特別委員会調査報告書
  
〇産業・雇用対策特別委員会
 産業・雇用対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして、御報告いたします。
 本委員会は、平成21年6月定例会において設置されて以来、8回にわたり委員会を開催し、ものづくり産業の振興、新産業の創出に関する調査や雇用の創出・確保に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策等について、関係人からの参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の現地調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 平成20年度後半からの世界的な金融危機の影響を受けた企業業績の悪化等とそれに伴う雇用環境の悪化は県内にも深刻な影響を及ぼしており、県内景気は緩やかに持ち直しの動きが続いているとされてはいるものの、今春卒業予定の高校生及び大学生の就職内定率も依然厳しい状況が続いております。
 また、本県の今後の将来人口は、20歳から59歳までの人口は減少の一途を辿り、約25年後には43.2万人と現在の約2/3、本県人口のピークであった1985年の約45%にまで減少する一方で、70歳以上の人口は31.9万人と現在の15%増、1985年の約1.8倍に増加するものと予測されております。
 このことから、今後本県をはじめ県内の市町村においては税収などの収入が減少する一方で、社会保障費などの増加により支出圧力が増大し弾力的施策が困難となる財政の硬直化が懸念され、予算と権限を有する行政が地域と深く関わり主導する地域開発型から、地域住民が参加する地域経営の考え方へと脱却すべき時期に来ており、産業振興及び雇用創出を図るにあたっては、地域と地域に根ざした企業及び団体等による内発的な取組がより重要となってまいります。
 これまで本県では、平成21年度に策定した「いわて県民計画」の「アクションプラン」に掲げた7つの政策の中で、産業振興に関しては、地場企業の育成やものづくり産業人材の育成を通じた国際競争力の高いものづくり産業の振興、販路開拓や新商品企画などによる地場産業の振興、産学官が連携した次世代の新たな産業の育成、ブランド化や6次産業化等による農林水産物の高付加価値化と販路の拡大などに取り組まれております。
 また、雇用に関しても、雇用・労働環境の整備として、新事業創出支援や県内企業の経営支援、企業誘致などの産業振興施策の推進により常用雇用の創出を図るほか、就業支援員による高校生就職支援にも取り組み、雇用確保に努力されていることについては一定の評価をするところでありますが、県民の県内雇用環境に対する懸念を払拭するには至っておらず、高校生及び大学生の就職は超氷河期と呼ばれた時期以上に厳しい状況下にあることから、今後も引き続き関係機関と緊密に連携を図り、国・県・市町村それぞれの施策を効果的に推進していく必要があります。
 本委員会としては、昨今の社会情勢等やこれまでの調査結果を踏まえて、この際、県当局に対して、今後のものづくり産業の振興及び新産業の創出の推進や雇用の創出・確保に関する施策の推進に当たり、特に次の事項に配慮し、取り組まれることを切望いたします。
 すなわち、ものづくり産業の振興及び新産業の創出について、
1 自動車関連産業・半導体関連産業に続く第3の柱とするべく、産学官と金融が連携し取り組んでいる医療機器関連産業創出などへの取組については、本県を支える産業の太い柱に成長するよう引き続きその支援に注力すること。
2 また、現在2本柱として注力している自動車関連産業・半導体関連産業について、例えば自動車メーカーが実用化に向け新たに研究開発している介護などロボット分野や燃料電池をはじめとする新世代エネルギー分野など、他の周辺分野への進出に向けた支援とともに新たな動きを注視し、新分野に係る誘致についてもより一層積極的に推進するなど、未来に向けて先取りした産業育成への取組を推進すること。
3 地域に根ざした産業の振興を図るために、今後は地域の多様性と独自資源を活用した内発型の地域振興と地域づくりに向けて、6次産業化や農商工連携による地域産業の活性化に加え、既存の商店街が活性化しそこに住み生活する人々が賑わいを創出するまちづくりに対する市町村、各種団体及び民間企業の取組に対し、県としてもより一層の支援の充実を図ること。
