平成15年6月定例会 第3回岩手県議会定例会 会議録

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〇45番(藤原泰次郎君) 自由民主クラブの藤原泰次郎でございます。会派を代表しまして、県政の諸課題について質問させていただきます。
 まず、4月の知事選挙においては、県民の圧倒的支持により3選を果たされた増田知事に、心からお祝いを申し上げるところでございます。
 最初に、知事の県政3期目の基本的姿勢についてお伺いします。
 知事は、これまでの2期8年の県政運営において、県政の主役は県民であるとの認識のもと、県内各市町村を回り、地域が主体となった個性豊かな魅力ある地域づくりに向けて、地域資源を再発見するいわて地元学の普及に取り組んできたほか、生活者や地域の視点に立って、県民満足度の向上と成果重視の透明性の高い県政に取り組み、特に新しい時代を見据えた総合計画を策定し、新しい岩手づくりを推進してきました。その間、県立大学の開学、東北横断自動車道釜石秋田線や三陸縦貫自動車道などの道路の整備、東北新幹線盛岡以北の建設促進など、目に見えた本県の社会資本の整備が進んできたところであり、知事のこれまでの新しい岩手づくりについては、一定の評価をするものであります。
 一方、これから4年間の県政運営について、知事はさきの知事選挙のときから、一貫して自立をキーワードにしているようであります。
 そこでお尋ねいたします。これから4年間については、これまでの2期8年間の県政運営とどのように異なるか、今後、どのような姿勢で取り組んでいこうとしているのでしょうか、改めてその決意のほどをお聞かせ願います。
 次に、地方自治確立対策委員会についてお尋ねします。
 昨今の地方自治や地方分権をめぐる動きにつきましては、地方制度調査会や地方分権改革推進会議、また、先日の経済財政諮問会議など、政府の諮問機関から国と地方の関係のあり方、さらには三位一体改革、すなわち、税源移譲、国庫補助負担金改革そして地方交付税改革についての意見書、答申書が立て続けに発表され、市町村合併の動きとも相まって急展開の様相を呈しております。
 三位一体の改革については、平成12年4月の地方分権一括法施行の際にも結局先送りされてしまい、国から地方への税財源移譲に大きくかかわるものであり、ここに来てやっと、地方自治、地方分権の根幹にかかわる極めて重要な問題に決着をつけるべく、活発な論議がなされているところであります。こうした重要な局面において、地方6団体では去る5月16日に、我が国の国民、住民の意識に即した個性豊かで活力に満ちた自主、自立の分権型地域社会の実現に向け、学識経験者と地方6団体関係者が一体的に審議を行うための組織として地方自治確立対策委員会を立ち上げ、税源移譲も含めた真の地方分権の推進につながる地方行財政制度の構築について、積極的な提言を行うこととしたことは、まさに時宜を得た的確な行動であると評価するものであります。
 第1回委員会には増田知事も出席し、発言したとお聞きしておりますが、その発言のねらいはどこにあったのか、また、委員会ではどのような議論がなされて、今後どういう方向に持っていこうとしているのか、そうした点について知事の御見解をお聞かせ願います。
 次に、行財政構造改革についてお伺いします。
 長引く景気の低迷により、地域経済も停滞し、県内の雇用情勢も依然として厳しい状況が続いております。このような状況は、本県の財政にも深刻な影響を与えております。例えば、今議会に提案されている平成15年度の6月補正後の予算と昨年度の当初予算を比較してみますと、県税収入で66億円余の減、地方交付税で148億円余の減と大幅に減少しております。
 増田知事は、去る6月16日に、自立した地域社会形成に向けた行財政構造改革プログラム――仮称でございますが――の骨子を発表されましたが、これによると、本県の財政状況は、このまま推移した場合には、平成15年度から18年度までの4年間で約1、750億円の財源不足が生じてしまい、平成17年度には財政再建団体に転落してしまうとのことであります。今回発表された骨子には、県民ニーズの高い分野の施策推進、事務事業の見直し、効率化と組織・職員体制のスリム化など八つの見直し項目を挙げておりますが、県単継ぎ足し補助や各種負担金は廃止の方向で見直すとともに、公共事業費についても平成14年度当初予算を基準として、平成16年度までに段階的に30%を削減するとしております。
 公共事業については、花巻空港整備事業における平行誘導路の整備を5年間休止する方針が示され、また、葛巻町及び山形村で整備が計画されているエコパーク平庭高原――仮称でありますが――の事業費が今回の補正予算に盛り込まれなかったことなど、既にさまざまな影響も見られ始めているところであります。もとより、この種の改革は、結果として県民に痛みを強いるものでありますので、私は、この改革の推進に当たっては、県民に対し十分な説明を行うとともに、県民の声を聞き、県民からの理解と協力を得ることが必要であると考えるものであります。
 県は、今回発表したプログラムの骨子に基づき、本年10月までに具体的な取り組みを盛り込んだプログラムを策定するとしておりますが、この策定に当たって、県民の声をどのように反映させていくお考えでしょうか。また、今後の進め方についてお伺いします。
 次に、企業誘致の取り組みについてお尋ねいたします。
 国内経済は、6月の経済月例報告では、景気の現状についておおむね横ばいとの見方を続けながらも、このところ一部に弱い動きが見られると指摘し、5カ月ぶりに基調判断を下方修正しております。一方、最近の県内経済情勢は、個人消費や住宅建設が依然として低調に推移し、生産活動や雇用情勢については一部に動きが見られるものの、全体としては引き続き厳しい状況となっております。
 知事は、さきの知事選挙において、雇用対策を緊急優先課題の一つとして掲げ、先般は総合雇用対策局を設置し、部局を横断する総合的な雇用対策に着手されました。県民の雇用の維持確保はまさしく緊急の課題であり、雇用改善のためには、幅広い雇用対策を実施していく必要があると考えるところでありますが、この火急のときには、雇用確保の受け皿として、企業の誘致が極めて有効な手段であると認識するところであります。
