令和5年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(千葉盛君) いわて新政会の千葉盛でございます。このたびの定例会において、一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 達増知事は、改選後初の9月定例会において、これからの4年間は岩手県の価値や魅力を全国、海外の人と共有するため、世界に打って出るとき。岩手県の持つ価値や魅力を最大限に磨き上げ、誇りを持って世界に発信し、希望郷いわてのその先にある、まだ誰も見たことのない景色に向かって歩みを進めようと今後の所信を述べ、今後4年間の県政運営の基本的な考え方として、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの着実な推進、東日本大震災津波からの復旧、復興の推進、ILC―国際リニアコライダーの実現、県北・沿岸圏域等の振興などの項目を示しました。
 さらに、本県への誘致を目指すILCについては、学術的な意義に加え、イノベーションの創出、交流人口の拡大など多様な価値を生み出すとその意義を強調され、引き続き、国内外の研究者を初めとした多様な関係者と緊密に連携し、実現に向け全力で取り組むとしております。
 また、喫緊の課題であるエネルギー、物価、資材高騰に関しては、県はこれまでも生活困窮者や子育て世帯、中小企業者、農林漁業者などへ幅広い支援を実施してきたが、現在も地域経済に大きな影響を及ぼしているとして、これまでの施策を迅速かつ確実に実施しながら、県民一人一人の暮らし、仕事、学びに寄り添った施策を機動的に行う。全国知事会と連携し、国に対策を働きかけるほか、中小企業者や農林漁業者に向けた消費拡大や販路開拓、経営の安定化を推進すると掲げております。
 これらを踏まえ、まず、東日本大震災津波からの復興と沿岸振興について質問いたします。
 令和5年11月に現地復興推進会議や東日本大震災津波復興特別委員会現地調査において、沿岸市町村や商工会議所、観光協会や社会福祉協議会、事業所やNPО法人などと意見交換の機会がありましたが、このような場で出された多くの意見を踏まえると、東日本大震災津波からの復興を目指して、被災地の事業者は必死に頑張ってきましたが、コロナ禍や物価高騰によってとても苦しい状況に陥っているということです。
 まず、なりわいの再生について、事業所の復旧については、グループ補助金や岩手県産業復興相談センター・岩手県産業復興機構による二重債務問題に対応するための債権買い取りが大きな役割を担っていましたが、グループ補助金の補助率は4分3で、残る4分の1は高度化スキームによる貸し付け制度などの借り入れに頼っているケースが多く、この4分の1は東日本大震災津波で工場や店舗などが被災しなければ借りる必要がなかった資金であり、経営上は二重の負担となっています。
 事業者は、震災前からある借入金と合わせての返済が大きな負担となっており、その状況下において、復興需要の終息とともに、新型コロナウイルス感染症や物価高騰が起こり、経営環境は非常に厳しくなっているということです。
 このような状況を踏まえて、県はどのように対応されていくのか伺います。
 特に建設業は復興事業が終了することで仕事量が激減している状況であり、設備等の下請業者は内陸部へ仕事に行っているケースも多くなっています。
 先日、気仙地区の建設業協会と意見交換を行いました。元請を主としている土木建築業者は、内陸部に進出しようとしても公共事業に関してはなかなか受注できない状況だそうですが、それを踏まえて質問いたします。
 県は、いわて建設業振興中期プラン2023の中で目指すべき姿を実現していくための六つの施策の一つとして経営力の強化を掲げていますが、気仙地区の中小建設企業のほとんどは、東日本大震災津波前の状況よりも経営が逼迫しており、建設業協会の会員を脱退する企業がふえています。最近では賃上げも加わることで、経営力の弱体化に一層拍車がかかっています。気仙地域を含む沿岸地域では、まだまだ社会インフラの整備が必要な状況であり、公共事業予算の確保が必要と考えますが、県の認識を伺います。
 県内では、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算を利用しての工事発注量が少ないのではないかとのことですが、地域に必要な建設企業が経営を継続し、担い手の確保、育成、災害、除雪対応、賃上げなどに結びつけていくためには、公共事業予算の確保に加え、積極的な地元発注を進めるべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
 現在の総合評価入札制度は、実績等を重視した技術評価点と価格評価点の合計で落札者が決定しますが、実績のない業者や実績の乏しい業者は技術評価点が低いだけでなく、総合評価の簡易2型では技術評価点を1.5倍とするため、実績の多い業者には入札前から大きく点数で水をあけられます。実績の乏しい業者は、入札金額で逆転落札を狙おうとしても、調査基準価格以下の価格評価点は失格基準価格まで点数が同じとなるため価格勝負ができず、受注に結びつきません。このような状況では、いつまでも実績が身につかず、実績の多い業者はいつまでも有利な受注が続きます。
 また、岩手県では予定価格を事前公表しているため、調査基準価格は逆算することで容易に予想することが可能で、価格評価点での点数差による逆転落札とはなりにくい要因となっています。
 このことから、施工実績による評価は見直しか廃止するべきではないでしょうか。あるいは、国土交通省と同じように、予定価格を事後公表とすることが必要ではないでしょうか。
 また、ダンピング防止対策とすれば、予定価格の事前公表を廃止して、調査基準価格未満は失格とすることも一つの案として考えられますが、いかがでしょうか。