4 京都府並びに京都市が、民間企業、大学等と、いわゆる産学官共同により中小企業の受発注の受け皿の支援組織を作るとともに、企業が技術チャレンジに専念できる体制を構築し、製造業全体の強化を図る取組を行っている事例などを参考とし、既存の特にも中小企業の体力強化と活性化に資する施策を講じること。
5 ものづくり産業をはじめ、地域や企業において、その特長を生かし潜在能力を競争力に変え得る人材の育成を図るとともに、このような人材育成に係る地域や企業の取組についても支援策を講じること。
 次に、雇用の創出・確保について、
1 ベンチャー企業の創出・成長や農林水産業における6次産業化の取組は、地域雇用の受け皿となり、地域に密着した産業振興につながることから、これらの育成支援を図ること。
2 企業求人と求職ニーズの雇用ギャップ解消には個々の企業努力にも限界があることから、地元企業、特にも誘致企業へのフォローアップについては、今後も関係機関とも緊密に連携を図り、推進すること。
3 本委員会の設置以降、委員会としては雇用の確保について特に喫緊かつ重要な課題と認識し、絶えず重大な関心を持ちながら注視し続けてきたところであるが、平成23年1月の宮城県大衡村のセントラル自動車本社工場の本格稼働により、岩手・宮城両県が中部地方・九州北部に次ぐトヨタ自動車完成車製造の第3の生産拠点となったことに伴い、県南部にも関連工場が進出するなどさらなる新規雇用が期待されることから、今後も自動車関連企業誘致などの方向性を強め雇用確保に努めていくとともに、なお依然として新規雇用の厳しい県北・沿岸地域については特にも重点的に雇用確保に取り組むこと。
 以上の8項目は必要な諸対策と考えここに要望するものであります。
 終わりに、厳しい経済状況に鑑み、県当局におかれましては、本委員会の意見や要望に十分配慮いただきながら、なお一層の努力を傾注されることを強く切望いたしまして、産業・雇用対策特別委員会の報告といたします。
  
〇地域医療等対策特別委員会
 地域医療等対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして、御報告いたします。
 本委員会は、平成21年6月定例会において設置されて以来、8回にわたり委員会を開催し、地域医療体制の充実、医師の偏在の是正に関する調査、がん、C型肝炎等、難病対策に関する調査及び高齢者や障がい者などに対する福祉・介護に関する調査について、現状と課題、対策等について、関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、地域医療体制の充実、医師の偏在の是正対策についてでありますが、本委員会は、地域医療のため御尽力されている医師、地域医療を守る活動をしている団体等との意見交換のほか、現地調査を実施いたしました。本県の勤務医師数は、盛岡保健医療圏を除く他の8保健医療圏は県平均を下回る状況となっており、また、先般の厚生労働省による病院等における必要医師数実態調査によると全国で最も医師が不足しているという結果が出ております。医師の地域偏在や診療科偏在については、単一の県立病院では診療体制を維持することが難しく、近隣の県立病院の診療応援等により何とかしのいでいる状況が見られ、また、特に内科系診療科、産婦人科、小児科の医師不足が続いております。さらには、医療の高度化などによる勤務負担の増加等に伴う退職者、離職者の増や診療報酬上の看護師配置基準の見直し等により看護師の不足にも拍車がかかっていることなどが改めて明らかになったところであります。
 他方では、遠野市における地域事情に合わせた住民本位の医療環境整備事業の実施、二戸保健医療圏での県立病院相互あるいは地元開業医との連携による地域医療の充実など、各地で厳しい医療環境の現実に立ち向かうべく様々な取組がなされているところであります。
 そこで、本委員会といたしましては、岩手県医師確保対策アクションプランに基づいた様々な事業に加え、これからは、県、市町村、医療関係者及び地域住民が協働・連携して緊密な情報交換を行い、さらに新たにスタートした圏域ごとの懇談会などを活用し、今まで以上の協力体制を構築すること、遠野市や二戸保健医療圏のような取組を他の地域へ波及させ、その地域に合った医療体制を構築すること、患者の全身状態を踏まえて総合的に診療できる総合医を育成すること、産科医不足については隣接地域内外の産科医との連携による助産師の活用を図り、地域で安心してお産ができる体制を整備していくことなどが重要であると考えます。