 知事は、本年2月の定例会において、企業誘致への取り組みに関する質問に対して、進出予定企業への魅力ある優遇策を整備することなどにより、企業誘致を推進していくと答弁されております。我が国の経済が依然として低迷を続け、生産拠点の海外シフトやリストラが続く中で、他県との激しい競争に打ち勝ち、本県への誘致を促進するため、今後、どのような施策を展開されようとしているのかお伺いします。
 次に、社会保障改革についてお伺いします。
 最近、不景気のため収入・仕事の不安が広がっております。今後も社会保障には頼りたいが、制度の将来に不安があると思っているのが、大多数の県民の意識ではないでしょうか。これに対応するかのように、去る6月16日に、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会が、今後の社会保障改革の方向性に関する意見を取りまとめ、坂口厚生労働大臣に提出しております。
 その内容は、1として、年金など高齢者向け給付の伸びをある程度抑制し、育児など現役世代の支援を進める。2として、所得や資産のある高齢者に応分の負担を求める。3として、税、社会保険料に財政赤字を含めた潜在的国民負担率を過度に社会保障に関連づけるのは適当ではないなど、現在の子供たちが高齢者となる今世紀半ばまでも維持可能な制度とするために、高齢者への給付抑制と若い世代の負担軽減を改革のポイントとして提言しているのが特徴となっております。私は、社会保障は社会全体で支え合う仕組みであり、これは信頼が保たれることで持続しているものであり、これまで負担増と給付カットを繰り返してきたこの制度は、立て直しの正念場を迎えていると考えるものであります。
 そこでお伺いします。社会保障改革と本意見書について、知事の御所見をお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、産業廃棄物不法投棄についてお伺いします。
 本県の緊急課題の一つとして位置づけられる、本県と青森県にまたがる国内最大規模の産業廃棄物不法投棄事件につきましては、全国を代表する産業廃棄物不法投棄の事例として日々マスコミに取り上げられており、全国からの視察が相次いでいると伺っております。
 私は、去る6月12日に、会派として現地を視察してまいりましたが、地面の下に膨大な量の産業廃棄物が埋設されているという現場に立ち、牧草地など一見のどかに見える周囲の風景を見たとき、かえって悲惨な気持ちにさせられました。この事件を契機に、20世紀の負の遺産を一掃する特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案と不法投棄の未然防止策を盛り込んだ改正廃棄物処理法案が今国会で可決、成立するに至りました。国では、平成24年度までの間に、計画的かつ着実に不法投棄現場の原状回復を推進するための基本的な方針を、この夏までに定めるとの見通しを示しております。従来は、不法投棄された被害県のみが大きな負担を強いられる図式でありましたが、補助金と起債の特例措置により負担が大きく緩和され、原状回復に向けた取り組みが大きく進むことと存じます。
 そこでお伺いします。原状回復について、県の基本的な考え方をお伺いします。また、原状回復がおくれるような場合には、この地域における風評被害が危惧されるところでありますが、原状回復の見通しとあわせて知事の御所見をお聞かせ願います。
 次に、医療問題について2点お伺いします。
 まず、公私医療機関の役割分担についてであります。
 県民一人一人が生涯にわたって心身ともに健康であることは、安心して豊かな生活を過ごす上での基本となるものであります。県内においても、高齢化が急速に進行するとともに、食生活など県民の生活様式の変化に伴って、疾病構造が生活習慣病や慢性疾患中心へと変化してきており、一方で、県民の健康に対する関心が高まり、そのニーズも一層多様化してきております。
 こうした状況の中で、県においては、県保健福祉計画に基づき、保健医療機関や関係団体、市町村等との連携を図りながら、良質な医療提供体制の整備と医療機関の機能分担・連携の推進等を柱として、県民がどこに住んでいても患者の状況にふさわしい医療が提供されるよう、さまざまな保健医療施設を展開してこられました。中でも、県立病院を初めとする医療機関の整備充実や、医師等の医療従事者の確保を進めながら、県民の医療の確保に努めてこられたことにつきましては、高く評価するものであります。しかしながら、国のレベルにおいては、将来的に医師過剰時代の到来という推測もある中で、大都市部においては、既に医師が過剰との話も仄聞するところであります。本県においても、地域によってはこのような状況をも考慮に入れ、公的医療機関、とりわけ、県立病院と民間医療機関との役割や機能分担について、より明確にしていくことが必要ではないかと考えます。これまでも、県は、公私医療機関の役割分担と連携については取り組まれてきているところでありますが、このような地域における県立病院と民間医療機関との役割、機能分担のあり方について、知事の御所見をお伺いします。
 次に、保健医療サービスについてであります。
 県保健福祉計画においては、患者の立場に立った保健医療サービスの向上についても、その重要な柱の一つとして掲げられており、さまざまな患者や家族の声、ニーズを踏まえながら患者の療養環境の向上を図るとともに、適切な医療サービスを提供するための基盤整備等を目指して、県民医療相談センターの設置など各般の施策及び改善策に取り組まれ、その向上に一定の成果を上げてきているものと認識しているところであります。しかしながら、より質の高い多様な医療サービスを求める県民のニーズがさらに多様化してきている中で、県民が安心して医療サービスを享受することができるよう、一層の体制の整備が求められているところであります。このような中で、医療サービスの向上という目標とは裏腹に、同じ病院での入院が長くなった場合、その治療が継続できず、転院を余儀なくされるといった状況も見受けられるところでありますが、こうした現状に対する対応策についての御所見をお伺いします。
 次に、農政問題について3点お伺いします。
