令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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第 2 回 岩 手 県 議 会 定 例 会 会 議 録(第1号)
 
令和5年10月4日(水曜日)
   
議事日程 第1号
 令和5年10月4日(水曜日)午後1時開議
第1会議録署名議員の指名
第2会期決定の件
第3知事の演述
第4認定第1号 令和4年度岩手県一般会計歳入歳出決算
第5認定第2号 令和4年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算
第6認定第3号 令和4年度岩手県県有林事業特別会計歳入歳出決算
第7認定第4号 令和4年度岩手県林業・木材産業資金特別会計歳入歳出決算
第8認定第5号 令和4年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算
第9認定第6号 令和4年度岩手県中小企業振興資金特別会計歳入歳出決算
第10認定第7号 令和4年度岩手県土地先行取得事業特別会計歳入歳出決算
第11認定第8号 令和4年度岩手県公債管理特別会計歳入歳出決算
第12認定第9号 令和4年度岩手県証紙収入整理特別会計歳入歳出決算
第13認定第10号 令和4年度岩手県国民健康保険特別会計歳入歳出決算
第14認定第11号 令和4年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算
第15認定第12号 令和4年度岩手県立病院等事業会計決算
第16認定第13号 令和4年度岩手県電気事業会計決算
第17認定第14号 令和4年度岩手県工業用水道事業会計決算
第18認定第15号 令和4年度岩手県流域下水道事業会計決算
第19議案第1号 令和5年度岩手県一般会計補正予算(第3号)
第20議案第2号 令和5年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算(第1号)
第21議案第3号 令和5年度岩手県県有林事業特別会計補正予算(第1号)
第22議案第4号 令和5年度岩手県林業・木材産業資金特別会計補正予算(第1号)
第23議案第5号 令和5年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算(第1号)
第24議案第6号 令和5年度岩手県中小企業振興資金特別会計補正予算(第1号)
第25議案第7号 令和5年度岩手県国民健康保険特別会計補正予算(第1号)
第26議案第8号 農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関する議決の変更に関し議決を求めることについて
第27議案第9号 水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについて
第28議案第10号 土木関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関する議決の変更に関し議決を求めることについて
第29議案第11号 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第30議案第12号 旅館業法施行条例の一部を改正する条例
第31議案第13号 食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第32議案第14号 岩手県立学校設置条例の一部を改正する条例
第33議案第15号 本銅口の沢筋田畑地区砂防堰堤工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについて
第34議案第16号 訴えの提起に関し議決を求めることについて
第35議案第17号 和解の申立てに関し議決を求めることについて
第36議案第18号 損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
第37議案第19号 損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
第38議案第20号 損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
第39議案第21号 損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
第40議案第22号 令和4年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて
第41議案第23号 令和4年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて
第42報告第1号 令和4年度決算に基づく健全化判断比率の報告について
第43報告第2号 令和4年度決算に基づく岩手県港湾整備事業特別会計に係る資金不足比率の報告について
第44報告第3号 令和4年度決算に基づく岩手県立病院等事業会計に係る資金不足比率の報告について
第45報告第4号 令和4年度決算に基づく岩手県電気事業会計に係る資金不足比率の報告について
第46報告第5号 令和4年度決算に基づく岩手県工業用水道事業会計に係る資金不足比率の報告について
第47報告第6号 令和4年度決算に基づく岩手県流域下水道事業会計に係る資金不足比率の報告について
第48議案第24号 教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
第49議員派遣の件
 日程第4から日程第47まで 提案理由の説明
 日程第48 提案理由の説明、採決
   
本日の会議に付した事件
1 日程第1 会議録署名議員の指名
1 日程第2 会期決定の件
1 日程第3 知事の演述
1 日程第4 認定第1号から日程第47 報告第6号まで(提案理由の説明)
1 日程第48 議案第24号(提案理由の説明、採決)
1 日程第49 議員派遣の件
   
