平成23年9月定例会 第2回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(小野寺好君) 公明党小野寺好であります。
 議案第1号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第7号)について、まず、知事選挙後の補正予算でありますので、補正全体について伺います。
 3月の議会で議決した平成23年度予算の内容は、知事選挙を前にした、いわゆる骨格予算として編成されたもので、従来どおりならば、選挙後の6月議会で肉づけと言われる政策関連予算が出されたはずであります。しかしながら、3月11日の大震災で優先順位が大きく変わったと思いますが、例えば平成28年に開催が想定されておりました岩手国体関係ばかりではなく、新知事の下で推進されようとしていた政策で大きく影響された内容と概算を伺います。
 次に、平成23年度予算は6、815億円余ですが、この補正予算(第7号)で過去最高の総額1兆2、252億円余となりました。平成22年度末の補正予算(第7号)及び(第8号)で大震災対策関連予算も議決しましたので、大震災関連予算は5、344億円となっております。平成23年度は国庫支出金3、843億円余、県債1、349億円余でありますが、県債の中には後に交付税措置されるものもあると思われますので、実質的な県のいわゆる借金はいかほどになるのか。財政硬直化が懸念されますが、返済見通しもあわせて伺います。
 次に、交通安全施設災害復旧事業費10億円余の内容を伺います。
 3月11日の大震災後の大停電の中、盛岡市内では何カ所かの交差点では交通信号機が作動しておりました。これはどのような仕組みの信号機なのか、この種の信号機を増設することは可能かどうか伺います。
 次に、仮設住宅入居者が、一変してしまった生活の中でうつ状態になるのを避けるための生活支援事業を行う必要があります。近年、認知行動療法が注目されていますが、これは認知症と誤解されやすい名称ですが、別物で、自殺対策、特にうつ病対策に有効だと言われ、この認知行動療法は保険適用にもなっています。本県ではどの程度使われているか対応を伺います。
 次に、商工観光振興資金貸付金36億円余で融資枠が300億円となっています。補正前は125億円余ですが、特に有利な貸付条件に果たしてなっているかどうか、また、利用実績はどうなのか伺います。
 次に、(仮称)岩手県産業復興機構に5億円の出資を予定していますが、この機構の目的を伺います。確実に再起の見込みのある場合だけ救うのか、あるいは多少危険があっても、被災地の復興や雇用の拡大の観点から緩やかに長期的に見ようとしているかどうか伺います。
 関連して伺いますが、個人版私的整理に関するガイドラインが運用されていますが、県としてどのようにかかわっていくのか伺います。
 次に、救助費46億円のうち、応急仮設住宅の寒さ対策を伺います。断熱材、凍結防止、入り口は万全でしょうか。
 また、先ごろ、厚生労働省社会・援護局総務課長から、東日本大震災の発生に伴い建設された応急仮設住宅における暖房器具の設置についてという文書が出されましたが、この中で、石油ストーブ、ホットカーペット、電気こたつ等の暖房器具の設置に要する経費については、災害救助法による国庫負担の対象となるとされています。これは例示されたものから希望するものを選択するものでしょうか、あるいは一方的に同じものが支給されるものでしょうか伺います。
 また、文字どおり応急仮設住宅に限定され、従来の雇用促進とか民間借り上げ住宅は対象外となるのでしょうか伺います。
 この石油ストーブに関してですが、不便な場所での灯油の購入と保管及び火災予防という点でどのような対策を講じていくのか伺います。
 次に、生活福祉資金貸付金2億4、000万円の内容を伺います。
 被災者にとっては毎月の所得がなくなり、義援金、失業保険金等に依存した生活は深刻であります。社会福祉協議会を通しての貸し付け等の対応では限界となると、最後の頼みは行政であります。生活困窮者への今後の支援策を伺います。
 最後に、ドクターヘリ導入関連費用1億4、000万円はどのような内容であるのか伺います。
 来春運航するための施設整備やスタッフの準備等、予算措置はこれで完了したと理解してよろしいでしょうか。
 なお、本県の運航後の年間経費は概算で幾らになるか伺います。この年間の運航経費、国と県とで折半する原則でありますが、県負担についてはさらに半分程度を交付税などで支援してもらえる場合もあると聞きましたが、来年度の費用負担はどの程度になるか伺います。以上であります。
〇総務部長(加藤主税君) まず、知事選後の肉づけ予算と関連経費の影響についてでございます。