 実績は工事を受注することで得られる業者の財産となりますが、地方の中小企業が携わる工事内容であれば、実績がなくても施工することは可能だそうです。実績選考でふるい落とさず、予定価格を公表せず、企業の積算能力で入札を実施すべきだと思います。
 県では、行政では手の届きにくいきめ細やかな復興、被災者支援を図るため、復興、被災者支援活動等を行うNPО法人等への事業費助成を行っていますが、東日本大震災津波復興特別委員会の調査において、NPО法人から新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響も重なり、活動資金や人材の確保が課題となり、プロジェクトを継続していくためにさまざまな努力はしているものの、運営が厳しくなっている現状について伺ってきました。
 東日本大震災津波の発災以来、被災地では多くのNPО法人等が活動しており、子供たちや若者、高齢者や地域にとって必要不可欠な存在となっています。また、地域のきずなを築いてきた地域活動の拠点となっている場所も多くあることから、県としても資金的な補助の拡充やサポート、相談体制などの支援の充実を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 東日本大震災津波があって原発事故が起きて、風評被害と戦って、ようやく水産業が再建してきた中で、ALPS処理水の海洋放出が始まりました。ALPS処理水の海洋放出を受け、水産物の最大の輸出先である中国が日本産水産物の全面輸入停止措置を講じたことなどにより、ホタテやアワビの価格が下落するといった影響が出ています。
 県では、漁業者及び事業者の相談に対応するため、相談窓口を設置しているようでありますが、国や東京電力ホールディングス株式会社は、漁業者や事業者に寄り添うようなしっかりとした損害賠償請求説明会を開催しているのでしょうか。
 また、東京電力ホールディングス株式会社による損害賠償について、県としてもできるだけ早期に県内事業者への賠償が行われるよう、国に強く働きかけるべきではないか伺います。
 令和6年7月に20年ぶりに新紙幣が発行されます。新1万円札に描かれることになったのは渋沢栄一であります。東北の開発と発展こそが日本の発展にこの上なく重要である。この言葉は明治40年6月20日に発行された大船渡開港案内に掲載された渋沢栄一の言葉です。
 渋沢栄一はこの時期、日本の資本主義の基礎を築くために全国各地でさまざまな事業を興していますが、そのうちの一つが大船渡港の開発を軸とした東北開発の一大事業でした。
 大船渡開港案内で、渋沢栄一は、大船渡は東北における絶好の良港であり完全無欠の良港である。船舶碇繋区域の広大は横浜の比にあらずと述べ、開港した暁には東北一の良港としてほかに肩を並べるものがないだろうとも述べています。
 渋沢栄一は、明治32年2月、大船渡開港鉄道鉄業発起主唱会を開催し、岩手県、秋田県の両県を巻き込んで、大船渡市から秋田県の横手市までの横断鉄道を計画しました。鉄を初めとする東北地域にある豊富な鉱物を横断鉄道を使って大船渡市に運び、大船渡市に東洋一の大製鉄所を建設しようと考えていました。そのための用地買収まで進めていましたが、この計画は日露戦争などのさまざまな社会情勢の中で頓挫してしまいました。
 しかしながら、渋沢栄一のビジョンは、その後のセメントプラントの建設や一関市から大船渡市までの国鉄大船渡線の開通、大船渡湾のふ頭整備へとつながり、大船渡港発展の原点として、今もその意思は脈々と受け継がれております。
 この渋沢栄一のビジョンを未来につなぎ、東北地域の地を海路で世界へとつなぎ、岩手県や日本の産業振興を図るために世界に打って出て、まだ誰も見たことのない景色に向かって歩んでいくためには、大船渡港の最大限の利活用が必要であります。海は世界中とつながっており、岩手県は海の活用がまだまだ足りない、よく言えば、これから限りなく伸びしろがあると思います。
 大船渡港の活用を図るためには、大船渡港を起点とした構想路線である、(仮称)大船渡内陸道路の早期整備や高規格化の早期実現が重要となってきますが、整備実現に向けて県はどのように取り組んでいくでしょうか。
 また、官民一体となった積極的なポートセールスにより、大船渡港のコンテナ貨物取り扱い量は着実に増加していることから、ガントリークレーンの整備が求められておりますが、県の見解を伺います。
 大船渡港はILCの建設に必要な大型機器等の荷揚げ港として活用が期待されています。令和5年9月の岩手日報の記事では、弘兼憲史氏が、ILCは岩手ではみんな知っている。全国の人はといえば、新聞にちょこちょこ載るが、結構難しいから違う記事に目が移ってしまう。実現へ盛り上げていくには、やはり知名度が大事。宇宙の成り立ちを探る大切な研究といってもわかりづらい。そうだ、岩手には世界に通用する大谷翔平選手、佐々木朗希投手がいるのだから協力を得たらいい。両側から160キロのボールを投げ合い、ぶつかったところでビッグバンが起こる、これがILCのイメージだ。CGを使った見せ方もある。ILCは頓挫したんじゃないかって言われるが、とまってはいない。これだけ盛り上がった計画が消えてはもったいない。新型コロナウイルス感染症が収束してきたし、機運を高めよう。国際都市をつくる壮大な理想に向かって、みんなで頑張りたいですねと語っております。
 この大谷翔平選手と佐々木朗希投手のCGを使ったイメージ映像は、ぜひともILC誘致のために実現すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、読売新聞の報道で、ILCの誘致を見越して確保されている県有地の大船渡港永浜・山口地区工業用地が多額の復興予算を投じて整備したにもかかわらず、塩漬け状態になっているとされており、ILC誘致が実現しなければ土地の無駄遣いだと住民が不安を抱いているとされておりますが、県はこの状況についてどのように捉え、活用についてどのように考えているでしょうか。