出席議員(48名)
1  番田 中 辰 也君
2  番畠 山   茂君
3  番大久保 隆 規君
4  番千 葉 秀 幸君
5  番菅 原 亮 太君
6  番村 上 秀 紀君
7  番松 本 雄 士君
8  番鈴 木 あきこ君
9  番はぎの 幸 弘君
10  番高橋 こうすけ君
11  番村 上 貢 一君
12  番工 藤   剛君
13  番小 林 正 信君
14  番千 葉   盛君
15  番上 原 康 樹君
16  番菅野 ひろのり君
17  番柳 村   一君
18  番佐 藤 ケイ子君
19  番高 橋 穏 至君
20  番佐々木 宣 和君
21  番臼 澤   勉君
22  番福 井 せいじ君
23  番川 村 伸 浩君
24  番ハクセル美穂子君
25  番高 田 一 郎君
26  番木 村 幸 弘君
27  番佐々木 朋 和君
28  番吉 田 敬 子君
29  番高 橋 但 馬君
30  番岩 渕   誠君
31  番名須川   晋君
32  番軽 石 義 則君
33  番神 崎 浩 之君
34  番城 内 愛 彦君
35  番佐々木 茂 光君
36  番佐々木   努君
37  番斉 藤   信君
38  番中 平   均君
39  番工 藤 大 輔君
40  番郷右近   浩君
41  番小 西 和 子君
42  番高 橋 はじめ君
43  番五日市   王君
44  番関 根 敏 伸君
45  番佐々木 順 一君
46  番岩 崎 友 一君
47  番千 葉   伝君
48  番飯 澤   匡君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
知事達増 拓也君
副知事菊池 哲君
副知事八重樫 幸治君
企画理事兼保健福祉部長野原 勝君
政策企画部長小野 博君
総務部長千葉 幸也君
復興防災部長佐藤 隆浩君
ふるさと振興部長熊谷 泰樹君
文化スポーツ部長小原 勝君
環境生活部長福田 直君
商工労働観光部長岩渕 伸也君
農林水産部長藤代 克彦君
県土整備部長加藤 智博君
ILC推進局長箱石 知義君
会計管理者木村 久君
医療局長小原 重幸君
企業局長中里 裕美君
財政課総括課長佐藤 直樹君
教育長佐藤 一男君
教育局長菊池 芳彦君
警察本部長高水 紀美彦君
   
職務のため議場に出席した事務局職員
事務局長小畑 真
議事調査課総括課長昆野 岳晴
議事管理担当課長藤平 貴一
主任主査佐藤 博晃
主任主査増澤 綾子
主査阿部 真人
   
午後1時2分 開会・開議
〇議長(工藤大輔君) これより第2回県議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
   
諸般の報告
〇議長(工藤大輔君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
 知事から、議案等の提出がありました。それぞれお手元に配付いたしてありますから、御了承願います。
   
〔参照〕
    財第103号 
令和5年10月3日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
    岩手県知事 達 増 拓 也 
   議案の送付について
 令和5年10月4日招集の岩手県議会定例会に提出する下記の議案を別添のとおり送付します。

【議 案】
議案第1号令和5年度岩手県一般会計補正予算(第3号)
議案第2号令和5年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算(第1号)
議案第3号令和5年度岩手県県有林事業特別会計補正予算(第1号)
議案第4号令和5年度岩手県林業・木材産業資金特別会計補正予算(第1号)
議案第5号令和5年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算(第1号)
議案第6号令和5年度岩手県中小企業振興資金特別会計補正予算(第1号)
議案第7号令和5年度岩手県国民健康保険特別会計補正予算(第1号)
議案第8号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関する議決の変更に関し議決を求めることについて
議案第9号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについて
議案第10号土木関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関する議決の変更に関し議決を求めることについて
議案第11号行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
議案第12号旅館業法施行条例の一部を改正する条例
議案第13号食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
議案第14号岩手県立学校設置条例の一部を改正する条例
議案第15号本銅口の沢筋田畑地区砂防堰堤工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについて
議案第16号訴えの提起に関し議決を求めることについて
議案第17号和解の申立てに関し議決を求めることについて
議案第18号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
議案第19号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
議案第20号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
議案第21号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについて
議案第22号令和4年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて
議案第23号令和4年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて
   
〔参照〕
    財第104号 
令和5年10月3日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
    岩手県知事 達 増 拓 也 
   議案の送付について
 令和5年10月4日招集の岩手県議会定例会に提出する下記の議案を別添のとおり送付します。

【議 案】
議案第24号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
   
〔参照〕
    財第103号 
令和5年10月3日
 岩手県議会議長 工 藤 大 輔 様
    岩手県知事 達 増 拓 也 
   決算等の送付について
 令和5年10月4日招集の岩手県議会定例会に提出する下記の決算に監査委員の意見を付けて、別添のとおり送付します。
 なお、令和4年度主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画実施状況報告書を併せて送付します。

【認 定】
認定第1号令和4年度岩手県一般会計歳入歳出決算
認定第2号令和4年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算
認定第3号令和4年度岩手県県有林事業特別会計歳入歳出決算
認定第4号令和4年度岩手県林業・木材産業資金特別会計歳入歳出決算
認定第5号令和4年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算
認定第6号令和4年度岩手県中小企業振興資金特別会計歳入歳出決算
認定第7号令和4年度岩手県土地先行取得事業特別会計歳入歳出決算
認定第8号令和4年度岩手県公債管理特別会計歳入歳出決算
認定第9号令和4年度岩手県証紙収入整理特別会計歳入歳出決算
認定第10号令和4年度岩手県国民健康保険特別会計歳入歳出決算
認定第11号令和4年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算
認定第12号令和4年度岩手県立病院等事業会計決算
認定第13号令和4年度岩手県電気事業会計決算
認定第14号令和4年度岩手県工業用水道事業会計決算
認定第15号令和4年度岩手県流域下水道事業会計決算
【報 告】
報告第1号令和4年度決算に基づく健全化判断比率の報告について
報告第2号令和4年度決算に基づく岩手県港湾整備事業特別会計に係る資金不足比率の報告について
報告第3号令和4年度決算に基づく岩手県立病院等事業会計に係る資金不足比率の報告について
報告第4号令和4年度決算に基づく岩手県電気事業会計に係る資金不足比率の報告について
報告第5号令和4年度決算に基づく岩手県工業用水道事業会計に係る資金不足比率の報告について
報告第6号令和4年度決算に基づく岩手県流域下水道事業会計に係る資金不足比率の報告について
   