 当初、6月補正において予算の肉づけを行う予定でございましたが、今年度は東日本大震災津波の発生を受け、震災対応に注力する必要が生じたことから、新規、政策的経費について、厳選の上、予算計上したところでございます。
 この予算編成に当たりましては、東日本大震災津波に係る対応に県の人的資源や財源を振り向ける観点で事業の再点検を行い、6月補正予算での計上を検討しておりました国体選手強化施設整備事業関係経費約6億円、情報システム最適化事業関係経費約7億円など、県民生活に大きな支障を及ぼさない事業について休止するとしたところでございます。
 次に、震災によります実質的な県債の動向についてでございます。
 本県の震災対応予算における県債は、昨年度の補正分も含め、震災対応分ということでは902億円程度となっております。
 一方、国では、第3次補正予算におきまして、交付税を増額し、国の1次補正及び2次補正も含めまして、被災自治体の実質的な地方負担をなくす方向で検討を進めていると伺っております。したがいまして、現在、県債により手当てしている予算も含めまして、そもそもの本県の負担額がどのようになるのか流動的な状況にあります。当然、返済見通しも流動的ということになります。県の負担が軽減される方向でありますので、期待を持って今後の動向について注視していくという状況でございます。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、認知行動療法についてでありますが、うつ病の治療に有効と言われている認知行動療法については、研修や教育を受ける機会が十分ではなく、そのため国においては研修会を開催するなど、その普及に努めていると承知しているところであります。
 本県では、平成22年度に盛岡市内で厚生労働省による認知療法・認知行動療法研修会が開催され、100名程度が参加したほか、今年度は一関保健所で研修会を開催する予定であり、少しずつその普及が図られてきているところであります。
 本県における認知行動療法の実施状況については、岩手医科大学を含む複数の精神科医療機関において保険診療を行っていると承知しております。うつ病を発症した方の治療に当たっては認知行動療法も有効であると考えられますことから、医療関係者の御意見を伺いながら本県における普及について検討していきたいと考えております。
 次に、生活福祉資金貸付金についてであります。
 まず、増額要求2億4、000万円の内訳でありますが、市町村社会福祉協議会に係る経費として、生活支援相談員の増員配置に要する人件費のほか、生活支援相談員の活動に必要なプレハブや車両のリース料、パソコン等の備品費となっております。
 次に、生活困窮者への支援策についてでありますが、生活の復旧に向けて、一時的に必要な資金需要にこたえるため、生活福祉資金貸付制度においては、緊急小口資金及び生活復興支援資金の貸付資金が設けられたところであります。
 10月7日現在の貸付状況は、緊急小口資金(特例貸付)については2、936件、3億9、000万円余、生活復興支援資金については19件、1、400万円余となっております。
 社会福祉協議会においては、被災世帯の状況や相談内容に応じて、生活福祉資金貸付制度による支援策のみならず、生活保護制度の活用などさまざまな支援策を示しながら対応しておりますが、県におきましても、生活保護制度の運用のほか、生活支援に関する制度を網羅したパンフレットの作成、配布、県振興局への相談窓口の設置や自立生活が困難な方への支援にも取り組んでまいります。
 次に、ドクターヘリ導入促進事業費についてでありますが、ドクターヘリ運航の実施主体である岩手医科大学において、現在整備中である同大矢巾キャンパスの基地ヘリポートの実施設計を行い、整備内容の精査を実施した結果、増額となったものであります。
 その主な内容としては、冬期間の安全かつ円滑な運航のための融雪装置等の設置や、近隣住宅地への騒音や粉じん等の影響を抑えるための防風林、調整池の整備を行うものでありますが、搭乗する医師や看護師の研修、必要な医療機器の整備も含め、平成24年度運航開始に向けた準備に係る予算措置はおおむね完了するものと考えております。
 次に、ドクターヘリの運航経費についてでありますが、今年度の基準によると、年間総事業費は約2億1、000万円となっており、うち2分の1は国が補助金として負担、残りの県負担分約1億500万円のうち一定割合が財政力指数に応じて特別交付税措置されることとなっており、本県の場合、8割、約8、400万円が措置されることから、実質的な県の負担はそれ以外の年間約2、100万円となる見込みであります。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、商工観光振興資金についてでありますが、8月末現在の融資実績は84億6、400万円余で、対前年同月比25.2%増と利用実績が伸びてきており、当初予算に対しての融資枠の70.5%に達するなど資金の需要が旺盛なことから、県といたしましては、復興需要あるいは年末にかけての資金需要に十分な対応ができるよう、今回、補正することとしたものであります。