 次に、北極海航路について伺います。
 政府は令和5年5月に仙台市で開かれた先進7カ国―G7科学技術大臣会合の共同声明に北極・南極周辺の海洋観測を強化する方針を盛り込みました。特に地球温暖化の影響で氷が解けている北極海で、国際的に連携して気象状況の調査などを進めます。経済や安全保障面で戦略的価値が高まる中、北極海への進出を強めるロシアや中国に対抗する狙いもあるようです。
 北極は、海氷面積が過去35年間で約3分の2になるなど地球温暖化の影響を受け、世界の気象や生態系にも大きな影響を及ぼしていますが、観測データは不足しています。
 日本では建造中の砕氷船、北極域研究船が2026年度に就航する予定です。同船は、厳冬期を除けば北極海でも航行ができ、気象観測のほか、海底の地形や生物資源の調査、堆積物の採取などが可能となります。日本政府は収集データを各国と共有することを通じて、国際的な観測プロジェクトを始動することを目指しています。政府が北極海への観測を急ぐのは、海氷の減少に伴い航路としての重要性が増しているからで、北極海航路利用の効果は、欧州と東アジア地域を結ぶ主要航路、南回り航路、マラッカ海峡、スエズ運河経由と比較して6割程度の航路距離であり、3から4割程度のコスト削減効果が見込まれ、燃料価格が高どまりしている状況下では、経済効果がますます高まるものと期待されております。
 また、海賊被害が多発するアデン湾、ソマリア沖等の海域を回避でき、乗組員の安全確保と保険コストの削減効果が期待されます。さらに、世界の未発見の天然ガスの30%と石油の13%が北極圏に存在すると推定されており、天然ガスの多くがロシアの管轄領内に存在するとされています。
 日本を初めエネルギー資源輸入国にとって新たな調達先の多様化の観点から、同地域での資源開発は魅力的です。早ければ2040年にも北極海の氷が夏場にゼロとなるとの予測もあります。
 北海道では、北極海航路の利活用を経済の活性化に結びつけていくために、道内関係者が共有すべき今後の取り組みの方向性を北極海航路の利活用に向けた方針として取りまとめています。
 岩手県としても、大船渡港を初め県内の港が北極海航路輸送のハブ港として機能していけるよう積極的に情報収集し、北海道のように取り組みの方向性について検討をしていくべきではないかと思いますが、見解を伺います。
 大船渡湾は湾の大きさに比べて外海と接している開口部が小さく、閉鎖性の強い閉鎖性海域となっています。
 県では、公共用水域水質測定計画により、大船渡湾の3地点を環境基準点として、毎月1回水質測定を行っていますが、代表的な水質指標の一つである化学的酸素要求量、CОDについて、令和2年度を除き、近年、大船渡湾奥部で環境基準を超過する値で推移していることから、早急に効果的な水質保全対策の実施が必要ですが、県ではどのように大船渡湾の水質改善に取り組んでいくのか伺います。
 物流業界で人手不足の深刻化が懸念される2024年問題に対応するため、警察庁は大型トラックの高速道路での最高速度を時速80キロメートルから引き上げることについて、年内にも提言をまとめることにしています。
 高速道路での最高速度をめぐっては、大型トラックなどを除き順次引き上げられてきました。高速道路の法定の最高速度は道路交通法の施行令で定められており、普通乗用車は時速100キロメートルですが、車体の性能向上などにより、昭和40年に大型バスなども同じ100キロメートルに引き上げられました。
 このほか、都道府県公安委員会の個別の決定に基づいて、東北自動車道や新東名高速道路などの一部の区間で普通乗用車などの最高速度は120キロメートルに緩和されるなどの措置もとられています。
 このように、さまざまな区間で120キロメートルに引き上げられている実情からも、最高速度が引き上げられることによって事故が増加するわけではないと言えます。例えば、一般道路の交通環境の変化や実態に合わせた最高速度規制の点検、見直しにより、全国の警察が平成29年度から令和2年度にかけて、1,206区間の計2,900キロメートルで最高速度の引き上げを決めています。
 円滑な道路交通のため、岩手県においても、国道や主要地方道に重点を置いた点検を進めているようでありますが、これまでの見直し状況について、伺います。
 知事マニフェストにも記載がありましたので、大船渡内陸道路や新笹ノ田トンネル、北岩手・北三陸道路などの沿岸地域や県北地域と内陸地域を結ぶ道路の整備や機能強化などを今後進めていくと思いますが、整備が完了するまでにはまだまだ時間がかかると思われます。その間、物流や医療、観光などを守り、推進し、地域を活性化していくためには、時間的な距離の短縮が有効だと思います。
 八戸自動車道、東北自動車道、釜石自動車道、三陸沿岸道路、国道、主要地方道など、あらゆる道路の最高速度や指定速度を引き上げていくべきと思いますが、県の見解を伺います。
 県庁舎の整備について伺います。
 令和5年9月定例会の総務委員会において、県庁舎の耐震診断結果について説明がありました。構造躯体としてのコンクリートの強度は維持されており、一部を補修すれば30年以上は使用可能との診断がされた一方で、耐震改修が必要という内容です。また、同時に、改修、建てかえの比較検討のパターンについても示されており、改修、現地建てかえのコスト試算も示されました。今後、専門家の知見や議会の意見も参考に改修か建てかえか判断するとのことですが、耐震改修でも120億円から200億円程度、建てかえの場合、600億円近くのコストが想定され、ほぼ全額が県民の負担となることを考えれば、慎重に検討を重ねる必要があると思います。
 私からは、検討に当たって、まだ誰も見たことのない新たな岩手県の景色を見るために、建てかえるならば本庁舎の沿岸地域への移転を提案したいところですが、今回は本庁機能の分散化について提案したいと思います。
