることから、6月補正の予算につきましても、可能な限り早期の発注に努めてまいります。
 次に、入札参加資格の格付のあり方についてでありますが、県営建設工事の入札参加資格につきましては、全国共通の経営事項審査と県独自の評価であります技術等評価により審査しております。この技術等評価は、施工能力、社会貢献等の項目について評価を行っているところでございます。
 今回の入札参加資格においては、技術等評価につきまして、近年の受注機会の減少等を考慮しまして、工事成績評点の評価対象期間を4年から6年に拡大するとともに、建設企業の従業員の雇用状況等を評価項目に加えるなど見直しを行ったところでございます。
 建設工事の受注機会につきましては、今後も厳しい状況が続くと考えられますことから、技術等評価点の工事成績評点の取り扱い等につきましては、引き続き、業界団体と意見交換を行いながら、次回の資格審査に向けまして検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇総務部長(菅野洋樹君) 低入札対策についてでございますが、本年2月から、低入札対策の一層の強化を図るため、調査基準価格の算定式等を見直し、さらに、6月には、国のモデル改正に合わせまして調査基準価格を引き上げたところでございます。
 2月以降の落札率を見ますと82.7%と、1月までと比較して1.5ポイント上昇いたしてございます。対策の効果が徐々にあらわれているのではないかとも思われますが、4、5月の発注件数が少ないことから、その動向を注視していく必要があるものと存じてございます。
 今後の状況をよく分析いたしまして、必要と認められた場合には、速やかにさらなる対応を検討してまいりたいと存じております。
〇40番(及川幸子君) 御答弁ありがとうございました。
 等級格付の件ですが、採算を度外視しても低価格で入札して仕事をとるべきだと教えているようなものであり、これは、やる気のある業者の意を消滅してしまうようなものです。格付が決定し、2年間も期間があり、やる気が失せてしまう結果であります。技術点の点数が高い業者、しかし、経営診断が低く基準に達しないためバランスがとれていないようです。もう一度、部長に、やる気を起こす施策の取り組みをお伺いいたします。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 今回の入札参加資格審査基準につきましては、前回の資格者名簿施行直後から、業界団体と意見交換を行いながら、その見直しを行ってきたところでございます。
 今回も入札参加資格の格付のあり方、いろいろ御議論があるというふうにも私ども承知しておりますので、特にも建設企業、引き続き厳しい受注状況にあることを踏まえまして、施工能力の項目あるいは評点配分等につきまして、引き続き業界団体と意見交換を行いながら、次期の資格審査に向けて検討してまいりたいと考えております。
〇40番(及川幸子君) ありがとうございます。皆さんの苦悩の声を少しでも和らげていただくように、今後の取り組みを期待するものであります。
 次に、岩手の農業施策についてお伺いいたします。
 農業を取り巻く現状は、少子・高齢化や都市集中による農家人口の減少、また、国の減反政策等により先の見えない厳しいものがうかがえます。
 しかし、中国偽装食品等の横行で、ますます安心・安全な農畜産物の確保が求められており、こんなときだからこそ、岩手の食の増産を図り、全国に安心・安全な農畜産物の発信を進めるべきであると考えます。県としての取り組み状況をお示しください。
 担い手育成について伺います。
 さまざまな取り組みの中での推進は図られているとは思うのですが、厳しい米づくりの中で、米では食っていけないと多くの農家の人たちが悲鳴を上げているのを見るにつけ、きれいごとだけでこの危機を乗り切れるのか危惧するものであります。
 新しい長期計画に示されております新たな人材が絶えず農林水産業に就業できる体制づくりや、生産者の組織化、企業の誘致等により多様な担い手の参入を促進するとされておりますが、実際に成果が上がるものなのか、現状を踏まえた促進策をお示しください。
 減反政策の見直しが実施されると、米価がますます下がり、ますます米農家は悲惨をきわめますが、このことについての御所見と国に対しての減反施策に関する要望等を行っているのか、お伺いいたします。
 岩手の農業が元気になるのかならないのかの大変なときを迎えております。将来への希望の持てる取り組みを望むものであります。
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、安全・安心な農畜産物の全国への発信等についてでありますが、本県の農畜産物や食品が、消費者から一層支持されるよう、安全・安心で高品質な食料を安定的に供給できる産地づくりを進めるとともに、消費者への情報提供を充実することが重要であると考えております。