 まず、農業改良普及事業についてであります。
 農業改良普及事業は、昭和23年から国と都道府県との共同事業として、農業者に直接接し、関係機関・団体と一体となって、試験研究機関等で開発された技術を地域の農業条件に応じた形で普及するとともに、意欲ある担い手の育成に携わるなど、本県の産地育成や農業経営と農村生活の改善に大きく寄与してきたところであります。この農業改良普及制度について、昨年10月、地方分権改革推進会議から制度創設時と現在を比較すると、農業を取り巻く環境や農業の担い手のあり方が大きく変化する中で、今後は地方分権の趣旨を踏まえて、地域農業改良普及センター等の必置規制の廃止ないしは大幅緩和、交付金の一般財源化等を検討すべきであるとの意見が出されております。また、経済財政諮問会議においても、その方向で見直しを求めているところであります。このような状況のもとで、本県の普及事業の現状と将来の見通しについて、知事はどのように認識されているのかお伺いします。
 次に、農業委員会の役割についてであります。
 最近の我が国の農業・農村を取り巻く諸情勢は厳しいものがありますが、優良農地の確保及びその有効利用、担い手の育成及び確保など、農業委員会に期待されている役割は非常に大きいものがあると認識しているところであります。国の地方分権改革推進会議は、市町村に必ず設置する必置制の撤廃または大幅緩和など、抜本改革を求める意見を政府に提出し、農業委員会のスリム化に向けた改革を迫った内容となっております。農林水産省においては、平成14年10月に、農業委員会に関する懇談会を設置して農業委員会の活動・組織のあり方などが検討されていると聞き及んでおるところでございます。
 そこでお伺いします。この懇談会において、農業委員会の役割をどのように見直しているのでしょうか。また、県はどのようにお考えでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、遊休農地の有効活用についてであります。
 地域の農業の担い手の減少、農業労働力の高齢化の進行などにより、地域の程度の差はあれ、農地が年々荒廃化しているのを実感しております。食料自給率の低下が懸念されている中で、地域の農業を振興し農業生産を維持・増大させるためには、優良農地を確保しこれを効率的に利用していくことが不可欠であり、遊休農地の適切な利用に向けた取り組みを強化していくことが必要と思われます。
 そこでお伺いします。遊休農地の推移はどのようになっているのでしょうか。また、遊休農地を活用するために、どのような取り組みを進めているのでしょうか。特にも、水田については、幾多の先人が多大な労力と経費をかけて現在のような美田として私どもに残してくれたかけがえのない財産であり、その高度な利用を図ることが、先人の苦労に報いるためにも、また、次世代にとっても極めて重要であると考えますがいかがでしょうか、あわせてお伺いします。
 次に、いわて森のトレー生産協同組合についてお尋ねします。
 いわて森のトレー生産協同組合は、整備した機械にトラブルが生じ、製品をほとんど生産できなかったため、昨年の8月には事業を中断してしまったと伺っております。また、昨年11月には、会計検査院から、補助金の目的を達成していないとして、補助金金額12億7、900万円余が不当との指摘を受けたところであります。このような中、先ごろの報道によりますと、補助金を交付した農林水産省では、県に対して、7月末を期限とする補助金全額の返還命令を7月中にかける方針を固めたとされております。このまま国から補助金全額の返還命令が出された場合には、金額が多額なだけに、大きな問題になると心配されているところであります。また、こうしたことは、この事案にとどまらず、今後の補助事業の執行にもかかわる重大な問題であります。
 そこでお伺いします。この事案のこれまでの経緯についてお聞かせ願います。県と国の主張は平行線をたどっているとされておりますが、具体的には、その内容がどのような点であったでしょうか。今後、県としてどのように対処しようとしているのか、あわせてお示し願います。
 次に、災害対策についてお伺いします。
 県は、土砂災害に対し、安全で安心して生活できる地域づくりに取り組んできたところでありますが、今回のいわゆる三陸南地震により、県内でもがけ崩れなど土砂災害が発生し、大きな被害があったところであります。この災害に対し、早期復旧に取り組んでいることと思いますが、今後、梅雨期や本格的な台風シーズンを迎え、より一層の土砂災害防止対策が迫られていると報じられております。県内の土砂災害危険箇所数は増加しており、その整備率は依然として低い水準にあります。一方、公共事業の投資規模は縮小されており、このような状況下にあって、県はどのような災害防止対策を推進しようとしているのか、お伺いいたします。
 次に、災害時の通信機能等の確保についてであります。
 いわゆる三陸南地震の発生直後には、家族の安否確認のため、多くの県民が家庭や職場から固定電話や携帯電話をかけられたのでありますが、通信回線が規制されたことによりほとんど通じず、夜半になりようやく連絡がトレーたという方が多かったものと思われます。平成7年の阪神・淡路大震災のころには考えられなかったような携帯電話の普及で、日常の仕事や生活面にすっかり溶け込んでいるため、今回の大地震発生において、携帯電話が持つ災害時の通信確保の脆弱性が一挙に全国的にクローズアップされたところであります。お聞きするところによると、公衆電話は災害時優先電話で、今回の地震においてもこの電話はつながったことから、多くの方がこれを利用したということであります。また、安否確認用のダイヤル171が設置され、東北全体で6万件を超える利用があったとも報道されております。
 このように、若干の知識があれば、災害発生時の通信のふくそうに一応の対応ができるものでありますが、このことが住民によく定着していないのではないかと思われます。もとより、通信事業者の努力に待つ部分が大きいのでありますが、全体の通信量の軽減にもつながるものと思われます。日常生活における知識として、県としても広く県民に普及・啓発していただきたいと思いますがいかがでしょうか、お聞かせ願います。