 この条件でございますが、県の制度融資のほとんどが固定金利でございますが、この本資金につきましては変動金利を採用しておりまして、他の資金よりも約0.2%低利となっております。ちなみに、10年物で現在2.1%の金利を設定しております。
 次に、岩手県産業復興機構についてでございます。
 この機構は、再三議会答弁のほうでも御案内していますが、先般開設いたしました産業復興相談センターとセットで、事業者の二重債務問題を迅速に解決するため、国、県、地元金融機関が連携いたしまして設立するものであります。金融機関から被災事業者の既存債務を買い取りまして、新規融資を促進することにより、被災地域の早期の経済復興と雇用拡大の実現を目的としております。
 この機構では、これも繰り返しでございますが、震災以前、健全経営を続けてきたにもかかわらず、今回の大震災がもとでやむなく債務超過に陥った、かつ再生意欲の高い事業者を支援するため、金融機関の新規融資によって今後の再生が見込まれる場合、債権を買い取るとしておりまして、いずれ産業復興相談センターで事業者の将来見通しに基づく適切な再生計画の策定を支援することとしていまして、センターと機構が密接に連携して債権の買い取り等を進めることとしております。
 県といたしましては、この制度が適正に運用されまして、一人でも多くの事業者の方々の再生が図られるよう期待しているところであります。
〇県土整備部長(若林治男君) まず、住宅の二重ローン対策についてでありますが、個人の債務につきましては、全国銀行協会が主体となりました個人債務者の私的整理に関するガイドラインを策定いたしまして、本県では8月に、個人版私的整理ガイドライン運営委員会岩手支部を設置いたしまして債務の取り扱いなどに応じているところであります。
 県では、個人債務の対策につきまして、復興実施計画に基づきまして、住宅ローンへの利子補給などの負担軽減策につきまして、現在、準備を進めているところであります。
 次に、応急仮設住宅の耐寒対策でありますが、仮設住宅の寒さ対策につきましては、建設工事の際に、配管は凍結防止のための被覆や水抜き栓の設置を行っております。また、壁の断熱や入り口については、建設工事が一段落した7月から順次追加工事を行うことによりまして対応を進めているところであります。断熱性の低い約7、700戸の住宅につきまして断熱強化及び二重サッシ化の工事を行っており、これまでにすべて完了しております。また、すべての住宅を対象といたしました風除室の設置につきましては11月中の完成を予定しております。
〇理事(廣田淳君) 災害救助法によります国庫負担の対象となる暖房器具についてでありますけれども、議員御指摘のとおり、厚生労働省から10月7日付の通知で石油ストーブ等の例示が示されております。
 県ではこの通知を受けまして、直ちに10月11日付の通知で暖房器具の設置に係る事務を市町村に委任し、各市町村の気象等の地域事情やそれぞれの応急仮設住宅の個別事情を勘案して各市町村において対応していただくよう要請し、現在、各市町村において、設置する暖房器具について検討を進めていただいております。
 また、その設置対象は応急仮設住宅に限られているものであり、雇用促進住宅や民間賃貸住宅などのいわゆるみなし仮設住宅は対象となっていないところであります。
 次に、灯油の購入と保管、火災予防対策についてでありますけれども、灯油の購入につきましては、地域の実情に応じまして、入居者と地元の業者との間で決まるものと考えておりまして、市町村におきましてそれぞれの状況を把握していくことが基本と考えており、県としましては、それらの市町村の状況を踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
 また、灯油の保管につきましては、NGOが配布しております仮設のトリセツあるいは仮設住宅カスタマイズ事例見学会で風除室を収納スペースとして紹介しており、こういった空きスペースを利用していただければと考えております。
 火災予防対策につきましては、10月6日付で県から仮設住宅建設地の各市町村あてに応急仮設住宅の防火対策の徹底について通知しまして、入居者それぞれの方への注意の喚起、あるいは消防署、地域消防団と連携した地域の防火安全対策の推進などをお願いしたところであります。
〇警察本部長(樹下尚君) 交通安全施設災害復旧事業費の内容についてでありますが、6月補正で措置済みのものを除いたすべての復旧経費であり、信号機114カ所、道路標識2、914カ所、道路標示6キロメートル、自動起動型発動発電機48カ所であります。
