〇決算特別委員長報告
平成22年10月22日
 去る10月12日 行われました決算特別委員会の正副委員長の互選の結果、委員長には私が、副委員長には工藤勝博君が選任されましたので、私から、当委員会における審査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。
 決算特別委員会は、去る10月5日の本会議におきまして設置され、平成21年度の企業会計決算3件、平成21年度の一般会計 及び 特別会計の歳入 歳出 決算12件につきまして審査の付託を受けたのでありますが、これら付託案件の審査に当たりましては、10月12日から8日間にわたって委員会を開き、総括質疑には、知事の出席を求めて質疑を行うとともに、各部局ごとに、主管部局長から決算の内容等について、詳細な説明を聞き、質疑を行った後、10月21日の午後に、交渉団体である会派の代表の方々にお集まりを願い、意見の取りまとめをいたしました。
 その結果を委員会に諮り、当委員会の結論といたした次第であります。
 審査に当たりましては、終始、熱心に審査されたのでありますが、その経過につきましては、各位御承知でありますので、省略させていただき、以下、各決算につきまして、その結果を申し上げます。
 まず、認定第1号 平成21年度 岩手県立病院等事業会計決算につきましては、次の意見、すなわち、医療を取り巻く環境が一層厳しさを増す状況にありながらも、医療の近代化、高度化を積極的に推進し、公的病院及び地域医療の中核医療機関として、その使命を果たしてきた努力は評価するところである。
 平成21年度の経営収支は、恒常的な医師不足による診療体制の弱体化等に伴い、入院・外来患者数がともに減少している中で、入院基本料の上位施設基準取得等により医業収益が増加した。また、給与改定等により給与費が大幅に減少したこと等から事業費用は減少し、この結果、当期の純損失は、前年度に比べ7億8,000万円余減少し、収支改善の兆候は見られるものの、21億円余の純損失が生じ、当年度末の累積欠損金は189億円余となっている。
 このような中、各病院等では、医師の確保はもとより、県立病院間の診療応援や臨床研修の充実、更には医師の勤務環境の改善等にも取り組んでいるが、今後も医師の絶対数の不足や医療資源の地域別・診療科別の偏在等が続くものと見込まれ、厳しい経営環境に置かれることが予測される。
 今後の経営に当たっては、引き続き国に対し、公立病院等の運営や勤務医に配慮した診療報酬の改定や財政措置の強化、医師等人材の確保・育成支援、さらには就業環境整備の支援等を積極的に要請するほか、県民の十分な理解と協力のもと市町村との連携を着実に推進しながら、医師確保や医療資源の有効活用と累積欠損金の解消に向けた更なる経営改善や、地域医療の中核としての県立病院改革への取組をより一層進め、安定した経営基盤の確立と良質で効率的な医療提供体制の構築を図り、もって県民に信頼される医療サービスの充実、向上に努められたい。
 なお、無床化された地域診療センターについては、地元市町村や民間の力を借りた入院ベッドの復活等、空きスペースの活用方策が進められているが、これまでの経緯にかんがみ、県として、引き続き当該地域の医療の充実に特段の努力と支援を図られたい、旨の意見を付し、多数をもって認定することとし、また、認定第4号 平成21年度 岩手県 一般会計歳入 歳出 決算につきましては、次の意見、すなわち、
  1 決算に対する全般的な意見
 平成21年度における本県財政は、国の経済危機対策等により国庫支出金が前年度を上回ったほか、地方交付税と臨時財政対策債の合計額が6年ぶりに前年度を上回ったが、世界的な景気後退の影響を受け県税が大幅に減少したこと等から、政策評価結果等に基づく選択と集中により、施策の重点化、効率化を図ったものの、依然として非常に厳しい運営を迫られたものとなった。
 また、当年度末の普通会計における県債現在高は前年度末に比べ264億円余増加し、1兆5,072億円余と過去最高額となり、経常収支比率及び公債費比率も前年度を上回るなど、本県財政の硬直化は一層進行している。
 今後も、長引く景気後退によって税収の伸びが期待できないなど、歳入確保の見通しが厳しい中、主要3基金の残高が依然として低位に推移し、公債費も高い水準で推移することから、本県の行財政を取り巻く環境は、極めて危機的な状況にある。
 今後の行財政運営に当たっては、引き続き地方税財政制度の改革を国に強く働きかけるとともに、年々増加する収入未済額の解消を図るなど、あらゆる角度から歳入確保に全力を傾けるとともに、県民視点に立った徹底した歳出の見直しを行うなど、安定した財政基盤の構築に努められたい。また、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けて、雇用対策や地域経済の活性化、地域医療の確保等、本県が直面する課題の克服に積極的に取り組み、計画に盛り込まれた様々な施策の着実な推進に努める必要がある。
 平成23年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい。
  2 いわて森のトレー事案に関する意見
 いわて森のトレー生産協同組合をめぐる問題に関し、今般、訴訟において組合の請求が棄却され、組合が控訴を断念したことに伴い、敗訴が確定したことは極めて遺憾である。今後の対応については、未回収債権の取扱い等多くの問題点があることから、引き続き検証を継続するとともに、これまでの一連の経緯及び行政側の責任の所在に加え、債権の回収に全力を挙げることについて県民に対する説明責任を十分に果たすことを強く求める。また、職員一人ひとりは今回の結果を重く受け止め、今回の事態の教訓を今後に生かし、厳正かつ適切な業務運営に万全を期されたい。さらに、今回明らかとなった現行の補助金制度の課題やその改善について、国に対し強く働きかけられたい、旨の意見を付し、採決の結果、可否同数でありましたので、当職において認定することに決定いたしました。
 次に、認定第3号 平成21年度岩手県 工業用水道事業会計決算及び認定第15号 平成21年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算につきましては、多数をもって認定することに決定いたしました。
 次に、ただいま報告いたしました以外の決算、すなわち、認定第2号及び認定第5号から認定第14号までにつきましては、いずれも認定することに決定いたしました。
 以上をもって報告といたします。