 今回のパターンを詳細に見ていくと、いずれのパターンでも本体工事費とは別に、一時移転用の仮事務所の設置費用や耐震改修により不足する面積分を確保するための分庁舎整備の必要があることが明らかになっています。移転用の仮事務所のコストで5億円程度、不足面積分の分庁舎のコストで16億円程度、合算すれば20億円程度のコストが想定されています。これだけのコストが必要なら、単に盛岡市内で事務所を賃貸する案にとどまるのではなく、分庁舎の整備地についても検討を深めるべきではないかと考えます。
 例えば、水産振興や港湾整備等、事業の対象が沿岸地域に集中する部門については、現地に近く、市町村、関係団体との連携を深めやすい沿岸部に分庁舎を設置し、意思決定まで完結する組織を置くことも検討に値するのではないかと考えますが、県の考えを伺います。
 県は、いわて県民計画(2019〜2028)における第2期アクションプラン政策推進プランの重点事項として、自然減対策、社会減対策にオール岩手で取り組むとしています。
 しかしながら、本県の令和4年度の合計特殊出生率は1.21と過去最低を更新し、5年連続で前の年を下回っています。国も異次元と言えるような少子化対策を打ち出せておりません。人口減少率が県内でも高い県北・沿岸地域では特に対策が急務となっており、県と市町村が連携して人口減少に立ち向かっていくことが求められます。
 人口が少なくなると、学校や病院などの施設も維持していくことが困難になり、地域の衰退が懸念されます。そうなると、ますます地域から人が離れていくという悪循環に陥る可能性があります。
 県は、令和5年度当初予算において、全国トップレベルの子育て施策となる第2子以降の3歳未満児に係る保育料等の無償化を実施する市町村への補助や、第2子以降の生後2か月から3歳未満の子を在宅で育児する世帯へ在宅育児に係る支援金を支給する市町村への補助を打ち出しましたが、このような積極的な取り組みを充実させていくことに加え、社会減対策としての移住、定住施策をさらに強化していく必要があると考えます。自然減、社会減対策についてのこれまでの県の取り組みの評価と、それを踏まえた今後の方向性について、県の考えを伺います。
 文部科学省の調査において、令和4年度に県内の小中学校、高校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は2,588人と前年度より318人ふえ、過去最多となりました。全国の小中学校でも前年度から5万4,108人ふえ、29万9,048人となり、過去最多となっています。また、学校や学校以外の相談機関などから支援を受けておらず、必要な情報が届いていない子供たちが11万4,217人、全体のおよそ4割いるということです。しかも、この数字は登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもので、実際にはもっと多くの学校に行けない児童生徒が存在します。
 不登校の理由について一番多いのは、無気力や不安であり、生活リズムの乱れ、いじめを除く友人関係をめぐる問題、親子のかかわり方と続きます。文部科学省は、コロナ禍による環境の変化が子供たちにも大きな影響を与えていると分析し、共通施策として、個々の児童生徒の状況に応じて必要な支援やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関との連携、アウトリーチ機能の強化による教育相談体制などを進め、これらを踏まえた取り組みを実施するため、令和6年度の国の概算要求では予算を増額して要求しています。
 もちろん、これらの支援は重要ですが、短期間でこれだけ不登校が増加している状況を、単にコロナ禍による環境の変化で片づけてよいのでしょうか。
 既に学校教育が現状に合わなくなってきているのではないかとの指摘も多く出てきております。不登校に至る要因はさまざまであり、県教育委員会としても、より詳細な実態把握に努めるべきと考えますし、残念ながら、学校が子供たちにとって必要で安心して過ごすことのできる場所になっていない状況をしっかりと受けとめていくべきと思います。
 また、民間調査で、子供の世話のために保護者が働き方を変えたり、仕事をやめたりするなど精神的、経済的に追い込まれるということも明らかになっており、専門的なサポートが得られず、悩みを抱え込む家庭への支援も重要になってきます。
 県教育委員会として、今後、児童や生徒を孤立させないよう居場所をつくり守っていくために、どのように支援を行い、不登校への対策を講じていく考えなのか伺います。
 平成30年に県立不来方高校の新谷翼さんが自死した問題の再発防止策である岩手モデルについて伺います。
 体罰については、全国的にも平成24年に大阪市の市立桜宮高校でバスケットボール部の男子生徒が体罰を受けて自殺した事件などをきっかけに、部活動での行き過ぎた指導には厳しい目が向けられてきましたが、現在も指導者による暴力や暴言は後を絶たないようであります。
 大阪市立桜宮高校の事件の翌年に、指導者による暴力や暴言に関する相談窓口を設置した公益財団法人日本スポーツ協会によりますと、相談件数は、昨年度は373件と令和3年度の178件のおよそ2倍に上り、過去最多となりました。統計を始めた平成26年度以降、コロナ禍の影響で活動が滞っていた時期を除いては、相談件数は増加傾向にあるということです。
 公益財団法人日本スポーツ協会は、不適切な指導についての認識が社会に広まっていることなどが増加の背景にあると分析しています。近年は、指導者から、頭が悪いとか、おまえなんか使わないなどといった人格を否定するような暴言に関する相談もふえているほか、性的嫌がらせに関する相談も多いということです。