 また、今回の地震発生時における通信のふくそうは、いわゆる災害弱者と言われている高齢者の中でも、独居老人、在宅の要介護者や障害者の状況把握の面でも課題を残すことになりました。幸いにも、今回の地震では避難が大きな問題とはなっていませんが、津波を伴う地震の場合には、災害弱者を視野に置いた通信機能の確保や避難において、どのように取り組んでいくのかあわせてお伺いいたします。
 次に、交通安全対策についてお尋ねします。
 本県における平成14年中の交通事故における死者数は、対前年比、約10%の減少を見たところでありますが、これは、県内各地で日々熱心に交通安全運動を推進している多くの方々の努力の成果であります。しかしながら、そのような努力にもかかわらず、毎日のように報道される交通事故のニュースを見ますと、スピードの出し過ぎや飲酒運転によるものが後を絶たず、特にも、県民の模範となるべき教員や公務員の飲酒運転事故等の報道に接するにつけ、社会全体の交通モラルが低下しているのではないかと危惧するものであります。
 このような中、先般、県は、職員の飲酒運転等の悪質な交通違反に対して、懲戒免職という厳罰をもって処するという方針を打ち出されましたが、被害者、加害者はもとより、その家族に対してまでも悲惨な結果を招く交通事故の根絶を目指すためには、社会全体の交通モラルの向上を図ることが何よりも肝要なことと考えるものであります。
 そこでお尋ねいたします。県は、交通モラル向上のためにどのような取り組みをされていくのか、お示し願いたいと思います。
 最後に、児童生徒の安全確保についてお伺いします。
 2年前、大阪教育大学附属池田小学校において、児童8人が死亡し、多数の児童、教師が重軽傷を負った事件が発生したことは、一般的には安全だと思われていた学校内で、しかも、不審者が教室内に乱入しての事件だっただけに、保護者や教育関係者はもとより、社会全体が大きな衝撃を受けたのであります。その生々しい事件はいまだに忘れ得ぬ悲惨な記憶を呼び起こしております。
 また、先日、本県においても、久慈市で下校途中の小学生が見知らぬ男の車に押し込められ、長時間にわたり連れ回されるという事件が発生しました。児童生徒は、校舎内ばかりでなく、登下校時においても危険にさらされております。
 いずれの事件も、社会の閉塞感や不公平感からくる強いストレース等もその要因の一つと考えられますが、矛先が何の抵抗のすべもない小学生に向けられたことに対して、私は強い怒りを覚えるものであります。
 県では、学校運営について家庭や地域の意見等を把握しながら、絶えず見直し、改善の努力をしていく地域に開かれた学校づくりなど、さまざまな取り組みが行われているところでありますが、何よりも児童生徒の安全確保は絶対の条件と考えます。児童生徒の安全管理については、それぞれの地域の住環境等の条件が大きく異なっている実情から、本来学校単位で知恵を絞ることが望ましいものと考えますが、今後の児童生徒の安全確保について、知事の御所見をお伺いします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 藤原泰次郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず初めが、私の3期目の県政運営の基本姿勢についてのお尋ねでございます。
 2期8年間の基本姿勢としては、できるだけ現場に近いところで現場重視の中で仕事を進めていこうと、それは具体的には地方振興局の機能強化や市町村への大幅な事務移譲、それから総合補助金の創設といったようなことで進めてきましたし、それから住民の皆さん方にいろいろなことについて積極的に参画をいただいて、そうした御意向を十分に踏まえて仕事を進めていきたいということで、やはりそのための前提として情報公開が必要だろうということで、こうしたことも行ってきました。この点については今後も継続して進めていきたいと考えております。
 一方で、この8年間行ってきたさまざまな事業がございますけれども、そうした各種事業の中で、やはり国の経済対策に呼応して行ってきたいわゆる公共事業を中心としたもの、こうしたものは社会資本の整備が、大幅に前倒しで進むといったメリットもかなりあったのですけれども、公債残高が一方でふえるといったようなこともありまして、このことによって景気が思うように回復をしてこなかったということがございますので、県税収入や地方交付税の交付額が大きく落ち込むといったことも積み重なって、非常に県財政が疲弊をしてきたということにつながってまいりました。このあたりについて見通しが十分でなかったと思っておりますけれども、こうしたことがございますので、これからギアを切りかえて、そしてハンドルを切っていく必要があるだろうと思っております。
 これからの姿勢としても、やはりこうした国の政策や方針というものも、今まで以上に大いに吟味をしなければいけない。それで、みずからの判断と責任で、岩手にとって本当に大事なものは何かという観点に立って行動していく必要があるだろうと思います。それから、住民の皆さん方に対しても今まで以上にさらに情報公開を進める。それで、地域にとって真に必要なものは何かというのは、行政が上から決めていくのではなくて、そのことは今まではどちらかというと補助金がつくからということでいろいろな事業を導入してきたり、それから地元の負担が少ないということで、一律の基準の中でも無理やり地元の事情を合わせたりということを行ってきましたが、そうではなくて本当に地域に真に必要なものは何か。すなわち、あれかこれかを住民の皆さん方に真に決めていただくということが必要だろうと思います。情報公開、今言いましたようにさらに進めて、そうしたことを住民の皆さんに判断し決定していただけるようにして、その上で本当に必要なものだけを事業を進めていくということに切りかえていかなければならないと思います。
 県の財政構造もこうした中で自立のための政策を強力に推進していく中で体質転換をしていきたいと思っていますし、幸いにして社会資本がこの間、大分整備が進みましたので、そうしたものについてはこれから十分に利活用するということに重点を置いていかないといけない。今までの平成3年までのペースで進めてきたものよりも随分大幅に整備が進んできましたから、そういったものをこれから今までのペースでずっと、この10年間のペースで整備を進めていくということではなくて、利活用する、どうやったらより効果が出るかということに視点を置いて、それで利活用に重点を置いていかなければならない。こういうところを切りかえていきたいと思っております。