 また、平成24年に導入が予定されているドクターヘリは、広い県土を持つ本県にとって県民の命を守る砦となるものであり、万全の体制でスタートすることを期待するものであります。
 これからの医療は、世界に類を見ない超高齢社会の到来を見据え、地域にとって必要な医療の形を追求し、また、介護、福祉との連携等、そのあり方を根本から見直し、再構築していくことが必要と考えます。これは、医療、福祉政策全体に関わる問題として国が早急に対応すべき問題を含んでおります。
 よって、本委員会といたしましては、地域医療体制の維持及び充実を図るために必要な医療費財源の確保と医療、福祉連携体制を構築すること等について、県が、市町村や医師会等関係団体と一体となって、引き続き国に対し強力な働きかけを行うことを求めるものであります。
 次に、がん、C型肝炎等、難病対策についてでありますが、本委員会は、がんへの理解を深め、会員同士の交流会や勉強会などに取り組む患者団体、難病相談や支援に取り組む団体との意見交換や現地調査を実施いたしました。難病を抱える患者には、医療費など経済的負担が重くのしかかっております。その中で患者団体は一部を除き、活動資金を会員からの負担金のみで賄っていること、岩手県難病相談・支援センターの運営を受託している岩手県難病・疾病団体連絡協議会では運営費の不足により思うような活動ができていないこと、患者団体ではがん末期患者等に対するホスピスの充実を願っていること、また、県にはがん対策条例制定に向け努力してほしいこと、などのご意見を賜りました。
 がん対策、C型肝炎等の感染症対策及び難病対策の推進に当たっては、何より患者及びその家族の目線に立った施策が重要であります。患者が安心して医療や福祉のサービスが受けられるよう岩手県がん対策推進計画や岩手県肝炎対策計画に沿った施策を着実に推進することや、各種難病対策を推進するうえで重要な役割を担う岩手県難病相談・支援センターの活動を円滑に推進するため、積極的に財源措置を図っていくことが必要であると考えます。また、がん対策条例の制定に向けて、先進事例の調査や細部に亘る検討をさらに進めていく必要があると考えます。
 次に、高齢者や障がい者などに対する福祉・介護についてでありますが、本委員会は、自殺予防に取り組む医療機関や、地域住民の保健・医療・福祉の向上等の課題に対し、総合的なマネジメントを担う地域包括支援センターなどとの意見交換や現地調査などを実施いたしました。
 その中で、高齢者独居世帯が増加し、住み慣れた地域で安心して暮らすことができないことや、障がい者の就労が進まず、また就労支援施設の運営が障害者自立支援法改正後も財政的に厳しいといった問題点が明らかになりました。
 特別養護老人ホーム等の施設は経営的に厳しく、介護施設の拡充や環境整備のための措置が困難となり、ひいては介護サービスの低下が懸念される状況におかれているところもあります。また、在宅介護においては、要介護者の家族等介護する側の精神的、経済的な負担が増大しております。
 本委員会といたしましては、各地域に配置されている地域包括支援センターを活用し、高齢者が安心して暮らすことができる地域、長生きしてよかったと実感できる社会を構築していくことが必要と考えます。また、平成24年に予定される介護保険制度の改正を見据え、この際抜本的改正を国に強く要望するなど利用者本位の制度の構築を目指すべきと考えます。さらには介護保険制度の枠組みでカバーしきれないところでは、地域の中でお互いを支え合っていくしくみづくりを推進していく必要があると考えます。
 他方、障がいのある人の福祉向上については、先般12月定例会で議員提案により制定された「障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例」を実効あるものにするため、県、市町村、県民等が一体となって取組を進めることが必要であります。
 終わりに、広い県土を有する本県においては、県民が等しく医療・介護・福祉サービスを享受できる体制を構築することが喫緊の課題であります。少子・超高齢社会を迎え、今後ますます財政的、人員的に厳しい時代が想定されるところでありますが、今こそ県民が協力してこの危機を乗り越えなければなりません。県当局におかれましては、本委員会の意見や要望に十分配慮いただきながら、なお一層の努力を傾注され、すべての県民が安心して『共に生きる岩手』が実現することを強く切望いたしまして、地域医療等対策特別委員会の報告といたします。
  
