〇決算特別委員長報告
平成28年11月25日
 去る11月14日に行われました決算特別委員会の正副委員長の互選の結果、委員長には私が、副委員長には中平均君が選任されましたので、私から、当委員会における審査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 決算特別委員会は、去る11月8日の本会議におきまして設置され、平成27年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計の歳入歳出決算11件及び企業会計決算3件、並びに議案2件につきまして審査の付託を受けたのでありますが、これら付託案件の審査に当たりましては、11月14日から8日間にわたって委員会を開き、知事の出席を求めて総括質疑を行った後、部局等ごとに、主管部局等の長から決算及び議案の内容等について、詳細な説明を聞き、質疑を行った後、11月24日の午後に、世話人会を開催し、意見の取りまとめをいたしました。
 その結果を委員会に諮り、当委員会の結論といたした次第であります。
 審査に当たりましては、終始、熱心に審査されたのでありますが、その経過につきましては、各位御承知のとおりでありますので、省略させていただき、以下、各決算及び議案につきまして、その結果を申し上げます。
 まず、議案第28号平成27年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて及び議案第29号平成27年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについては、いずれも原案を可とすることに決定いたしました。
 次に、認定第1号平成27年度岩手県一般会計歳入歳出決算につきましては、次の意見、すなわち、
 1 決算に対する全般的な意見
 平成27年度における本県財政は、景気が緩やかな回復傾向にある中で、復興需要及び税制改正を背景とした県税収入の持ち直しや国の復興財源の一定の確保などがあったものの、復旧・復興事業の本格化に伴う歳出が増加し、厳しい運営を迫られたものとなった。
 また、平成27年度末の普通会計における県債残高は1兆4,321億円余と前年度末に比べ408億円余減少したものの、一般財源の規模に占める公債費の割合を示す実質公債費比率は20.5%であり、地方債の発行に当たり国の許可が必要となる基準を超える状況が続いているところである。
 さらには、依然として高い水準で推移する県債の償還や社会保障関係経費の増加などにより、これまでにも増して厳しい財政運営を強いられることが予想される。
 このような中、県では、平成27年度を本格復興邁進年と位置づけ、東日本大震災津波からの復旧・復興に向けた事業を最優先に取り組んできたところであり、先に県が公表したいわて復興レポート2016によれば、本格復興の着実な推進により、県民の復興に対する実感は、進んでいるという回答が増えているものの、遅れている、やや遅れているという回答が依然として半数近くを占めていることから、新たな課題を含めた実態の把握に努め、県民がより一層復興を実感できる取組が求められる。
 加えて、本年8月に本県に上陸した台風第10号に伴う災害により、多数の尊い人命が失われるとともに、社会インフラや産業などに甚大な被害をもたらし、多くの方々が避難所などでの不自由な生活を余儀なくされている。この台風災害は、東日本大震災津波からの復興道半ばにある中で被災地を直撃したものであり、二重の被害に遭われた多くの方々の暮らしの再建やなりわいの再生など、復旧・復興に全力で取り組んでいくことが求められる。
 したがって、今後の財政運営に当たっては、県民が実感できる本格復興を強力に推進しながら、被災者一人ひとりに寄り添い、地域の具体的な将来像の実現に向けた施策を展開していくため、人材の確保など体制面を強化しつつ、国との連携による一層の財源確保を図るなど、歳入の確保に全力を傾けるとともに、より効果的な事業を厳選するなど徹底した歳出の見直しを行い、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたい。
 併せて、このような認識のもと、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功を未来に引き継ぎ、継続的かつ発展的な文化・スポーツの振興に向けた取組を進めるとともに、東日本大震災津波から続く自然災害からの一日も早い復旧・復興、人口減少対策や地域特性を生かした産業の振興・雇用対策を含むふるさと振興、医療・介護・福祉の充実、学校現場におけるいじめ対策や自然災害防止対策など、喫緊の重要課題に対する具体的な取組を着実に推進されたい。
 なお、政策等の評価の実施に当たっては、政策等の成果をより適切に評価し、課題解決につながるような指標に見直すなど、評価の実効性を高めるよう改善を図られたい。
 平成29年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい。
 2 事務の適正化に関する意見
 平成27年度決算の監査結果では、前年度の指摘事項等であったにもかかわらず改善が認められないものが含まれていたことから真の原因の追及や再発防止策の徹底等の組織的な改善努力を怠ったことに起因すると認めざるを得ないとして、組織的なチェック体制を構築するとともに、職員や組織の意識改革を図るよう強く指摘されている。
 県においては、補助金事務や委託契約の適正な事務処理を確保するため、専門部署の設置や職員の配置、内部考査の実施等により組織的牽制機能の強化を図っているところであるが、これらの取組を通じて内部管理体制の確立に努めるとともに、改めて所属長の関与を促すなど、全庁的な取組の強化を図り、今後、再び同様の事例が生じることのないよう強く求めるものである旨の意見を付し、認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成27年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算から認定第15号平成27年度岩手県工業用水道事業会計決算までの以上14件につきましては、いずれも認定することに決定いたしました。
 以上をもって報告といたします。