 信号機につきましては、市街地が大きく被災した地域で復旧時期を検討中の若干の箇所を除きまして、年内には滅灯状態を解消したいと考えております。
 停電時に信号機が作動していた仕組みについてでありますけれども、電力の供給が停止したことを感知した際に自動的に発動機が作動し信号機に電力を供給するもので、約24時間の信号機運用が可能であり、燃料補給により延長することができます。現在、県内14カ所の重要な交差点の信号機にこの装置を整備してございます。今回、沿岸地域で被災した信号機の復旧に際しまして、48カ所の信号機に追加整備すべく補正予算に計上しているところでございます。
〇38番(小野寺好君) 1点だけ。
 若林県土整備部長から答弁が来るとは思わなかったんですけれども、個人版私的整理に関するガイドライン、これは岩手支部という今お話がありましたけれども、恐らく盛岡市かと思うんですが、実際、関係するのは沿岸の方たちかなと。わざわざ盛岡市までというのは大変かと思いますので、将来的に沿岸の主要な市に出張所なり何かできるのかどうか、その1点だけお伺いします。
〇県土整備部長(若林治男君) 議員御指摘のとおり大変遠いところだと思いますので、出張の相談だとか、そういうものについてちょっと働きかけて御相談したいと思います。
〇議長(佐々木博君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第15号まで、以上15件については、47人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木博君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第15号まで、以上15件については、47人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木博君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、10月24日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第29号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第2回県議会定例会 平成23年10月18日)
総務委員会
1 議案第1号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款
       第2款
       第3款第5項
       第9款
       第11款第4項第2目
          第7項
   第3条
2 議案第15号
3 議案第16号
4 議案第17号
5 議案第18号
6 議案第19号
7 議案第25号
8 議案第28号
9 議案第29号
環境福祉委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款第1項
          第2項
          第3項
          第4項
       第4款
   第2条第2表中
    1追加中 1、2
2 議案第2号
3 議案第14号
商工文教委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第5款
       第7款
       第10款
       第11款第6項
   第2条第2表中
    1追加中 3、4
2 議案第7号
3 議案第20号
4 議案第21号
5 議案第22号
6 議案第23号
7 議案第24号
8 議案第26号
9 議案第27号
農林水産委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
       第11款第1項
          第4項第1目
   第2条第2表中
    1追加中 5、6
    2変更中 1~4
2 議案第3号
3 議案第4号
4 議案第5号
5 議案第6号
6 議案第10号
7 議案第11号
県土整備委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
       第11款第2項
   第2条第2表中
    1追加中 7~10
    2変更中 5~9
2 議案第8号
3 議案第9号
4 議案第12号
5 議案第13号
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時14分 散会

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