平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号2004年度岩手県一般会計決算に反対の討論を行います。
 2004年度決算は、増田県政の10年目に当たり、増田県政の10年間が県民に何をもたらしたのかという立場から、検証されるべきものであります。
 反対する第1の理由は、増田県政の10年間で、深刻な財政破綻に陥ったことであります。
 県債残高はこの10年間で8、016億円増加し、1兆3、956億円となりました。これは、県民1人当たり100万円となるものであります。増田知事1人で、借金の57%をふやしたということになります。一方で、主要3基金は、10年間で792億円取り崩し、昨年度末で687億円となっています。基金もまた、増田知事1人で54%取り崩しました。財政破綻を招いた増田知事の責任は重大であります。
 反対する第2の理由は、財政破綻を招いた不要不急、むだと浪費の大型開発をいまだに推進していることであります。
 津付ダム建設事業は、20年から30年の間に整備する当面の整備計画が、30年に1回の洪水に対応する、いわゆる治水安全度30分の1というものであります。ダムプラス河川改修事業費は164億円、河川改修事業費は94億円となっています。県の水増しの河川改修事業費でさえ、ダム建設より70億円も節約できるのに、むだなダム建設に固執していることは、県財政の危機的状況のもとで異常なことであります。
 事業費が530億円に見直された簗川ダム建設事業も、この間、ダムの性格が大きく変わり、ほとんど治水専用ダムとなっています。簗川の特性から、河川改修で十分治水対策が可能にもかかわらず、ダム建設にしがみついています。ダム本体工事で177億円余でありますが、ダムを見直すだけで大幅な事業費の削減が可能であり、貴重な自然環境も守られるのであります。
 利用客が減少している中で、321億円を投入する花巻空港整備事業も問題であります。特に、135億円の平行誘導路整備と97億円のターミナル整備は、飛ぶはずもない大型機の恒常的就航を目標としたものであり、全くのむだ使いと言うべきものであります。県は、さらに、事業費42億円のターミナルビルの建設を進めようとしていますが、根本的に見直すべきであります。
 17億円の県費を投入するエコパーク平庭高原の計画も見直すべきであります。
 反対する第3の理由は、増田知事がみずから招いた県財政の危機を理由に、県民に痛みと犠牲を転嫁する、医療福祉切り捨ての県政を進めていることであります。
 乳幼児医療費助成や重度障害者(児)医療費助成など県単医療費助成事業は、県民の命と健康を守る最も大事な事業でした。しかし、昨年10月から一部負担が導入されました。これによる負担増は、通年で約11億円に及びます。重度障害者では1人当たり4万1、760円、乳幼児では2万7、108円の負担増であります。
 介護保険事業では、特養ホームの入所待機者が昨年度末には在宅で2、059人と、ついに2、000人を超えました。最近の調査では、病院や老人保健施設などに入所して待機している方を含めれば、待機者は5、409人となる深刻な実態が明らかになっています。一方で、居宅サービスは、利用者は増加しているものの、限度額比では38.9%の利用で全国46位と、最低クラスにとどまっているのであります。
 国保税の問題では、2月現在で保険証が取り上げられた資格証明書発行世帯が1、520世帯、短期保険証発行が1万4、359世帯となっています。滞納世帯は3万6、973世帯、国保加入者の14%、7世帯に1世帯が滞納という深刻な事態になっています。病気になってもぎりぎりまで医者にかかれず、命を削っている悲痛な声が広がっているのであります。
 反対する第4の理由は、県民が強く求める30人学級の実現に背を向け続けていることであります。
 30人学級の実現を求める県民の声は、18万人を超える署名運動に示されています。県議会でも、全員一致で請願を採択しています。昨年度から実施をされた23校での少人数学級の試行の結果では、小学校低学年では、効果があるとの評価が示されています。県民が強く求め、効果も示されているにもかかわらず、なぜ少人数学級の実現に踏み込めないのか、増田知事の姿勢が厳しく問われています。
 一方的な統廃合を進めようとした県立高校の再編計画は、地域住民の声に押されて、小規模校分校の存続を認める方向で抜本的に見直されました。これは、評価すべきものであります。しかし、その後、小規模校に対する学級減を一方的に推し進めようとしたことは、再編計画の見直しの教訓が生かされていない、県教育委員会の従来型の体質を示すものとなりました。子供と地域の声に、真に耳を傾けた教育の推進が強く求められています。
 反対する第5の理由は、農林漁業、中小企業対策が極めて不十分でゆがんでいることであります。
 農林漁業費決算932億円に対し、公共土木事業費は移管分を含めて423億円となっており、45.3%を占めています。一方で、農民が求める価格所得補償費はわずか1億6、000万円余で、0.3%にすぎません。
