〇決算特別委員長報告
平成23年11月4日
 去る10月24日行われました決算特別委員会の正副委員長の互選の結果、委員長には私が、副委員長には熊谷泉君が選任されましたので、私から、当委員会における審査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 決算特別委員会は、去る10月18日の本会議におきまして設置され、平成22年度の企業会計決算3件、平成22年度の一般会計及び特別会計の歳入歳出決算12件につきまして審査の付託を受けたのでありますが、これら付託案件の審査に当たりましては、10月24日から8日間にわたって委員会を開き、知事の出席を求めて総括質疑を行った後、各部局ごとに、主管部局長から決算の内容等について、詳細な説明を聞き、質疑を行い、また、11月2日には、花泉診療所事案に係る集中審査を行ったところであります。
 その後、同日の午後に、世話人の方々にお集まりを願い、意見の取りまとめをいたしました。その結果を委員会に諮り、当委員会の結論といたした次第であります。
 審査に当たりましては、終始、熱心に審査されたのでありますが、その経過につきましては、各位御承知でありますので、省略させていただき、以下、各決算につきまして、その結果を申し上げます。
 まず、認定第3号平成22年度岩手県工業用水道事業会計決算につきましては、多数をもって認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号平成22年度岩手県電気事業会計決算及び認定第5号平成22年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算までにつきましては、いずれも認定することに決定いたしました。
 なお、認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算及び認定第4号平成22年度岩手県一般会計歳入歳出決算につきましては、別途、議長に対し、閉会中の継続審査の申し出をいたしておりますので、御了承願います。
 以上をもって報告といたします。


平成23年12月13日
 第2回県議会定例会において、継続審査とされた決算2件について、私から、当委員会における審査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算及び認定第4号平成22年度岩手県一般会計歳入歳出決算につきましては、去る9月定例会において、花泉診療所事案に関し、事実関係の確認等になお時間が要すると認められ、さらに審査が必要となったことから継続審査としたところであります。
 このことから、改めて、今期定例会において11月30日及び12月12日に委員会を開き、花泉診療所事案に係る集中審査を行った後、世話人の方々にお集まりを願い、意見の取りまとめをいたしました。 
 その結果を委員会に諮り、当委員会の結論といたした次第であります。
 審査に当たりましては、終始、熱心に審査されたのでありますが、その経過につきましては、各位御承知でありますので、省略させていただき、以下、各決算につきまして、その結果を申し上げます。
 まず、認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算につきましては、次の意見、すなわち、
 1 決算に対する全般的な意見
 医療を取り巻く環境が一層厳しさを増す状況にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。
 平成22年度の経営収支は、恒常的な医師不足による診療体制の弱体化等に伴い、入院・外来患者数がともに減少している中で、入院基本料7対1看護体制の取得等による医業収益の増加等により、経常損益は、8,934万円余の利益を計上し、平成17年度以来5年ぶりに黒字に転換したが、なお10億円余の純損失が生じ、当年度末の累積欠損金は200億円余となっている。
 また、今後も医師の絶対数の不足や医療資源の地域別・診療科別の偏在等は続くものと見込まれるほか、東日本大震災津波により大きな被害を受けた沿岸地域等の県立病院施設の復旧・復興及びその財源の確保が喫緊の課題となっている。 
 このような状況を踏まえ、今後の経営に当たっては、引き続き国に対し、公立病院等の運営や勤務医に配慮した診療報酬の改定や財政措置の拡充、医師等人材の確保・育成支援、さらには就業環境整備の支援や東日本大震災津波で被災した公立病院の医療機能回復等に向けた地方公営企業繰出金の拡充等を積極的に要請するともに、医師確保や医療資源の有効活用と累積欠損金の解消に向けた更なる経営改善に積極的に取り組み、もって県民に信頼される医療サービスの充実、向上に努められたい。
 2 花泉診療所事案に関する意見
 旧県立花泉地域診療センター施設を活用して民間が開設した花泉診療所等に関し、当該診療所を運営している医療法人が撤退を示唆している事案については、地域医療に関して県民に不安を抱かせ、また、施設賃貸料等に多額の未収金が発生していることは極めて遺憾である。
 今後は、地域住民の不安の解消や医療・福祉に与える影響をできるだけ少なくすることが肝要であることから、当該医療法人の動向を適切に把握するとともに、一関市などと連携して適切な善後策が遅滞なく講じられるよう、十分に留意されたい、旨の意見を付し、また、認定第4号平成22年度岩手県一般会計歳入歳出決算につきましては、次の意見、すなわち、平成22年度における本県財政は、歳入面では、地方交付税が大幅に増加したものの、東日本大震災津波の影響等により県税収入が減少し、また、歳出面では、社会保障関係経費や公債費の増嵩等により、施策の重点化、効率化を図ったものの、依然として非常に厳しい運営を迫られたものとなった。
 また、当年度末の普通会計における県債現在高は過去最高額となった前年度末に比べ208億円余増加し、1兆5,280億円余となり、経常収支比率及び実質公債費比率も依然として高い水準にあるなど、本県財政の硬直化は一層進行している。
 一方、東日本大震災津波による壊滅的な被害に加えて、放射性物質による影響もあり県内経済は一層厳しい状況が続いており、歳入確保の見通しが厳しい中、主要3基金の残高が依然として低位に推移し、今後とも公債費が高い水準で推移することが見込まれるなど、本県の行財政を取り巻く環境は、極めて危機的な状況にある。
 したがって、今後の行財政運営に当たっては、引き続き地方税財政制度の改革や東日本大震災津波による被災地域の復旧・復興に要する財源の確保を国に強く働きかけるとともに、年々増加する収入未済額の解消を図るなど、あらゆる角度から歳入確保に全力を傾け、事務事業の見直し、より一層の選択と集中による重点施策の実施により、安定した財政基盤の構築に努められたい。
 併せて、岩手県東日本大震災津波復興基本計画に掲げるいのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造の実現のため、県民生活の復旧や安定、県土の復興、地域経済の活性化等に向け、国や市町村と緊密に連携を図りながら、全精力を尽くして取り組み、県民が復旧・復興を実感できる施策の実施に努める必要がある。
 さらには、介護施設と併設する方式により民間移管された花泉診療所において、有床診療所としての継続が困難になっている状況を踏まえ、医療・介護・福祉が連携した切れ目のない包括的な地域ケア体制の整備の強化に努められたい。
 平成24年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい、旨の意見を付し、多数をもって、それぞれ認定することに決定いたしました。
 以上をもって報告といたします。