 また、通報者の内訳で見ると、およそ6割は被害者の保護者からで、当事者が安心して窓口を活用できるよう、昨年7月には子供向けの専用サイトも開設しています。
 深刻な被害が後を絶たない中、公益財団法人日本スポーツ協会はことし4月、NO!スポーツ・ハラスメントをスローガンに、体罰などを防ぐための活動を新たに始めると発表しました。公益財団法人日本オリンピック委員会や公益財団法人全国高等学校体育連盟などと連携し、指導者だけでなく保護者を対象にした研修会の開催や、SNSを通じた啓発活動などにも力を入れているということです。
 全国的にも指導者による暴力や暴言に関する相談件数がふえている中で、岩手モデルの策定委員会を立ち上げて3年たちますが、この間も県内では過去に体罰で戒告処分を受けたにもかかわらず、再び生徒への体罰と不適切な言動を行ったり、部活動の指導中に女子生徒にわいせつな行為をしたりという事案などが起きています。
 昨年度は教職員の懲戒処分が過去10年で最多の35件もありました。そもそもコンプライアンスの遵守が全く徹底されておらず、このような状況では、岩手モデルが策定されても全く効果が期待できないのではないでしょうか。県教育委員会では、岩手モデルが徹底されるような仕組みをどのように構築していく考えなのか伺います。
 以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉盛議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、大船渡内陸道路の整備についてでありますが、大船渡市から宮守インターチェンジ間の国道107号は、重要港湾大船渡港と産業集積が着実に進む内陸部を結び、産業振興を支える上で重要な路線であります。
 このため、令和3年に策定した岩手県新広域道路交通計画では、気仙地区と宮守インターチェンジ間の連絡強化を図るため、国道107号の大船渡市と宮守インターチェンジ間を一般広域道路に、さらに、これに重ねる形で(仮称)大船渡内陸道路を構想路線に位置づけたところであります。
 この計画に基づき、国道107号大船渡市─住田町間の白石峠工区を昨年度に事業化したところであり、同工区の早期完成に向けて整備を推進するとともに、大船渡内陸道路について、沿線の市町村と丁寧に意見交換しながら調査の熟度を高め、大船渡港を有する大船渡市と宮守インターチェンジ間の連絡強化に向けて取り組んでまいります。
 次に、大船渡港のガントリークレーンの整備についてでありますが、大船渡港は天然の良港としてセメント関連貨物や木材等を取り扱う港として発展してきたところであり、平成25年には国際フィーダーコンテナ定期航路が就航、令和2年には内航コンテナ航路が就航し、現在は既存のクレーンを活用しながら立地企業の物流効率化を支えているところです。
 ガントリークレーンの新たな配備については、既存の施設の利用状況や取り扱い貨物量の推移、企業立地の動向等を見極めながら、将来的なコンテナ貨物量の増加について確度が高まり、その必要性が見込まれる際に検討する必要があると考えております。
 まずは、大船渡市や港湾関係者と連携して荷主企業や船会社に対して県内港湾利用を直接働きかけるなど、大船渡港におけるコンテナ取り扱い貨物量の拡大等に取り組んでまいります。
 次に、本庁機能の分散化についてでありますが、千葉盛議員御指摘のとおり、県庁舎の改修、建てかえの比較検討パターン案における改修案では、不足する面積に対応するため、県庁舎周辺に分庁舎を設置し、効果的、効率的に事務を執行できる体制の確保についても検討を行っているところです。
 これら本庁機能とは別に、本県では、県内14カ所に地区合同庁舎を設置しており、広域振興局体制のもと、現地、現場での対応が求められる農林水産部門や土木、医療、福祉等の各部門を配置の上、本庁とも連携して現地で意思決定を行い、地域のニーズや課題等に的確かつ柔軟に対応しているところです。
 千葉盛議員から御提言のありました本庁機能の分散については、今後のDXの進展により距離の課題を克服できる一方で、効率的な業務運営の確保策や既存の広域振興局と分庁舎との機能分担のあり方、分庁舎を設置する場合の設置地域の考え方など、検討すべき課題も多いことから、今後の県庁舎のあり方検討の中で、組織体制や職員体制の見直しとあわせて、中長期的な観点から検討していく必要があると考えております。
 次に、人口減少対策についてでありますが、県では、平成27年の岩手県ふるさと振興総合戦略の策定以降、自然減対策、社会減対策を総合的に進めており、こうした対策の結果、県外からの新規立地件数の増加やこれに伴う新規雇用者数の増加、農林水産業の年間新規就業者数の増加、県外からの年間移住、定住者数の増加、保育所等の待機児童数の減少などの成果につながっています。
 このような中、近年、本県の社会減が東京圏との相対的な経済状況の差などにより歯どめがかかっていないことに加え、女性人口の減少や近年のコロナ禍による出生数が急減したことなど、新たな課題が生じています。
 このため、人口減少対策の一層の強化に向けて、いわてで生み育てる支援本部と、いわてで働こう推進本部とを連携させ、人口問題対策本部会議を開催し、課題の分析や施策の拡充の方向性などを全庁的に議論してまいりました。
 令和6年度当初予算編成では、こうした議論の方向性を踏まえ、有配偶率、有配偶出生率の向上、女性の社会減対策、県内定着、U・Iターンの推進、交流人口、関係人口の拡大など、自然減対策と社会減対策の相乗効果を発揮させる事業に最優先で取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) なりわいの再生についてでありますが、グループ補助金における高度化スキーム貸し付けを活用した事業者のうち、現在、247事業者が償還中となっており、このうち52事業者が返済期日の繰り延べなどの条件変更を受けております。