 このため、県が策定した農業生産工程管理手法、いわゆる県版GAPの一層の導入促進やエコファーマーの拡大などを通じて、食の安全性や環境保全に一層配慮した農畜産物の生産拡大に取り組んでいるところであります。
 また、情報発信の面では、首都圏等のホテルとタイアップしたいわてフェアの開催や消費者に向けたホームページ等の活用、さらには、知事のトップセールスやバイヤーOB等の民間アドバイザーによる外食、量販店への販路開拓を通じて、本県の安全・安心な農畜産物の積極的な情報発信に努めているところであります。
 次に、米づくり農家の担い手育成対策についてでありますが、近年の米価の下落傾向により、稲作農家は厳しい経営を余儀なくされており、県としては、生産基盤の整備や農地集積による規模拡大等により、効率的な経営体の育成に努めてきたところであります。
 この結果、新規就農者や認定農業者、集落営農組織は着実に増加しておりますが、今後は、最近増加している就農希望者を対象とした農業法人等での実践的な研修を通じて、即戦力となる担い手を育成するとともに、認定農業者や集落営農組織については、経営の発展段階に応じたきめ細かな指導を行うほか、農業参入を目指す企業については、農地法改正の趣旨を踏まえつつ、個別相談活動の実施や生産技術習得の場の提供等により、多様な担い手の育成、確保を促進してまいります。
 次に、減反施策についてでありますが、現在、国では、米の生産調整のあり方について、生産調整の強化や廃止など五つのシナリオで米の価格などの見通しを試算したシミュレーションを公表し、農政改革特命チームにおいて検討が行われているところであります。
 現段階では、その方向性はまだ明らかにされていないところでありますが、政策の見直しにより、仮に米価が大幅に下落した場合、本県農業に与える影響は極めて大きいものがあると認識しております。
 県といたしましては、農業者が将来に希望を持って水田農業に取り組める制度となるよう改善される必要があると考えており、本年度も、国に対して、生産調整の参加者に対するメリット措置の充実、強化や農業経営を安心して継続できるようなセーフティネットの充実などについて提案してきたところであります。
 今後におきましても、国における議論の動向を注視し、本県農業の実情を踏まえ、国に対して必要な施策を提案してまいります。
〇40番(及川幸子君) 御答弁ありがとうございました。
 先日、政府で打ち出しました改正農地法が年内に施行されることになりますと、一般企業の農業参入を促すことで国内農業の活性化を図るということですが、これについても農業者からは多くの声が届いているようでございます。今後においても、国の示す施策をしっかりと注視しながら、岩手の農業の位置づけを確かなものにしていただきたいと思っております。
 次に移ります。新型インフルエンザ対策についてお伺いいたします。
 今回の新型インフルエンザの発生は、国家の危機管理上重大な課題であるとの認識のもとで、その対策に総力を挙げて取り組んでおり、本県においても、知事を対策本部長とし、相談窓口の設置や発熱外来の設置など、必要な対策を着実に進められていると伺っております。
 そこでお伺いいたしますが、さきの6月19日、厚生労働省より、今般発生した新型インフルエンザに係る医療の確保等に関する指針の改訂版が示され、外来部門においては、原則として、すべての一般医療機関で患者の診療を行う方針が打ち出されましたが、本県での取り組み状況をお示しください。
 また、保健所等に設置されている発熱相談センター等での相談状況はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
 感染が世界的に拡大し、国内においても感染者がふえており、国、県のみならず、市町村の対策の強化が求められております。県として、市町村に対しての行動計画の策定等をどのように働きかけているのか、お伺いいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、本県の外来部門における受診体制についてでありますが、本県においては、近々に患者数が急増する状況であるとは考えがたいことや、現在の受診の流れ、具体的に申しますと、まず発熱相談センターへ相談し、感染の可能性が高い方は発熱外来を受診という流れが一定程度定着していることなどを勘案いたしまして、受診者と医療機関双方の混乱を避けるため、県医師会とも協議した上で、すべての医療機関で対応するとの国の方針を直ちには採用せず、当面、現行の体制を継続するところとしたところであります。