   〔議案及び報告の登載省略〕
   
〇議長(工藤大輔君) 次に、知事から、内部統制評価報告書を受理いたしました。お手元に配付いたしてありますから、御了承願います。
   
   〔内部統制評価報告書の登載省略〕
   
〇議長(工藤大輔君) 次に、知事から、定額の資金を運用するための基金の運用状況書を受理いたしました。お手元に配付いたしてありますから、御了承願います。
   
   〔基金の運用状況書の登載省略〕
   
〇議長(工藤大輔君) 次に、東日本大震災津波復興特別委員長から、委員長に岩崎友一君、副委員長に柳村一君がそれぞれ当選された旨、報告がありました。
   
   日程第1 会議録署名議員の指名
〇議長(工藤大輔君) これより本日の議事日程に入ります。
 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第113条の規定により、大久保隆規君、村上秀紀君、佐々木朋和君、工藤剛君を指名いたします。
   
   日程第2 会期決定の件
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第2、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から11月2日までの30日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、会期は30日間と決定いたしました。
   
   休 会
〇議長(工藤大輔君) 次に、お諮りいたします。10月5日、10月6日、10月10日、10月11日の4日間は議案調査のため、及び10月18日、10月19日、10月23日から10月27日まで、10月30日から11月1日までの10日間は委員会審査のため、休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   
   日程第3 知事の演述
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第3、知事の演述であります。達増知事。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 本日ここに第2回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し述べます。
 私は、このたび知事に当選し、県民の皆様から改めて信託をいただきました。これまでの県政の中で、初めて5期目となる知事を選ぶという県民の皆様の決断には、特別な思いがあったものと受けとめております。こうした特別な思いにふさわしい仕事をしていかなければならないと感じております。
 県民一人一人を大切にし、岩手の未来を切り開くべく全身全霊を尽くしてまいりますので、県議会議員の皆様並びに県民の皆様の御支援、御協力をよろしくお願いいたします。
 このたびの知事選挙では、いわて県民計画(2019〜2028)の基本目標である東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現に向けたアクションプランなどへの理解を求めながら、県内全市町村、各地域を回り、多くの県民の皆様と直接お会いし、さまざまな課題や要望を伺いました。
 沿岸地域では、復興道路や津波防災施設等の整備、まちづくりなどが進んだ一方、東日本大震災津波から12年たった今でもなお、被災地が抱えるさまざまな課題への認識を新たにしたところであります。改めて、東日本大震災津波の犠牲になられた方々への哀悼のまことをささげます。
 本県ではこれまで、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、県民一丸となり最優先で取り組んでまいりました。発災からこれまでの間、復興道路、支援道路、関連道路が完成し、県土の縦軸、横軸を構成する新たな道路ネットワークができました。防潮堤などの津波防災施設も整備が進み、その多くが完成しました。
 一方、被災者一人一人の状況に応じたきめ細かい支援やなりわいの再生に、中長期的に取り組んでいく必要があります。
 知事就任以来、東日本大震災津波のほか、地震や台風、大雨、大雪等の自然災害など、過去に例のないような危機に相次いで見舞われましたが、そのたびに県民の皆様と力を合わせ乗り越えてまいりました。
 平成28年台風第10号、令和元年台風第19号では、東日本大震災津波の被災地も含め大きな被害がありましたが、本年3月までに全ての災害復旧工事が完了し、改良、改修による防災、減災対策に移行するなど、復旧、復興が進みました。
 本年6月には、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、高田松原津波復興祈念公園において、第73回全国植樹祭を開催いたしました。天皇陛下からは、震災を乗り越えて全国植樹祭が開催されることはまことに意義深く、復興に向けた地域の人々のこれまでのたゆみない努力と大会関係者の尽力に深く敬意を表しますとのお言葉を賜り、国内外に復興の姿を発信することができました。
 現在、令和元年度を初年度とするいわて県民計画(2019〜2028)に基づき、幸福をキーワードに、人々の暮らしや仕事を起点に、県民一人一人に寄り添う施策を展開しているところです。
 自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積が着実に進んでおり、県内経済における大きな牽引役となっています。令和4年就業構造基本調査に基づいて試算すると、本県の10代後半の正社員の年収中央値は、全国の中央値を上回る水準となっています。さらに、ITや医療機器等の関連産業の集積も進み、イノベーションの創出に向けた連携も進んでいます。
 先日公表した県の令和5年度地価調査結果では、住宅地で23年ぶりに上昇となったほか、工業地では5年連続で上昇し、上昇率は前年度に比べ拡大、商業地では下落となったものの、近年で最小の下落率となっており、経済活力を示すバロメーターとも言われる地価に明るい兆しが見られます。
 一方、現在のエネルギー、物価高騰は、県内のあらゆる産業に大きな影響を与えています。特に、農林漁業者は、厳しい経営環境に置かれている状況にあります。これらに加え、中小企業者等では、いわゆるゼロゼロ融資の返済や人材確保などの課題、水産業では、ALPS処理水の海洋放出に伴う中国の水産物の輸入停止の影響もあります。
 また、水産業では、主要魚種の不漁という課題もありますが、関係団体と連携した水産業リボーン宣言に基づく取り組みを進めることにより、危機を乗り越えようとしています。
 こうした産業ごとの個別課題に対する取り組みを進めつつ、物価高騰など各産業に共通する課題を解決することが必要です。