 国は、今、一部の農家にだけ助成を限る担い手対策を進めていますが、岩手県で対象となるのは販売農家のわずか7%の4、603戸の農家と、約1、000戸が参加する37法人だけであります。現に農業を支えている家族経営の農家を守る対策こそ、求められているのであります。
 県内事業所の98%を占める中小企業対策費も518億円余で、決算総額のわずか6.6%であり、金融対策を除けば52億7、000万円余で、0.67%という貧困なものであります。雇用対策に取り組まれているものの、深刻な実態から見れば極めて不十分であります。県内大企業、誘致企業に対して正規雇用を拡大するよう、知事を先頭に取り組むべきであります。
 最後に、自立を表明している市町村の意向を無視して、市町村合併の押しつけはすべきではありません。
 また、裏金疑惑が持たれている県警の捜査報償費は、昨年度45%に激減しました。その理由は、不透明なままであります。国の捜査費や旅費などを含め、情報公開と透明性を図るべきであります。
 認定第1号2004年度岩手県立病院等事業会計決算は、残念ながら15億円の赤字となりました。二戸病院の特別損失を除くと、3億円余の赤字であります。
 反対する第1の問題は、赤字を理由にした五つの県立病院の診療所化など、地域医療の縮小とリストラを進めていることであります。紫波、花泉病院の診療所化は、それぞれ30人に及ぶ医師や看護師などをリストラしても、わずかに花泉病院で900万円、紫波病院では3、500万円しか経営改善効果がないということであります。運営協議会でも出された地域住民の切実な声を聞き、県立病院の創業の精神に立ち返り、見直しすべきであります。
 第2の問題は、軽米病院に見られる看護師1人夜勤の導入や、入退院の激しい中央病院での2人夜勤など、患者の命と安全にかかわる事態が放置されていることであります。
 第3に、磐井・南光病院や山田病院の建設に見られる過大な病院建設と落札率が100%に近い形で導入されている医療器械の導入であります。磐井・南光病院は187億円で、1床当たりの単価は国立の1.6倍、民間の3.68倍となっています。5%改善するだけで、建設費で約10億円の節約、医療器械では1億2、500万円の節約が可能であります。年間の赤字を大幅に解消する規模であります。こうした改革こそ進めるべきであります。
 認定第11号は、2004年度岩手県港湾整備事業特別会計決算であります。貨物取扱量は、大船渡港湾で730万トンの計画に対し296万トン、41%。久慈港湾では550万トンに対し31万トン、わずか6%であります。過大な投資が続いており、抜本的な見直しが必要であります。
 以上申し上げ、私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号平成16年度岩手県立病院等事業会計決算、認定第1号平成16年度岩手県一般会計歳入歳出決算及び認定第11号平成16年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、認定第1号平成16年度岩手県立病院等事業会計決算、認定第1号平成16年度岩手県一般会計歳入歳出決算及び認定第11号平成16年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成16年度岩手県電気事業会計決算、認定第3号平成16年度岩手県工業用水道事業会計決算、認定第2号平成16年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算から認定第10号平成16年度岩手県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算まで、及び認定第12号平成16年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、認定第2号平成16年度岩手県電気事業会計決算、認定第3号平成16年度岩手県工業用水道事業会計決算、認定第2号平成16年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算から認定第10号平成16年度岩手県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算まで、及び認定第12号平成16年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第19 議案第1号平成17年度岩手県一般会計補正予算(第5号)から日程第111 報告第1号職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで

〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第19、議案第1号から日程第111、報告第1号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。時澤総務部長。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕


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