 これらの事業者は、被災前の借り入れ負担に加え、コロナ禍や物価高騰の影響で、より厳しい経営状況を強いられており、公益財団法人いわて産業振興センターが定期的かつ重点的に訪問し、状況を伺いながら経営改善計画の策定や販路開拓支援をするなど、さまざまなフォローアップを行っております。
 さらに、国や県、商工指導団体、金融機関等で構成する、いわて中小企業事業継続支援センター会議において、コロナ禍や物価高騰の影響を受ける県内事業者の支援を総合的に展開しており、今後も関係機関が密接に連携し、それぞれの事業者の実態に応じた支援を行ってまいります。
   〔県土整備部長加藤智博君登壇〕
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、公共事業予算の確保についてでありますが、県民の安全、安心な暮らしを守り、地域の産業振興を支えるためには、社会資本の整備は不可欠なものであり、公共事業予算について、安定的に確保していくことが必要です。
 そのためには、国費の確保が重要であることから、本年6月、令和6年度政府予算に関する提言・要望を実施し、国土交通省に公共事業予算の安定的、持続的な確保などの内容を説明したところであります。
 また、先月には国土交通省に対し、公共事業予算の安定的、持続的な確保と合わせ、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策のさらなる推進などを提言、要望したところであります。
 引き続き、さまざまな機会を捉えて国に働きかけていくなど、公共事業予算の安定的、持続的な確保に努めてまいります。
 次に、工事の地元発注についてでありますが、県としては、地域の建設業は地域経済を下支えする重要な産業であるとともに、激甚化、頻発化する自然災害や家畜伝染病への対応、社会資本の整備や維持管理の担い手として欠かすことのできない存在と認識しており、受注機会の確保などを通じ、経営力の強化を図ることが重要と考えております。
 このため、県営建設工事の発注に当たっては、県内企業への発注を基本とするとともに、入札時に地域要件を設定し、地元企業への発注を優先するよう取り組んでいるところであります。
 県としては、今後もこのような取り組みを通じ、地元企業の受注機会の確保に努めてまいります。
 次に、北極海航路についてでありますが、国では、北極海航路の利活用に関して、主体となる民間事業者がその利活用の経営判断を行い、行政機関が各種施策の立案を行うためには、まだなお収集すべき情報や解明すべき課題が多々存在していること等を踏まえ、北極海航路を利活用する当事者となり得る民間事業者や研究機関、行政機関等が集まり、それぞれが持つ情報等について共有を図ることで北極海航路の利活用促進に資することを目的とした協議会を設置し、情報共有を図っているところであります。
 一方で、複数の荷主企業や貨物船運航会社が北極海の環境保全の観点等から、北極海航路を使用しない意向を表明しているとの報道がなされています。
 県としては、県内港湾の利活用促進の観点から、まずは北極海航路に関する国の動向や国際社会の醸成などについて情報収集してまいります。
   〔会計管理者兼出納局長木村久君登壇〕
〇会計管理者兼出納局長(木村久君) 県営建設工事の入札についてでありますが、総合評価落札方式は、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素を考慮し、価格及び品質が総合的にすぐれたものを契約の相手方とする入札方式であり、県では、企業の施行実績や技術者の施工経験、地域貢献活動などを評価基準に設けて運用しております。
 企業の施工実績につきましては、企業が確実に施工を行う能力を有しているかの比較評価に必要な要素の一つであることから、適時、入札動向を確認し、必要な対応をしてまいります。
 次に、予定価格の公表時期につきましては、県では、予定価格の事前公表が入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには、予定価格に係る不正防止の観点から有効として導入しております。国の指針に基づき十分検討を行いながら運用しており、引き続き、入札動向や他県の状況等を見ながら適切に対応してまいります。
 また、ダンピング防止対策として県が採用しております低入札価格調査制度では、入札額が一定の価格を下回る場合には自動的に失格とする基準を設けています。この価格による失格基準は、国の通知において調査基準価格と適切な幅を設けることとされており、その制度の趣旨に沿って一定の価格幅を確保しているものであります。
 県といたしましては、低入札価格調査制度によりダンピング防止を図りつつ、地元企業の技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、地元企業の受注機会の確保に配慮した制度の運用に努めてまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) まず、NPО法人への支援についてでありますが、本県でもNPО法人によるさまざまな活動が幅広い分野で行われており、県としては、NPО法人が行う地域課題解決に向けた取り組みに補助を行ってきたほか、県内外の企業とNPО法人との交流会を開催するなどしております。
 また、税制優遇を受けることのできる認定NPО法人への移行も促してきた結果、県内のNPО法人数に占める認定NPО法人数の割合は、ことし10月末時点で4.7%と全都道府県で最も高くなっております。
 一方、NPО法人の運営に当たっては、御指摘のとおり、人材面や資金面での課題もあると伺っておりまして、この点は本県の社会貢献活動支援審議会において、集中的な議論を行う予定にしております。