 新型コロナウイルス感染症については、人口10万人当たりの新規感染者数を全国で最低水準に抑えつつ、社会経済活動との両立を図ってきた中、本年5月に5類感染症に移行しました。これに伴い人の移動が増加したこと等により、1定点医療機関での1週間当たりの患者数が増加しましたが、病床の確保を図っており、医療提供体制の逼迫には至っておらず、社会経済活動は回復基調にあります。
 本年4月には、PFI方式により、全国で初めて県と市が共同で整備したスポーツ施設であるいわて盛岡ボールパークがオープンしました。このボールパークが、大谷翔平選手、菊池雄星選手、佐々木朗希選手のように、将来、全国や世界に羽ばたく人材をエンパワーすることが期待されます。
 本年5月には、いわて花巻空港と台湾を結ぶ国際定期便が再開し、8月に寄港したMSCベリッシマを初めとして、多くのクルーズ船が県内に寄港するなど、県内の観光客数はコロナ禍前の水準に回復しつつあります。
 ニューヨークタイムズ紙の2023年に行くべき52カ所への掲載や、大谷翔平選手を初めとする若者の活躍など、岩手県に関する情報が、いまだかつてないほど世界に拡散されています。
 このように地方の魅力が見直される中、本年7月には、日本外国特派員協会における記者会見で、岩手県を例に地方の持つよさを発信したところであり、岩手県から全国や世界へのさらなる発信が期待されています。
 これまでの成果を土台とし、今任期では、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、これまで以上に、県民一人一人を起点とし、県民とともに歩む施策を展開し、岩手が、全ての岩手県民と岩手にかかわる人々を幸福にできる県になることを目指します。
 まず、4年間の県政運営の基本的な考え方について申し上げます。
 今任期の4年間は、本年度を初年度とするいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの計画期間と重なります。第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととしており、四つの重点事項として、自然減・社会減対策、GX―グリーントランスフォーメーションの推進、DX―デジタルトランスフォーメーションの推進、そして、安全・安心な地域づくりを掲げています。
 今後4年間は、第2期アクションプランを着実に推進し、オール岩手で人口減少問題に取り組み、さらに、必要な追加的施策を推進することによって、希望郷いわてをその先に進めます。
 東日本大震災津波から12年余りが経過しました。この12年間で計画されたハード事業の多くが完了しましたが、残された社会資本を早期に整備します。
 被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援など、一人一人の状況に応じたきめ細かい支援に引き続き取り組みます。
 被災地では、市町村や関係団体、民間事業者との協働により、なりわいの再生が進められてきました。
 主要魚種の不漁、エネルギーや資材の高騰、中国による水産物の輸入停止への対策など、復興を支える水産業の再生や、三陸復興国立公園、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパークなどの地域の魅力を生かした観光振興の促進に取り組みます。
 新たに整備された道路ネットワーク等を活用し、さらに民間の力を呼び込み、地域社会全体の活性化につなげていきます。
 東日本大震災津波を語り継ぐ日条例の趣旨にのっとり、震災の事実、教訓の伝承と復興の姿の発信に取り組みます。
 新しい三陸の創造を目指し、復興のその先を見据えた取り組みを進めていきます。
 ILCは、その学術的な意義に加え、誘致により、イノベーションの創出、交流人口の拡大など多様な価値を生み出すものと期待されています。県では、県内外の関係団体等と連携した国等への要望や国民的な機運醸成とともに、実現を見据えた受け入れ準備、関連産業の振興、人材育成等を積極的かつ戦略的に推進してきました。
 こうした中、本年度の国の予算では、前年度比で倍増となる関連予算が措置され、技術開発を推進する国際的な枠組み、ILCテクノロジーネットワークが発足するなど、新たな取り組みが進められています。
 引き続き、国内外の研究者を初めとした多様な関係者と緊密に連携しながら、ILCの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 持続可能な地域社会を築くためには、三陸地域の日本ジオパーク認定に代表されるように、すぐれた地域資源を生かし、地域住民との協働や関係市町村と連携した広域的な地域づくりをさらに広め、県央、県南、沿岸、県北の4広域振興圏の振興を一層進めることが重要です。
 特に、高齢化、人口減少が進行している県北・沿岸圏域においては、地域の産業を担う人材の育成、在宅医療やリハビリテーション医療の充実を図ります。
 三陸地域の魅力を高めるため、日本ジオパークへの確実な再認定に加え、地域密着型のまちづくりを進めるなど、持続可能な地域社会の基盤となる施策を講じてまいります。
 さらに、広域振興圏や県の区域を越えた広域的な連携を進め、北上川流域や三陸、県北圏域を初めとする北岩手などの地域について、産業集積や自然環境、交通ネットワーク、世界遺産など、地域の強み、特徴やイノベーションの力を生かして、それぞれのゾーンの特徴に応じた産業振興と地域課題の解決に取り組みます。
 また、人口規模が小さい町村を中心に、交流人口の拡大などに向けた支援を重点的に行います。こうした支援とともに、市町村相互や県、市町村との連携、協働を一層進め、広域振興局を拠点とした一体感あるふるさと振興を推進します。
 直面する行政課題や複雑化する県民ニーズに的確に対応し、政策の実効性を高めていくためには、県民、企業、大学、NPO、関係団体、市町村など、あらゆる主体と連携、協働しながら、より質の高い行政経営を進める必要があります。
 これらの主体の県政への参画を促進するため、多様な県民運動のネットワーク化により、県民総参加の政策を進めます。
 また、いわて未来づくり機構に代表される産学官ネットワークや岩手県立大学などの高等教育機関と連携し、高度専門的な知見を活用した地域課題の解決や新たな付加価値の創出に取り組みます。
 職員はもとより、就職を希望する方にとって魅力ある働く場にするため、超過勤務の縮減や男性職員の育児休業等取得率100%達成、デジタル技術の導入拡大による業務の効率化など、一層の働き方改革を進めます。