 今後、流行の第2波に備え、一般の診療所等を含め、発熱外来機能を有する医療機関をできるだけ多く確保できるよう、引き続き県医師会など、関係機関と協議を進めてまいることとしております。
 次に、発熱相談センター等での相談状況についてでありますが、4月26日に各保健所と県庁に電話相談窓口を設置したところであり、盛岡市保健所分も含め、6月28日までに4、221件の相談に対応したところであります。
 1日当たりの相談件数は、県内及び隣県で感染者が確認された直後の6月11日が240件と最も多く、平均すると約66件の状況にあります。また、内容といたしましては、症状等の健康相談に関することが約82%と、その大部分を占めているところであります。
 次に、市町村に対する働きかけについてでありますが、市町村の役割につきましては、国のガイドラインにおきまして、住民への情報提供、啓発活動や相談窓口の設置、蔓延期に備えた食料品、生活必需品の確保、配分等の生活支援、障がい者、ひとり暮らし高齢者等の社会的弱者への総合的な支援、さらには、万が一、死亡者が増加した場合の火葬体制等の確保などが示されているところでございます。このため、県といたしましては、市町村に対しまして行動計画を策定し、積極的に対策を講じていくよう文書で要請したところであり、また、担当課長会議で直接依頼を行い、保健所ごとに連絡会議等を開催するなど、積極的に働きかけを行っているところであります。これを受けまして、市町村では急速に体制を整えておりまして、行動計画につきましては、26市町村が策定済みであると伺っているところでございます。
〇40番(及川幸子君) 御答弁ありがとうございました。
 国内での発症者が出てから、詳細に私たち議員に対しても経過が逐一報告されて、本当に心から感謝しております。事が起きてから慌てることのないような体制づくりが重要であると考えております。
 私の地元においても2人の発症者が出まして、大変な騒ぎになっておりますが、すべての市町村が万全な体制でどうやっていくかということが大変大事であろうと考えますので、今後とも、気を許さずの取り組みをお願いしたいと思います。
 次に移ります。岩手の教育のあるべき姿についてお伺いいたします。
 岩手の教育の基本的な考え方については、教育の目的は学力形成にとどまるのではなく、自立した社会人として、知、徳、体を総合的に兼ね備えた人間形成そのものであるとされており、私も全く同感であります。学力向上を図る上では、まず、低学年の基礎となる学習がしっかり行われているのかが重要となってきますが、家庭に持ち帰る宿題の量を知るにつけ、学校側も成績向上の取り組みに真剣であることがうかがえます。
 子供たちが勉強することを苦にせず、積極的に学習する姿勢が習慣として身につくことが望ましいのですが、教職員の方々はどのような指導の工夫をされ、また、楽しい授業づくりについてどのように取り組まれているのか、まずお伺いいたします。
 今後の県立高等学校のあり方についてでありますが、さきに地元において第2次県立高等学校長期構想検討委員会ブロック別懇談会が開催された折、地元産業を担う代表の方々から、中間取りまとめを見て非常に格好いいと思うが、生徒の自立した力を認めていくことが大切である。あるいは、企業としては、人間性が大切であるとの意見が出されました。このほか、子供たちに生きることを教えてほしいことや、社会に出て親にしかられたこともないのに他人に怒られるのはおかしいと言う子供が多い中で、悪いことをしたら大人がこれをしかることも必要であるとの意見が出されておりました。このような考え方について、高校教育の中でどのように対処されていくのか、お伺いいたします。
 高卒の5割が、就職して3年以内に退職してしまう状況についても触れておりましたが、学力向上と人間形成のバランスのよい教育についてどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。
 あわせて、自分の思うこと、意見がなかなかしゃべれない生徒が多いことに対しても指導が必要であると思いますが、この点についても御所見を伺います。
 今後の高校再編計画にとって大事なことは、統合ありきでなく、その地域にとって、その高校が果たせる役目等を模索し、産業振興等の発展に寄与できる高校のあり方を求めたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) まず、積極的に学習する姿勢の習慣化のための指導の工夫と楽しい授業づくりの工夫についてでありますが、児童生徒の学習意欲の向上と積極的な姿勢の習慣化を図るために、各学校においては、授業と関連する家庭学習の与え方などを工夫するとともに、教育振興運動においても、今年度から家庭学習を全県共通課題として取り組み、学校と家庭とが一体となって学習する姿勢の習慣の定着に向けて取り組んでいるところであります。また、児童生徒にとって、楽しくわかりやすい授業を目指すために、授業の導入で知的好奇心を喚起する問題を提示したり、具体的に物を使って学習内容を実感を持ってとらえさせたりする授業づくりを工夫しております。
