○決算特別委員長報告
令和2年10月27日
 去る10月14日に行われました決算特別委員会の正副委員長の互選の結果、委員長には私が、副委員長には千葉絢子さんが選任されましたので、私から、当委員会における審査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 決算特別委員会は、去る10月8日の本会議におきまして設置され、令和元年度の決算15件及び議案2件につきまして審査の付託を受けたのでありますが、これら付託案件の審査に当たりましては、10月14日から8日間にわたって委員会を開き、知事の出席を求めて総括質疑を行った後、部局等ごとに、主管部局等の長から決算及び議案の内容等について、詳細な説明を聞き、質疑を行った後、10月23日の午後に、世話人会を開催し、意見の取りまとめをいたしました。
 その結果を委員会に諮り、当委員会の結論といたした次第であります。
 審査に当たりましては、終始、熱心に審査されたのでありますが、その経過につきましては、各位御承知のとおりでありますので、省略させていただき、以下、各決算及び議案につきまして、その結果を申し上げます。
 まず、議案第37号令和元年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて及び議案第38号令和元年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについては、いずれも原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、認定第1号令和元年度岩手県一般会計歳入歳出決算につきましては、
 次の意見、すなわち、
 1 決算に対する全般的な意見
 令和元年度における本県財政は、企業収益の減などに伴い県税収入が前年度を下回ったものの、実質公債費比率は15.3%と前年度に比べ1.4ポイント改善し、地方債の発行に当たり国の許可が必要となる基準を2期連続で下回った。
 一方で、依然として県債の償還が高い水準で推移するとともに、災害対応や社会保障関係の経費増加などにより、今後も引き続き厳しい財政運営を強いられることが予想される。
 このような中、県では、令和元年度予算を「新時代スタートダッシュ予算」と位置付け、いわて県民計画(2019~2028)のもと、来年で発災から10年となる東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧・復興に最優先で取り組むとともに、本計画に掲げる県民みんなで目指す将来像の実現に向けた取り組みを推進してきたところであるが、いまだに応急仮設住宅などでの不自由な生活を余儀なくされている方々や、平成28年台風第10号及び令和元年台風第19号で被害に遭われた方々の暮らしの再建やなりわいの再生など、復旧・復興に全力で取り組んでいくことはもとより、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動の維持を両立させるために必要な各種の対策が求められている。
 今後の財政運営に当たっては、被災者一人ひとりに寄り添いながら、県民が実感できる本格復興を強力に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応など、本県の喫緊の重要課題の克服に向けた施策を展開していくため、職員の人材確保や育成など体制面を強化しつつ、岩手県中期財政見通し(令和2年度~4年度)において、令和3年度以降に90億円から98億円程度の収支ギャップが生じると見込まれていることを踏まえ、あらゆる手段により歳入確保に全力を傾けるとともに、より効果的な事業を厳選するなど徹底した歳出の見直しを行って、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたい。
 また、このような認識のもと、新たな交通ネットワークや様々なつながりを生かした沿岸地域の総合的な振興と震災の教訓の伝承、国際リニアコライダーの実現、県北、沿岸振興をはじめとするふるさと振興のほか、人口減少対策や医療・介護・福祉の充実、教育の充実、文化・スポーツの振興、防災・減災対策、地域特性を生かした商工業や農林水産業の振興などに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動の維持の両立のため、医療提供体制の充実や新しい生活様式に対応しながらの生活や仕事、学びの場での感染防止対策や地域経済活動の回復に向けた支援など、本県が直面する課題を踏まえた具体的な取り組みを着実に推進されたい。
 なお、政策等の評価の実施に当たっては、それらの成果をより適切に評価・分析し、政策の実効性を高めるよう改善に努められたい。
 2 事務の適正化に関する意見
 令和元年度決算の監査結果では、事務の適正化について前年度に指摘を受けたにもかかわらず、同一事務について連続して指摘を受けたものが認められたことから、全庁的なチェック体制の強化に引き続き取り組むとともに、職員の意識改革を図るよう強く指摘されている。
 県においては、適切な積算根拠に基づき県民の理解を得られるような予算編成や事務の執行を行うとともに、補助金事務や委託契約においては、適正な事務処理を確保するため、従来からの内部考査の実施等に加え、令和元年度に整備された内部統制体制の運用による相互牽制機能を高める取り組みを通じて、より一層の内部管理体制の充実に努められたい。
 旨の意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号令和元年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算から認定第15号令和元年度岩手県工業用水道事業会計決算までの以上14件につきましては、いずれも認定することに決定いたしました。
 以上をもって報告といたします。