 多くの公共施設等の老朽化が進む中、将来にわたり行政サービスの提供を持続可能なものとするため、県庁舎を初めとする公共施設の計画的な更新や長寿命化、施設配置の最適化を進めます。更新等に当たっては、スポーツ医・科学などの新たな機能やインクルーシブなどの新たな視点を取り入れていきます。
 人口減少対策や社会資本整備など必要な政策を強力に推進するため、収支均衡予算の実現やプライマリーバランスの黒字維持など、四つの財政目標達成による健全な財政基盤を確保しながら、新たな歳入確保策の検討も進めます。
 このような考え方に基づき、いわて県民計画(2019〜2028)を推進する今後4年間の主要な施策について申し上げます。
 まず、今後4年間の主要な施策を進めるに当たり、現下の危機であるエネルギー、物価高騰対策に取り組みます。
 エネルギーや原材料、資材等、物価の高騰に対し、県はこれまで、生活困窮者や子育て世帯、中小企業者、農林漁業者等への幅広い支援を実施しましたが、現在も県民生活や地域経済に大きな影響を及ぼしています。これまで措置した施策を迅速かつ確実に実施しながら、県民一人一人の暮らし、仕事、学びに寄り添った施策を機動的に行ってまいります。
 また、全国知事会等と連携し国に対策を働きかけるほか、中小企業者や農林漁業者等の支援に向け、買うなら岩手のもの運動などを通じた消費拡大や販路開拓、経営の安定化などを推進します。
 現在の危機に対する適時適切な対策とともに、四つの重点事項をオール岩手で進めてまいります。
 まず、一つ目は、人口の自然減・社会減対策の推進です。
 人口減少は、未婚化、晩婚化や仕事と子育ての両立の困難さなどによる出生数の減少と若年層を中心とした転出超過が大きな要因となっています。この背景にある一人一人の生きにくさを生きやすさに変え、全ての岩手県民と岩手県にかかわる人々が、岩手県をベースに、自由に自己実現ができ、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、希望をかなえられる岩手県をつくっていくため、個人の希望に基づく自由な生き方の選択を応援することが重要です。
 このため、進学、就職などをずっと岩手県で過ごす、岩手県で学び、岩手県で暮らすこと、県外の大学等へ進学し、卒業後に岩手県に戻って就職する、県外で学び、岩手県で暮らすこと、進学や就職を機に県外へ行き、仕事等を通して力を身につけた後、岩手県に戻って就職したり新しい事業に挑戦する、県外で身につけた力を岩手県で発揮すること、進学や就職を機に県外へ行き、県外で暮らしながらも故郷である岩手県とつながり続ける、県外で暮らし、岩手県とつながること、県外に住んでいる人が、岩手県の魅力に気づき、県外から移住するなどの、県外出身でも岩手県で暮らすこと、それぞれの生き方の選択を尊重しながら、多様なライフステージに応じた支援を強化していきます。
 子育て支援については、今年度からスタートした3歳未満の第2子以降の保育料無償化など、全国トップクラスの施策を一層拡充します。
 放課後児童クラブや放課後子供教室の充実など、子供の居場所、遊び場づくりを進めます。
 子供の教育については、自己実現に向け、知・徳・体のバランスのとれた生きる力を身につける学びの場の確保や学力育成の取り組み、ICTの効果的活用を推進します。
 復興教育やSTEAM教育、スーパーキッズの発掘、育成などを推進します。
 いじめや不登校の対策を講じ、一人一人がお互いに尊重できる教育の場を整えます。
 県内で就業を希望する全ての若者、女性の就職が実現できるよう、県内企業の働き方改革や子育て支援、若者、女性が働きやすく活躍できる環境づくりを促進します。
 岩手県で働く魅力、価値や県内の企業に関する情報を発信し、U・Iターンを促進します。
 ワーケーション、二地域居住、農山漁村体験、いわて留学など関係人口の拡大を図り、将来の移住、定住につなげていきます。
 三つの世界遺産や二つの国立公園等の地域資源を生かした県内全域の周遊など、より広域的な観光の振興を進め、交流人口を拡大します。
 個人の自由を尊重する社会の創出に向け、パートナーシップ制度への支援や結婚支援施策の拡充を進めます。
 二つ目は、GX―グリーントランスフォーメーションの推進です。
 国内外で気候変動が一因と考えられる異常気象が頻発しており、地球温暖化対策は喫緊の課題です。豊富な森林資源や再生可能エネルギーのポテンシャルなど、本県の強みを生かし、地域経済と環境に好循環をもたらす持続可能な新しい成長と、誰もが住みたいと思えるふるさとを次世代に引き継ぐことが必要です。
 岩手県の温室効果ガス排出について、2030年度までに、2013年度と比べ57%削減する目標の達成に向け、県民の理解増進を図ります。
 また、県が先頭に立って取り組みを進めることも必要であり、県有施設のZEB化や太陽光発電、LED照明、EVの導入等を進め、温室効果ガスの排出量を削減します。
 本年7月、全国の自治体で初めて発行したグリーン/ブルーボンドについて、継続的な発行により財源の確保を図り、気候変動への対応や海洋資源、生態系の保全等に資する事業を推進します。
 産業、業務活動における省エネルギー対策に向け、県内企業の脱炭素経営を支援します。
 地域と共生した再生可能エネルギーの導入促進や、自立・分散型のエネルギー供給体制の構築により、エネルギーの地産地消を進めます。
 環境負荷を低減する農業生産の推進や、地球温暖化に適応する品種の開発を進めます。
 二酸化炭素の森林吸収源対策に向け、豊富な森林資源を活用した林業の振興に取り組みます。
 ブルーカーボンの増大に貢献する藻場の再生、造成などに取り組みます。
 三陸沖における洋上風力発電の導入など、再生可能エネルギーの導入拡大を推進します。
 三つ目は、DX―デジタルトランスフォーメーションの推進です。
 DXの進展は、生産性の向上や新たな価値の提供を実現させ、人口減少など地域が抱える社会問題の解決を図り、個性豊かで活力に満ちた地域社会の可能性を広げます。
 あらゆる産業のDXを促進し、介護、子育て、医療分野における利便性の向上、教育分野における新たな学びの実現を図ることで、全ての県民がデジタル化の恩恵を享受できる持続可能な地域づくりが必要です。
 スマート技術を活用した農林水産業の生産性向上、EC―電子商取引を活用した農林水産物の販路拡大、デジタル技術を活用した歴史、文化情報の発信による交流人口の拡大など、産業のDXを進めます。
 大規模災害時の避難誘導や捜索活動、小規模集落への物流などにおけるドローン活用、MaaS等による利便性の向上、AIを活用したデマンド交通等の促進を通じて、社会、暮らしのDXを進めます。
 四つ目は、安全・安心な地域づくりの推進です。
 東日本大震災津波や新型コロナウイルス感染症の経験を教訓とし、気候変動が一因とされる異常気象や、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を初めとした大規模自然災害、新たな感染症などに備えていく必要があります。