 それから、地方自治確立対策委員会、これは地方6団体がつくった委員会ですが、ここで私が述べた意見、どういうことを述べ、そのねらいは何だったのかという御質問もございましたが、これは第1回目が5月16日に行われたものでございまして、そこに私が出席をして意見を述べてまいりました。ちょうどその1週間ほど前から地方分権改革推進会議、例の東芝の西室さんが議長をやって、それで進めてきたこの地方分権改革推進会議で、いわゆる地方共同税を初めとして、地方の自立を妨げるようなそういう内容がこの中に盛り込まれようとしているという非常に危険性を感じましたので、そうした地方分権改革推進会議、本来であればこの会議は我々の立場に立って、それで地方が自立をしていくための有効な施策をいろいろとこの中で提言をしていかなければならないのですが、どうも会議自体が進め方も非常に閉鎖的で独善的であると、そういう危険性がございました。会議の日時も公開しないし資料も外に出さないといったようなこともございました。それから、三位一体改革の中で税源移譲について先送りをしようとする動きもあったので、非常に懸念を感じまして、この地方自治確立対策委員会に出席をして、まずこの委員会の方から地方分権改革推進会議に強力に申し入れをして、そういう非民主的な運営を改めるようにと、それからもちろん三位一体改革は名実ともに三位一体で行うような、そういう提言を出すようにといった趣旨のことをその場で発言をしてきたところでございます。
 結果として、先般、三位一体改革の大筋のところが骨太の方針の第3弾の中に入ってきたわけでございますけれども、一歩前進したところもあると思いますが、しかし本当にその三位一体改革の内容に沿ったものになっているかどうかは、暮れの予算編成のときを見ないと少なくとも明らかにならないのではないかと思いますし、そういうこともございますので、この地方自治確立対策委員会の場においては、11月ごろにこうしたことに対しての意見を取りまとめることとしていますけれども、ぜひその中で三位一体改革が名実ともに三位一体で進められるようにそういう趣旨の意見になるように、私もこれから機会があればこの場に出席をして、そういうふうに持っていきたいと思いますし、それから暮れの予算編成のときだけでなくて、三位一体改革の実行については、これからも引き続き継続する課題でございますので、また来年、再来年と一歩ずつ前に進んでいくかどうかを、この場などを通じて十分に見ていきたいと考えております。
 それから、この行財政構造改革の特にプログラムを進めるに当たっては、県民に痛みをもちろんお願いするような立場になるので、十分な県民の意向の反映が必要ではないか、それから理解と協力が必要ではないか、どういうふうにしてその声を聞くのかというお話でございました。先般まとめた改革プログラムの骨子の際にも、県民7、000名を対象にした意識調査や、それから県民の皆さんから寄せられた5、000件ぐらいの県政提言などのものを反映してああいうプログラムをつくってございますけれども、これだけでなくて、これから具体的に改革プログラムに数字を入れていくに当たって、地方振興局単位で、県内各地域で県民の皆様から意見をお伺いする会を開催していきたいと考えております。もちろん直接関係する団体などとは直接の意見交換を行いますし、それから県の出資法人に対してこれから見直しをする、大なたを振るうといったときに身内だけでやっていてはだめなので、そういったものについては第三者、外部の人たちも入った委員会をつくって、そこで公平な客観的な視点での御意見をお願いしてございますけれども、そういう立場の人だけでなくて多くの一般県民の皆さん方に対しても広く情報を公開して、例えば地方振興局単位で先ほど言いましたような意見をお伺いする会を開催するなど、これからも可能な限り皆様の声をお聞きする場を設けて、その内容も取り入れていきたいと考えております。
 次に、企業誘致の関係でございます。この企業誘致も全体的には海外シフトが進んでおりますけれども、まだまだ有効な雇用の場、受け皿として十分な取り組みを行っていかなければならないと思っていまして、その際にはほかの県と差別化した特色ある誘致施策を提供できるかどうか。それから、企業の方でもさまざまなニーズが今多様化しておりますので、そうした企業のいろいろなニーズにできるだけきめ細かく県として対応できるかどうか、この二つが大いに問われているのだろうと思います。
 ことし、こうした他県との特色を出していく上での一つの具体策として、企業立地促進奨励事業費補助という、立地する企業に補助金を交付するものがございますが、これは対象が今まで県北・沿岸、東磐井地域など44市町村でございましたけれども、それだけでなくて全県を対象に、58市町村全県を対象にするようにしつつ、なおかつ、やはり企業立地のインセンティブの弱いような県北・沿岸、東磐井地域では従来の優遇措置に上積みをいたしまして補助率を拡充して2倍に拡充したり、対象企業の要件を緩和したり、それから増設を新たに補助対象に追加したりといったようなことで、全体的に手厚くこうした内容を充実させたところでございます。
 それから、工業立地促進資金貸し付けの方ですが、これは貸付対象業務に新しいものをつけ加えたり利率を引き下げるといったことも行いました。また、工業用地のリース制度、最近は全部買い取りではなくて企業の方で初期投資を抑制したいという、こういうお考えだと思いますけれども、リースでぜひお願いしたいという話がよく来ますので、こうしたリース制度や、また、買い取る場合でも割賦分譲など分割に応じるといったようなことで、できるだけ進出をする企業の御要請にこたえるようにしていくこととしてございます。
