〇予算特別委員長報告
平成22年3月24日
 去る3月8日に行われました、予算特別委員会の正副委員長の互選の結果、委員長には私が、副委員長には久保孝喜君が選任されましたので、私から当委員会における審査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 予算特別委員会は、3月3日の本会議において設置され、同日、平成22年度の予算議案15件及びこれらに関連する議案17件、計32件につきまして審査の付託を受けたのでありますが、これら付託案件の審査に当たりましては、総括質疑に知事の出席を求めて質疑を行うとともに、各部局ごとに主管部局長から議案の説明を聞き、質疑を行った後、3月18日の午後に、各会派の代表の方々にお集まり願い、意見の取りまとめをいたしました。
 その結果を委員会に諮り、当委員会の結論といたした次第であります。
 審査の経過につきましては、各位御承知のとおりでありますので省略させていただき、以下、各案件について、その結果を申し上げます。
 議案第1号につきましては、次の意見、すなわち、我が国の経済情勢は、緩やかに回復していくものと見込まれるものの、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。県内においても一部に持ち直しの動きがみられるものの、厳しい状況が続いている。
 このような中にあって、本県の財政は、県税収入が平成22年度においても落ち込み、20年ぶりに1,000億円を下回ることが見込まれる一方で、国の平成22年度地方財政対策により、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税が増額されたことなどから、厳しい経済、雇用情勢等に適切に対応するための財源が確保される見込みとなったものの、総体としては県債に大きく依存した財政運営が続いている。
 また、国の経済対策に伴い発行した県債の償還が、当分の間、高い水準で推移することや、主要3基金の残高が大きく減少し、いまだ回復していないことなどから、今後の財政運営の見通しは依然として厳しいものとなっている。
 県は、喫緊の課題である雇用対策や地域経済の底上げに意を注ぎながら、昨年度を大きく上回る積極型の当初予算としたところであるが、このような深刻な財政見通しを踏まえ、今後の行財政運営に当たっては、引き続き地方税財政制度の改革を国に強く働きかけるほか、あらゆる角度からの歳入確保の取り組みを強化する一方、いわて県民計画のアクションプランに基づく改革を着実に推進し、安定した行財政基盤の構築に努められたい。
 また、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けて、雇用の創出・就業の支援、地域経済の活性化、地域医療の確保、さらには人口の社会減への歯止めなど、本県が直面する課題の克服に取り組むほか、県民との協働事業の展開に当たっては、その適切・着実な推進に努めるとともに、本県の豊かな自然に根ざした地域資源の積極的な活用にも配意しながら、計画に盛り込まれた様々な施策の着実な推進に努められたい。
 さらには、新たにスタートする4広域振興局体制のもと、地元市町村との緊密な連携を図りながら、総合力・機動力を発揮した地域経営を推進し、特にも県北・沿岸圏域の振興に積極的に取り組むとともに、多発する自然災害に対する防災力の強化を図り、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことができる希望あふれる県土の形成と均衡ある発展が実現されるよう、一層の努力をされたい。旨の意見を付し、多数をもって原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、議案第13号につきましては、次の意見、すなわち、我が県の地域医療は、過去の国の医師抑制策による深刻な医師不足、とりわけ勤務医の不足と診療科目の偏在という医療資源の問題と、医療費抑制を目的に診療報酬が減少傾向にあることによる経営的問題という二つの深刻な課題に起因する危機に依然としてさらされている状況にある。
 こうした経緯を踏まえ、地域診療センターの無床化を含む岩手県立病院等の新しい経営計画が実施されているところではあるが、前記の二つの問題の根本的な解決には至っておらず、このままでは現状での医療提供体制の量的、質的維持が極めて困難な状況にある。
 今後の運営においては、地域医療のみならず地域福祉の観点からも早期の医療再生に取り組む責務を強く自覚し、医師の離職防止、行政と住民が一体となり地域をあげた医師招聘の積極的展開、医師養成のための環境整備、高齢化が進む岩手県に求められる医師の育成のための研修プログラムの充実などの取り組み等、育成、養成、定着のそれぞれの側面で医療資源の充実につながるあらゆる手段を講じられたい。
 その上で、引き続き地域医療をめぐる提供側と住民との相互理解と市町村との相互協力体制、とりわけ保健・医療・福祉分野での一体的な政策展開体制等の構築を可及的速やかに進め、県民の理解と協力を得て英知を結集できる環境を充実させる必要がある。
 また無床化された地域診療センターについては、民間の力を借りた入院ベッドの復活など空きスペースの活用方策が進められているが、これまでの経緯にかんがみ、県として引き続き当該地域の医療の充実に特段の努力と支援を図られたい。
 なお、今後の医療政策の方向性、財政負担のあり方、医療局の組織及び県立病院等の経営形態のあり方の検討などを進め、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努められたい。旨の意見を付し、多数をもって原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、議案第12号及び議案第15号から議案第19号までにつきましては、多数をもって原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第11号まで、議案第14号、議案第20号、議案第24号から議案第28号まで、議案第30号から議案第34号まで、議案第68号及び議案第69号につきましては、原案を可とすることに決定いたしました。
 以上をもって報告を終わります。