 また、こうした大規模自然災害など、新たな危機への対策強化に向け、災害時の体制整備や防災を担う人材育成が重要です。
 激甚化、頻発化する自然災害等に備え、県と市町村が一体となった自助、共助、公助による防災、減災対策を進めます。
 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震へ備えるため、本年8月に県と沿岸12市町村が共同で取りまとめた報告書に基づき、県と沿岸市町村が一体となって犠牲者ゼロを目指した取り組みを推進します。
 県民の生命や財産を守るため、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策等による流域治水などに取り組みます。
 また、災害に強く、物流の基盤となる道路ネットワークの構築に向け、沿岸部と内陸部を結び、高規格道路を補完する緊急輸送道路としての役割を担う路線の整備に取り組み、岩手の強靱化を推進します。
 橋梁等の道路施設や河川、海岸施設等の社会資本について、予防保全型維持管理を進めます。
 新たな感染症の流行時にあっても、企業活動を停滞させることがないよう、県内企業の業務継続計画の策定を促進します。
 医療、介護、福祉、地域公共交通、産業、雇用環境等については、人口減少社会において、引き続き、中長期的に維持、向上を図っていく基盤であり、四つの重点事項と合わせ施策を推進します。
 特に、持続可能で希望ある医療体制の構築に向け、周産期医療やがん、脳血管疾患などについて、全県的な医療提供体制と県立病院の体制等の一層の充実を図ります。
 また、国が責任を持って地域医療を守ること等を定めた地域医療基本法の制定を働きかけます。
 あわせて、12の医師少数県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会会長として、実効性のある医師不足、医師偏在対策の実現を目指します。
 多様化、複雑化する県民ニーズに対応するため、福祉総合相談センターと県民生活センターの合築により、相談支援を初めとする公的福祉の拠点を整備します。
 地域にとって必要なバス路線やJRローカル線に係る課題等に対応するため、財政的支援や必要な情報の開示など、国に対し積極的な関与を求めます。
 県内を網羅した持続可能な地域交通の確保に向け、市町村や鉄道、バス、タクシー事業者と連携し対策を講じます。
 県内産業の持続的な発展に向けては、採用や賃上げ、働き方の改革、生産性向上に向けた設備の整備など、中小企業への支援を拡充します。
 今年度設立したいわてスタートアップ推進プラットフォーム等により、若者の起業、スタートアップ支援の取り組みを強化し、本県を舞台に、若者や女性が、さまざまなビジネスや社会活動の分野で、それぞれの思いやアイデアを形に変えていく環境を構築します。
 市場、地域の特性を捉えた戦略的なプロモーションを展開し、インバウンドを初めとした誘客拡大を促進します。
 農業については、県オリジナル水稲品種を核とした県産米の良食味、高品質生産、高収益な園芸作物の導入、畜産経営体の規模拡大を推進します。
 食料安全保障の重要性が高まる中、我が国の食料供給基地としての役割を果たしていくため、海外依存度の高い麦、大豆等の生産拡大や農業生産基盤の着実な整備等を進めます。
 野生鳥獣被害の防止に向けた有害捕獲など、地域全体で取り組む被害防止活動等を推進します。
 農林水産物を初めとする県産品の販路拡大に向けて、関係団体と連携したトップセールスにより、アジアや北米等をターゲットに戦略的な輸出促進を図ります。
 岩手県政150年の歴史の中で、初めて政党政治を実現した平民宰相原敬や、外務大臣や内務大臣、東京市長を歴任し、関東大震災の復興に手腕を発揮した後藤新平、国際連盟事務次長として活躍し、日本と西洋のかけ橋となった新渡戸稲造を初め、岩手県は、全国や世界を舞台に活躍する多くの偉大な先人を輩出してきました。
 そして近年も、大谷翔平選手や小林陵侑選手、本県出身力士として23年ぶりに小結となった錦木関など、全国や世界を舞台に活躍する多くのスポーツ選手や、本県初のプロ棋士となった小山怜央棋士など、若者の目覚ましい活躍は、私たち岩手県民を元気づけ、感動を与えてくれています。
 また、ことし1月にはニューヨークタイムズ紙が、2023年に行くべき52カ所の2番目に盛岡市を選び、世界から岩手県が注目されています。
 私はこれまでも、岩手県で生まれ育った人や岩手県で育まれた豊かな文化に大きな可能性を感じていましたが、今、全国や世界で活躍する多くの岩手県人や世界から注目される岩手県を目の当たりにし、改めて、ふるさと岩手の価値や魅力が国際的に広く認知されるようになったことをうれしく思います。
 高速交通網や情報通信技術が発達した今、岩手県にいても、世界を相手に仕事をして暮らすことができます。岩手県の外に羽ばたいても、岩手県とつながりながら、全国や世界で活躍することができます。また、ハロウインターナショナルスクールのように、世界から岩手県にやってきて、世界へ羽ばたくこともできます。
 岩手県の魅力に引かれた世界中の多くの人々が、岩手県とつながり、岩手県を訪れています。岩手県の県土には、人を育て、生かす風土があり、大きなポテンシャルがあるのではないでしょうか。
 ニューヨークタイムズ紙の盛岡市の記事は、景観だけではなく、住民や生活文化の豊かさを高く評価し、世界に紹介していますが、これは、盛岡市に限ったことではなく、岩手県全体にも当てはまることです。放送から10周年になるあまちゃんでも、北限の海女やまめぶ、こはくなど、地域の魅力が発掘、再評価されました。
 岩手県の自然、岩手県の日常、岩手県の人々の価値や魅力は、岩手県の中にいれば気づかなくても、外から見ればかけがえのないすばらしいものであるということが、交通や情報通信の発達によって広く知られ、地元にもフィードバックしているのです。
 今こそ、これらの価値や魅力を発信し、岩手県を世界に大きく開き、全国や海外の人を招き入れていきましょう。それは、県民一人一人が、仕事や生活、学びを通じて、岩手県をベースに幸福度を高めるための大きな力となります。
 これからの4年間は、岩手県の価値や魅力を全国、海外の人と共有するため、世界に打って出るときです。岩手県の持つ価値や魅力を最大限に磨き上げ、誇りを持って世界に発信し、希望郷いわてのその先にある、まだ見たことのない景色に向かって歩みを進めましょう。
 ここにおられる議員の皆様並びに県民の皆様の深い御理解とさらなる御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明を終わります。(拍手)
   