 重点の誘致対象業種として、これは国内での展開を基本として進出が期待できるようなものにできるだけ絞っていきたい。海外シフトで、せっかく誘致してもぱっと、あっという間にいなくなるようなこともあるので、今言ったような国内展開を基本とできるようなものを中心にしていきたい。もちろん全業種をねらってはおりますが、しかし、そういうところに重点を置きたいということで、情報関連、それから流通関連、環境関連、それから1.5次産業、1次産業、食品などの加工を中心とする1.5次産業、こういった今申し上げました四つの業種を特に重点として、これからも誘致に力を尽くしていきたいと考えております。
 それから、社会保障改革についてのお尋ねがございましたが、社会保障改革については先般、社会保障審議会の方で意見について取りまとめをいたしました。まだ非常に漠とした大まかな意見でございまして、これからそれぞれ年金にしても、医療にしても、介護にしても各論の議論がなされるのだろうと思いますが、この所感について今お尋ねがございましたけれども、この意見全体を見ますと、将来の世代に過大な負担を残すことがないようにというそういう考え方に立って、社会経済との調和、それから世代内、それから世代間の公平性の確保、それから施策、制度の総合化を改革のポイントとしている。
 これは今、議員の方でも概略をお話しになったとおりのことでございまして、こういう特徴を踏まえて年金、医療、介護など社会保障全般にわたって行われている現在の給付と、それから負担の関係を見直ししていく。それで、効率的で持続的な制度に仕立てていくということを述べております。やはり今、給付と負担の関係が非常に次世代間との関係で特に問題となっておりますので、こういう大きな趣旨や方向性については私も理解ができるところでございます。しかし、内容について言いますと、全体的には両論併記的な記述になっておりまして、全体としてこの審議会でどの方向を目指そうとしているのかということがなかなか読み取れない。
 それはさらに言いますと、財源についての議論をどうも避けているところがあって、恐らく消費税との関係で議論しなければいけないんでしょうけれども、消費税は今の内閣では手をつけないというようなことになっていて、そこが非常にあいまいになっているところもあると思いますし、それから潜在的な国民負担率について、どうも一定の枠がはめられると非常に制度がつくりづらいということで、50%という枠がはめられないようにということで、その財源についての議論をどうも避けたようなところがございますので、その意味で非常に明快でないこと、どちらの方向に向かうかというところがわかりづらいものになっていると、そんな印象を持っております。
 これからそれぞれの分野で、年金なり医療のところで具体化をしていくときには、必ず今言ったようなことについても触れた上での方向性、具体的なシナリオをぜひ提示していただいて、これはなかなか容易でない問題がいろいろあると思いますけれども、複数のシナリオを提示した上で、国民的な議論を求めるような方向に向かっていただきたいと思っております。
 それから、産業廃棄物の不法投棄、特に県境の問題についてのお尋ねがございますが、岩手県の考え方は、不法投棄されたものの全量撤去を基本としていきたいということでございます。そして、その中で特別管理産業廃棄物については、最優先として今年度から撤去に着手をしたい。何としても今年度から撤去に着手をしたいと思っていまして、おおむね3年程度でそれを終了させたい。また、その他についてはさらに5年程度で完了したい。こういうような大方針を持っております。
 6月28日、先週の土曜日に青森・岩手県境の不法投棄事案についての合同検討委員会というものが開催をされました。実はそれが合同検討委員会ということでは最後のものでございましたが、その中では、今後は両県それぞれ対策を講じていくということになったわけですが、本県の全量撤去の基本方針は変わりません。本県はそれでいきたいと思っております。それで、青森県との連携については今後両県の意見交換の場を設けていきたい。こちらの方から青森県に働きかけをして、そこで両県の意見交換をしていきたいと考えております。
 原状回復の関係については、国の方で特別措置法が改正をされて、これが成立をいたしましたので、その枠組みに沿って原状回復を行っていきますが、当然のことながら排出事業者の責任追及については引き続き徹底して行っていきたい。今4社に撤去命令を出してございますけれども、今後も引き続きそのほかの企業に対しての責任追及も徹底して行っていきたいと考えております。これからは法律の枠組みにのっとって基本方針に――これは国がつくるものですが――即して県が実施計画案を策定して、地元の意見などを聞いた上で環境大臣に協議ということでございますけれども、こうしたことを手続を経た上で今年度中に、先ほど言いましたように撤去作業に着手をすると、一刻も早く地域の皆さん方が安心をされるような状況にしていきたいと考えております。
 医療問題についてでございますけれども、2点お尋ねがございまして、一つは、公私の医療機関の役割分担についてお尋ねがございましたが、特に公的な医療機関、県立病院でございますが、これは九つの医療圏ごとに、先ほど伊藤勢至議員のときに申し上げましたが、九つの圏域ごとに個別にやはり考えていきたい。民間の病院の状況なども圏域ごとにかなり違っていますので、その中で具体的に考えていきたい。今は各保健医療圏ごとにセンター病院である中央病院と、それから広域の中核病院を配置して、その中で高次医療などの部分も担当する。それから、県内に民間病院や診療所などがある場合にはそこと連携しながら、紹介患者の受け入れとか逆紹介を行っている。こういうことでの機能分担をしているわけでございます。盛岡の中央病院は地域医療連携室というのを特別につくりまして、特に病診連携に力を入れていますけれども、大体中央病院でこうやって受け入れた患者数が、11年度は17.2%でしたが、14年度は36.6%、3分の1を超える皆さん方が紹介をいただいた人たちになっていますので、かなりこの病診連携も進んできていると思っております。これをさらに機能分担を進めていくような方向に持っていきたいと思っておりまして、今、特に福岡や磐井などの病院、建設をしてございますし、それから久慈はついこの間でき上がったわけですが、そういったところの救急体制や高度・専門医療体制というのはさらに充実強化をさせて、そして機能分担をより進むようにしていきたい。それから、先ほど言いましたような地元医師会との連携でかかりつけ医の定着を図って、紹介患者の受け入れや逆紹介というのを一層推進していきたい。こんなことで民間医療機関との機能分担も十分に行いながら、県民医療の確保に努めていきたいと考えております。