〇地球温暖化対策特別委員会
 地球温暖化対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして、御報告いたします。
 本委員会は、平成21年6月定例会において設置されて以来、8回にわたり委員会を開催し、温室効果ガス対策、新エネルギー等温暖化対策に関する調査において、現状、課題、対策等について関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外の調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 地球温暖化問題については、国は京都議定書において、平成20年から平成24年までの間に、温室効果ガスの排出量を平成2年比で6%削減すること、また、平成21年12月の気候変動枠組条約第15回締約国会議の合意に基づき、平成32年までに平成2年比で25%削減することを目標としています。
 本県においては、二酸化炭素排出量の8%削減を目標に掲げ、岩手県地球温暖化対策 地域推進計画、岩手県新エネルギービジョン及び岩手県省エネルギービジョンに基づき、温室効果ガスの削減対策と新エネルギーの導入の促進に取り組んでいるところです。
 平成19年の内閣府の調査や平成22年県民生活基本調査によると、国民・県民の地球環境問題に対する関心や意識の高まり、環境に配慮した行動の実践が見られてきているものの、残念ながら、世界的・長期的に見れば、地球温暖化は確実に進んでおり、本県の二酸化炭素排出量も基準年に比べ、増加している現状にあります。
 社会経済のグローバル化が急激な速さで進行していること、高齢化と人口減少によって、二酸化炭素吸収源である森林とそれを維持する山村機能の低下が進んでいること等の現状も踏まえれば、県として、これまでの取組みよりさらに進んだ、実効性の高い地球温暖化対策を講じる必要があります。
 そこで、本委員会は、低炭素社会のしくみづくり、地域資源を生かした地球温暖化対策及び施策推進のための人・地域づくり、以上、大きく分けて3つの観点から、国や大学、独立行政法人等の専門機関における研究や技術開発の状況等について調査を行ったほか、地域コミュニティや学校において普及啓発や環境学習に取り組んでいる実践例等について、調査をいたしました。
 また、県内及び県外調査では、新エネルギーの技術開発の状況と今後の導入促進の方向性を見据えながら、地方自治体や事業者等における電気自動車、風力発電、マイクロ水力発電、雪氷冷熱エネルギーの利用事例のほか、コメを原料としたバイオエタノール混合ガソリン製造の取組みなど、幅広く調査を実施したところであります。
 そこで、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、今後の地球温暖化対策に関する施策の推進に当たって、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し上げるものであります。
1 豊かな水や森林資源を始めとする自然エネルギー資源に恵まれた本県は、今後、国内の地球温暖化対策の分野において、大きな役割を担っていくべきものと言える。いわて型ペレットストーブや樹皮を利用したいわて型小型蒸気ボイラーの開発など、事業者と県が共同し、先進的な技術や商品の開発が行われているが、今後、これらの技術や商品の公共施設等での活用や民間利用の支援・促進について、より実効性の高い取組みを進めていく必要があること。
2 風力、小水力、雪氷冷熱、温泉熱などの新エネルギー利用については、初期費用が高いなどの理由により、利用が十分に進んでいない状況にあるが、低炭素社会のしくみづくりのための有効な手段の一つとして、導入についての理解の促進を積極的に図っていくとともに、国内クレジット制度を活用した取組みなど事業者等による自主的な排出量削減の取組みを後押しするよう、国の最新の動向を見ながら必要な情報提供等を行うなど、適切な対応をすること。
 なお、国の平成23年度地方財政対策には、地球温暖化対策に係る臨時措置として、再生可能エネルギーの導入促進などを含む事業費100億円程度が計上されたとのことであるが、今後も、国に対し、新エネルギー導入に係る予算枠の拡大を継続して要望していく必要があること。