 次に、高校教育における人間形成についてでありますが、教育の目的は学力形成にとどまることなく、他と協調しながら、みずからが生涯を切り開き、社会の一員として役割を果たすための総合力を身につけさせることであり、企業からのアンケート結果によれば、議員御案内のとおり、社会に適応して自立して生きる力や、批判などを受けとめ自分の行動に生かす力など、社会人として必要な総合力を身につけることが期待されているところであります。そのため、高校教育においては、キャリアアップ講座などを通して、社会常識やマナーに関する指導を行っております。また、知、徳、体を総合的に兼ね備えた人間形成を行うために、人間としてのあり方、生き方に関する教育を、学校の教育活動全体を通じて展開することとしており、保育、介護の実習や社会奉仕活動を初め、合唱や吹奏楽、郷土芸能などの活動を披露して、高齢者や障がい者と触れ合うなどの取り組みを行っているところであります。
 さらに、コミュニケーション能力の育成については、面接や小論文の指導を通して、言葉や文章で自分の意見や人間性を表現し発信できるよう、各高校で指導に努めているところであります。
 今後とも、ブロック別懇談会でいただいた御意見についても真摯に受けとめ、家庭や地域社会と一体となって、このような取り組みを進めてまいりたいと考えています。
〇40番(及川幸子君) 御答弁ありがとうございました。
 第2次県立高等学校長期構想検討委員会のブロック別懇談会でございますが、私、その席上におりまして、民間の方々からのいろんな意見を今示したわけですが、その意見こそが大変重要であると考えます。どういう形でそのときの経緯を教育長に知らされているかわかりませんけれども、子供たちが社会に出て、本当に身につけていかなければならないものを模索、そしてすごい意見が出たと思っております。校長先生方も大分黙ってその意見を拝聴したようですが、校長先生方からは残念ながら意見も聞かれなかったわけですが、民間人の方々の二、三名の方々から、どうやって飽きないで就職して社会の中で過ごしていけるか、基本的なものができていなければだめなんだという、そういう基本的なことが話されたわけです。懇談会の前の意見交換だととらえないで、その辺の位置づけが大変重要であるというふうにとらえて、今後、ブロック別懇談会が開催され、意義あるものになっていくように望むものでございます。
 世の中がどのように移り変わろうとしても、教育の基本は永遠に続き、大変重要な課題としてとらえていかなければならないと思っております。
 今お答えになりました楽しい授業づくり、子供たちがやる気を起こしてみずからがこの宿題にも取り組める。今のところは成績向上があるがゆえに、宿題を何とか可能なものにしよう、丸を多く、やったということのその部分を評価するということで、自分がみずから進んでやろうというところには、もうひとつ届かない気がいたします。そういう中において、学校側としてもそうですが、家庭と連携をとりながらといつもおっしゃいますが、家庭は家庭で大変苦悩しております。どういうふうな学習の導きをしていくかということで、大変重要だと思っております。これからは、その人の人間性がどうであるかが大変問われると思うのですが、今後においても人づくりを第一に考えながら、県政運営に当たっていただきたいと思います。
 最後になりました。一問一答方式ということですが、余り詰めることができなかったかもしれませんが、私としては、大変意義深い、課題に対していい答弁が返ってきたのではないかと思いまして、これから詳細に部局にお伺いして詰めていきます。経過の論議を踏まえ、この岩手県政がどうあるべきか常に模索しながら、前に進んでいくことが大変求められておりますので、前向きに、達増知事と同じように希望を持ちながら、今後においても、住民との連携の中で、達増知事に県政の遂行に努めていただきたいと思います。こういう思いを願って私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後3時51分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時8分 再開
〇議長(佐々木一榮君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第3、一般質問を継続いたします。柳村岩見君。
   〔36番柳村岩見君登壇〕(拍手)

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