 それから、もう一つこの点については、どうも入院が長くなった場合に途中で退院をさせられる、あるいは転院をさせられて一貫した治療が受けられないのではないか。こんなことがお話しございました。確かに患者さんの立場から見ますと、急性期から慢性期まで一貫した治療を受けられるということが一番の理想型でございますが、一方で、本県の場合には特にそうですが、限られた医療資源を有効活用するということから見ますと、どうしても今言ったような体制にできるだけ近づけるということも考えながら、しかし急性期医療ですとか長期療養など、医療機関の機能分担、これは官民問わずどちらにも必要なことだと思いますけれども、こういった急性期医療の場合にはこういう医療機関で、それから長期療養の場合にはこういうところでという、その医療機関の性格、類型分け、医療機関の機能分担ということが必要になってくると思われまして、この点についてはぜひ県民の皆様方にも御理解をいただきたいと考えております。
 特に問題になるのは、最近長期療養が必要な人がふえてきまして、こういう皆さん方をどういうふうに取り扱うのかということだろうと思うのですが、今後、保健福祉計画の見直しを進める中でこの問題を考えていきたいと思いますけれども、療養病床の数が最近非常にふえております。この5年間でも随分増床されておりますので、そういったところの整備を進めて、そしてこうした長期療養が必要な皆さん方に対して対応をとっていきたいと考えております。
 それから、農政問題についてお尋ねがございました。一つは、農業改良普及事業、それから農業委員会の役割について、これが地方分権改革推進会議の中でも議論になりまして、いわゆる規制を緩和するというそういう文脈の中で、普及センターの必置規制の廃止ですとか、それから交付金制度のあり方、一般財源化といったようなこと、これは農業委員会も同じようなことが指摘されておりますが、そういったことが提言をされたわけでございます。これを受けて国の方でも取り扱いを検討してきたところでございますが、県の方の考え方を申し上げますと、この改良普及事業ですけれども、担い手の育成確保、それから食の安全・安心や地産地消といったような今日的な問題解決を図っていく上では、やはりこうしたものが非常に有効であると思っていますので、民間との役割分担や連携方法などもよく考え合わせながら、普及事業のあり方についてこれからも検討していきたい。そして、そういった実態に即したものにしていきたい。それから、今回そういう地方分権推進会議の指摘を受けて、より地方の自主性が尊重できる形で見直しが図られることになっておりますけれども、これは今後の改良普及事業のあるべき姿を示したものと受けとめておりますが、やはり何といっても十分な財源確保が必要だと、この点についての配慮をこれから考えていかなければならないと思っております。
 農業委員会についても同じようなことでございまして、やはり必置規制などについての緩和が図られることとなっておりますが、いずれにしてもこの農業委員会、農地の利用集積の促進を図っていく上で大変大事な役割を果たしておりますので、その組織のスリム化、効率化を図りながらも、活動が損なわれないように財源を十分に確保する必要があると考えております。
 それから、遊休農地の有効活用ですが、まずどの程度あるのかというお尋ねでございましたけれども、1995年と2000年の農林業センサスでの耕作放棄地面積で見ますと、5年間で60%余り増加――8、093ヘクタールですが――という数字になっています。特に水田の増加が著しくて、2000年では2、867ヘクタール、約2倍ほどふえているという状況でございます。こういうものについて中山間地域直接支払制度の活用などでその解消を図っているところですが、まだ相当数遊休農地が存在するわけでして、こういったものについては粗飼料生産や、それから野菜生産団地として有効活用する方向を目指したり、あるいは今回の構造改革特区制度で一般企業も農業分野に参入が図られる道が開かれてきましたので、これも拒否反応を示さずに、むしろ地域にとってメリットあるものは受け入れていくということで、雇用の確保を拡大していくという視点も必要だろうと思います。また、地域によっては都市住民に対しての市民農園というような利用も必要だろうと思いますので、こういったことをこれから考えたいと思いますし、特に水田の耕作放棄地が大きいわけですけれども、今ちょうど行っております集落水田農業ビジョンの策定を推進していく中で、こうした点についても高度利用が図られるように支援をしていきたいと考えております。
 森のトレーについてお尋ねございましたが、この森のトレーについてはいろいろ御心配いただいておりますけれども、平成10年度の補正、それから11年度、12年度と3カ年の事業で行われたものでございまして、久慈市の森のトレー生産協同組合が事業主体となって、お皿――間伐材を利用したトレーをつくるということでございます。これが実際には、整備された機械にトラブルが生じて大幅に生産計画が下回ったと、そして販売不振になって昨年8月に事業を中断したと。これを受けて会計検査の実地検査で指摘をいただきまして、11月にこうした組合での完成検査、それから検証が十分でなかったのではないか。県及び久慈市も完了確認調査などが不十分だったのではないか。それから、組合は久慈市に無断で施設を金融機関の担保に供していた。こういったことが指摘をされまして、補助金の返還ということの指摘につながったわけでございます。その後、林野庁と協議をしてきたんですけれども、今日まで合意が得られず平行線ということでございます。