3 全国に誇れる森林県である本県は、森林の二酸化炭素吸収源機能の向上を図り、木質バイオマスエネルギーの利活用を促進し、木材生産・供給システムを構築することにより、地域の付加価値を高め、環境対策を足場とした環境立県として産業の振興や雇用の創出を図っていく必要があることは論を待たない。また、林業のみならず、農畜産業や漁業分野においても、新エネルギーが賦存している。
 県内調査で訪問した奥州市や大船渡市では、森林整備のための高性能林業機械の製造事業者や様々な新エネルギーを利用した特色ある取組みを行っている建設業者、エネルギー代替廃棄物を利用したセメント生産を行う事業者など、地域に根差した事業活動が活発に行われている。
 県では、これらの県内事業者の取組みの後押しを図るための効果的な施策を推進するなど、地域資源を生かした環境関連産業の育成と誘致を図っていくことが重要である。
4 先に述べたように、これまでの県、市町村、県民及び事業者の地球温暖化への取組みによって、国民・県民の意識の高まりが見られてきつつあるところだが、二酸化炭素排出量は、特に民生家庭部門と民生業務部門で大幅な増加となっており、家庭や事業所等における排出量削減への取組みがまだ十分ではない。
 地球温暖化に関する普及啓発や子どもたちに対する環境教育の重要性とその効果については、言うまでもないところであり、本県の施策推進のための人・地域づくりのため、地球温暖化防止活動推進員をはじめとして、環境カウンセラー、省エネ普及指導員等の専門知識を有する人材の育成を進めるとともに、地球温暖化対策地域協議会やNPO団体等の活動促進のための必要な財源の措置に努めること。
 以上のとおり、本委員会として要望するものであります。
 終わりに、県当局におかれましては、本委員会の意見や要望に十分配慮いただきながら、県政運営になお一層の努力を傾注され、地球温暖化防止と持続可能な低炭素社会の構築に向けて取り組まれますことを強く切望いたしまして、地球温暖化対策特別委員会の報告といたします。
  
〇地域間格差・地方分権調査特別委員会
 地域間格差・地方分権調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきましてご報告いたします。
 本委員会は、平成21年6月定例会において設置されて以来、8回にわたり委員会を開催し、過疎・地域間格差の調査及び地方分権に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策等について関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内、県外で、中山間地における地域づくり、定住・交流促進、地方分権に関する調査をそれぞれ2回実施してまいりました。
 まず、過疎・地域間格差の是正についてであります。本県の人口は、平成22年国勢調査の速報値によりますと、133万530人となっており、平成17年の前回調査と比較し、5万4千人余の減で、その減少率は3.9%でありますが、特に過疎地域での人口減少率が高い結果となっております。県当局が示した年齢別将来推計人口では、平成30年には65歳以上の高齢者の人口割合は32%?33%程度と県民の3人に1人が65歳以上の高齢者となることが見込まれております。
 また、平成22年農林業センサスによると、本県の農業就業人口は90,157人と5年前の調査と比較すると20.9%減少するとともに、平均年齢が66.3歳と高齢化に歯止めがかからない深刻な実態で、農村地域の過疎化に拍車がかかっている状況であります。
 これまでの過疎対策等により一定の成果があるものの、住民が快適に安心して暮らせる基盤となる水道、生活排水処理施設などの公共施設の整備水準などは、非過疎地域との差がなお存在する状況にあります。過疎地域は、水・食料・エネルギーなどの供給、二酸化炭素の吸収による地球温暖化防止など、生活に欠くことのできない公益的機能を有し、国民生活を支える重要な役割を担っておりますが、農林水産業や建設業などの基幹産業の低迷、雇用の場の不足、医師不足、生活交通の不足など多くの課題を抱えております。特に地理的条件の厳しい地域においては、集落機能の維持が困難な集落の発生が懸念されるなど、住民生活の安全・安心に深刻な状況が生じております。
