令和4年9月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(高橋穏至君) 自由民主党の高橋穏至でございます。
 私は、ただいま上程されている請願陳情受理番号第78号消費税インボイス制度の実施凍結または中止を求める請願について、不採択とする委員長報告に賛成であります。
 インボイス制度は、令和5年10月から、複数税率に対応した消費税の仕入れ税額控除の方式として導入されるものであり、既に昨年10月から登録が始まっております。これは、複数税率のもとで適正な課税を行うために必要な制度として、また、国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る、いわゆる益税を防ぐことを目的としております。そして、取引の透明性を高めることで公平、公正な制度となり、消費税に関する不正やミスを防ぐことになります。インボイスによって税額が明確になることや、中小事業者にとって適正な価格転嫁を行いやすくなるといったメリットが期待されております。
 導入に当たっては、4年間の準備期間を設けるとともに、さらに6年間にわたって免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めるなど、事業者の準備のための10年間の経過措置を設けています。
 また、令和3年度補正予算におきましても、インボイス制度への対応も見据えた中小企業のデジタル化や、インボイス発行事業者となる免税事業者の方の販路開拓などの支援措置である小規模事業者持続化補助金におけるインボイス枠を講じております。
 さらに、インボイス制度への対応を見据えた中小企業のデジタル化やインボイス発行事業者となる免税事業者の販路開拓などを支援する対策を講じております。
 インボイス発行事業者となる免税事業者に対しては、商工会、商工会議所、法人会、JAなど、多くの関係団体が実施に向けての説明会を開催し、指導など導入に向けた支援を行っております。
 総務委員会の審査の中で当局に対して、もしわかればと前置きし、請願趣旨の中で消費税の免税事業者を商取引から排除しかねないインボイス制度は、事業者間の取引慣行を壊し、実質的な増税となるものである。このままインボイス制度が実施されれば、経営基盤の弱い中小零細企業者、フリーランス等では経営が成り立たないとあるが、この部分の意味がわかるでしょうかとの質疑がありましたが、明確な回答がありませんでした。
 インボイス制度では、買い手側の事業者が仕入れ額控除を受けるためにインボイスが必要です。しかし、インボイスを発行できるのは課税事業者に限られます。そのため、売り手が免税事業者のままでは仕入れ控除が受けられなくなり、買い手が仕入れ先の分まで消費税を払うことになり、そのことを理由に取引先から契約を打ち切られる可能性が出てきたり、取引を打ち切られたり、取引を打ち切られないとしても、見返りに消費税分の値引きを要求されたりするかもしれないという懸念があります。
 このことを避けるために、課税事業者になって取引先との関係性の継続を図ることもできますが、そうなると、以後は消費税を納めなければならなくなります。これまで丸々利益にした消費税分が手元に残らなくなることで、収入減となります。
 総務委員会の審査の中で、採決前の意見表明では、請願賛成の立場から、中小零細企業者やシルバー人材センターの事業運営への支障について述べられましたが、この点について、他議会では、シルバー人材センターの安定的な事業経営のため、適格請求書等保存方式の導入に係る適切な措置を求める意見書や、インボイス制度―適格請求書等保存方式の中小零細企業者や小規模農家等への影響を緩和する措置を求める意見書など、インボイス実施に伴う課題に対する対策を求める意見書が出されていることは理解できます。
 しかし、本請願は、本来、複数税率のもとで適正な課税を行うために必要な制度として、また、国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る、いわゆる益税を防ぐことを目的としたインボイス制度そのものを凍結または中止を求める趣旨であり、採択に賛同できるものではありません。
 以上のことから、本請願を不採択とした委員長報告に賛成いたします。議員各位の御賛同をお願い申し上げ、討論といたします。(拍手)
〇議長(五日市王君) 次に、高橋はじめ君。
   〔32番高橋はじめ君登壇〕

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