 国の主張は、いずれにしても組合での機械の受領検査が十分でないと、それから県、そして久慈市の完了確認調査も十分でないと、補助事業の目的が達成されていない、それから担保にも無断で供しているといったようなこともあって、こうした会計検査院からの指摘がもうすべてであって、補助金返還額の減額は一切まかりならぬと、全額を返還するようにと、こういう国の主張でございます。これに対して県の方では、確かに組合にまず、第一義的な責任があるが、県にも反省すべき点は多々あるにしても、こうした事業については国と十分協議しながら進めてきたものなので、全額補助金返還するほどの瑕疵は県にはないといったことで平行線に終わっております。先般、林野庁長官に私会いましたけれども、依然平行線でございますが、こんなこともあって補助金返還をしなければならない部分はあると思っていますが、6月議会に予算計上は見送っております。今後もさらに林野庁と協議を進めて、その上でこの問題に対応していきたいと思っております。
 災害対策についてでございますけれども、これは本県の土砂災害危険箇所1万4、000カ所と非常にまだ多いと、これをハード対策だけで整備を進めていくということは大変長くの年月がかかりまして十分でない、現実的でないと思いますので、やはりソフト対策も組み合わせてやっていきたい。もちろんハード対策についても緊急性の高い箇所についてはこれからも計画的に進めていきますけれども、ソフト対策と組み合わせて行っていきたいと思っておりまして、特に18年度を目標に土砂災害防止法に基づいて区域指定を行って、住民の皆さん方に危険性の周知ということを徹底していきたい、こんなことを考えております。
 それから、先般の地震の関係で、公衆電話や災害用伝言ダイヤル171、これをもっと活用したらどうかというお話でございまして、公衆電話は今どんどん撤去されているというようなこともあって、先般も大変有用性が確認できましたので、これについては今、災害時の活用も想定して必要な台数の確保を通信事業者の方に申し入れをしております。それから、公衆電話についてもマップ化をして、どこにあるかということをわかりやすく県民の皆さん方にも伝えていきたいと思います。それから、171、この災害伝言ダイヤルですが、これも大事なものでございまして、これも県民の皆さんにあらゆる機会をとらえて広く啓発、普及をしていきたいと思います。
 それから、災害弱者の関係でございますが、これは災害弱者の皆さん方には特に今回の経験からしますと、緊急通報システムも必ずしも万全ではないということがございまして、通信機器の利用に重点を置くことにやっぱり限界があるだろう。隣組組織のような集落単位のきめ細かな対応、今、地域防災計画の中で消防団員が配置をされまして誘導できるようなそういう仕組みになってございますけれども、やはり集落単位できめ細かな対応が不可欠でございますので、市町村と連携しながら自主防災組織の結成、最近大分数がふえてきていますけれども、こうした活動を促進して、そして地域での防災機能の充実を図る方向にこれから取り組んでいきたいと思っております。
 それから、交通安全対策でございますが、先ほどお話しのように、これは昭和48年以来運動としては継続していますけれども、なかなかこの効果が上がっていない。交通事故死者も依然として多く発生をしているということです。特にターゲットになりやすい子供さんに対しては、学校で交通安全教室や登下校指導を強化したり、それから高齢者の皆さんにはシルバーリーダーの養成や個別家庭訪問などを実施する。それから、これは、本当はあってはならないことですが、県職員もそういったようないろいろな事件を起こすものですから、悪質違反についてはやはり厳罰化をして県民の皆さんに範を垂れるといったことも必要で、今後も一層多様な施策を実施して交通モラルの向上に取り組んでいきたいと思います。
 最後に、児童生徒の安全対策でございますけれども、学校、これはもちろん安全が確保されるような場でなければならないわけで、教職員の危機管理能力の向上を図るために手引書をつくったり、研修会を実施したりということを行ってきております。こうした学校サイドの努力のみならず地域の協力が不可欠でございますので、学校、家庭を初め、町内会などの地域、それから警察や防犯協会などの関係機関一体となって、こういう子供たちの安全対策について話し合ったり防犯訓練を行うなど、やはり地域ぐるみでこうした環境づくりにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
   

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時7分 休 憩
   

出席議員(49名)
1 番 亀卦川富夫 君
2 番 中平均 君
3 番 ザ・グレート・サスケ 君
4 番 木戸口英司 君
5 番 関根敏伸 君
6 番 野田武則 君
7 番 平野ユキ子 君
8 番 高橋雪文 君
9 番 嵯峨壱朗 君
10 番 工藤勝子 君
11 番 平沼健 君
12 番 平澄芳 君
13 番 柳村典秀 君
14 番 飯澤匡 君
15 番 田村誠 君
16 番 大宮惇幸 君
17 番 千葉康一郎 君
18 番 新居田弘文 君
19 番 工藤大輔 君
20 番 川村農夫 君
22 番 照井昭二 君
23 番 柳村岩見 君
24 番 阿部静子 君
25 番 阿部富雄 君
26 番 斉藤信 君
27 番 田村正彦 君
28 番 佐々木順一 君
29 番 佐々木博 君
30 番 及川幸子 君
31 番 阿部敏雄 君
32 番 吉田昭彦 君
33 番 小野寺研一 君
34 番 千葉伝 君
35 番 小野寺好 君
36 番 伊沢昌弘 君
37 番 瀬川滋 君
38 番 吉田洋治 君
39 番 佐々木一榮 君
40 番 伊藤勢至 君
41 番 渡辺幸貫 君
42 番 高橋賢輔 君
43 番 藤原良信 君
44 番 佐々木大和 君
45 番 藤原泰次郎 君
46 番 菊池勲 君
47 番 工藤篤 君
48 番 小原宣良 君
49 番 及川幸郎 君
51 番 佐々木俊夫 君
21 番 樋下正信 君
50 番 佐藤正春 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時21分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。吉田洋治君。
   〔38番吉田洋治君登壇〕(拍手)


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