 一方、地域間格差の問題は大都市と地方の格差のみならず、県内でも地域間格差が存在し、その解消が大きな課題となっております。格差の問題には所得格差をはじめ、医療格差、交通格差、教育格差など様々な格差がありますが、特にも多くの過疎地域を有する本県では、すべての格差問題が当てはまると考えられるものであります。この地域で暮らすことの喜び、誇り、そして安心が得られるよう、次の5つの事項を今後の施策に反映していただくよう県当局に対し申し上げるものであります。
1 市町村が策定する「市町村過疎地域自立促進計画」の着実な実現に向け、市町村の自主性に配慮しつつ、引き続き生活関連道路や産業支援道路といった交通基盤の整備、効率的な生活環境施設の整備への必要な支援を行うとともに、過疎対策の財源となる過疎対策事業債については、地域自立のためのソフト事業に活用するなど戦略的な利活用を行うよう助言をすること。
2 過疎地域の基幹産業の一つである農林水産業の振興に向け、新たな人材が絶えず農林水産業に就業できる体制づくりや、食と農を基軸とした企業や事業の誘致等により、多様な担い手の参入を促進すること。
3 集落対策、特産物の販路拡大、地域を担う人材の育成・確保、多様な主体の協働による地域づくり等を積極的に支援するためのソフト対策の充実・強化を推進すること。特にも6次産業化の推進、コミュニティビジネスの起業や社会的企業を支援し、雇用の創出につなげること。
4 県外からの定住者は増加傾向にあるが、定住者数の目標である平成27年度までの10年間で1万人を達成するための取り組みを推進させること。
5 県民すべてが医療、教育、生活交通などの基本的サービスを等しく享受できるよう地域住民の意向を反映した施策を展開すること。
 次に、地方分権に関する諸問題についてであります。第174回通常国会において地域主権改革関連の3法案が提出されましたが、未だ継続審議のままで可決には至っておりません。
 また、ひも付き補助金の一括交付金化については、平成23年度から都道府県を対象として、投資補助金5,120億円が地域自主戦略交付金として交付されるということですが、各都道府県に対する具体の交付額等はまだ示されていない状況であります。
 一方、市町村に対する権限移譲については、本県の場合、平成11年以降、市町村に対する権限移譲を積極的に推進してきたところであり、今年度は25市町村に対して、58法令、1,170項目の権限移譲が行われているものでありますが、権限移譲が目的ではなく、市町村が権限を持つことによって、住民の意思が行政に反映されることが大切であります。
 地域住民が自らの判断と責任において、地域の諸課題に取り組むことができるよう次の3つの事項を基本的な柱として、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進に向けた取り組みを積極的に推進していくことを県当局に申し上げるものであります。
1 地域主権改革関連3法案が継続審議のままであることから、早期に成立するよう国に働きかけること。
2 一括交付金化は、国の財源捻出の手段とされるべきではなく、その総額は今年度水準はもとより、今後必要となる増加要素も加味して確保すべきであることや自由度の拡大を含めた今後の制度拡充に向け、地方と十分に協議するよう国に働きかけること。
3 県から市町村への権限移譲については、主体である市町村の意向を十分尊重するとともに、更なる人的、財政的な支援及び広域振興局と市町村との業務の共同化など双方が協力・補完する仕組みを構築していくこと。
 以上でありますが、それぞれの地域が、豊かな資源とそれにより生み出される食料やエネルギー、あるいは歴史文化資産の価値等を把握し、最大限活用する仕組みを創り上げていくことによって、地域から人材、資金が流出する中央集権型の社会構造を分散自立し、地域の自主性及び自立性を高める社会への転換を実現することが肝要であります。
 県当局におかれましても、議会の意思を反映していただくため、本委員会の意見や要望を十分考慮し、今後とも県民の生活を第一に考えながら、適切に対応いただくよう要請し、地域間格差・地方分権調査策特別委員会の報告といたします。
  
〇平泉世界文化遺産推進調査特別委員会
 平泉世界文化遺産推進調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして、御報告いたします。