   日程第4 認定第1号令和4年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第47 報告第6号令和4年度決算に基づく岩手県流域下水道事業会計に係る資金不足比率の報告についてまで
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第4、認定第1号から日程第47、報告第6号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉総務部長。
   〔総務部長千葉幸也君登壇〕
〇総務部長(千葉幸也君) ただいま議題とされました各案件について御説明申し上げます。
 認定第1号は、令和4年度岩手県一般会計歳入歳出決算であります。
 歳入総額8、986億6、200万円余、歳出総額8、459億3、100万円余で、差し引き残額は527億3、000万円余となります。これから繰越財源額329億5、700万円余を差し引いた実質収支は197億7、300万円余の黒字となっているものであります。
 認定第2号から認定第11号までは、令和4年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計など10件の特別会計の決算であります。各特別会計とも、実質収支は黒字または均衡となっております。
 認定第12号から認定第15号までの4件は、令和4年度の公営企業会計決算であります。
 これらの一般会計、特別会計及び公営企業会計の決算につきましては、地方自治法第233条第2項及び第3項並びに地方公営企業法第30条第2項及び第4項の規定に従い、監査委員の審査に付し、その意見をつけて、認定に付するものであります。
 議案第1号は、令和5年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。
 今回の補正予算は、大雨、凍霜被害等の復旧経費や水田の畑地化に対する財政支援など、早急に対応が必要となる予算や、新型コロナウイルス感染症対策のための予算、円安を生かした県産品輸出拡大やインバウンド誘客拡大のための予算を計上するほか、生活者、事業者支援等の原油価格、物価高騰対策については、国の経済対策と連動して、今後、早急に予算化することとし、今回は、地域公共交通の運行支援や指定管理施設の光熱費の負担軽減策などの経費を先行して計上し、総額96億8、600万円余の増額補正を行おうとするものであります。
 補正の主なものは、三陸鉄道運行支援交付金1億8、000万円、いわて花巻空港利用促進事業費6、300万円余、緊急時介護人材確保、職場環境復旧等支援事業費補助16億3、600万円余、母子保健・児童福祉一体的相談支援機関整備事業費補助1億900万円余、新型インフルエンザ患者入院医療機関等設備整備費補助8億4、200万円余、畑地化促進事業費補助9億8、400万円余、漁港災害復旧事業費1億5、300万円、河川等災害復旧事業費1億7、000万円余等であります。
 議案第2号から議案第7号までの6件は、令和5年度岩手県母子父子寡婦福祉資金特別会計など6特別会計の補正予算であります。これらは、それぞれ所要の補正を行おうとするものであります。
 議案第8号から議案第10号までの3件は、予算の補正に伴う建設事業に要する経費の一部負担及び一部負担の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第11号から議案第14号までの4件は、条例議案であります。これは、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部を改正する条例など、4条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
 議案第15号は、災害復旧工事に係る変更請負契約1件の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第16号は、訴えの提起に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第17号は、和解の申立てに関し議決を求めようとするものであります。
 議案第18号から議案第21号までの4件は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第22号及び議案第23号は、令和4年度の岩手県電気事業会計及び岩手県工業用水道事業会計の未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第1号は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定に基づき、令和4年度決算に基づく健全化判断比率について報告するものであります。
 報告第2号は、令和4年度決算に基づく港湾整備事業特別会計の資金不足比率について、報告第3号から報告第6号までの4件は、令和4年度決算に基づく公営企業会計の資金不足比率について、それぞれ報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願い申し上げます。
   