 具体的には、人口減少で人材が希少化する中、兼業、副業を促進することでNPО法人でも活躍してもらえる人材をさらに見出すことができるのではないか、また、デジタル化で業務を効率化することはもちろんですが、クラウドファンディングやインパクト投資を活用することで、さらに活路が開けるのではないか、そのような議論を予定しておりますので、それらを踏まえた上で、県の施策への反映を図ってまいります。
 次に、大船渡湾の水質についてでありますが、大船渡湾については、水質汚濁の指標であるCOD―化学的酸素要求量が湾奥部で平成11年度に過去最高値を記録した後、平成12年度には、県と大船渡市で大船渡湾水環境保全計画を作成しております。
 この計画に基づいて各種対策を講じた結果、平成20年度ころには一定の水質改善が見られるようになり、湾口防波堤に通水管が整備された効果もある中、現在も同様の水準を維持することができております。
 一方、CODの環境基準の達成には、いまだ至っていないことから、現在、来年度を初年度とする第3期の大船渡湾水環境保全計画の策定に向けて準備を進めております。
 今後、工場等へのさらなる指導や汚水処理の一層の普及、モニタリングの充実などを検討しているところであり、良好な水環境を将来世代に引き継ぐことができるように取り組んでまいります。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、ALPS処理水関係の説明会についてでありますが、ALPS処理水の海洋放出の方針が決定された令和3年4月以降、県内では、国及び東京電力ホールディングス株式会社による説明会が市町村向けに7回、漁業関係者向けに7回、各種団体向けに2回、事業者向けに2回の計18回開催されています。
 県では、国に対し、説明会の開催を繰り返し要請してきたところであり、特に、今年度は海洋放出による影響が懸念される水産加工業者などの事業者向け説明会の開催を強く要請し、本年10月に開催されたところです。
 次に、東京電力ホールディングス株式会社による損害賠償についてでありますが、県では、政府予算要望等において、国に対し、期間や業種を限定することなく、被害の実態に見合った賠償を迅速かつ確実に行うよう東京電力ホールディングス株式会社を指導するなど、国が最後まで責任を持って対応するよう要望しています。
 さらに、本年5月には、国に対し、県、沿岸13市町村で構成する岩手三陸連携会議及び県漁業協同組合連合会の三者で同様の要望を行ったほか、全国知事会及び北海道東北地方知事会を通じた要望も行っているところです。
 引き続き、市町村や関係団体等と連携しながら、東京電力ホールディングス株式会社による損害賠償が被害の実態に即して迅速かつ確実に行われるよう、国に強く求めてまいります。
   〔ILC推進局長箱石知義君登壇〕
〇ILC推進局長(箱石知義君) まず、ILC―国際リニアコライダー誘致のアピールについてでありますが、ILCの実現に向けましては、現在、研究者により進められている国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取り組みとともに、ILCの有する多様な意義や価値を広く発信し、国民的な機運を盛り上げていくことが重要と認識しております。
 本年3月以降、研究者から2030年を建設開始とするタイムラインが示されているところでありますが、これを踏まえると、政府による早期の誘致判断が必要であり、それを後押しする機運醸成の重要性がさらに高まっております。
 世界で活躍する本県出身の大谷翔平選手などを活用したPRは、東北地域、岩手県がILCの建設候補地であることを知らしめるだけでなく、ILCで日本と世界をつなぐというILCの意義にも合致する夢のある提案と受けとめておりますが、実現に向けての課題もあるものと認識しております。
 県といたしましては、これまで築き上げてきた財界や文化人など多様な人材や人脈を生かした取り組みの展開に加え、御提案の趣旨も踏まえ、さまざまな手法を検討し、さらなる国民的な機運醸成に取り組んでまいります。
 次に、大船渡港永浜・山口地区工業用地についてでありますが、ILCにつきましては、昨年2月の文部科学省有識者会議の議論のまとめにおいて、時期尚早とされたものの、その後、国際協働による研究開発等が進められており、実現に向けた取り組みは着実に進展しているものと認識しております。
 県としては、こうした国内外の動きを的確に発信するとともに、ILC実現による大船渡港の活用や、それに伴う地域振興について理解増進に努めているところであり、本年9月には、大船渡市におきまして、三陸港湾の活用とILCを生かしたまちづくりをテーマに講演会を開催したところでございます。
 大船渡港はILC建設時に海外からの大型実験装置等の物流拠点として大きな役割が期待されることから、引き続き、県推進協などの推進団体とも連携し、タイムリーな情報発信に努めながら、建設候補地周辺地域における理解増進に取り組むとともに、一日も早いILCの実現に全力で取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、不登校児童生徒への対策や支援についてでありますが、不登校の要因は多岐にわたり、児童生徒一人一人の状況に応じた教育相談体制の充実を図るとともに、学校内外の居場所づくりなど、教育機会の確保に取り組んでいく必要があると認識しております。
 このため、県教育委員会では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、24時間子供SОSダイヤル相談窓口の設置、教育支援センターやフリースクール等民間団体との連携を図る不登校児童生徒支援連絡会議の開催など、これまでの不登校対策に加え、今年度から新たに教育事務所管内を統括するエリア型カウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの常勤化、1人1台端末等を利用したこころと相談室の開設、市町村の教育支援センターの設置や拡充による相談支援体制の強化などに取り組んでいるところです。