 本委員会は、平成20年2月定例会において議長を除く全議員を委員として設置されて以来、約3年にわたり8回の委員会を開催し、平泉文化遺産の世界遺産登録に向けた施策の推進に関する調査、平泉文化遺産の啓蒙、保存に係る施策に関する調査及び平泉文化遺産の活用に関する調査について、その都度課題を設定し、その現状と課題、対策等について、関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内の現地調査を実施してきました。
 本委員会の3年間の調査の経過につきましては、大きく2つの期間に分けることができます。
 まず第一期は、県とともに県議会も一丸となって、平成20年7月開催の第32回世界遺産委員会に向け、県を挙げての対応を進めた期間であります。
 この間、本委員会では、地元平泉町における文化遺産の保護・保全の取組、景観やまちづくり、国際化への対応などを聴取したほか、現地調査を行うことにより、各委員が平泉の文化遺産の価値を再認識するとともに、地元関係者との意見交換などを通じ、現地の受け入れ態勢等を把握したところであります。その中で、地元自治体、地元住民の方々の熱意や登録に向けた準備が着実に進む様子などが明らかになったところであります。
 他方、イコモスから「登録延期」の勧告が出た際には、本委員会として速やかに課題等の把握を行うとともに、関係市町と一体となって、国への働きかけを行うなど時機を捉えた活動を行って参りました。
 しかしながら、御案内のとおり、県民の願い、地元自治体や県などの御努力、現文化庁長官であります近藤特命全権大使をはじめとする関係者のお力添えも及ばず、第32回世界遺産委員会においては、当時の審査厳格化の流れの中で、「登録延期」との、つらく残念な結果に終わりました。
 このような結果を踏まえ、第二期では、平成23年の再挑戦に向けた課題や県当局の対応等について調査を進めてきたところであります。
 具体的には、登録に向けた立て直しの方向性を探るため、行政以外の視点から、浄土に関する概念や再挑戦に臨むにあたり県に求められる姿勢などを聴取したほか、関係者の苦渋の決断により構成資産を見直す内容となりました新しい推薦書について、そのコンセプト、資産の主題等の変更点などを適宜把握して参りました。
 また、平成22年9月に行われたイコモスの現地調査の様子や来年度の県の世界遺産登録に関連する予算、事業の方向性などを確認してきたところであり、今後、第35回世界遺産委員会に向け、より一層の県民の意識の高まりや活動の活発化などが期待されます。
 世界遺産とは、現代を生きる世界すべての人々が共有し、未来の世代に引き継いでいくべき人類共通のたからものです。
 平泉の文化遺産は、このような世界遺産にかなう建築や庭園、遺跡でありますが、それだけではありません。平泉の文化遺産の根底には、中尊寺建立供養願文に代表される平和、非戦の思想などがあります。また、昨年1月に逝去されました福島大学名誉教授の工藤雅樹先生は、本委員会で、平泉の奥州藤原氏は、東北北部から北海道という北日本に目を向けていた北方世界の王者であったとの県民の誇りとなるような歴史を御紹介されております。
 我々県民は、史跡や景観など目に見えるものだけでなく、こうした理念や誇りも、すべての県民のたからものとして共有し、次の世代に継承していく責務を有していると考えます。
 第35回世界遺産委員会での審議が迫る中、今後、県は、様々な取組を進めることとなりますが、本委員会としては、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対して、特に次の事項に配慮し、取組を進められるよう要請します。
 一つ、県民の悲願である世界遺産登録の実現に向け、あらゆる手段、対策を講じ、万全を期すこと。
 二つ、世界遺産登録に向けた、より一層の県民気運の醸成を図ること。
 三つ、未来を担う子どもたちはもとより、広く県外にも、理念などを含め、その価値を発信すること。
 その上で、世界遺産登録が実現した暁には、今回見直しにより構成資産から除かれた奥州市、一関市及び平泉町の資産についても、平泉との関連性に関する調査研究等を更に進め、追加登録に向けた道筋を明らかにすることを強く望むものであります。
 終わりに、県当局においては、本委員会の要請や要望に十分配慮し、なお一層の努力を傾注するとともに、これまで先人が幾多の苦難を乗り越え、築き、守り伝えてきた平泉の文化遺産の世界遺産登録を成し遂げるよう切に願い、平泉世界文化遺産推進調査特別委員会の報告とします。