   日程第48 議案第24号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第48、議案第24号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。菊池副知事。
   〔副知事菊池哲君登壇〕
〇副知事(菊池哲君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第24号は、教育委員会の委員であります宇部容子氏の任期が10月10日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 教育委員会の委員は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第2項の規定により、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見のあるもののうちから任命することとされており、宇部容子氏は、長年にわたる教育関係での経験で培った幅広い識見を有する委員として、精力的に委員会活動に取り組んでいただいており、学校教育や社会教育、家庭教育の推進など、重要かつ喫緊の課題への対応が求められております本県の教育を推進する上で必要な方であると存じております。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(工藤大輔君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第24号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第24号は、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(工藤大輔君) 起立全員であります。よって、議案第24号は、これに同意することに決定いたしました。
   
   日程第49 議員派遣の件
〇議長(工藤大輔君) 次に、日程第49、議員派遣の件を議題といたします。
   
〔参照〕
議事日程第1号中 日程第49 議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の
目的
派遣
場所
期 間派 遣 議 員
特別国民体育大会鹿児島県令和5年10月6日から令和5年10月8日まで上 原 康 樹 議員
高橋 こうすけ 議員
千 葉   盛 議員


   
〇議長(工藤大輔君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました1件についてでありますが、会議規則第116条第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(工藤大輔君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後1時49分 散 会

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