 県教育委員会としましては、今後、さらに不登校児童生徒の教育相談体制の充実や居場所づくりを進めていくため、県の教育支援センターの機能等の見直しを図るとともに、フリースクール等民間団体や地域などとの連携の強化を図りながら、児童生徒の一層の支援に取り組んでまいります。
 次に、再発防止岩手モデル策定と教職員の不祥事防止に向けた取り組みについてでありますが、県教育委員会としては、これまでもコンプライアンスの確立に向けた取り組みや綱紀保持の通知、各種会議における注意喚起など、機会あるごとに不祥事防止に向けた取り組みを行ってきたところです。
 一方、県教育委員会を挙げて再発防止岩手モデルの検討を進めているさなかにもかかわらず、児童生徒への暴力や暴言、わいせつなどの悪質な事案が発生するなど、依然として不祥事の根絶に至っておらず、まことに遺憾であり、ざんきにたえません。
 本モデルには、こうした不祥事の根絶に向けた意識改革や学校づくりのために、教職員、学校及び県教育委員会が取り組むべきことなどをまとめる予定であり、外部委員や御遺族から御意見を伺いながら、現在、取りまとめに向け具体的な検討や作業に当たっているところです。
 岩手モデルを策定した後は、県内全ての学校に備え置き、不祥事根絶に対する強いメッセージを発信するとともに、研修や会議など、あらゆる機会を通じてモデルの取り組みの徹底を図りながら、暴力や暴言などをしない、許さない職場風土の醸成と教職員一人一人の意識改革に学校、県教育委員会が一丸となって取り組んでまいります。
   〔警察本部長高水紀美彦君登壇〕
〇警察本部長(高水紀美彦君) 初めに、当県における一般道路の最高速度規制の見直し結果についてのお尋ねでございます。
 平成29年度から令和2年度にかけて実施した点検結果を受けまして、令和3年度末までに37区間、89.7キロメートルにおいて最高速度の引き上げを実施いたしております。
 路線種別ごとの内訳につきましては、国道が8路線16区間、37.3キロメートル、主要地方道が7路線10区間、22.9キロメートル、その他の路線が11路線11区間、29.5キロメートルとなっております。
 次に、最高速度の引き上げに対する見解についてのお尋ねでございます。
 最高速度規制は、速度に起因する交通事故を防止するためなどに実施するものであり、路線や区間ごとの交通量や交通事故発生状況等を勘案して決定をいたしております。
 道路構造上、車両が安全に走行できる速度として設計速度が定められており、高速道路や自動車専用道につきましては、主に道路構造等に合わせた最高速度規制を実施していますことから、現状の最高速度の引き上げは、設計速度を超えるなどの走行の安全性を損なう可能性があるため、現時点における見直しは難しいものと考えております。
 一方、一般国道等は、歩行者保護の観点から、歩道整備により歩行者等の安全が確保できている路線、区間、また、速度に起因する交通事故発生の恐れの低い路線、区間を中心に、今後も最高速度規制の引き上げの積極的な見直しを進めてまいりたいと考えております。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって千葉盛君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時3分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番 田 中 辰 也 君
2  番 畠 山   茂 君
3  番 大久保 隆 規 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 菅 原 亮 太 君
6  番 村 上 秀 紀 君
7  番 松 本 雄 士 君
8  番 鈴 木 あきこ 君
9  番 はぎの 幸 弘 君
10  番 高橋 こうすけ 君
11  番 村 上 貢 一 君
12  番 工 藤   剛 君
13  番 小 林 正 信 君
14  番 千 葉   盛 君
15  番 上 原 康 樹 君
16  番 菅野 ひろのり 君
17  番 柳 村   一 君
18  番 佐 藤 ケイ子 君
19  番 高 橋 穏 至 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 川 村 伸 浩 君
24  番 ハクセル美穂子 君
25  番 高 田 一 郎 君
26  番 木 村 幸 弘 君
27  番 佐々木 朋 和 君
28  番 吉 田 敬 子 君
29  番 高 橋 但 馬 君
30  番 岩 渕   誠 君
31  番 名須川   晋 君
32  番 軽 石 義 則 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城 内 愛 彦 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 郷右近   浩 君
41  番 小 西 和 子 君
42  番 高 橋 はじめ 君
43  番 五日市   王 君
44  番 関 根 敏 伸 君
45  番 佐々木 順 一 君
46  番 岩 崎 友 一 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時22分 再開
〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。畠山茂君。
   〔2番畠山茂君登壇〕(拍手)

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